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シナリオ詳細

<物語の娘>ワンダー・ワンダー・ワンダー
<物語の娘>ワンダー・ワンダー・ワンダー

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ある物語に一人の女の子が居ました。
 彼女には名前は付かず、後に主人公(アリス)と呼ばれる事となりました。
 彼女は物語の登場人物。
 誰もが愛するはずの、素敵な女の子。青いエプロンドレスにブロンドの髪。
 長い睫に縁どられた瞳は何時だって夢見がち。

 黄金色の昼下がり、ついつい転寝をしてしまった彼女は眼が醒めれば時計を抱えた兎が慌てて走っていくのを見ました。
 それを追い掛け、兎が潜った穴へと入り込めば、そこは長い長い穴でした。
 永遠とさえ思えるような。底の見えない穴。
 ふわりふわりと何処までも落ちていくようだから彼女はまるで底なし沼だわと口にします。
 なんたって、なんたって、周りは様々な扉があるのに床が見えないのです。
 羽の様にふわり、ふわり。ただ、ただ、落ちていく。
 そうして、到達するのは不思議なテーブルの前でした。 

 可愛い可愛い素敵な主人公・特異運命座標(アリス)達。

 ――さあ、この世界いらっしゃい?


「……『黄金色の昼下がり』っていう、小世界」
 そう『境界図書館館長』クレカ(p3n000118)は告げた。感情に乏しく人形然とした彼女は一冊の本を手にしている。
 それが彼女が口にした一つの世界なのであろう。

 ――黄金色の昼下がり。

 そう名付けられた世界は表紙に愛らしいキノコのイラストが飾られ、メルヘンチックな雰囲気を思わせる。
「この世界の中で、世界は『ワンダーランド』って呼ばれてる。
 ……どうしてって、住民たちがそうだって、言い張る」
 その世界の中では一つの大国があるらしい。大国ひとつが丸まる世界ではあるが住民たちはこぞってその国をワンダーランドと呼んでいる。
 木々が生き物になったかのような存在や二足歩行の兎に巨大な芋虫。果ては喋るパンケーキなど不思議で愉快な仲間達が何でもござれと暮らしている。
 それだけならば、数々の異世界と何ら違いもない。
 それだけならば、カストルやポルックスの案内を受けて異世界を覗き見る事だってできた。

 クレカがこの本を手にしたのは一つの違和感を感じたからだ。
「……これ。『混沌に肯定』されてない筈なのに、不思議」
 首を傾げる。彼女の感じた違和感は確かなものなのか、背後でその様子を眺めていた双子の境界案内人も頷いた。
「「何かが欠けてる」」
 ――ピースが足りないとでもいうのか。違和感の範疇だというが、双子のその言葉に確信めいてクレカは「そう」と返した。
「この世界に干渉してこよう。この世界の事を、特異運命座標(わたしたち)は知らな過ぎる」
 クレカは、確かめる様に言った。双子の境界案内人はクレカの手を取りにっこりと笑う。
「うんうん、そうだね。一冊の本(せかい)の上辺だけじゃ何も分からない。冒険してきてもらおうよ」
「それがいいだろうね。この本(せかい)の事を知った上で調査しよう」
 その為に『黄金色の昼下がり』――ワンダーランドへ赴いて欲しい。
 先ずは? そう、先ずはこの世界に介入するべく『異世界の扉の鍵』を開けてこよう。

 この世界は三人の云う通り『違和感』があった。世界が来訪者をわざと絞っているのだという。
 まずはその世界に赴く為に『入り口のカギ』を開けてきてほしい。
 兎を追い掛け穴を潜り、長い長い穴を落ち――そして、最後、落ち切った後の扉の鍵を開けて欲しい。
 ワンダーランドの通用門。その扉を開いておけば誰だって出入りが自由になる筈なのだという。
 ――さあ、不思議の国へいらっしゃい?

