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シナリオ詳細

対特異運命座標迎撃戦!?
対特異運命座標迎撃戦!?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ただやるだけでは培えない
 幻想領内、近くに大きな砦が見える平原で、兵士たちは訓練を行なっていた。
 刃引きした訓練用の武器を手に素振りを続ける者。
 一対一で模擬戦を行なう者。
 馬に乗って馬術の修練を行なう者。
 数人一組のグループに分かれて集団で模擬戦を行なう者。
 広い平原で、各々がさだめられたプログラムに従って力を鍛え、技を磨いている。
 少し離れた場所から、兵士らをまとめあげる隊長は彼らの訓練の様子を観察していた。
「……物足りんな」
 掛け声や気合の声が幾つも聞こえてくる中で、だが隊長の表情は渋い。
「物足りない、というと?」
 傍らに侍っていた副隊長がそれを問う。
「つまらんことを聞くな。盗賊連中のことだ」
 最近、幻想領内の盗賊団同士が連携して動いている節が見える。
 これまではそれぞれが好き勝手に動いていたチンピラ共が協力し合うという、目には見えにくい変化。
 放置しておけば何かよからぬことへと繋がっていくのではないか。
 隊長が危惧しているのは、そこだった。
 無論、兵士達の士気は高い。
 おおよその貴族が腐敗しているここ幻想でも、そうではない者とている。
 例えば、ここで訓練を行なっている彼らがそうだ。
 しかし――
「通常の訓練だけでは、培えぬものがある」
「実戦への気構え、ですな」
 長年共に部隊を取りまとめてきた副隊長も、同じことを感じていたらしい。
「では、どうされますか?」
「……そうだな、一計を案じるとするか」
 誰にも聞こえぬ程度の声で、兵士隊長はそう呟いた。

●迎撃するにはいい朝ですね
「ちょっと兵士達を襲撃してきてくれないかい」
 集められたイレギュラーズを出迎えたのは、『黒猫の』ショウ(p3n000005)のそんな物騒な言葉だった。
 ローレットは自分達をお尋ね者にする気なのかと、イレギュラーズは揃って思った。
「ああ、もちろん本当に襲撃するわけじゃないさ」
 漂う空気に気づいたショウが、シニカルに笑って軽くかぶりを振った。
 そして彼は持っていた近隣の地図を広げて、
「ここで訓練している部隊がいる。賊を装って襲撃してほしいんだ。緊急事態に兵士たちが即応できるかどうかを見るためにね」
 そこまで説明を受けて、イレギュラーズ達もようやく納得がいった。
「ああ、つまりはそういう訓練だっていうことさ。ただし、兵士たちが持っているのは本物の武器で、彼らは襲撃されることを知らずにいる。もちろん、リアリティを追求する上で君たちにも本物の武器を使ってもらう」
 それは、ただの『本当の襲撃』なのでは?
「依頼人からの要望でね。予め訓練とわかっていたら本気になり切れないし、安全な武器なんか実戦じゃ使わないだろう?」
 その、安全性とか……。
「実践に安全という言葉はついてくるのかい?」
 そんなもん、ついてくるはずがない。
 というワケで、訓練ではあるがやることはただの実戦なのだった。
「襲撃開始のタイミングはこちらが決めてOK。そして襲撃時、兵士隊長は兵士達に『イレギュラーズの捕縛』を命じる。だから君達が殺されることはないだろう」
 言ってシュウは地図を丸めてしまった。
「君達には兵士達の無力化を目指してもらう。当然、殺すのはアウトだ」
 そりゃそうだ。
「訓練している兵士の数は全部で二十人。個々の力量は君たちに及ばないかもだが、連携がそこそこ上手い。それと、弓使いが五人。攻撃魔法を使える兵士が五人。回復魔法を使える者はいない、という話だ」
 結構な数を相手にすることになりそうだった。
「この疑似襲撃の本分は、兵士達が対応できるかどうかを見ることさ。だから襲撃開始からある程度時間が経過した時点で兵士隊長が止めに入ることになってる。そう、つまり必ずしも君達が勝つ必要はない。……が、依頼人からはこんなメッセージを言付かっているよ」
 言って、シュウは何かを楽しむように口元に笑みを浮かべた。
「『奇襲、詭道、謀略、策謀、いかなる手段も使ってよし。実戦を生き残れずして、兵士を名乗る資格なし』」
 随分とスパルタな兵士隊長であるようだった。
「なかなかタフな依頼になりそうじゃないか。……しっかり、楽しんできてくれ」

