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シナリオ詳細

強者だけが望みを叶えられる世界
強者だけが望みを叶えられる世界

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●イケニエノヨル
 生まれた家は違うけれど、育った場所は同じ。
同じ年齢の私と彼女はいわゆる幼馴染というものだった。
村には同い年の女の子が、彼女しかいなかったというのもあり、
私たちが親友になるのは、きっと必然だったのだと思う。

 マンモスを追いかけるのが仕事の男たちに対して、
私たち女のすることは、ドングリやキノコの採集と料理、それから裁縫だ。
彼女が作った木の実と猪肉のスープは村のだれが作るよりも美味しかったので、
みんなが彼女をほめていた。お前はきっと、良い嫁になるだろうね、と。
私だって、そう思っていた。きっと彼女は立派な男と番うだろうと。

 極寒の冬の季節のある日、彼女の家に白羽の矢が立つまでは。

「待ってくれ! 生贄には私がなる! だからツキノをつれていかないで!」
「だめだ。これは村の決まり事だ。彼女は神に選ばれたのだ。
 スミロ、お前はツキノを友だと思うのであるならば、それを喜びなさい」
「友達の死を喜べるものか! ふざけるな!」

 運命がなんだ。神様がなんだ。
 死んだらもう、一緒に遊ぶことも、話すことも、何にもできなくなる。
 生け贄なんてクソッタレだ。私は友人が死ぬのを見逃すことなどできない。

 吹雪の音を掻き消さんとばかりに吠えて私は駆ける。
 この身はもはや人間ではない。――虎だ。虎になれ。
 毛皮をまとう原始的な姿が一般的なこの世界。
 手にできるのは粗末な石器。けれど、これで男はマンモスを倒すのだ。
 私は――虎は刃を手に入れた。神を殺すのだって、きっとできる。

「絶対、ツキノは生贄になんてさせないわ。
 ――上等よ、私が神を殺して見せる。」


●百の足を持つ神
 この世界……まるで石器時代のようなここは『ローレガシア』とよばれている。
祀る神々も巨大な獣や蟲が多く、今回とある女が神殺しを企んでいるのはムカデであり
これも例外ではなく、全長50mもある巨大なムカデであった。
洞窟の中に潜む為、薄暗さもさることながら、足場も悪く、大人数で行くにはせまい。
かといってとてもじゃないが、1人で倒せる相手ではない。
そもそもの話、神殺しをツキノが許すかどうか、怪しい所である。
 面倒だとは思うけど聞いてくれ、とカストルが頬を掻きながら云う。

「この話の中心人物であるツキノだけど……彼女はこの世界においての『常識人』だ。
 神は生け贄を捧げることで、その地に豊穣を齎すと思われている『常識』を破るのは
 生け贄に選ばれたことを誇らしく思っている点でもっても、交渉は難しいと思う。
 けれど……スミロと離れ離れになるのは嫌だと思っているのも事実だ」

 せめて共に在れとスミロと共にツキノを生け贄として差し出す交渉をするのか
 それともこの世界に『革命』を齎す為に神殺しを手伝うのか。
 あるいは、この世界の『平穏』を守るためにツキノを殺すのか。

 ――それは貴方がたイレギュラーの行動次第だ。

NMコメント

石器時代をモデルにしたシナリオになります。

❖ツキノ
熊の毛皮を纏う女。齢は15。この世界においては成人の扱いを受ける。
死への抵抗はないが、スミロとの別れは悲しく思っている。
それでも、村が崇拝している神への生け贄に選ばれた手前、
スミロの『立場』を考えて、助けを求めることはしなかった。
女としての家事スキルは高く、村の男達からはモテモテだった。
しかしどういうわけか、彼女は求婚に対し、首を縦に振ることはなかったのである。

❖スミロ
虎の毛皮を纏う女。齢は15。この世界においては成人の扱いを受ける。
この世界においては珍しく死への抵抗感が高い。
彼女にとってはツキノこそが全てで村が崇拝している神への敬意は今回の件で0に。
スミロの『声なき言葉』を察して、彼女の世界に革命をもたらさんと動く。
女としての家事スキルは低いが、戦闘スキルは高く、黒曜石で出来た双剣を扱う。
彼女が男であれば、村長になれたレベル。

❖オオムカデ
村では「狩りで『勝利』を齎す神」として敬意を抱かれている。
長生きをしている為、知能指数は高く、弱肉強食のこの世界を理解している。
神としての力が宿っている為か、敵の加護を砕く牙と、毒を宿す棘を持つ。

