PandoraPartyProject

シナリオ詳細

恋愛ゲームXジェノサイド

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●恋をしたら人が死ぬ
「テストプレイヤーを募集しよう」
 ゲーム制作者がそう言った。魔法技術に加えて科学技術が超進歩した幻想便利世界『カムイカル』。そこでは誰もがVRマシンを所有して仮想世界にフルダイブできるという。そんな世界の片隅で、ある日恋愛ゲームのテストプレイが行われることになったのだった。

「ご機嫌よう、お姉さま」
「ご機嫌よう」
 わた飴のような白雲浮かぶ青空の下、白い学び舎が学生達を待っている。校門には貴族の子弟が乗る豪奢な馬車が並び、従者に見送られて歩むは10代の少年少女。騎士を志す者、文官を目指す者、宮廷魔術師や芸術家にならんとする者、様々な未来夢見る若者達が日々通うのがこの『ドリーミィ・スウィート学園』、略してドリ学だ。
「転入生かな? この時期に珍しい」
「素敵なお方」
 学生達が『プレイヤー』に気付いてざわざわとする。
 着慣れぬ制服に身を包み、木々の紅葉が色鮮やかな自然の天蓋の下を進んでいた『プレイヤー』はふと足を止め――学生達に向かって初々しい微笑みを見せて手を振った。
 やわらかく幼さの抜けきらぬラインの頬を桜色に染め、不安と緊張のせいか甘く潤む瞳には素敵な出会いへの期待が宿っている。小さな胸打つ期待と不安の鼓動が伝わるよう――はにかむようなその笑顔に、学生達は眼を奪われずにいられなかった。
「……初めまして、転入生の」
 春花めいて初々しい声に誘われるように紅葉がひらひら舞い降りた。季節は、秋である。
「ああ、」
 挨拶途中でことばを言葉を切った『プレイヤー』は頭に乗った一枚を手に取り、ちいさな自然に目を細めた。
「綺麗な紅葉ですね」
 嬉しそうな声色がそのピュアな性格を物語る――、

「ゴフッ」
「グハァッ」
 『プレイヤー』に見惚れていた学生達が一声に鮮血を吹いてドミノのように倒れていく。その数、10人。
「あ、ちょっ……」
 『プレイヤー』が呆然とする中、『10』という数字が浮かび上がった。
 ピコーン♪ コミカルな機械音が鳴り、アナウンスが脳内に直接語り掛ける。
『10キル達成!』

「もういいでしょう、帰ります。こんな変なゲームだとは思いませんでした」
 テストプレイヤーが逃げていく。ゲーム制作者は去っていくテストプレイヤーの背に必死な声で追い縋る。
「待ってくれ、もっとデータが欲しいんだあああっ」

 ――その恋愛ゲームは、恋をすると人が死ぬ。

●テストプレイをして欲しいんだ!
「というわけで、テストプレイを手伝ってあげてほしいんだ」
 境界図書館でカストル・ジェミニが優しい手付きでぱらりと本をめくる。
「そのゲームは、プレイヤーが学園の中で自由に行動できる。周りにはたくさんの学生がいるんだけど、とても惚れっぽい設定みたいだよ。だいたいの学生は何をしてもコロッと恋に落ちてしまうんだから、「えっ、そんな事で恋をするの?」って、見てるとびっくりするし、面白いよ」
 カストルはくすりと可笑しそうに笑い、首を傾ける。
「恋に堕ちた瞬間、そのNPCは死んでしまう――NPCを殺した数が得点につながり、高得点を目指す、という斬新な恋愛ゲームなんだって」

 ――ちょっぴり不思議なゲームだけれど、テストプレイをしてみるかい?