GMコメント

はいどーも、天道です!
にわかにキナ臭くなっているのを感じたとある騎士団長からのスパルタンな依頼です!

●成功条件
・兵士達に全員捕縛されることなく一定時間戦い抜く

●場所
・部隊の訓練に使われている平原

●敵
・部隊の兵士達
 総勢20人、
 うち、弓使い×5(弓矢かクロスボウを持っています)、
 また、攻撃魔法の使い手×5(近接戦闘にも使える金属製の杖を持っています)
 上記以外の残り10人は剣か槍で武装しています。

●その他
・襲撃のタイミング
 イレギュラーズ側で決めることができます。
 訓練の時間帯は午後1時~午後7時頃です。その間ならばいつでもOKです。

 平原のすぐ近くに少人数が隠れるのに適した小さな森があり、
 襲撃はそこから開始ということになります。

  • 対特異運命座標迎撃戦!?完了
  • GM名天道(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年02月28日 21時35分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
濃紺に煌めく星
ナーガ(p3p000225)
『アイ』する決別
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
九条 侠(p3p001935)
無道の剣
Pandora Puppet Paradox(p3p002323)
兎人形
アマリリス(p3p004731)
倖せ者の花束
タチカゼ(p3p004756)
科戸の風

リプレイ

●午後に見る訓練風景
 鋭い掛け声が、昼下がりの平原に響き渡る。
 そこには二十名と少しの兵士が集まって、来たるべき戦いのときに備えた訓練を行なっていた。
「おー、迫力あるぜー!」
 そこにある風景を眺めてはしゃいでいる赤毛の少年がいた。
 冒険者志望だという彼は、今回訓練の様子を見学したいということで、この場に来ていた。
 目の前で繰り広げられる模擬戦や射撃訓練に、彼はいちいち大きく声をあげる。
 と、その耳に、馬の駆ける音が聞こえてきた。
「む……?」
 兵士の一人がそちらを見ると、立派な馬に乗った女がいた。
「すまない、街はどちらでござろうか……。早駆けをしていたら遠くに行き過ぎてしまったでござる」
「何だ、迷子か。珍しい。街は――」
 と、兵士は女に街への方角を教えてやった。
「かたじけない。では」
 馬上からではあるが軽く頭を下げて、女は街の方へと馬を走らせる。
 そして少し時間が経ってから、
「ありがとな! そろそろ戻るぜ!」
「お、もういいのかい?」
「うん、楽しかった!」
「おう、立派な冒険者になれよ、坊主」
 兵士に見送られて、少年も街へと歩いていった。
 ――だが、彼女も彼も、街に戻ったわけではない。
「ただいまー!」
「戻ったでござるか、カイト」
 たっぷり平原を遠回りして、太陽が暮れようとする頃に彼はその森へと来ていた。
 少年――『大空緋翔』カイト・シャルラハ(p3p000684)はその姿を人のものから鳥人へと戻す。
 それを出迎えたのは馬に乗った女性――『科戸の風』タチカゼ(p3p004756)であった。
「首尾はどうだ?」
 平原近くの森の中、横たわる倒木の上に腰かけていた『砂狼の傭兵』ラノール・メルカノワ(p3p000045)が問う。
「ばっちりだぜ、ボス! 兵士の中に獣人とかはいなかった!」
「地形もしかと把握してきたでござるよ、お頭」
「まだ本番ではないんだがな……」
 今回、盗賊を装って兵士を襲う彼らイレギュラーズの中で、何故かラノールがボス扱いされていた。
 その場には彼ら以外にも五名、この襲撃に参加する者達が控えている。
「フフフ、これから私達は盗賊になるのですね。何だか新鮮です」
 妙なところに面白さを感じているらしく、『戦花』アマリリス(p3p004731)が小さく笑った。
「いやしかし、なかなか食えぬ隊長殿でござるな。自分の部下を襲撃してくれとは」
 『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569) は森にある小さな泉に己の顔を映し、
「しかし悪役を演じるとなれば相応の出で立ちをするのがいいでござるな」
 と言って、己の顔に派手なフェイスペイントを施した。
 時間が過ぎていって、日は暮れていよいよ辺りは暗くなる。
「そろそろ時間だよ!」
 ウキウキした様子、『アイのキューピット』ナーガ(p3p000225)森の向こうを眺めた。
 見ている先には幾つかの光が瞬いている。
 それは部隊が灯したものだ。
「目印があると分かりやすいな。……さて、やれるだけやってみるかね」
 静かに呼吸を整えていた『無道の剣』九条 侠(p3p001935)が、呟いてゆっくりと腰を上げた。
「皆にとって、良い糧となりますように」
 アマリリスが短く祈りを捧げ、作戦は開始される。
「作戦は、すでに打ち合わせた通りだ。では、ゆくぞ」
 ラノールの号令に、イレギュラーズは揃ってうなずくと共にまず二手に分かれた。
 片やナーガ、下呂左衛門、侠、『兎人形』Pandora Puppet Paradox(p3p002323)の四名。
 片やラノール、カイト、アマリリス、タチカゼの四名。
 ナーガらは部隊の前方へと回り込んで、ラノールらは反対に部隊の後方へと回った。
 平原の方では、兵士達がそろそろ訓練を終えようとしていた。
 そこに――
「にひひひひひひひひひひひっ! 兵士さん訓練お疲れ様! そして皆さんさようなら!」
「な、何だ……!?」
 突然聞こえてきた声に、彼らは驚き思わず振り向いた。
 襲撃が始まった。

●夜に始まる部隊襲撃
「にひひひひひひっ! 驚いてる兵隊さんがいっぱいだにぇ! ……別に、アレを倒してしまっても構わんにぇ?」
 落ちる夕日と昇る月、兵士が掲げるカンテラの明かりに照らされて、Pandoraが陽気に踊っている。
「な、何だお前は!?」
 兵士の一人が、手にした槍を構えもせずに叫ぶ。
 彼らにとってPandoraの登場はまさに青天の霹靂にも等しいものだった。完全に意識外からの一撃。
 場にいるほぼ全ての兵士達。その思考が、止まる。
「ヒャッハー! 賊を前にして間抜け面してやがるでござるよ!」
 高らかに叫んだのは、顔に過剰なまでのペイントをした下呂左衛門である。
 賊という言葉に兵士達は反応する。が、まだ遅い。
 下呂左衛門は大きな挙動で躍りかかって、近くにいた弓兵の弓をその手から叩き落してやった。
「貴様……!?」
 弓兵が我に返らんとする。
 だがその前に、動いたのは侠だった。
「おおおおおおおお!」
 両手に携えたロングソードを裂帛の気合と共に地面に叩きつけ、重い音を場に響かせた。
 思考がまだ定まらぬところに、この畳みかけ。
 彼らのうち数名が、衝撃に身をすくませてしまう。
「どうした? お前さんらの物資、奪われたくなきゃかかって来な」
 侠は不敵な笑みを浮かべる。
 その身には、鈍い痛みが走っていた。己をも傷つける力強き一撃。だからこそ、兵士達にも衝撃を与えられた。
 無論、笑う彼は苦しさなどおくびにも出さないが。
「何をしている、賊だ! 捕縛せよ!」
 離れた場所から、未だ統制を失ったままの部隊へと隊長から指示が飛ぶ。
 ここまでは予定通り。そして、ここからがイレギュラーズの本当の仕事ということになる。
「と、とにかく応戦だ! 応戦――、ごはっ!?」
「遅い遅い! もうとっくに始まってるんだからね!」
 剣を抜こうとする最前線の兵士の腹へと、ナーガが蹴りをめり込ませる。
 ナーガの言う通りだった。
 戦いはすでに始まっている。ただ、兵士達が浮き足立っているだけだ。
 そしてその隙こそが、数に劣るイレギュラーズを有利たらしめている要因でもある。
 即ち、叩くならば今を置いて他になし。
「ふ、ふふ、ふふふ、あははは!」
 後方からだった。
 控えていた杖持ちの魔法兵めがけて、魔法が飛んできたのだ。
「な、なぁ!?」
「兵の皆々様。神のもとへ召されるお時間です!」
 アマリリスの呪力矢を肩に受けて、魔法兵の一人が顔をきつく歪める。
「さぁ、行きましょうボス!」
「ああ、俺達の出番だぜ、ボス!」
「我らが力見せるでござるよ、ボス!」
 ――貴殿ら、ノリノリすぎだろう。
 アマリリスとカイトとタチカゼに揃って呼ばれ、ラノールはそう思った。
 だが口には出さない。勢いを優先すべき場面はあるものだ。
「さぁ、ゆくぞ! ここからが本番だ!」
 だから、彼もノった。
「でりゃああああああああああ!」
 槍を掴んで、カイトが突撃していく。狙いはアマリリスが矢を向けたのと同じ魔法兵だ。
「う、え!?」
 肩に刺さった矢を抜けないまま、動転する魔法兵のあごをカイトの槍の柄がガツンと叩く。
 倒れた味方を見て、隣にいた弓兵が矢を弓につがえようとした。
「おっと、貴殿の相手はこちらでござるよ!」
 しかし前に立って射線を塞いだのが、タチカゼだった。
 弓兵は、彼女が昼間に現れた旅人であることに気づいて、小さな驚きに身を固めてしまう。
「そこ、隙ありでござるよ!」
 鮮やかな火花が閃いて、弓兵が炎に包まれた。ラノールがマトックで畳みかける。
 振り切った得物の先に確かな手応えがあった。
 弓兵は激痛に身をよじって、そのまま弓を取り落してしまう。
 マトックをゆったりとした動きで肩に担いで、ラノールは戦場と化した平原を見渡した。
「皆、兵士共に目にモノを見せてやれ!」
 その堂々たる悪役っぷりに、イレギュラーズはさらに勢いづく。
「「任せろ、ボス!」」
 応じる彼らへとうなずき返し、ラノールは思った。
 ――案外、楽しい。

