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シナリオ詳細

その傍迷惑な犬猿バトルに終止符を!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 練達某所。
 ローレットでの依頼を受け、駆け付けてきたイレギュラーズ達は先に到着していた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)と落ち合う。
「遠路はるばるお疲れ様です」
 混沌のあちらこちらを飛び回るイレギュラーズ達を労う彼女。
 どーーーーーーん。
 きゃーーーーー!
 うわーーーーーー!!
 その時、街中で大きな音と、住民らしき叫び声が。
 どうやら、すでに厄介事が起こってしまっているらしく、イレギュラーズ達がアレかと指さすと、アクアベルもこくりと頷き、呆れ顔で説明を始める。

 事件が起きているのは、練達の街中。
 どうやら、普段から犬猿の仲だという2人の博士、ワンワン博士とモンキー博士が最近、ロボット作りに目覚めたらしい。
 それぞれ小型のロボットを作ってその性能を見せ合い、自慢し合っていた。
「それがだんだんエスカレートして、相手を倒せるくらいに大きくて強いロボットを作ろうと開発が進んでしまったようです」
 それぞれの博士は、自分のトレードマークとも言うべき動物を模したロボット作りに励んでいる。
 現状、その大きさは人間の倍以上にまで大きくなっており、街中でバトルなど始まってしまえば、騒音と震動で仕事も手につかなくなってしまう惨状なのだとか。
「住民達がうるさいと被害を訴えても、博士達は相手が悪いの一点張りで譲ることがないそうです」
 そんなわけで、ローレットへと両成敗してほしいという依頼が舞い込んできたようである。

 犬型と猿型のロボットの性能差はほとんどない。
 基本的に互いの意識が互いへと向いている状況なので、なかなか喧嘩を止めるのも難しい状況だが、2体のロボットが喧嘩をする度に周囲へと被害をもたらすのが厄介なところ。
「町への被害を食い止めつつ、両者にダメージを与えて止めていきたいですね」
 できるなら、このロボット、同時に破壊できるようにしてほしいとのこと。
 片方ずつ破壊するのは簡単だが、それだと後腐れが出てしまう可能性が発生する。
「例えば、片方を一気に倒したとして……、その博士が不満を抱くのは想像に難くありません」
 残したロボットを作った博士がマウントをとると、喧嘩がさらに激化する可能性がある。町の人々もそれが容易に予想できるだけに、その展開は避けたいとのこと。
 また、僅かにどちらかが早く倒れても、残った方の博士が自分のロボットの耐久性の方が上だと自慢して……以下省略である。
「手間を承知で頼みたいのですが……、同時に倒すよう配慮していただきたいのです」
 両方同時に倒れれば、相手にマウントも取れないし、責任転嫁もできない。さすがに自省してくれるだろうという町の人達も淡い期待を抱いているのだ。

 何とも面倒くさい博士達だが、どうかロボットの抗争を上手く沈め、反省を促したい。
 どーーーーーーーん。
 説明の間にも、さらに街を破壊する音がここからでも聞こえてくる。
「それができる力があるのは、皆さんだけだと思うのです」
 改めて、アクアベルは町の人達の気持ちを代弁し、イレギュラーズ達にこの不毛ないがみ合いを上手く収めるよう願うのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 練達の謎技術シリーズ。2人の科学者が自分の作ったロボットが最強と主張し、ドンパチして町を荒らしているので、喧嘩両成敗してあげてくださいませ。
 
●目的
 両方のロボットを戦闘不能にすること。

●ロボット×2体
 2人の博士が戦わせているロボットです。
 2体の性能差はほとんどありません。
 なお、この2体の交戦によって、交戦の一定範囲に騒音と地響きが起こり、停滞の効果。
 喧嘩を止めようとすると巻き込まれ、ロボット達の攻撃とは別にダメージを負ってしまいますので留意を願います。

