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シナリオ詳細

影の辻斬りを始末せよ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ネオ・フロンティア海洋王国
 現状、この国の港町で、ちょっとした事件が起こっている。
 なんでも、夜になると辻斬りが出現し、街の人達が斬られるといった事例が何件も起きているのだとか。
 その犯人の手口を見るにとある辻斬りを思わせる切り傷であったのだが、彼はすでに命を落としており、犯行は不可能だった。
 ならば、模倣犯かとも考えたのだが、それも違う。
 事件現場をいくつも確認をするに、犯行を行ったと思われる者の証言があまりに乏しすぎるのだ。
 目撃者すらもほとんどいない事件。
 しばらく、街の人達は辻斬りに怯え、夜に出歩く者はほとんど減ってしまった。
 その事件解決を願うべく、街の人々はローレットへと依頼を持ちかけるに至ったのである。


 ローレットに張り出された港町の辻斬り事件の解決依頼。
 興味を抱いたイレギュラーズへと、『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)が親しげに語り掛けた。
「その依頼、受けてくれるのかい?」
 切れ長の目を細め、彼女は嬉しそうに説明を始める。

 夜の港町に現れる辻斬り。
 それらは犯行現場に突如現れ、町の住人を無差別に切り裂き、そして消えてしまうという。
「この依頼について、アタシもちと調べていたんだ」
 さすがに海洋で同族が傷つけられているとなれば、オリヴィアも黙ってはいられない。
 このしばらく、彼女は事件について調査を続けていたのだが、奇妙な点から犯人の割り出しに成功したという。
「その犯人、現場以外での行動した跡がほとんどなかったのさ」
 犯人が人であれば、犯行に至るまで、そして犯行後に逃げるなどする跡が必ず残る。
 今回などは人が傷つき、血を流している。
 だが、その返り血、切った血の跡すらも残さず消えているのはあまりにも不可解すぎた。
「どうやら、斬られた人間の証言からも間違いない。切ったのは影のようだよ」
 辻斬りの影が意志を持ってひとりでに動き出し、血を求めて港町を徘徊しているというのが事件の原因らしい。
 しかも、その影は3つも存在している。
 よほど血に飢えていたらしく、切った人間の血を残らず吸い取って消えてしまっているらしい。
「吸血鬼かってんだい。まったく……」
 ともあれ、危険なこの影、早めに討伐せねばならない。

 影の魔物が現れるのは夜。
 宵の口から姿を見せるようなので、誰かが囮となって薄暗い裏通りなどを通れば誘い出すのは容易だろう。
「もちろん、被害が出ないよう人払いは必須だな」
 戦いのときだけは影も人型をとる。
 地面に張り付く状態となれば追うのは難しいが、光を照り付けながら地面に張り付く影を攻撃することは可能だ。
 確実にこの場で倒し、次の被害が出ないようにしたい。
「以上だ。……依頼が終わったら、酒盛りしたいな」
 とはいえ、参加するイレギュラーズだけで楽しむなら問題ないとのこと。その辺りは皆に任せるそうだ。
 港町の人々を安心させる為に。
 イレギュラーズ達は一路、海洋を目指すことになるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
 海洋に現れた辻斬り。
 魔種かと思いきや、どうやら人を象った魔物のようです。
 危険な相手ですので、討伐を願います。

●敵……魔物
◎影の辻斬り×3体
 どうやら実在していた辻斬りの影が具現化した状態で魔物となり果てたようです。
 厄介なことに、何らかの方法で3体となり、同じように攻撃してくるようです。
 基本戦闘中は人間大の人型を取り、人間と同じ動きで攻撃を行いますし、ダメージも与えられます。
 また、危機を察すれば、地面に張り付く影となって逃げだそうとしますが、光を照射しつつ地面を攻撃することでダメージを与えることは可能です。

