PandoraPartyProject

シナリオ詳細

にゃんにゃんパーティ大ピンチ?

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●それは人類の癒し
 ここは某世界の某都市。地名は……まあそんなこと気にしても始まらない。
 この世界では「アニマルセラピー」が発達していて、ネコや犬、はたまた鳥や蛇なんかと触れ合える専門店が数多く存在していた。特にネコはいつの世も大人気で、巷には「ネコカフェ」なる店が結構な数で軒を並べる。
「わあ! かわいい~!」
 今日もネコ達は自由気ままに店内を歩き回っては、お客さんに(本人たちにその気があるかはともかく)愛嬌を振りまく。ネコ達はお客さんから餌を貰い、店はお客さんから飲食代と餌代で儲けを得て、そしてお客さんは癒しを得て明日からの生活の活力を得る。
 中々よくできたシステムである。

 店の裏では、眼鏡をかけた店長がカフェの業務にバイトに任せて黙々と作業に取り掛かっていた。近日中にお得意さんを集めてちょっとしたパーティを行うことになり、そのための飾りつけの準備をするためだ。
「猫耳カチューシャ、飾りつけ、クラッカーにキャンドル……。よし、完璧だ!」
「てんちょー。ネコちゃん、新しい仔入れました?」
 全てのグッズを準備し終えた店長にバイトの女の子が顔だけ覗き込んで聞いてきた。首を振ると、奇妙なことを言いだす。
「そうですか。実はさっきから少しネコちゃんの数が多い気がするんですよ」
 絶えず動き回っているネコの数を正確に数えるのは至難の業だが、ネコ自体は丁度100匹、そしてそれ以上は飼えないというのが店の指針であり数の管理は徹底している。故に、「そんな訳ないよ」と言ったのだが。
「そ、そうでふよ……クシュン!」
 バイトの子が盛大にくしゃみをする。「風邪かい?」と尋ねた店長だったが、次の瞬間。
「ふぇっくしょい!」
 自分まで盛大にくしゃみした。
 
 その後、くしゃみは従業員だけに留まらず、店に来た客やたまたま来た配達業者にまで拡大した。勿論、誰一人風邪やそれに類する病気を持っていない。
「一体どういうことなんだ……?」
 不思議なことに、店から出ると皆一様に症状が治まる。それ故、一旦店を休業して外で考えることにしたのだが、どうにも合点がいかない。と、その時。
「てんちょー。まさかとは思うんですが……『ネコモドキ』が入り込んだのでは?」

●ネコモドキ
 この世界にはネコと、そのネコによく似たネコモドキという生物がいる。ネコという生物が繁栄していることに目を付けた他の生物が外見をそっくりに進化させたという生命の神秘さを見せつけるような存在だが、厄介な特性を有している。
 それは彼等が有している『ネコモドキウイルス』というアレルギー物質である。これを吸い込むと、ほぼ誰もがくしゃみが止まらなくなるというものである。猫アレルギーが誰にでも発症すると思ってもらっていい。重度になると死に至るとまでされているが、詳しいことはわかっていない。そもそもネコモドキが新種なのでウイルスまで研究が進んでいないのだ。
「さて、厄介なことになったぞ」
 店長の嘆きが深刻さを増す。店員に言われて慌てて確認したところ、カフェの中にはネコとネコモドキを合わせて全部で105匹いた。ネコの譲渡も手掛けているこの店ではネコの入れ替わりも激しく、店長も100匹飼育していることは確実でも全ての個体の特徴を把握しきれていない。
 つまり、5匹のネコモドキが完全に紛れ込んでしまった。
「店長、『保健所』へは連絡しましたか?」
「ネコモドキの『駆除』は依頼したんだが、ネコモドキを全て隔離して引き取ってもらわない限り、ネコちゃんも全頭処分になってしまうらしい」
 苦悶の表情を浮かべる店長。店の経営もそうだが、ネコを全て処分することに抵抗があるのは当たり前だろう。
 しかし、アレルギー症状が酷い現状では満足に探すのさえ難しい。その上、これ以上ウイルスに触れていたらより重い症状が出てしまう可能性もある。
「ああ、せっかくのパーティが……どうすれば……」
 店長の嘆きが路地裏に木霊した。