  • 強者だけが望みを叶えられる世界完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月08日 22時35分
  • 参加人数 4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ジル・チタニイット(p3p000943)
此岸の守人
回言 世界(p3p007315)
付与の魔術師
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
躾のなってないワガママ娘
惑(p3p007702)
かげらう

リプレイ

「これは、なんだろう?」

 問いかけに、女が壁をなぞろうと指先を伸ばしたのを、他の女が制止する。

「壁画に触ったら、ダメになっちゃうかもしれないから、めっ、だよ」
「でも、これ、見て。この記述――」

 私たちの知らない『神』の話。それは、古に討伐された『神』の話。壁に刻まれた、巨大な蟲と、それと対峙する5人の姿。そのうちの1人は虎の毛皮を纏っている。

「もしかして、牙虎様が『神』になられたときの……?」

 ——その日、神の使者が来た。

 壁画にはそう、記載されていた。



 スミロは黒曜石の刃を手に、突如現れた異形の姿に唸りを上げた。ツキノを一刻も早く助けなければならないのに、行く手を阻むのならと睨みつけていたが、向かい合っていたそれらがこちらに話しかけてきた内容に、唖然とした。

「僕は遠い地より、スミロさんの力になるべくやって来たっす。共に古き神を倒すっすよ」
「……古き、神」
「というか、その何? 意味わからないルールとか規則って大嫌いだから全部壊すのだわ」
「まーまー。メリーさんそこはストーップ。気持ちはわかるけどな」

 彼らはそれぞれ『ジル・チタニイット(p3p000943) 』『回言 世界(p3p007315) 』『メリー・フローラ・アベル(p3p007440) 』『惑(p3p007702) 』と名乗った。初めて聞いた長い名前に、スミロが目を白黒させていると「そんなに気負わなくていいっす」というものだから、スミロは素直にその厚意に従って、『使者』と呼ぶことにした。

「すまない、刃を向けた。気が立っていたんだ」
「無理もないだろう。親友の危機的状況で、周りは皆敵、というような環境ではな」
「まぁ、そんな石ぽっちでやられるほど弱くないから、許してあげるわ」
「む、そうか。使者たちは強いのだな……」

 本来の負けず嫌いなスミロなら、腹を立てていたかもしれないが、彼らは新しき神の使いであり、自分とは尺度の違う存在なのだと理解した今、素直にその強さを認めた。その反応に、面白くなさそうにメリーはしていたが、惑は内心ほっとしていた。無駄な争いは時間の無駄で、ツキノの命がかかっている今、それは優先されるべきでない事象であることは火を見るよりも明らかだった為である。

「んじゃ、カミサマとやらの道案内を頼みましょか」
「……どうやって、だ?」
「はは、ま。見てればわかるやろ」

 惑が手をかざせば、揺らめく影が、集まり始めた。これは、スミロと出会う前にあらかじめ彼がこの地に残る残留思念に語り掛けていたためである。かけた言葉はたった1つ。『君らを殺した神に復讐をしないか』という内容だった。彼の周りに集まった影は、3つ4つと増えていく。

「見てみい、生贄にされたことに納得できてない子、結構おったんやで。
 中には寝てる間に捧げられていた子もいたみたいでなぁ。ほんまに、かわいそうなこっちゃ」

だからね、スミロちゃん、と惑は微笑みかける。

「自分が感じた不条理は、もっと前からあったんや。……けどな、実行に移せた子はだぁれもおらんかったんや。その勇気ってやつにわてらは動かされたんやで」

 さぁ、とジルに差し出されたカンテラを受け取った。
―—これは、新しい神になりえる存在と認められた証、なのだという。

「さぁ、神殺しの時間だ」



 薄暗く、冷たい。時折、ぴちゃんと雫がこぼれる音以外何もない。洞窟のなかに1人取り残されたツキノは、涙を流していた。怖い、寒い、寂しい。儀式の間は気丈にふるまっていたけれど、こんな豪華な服は要らなかった。そんな物は、この薄暗くて寒い場所に閉じ込められる環境において、何の慰めにもならなかった。
 けれど、たった1つだけ、彼女を支えているものがあった。それはこっそりと持ち出せた唯一の思い出の品。干からびた花だった。それは色も褪せていたけれど、大切なスミロとの思い出。彼女から幼い時にもらったプレゼント。彼女はもう覚えていないかもしれないけれど、その花は結びの花と言って、結婚を申し込む際に男が女に渡すプレゼントの1つとされていた。もっとも、最近は花を渡すなんかよりも、身分や実力で示すものが増えたのだけれど。

 ゴリゴリと石を削るような音が響きわたる。神が起きたのだ。暗くてよく見えないが、それはとても大きい姿をしているのがわかった。それはじっと、品定めをするかのようにツキノを見つめた。そして、その牙を広げ――。