 いずれも使用するスキルは同じです。
・斬……(A)物近単・流血・必殺
・居合……(A)物中単・移
・不意打ち……(A)物中単・崩れ
・飛刀閃……(A)神遠貫・万能
・影縛り……(A)神遠単・麻痺
・影の精神……(P)精神攻撃無効

●NPC
 オリヴィア・ミラン(p3n000011)
 希望がある場合のみ、参加します。
 戦闘なら、近~中距離から剣術での攻撃支援。
 事後の酒場では豪快にお酒を飲んでいるかと思います。

●状況
 夜になると、街中に現れた影の魔物が人々を傷つけようとしますので、この討伐を願います。

 撃破後は、酒場で宴会をどうぞ。
 未成年の飲酒描写は控えさせていただきますので、予めご了承くださいませ。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 影の辻斬りを始末せよ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月31日 22時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
リナリナ(p3p006258)
カンベエ(p3p007540)
大号令に続きし者

リプレイ


 依頼を受けたイレギュラーズ達は、海洋のとある港町へとやってくる。
「海洋……潮の匂い……うーん、苦手!!」
 オッドアイ、銀髪の狐の獣種、リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)がその場の空気を吸い込み、小さくむせる。
 快適さに慣れた練達育ちの彼女には、少しばかり港町の空気は合わない様子だ。
「海洋で名の知れた方々とご一緒できるとは光栄至極!」
 任侠を感じる黒い短髪の人間種、『名乗りの』カンベエ(p3p007540)は気合を入れる。
「名乗り口上を得意とする方も多いようだ、わしも負けるわけにはいきません!」
 重傷の身のカンベエだが、今回も海洋の民を護る為に身を張ろうと考えている。
「さて、今回の仕事は影となった辻斬りを倒す事だ」
 こちらも任侠を思わせる筋肉質の男、『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が語る。
 義弘にはどういう原理かは判らぬが、影が人を襲い、実際に怪我人が出る事態となっているらしい。
「おー、ツジギリする影! マモノの影じゃなく、影のマモノ! 影がホンタイ!!」
 原始時代からやってきた野生少女、『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)は勢いのままに感じたことを叫ぶ。
「影踏みさん♪ 踏まれたら鬼よ♪」
 小さな鮫、ポチを連れた身長3mあるホホジロザメの海種、『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)が鼻歌を歌う。
「影ですら、俺を捉えることは出来まい! ……とか言えたら、カッコいいよな!」
 お調子者の緋色の鷹の飛行種、『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)は話を聞き、そんなことを考える。
「影なぁ。ま、潜る地面ごと抉ればダメージも入るじゃろ」
 リアナルが言うように、魔物が影として地面に潜っても、うまく光を当てるなどすれば対処は攻撃は可能とのことだ。
「死んでなお、三人に分かれて通り魔とは、執念ってのはおっかないねぇ」
 ウィーディー・シードラゴンの海種、『黄昏き蒼の底』十夜 縁(p3p000099)は自分のようなか弱い海種など、あっという間に三枚におろされそうだと、気だるげに息をつく。
「しかも、夜に出るってのがなぁ……老い先短いおっさんの生き甲斐を奪わんでくれや」
 闇に乗じて襲ってくる影の魔物。
 晩に飲み歩くのが数少ない楽しみだという縁は、毒づかずにはいられない。
「しかも影なのに、血液チュウチュウの吸血鬼!!」
「影になってまで人を斬りたいか。俺には理解できないなあ」
 リナリナ曰くフシギのマモノの所業に、黒髪眼鏡の青年『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)は首を捻る。
「ともあれ、女王陛下の国へ仇なす者はこの俺が倒させてもらうよ」
「でも、フシギ影、ツジギリ条例違犯! サムラーイでも「斬り捨て御免」禁止!」
 女王の為にと海洋の事件解決に当たる史之に、今度はリナリナが大きく同意して。
「もう完全にアウト! 殺人のマモノだから死刑!!」
「元々が辻斬りだ、遠慮はいらねえ。全力でのしてやろうじゃねえか」
 とにかく倒すと闘志を燃やすリナリナに、頷く義弘もその討伐へと当たっていくのである。