〇犬型ロボット、ぽっちーmk-Ⅳ
 4mほどある犬型ロボット。
 愛嬌のある見た目ですが、やや暴走気味に尻尾を振ってワンワン博士の命に従って目の前の標的をぶっ倒そうとします。

・咆哮……(A)神遠範・足止
・馬乗り……(A)物近単・崩れ
・食らいつき……(A)物近単・流血
・特攻……(A)物中単・飛・反動
・マーキング……(A)神近単・怒り

〇猿型ロボット、うっきー三式改
 4mほどある猿型ロボット。
 こちらも可愛らしい見た目ですが、顔を真っ赤にしてモンキー博士の命に従って目の前の標的を張り倒そうとします。

・ドラミング……(A)物遠範・足止
・引っかき……(A)物近単・流血
・ぼこ殴り……(A)物近単・崩れ
・ドロップキック……(A)物中単・飛・反動
・マウントをとる……(A)神近単・怒り

●NPC
○ワンワン博士、モンキー博士
 どことなく、犬と猿に似た人間種の爺さん達。獣種の血が混じっているのかもしれません。
 犬猿の仲らしく、普段から目を合わせる度に喧嘩しているようです。

●状況
 昼間、練達の街中で、2人の科学者が自分の作ったロボットが強いとはばからず、戦わせています。
 できるだけ町への被害を食い止めつつ、交戦を願います。
 依頼は町の人から、彼らを両成敗してほしいとのことですので、どちらかのロボットが長く機動し続けたなど、秀でた点を感じさせぬよう同時に倒すことが望ましいです。
 事後は町の被害からの修復、博士達への説教など、お好きにどうぞ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • その傍迷惑な犬猿バトルに終止符を!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年11月15日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
リナリナ(p3p006258)
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
天之空・ティーザ(p3p007693)
白狼剣士
桐神 きり(p3p007718)

リプレイ


 練達某所のとある街
 すでに、そこでは何やら巨大な影が争っている様子が遠目でもわかる。
「おー、ロボット! ロボット! あのじーさん達、ロボットにケンカさせてる!」
 原始時代からきた元気や野生少女、『おにくにくにく』リナリナ(p3p006258)が叫ぶ。
 全長4m程ある犬と猿のロボットの足元で、老人らしき2つの影が言い争いをしている姿も見えた。
「さて、大型の戦闘ロボットとはまた……」
 機械の四肢を持つ金髪女性、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)も、ロボット自体に興味はあるのだが、さすがにそれが町中で暴れている状況は感心できない様子。
「確かに、犬猿の仲とは私の世界でも言うがな……」
 白狼の尾を生やした落ち着いた振舞いをした少女、『白狼剣士』天之空・ティーザ(p3p007693)も、こんな街中で仲裁をしなければならぬ爺様達に頭を抱える。
「競い合うのは悪くないことだけど、なんて子供に言うようなレベルのお説教よね……」
 練達という地に、虹色の魔眼を持つ黒上セミロングの女性、『見敵必殺』美咲・マクスウェル(p3p005192)は『頭のいい馬鹿が多くて困る』と辟易としていたようだ。
「勝手に競い合うのであれば構わぬが、町中で行うとは……傍迷惑だな」
 目元に包帯を巻いた灰色の髪の『虚言の境界』リュグナー(p3p000614)だが、視界は確保できているらしい。
 街中の人々が迷惑そうにその争いを目にしている様子を、リュグナーは気にしていた。
「これ、街の外でやるだけで済んだ話では……?」
 アホ毛を揺らすロリっ子少女、桐神 きり(p3p007718)は町の人の様子を見てから、改めてロボットを見やる。
 改造を加えられていることもあってまぁまぁ強そうだと、きりはロボットの対処が面倒になりそうなことを察していた。
 それでもと、海の男宜しくセーラー服着用の『湖賊』湖宝 卵丸(p3p006737)は正義感を露わにして。
「同時にたたき壊して、悪さを止めるよ!」
「今すぐ止める! 町壊れてる! みんな迷惑!」
 卵丸に同調したリナリナが叫ぶ。
「もうちょい、平和的に競って貰えればありがたいんですけどねー」
 きりも異論なく、まずはこの争いを収拾すべく、ロボット達の元へと向かっていくのである。