●レッツ、パーリィタイム!
「今回はネコそっくりな生き物を鑑別する依頼だよ」
 境界案内人ポルックスはそう言って「ネコちゃん、かわいいよね~」と笑顔を浮かべた。
「ネコちゃんそっくりの『ネコモドキ』っていうのがお店に5匹紛れ込んじゃったから、それを特定して『ほべんじょ?』とか言う人に引き渡せばお仕事完了だよ。終わったら、向こうの人がネコちゃんと触れ合える場をセットしてくれるって」
 いいなあ、ネコちゃんと私も遊びたいなあ、と駄々をこねそうな勢いのポルックスを制し、君達は見分け方を聞いてみる。
「いくつかあるみたいだけど、ネコちゃんって必ず『くんくん』ってするよね? あれをしなかったり、ネコちゃんの好きな餌は食べたがらないとか、かな」
 でも、一つだけだと本物の可能性も否定できないから、色々な可能性を試した方がいいよ、とポルックスは念押しした。
「鑑別したネコモドキはほべんじょの人が責任をもって何とかするから、終わったらネコちゃんと思いっきり遊んであげてね!」
 じゃーね、行ってらっしゃいと手を振るポルックスの見送りを背に、貴方たちは旅立つ。

「あ、パーティには猫耳の装着が必要だって!」
 最後の最後にポルックスはそんなことを言っていた気がしたが。

NMコメント

●目的
 ネコの群れの中から5匹の「ネコモドキ」を見つけ、保健所の人に引き渡す。
 ネコカフェでネコパーティに参加する。

●場所
 一般的なカフェ。その奥にネコと触れ合えるスペースを特別に取った「ネコカフェ」です。
 中にはネコ100匹とネコモドキ5匹、計105匹います。シナリオ中では店内を自由に動き回ります。鑑別時は上手く仕分けておかないと延々鑑別する羽目になるかもしれません。
 ネコの餌のような「ネコを飼っている家なら大抵あるもの」はありますが、高級ペットフードやマタタビのようなものはありません。

●ネコモドキについて
 ミタ・メ・ネコなサムシング。何かの生物がネコの外見そっくりに進化したものです。
 見た目ではネコの触れ合い経験豊富な人達をも欺くくらいそっくりですが以下の特徴を持っています。

・ネコアレルギーによく似た「ネコモドキアレルギー」を引き起こします。このアレルギーはイレギュラーズにも症状は出ますが、くしゃみ程度で済みます。重篤化はしません。
・一般的に、ネコが好きなものは苦手。逆にネコが苦手なものを好む。一例をあげると、フレーメン反応はしません。
・攻撃性については普通のネコと同じです。ネコパンチとか爪でひっかくとかあるかもしれません。

 いくつかの道具や非戦スキルを組み合わせることで特定することができるでしょう。
 特定した後の処理は保健所(ポルックスはほべんじょって勘違いしてます)にお願いしましょう。倒してもいいけど……見た目ネコだよ?

●ネコパーティについて
 文字通りネコと気軽に触れ合えるパーティです。時期的にハロウィン仕様ですが限定仕様なのは人間用のメニュー位。
 派手な仮装はネコが怯えるので禁止ですが、それではハロウィンぽくないということでネコ耳の装着必須です。既に何らかのケモ耳がある人は免除されます。

 プレイング次第で鑑別に重きを置くか、ネコパーティに重きを置くかが変わってきます。
 皆様の愛に満ちたプレイングをお待ちしております。

  • にゃんにゃんパーティ大ピンチ?完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月05日 21時35分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

六車・焔珠(p3p002320)
祈祷鬼姫
錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
アオ(p3p007136)
忘却の彼方
回言 世界(p3p007315)
狂言回し

リプレイ

●闖入者を探し出せ
「わあ……!」
 玄関を開けた途端迎えてくれるネコ、ネコ。『忘却の彼方』アオ(p3p007136)にとってはその空間は天国にも見えただろう。
「かわいい……」
『祈祷鬼姫』六車・焔珠(p3p002320)もまた、その楽園にも似た光景に思わず感嘆せざるを得ない。その横で、『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)の表情は冴えない。
「エゴだよね。害になる生物を排除するしか能がないなんて」
 皮肉の一つも言いたくなる。ただ人体に有害であるという理由で排除するそのエゴに。
「だが、少なくても今は『そういう依頼』だ」
『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)が制するように呟く言葉にルフナは「わかってるよ」と拗ねたように答えた。