GMコメント

 夏あかねです。ふんわりしてますが鍵を開けるのは重要ミッションですよ!
 当シナリオについては以下をご覧ください。

●境界
 当シナリオは【ライブノベル】と同等のリソースを得られます。
 ※区分は通常シナリオになる為、参加本数は1本として数えられます。

●目的
 ワンダーランドの通用門の鍵を開ける。

●ワンダーランド
 世界の名前は『黄金色の昼下がり』。住民たちはワンダーランドと呼びます。
 メルヘンでカラフルな『おもちゃ箱』の様な場所が『ワンダーランド』です。
 しかし、ワンダーランドの入り口のカギは固く閉ざされています。兎を追い掛けて穴へ飛び込み通用門の鍵を開けましょう。

 皆さんの身長よりもさらにさらに高い位置に鍵がべったりとテープで張り付いています。
 足元には『eat me』の札がついたクッキーが入った硝子箱があり、テーブルの上には『drink me』の札のついた薬の小瓶があります。
 それぞれの効果は不明ですが、クレカは「どこかの物語でクッキーを食べれば大きくなるし、薬を飲めば小さくなる」と告げました。
 鍵で扉を開けてワンダーランドに到着すれば本依頼は成功です。

 扉を開けた後に少しだけはワンダーランドの冒険が出来ます。
 面白おかしい喋る茸や芋虫さん、ハンプティダンプティさんなどなど……お花畑をお散歩する事だってできます。
 あなたたちは『主人公(アリス)』と呼ばれるでしょう!
 ああ、けれど、今回はあくまで鍵を開けるだけ……あまり遠くには行けませんので注意してくださいね。

★サンプルプレイング1:月原亮の場合
 黄金色の昼下がり?そういう世界があるんだな。
 とりあえず、クレカ達の言葉に従って異世界に行ってみる。なんか眠たい……けど、目を開ければ時計兎が走ってる。
 あ、待て!穴に飛び込むんなら俺も一緒に行く!
 飛び込んだはいいけど、俺は飛ぶこともできないし、ただ落ちるだけ。
 いや、なんか飛ぶってこんな感じなのかな?身体が凄い羽みたいにふわふわしてる!
 そのまま落ちていってから一緒に来た奴らに誰がクッキー食べるか相談してみよう。
 クレカが言ってた通りなら体が大きくなって、鍵に手が届くかもしれない。飛べる奴なら必要ないのかな?いや、テープ頑丈そうだなあ。
 俺がクッキーを喰う?いや……その、なんかこえーじゃん。誰が一緒に食べてよ。



 サンプルプレイングを用意してみました。
 ライブノベルではプレイングもSSリクエストやイベントシナリオのものと同様で構わないのです。
 つまり、当シナリオもそれと同じくという『ライブノベル』と同じ特殊ルールで運用されます。
 さあ、ワンダーランドへ行ってらっしゃい。

 扉の鍵を開ければ――?
 そう、新しい物語が始まるかもしれません!

  • <物語の娘>ワンダー・ワンダー・ワンダー完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年10月31日 22時40分
  • 参加人数 6/6人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
疾風蒼嵐
ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)
ふわふわ鹿の
村昌 美弥妃(p3p005148)
不運な幸運
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
戮(p3p007646)
乳白の虹

リプレイ


 物語の中では何時だって主人公が存在した。
 けど、<主人公>なんて書かれては困るでしょ? 何でって――?
 そりゃあ『名前がないと呼びかけられない』からさ!
 だから、君達は今日から『主人公(アリス)』になるのさ。さあ、僕らのアリス! 冒険へ行こうじゃないか!