●平原に躍る徹底抗戦
 時間が経てば、数の利が活きてくる。
 それは、当然といえば当然のことであった。
「列をなせ! 隙を作るな! 冷静に対処しろ!」
 上級の兵士が短く指示すると、自身も剣を抜いて素早く構える。
 周りには、すでに倒された兵士が数人転がっているが、だが残っている彼らにはもう動揺は見られない。
「さすがに立ち直ってきたようでござるな」
「やっと? でもまだまだ有利なのはこっちだよ!」
 下呂左衛門に、ナーガが言って大きく笑う。
 兵士達は立ち直ったが、イレギュラーズ側はも奇襲成功によって得た勢いをまだ失っていない。
「いくよいくよいくよー!」
 両手で愛用のスコップを握り締め、最前でナーガが暴れ回る。
 それはそれは、気持ちがいいほどの暴れっぷりだ。
「槍だ! 槍で間合いを保って対応するんだ!」
 しかし兵士側もすぐに彼女に合わせて攻め方を変えてきた。
 剣を持つ兵士が下がり、槍持ちの兵士がナーガを囲む。防御も捨てた彼女は、それに応じきれない。
「おっと、そうはいかんでござる!」
 だが、傷ついたナーガへと、下呂左衛門が癒しの術を向けた。
「回復役がいるのか! あっちが優先だ!」
 瞬く間に、下呂左衛門の前に三人の剣持ちの兵が立った。
 が、側面から侠が襲いかかる。
「そばにいる俺から目を離すとはな!」
「ぐっ!」
 危機感に身を突き動かされ、兵士二名が侠と相対する。
 やはり、勢いが違う。兵士達もそれぞれ訓練通りの動きはできているが、訓練通りの動きしかできていなかった。
 隊長の危惧していた通りだ。
 これが実戦であるという認識が、逆に彼らの動きを制限してしまっている。
「にひひひひひひひっ! どしたどした、面白おかしい兵士の残虐ショー開始にぇ? にぇ?」
「言わせておけばァ!」
 そして、前方で最も兵士の意識を集めているのがPandoraだった。
 大きな盾を前にかざし、その向こう側からやたら腹立たしい文句ばかりをのたまう存在。
 こんな相手への対処は訓練していない。
 剣を構えながら、兵士達は苛立ちに顔を歪めながらも攻めあぐねていた。
 そう、この時点ではまだ互角。
 決してイレギュラーズが不利というわけではなかった。
 挟撃した後方、ラノール率いる奇襲班もそれぞれ奮戦を重ねていた。
「が、ぐ……!」
 背後に回られ、カイトに首を締め上げられた弓兵が苦しげにうめいてそのまま意識を失う。
 近くでは、ラノールも彼と同じように組技から魔法兵を一人締め落としていた。
 順調に見える。個々の力量はイレギュラーズが上だ。が、
「――ぐァ!」
 その声はラノールがあげたもの。
 背後から、彼は魔法の直撃を受けていた。
「えぇい、それ以上はやらせんでござる!」
 駆け込んだタチカゼが、大太刀を全力で一閃。ラノールを狙っていたもう一人の魔法兵の杖を両断する。
「撃て!」
 だが兵士達も油断はなく、攻撃直後の隙を狙って射られた矢が彼女の太ももに突き立った。
「く――! ……まだ、まだ!」
 痛みを堪えて、彼女は歯を食いしばった。
「少し、流れが変わってきましたね」
 呪力を束ねながら、アマリリスが言う。
 まだ余力はある。しかし余裕は削られてきている。勢いによって得た有利が、数の差から消えつつあった。
「それでもやるだけだぜ、そうだろ!」
 カイトが笑みを浮かべて叫んだ。しかし、言った彼自身すでに疲労が募っていた。
「まだまだ、こんなものか!」
 囮班の方では、侠が気炎をあげていた。
 彼の戦いぶりは囮班四人の中でも特にアグレッシブだ。
 だが傷からは血が流れ、呼吸は隠しようもなく乱れてきている。
「囲め! 数ではこちらが優っている、そのまま一人ずつ各個撃破だ!」
 兵士達が陣形を組んで、互いを支え合いながらにじり寄ってきた。
「こっからだよ!」
 叫んでナーガが殴り込むが、やはり疲れは彼女を蝕んでいた。動きが鈍っている。
 振るわれるスコップを槍で払って、兵士三名がナーガを追い詰めた。
「むぅ、これはキツくなってきたでござるなぁ……」
 そして気力も限界が見えてきて、これ以上は回復の魔法も使えそうにない下呂左衛門も一歩後ろに下がる。
「にひひひひひひ、こーこーまーでーかー?」
 Pandoraも、まだ口こそ回っているが構えた盾を剣で叩かれすっかりその場に釘付けにされてしまっていた。
 そしてさらに時間が経てば、いよいよ趨勢は決まりつつあった。
「タイミングを合わせろ。着弾、今!」
 渾身の一太刀によってまた一人昏倒させたタチカゼだが、どうしても生じる隙を狙われて魔法の餌食になってしまう。
「……ヘヘ、俺も頑張ったけどなぁ」
 カイトがその場に座り込んだ。数本の矢に貫かれ、体力も完全に限界だ。
「こ、れ、で――!」
 アマリリスが、自分を狙う弓兵へと遠距離用の術式を放った。
 一撃に弓兵が昏倒する。だが、側面から魔法兵が放った同じ術式により、彼女もまた倒れた。
 イレギュラーズは確実に兵士達を倒していった。しかし一人、また一人と捕えられて数を減らしていく。
「まだ、だぁぁぁぁぁぁぁ!」
 咆哮を轟かせ、侠がロングソードを振り回した。
 受けた槍兵が受け切れずに吹き飛んで、そのまま気を失ってしまう。
 だがそれが最後、侠もついた勢いにこらえきれず体が流されて膝をついた。そこを、まだ健在だった兵士が取り囲む。
「……終わりのようだな」
 最後に残ったのは、ラノールだった。
 だが体力は限界だ。抗う力は、もう残っていない。
 彼は肩を大きく上下させながら、離れた場所で戦いを見守っていた隊長の方を見た。
 隊長がこくりとうなずき、声を張り上げる。
「これにて、模擬襲撃訓練を終了する!」
 彼が号令を響かせたとき、まだ立っていた兵士はたったの五人だけだった。