「くちゅん!」
 可愛いくしゃみをしながらもルフナがカフェスペース内の椅子や机を移動して二つに分割する。その間に緋狐を頭に載せたアオと焔珠、そして世界が片方のスペースに全てのネコとネコモドキを運んでいく。
 運び終えたところでアオが餌を持ってきた。
「ほら、どうぞ」
餌をネコ達が平らげるのを待ってから、半分に区切ったもう片方のスペースに運んでいく。緋狐の先導で、或いはアオの優しい運搬で次々と満腹になったネコ達が運ばれていく。
 一方、世界はねこじゃらしでネコ達の相手をしていた。ちょっと前に出しては後ろに下げ、あっちに行ったりこっちに行ったり。それだけでネコ達は面白いように反応し、飛び掛かってくる。反応を示したネコはアオと同じくもう半分のスペースに連行される。
「えいっ!」
 焔珠はというとネコが苦手とする水をピッとネコの顔にかけた。驚いたネコ達が一目散に逃げだす。バタバタしつつも焔珠は逃げ惑うネコ達を的確に捕まえ、空いたスペースに連れていく。
 3人が次々と追い込み、或いは入れてきたネコがネコモドキでないか最後の確認をするのはルフナの役目だ。1匹ごとにフレーメン反応を起こすか、或いは尻尾の付け根をトントンと叩いて反応を確かめたりしている。
「そっか、嬉しいか。よかったな」
 尻尾の付け根を叩くと割とネコが喜ぶ。そんな光景を見ているルフナの顔は緩んでいるのだが、本人も周りの3人もそんなことに気付かない。
 やがて餌にも反応を示さず、水を嫌がらず、ねこじゃらしも無視するネコが10匹程残った。
「よし、それなら奥の手だ」
 世界がポケットから取り出したのは、予め用意したマタタビの粉末。その瞬間、5匹が一斉に逃げ出した。
「あの仔、達だ」
 アオが指摘するのと、焔珠がその内の1匹を捕まえに駆け寄ったのがほぼ同時だった。
「いたっ!」
 ネコモドキの前脚フックが焔珠の足にヒットする。一方でアオが抱き抱えたネコモドキは暴れずに、潤んだ眼をアオに向けてくる。
 性格も体躯もバラバラな5匹を、世界が前もって準備した檻に入れる。状況が分からず、全てのネコモドキがみゃーみゃー鳴いていた。
「なんか、すごく、可哀そうだね……」
 焔珠がポツリと呟いたその言葉は、4人全員が思っていたことだった。
 その思いが最も強かったのはルフナだ。だからこそ、店長を介して保健所職員が到着した際、真っ先に問い質す。
「このネコモドキ達処分されるんだよね?」
 焔珠とアオが撫でたり戯れたりしているネコモドキを見ながら、不貞腐れたような態度を露骨に示すルフナ。防塵マスクを着けた保健所職員の一人はそんな彼女の問いに首を傾げた。
「……ん? ああ、保健所は殺処分も行いますが、この仔達は殺処分しませんよ」
 え、と世界が声を上げる。確か店長は「処分」すると言っていたはずだが、と伝えると職員は苦笑した。確かに保健所は殺処分も行いますが、と前置きして。
「それは最終手段です。引取先さえ見つかれば無益な殺生はしません」
 檻を一つ大事そうに抱え、車に載せながらこう続けた。
「この仔達は未来の為に専門の動物病院に運ばれ、そこで生きていくことになるでしょう」

●自由な隣人とのパーティー
「皆さん、本当にありがとうございました!」
 ネコモドキを引き取ってもらい、掃除を済ませた店長がパーティを開くためにと再び店に4人を招き入れた。

「てんちょー、さん。うちの子も、一緒に、遊んでいい? 良い子たちだから! 良い子たちだから!」
 店長の許可が出たのでアオはギフトで猫を呼びだす直前に、世界が彼女の額に手を触れる。
「???」
 頭に疑問符が大量に浮かんでいるアオではあったが、すぐに猫を呼び出しにかかる。そうして呼び出された猫は彼女が当初予想したより数が多く、そして元気一杯跳ね回る。
「あれ? なんか、いつもより、沢山?」
 それが世界の力で自分のギフトが僅かに強化された影響であることをアオは知らない。だがネコが増えるのは彼女にとって幸福以外の何物でもない。
 床に座るアオと緋狐の周りには、先程撒いていた餌の匂いに惹かれたネコが寄り集まり、ネコの塊を形成していく。
「ひとなつっこい……!」
 寄ってくるネコの波に感激しきりのアオ。呼び出した猫達も次第に受け入れられていったのか、ネコの輪が少しずつ小さくなっていき、やがてアオに密着するように群れる。
 右を見てもネコ、左を見ても猫。膝の上にもネコ、腕の中にもネコ。頭の上には緋狐。そして彼女の回りをうろちょろしながら甘えたり、撫でるように要求したり、何かを欲するように見つめたり。
「ここは、天国だ」
 うっとりとした表情で目の前にいるネコのお腹をなでなでしながら、アオはたまらない幸福感に包まれていた。