 影の魔物の出現は宵の口。
 メンバーの港町到着は昼とあって、まずはできるだけ周辺住民の避難へと当たる。
「昼間の内に、人払いを済ませておかねばなりませんね!」
 カンベエは近隣住民に大勢入れそうな食事処か酒場で酒宴をするよう促し、討伐に当たる宵の口の時間帯に人通りが減るよう働きかける。
 その際、いざというときの為に、カンベエは油と火打石を購入していた。
「悪いな、店主。一杯頼む」
 義弘もまた安全確保の為にと酒場を回り、いい酒を頼んで店主に話を広めてもらう。
 仕事前ということもあり、義弘は頼んだ酒を昼間から飲んでいた客へとおごると、その男性は嬉々として応じてくれたが、昼間から飲むその男の話を他の人が聞いてくれるかは疑問だった。
 周辺住民へと呼びかけを行う史之。リナリナも人払いにと呼びかけを行っていたのだが。
「おー、リナリナ気づいたゾッ!!」
 彼女は町長に頼んで人払いの協力の助力を得ようとするが、仲間の了解を得ずして、役場に突撃してしまう。
 なお、そこはさりげなく現れた縁がバックアップ。
「俺もぱーっと飲みに行きたいんだがねぇ、そういう訳にもいかねぇのさ」
 彼は人払いを兼ね、町の人々に今夜は出歩かないよう促す。
「旦那も今日はちっといい茶菓子でも買って帰って、嫁さんと子どもにサービスしてやりな」
 縁はふらりとそのまま消えると、役場の者達も理解を示した様子。
 海洋での名声が高い者も多く、潮もその1人。
「出歩かなければ大丈夫じゃ」
 道行く人にそう諭す彼は表通りにある障害物を移動させ、戦闘しやすく影が逃走しづらい状況をつくって後の為に配慮していたようだ。
「さすがというべきかのう」
 この場は任せようと考えていたリアナルだったが、さすが海洋での知名度抜群の面々だと舌を巻いていたようである。


 その後、メンバー達は交戦準備を進めつつ、夜を待つ。
「ぎもーん! 影に攻撃当たるのか? 向こうは攻撃出来るから、こっちも殴れる?」
 リナリナは仲間達へと疑問をぶつけていく。
 彼女にとっては謎ばかりな存在の影の魔物。気になることはいっぱいあるのだ。
「奴らが逃げる際の攻撃手段、視界確保にも必要だからな」
 義弘も見回りを行いながらも、カンテラなど照明を用意し、誘き寄せの為の手はずを整える。
 その最中、リナリナは戦えばわかると納得したようで。
「光がどうとか、リナリナいまいちわからない! でも、殴れればどうにかなる! できる!」
 自らの剣「掘り出し物」を振るい、彼女は影を切るシミュレーションを行っていたようだ。
 囮役となるのはカイトだ。
 予め誘い出す場所から直行できそうな道を潮から聞き、シャイニーランプを持つカイトは薄暗い通りを1人で歩いていた。
 人気がなくなり、静まり返る道に彼の足音と声が響く。
「かーらーすー、ふふふふふーん、からすはうーみーにー」
 鼻歌を歌う彼は潮風を感じつつランタンをくるくる回し、上機嫌に探索に当たる。
 この風から、今夜は晴天だなとギフト「風読みの羽」で感じ取ってしまうカイト。一応は警戒する彼は、センスフラグを感じて時折振り返った。
 すると、幾度目かで背後に複数の怪しげな人間を象った影の姿が。
「ピィ!」
 驚いた振りをして、低空飛行するカイト。
 予め通りには邪魔な障害物はなくなっており、カイトはスムーズに滑空して移動していく。
 一方で、音すら立てずに彼を追う影達は刃を飛ばし、影縛りで彼を捉えようとする。
 ただ、機動力の高いカイトだ。その差はなかなか縮まらず、街灯が設置された付近で、照明を用意した他メンバー達が隠れて待っていた表通りへと合流して。
「来ました! さすがですね」
 時期的に少しずつ冷えてくる時節。暗い色の羽織を纏ったカンベエが叫ぶ。
 誘い込みの成功を信じて待っていた彼はすぐ、カイトと影の間へと入っていく。
 史之もまた、同様にカイトを狙う影達の前に立ちはだかる。
 住民の避難はほぼ完了しているが、念の為にとの配慮だ。
「むぅ、アレが影だなっ! フシギの影!」
 奇妙な3つの影。一応、リナリナ含め、皆、その姿は立体に見えているらしい。
「オリヴィア、無理は禁物じゃ」
「ああ、任せときな!」
 メンバーに合流した『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)が微笑み、刃を抜く。
「見に行くまでもなかったの」
 潮は自らの生命力を使って仲間の強化に当たりつつ、その仲間と共に影との交戦を開始するのである。