 問うカストルの瞳は期待にきらきらと輝いていた。
「挑戦するなら、せっかくの機会だ。思い切り、楽しんできてね」

NMコメント

 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
 今回は初めてのライブノベルです。キャラクター様を慎重に把握して、丁寧に頑張って執筆させて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ●遊び方
 魔法あり科学ありの便利世界の学校(ゲームの中)が舞台となります。教室、校庭、図書室、花壇、部室……およそ「学校ならこういうのあるよね」と思うものはなんでもあります。周りには沢山の学生NPCがいます。好きな場所で自由に思うまま振舞ってください。NPCに向かって甘~い言葉を言ってみるのもよし、壁ドン顎クイその他萌えシチュを演出してみるもよし、全て自由です。NPCはチョロいです。何をしても「尊い、グハッ!」と死んでくれます。

 ●サンプルプレイング
 その1「箇条書きでシンプル、お任せ丸投げ!」
「心情:変なゲームだけど遊んでみるか!
 場所:どこでもいい!
 演出:乙女ゲーみたいにイケメンオーラ出して
 セリフ:道教えてくれない? 迷っちゃってさ
 他全部お任せ、アドリブ大歓迎!」

 その2「キャラ口調で書いて欲しい雰囲気を書きますわ! この通りにお書きなさい!」
「恋愛ゲーム?よくわかりませんわね。普通の世界みたいに見えますけど、これ全部造り物ですの?不思議。
 周りにいる人達も偽物なのですの?なんだか、不気味ですわね。
 学食のご飯も、本物みたいじゃないですの。ちょっとそこの貴方!大盛メガ弁当をくださいまし!
 まあ、このお弁当ほんとうに美味しいわ!あら、小鳥さん。…本当に、本物みたい。ふふ、タコさんウインナーが欲しいんですの?仕方ありませんわね、差し上げますわ」

 ライブノベルは、「うちの子のSSを書いてもらう」という感覚で気軽にご参加ください。難易度はイージーで、失敗するようなことはありません。キャラクター様の個性やプレイヤー様の自由な発想を発揮する機会になれば、幸いでございます。

 以上です! どうぞよろしくお願いいたします。

  • 恋愛ゲームXジェノサイド完了
  • NM名remo
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月20日 21時40分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
庚(p3p007370)
宙狐
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!

リプレイ

●「皆さん、よろしくお願いします」
 ゲーム制作者が見守っている。

 すでに4人はゲームの中だ。
「キョーカイトショカン? 地球からこの世界に来てから更に別の世界があんの?」
 ノーヘルライダースーツの伊達 千尋(p3p007569)が白く塗装したアメリカンバイクのセバスチャン号に跨っている。
「フルダイブって割とヤバくね? いやらしい動画にフルダイブすれば……おっと、今はそんな話じゃなかったな」
「フレンド機能がございましたよ!」
 庚(p3p007370)がフレンドを飛ばしている。
「10人キルすればクリアと聞いてやって参りましたわー!」
  ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が棍棒を素振りしている。殺る気だ。
「惚れさせてキル取るんだろ?」
「ええ、ええ」
「えっ、そういう趣旨ではありませんの? ……本当に?」
「のびのびと過ごせばいいんだろ? 結果は勝手についてくるさ」
 グレン・ロジャース(p3p005709)は颯爽と体育館に向かった。

●学園ライフ
「新しい先生ですって」
 噂する生徒達の耳に凄まじいエキゾーストノートが届く。フォ~~ンと只ならぬ音が数瞬で近づいてバキィッと教室のドアが吹っ飛び悲鳴が響く。なんとバイクが教室に乗り込んできたのだ!
「キャアアアッ!」
「待たせたな! 白馬の王子様、そう俺だ!」
 千尋がブレーキとエンジンの音を響かせタイヤ痕で教室の床に名前を書いていく。生徒達は呆然としていたが。
「おっ」
 よく視ると数人が死んでいる!?
(っべぇ、死体リアルじゃん)
 内心驚きながらも千尋はダメ押しでニンマリと口の端をもちあげた。
「今日からオメーらの担任になった伊達千尋だ。風になりたい奴は、俺について来な」
「せ、先生~~!?」
 驚愕の声が教室中に響き、死体が増えた。

 教室には庚もいた。特注の中性的な制服を着こんだ庚は死体の山となった教室で義妹と二人の世界を創っている。
「お兄様なら薔薇も百合も素敵!」
「触っても、良いのですよ。遠慮なさらずに」
 義妹キャラはまだ恋に至らず兄萌えに留まっているようだ。千尋は庚に手を振り、教室の外へと飛び出した。
「見回りしてくるぜ」

 一方その頃。
「棍棒で人を殴ってはいけないなんて……」
 ヴァレーリヤは悲しいため息をつきながら部員の勧誘に乗り出していた。
「嗚呼、どこかに居ないものでしょうか。私の危険な力を受け入れてくれる方が……」
 ふぅ、と儚げに吐息をついて悩まし気に頬に手をあてれば遠くで人が倒れる音がする。
 「可愛い」
 ただそれだけ。それだけで人は死ぬのだ。

 所変わり体育館。
「キャー! グレン様ー!」
 女子の熱視線を集めているのはバスケ部のグレン。キュッとシューズ音を爽やかに鳴らし長身が跳ぶ。
「頼んだぜグレン!」
「ああ!」
 仲間のパスを空中でキャッチして汗を煌めかせ、グレンは流れるようにゴールにボールを押し込んだ。
「アリウープだ!」
 ワッと歓声が沸く。
「グレン様ー!」
「応援ありがとう!」
 パチリとグレンが眩しい笑顔でウインクを送ると、女子が数人死んでいく。
「しかしゲームの中とはいえ、チームメイトと汗を流すってのもいいもんだな」
 仲間とハイタッチを交わすグレンが「ナイスパス!」と端正な顔に耀くような笑顔を浮かべると仲間が血を吹いてパタリと倒れた。
「お、おい、どうした?」
「ごめん、俺お前の事が好きに――くふっ」
「キャー!」
「同性相手にもキル取れるのか?!」
 唖然とするグレンを見て今度は腐った女子から違う悲鳴があがる。萌えている。

「ヤバくね? ヤバババじゃね?」
 巡回した千尋が体育館から後退る。ここは青春キラキラゾーンだ。眩しすぎる――血の海だけど。
「先生ッ! こいつが血を吹いて倒れたんだ!」
 グレンが千尋に気付いて倒れた仲間を運んでくる。所謂姫抱っこに女子が狂わんばかりの叫声をあげて悦んでいる。
「保健室に!」
「いや、手遅れじゃね?」
 しかも、そのやりとりの間もどんどん追加で人が死んでいく。
 だが結局千尋は先生としての職務を全うし死体を保健室に運ぶ事にした。手伝う生徒もどんどん途中で死んでいく。まるで伝染する病が学園中に蔓延しているようだ。
「先生、ボク、もうだめです。先生の手伝いができてよかっ、ガクリ」
 格好良くバイクを乗りこなすチョイ悪先生・千尋に憧れていた大人しそうな少年が死んでいく。

 ――その病の名を、恋と言う。

「もう保健室入り切らねー」
 血濡れた愛馬を拭い、千尋は窓の外を見る。そこには庚がいた。
「ふふ、ふ! カノエのことを好いて下さる皆さまをカノエも大好きで御座います」
 庚は幸せそうに光纏う鮮麗な妖姿を和ませていた。
「学園中が血の海なんですって」
 案ずるような妹に庚は優しく微笑んだ。
「皆、カノエのフレでございます。流石ですね、ふふ」
 背後では再会したばかりの幼馴染が顔を抑えて蹲り静かに死んだ。
「ああ、せっかく再会できましたのに」

 近くではヴァレーリヤの声も響いている。血にぬめる廊下を物ともせずその瞳は熱を湛える。
「ついさっき生えたばかりの杖道部ですの! 部員は私一人だけですの!」
 あたたかみのある手書きのビラを手渡しする瞳は広々とした草原を想起させる。瞳の奥に煌めくは希望。
「生徒会長から今日中に5人部員を集めなければ廃部だと言われていますの。最初からクライマックスな廃部の危機なのでしてよ!」

 ――杖道をしたいんですの!

 伝わる懸命さに胸を打たれた学生がそれだけで散華する。
「そこの貴方、私の部に入りませんこと? 勿論、体験入部からでも構いませんの――どうか私を、杖道部を助けて下さいまし!」
 可憐な声と縋るような眼にハートを射抜かれて人が死ぬ。