●ちゅーちゅーるの魔力
 一方、焔珠がネコの信頼を勝ち取るには少し時間がかかった。先程の分別時に水をかけたネコが一定数居るせいか警戒する空気が充満していたからだ。
「せっかく猫耳付けたのに……」
「よければ、これ使ってみてください。ここのネコちゃんの好物なんです」
 バイトの店員が悲しそうな焔珠に手渡したのは、おやつ代わりの「ちゅーちゅーる」なる棒状の食べ物。それを焔珠が手にした途端、ネコ達の彼女を見る目が変わった。
『にゃーにゃーにゃー!』
「きゃ! あ、ちょっと待って……きゃっ!」
 それまでの警戒心はどこへやら、大好物にありつきたいとばかりに我先に焔珠へと突進するネコ達。むしろここまで効果覿面だと思わなかった焔珠の方が面食らってしまう。
 ネコ達はちゅーちゅーるに、ついでに焔珠に群がる。ふわふわの毛並みが頬を撫で、肉球が太腿の上に触れる。どちらもくすぐったいのだけれど、我が物顔で進軍するその仕草は一切の嘘偽りなくただ可愛い。
 そうして焔珠はネコ達にもみくちゃにされながらもネコ達の信頼を得ることに成功した。持っていたお手玉にゃんこをネコ達の塊の中に放り投げると、最初は警戒するようにちょいちょいと突きまわし、やがて数匹のネコがそれを転がしては追っかける。その内に自分の尻尾に反応してその場をぐるぐる回るドジっ仔まで現れ、焔珠も笑顔で懐いてきたネコを膝に抱えつつその光景を見ていた。

●理想の未来
 ルフナも猫は大好きだ。今も寄ってくるネコ達とねこじゃらしで遊んでいる。だがその心中は引き取られていったネコモドキ達の事が気になり、ねこじゃらしの動きもどこか鈍い。
 緩慢な動きに不満気な最後のネコが去ってしまうと、代わりに店長が彼の元にやってきた。ルフナは彼を見ようともしない。
「ネコモドキ達が気になりますか?」
考えを見透かされ、不承不承ながらも頷いた彼に店長はボスネコと紹介してそれを渡した。大きさもさることながら、その毛並みはもっふもふである。重い。
「あの仔達も、このネコと同じ姿をしていた」
「はい」
「でも処分しようとした」
「はい」
「どうして?」
 問わずにはいられなかった。それなりに理由について理解しているつもりではあるけれど。
「まだ、彼等と我々は一緒に生活できないからです。でもそれは、障壁さえ取り除かれれば手を取り合う未来も存在しうる、ということでもあります」
「……来るのかな、そんな日が」
 初めてルフナが店長の横顔に目をやった。彼は少しだけ笑って、こう言った。
「私は来ればいいなと思ってます。同じことを思っている人も一杯いると思いますよ」
 ルフナは視線を落とすと、ボスネコの顎を撫でた。満足気な表情に、さっき捕まえた仔ネコモドキの姿が被る。
「……お前もそう思うのか?」
 なぁ~ご、とネコが鳴いた。ルフナの表情がふっと和らぐ。

●受難
 ネコ派が3人いる中で、世界だけは犬派だった。故に最初は保健所まで行ってネコモドキの世話をしようかとも考えたが、何処に連れていかれたのかもわからない。仕方なく、カフェスペースで珈琲を飲んで一服していた。
 ここで一つ思い出してほしい。先程世界はポケットからマタタビを取り出した。その匂いを人間より遥かに優れた嗅覚を持つネコが嗅ぎ逃す筈もなく、ついでに言えばネコが世界を嫌う理由もなく。
 つまり。
「うわっ! な、なんだお前ら?」
 カフェスペースに侵入したネコ達がマタタビに誘き寄せられる。どこか陶酔したような動きで、匂いの発生源である世界の元へと向かってくる。大半は愛くるしい表情を崩していないが、その中に何匹か胡乱な目をしたやべー奴がいる。
じり、とネコが一歩近づく。世界は椅子から立ち上がって一歩引く。
 そんな攻防? を繰り返し、世界は壁にぶつかった。後がない。
 ネコ達はその隙を見逃さず、一斉にマタタビの匂いがする世界へと突撃する!
「わ、ちょ、待て……あっ!」
 足をもつれさせて転んだ世界に、マタタビの匂いを求めてネコ達が猛アタック!
 彼の事などお構いなしにマタタビの匂いを嗅いでは上機嫌に跳ね回り、踊るのだ。世界を踏み台にして。
 結局それは異変に気付いた従業員に助け起こされるまで続き、この一件で世界は犬派へと増々傾いたというが、それはまた別の話。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM