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シナリオ詳細

【マイセリアムハザード】マタンゴ狩り

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●植物の世界のゾンビパニック
 この世界『プラントプラネッツ』は植物によって成り立っている。
人々もまた、光合成によって生きている民で、食物という概念がない。
穏やかに、平穏に、子を成す種族アルラウネと、子を育てる種族トレントが仲良く暮らしていた。……筈だった。

 場所はとあるコンクリートの建物の中。
 この世界では光合成が必須なため屋根という概念もないので壁だけが立っている中で、
 トレントとアルラウネがマタンゴに追われた末にここに避難していた

「俺はもうだめだ……やつらに引っかかれてしまった」
「そんな! 貴方と別れるなんていやよ、キーファー!」
「愛しているよリリー、だからこそ、俺が奴らの様にならないうちに、焼いてほしい」

 リリーと呼ばれたアルラウネは、金網越しにキーファーとよばれるトレントにキスをした後、悲しそうな顔で小さく『パルス』とつぶやいた。刹那、空から電流が迸り、彼の身体を焼き殺した。

「一体誰なのよ、マタンゴウイルスなんてばら撒いたのは!
 ……わたし、絶対許さないわ!」


●秋だ! 食物だ! きのこ狩りだ!
 張り切るのはカストルだ。なんでも、マタンゴが大量発生していて困っている世界があるらしい。

「せっかくだから、たくさん狩って、食べちゃいましょう? 大丈夫!
 その世界のマタンゴは食べられるみたいだから!」

 アルラウネが感染したことで生まれた小さなマタンゴは体力が少ないので、
戦うのは容易だが、逃げ足がとても早い。しっとりとした食感が特徴だ。
 それに対してトレントが感染したことで生まれた大きなマタンゴは狩るのが難しい。
なんと、身体が数メートル吹き飛ぶほどの強力なパンチを繰り出してくるのだ。
装備が整っていない上、体力が低いものなら一発KO、ノックダウンだろう。

「でもね、味は松茸みたいな味わいでとーっても美味しいらしいんだ!
 是非大きなマタンゴを狩ってきてみてね!」

 あ、それから、とカストルが微笑んだ。

「感染するのは『アルラウネ』と『トレント』だけだから、君たちは安心していいよ。
 でももし……この世界を救いたいのであれば、倒すだけじゃだめだ。
 跡形もなく消すか、食べるか、焼くかしないと、マタンゴはどんどん増えていく。
 長い戦いになると思う。……それでも、君たちが望むなら」

 この物語を、ハッピーエンドに変えられるかもしれない。

NMコメント

狩る側に回るも良し、
調理側に回るも良し。

小さなマタンゴ狙いか、大きなマタンゴ狙いか。
それはみなさんで決めてください。
エンディングによって、
単発シナリオになるか、シリーズシナリオになるか分岐します。

  • 【マイセリアムハザード】マタンゴ狩り完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年10月29日 23時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

シエラ・バレスティ(p3p000604)
バレスティ流剣士
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
リナリナ(p3p006258)

リプレイ

「アアア……」
「ウウウ……」

 地響きのように低い、呻くような声。ズルリズルリと這い出でて、宿主となったアルラウネの身体やトレントの身体を脱ぎ捨てて、次々とマタンゴたちは生まれていく。脱ぎ捨てられた身体はすっかり水分を吸い取られ、ミイラのようになっていた。生まれたばかりのマタンゴが立ち上がり、新たに仲間を増やそうと立ち上がろうとしたその時だ。

「大きいマタマタはっけーん!」
「フギャ」
「お!またまた、はっけーん!」
「グギャ」

 一気に2体のマタンゴを切り伏せたのはリナリナ(p3p006258) だ。
すっぱり、サッパリ真っ二つ。気持ちがよいほどのキレ味だ。

「おーキノコ、やっぱりキノコ。攻撃は油断キンモツだけど、硬さはキノコ並み!」
「なるほど——」

 神妙な顔をしたのち、ひらめいた! とばかりにカッと目を見開いたシエラ・バレスティ(p3p000604) は剣を抜き、刃を煌めかせれば、背後に迫っていた3体目のマタンゴを切り伏せた。

「——つまりターゲットはマタンゴ」
「いや、それ皆わかってるからぁ。それとも、確認? 確認してる『だけ』なの?」
「キノコだけに?」

 冷静にツッコミを入れる美咲・マクスウェル(p3p005192) にさらにツッコミを重ねるヒィロ=エヒト(p3p002503) 。意味を理解したリナリナとシエラはぐっと親指を立てた片手を突き出し、『ナイスマタンゴ!』と美咲を褒めるが、ノリツッコミをしたつもりは毛頭なかった彼女は顔を真っ赤にして『褒めなくていいから、どんどん駆逐していって!』と叫んだ。
 『それならボクに任せておくれ』と狐火を空中に灯せば、マタンゴからの注目を集める。

「さぁさぁ! よってらっしゃい見てらっしゃい! マタンゴの解体ショーの始まりだよ!」

 なお、いわずもがな観客もマタンゴである。




 一方そのころ。リリィは愛するキーウィを失ったことをきっかけに、マタンゴへの復讐を果たすべく、マタンゴだらけであると噂のパインタインを目指して歩みを進めていた。武器は彼女が扱える『パルス』という稲妻を操る魔法だけだ。それでもよかった。自分が例え死んでマタンゴになったとして、1匹でも減らすことができるのなら——。

「待って、なに、この匂い……?」

 パインタウンの中心で上がる煙を発見したリリィは、空中蹴板(フロウボート)を巧みに扱って、煙の上がる場所へと向かっていった。

 中央広場では、ミイラになった同胞が燃やされていた。さらに、それを中心に敵であるあのマタンゴが解体されて並べられている。自分たちが求愛の為に使う花の蜜とはまったく種類は違うけれど、とても良い香りがあたりを包んでいた。

「うまうま! 美咲、ナイスマタンゴ!」
「本当に美味だなぁ。思ったより大きなマタンゴが大きすぎて、鍋に入りきらない分を丸焼きにするしかなかったし、薪が無かったからご遺体を借りるしかなかったのが申し訳ないけど」
「街に生存者が見当たらないのだし、大丈夫じゃないかしら。ほら、キノコのクリームシチューできたわよ」
「うおー! リナリナのマンモスのお肉入りのシチューだ! ナイスギフト!」

 キャッキャウフフとはしゃぐ4人をじーっとリリィが観察していたが、ガサリ、という音がして振り向いたそこには――小型のマタンゴ。

「ひい!!」

 悲鳴を上げ、魔術の展開が遅れる。間に合わない、そうおもったリリィだったが――目の前で、マタンゴが齧られた。『……え?』という顔をするアルラウネをよそに、リナリナは食べ進める。

「!?」
「んーま! 小さいのは生でもデリシャス!」

 小さなマタンゴはあっというまに食い尽くされる。きょとんとしたリリィだったが、それをカバーするためにヒィロが彼女の後ろから声をかける。

「あはは……おどろかせてごめんね。ボクたちはただ、マタンゴを狩りつくす為にいるだけで、君たちに危害を加える気はないから、安心してほしいな」

 ヒィロの言葉にリリィの視線が、薪に向けられれば、まずい、と思った美咲が慌てて言い訳をしようと口を開く。

「あ、えっと、これは――」
「ありがとう。彼らを埋葬してくれて。本当は全員をそうしたかったのだけれど、マタンゴだらけのこの世界じゃ、ゆっくり稲妻を呼ぶことも出来なかったから」

 リリィの言葉に、きょとん、とする4人。
 なんでも、この世界『プラントプラネッツ』に根付いている文化思想においては『火』という概念はなく、すべての熱は『稲妻』によって起きる現象だと考えられているらしい。彼らが『葬儀屋』と呼んでいる職に就いているトレントやアルラウネが『パルス』という魔術を習得しているのは、いずれ仲間が死んだその時に、遺体を埋葬するためなのだという。灰にした遺体を土に埋めるまでが埋葬だ。

「でも、貴方達はマタンゴも『パルス』しているわね。土に埋めているわけじゃ無いから、埋葬しているわけでは無いみたいだけど……」
「これは料理、といって……あー、その。こうすることで、マタンゴを完全に繁殖させないで埋葬することができる手段、なのかな。ともかく、私たちはマタンゴからこの世界を救いに来たの」

 マタンゴを繁殖させないで埋葬させる。そんなことができるなんて、と自分ではでいないことをやってのける4人に、リリィは尊敬のまなざしを向けた。パルスをした後の灰を混ぜた土からですら、マタンゴの幼生であるキノコが生まれることがないわけではないからだ。けれど、彼らなら――この4人なら、『プラントプラネッツ』を本当に救うことができるかもしれない。

「ともかく、とりあえずこの町にはびこる大きなマタンゴはまだいっぱいいるし、小さなマタンゴも狩る都合上、まだしばらくはここにいるつもり。君はどうする?」
「それなら私も『埋葬』を手伝うわ」
「料理……じゃなかった。埋葬のお手伝いなら安全だし、いいかもね」

 マタンゴ撲滅チームが5人になった! と喜ぶシエラの遥か後方で――
 ——きらり、となにかが一瞬煌めいた。
 


 空中に広がっているのは、魔法の画面である。
 大きなマタンゴがこぶしを握り、ブン! と振り上げた後の攻撃を受け止める姿。この世界のものとは思えないほど鋭い武器を持って振り回し、解体されるマタンゴ。対抗して、大量に押しよせて集団で攻撃を狙っていったマタンゴだったが、見たこともない乗り物に乗ったまま駆逐されるありさまだ。そのあげく、最後に映っていたのは、歴戦の猛者であるマタンゴが焼かれていた。

「なんなんだアイツらは! あれのパンチはコンクリートの壁をぶち破るほどの威力だぞ!?
 なんで立っていられるんだ。 それに、攻撃を受けても感染しないなんて……!
 こんなの、人じゃないだろ! あんまりだ!」

 自分たち以外が生み出した人外の出現。そんなことが起こりえるなんていうイレギュラーな事態、想像もしていなかったと喚く白衣を着たトレントの頭に、別の白衣を着たトレントがピコピコハンマーで殴りつける。

「このイレギュラー達は放っておくしかないよ。ガーデンパークに住んでいたユリ族のアルラウネの『葬儀屋』も接触したし……、仕方ない。パインタウンからマタンゴを引き上げさせて、別の場所で繁殖させようじゃないか。……嗚呼、それにしても、ここパインタウンはトレントが多くて戦力を集めやすかったのに。残念だなぁ」

「じゃあ、次はどこに向かわせる?」
「シーバレッジとかどう?」
「いいね。あそこもトレントが多い」

 白衣を着たトレント2人は手を繋ぎ、微笑んだ。

「ワタシたちを産んだこの世界に革命を」
「ボクたちをあざ笑った奴らに死を」



 翌日。5人が目を覚ますと、街にはマタンゴが1匹たりともいなかった。
 あんなに居たマタンゴがどこを探してもいない。すべて寝ている間に食べつくしたとでもいうのか? ……いや、それはあり得ない。確かにキノコ料理の食べ過ぎで、夢にまでキノコがあらわれたけれども。
 この異常な行動については、誰も予想していなかったのかこの世界『プラントプラネッツ』の住民であるリリィもぽかんとしている。

「んー。リナリナ思ったよ。間違いなくコレ人災!ジンサイ!」
「誰かがマタンゴを操っているってこと?」
「でも、この状況を見るからに、そうとしか思えないよね」

 シエラの問いかけに、ヒィロは頷いて肯定して見せる。リリィはきゅ、と服を握った後

「リナリナさん。ヒィロさん。シエラさん。美咲さん」

 4人に呼び掛け、その前に向きなおれば、ユリの花冠を飾った頭を下げた。白銀の髪が、揺れる。

「お願いします。……犯人を。元凶を倒してください。どうか、この世界を救って」

成否

成功

状態異常

なし

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