「なるほどなるほどぉ? 流れ的にはワタシの知っているアリスみたいデスねぇ?
 ふふふ、これは楽しいデスねぇ♪ 正直なところは兎を捕まえてしまったらどうなるか気になりマスけれどぉ……」
 唇に指先宛ててうっとりとした調子で『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)は言った。
 転寝から覚醒して、前を走る兎の尾っぽを視線で追いかける。物語の中では、主人公は『兎を追い掛ける』ものだと相場は決まっているけれど、忙しなく走る兎を捕まえたならばどうなるかなんて興味本位に他ならない。ましてや、そう、美弥妃が『知っているアリス』と言った様に模倣された物語は世界中に拡散され旅人や純種の中でも『どういう事か細部は違えど共通の物語として存在している』のだ。
「知っている……知っている……私はよーく知っている。世界中で愛された……不思議の国の物語」
 時計を抱えて背広を着た白兎が穴に飛び込んで「遅刻しちゃう」と叫んでいるその場面。
『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)はよく知っていた。
 なんたって、その物語はどこででも愛されているのだ。不思議の国のご招待? しかも、『異世界』――本の世界? そんな事を言われて物語に憧れるハッピーの心が躍り出さない筈がないだろう!
「この世界によく似てる……不思議で素敵で無敵な世界……。
 輝石のように煌めいた……奇跡が重なる少女の軌跡。霧の向こうの霧笛のように……ぼんやりしてはいるけれど……そのお話を覚えてる」
「物語ではぁ、白兎を追い掛けて穴に入るんデスよねぇ。
 折角デスからねぇ、ちゃんと王道通りに追いかけるだけにしましょー♪」
 そう。もう今の時点で穴に飛び込んで今すぐに世界を冒険したい衝動に駆られているのだが、クレカや双子たちのオーダーは『この世界に歓迎されてきて欲しい』との事だ。
「その物語は有名なん……?」
『乳白の虹』戮(p3p007646) がこてんと首を傾げたそれにハッピーが食いつかん勢いで「凄く有名!」と謳う様に言った。美弥妃の解説を聞きながら戮はむ、と唇を尖らせる。
「時計を持った白いうさぎが二本足で走っているのもそうやけど……うさぎって二足歩行やったっけ……?」
「二足歩行ではない筈……『ワンダーランド』ね……不思議な世界ってだけあってそういう事もあるんだろう……とりあえず行ってみよう」
 不思議そうな表情の戮は『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)の言葉に「黄金色の昼下がり」と小さく呟いた。異世界は混沌世界と違い『そういうもの』で全てが納得されるのだろう。
 俄然張り切るハッピーを見ながら、『黄金色の昼下がり』に適性のありそうな幽霊がいるとサイズは小さくぼやく。
「ふふ。こんなに穏やかで素敵な場所に適性があるならとってもとっても素敵だわ。
『黄金色の昼下がり』。とってものどかだもの。きっと楽しいわ。めいっぱい、冒険しましょう」
 踊るような声音で『ふわふわ鹿の』ポシェティケト・フルートゥフル(p3p001802)はにんまりと笑った。
「お昼寝するのも心地いいもんね。
 『黄金色の昼下がり』かぁ……知らない世界って、それだけでわくわくしちゃうよね!!」
 一つ伸びをした『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)はポシェティケトににんまりと笑ってから「あ!」と声を上げた。
「なんだかお洒落なうさぎさんが走ってる!! 待ってよ! 私も行く!
 不思議な世界に連れて行ってほしいんだ!! ―――って、わ、わわわ!?」
 そう、美弥妃が言っていた『主人公は兎を追い掛けるもの』なのだ。シャルレィスが知ってか知らずか新たな冒険の気配に誘われて飛び込んだ一歩。
 それを追い掛けるよ王にポシェティケトが「一番最初にウサギと一緒に落ちるのよね。えいっ」と笑みを浮かべて穴へと落ちる。
 落ちる――

