PandoraPartyProject

シナリオ詳細

跳んでくぐって走り抜け!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●まん丸お月様
 そこはまるで童話の世界。
 自然豊かな森の入り口に、可愛らしい小さな家が立ち並ぶ。
 穏やかに流れる小川が村の中を通って、ずっと遠くまで流れて行く。
「だめぇぇぇぇ!!! かえしてー!!!!!!」
 そんな可愛くて穏やかな世界に響く泣き声。
 見れば服を着た、二足歩行のウサギが物凄い勢いで走り去っていく。
「文句があるならレースで俺に勝つんだな!」
「無理ぃ!! でもそれミミのなのー!!!」
 そのずっと後から、泣きながらぽてぽてと走る別のウサギ。
 家から出てきたウサギたちが、泣いているウサギを慰めます。
「レースで勝ったからって、好き勝手しすぎよ!」
「でも、レースに勝てなきゃあいつに文句ひとつ言えない」
「誰かあいつに勝てる人はいないかしら……」
 ウサギたちは集まって、ぐすぐすと泣き始めました。
 走り去ったあのウサギ、彼が毎日毎日、みんなが作ったお菓子を奪ってしまうのです。
 捕まえて取り返したいけど、あのウサギはとっても足が速いから、だぁれも追いつけません。
「誰か、とっても足の速い人来てくれないかなぁ……」

●障害物競走に出ませんか?
「……このままだと、誰も幸せにならない世界があるんだ」
 そう言って差し出されたのは、後ろ足で立ち上がる、服を着たウサギの絵が描かれた絵本。
「この世界ではね、速い人が偉いんだ。だから、みんなでレースをして、誰が一番速いかを決める。そして優勝した人は、みんなから尊敬される。
 ……筈だったんだけど、今一番速いのは、凄く我儘で、意地悪な子なんだよ。みんなが楽しみにしているお菓子を全部奪って一人で食べてしまうんだ。そのせいで、お菓子を楽しみにしている子たちは毎日大泣き。特に今回被害に遭った子は、誕生日ケーキを奪われてしまってね……」
 一年に一度のお楽しみ。お母さんが頑張って作ってくれたケーキだったのに、それはミミちゃんの目の前で奪われてしまった。
「だからね。君たちがレースに参加して、彼に奪われたケーキやお菓子を取り返してくれないかな? 大丈夫。君たちなら勝てるから」
 にっこり笑って本を差し出すカストルに、イレギュラーズは何とも言えない表情で本を受け取った。

NMコメント

 秋だ! 月見だ! うさぎとかけっこだ!

●成功条件
・レースチャンピオンにレースで勝つ。
・ミミちゃんの誕生日ケーキや奪われたお菓子を取り戻す。

●ウサギたち
 二足歩行する服を着た巨大ウサギ。
 耳を除いて1m前後。
 子供はもっと小さい。ミミちゃんは70㎝程。
 野菜と果物とたまのお菓子が大好き。 

●レース
 ウサギたちに伝わる由緒正しいレースです。
 大きく三つのゾーンに分かれています。
・ジャンプゾーン
 3mの壁をジャンプで越えろ!
 一回のジャンプで越えれない子は連続ジャンプ!!
 毎年「うちの子去年は〇回だったのに今年は〇回で跳べたのよ」と誰かしらのお母さんが語る。
・網抜け
 元々は穴をくぐり抜けるコーナーだったが、服が汚れるのでいつの間にか網抜けに。
 いかに引っかからずに進めるかがポイント。
・メインのかけっこコーナー!
 網を抜けたら10mほど真っ直ぐ走ってU字カーブ。その後は50mを突っ走れ!!
 網抜けからのスピードの上げ方、カーブの曲がり方、そして最後の直線でいかに速度を出すかを皆が見守っている!!

 チャンピオンは調子に乗りすぎて、やっていいこと悪いことの判断が出来ていません。
 しっかり叱って、みんなに謝って貰いましょう。

  • 跳んでくぐって走り抜け!完了
  • NM名ゆーき
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月26日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
シエラ・バレスティ(p3p000604)
バレスティ流剣士
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
フィリア・クインラン(p3p007148)
肉食ハンター

リプレイ


「本当に、ミミのケーキ取り返してくれるの……?」
 ぐすぐすと泣きながら呟くミミに、『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)が視線を合わせて優しく微笑む。
「うん。ミミちゃんのお誕生日ケーキは必ず取り戻すから安心して」
「みんなのお菓子も……?」
「みんなのお菓子もちゃんと取り返す。だからミミちゃんは俺たちを応援してくれないかな?」
 『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の言葉に、ミミは涙を拭って頷く。
 だってミミの誕生日ケーキを取り戻すと言ってくれた人たちはこんなに大きくて、とっても速そうなんだ。きっと意地悪チャンピオンに勝って、ミミの誕生日ケーキやみんなのお菓子を取り返してくれる。
「応援する。だから勝ってね?」
「あぁ、約束する。必ず俺たちが勝つよ」
 リゲルの言葉にほっとしたのか、ミミはこくこくと小さく頷く。そんなミミを見てうずうずとしているのは『青き流星』シエラ・バレスティ(p3p000604)だ。
「凄いねユーリちゃん! もふもふ可愛い天使がいっぱいだよ!」
 きらきらと目を輝かせて周囲を見るシエラに、ユーリエは小さく笑う。
「みんなもふもふで可愛いもんね。後で撫でさせてもらえないか聞いてみようか」
「うん!」