 情報通り、現れた人型の影の魔物は3体。
 刀を手に近づいてくるそれらの内1体に対し、カイトは大きな緋色の翼を開き、爆破を伴う羽根を飛ばしていく。
 赤い爆風を浴びた1体がカイトへと近づき、影の刀で切りかかってくる。
「忠義を立てるは海洋王国。この国で人斬りの悪魔を見過ごす道理無し!」
 他2体に対しては、カンベエが名乗りを上げて。
「直斬るはカンベエ! ワシが名乗りのカンベエで御座います!」
 彼はしっかりと防御態勢をとり、仲間達のカバーへと当たっていた。
 抵抗力も低くはない敵を確実に引きつけるとはいかないが、出来る限りカンベエは相手を引きつけ、仲間を護る。
「護剣の本懐、お見せいたしましょう」
 その後ろ、気だるげな態度で縁も敵の引きつけに当たる。
「面倒だが、これも酒の為だ」
 いつもよりは少しだけ働く素振りを魅せる縁は、まるで風のごとく影の態勢を崩す。
 仲間達がうまく相手の気を引いていたのを見て、史之は前線で腕時計型の理力障壁発生装置を発動する。
 収束した赤い光がラウンドシールド状の障壁を形成し、眼力で影の動きを見定めた史之。
 敵の斬撃を障壁で受け止めた彼は膂力を活かして影へと突撃し、障壁で体当たりを食らわせた。
 敵がさほどバラけていない状況もあり、義弘は己の腕を伸ばして回転し、暴風域を作り出して影の体を引き裂こうとしていく。
 ただ、仲間達が近づけば巻き込む恐れがあると考え、義弘も次からは個別に狙いを定めていたようだ。
「とりあえず一発! とにかく一発入れる!」
 背負式のジェットパックで浮遊し、戦場を立体的に動くリナリナは、見定めた敵へと斬りかかっていく。
 さらに、「練達式魔導三輪バイク」に跨ったリアナルが一気呵成に電撃戦を仕掛けて。
「失敗することは考えず、確実に発動する様にね」
 恐れることなく突撃するリアナルは、カイトの抑える1体目がけて灰色の魔力を飛ばし、慈悲なき一矢で影を射抜いていく。
 相手の意識はカイトに向いている事もあり、リアナルは一撃を食らうまではと更なる速攻攻撃を仕掛けていく。
「やるじゃないか」
 そんなイレギュラーズ達の攻めに血が騒いだのか、オリヴィアも嬉々として切りかかっていく。
 そのすぐ横で、潮は背中へとポチが避難したのを確認しつつ、抑えに当たるメンバー達の為を小さな幸運をもたらす霊的因子で包み込む。
「焦らず、行くのじゃ」
 仲間へと呼び掛ける潮。
 ただ、攻撃役メンバー達の攻勢はかなり激しく。
「影なら灯り、炎に弱いだろ! 消えちまえッ!」
 カイトは自らの羽と炎を合わせ、火災旋風を引き起こして影どもを薙ぎ払う。
 思わぬ反撃を受けた敵は怯み、態勢を立て直しながらもイレギュラーズ達へと切りかかってくるのである。