 街の通りのど真ん中で、いがみ合う2人の老人達。
「うー、邪魔じゃ、そこをどけ!」
「きいい、貴様こそ道を開けんかい!!」
 犬と猿を思わせる博士達は、互いに道を開けろと譲らない。
 そもそも、街中に全長4mもあるロボットを持ち込む地点で、最初から争う気満々の博士達である。
 どーーーーーーん。
 そのロボット達は特攻、引っかき、食らいつき、ぼこ殴りと大喧嘩。
 激しい喧嘩によっておこる騒音、地響きに、周囲の人々は耳を塞ぎ、日常生活にまで影響が出てしまっている。
「派手に殴り合ってるね! ボクも混ぜてよ!」
 真っ先にそこに飛びこんできたのは、アホ毛を揺らす狐の獣種『楽しく殴り合い』ヒィロ=エヒト(p3p002503)だ。
「楽しく殴り合って、誰が一番か決めよ! ……ただし、人様に迷惑をかけないよーに、ね!」
 周囲に保護結界を展開しながら乱入してくるヒィロは、『狐火・浮』を使って僅かに浮かぶ。
 そうして、地響きの影響を受けぬようにしつつ、彼女は自らにロボット達の注意を引いて交戦域の拡大を抑えようとする。
「何じゃと!?」
「きー、よそ者は引っ込まんかい!」
 博士達はそれぞれ連れていたロボットに、ヒィロを排除させようと指示を出す。
「ああ、どさくさに紛れて、どういう作りなのか確認できないかな?」
 ゼフィラは保護結界を張りつつも、少し派手に壊してその行動を見てみたいようだ。
「ふむ、ひとまずはこれで。なにはともあれ、仕事の達成が第一かな?」
 とはいえ、個人的に練達へと恩を売りたい思惑もあるゼフィラは、被害を小さくすべく対処に当たる。
「できるだけ、同時に撃破狙いしたいわね」
 そうすれば、博士達が相手にマウントをとることができないはずと、美咲は事前の話も踏まえてそう口にする。
 彼女はさらにメンバーの希望も踏まえ、チームを犬型と猿型のロボット対処、抑え回復の3班に分けていく。
 先に向かったヒィロが抑え、美咲ときりが支援回復に当たる。
 愛嬌ある犬型ロボット「ぽっちーmk-Ⅳ」にはゼフィラにリュグナー、卵丸が攻め入って。
「悪いが、これも依頼なのでな。貴様たちの自慢のロボットとやら、壊させてもらう」
「己の技術を誇示する余り、街の人々の迷惑を考えない行いは、海の男として放っておけないんだからなっ!」
 リュグナー、卵丸は迷惑な博士達を黙らせる為にも、犬型ロボットに集中攻撃をと構える。
 一方で、可愛らしい猿型ロボット「うっきー三式改」にはリナリナとティーザが攻撃を行う。
「おー、ロボット2体同時に止める! 『水ぶっかけ』!」
 ダメージ調整など難しいことがわからないリナリナは、猿型の攻撃とは別に、そんな作戦も考える。
 仲間達へと提示した水ぶっかけ作戦について了解を得た上で、リナリナは堂々と実行しようと考えていた。
 ただ、犬型に3人、猿型に2人では、うまく両方を追い込めない可能性が高い為、全員で後者のフォローに当たる形となりそうだ。
「ま、これも仕事です。遠慮も容赦もなくぶっ壊してあげましょうね!」
 そんなきりの一言を皮切りとして、イレギュラーズ達はこの諍いの鎮圧へと当たるのである。


 街で暴れる犬型と猿型のロボット達。
「さぁ、まとめてかかってきなよ!」
 これ以上、住民達に迷惑をかけぬようにと、ヒィロが呼びかける。
「どっちが上かじゃなくて、どっちよりも上ってヤツを見せてあげるよ!」
 呼びかけを行いつつ、ヒィロは攻撃集中して迸る闘志を周囲へとぶつけていく。
「「…………!!」」
 すると、犬と猿のロボット達は彼女に注意を向け、争いに邪魔な彼女を排除しようと向かってくる。
「他者への迷惑を考える心すら持たないロボ如きには、負けないよ!」
 そいつらの喧嘩を止めようとして争いに巻き込まれるヒィロは、特殊抵抗の高さで何とか耐え凌ごうとする。
(頼られるのは、悪くないけど……)
 そのヒィロに攻撃は集中する状況は、美咲にとっても心苦しいが、気持ちを強く持ってその回復に徹しようとする。
「『どっちよりも上』って、示さなきゃだしね」
 美咲が治癒魔術を使う少し後方、同じく仲間の回復支援に当たるきりが仲間全員をカバーできるよう位置取り、甘く切ないバラードを歌って仲間達の抵抗力を高める。
 これで、少しでもロボット達の争いによって発生する騒音、地響きへの抵抗力が高まれば、スムーズに仕事ができるようになるはずだ。
「一応、保護結界は張られていますが……」
 それでも、できるだけ建物を背にしないようにと、きりは街への被害を気がけて動き、前に立つ仲間の回復に当たっていく。

 犬型ロボット『ぽっちーmk-Ⅳ』を相手取る3人。
 そいつから少し距離をとるリュグナーは改めて、そのロボットを見上げて。
「……しかし、どうやって動いているのだコレは? ふむ、興味深い」
 彼は……性別はわからぬが……、まずは小手調べにと、自らの精神力を弾丸に変えて放つ。
 全力での一撃を受けた犬型の装甲に、大きな傷が入る。
「がー、わしのぽっちーに何をするか!」
「よもや、これで壊れる程、柔な設計ではあるまい?」
 そうワンワン博士へと言葉を返すリュグナーに続き、ゼフィラが式符より生み出した毒蛇を向かわせて犬型の機体へと噛みつかせる。
 ロボットだろうが、毒は関係なく機体全体を駆け巡り、その体を侵す。
 ゼフィラは攻撃を行いつつも仲間達の状況は常にチェックし、万全の状態で叩けるようにと気をかける。
 状態が悪ければ、ゼフィラはすぐにでも大号令を発して仲間の不浄を振り払う構えだ。
 そして、ドリルを構えた卵丸は犬型の背後へと回り込む。
「これが海の男の勇気(ドリル)だ!!」
 鋭いドリルを回転させ、卵丸はその背の装甲を傷つけようとする。一度では穴をあけるのは難しいが、硬い装甲を貫いて内部基盤の損傷を目指す。
 敵の注意は猿型やヒィロに向いていることもあり、試す機会はなさそうだが、卵丸はドリルの力で敵の馬乗り状態から脱することができそうだと考えながら、攻撃を続ける。
 相手の大きさもあり、卵丸はジェットパックの簡易飛行も行い、敵の隙を突こうとする。
「後頭部がガラ空きだよ」
 立体的な攻めを行い、再びドリルを突き出していく卵丸。
 だが、やはり敵の注意はなかなかこちらには向かず。
 そのドリルやマントで攻撃を受け流す構えも見せていた彼は、少しばかり残念な部分も感じていたようである。

 一方、猿型『うっきー三式改』。
 リナリナは思いっきり掘り出し物の剣を叩きつけながらも、考えていることがあって。
「こんなじーさん達が作った喧嘩ロボット、どうせ相手ロボットを倒すことだけで頭いっぱいな構造」
「きー、もっと色々機能を積んでおるわい!」
 モンキー博士が叫ぶが、リナリナは全く耳にせず、攻撃、装甲特化のロボットだと推測して。
「当然、防水なんて無いはず!!」
 ある程度壊れたタイミングで装甲がガタガタになったところへ、水をぶっかければ、ショートして機能停止するのではとリナリナは考えていた。
「水入りバケツの用意、協力!!」
「「おおっ!!」」
 溜まりに溜まった鬱憤をバケツで返せるのであればと、距離をとっていた住民達もリナリナの呼びかけに応じて水の用意に協力してくれていた。
 それを横目にしながらも、ティーザも一気に距離を詰めて争いによる悪影響を最小限にする。
 至近距離まで近づいたティーザは、光通さぬ暗闇を大業物「斬鬼」へと纏わせて。
「果たして、機械に効くのかはわからんが、な……!」
 その刃をティーザは一閃させることで、猿型のメインカメラの視界を一時的に塞ぐ。
 毒が効いているのだ。暗闇が聞かぬ道理もない。
 ところで、白狼の尾が生えるティーザは時折、犬のような動きを見せることがあるのだが。
「正直、私も猿はあまり好きではないのだがな……! ……犬ではないぞ。違うからな?」
 本人は否定していたが、ティーザを見る限り、ゆっくり振っている尻尾の動きは警戒を示している。
 その感性はやはり、犬に近しいものがあるではないかと感じさせるのである。


 犬型と猿型のロボットは互いを牽制し合いながらも、時にヒィロも巻き込んで攻撃してくる。
「がー、一気にやってしまえ!」
「っきー、なんの、そこじゃあっ!」
 年甲斐もなく叫ぶ博士達にイレギュラーズ達は呆れつつ、ロボットの破壊に注力する。
 必死にロボット達を引きつけるヒィロは自分から相手の注意を離すものかと、維持でも自らの役目を果たそうとしていた。
 彼女は時折、心から頼りにしている美咲の方に視線を向けて。
「強さってきっと力だけじゃない、心だって強さになるんだ!」
 敵の攻撃を懸念する美咲は移動しながらも、そんなヒィロを見つめつつ癒しへと当たっていた。
「頑張って!」
 きりもまたそんなヒィロを助けるべく、回復を続ける。
 合間を見て、きりは攻撃にも出ていた。猿を攻撃する手が少し足りないのだ。
「皆を巻き込まないように……」
 威嚇術を放ち、猿型を牽制するきり。
 ゼフィラもまた猿へとターゲットを変え、攻撃を行うのだが……。
 突然、猿がいきなりゼフィラに対してマウントをとってきて、さらに彼女の身体をぼこ殴りにしてきた。
 まさかの連続攻撃にゼフィラも驚きながらも、パンドラの力に縋ることとなる。
「油断したね……」
 ともあれ、大分削ってきているのは間違いないと考え、ゼフィラは猿にも毒蛇をけしかけてその体を毒で侵していく。
 まだ、動けると判断したティーザは、猿型の身体へと『斬鬼』で別れの文字を刻み込んで。
「機械が流血とは……、オイル漏れでもするのだろうかな?」
 彼女が言うように、零れ落ちるオイル。それによって、少しずつ動きがぎこちなくなっていく。
 犬型の方も順調に攻撃を続け、後方のリュグナーが自らの影より無数の赤黒い蛇を放つ。
「そう暴れるな――、『お座り』」
 絡みつく蛇が犬型の動きを束縛していく。
 双方のロボットの装甲のあちこちに穴が開いてきたタイミング、リナリナが動いた。
「バケツ! 水、もらう!」
 彼女は周囲に控えていた人達からバケツを受け取り、猿型の頭上へとジェットパックで飛翔する。
 同じく、卵丸も同様にジェットパックで飛び上がり、犬型の装甲へとドリルで開けた穴を狙って。
「いくよーっ!」
 2人は一気にロボット達の内部へと水を流し込む。
「「…………!?」」
 すると、2機とも一気に動きが鈍り出して。
「がー、何しよるかー!」
「きー、ワシの可愛いうっきーによくも!」
「少し、頭、冷やす!」
 怒り狂う博士達にも、リナリナは水をぶっかけて大人しくさせようとする。
「「…………」」
「コレで文字通り『勝負は水入り』!!」
 水を浴びて唖然とする博士達を尻目に、ロボット達の動きが鈍ってきたことを察したイレギュラーズ達は一気に攻撃を畳みかける。
「いいな。絶対に遅れるな、先走るな。……一斉に!」
 ティーザが統率の力を使い掛け声をかけると、ゼフィラが闇の月で照らしたロボット達へときりが魔砲で撃ち抜いていく。
 さらにヒィロが立て続けに、燃え盛る闘志を込めた狐火でロボット2体を貫通させて。
「美咲さん! 本物の強さってヤツを、見せてやって!」
「ええ、いくわよ」
 呆けたロボット2体を美咲が纏めて斜線に入れ、とどめの雷撃で撃ち抜いていった。
「ピピッ、ガ、ガガッ……」
「ガガガ、ピー、ガガ、ガ……」
 全身に電撃を走らせ、動きを止めたロボット達を確認し、ダメージが足らない場合に控えていたリュグナー。
「回路がショートしたのか、それともバグが起こったのか……」
 いずれにしても、自らの眼の力の必要はないと判断し、包帯にかけていた手を外したのだった。