 『肉食ハンター』フィリア・クインラン(p3p007148)は軽く準備運動をしながらチャンピオンを見ていた。
 フィリア達から見たら年齢は良くわからないが、教えてもらった情報では今年17歳になったばかりで名前はキース。甘党で、家族は年老いた祖父が一人。
(甘党の不良って言う所かしら)
 そんなことを考えていると、軽装に着替えたリゲル達がスタート地点にやってくる。
「君に1つ忠告して上げるよもふもふチャンピオンくん。私達が勝つから!」
 びしっ! とキースに指を向けながらシエラが言うと、キースは小さく鼻で笑った。
「そういうセリフは勝ってから言え」
 だがそんなキースの反応にぶれるシエラではない。何故なら
「甘い。私の反応の速さはコンマ一秒でも素早くモフみを堪能する為に磨かれた絶技なのだよ」
 そう言って颯爽と宛がわれたコースに入り、クラウチングスタートの構えを取る。
 その隣のコースでは吸血鬼化して銀の髪をウサギの耳のように結んだユーリエが屈伸している。
 かけっこは得意じゃなかったけど今は違う。大切な恋人のお陰で以前はなかった力が漲っているのだ。ミミちゃんや他のみんなをがっかりさせるような結果にはさせない。
「私、速さには自信があるの。勝ってお菓子を取り戻して見せるわ!」
 不敵に笑うフィリアは、コースの全景を確認するように前を見ている。
 同じようにコースを確認したリゲルは、応援席で見守っているミミを見て小さく頷いた。
(大丈夫。俺たちは必ず勝つ)
「それでは、位置について、よーい……ドン!」
 全員がスタートラインについたのを見て、審判がレースの開始を告げた。
 その瞬間、それぞれが持てる全力で走り始めた。


 走り出した一行にまず立ちはだかるのはジャンプゾーンだ。
 高さ3mの壁は斜めになっており、降りるのは簡単だが登るのは少し時間がかかる。だがここはチャンピオンとイレギュラーズ。応援席に居る皆が驚きを隠せない速度でクリアしていく。
 まずはリゲル。事前に裸足になっていた彼は、壁までの助走の勢いを止めることなく勢い良くジャンプしたかと思うと、そのままもう大きく一度ジャンプ! 気合を入れた二度のジャンプで壁を駆け上がった。
 フィリアはリズミカルに助走をつけた跳躍で一気に飛び越える。途中バランスを崩すかと思ったが、そこは尻尾で上手くバランスを取る。その跳躍に思わず拍手をする子も。
 ユーリエは助走をつけて壁より少し手前でジャンプしたかと思うと、壁の向こう40m先目掛けて鎖を放ち、その鎖が巻き戻る勢いを利用したなんともスタイリッシュなジャンプを披露してくれた。豪快ともいえるスタイリッシュなジャンプに、みんなの口は開いたままだ。
 キースはシンプルに3回のジャンプで登る。
 シエラはそんなキースの少し後に、同じく3回のジャンプで登り切った。

 続いて網抜け。
 まずやって来たのはスタイリッシュ壁超えを披露してくれたユーリエ。さっと網を確認して潜り抜けやすい場所に目星をつける。
 縄もアイテム。即座にどこが目的に適しているか当たりを付けられるのは、普段からアイテムに関わっているからか。髪が引っ掛からないようにしながらも、小柄な体を生かしてするすると進んでいく。
 ユーリエより少しだけ遅れてきたのはフィリア。彼女も髪が引っ掛からないようにしながら、尻尾をうまく使ってぐんぐん進んでいく。
 フィリアの後に続くのはリゲルだ。髪を気にする必要のない彼は、飛び込みの如く勢いよく頭から突っ込んでいく。持前の機動力もあって、縄を抜ける頃にはユーリエたちと並んでいた。
 遅れて縄に潜り込んだキースは苛立ちを隠せなかった。
 子供の頃ならともかく、ここ数年はこんなにも引き離されることはなかった。そして何より、後ろから感じるシエラの視線が気になって仕方がない。
 舌打ちをしながら縄を抜けると、ここからが勝負だとばかりに走り出す。ぴこぴこと揺れる尻尾をシエラに見つめられながら。