 同時に体育館でも事件が起きていた。
 駆けつけると、入り口付近の生徒が「ボールがギャラリーの女子に飛び、グレンが颯爽と身を挺して護ったのだ」と説明してくれる。
「ヒュウ、イケメン」
「グ、グレン様!」
 恐縮するファンの女子へグレンが紳士的な笑顔を見せている。優しくも清しく靭く、女子の理想を体現したようなナイト様が其処に居た。
「無事でよかった。なんだ、そんな顔するなよ。鍛えた体は護るためにある、ってな」
 間近で見つめるグレンの瞳が夏空のように晴れ渡る。爽やかに笑う彼は、きっと誰にでも同じように優しい。けれど今その瞳はじっと自分だけに注がれていて――、
「ふぁ……っ」
「あっ」
 くたり、と力尽きる女子。女子を腕に抱いて「誰か担架を!」と叫ぶグレンを見た者が次々血を吐き、体育館が血に染まる。

 死体が次々運ばれていく。
「先生!」
「どっかに集めればいいんだろ集めれば」
 校庭に死体を置き始めた千尋が庚の声を聴く。
「このカノエの、朝40分かけた毛並みの良さをわかってくださいますね。戦闘で言えば240ターンもかけております」
 廊下の一角が庚のハーレムと化していた。男女問わず惹きつける魅惑の毛並みにうっとりと息を吐いて死にそうになっていた生徒会長が突如キリリと眼尻を釣り上げる。
「失礼!」
「あ、会長」
 背を向ける会長に追随しようとしたクールビューティー副会長と寡黙な書記に双子の会計がふらりと倒れて動かなくなる。
「すみません、自分達はここまでのようです、ぐふっ」
「モフモフが、幸せです……」
 仰げば尊死(とうとし)、庚の尾。

「ああ、せっかくカノエを好いてくださった方々が血を吐き、若い命が消え行き力なく横たわる事が続けば流石に悲しゅうございます」
 庚が血堪りの中で幽愁の声零す。悄然とした尾が垂れて、悲嘆に暮れる指が今しがた崩れ落ちたツンデレの先程まで寄せられていた眉間のシワを指でなぞり。案外あどけない死に顔を目に焼き付けて。
「カノエが可愛すぎるせいで……可愛いは罪なのですね……」
 悲痛な聲にキュンと胸を抑えて義妹が倒れていく。
「だめ、あたしが死んだらお兄様が哀しむ……なのに、……ごめんなさい、お兄様。ごめんなさい」
「ああっ! そ、そんな!」
 震える義妹の指が冷たくなっていく――、
「好きに、なっちゃった」
 義妹はそう言って透明な涙を一筋零し、庚の頬をそぉっと撫でて愛しげに微笑んで息を引き取った。
 
「ヴァレーリヤさん。まだ杖道部を諦めていないのか!」
 ヴァレーリヤを中心に死体が折り重なるように倒れている勧誘現場に生徒会長が単身乗り込んだ。ヴァレーリヤは眼をキラリとさせて棍棒を構える。
「ふっふっふ、ついに現れましたわね! そう、私の狙いは最初から貴方一人」
「なっ、なんだって」
「貴方を倒し、私は杖道部を廃部の危機から救ってみせますわー! いざ、勝負!!!」
 ヴァレーリヤが軽やかに廊下の床を蹴り、敵に向かっていく。スカートが健康的な脚をひらひらとチラ魅せ、燃え立つ艶髪が窓から注ぐ陽に耀き跳ね揺れる。間近に迫る瞳は活き活きと宝石のように輝いて――棍棒がぶんと空気を唸らせ、振り上げられ。
「クッ!」
「あっ! まだ殴っていませんわよ!」
 スカッと手応え虚しく空を切る棍棒。
「すまない。君の力を受け止められなくて」
 棍棒を振る娘の勇姿に惚れた会長は悔しそうに呟き、力尽きたのだった。

●秋深し
『ゲームクリアー!』

 4人は沈む夕日を見ながら終焉を告げるアナウンスを聞いた。もはやこの学園で4人以外に動く者はいない。死体が山となり足元には夥しい血が広がり、世界は真っ赤に染まっていた。
「データいっぱい取れたよ! 公式放送でリプレイ動画を紹介してもいい? きっと大反響だよ」
 制作者が大喜びで礼を告げる。ゲームからログアウトしたカムイカル世界。窓の外では、ちらちらと紅葉が舞っていた。

「皆、お疲れ!」
「棍棒が使えませんでしたわ」
「あんなに死体見たの初めてっすわ」
「フレンド機能で萌え力が向上していたようですよ」
 こうして4人の任務は終わったのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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