「ふむ、これで一段落かな?」
 両方のロボが動きを止めたところで、ゼフィラが息をつく。
「ボク達の絆の強さはいつだって最強! 最高! だよね! 心の強さ、わかってもらえたかな?」
「……はた迷惑な暴走よりは、確実に上等でしょ? わたしたちのちから、ってやつはさ」
 ヒィロが得意げに語った後、美咲は少しだけ躊躇いながらも言い放つ。
「なんじゃと……」
「わしのうっきーが……」
 一方、自慢のロボットが破壊され、博士達はあんぐりと口を開いてしまっていて。
「やれやれ、切磋琢磨するのは結構だが、あまり人に迷惑がかからない様にやって欲しいね」
 そんなゼフィラの言葉に、遠巻きに見ていた街の人達が大きく頷く。
「それじゃまずは、迷惑かけた町の人達への謝罪の心から始めないと、ね!」
「で、だ。そこのバカ博士2人」
 そこで、ヒィロに続き、ティーザはここぞと彼らに反省を促すべく説教する。
「どうせ競うのならば、街の発展に、人々の為に尽くせ。それができるものを作れば良かろう」
 同じことを、リュグナーも考えていたようで。
「要は、相手よりも勝っていると証明できれば良いのだろう? ――ならば、第三者にそれを認められれば良いのだ」
 2人の威圧感に、争う術を失った博士達はたじたじである。
「ああ、ちょうど『なぜか』町中が汚れているようだな」
 より優れた掃除ロボットを開発できるのはどちらだろうと、リュグナーが2人を煽る。
「――戦闘機能などつけて、我々の手を『汚させる』なよ?」
「今度このようなことを起こせば、直接殴るからな?」
 凄みを利かせたリュグナー、ティーザの言葉に、彼らはただただ、はいと答えるのみ。
「コレで破壊しかできないポンコツカガクシャーがどっちか判明!」
 判定は町の人達。リナリナの一言に、この場の全員が承認として立ち会う。
「卵丸、こんな大きなロボットしか作れないようじゃあ、2人ともまだまだだと思うんだぞ」
 彼は段ボール箱で戦わせられるくらいに小さく精巧に作ってこそ、技術力と語る。
 なるほどと唸る彼らは当面、お掃除ロボットと、小型のロボットの開発、研究へと勤しむことになりそうだ。

 その間は、イレギュラーズ達が駆けつける前につけられた建物や地面の破壊跡を、修復する必要がある。
「ま、まぁ、私は無理なくやれる範囲で、適当に頑張りますよ」
 か弱いからと主張する幼女の姿をしたきりは、力仕事ばかり行う必要のある戦闘跡に嘆息してしまうのだった。

成否

成功

MVP

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは両者の抑えに回っていただいたあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!

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