 最後はメインのかけっこコーナー。
 縄を抜けた時点でユーリエ、フィリア、リゲルはほぼ同着。ここから先は、カーブの曲がり方と、その後の加速が勝負!
 ユーリエはU字カーブ半ばまで普通に走った後、今度はU字カーブの終わりに向けて鎖を放ち終点に移動する。
 再びスタイリッシュな動きを披露してくれたユーリエに拍手が起きる。予想外の反応に照れながら、ユーリエは最後の直線を全力で走り始めた。
 フィリアは縄を抜けた時点から勝負に出ていた。縄を抜けると同時に体を起こすのではなく、走りながら徐々に体を起こしていく。そうすることで風の抵抗を減らす作戦だ。
 U字カーブでは転倒しないためにも若干スピードを落とす。だが直線に入ればラストスパート。一気に加速しゴールを目指す!
 リゲルもフィリア同様に網を抜けた時点から勝負に出ていた。網から抜け勢いのままに前転し、更に勢いを増して走り出す。
 U字カーブは鍛え上げた身体を生かし内側を攻めて行く。そしてその勢いを殺さすままに、ゴールに向かって一直線!
 少し遅れたキースとシエラも最後の勝負に出る。
(くそっ! なんで、こんな奴らが……!)
 必死に足を動かすが、前を行く三人は近くなるどころか遠くなるばかり。そのことが、キースを苛立たせる。
 シエラはさり気なくキースを風除けにしながらじっとキースを見つめている。
 前を行く三人は誰もが皆、負けられないと思っていた。
 ミミを笑顔にするために。今まで悲しい思いをしてきた人たちの為に。
 その思いのままに一瞬でも早く、一歩でも前へ。
 そしてゴールテープを切ったのは……!



「俺が負けるなんて……」
 項垂れ、愕然と呟くキースにシエラが声をかける。
「仕方ないよ。あの三人はチャンピオン君に勝つことに燃えてたから」
「なんで……!」
「君はやり過ぎたんだよ。仲間からお菓子を奪って、小さい子の誕生日ケーキも奪って。私達はね、君を止めるためにやって来たんだよ」
 きりっとした表情でそう語るシエラに、キースが冷ややかな眼差しを向ける。
「それ、お前が言うか? レース中俺の後ろにピッタリくっついて、ゴール目前で何か叫びながら突進してきたお前が!」
「レースはレース。もふもふはもふもふだよ!」
 キリっとした表情で語るシエラだが、レース中彼女はキースの尻尾や後ろ姿を熱い眼差しでじっと見つめ、かけっこコーナーでは「風を突き破りてこの身よ踊れ!! 全てを置き去りにするオーバー・ザ・ピリオドオゥゥゥ!!!」と叫びながらキースを抱きしめもふもふを堪能していた。
 そう、彼女だけはキースに勝つことだけを目的に走っていたわけではない。彼女は、キースをもふもふすることを狙って走っていたのだ! モフ最高!
「なんだか予想外の方向だけど、キース君も反省してくれたかな……?」
 ピンクのジュースが入ったコップを手にやって来たユーリエが首を傾げると、キースはふい。と顔を逸らした。
「負けウサギを笑いに来たのかよ」
「そんなことしないよ。はい、シエラちゃんとキース君の分。甘くて美味しいよ」
 そう言って差し出したのは苺味のポーション。運動して疲れた体を癒すために、ユーリエが作った物だ。
「ね。みんな笑顔で楽しそうじゃない?」
 ユーリエの視線の先には、新チャンピオンとして囲まれているフィリアとリゲル。どちらがゴールテープを切ったのかわからないほど接戦だったため、二人共チャンピオンになったのだ。
「君はみんなからあの笑顔を奪ってた。それがどれだけ酷いことかわかる?」
「俺は……」
「反省したなら、ちゃんとみんなに奪った物返して謝ろう。ね?」
 優しく撫でられる温もりに、キースは小さく頷いた。

「奪って、悪かった……」
 リゲルからも叱られ反省したキースが、小さな謝罪と共に差し出されたのはミミの誕生日ケーキ。
「ミミの誕生日ケーキ!」
 ぱっと目を輝かせるミミに、リゲルが優しく笑いかける。
「良かったね、ミミちゃん」
「うん! お兄ちゃんとお姉ちゃんたちのおかげ! 有難う!」
 嬉しそうに笑うミミの横で、キースが他の人にも謝り、食べてしまった物は別の物で返すと頭を下げている。
「仲直り出来たら一緒にお菓子を食べよう! こんなこともあろうかと、色々持ってきたんだ!」
 リゲルが取り出した野菜に果物、甘いお団子に歓声が上がる。
 フィリアも子ウサギを膝に乗せたまま果物を口にする。
「仲直りと新チャンピオンにかんぱーい!」
 にこにこ笑顔のミミの言葉に、みんなくっついてモフモフしながら笑い合った。

成否

成功

状態異常

なし

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