 落ちる――

 落ちる――

 どこまでも、ぐんぐんと。それがこの世界の『はじまり』。特異運命座標(アリス)を受け入れる第一歩。


 穴の中に飛び込んだ仲間達――迷うことなく飛び込んだシャルレィスやポシェティケト、そして、美弥妃――を追い掛けて、ハッピーが「キタキタキターー!」と声を張り上げる。
「うーひょぁぃぇーい!!! うさぎの穴に飛び込めおらぁー!!!!
 お姉ちゃんには内緒だゾッ!ミ☆ ……お姉ちゃんって誰やねん!」
 誰へのツッコミなのかは定かではない勢いでハッピーは勢いよく穴へと飛び込み、勢いを付けた。ギャクキャラはこういう時こそ身体を張るのだとでもいうように。
「落下するまで待ちきれねぇ! 落下までの時間はたっぷりあるからね!」
 その声が響く。穴を覗き込んだサイズが「な!?」と慌てた様にその背中を追い掛ける。躊躇しない仲間達もそうだが、兎だって何も迷うことなく一直線に落ちていった。気づけば兎は何処に行ったのか分からないが仲間達は予想外にも『ふわふわと羽根のよう』に落ちていっている。
(俺は飛行があるから不安はないけど……他の人たちは飛べないだろうし何かあれば助けないとな……)
 ゆっくりと穴へ飛び込んだサイズは信じられないものを見た。高速降下しようとするハッピーに「待て魔て!」と慌てた様に声をかけるが勢いのいい彼女はもう彼方に姿を消していた。
「って、穴!? いや、待っ、落ち……っ!?
 ……落ち、ない? 落ちてる……? 空気抵抗とか重力とかまで無視なんこの世界……?」
 ふわ、ふわと。戮の体が落ちていく。空気抵抗も重力も難しい事は何もない、メルヘンで塗り固めた不思議の世界をゆっくりとゆっくりと落ちながら戮は勢いよく飛び込んでいったハッピーを探す。
 先ほど、この世界はとても有名だと語っていた時に彼女の云っていた「どこで知ったのかは分からないけど」という言葉が戮にとっては少し気がかりであった。――思えば、自身は秘宝種で知らぬことばかりだ。
『記憶に無いという事は……私がこの物語を知ったのは……「幽霊になる前」の事』
 ――ハッピーがそう悩んだように、自身が此処に来る前に悩む事もたくさんあったのだろうか。
 ああ、けれど。懐かしいような子の感覚がなんとなく居心地悪い。誰かにあやされているような、母親の腕の中のゆりかごのような、奇妙な浮遊感が襲い続ける。
「落ちてる? 飛んでる? なんだか不思議な気分……!! このまま空を泳げちゃったりして?」
 ぐんぐんと穴を落ちながら周囲に様々な扉が見えるとシャルレィスは宙を掻く。
 流石に届かないかと重力に逆らう事無くふわふわと落ちる彼女の体は羽の様にふわりと穴を落ち続ける。
「鹿は、高いところから飛びおりるのって、得意だけれど。こんなにずっとは、はじめてよ。
 可愛いクララシュシュルカ。あとどれくらいか、妖精の目で見て来ること、できる?
 ふふ。ずっと落ちて『裏側』に出てしまったら、困るでしょう」
 くすくすと笑ったポシェティケト。お月さまのかけらみたいな金色の砂をふりまくいたずら妖精クララシュシュルカは焼きたてのパンのようなふわふわの可愛い体を揺らしている。
「まあ、教えてはくれないの? いたずらっこだわ」
 冗談めかして小さく笑えばクララシュシュルカはゆっくりとゆっくりと底の方へと降りていく。
「これが物語の王道なら、辿り着いた先は――ほら、大きなテーブルがあって『例のお部屋』に辿り着くんデスよねぇ」
 うっとりとした調子の美弥妃。スカートをひらりと揺らして着地する彼女は『私を食べて!』と主張するガラス瓶を指さした。
「ほら」
「まあ! 本当。クララシュシュルカもみえる?」
 にんまりと笑ったポシェティケト。華麗なる偶蹄類着地を見せた彼女が怪我はないかと周囲を見回せば、一番最初に到達していたハッピーが「ギャクキャラだからね!」と汗を拭う。
「それで、ここが底?」
 随分と長く落ちた気がするとサイズが上を見遣る。確かに、もう先程『穴』に飛び降りた場所は見えてはいない。
「底! うんうん! それで、物語がどう進むかというと!」
 ハッピーが楽し気に振り返ったその言葉の続きを言う様にゆっくりと美弥妃は瓶を指さした。