 元々、辻斬りの影であるこの魔物達は、その姿を使った奇襲を最も得意とする敵だ。
 その対策を先にイレギュラーズ達へと打たれてしまったことで、影達は劣勢となるが、その攻撃力は今なお健在。
「やはり、辻斬りの影とあって、攻撃が鋭いな」
 その一撃は脅威と義弘も感じ取る。
 逃げられぬよう立ち回りながらもメンバー達は影を抑えこみ、攻め立てていく。
 影の向きは一見するとわかりづらくもあるが、骨格は元の人間と同じこともあり、前後ろの区別がつかないことはない。
 戦乙女の加護をその身に纏ったカイトは槍を手にし、一気に攻め立てる。
 相手は影ではあるが、その急所が元となった人間と同じであればまだ組みやすい相手。
 槍の矛先が影の胸部を貫くと、その影はどろりと溶けるようにこの場から消え去っていった。

 影が立ち位置を変え、照明から逃れようとすれば、回復に当たる潮が自らの体を発行して敵の姿を浮き上がらせる。
「ホタルザメじゃよ」
 そうして、潮はさらに仲間の支援強化も怠らない。
 ちなみに、彼の背後のポチはしっかりとおめめを塞ぐように動いており、なんとも可愛らしい。
 さて、残る影2体はカンベエと縁が抑えに当たっており、それぞれに他メンバーの攻撃が分散する形だ。
 戦場を飛び回るリナリナは、しっかりと剣で切りかかって手応えを感じる。
「るら~! フシギ影アウト!!」
 リナリナは力任せに何もない空間へと切りかかると、なぜかその前の敵の身体が切り裂かれてしまう。
 そのタイミング、我を取り戻したのか、影はリナリナ目がけて居合で反撃を仕掛けてくる。
 気を抜けば、一太刀が非常に怖い相手。
 リナリナも再生能力で体力を維持していなかったら、一撃で持っていかれていたかもしれない。
 こちらはバイクで戦場を走り回るリアナル。
 さすがに戦いが進めば敵に近寄られて傷を負ってしまう。
 無傷とはいかぬ為、リアナルも戦法を変えて立ち回る。
「魔物であり、血を好んでいると言う性質上、恐らく温度視覚も有効じゃろう」
 そう考え、彼女は熱源を色彩によって敵の位置を把握し、敵を逃さぬチェックする。
 丁度、敵2体が近場にいることを確認すれば、リアナルは半身装着型練達式殲滅機導弓「マナースター」から鋼の驟雨を影だけに浴びせかけていく。
 それによって、態勢を崩した敵へと縁が正面から拳を叩き込んでねじ伏せようとすると、相手をカンテラで照らす義弘が迫って。
 自らの体力と引き換えに、彼は影の魔物へと髑髏の呪いを刻み込む。
 それを受けた敵はしばらく苦しみ悶えていたが、やがて力尽きたのか、先程の影と同様に姿を崩して消えてしまった。
「これで今夜の飲み代分くらいの働きにはなっただろ。そんじゃ、後は任せたぜ」
 縁は自らの相手にしていた敵がいなくなったことで、戦線から身を引く。
 一方で、残る敵は自分だけとなったことで、危機を察し、この場から逃れようと地面と同化するように本来の影の姿をとる。
「逃がすと?」
 それまで抑えに当たっていたカンベエは仲間の助けを得て敵を追うが、思ったより敵は速く光から逃れようとしていた。
 その為、カンベエは自らの上着に油をかけて火打石を叩き、燃え上がらせる。
「わしの心に比べれば、なんと頼りない炎か。この身を焼くことしかできぬか」
 その炎に照らし出された敵を、他メンバー達が照明で照らし出す。
「猛禽類から逃げられると思うなよ! 海風のあるここは、俺のテリトリーだ!」
 素早く飛ぶカイトが敵を追跡し、火災旋風を巻き起こして影の魔物を燃やそうとする。
 それでも、しぶとく逃げようとする敵へと史之が迫って。
「いざ自分が不利となったら逃げるか、人斬りの風上にも置けない卑怯者め」
 仲間との距離に気を付け、史之は自分を中心にドーム状に斥力を発生させた。
「おまえのようなやつらを負け犬と呼ぶんだ!」
 その中を荒れ狂うプラズマが影の体にも駆け巡る。
 大きく波打つように影は変形していたが、やがて体力が尽きたのか、蒸発するように消えてしまったのだった。