 ツキノがぎゅっと目をつぶったその時だった。

「!?」

 ぶわっと、悪寒が走った。背中から冷たい風が突如通り抜けていって、神をひるませたのだ。それは、かつてそれに食われた女たちの怨念。あるいは、魂と呼ぶもの。あるいは――これ以上、自分と同じ存在を増やしたくないという思いの残滓。惑が叫ぶ。

「お嬢ちゃんたち、ありがとうな! ……さぁて、こっからがふんばりどころやな! なあ、毎年生け贄貰うとる立場やけど…自分、ほんまに豊穣を齎した事ってあったん?こないなおてんと様も届かん陰気な場所におる神様が出来るとは思えんなぁ~!」
「ツキノは返してもらう、お前なんかに渡さない!」

 固い甲殻に黒曜石の刃をスミロがめり込ませれば、キシャアアと神の叫ぶ声がする。友人の声に、ツキノははっとして目をあけると、そこには5人の戦士がいた。

「スミロ!?ど、どうしてここに」

 それに、とツキノは青ざめる。神様になんてことを。神罰が下ったら彼女が死んでしまうのではないか。けれど、ツキノに寄り添い、ジルが安心して、と微笑みかけた。彼女は新しき神に選ばれたのだ、と。彼女が持つ灯こそその証。

「これからは、命の在り方は己自身で決める時代っす。……だからツキノさんもスミロさんの戦いを見て決めて欲しいっす。」
「命の、在り方」

 先ほど、自分を守る為に駆け抜けていった亡霊の『願い』。そして、今、こうして命を賭して戦っている友人の勇姿。この戦いに負ければ神罰は免れられないだろう、だとしても。

「スミロを、応援します。村は白い目であの子を見るとおもうけど、私があの子の『帰る場所』になります」
「では、存分に戦わせてもらうとしようか」

 世界の言葉に、ジルも頷き、古神オオムカデの毒棘に当たるも、なんとか奇跡的に持ちこたえたスミロにシェルピアとメガヒールで支援する。スケフィントンの娘を食らったオオムカデがのたうち回った。加護を砕くことは出来ても、呪われることに耐性のない古き神にとって、これは大きな痛手とも言えた。

「ちょっと!危ないじゃない!わたしの事も忘れないでよねっ」

 のたうちまわるオオムカデの棘や牙が危うく当たりそうになったのをメリーはなんとか避けると、純粋なる魔力をぶつければ、オオムカデの牙はバキリと折れ、地に突き刺さった。頭部にあった甲殻が、ひび割れて落ちると、歪が死霊弓をそこに向かって放った。

「……!!」

 弱点への攻撃。それだけは避けなければならないと尾針が砕かれる覚悟でそちらに尻尾を向けたオオムカデはなんとか歪の攻撃を耐えた、けれども。

「ハズレや。自分、やっぱ神様なんて似合っとらんで、ムカデさんよ」

 古き神の首を、虎の黒曜石の牙が取った。





――って、書いてある。

女の言葉に、驚いたもう片方の女が壁画に駆け寄る。あんなに自分で触ってはいけないといったのに、まじまじと顔を近づけて、それを見つめると、洞窟内を見やった。

 古いたくさんの削れた石の跡。これは全部、かつての神と、戦士が戦った形跡なのだろう。そして、今この洞窟を照らしている火は……。

「新しき神に選ばれた虎牙様が、私たちに隔てなく分けてくださった『原初の炎』」

 きゅ、と女達は手を握った。その後のことは自分達でも知っている。昔から語り継がれている話。新しき神、虎牙様は古き神から御救いになった娘を自分の嫁にしたのだという。
神と人との間に子は生まれなかったけれど、多くの狩りの知恵を持ちかえった虎牙様によって、勝利をもたらしたその村は、その教えを乞いにきた他の村にも惜しみなく教えたので、虎牙様とその嫁を慕う者は多かった。

 新しき神がお姿を隠された今、捧げられているのはかつての嫁が神にいつも振舞っていたとされる『木の実と猪のスープ』だ。

「私たちも変えてみようか」
「世の中を?」
「そう。私たち2人の仲を認めてくれる世界に」

 自分達は神ではない。だから認められなかった。けれど、虎牙様は選ばれたとは言え、人間だったのだ。この秘密は墓まで持っていくつもりだったが、その代わり2人は彼女に祈りを捧げる。

「どうか世界が私たちを認めてくれますように」

 祝福するかのように、遠くでサーベルタイガーの鳴き声が響き渡った。

成否

成功

状態異常

なし

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