『eat me』って書いてあるんだから食べたらいいじゃん!
『drink me』って書いてあるんだから飲んだらいいじゃん!
 別に小瓶に《毒薬》って書いてある訳でもないんでしょ?

 にんまりとあっけらかんと言ってのけるハッピー。テーブルに張り付けられた鍵を見上げてサイズは自身のギフトで体の大きさを切り替えればいいかとうんと小さく唸った。
「けどけど、この世界は不思議だから『今の大きさ』が一番大きいかもよ? つまりは、食べろって事かもよ!」
 悪戯めいたハッピーの言葉にサイズは思わず小さく息を吐いた。確かに、1/3にサイズを変更できると言えどもクッキーを食べたハッピーには遠く及ばない。
「これってみんなが食べても大丈夫なように世界がそうやって受け入れてるってことデスかねぇ」
 ぱちりと瞬く美弥妃。誰か一人が食べて熟せばいいという訳でもなく食べたければ食べてもいいという事かとシャルレィスの瞳は煌めいた。躊躇う事無く大きく口を開いてぱくり、と食べる。
「頂きます!! クッキーだって! とっても美味しそ……じゃなくてっ!!
 扉を開ける為に必要なら冒険者として恐れてなんかいられないしね!
 えへへ。誰が最初に鍵を開けるか競争だよっ!」
「まあ! 競争なのね? 『eat me』か『drink me』
 怖がらずに飲んで、食べると、何かがおこるのならワタシはクッキーをいただきましょう。
 鹿はいつも大きいから。小さくもなってみたいけれど」
 シャルレィスはいつもは見ない世界を見れるかもしれないと小さくなった自分を想像した。普段は入れない場所に入れるかもしれないし誰かの肩に乗ったりするのもきっと楽しいのだ。
 それにポシェティケトはそうねそうねと大きく頷く。
「本来だったら確かクッキーを……これ、食べた分だけ大きくなるんでしょうかぁ?
 それとも1口でも食べたらその大きさまで大きくなるんでしょうかぁ?
 中途半端に大きくなっても鍵を取る手段はいくらでもありそうデスしぃ……どうせなら皆さんでクッキーを食べたいのがワタシの意見デスかねぇ? こう、6等分にしていっせーのせ! みたいな感じでぇ」
 折角だと振り返る美弥妃に戮は背伸びをしても届かない位置に存在するオブジェクトにあからさまなの様に置かれた薬瓶や硝子箱。そんなの、何を言いたいかなんて分かり切っていると溜息を漏らした。
 そう、つまりは冒険のオヤクソク。それを熟さなければ世界はなんとも丁寧に『歓迎してはくれない』のだ。
「どっちか食べるなり飲むなりしたらええんやろ。戮知ってんで。
 ちょっとずつ飲み食いして効果を確かめつつ鍵を入手やな」
 頂きますと口にする。ぐんぐんと身長が伸びれば気づけば鍵が手に届く位置に或る。ご丁寧に少し外しにくいようにテープで固定されたそれを器用にかりかりとはがし続ける。
「あっはっは♪ 『へんてこりんがどんどこりん』!
 大きくなってる時に泣くのは、止めた方が良い気がするぜっ!ミ☆……何でそう思うのか分からないけど!」
 きっと、それはいつかの記憶なのだというようにハッピーが笑いながら鍵をサイズへと手渡した。大きな体には余りにも小さな鍵を受け取ってじっくりと見遣ったサイズは合いかぎを作れるだろうかと見つめている。ああ、けれど、きっと魔法のカギだから覚えても使えないかもしれないなあとぼんやりと考える。
 美弥妃は「ワタシたちは本物のアリスじゃないですカラ、机を根元からボキッと出来ちゃいますケド」と小さく笑う。ポシェティケトは「まあ!」とからから笑い、小さくなる薬を口にした。
「かわいいアリス。かしこいアリス。大きい仲間、小さい仲間
 みなさんきっと、それぞれだから。それぞれうまく力を合わせて鍵を手に入れたいわね。それから扉を開かなくっては」
 ポシェティケトが鍵は何処に当て嵌まるのかしらと首を傾げる。小さく小さくなる薬を飲まなくとも小さく小さくなれるサイズがうんしょと鍵を運べば、大きな鍵穴の扉が存在している。
「ここか……」
 どうにも身を屈めないと入れない小さな小さな扉と鍵が合致してしまうようだ。
 さて、扉を開いたならば――そこは愛らしい世界が広がっていた。


「扉の先がワンダーランドなんデスねぇ。綺麗なお花畑があるなら気になりマスねぇ
 ……ん? ワタシの知っているアリスだと確かぁお花さんたちもお喋りしていたようなぁ……?」
 扉を潜った美弥妃が周囲を不思議そうに見回した。許される範囲でのんびりと散歩したいと歩き出す彼女に予想通り花々が「こんにちは」と歌い出す。
「君達が主人公(アリス)? 君達が主人公(アリス)?」
「わっ、花が喋ってる!」
 慌てるシャルレィスに美弥妃は面白いとくすりと笑った。
「扉を開けるまでが依頼だったけど……ちょっとだけならいいんだよね。
 お花もしゃべるならしゃべる猫さんとか、いたりする? いたらお話してみたい!!」
「猫だって華だって、何だって喋るさ!」
 楽し気な鼻に誘われてシャルレィスはぬいぐるみも喋りだすんだろうかと心を躍らせた。不思議に満ち溢れたワンダーランド。ハッピーはサイズを振り返り「エスコートをお願いしようかな?」とふふんと笑う。
「……エスコート?」
「そう! エスコート。何なら、世界の謎に迫って進ぜよう!」
 走りだすハッピーに引きずられる形のサイズの背を追い掛けてポシェティケトがくすりと笑う。
「鍵を開けたんですもの。
 ワンダーランドに入っても、勝手にってことにはならないわ。これで不思議の鍵を開けて、不思議の世界を冒険できるのよね」
 嬉しそうに笑うポシェティケトに「そうだよ、さあ、いらっしゃい」と謳う花々は踊りだす。
「ねえ。鹿って動物は、ご存知かしら。一緒に遊べたら楽しいのだけれど」
「鹿?」
 首を傾げた花に「そう。鹿」と自信を指さした。鹿という言葉を聞きながら戮は猫をふと思い出す。記憶にはないけれどどこかで聞いた気がするワンダーランドの響き。おかしな色の猫が居るとも聞いていた。
「猫、探しに行こ……一緒にお昼寝でもしたいなぁ……」
 戮がゆっくりと歩き出すその背を見送ってポシェティケトはスカートの裾を持ち上げにこりと笑う。

「おじゃまします、ワンダーランド。こんにちは、初めまして。ワタシ達《アリス》よ」

 さあ、いらっしゃいアリス!
 君達がワンダーランドを冒険するんだ。そして、そして、この世界をもっともっと知っておくれ。
 ああ、けれど……。そう言えばずっと居た筈の『アリス』はどこにいったのだろうね?

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ!
 ライブノベルの一節、これは『特異運命座標』の皆さんが新たに旅する異世界のお話です。
 さてさて、この世界は皆さまに様々な冒険を与えてくれることでしょう。

 是非、アリスとして冒険を楽しんでください!

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