 影の魔物達を討伐すると、人が集まっていた酒場は大盛り上がりでイレギュラーズ達を迎えてくれる。
「よお、お疲れ様!」
「さすがはローレット様だぜ!」
 海の男達は豪快に酔っており、上機嫌にメンバー達を迎えてくれた。
「わーい、宴会だー」
 史之は早速、仲間の為にと酒場の従業員が料理を作る手伝いを行う。
「こうみえても海鮮居酒屋でバイトしてるんだよ。ふふん」
 胸を張る彼は従業員が驚く手際の良さでおつくりの盛り合わせを作ってみせる。
「身が緩まないよう、手早く調理しなきゃいけないのが腕の見せ所だよね」
「おおー!」
 ご馳走に目を輝かせるリナリナ。
 史之はさらに、冷ややっこのアラ汁かけ、叩きキュウリなど、一品料理を作っていた。

 準備も整い、皆、卓を囲んで。
 この場は史之が乾杯の音頭をとる。未成年の彼はウーロン茶を手にして。
「おつかれさまー!」
「「かんぱーい!!」」
 依頼の成功を祝して、杯を交わし合うメンバー達。
「終わった後の冷えた茶は最高で御座います!」
 嬉しそうに口にするカンベエ。
 そこで、昼間回った家に安全を伝えてきた潮が戻って。
「お、ポチは何を食べておるのじゃ?」
 小さな鮫のポチはイカやカニを美味しそうに口にしており、潮も一緒になって食べ始めていた。
 リアナルはバイクを持ち込んでいた為、未成年メンバーに合わせて烏龍茶。
「飲酒運転はダメ絶対」
 そう語って食事をとる彼女だが、1人だけ飲まないのも気が引けていて。
「あまりものでもいいから、海洋の酒はあまり飲んだことないから飲みたいんじゃよ」
 持ち帰りをと頼むリアナルだが、そのまま持たせるわけにもいかぬ為、後日幻想のローレットへと彼女宛に送っておくとのことだ。
「ようやく酒にありつけるな」
 義弘は仕事上がりの酒を楽しむ。ビールだけでなく、ワインに清酒と口にする。その味わいは最高だ。
「おい、おまえさん方、呑まれるなよ」
 そばでは、縁が心置きなくオリヴィアと酒を酌み交わし、飲み比べを始めていた。
 さらに、宴の席を、カイトが騒いで盛り上げる。
「宴だ、ひゃっほーい! 船乗りとして、やっぱ酒場だよな!」
 とはいうものの、未成年のカイトが飲んでいたのは、リンゴ風味の子供ビールだ。
 さらに、従業員達が持ってきた唐揚げや手羽先をカイトが口にする。
 そんな彼の姿は、仲間だけでなく、客からも注目が集まって。
「……共食いじゃないぞ!? 俺は食材でもないぞ!!?」
 しかしながら、しっかりと食材適正まで持っている彼に、周囲からは大爆笑が巻き起こるのだった。

成否

成功

MVP

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
MVPは囮役を買って出た食材適応付きのあなたへ。
今回はご参加、ありがとうございました!

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