●月下に誓う守護防衛
「我々の敗北に等しいな、これは」
「隊長、一体これはどういう……!」
 倒れずにいられた兵士の一人が隊長に問い詰めようとする。
「それは俺から話そう」
 だが先に、副隊長の方が事情を説明した。
 全ては実戦を想定した訓練だった。
 その話を聞かされて、生き残った弓兵が怒りを露わにする。
「何で、そんなことをする必要が……」
「必要だからしたに決まってるだろうが!」
 答えたのは隊長でも副隊長でもなく、地べたに座り込んだ侠だった。
 彼は近くの兵士を見上げ、厳しく睨みつける。
「これが本当に実戦だったら、何人死んでいた? 俺達八人を押さえ込むのに、十五人も倒れたんだぞ!」
 言われてしまえば、兵士達に返す言葉はなかった。
 個人辺りの力量はイレギュラーズが上。
 しかし被害差は実に二倍近くで、これだけの差が出るともはや個々の力量も言い訳にはできない。
「こっちにあと一人二人多かったら、勝敗も覆ってた可能性が大きいでござるなぁ」
 意識を取り戻したタチカゼの一言には、うつむく兵士すらいた。
 賊と思って本気で戦った相手に、彼らは勝ち切ることができなかったのだ。
「ま、これも双方にとっても貴重な経験となるでござろうから、糧に出来るかどうかはこれから次第でござるよな」
 下呂左衛門が言って笑う。隊長が呼んできた治癒術師のおかげで、受けた傷も癒されつつあった。
「言いたい放題言ってごめんにぇ?」
「いや……、あんたみたいのに対応できなかったこっちの未熟を知った。勉強になったよ」
 謝るPandoraに兵士もぺこりと頭を下げる。
 戦いが終われば、もうそこに敵も味方もありはしないのだ。
「俺、頑張るわ……」
「ああ、俺もだ。この恥は街を守ることで雪いでみせる!」
 兵士達の間に決意が広がっていく。
 この戦いは無駄ではなかった。いや、無駄にしてはならないのだと、彼らは誓ったのだ。
「九条さーん、私、賊っぽかったですか?」
「ん? あー……、どっちかっていうと狂信者とかっぽかったぞ?」
「え!?」
 侠に言われて固まるアマリリスは置いておくとして。
「……いや、なかなか真に迫ってたと思うぜ?」
「ええ!?」
 真に迫ってた狂信者っぽいアマリリスは置いておくとして。
「傷を治してもらったら、私達も戻るとするか」
「そうだな、ボス!」
「うんうん、疲れたもんね、ボス!」
 言ったラノールに、カイトとナーガが揃ってうなずく。
 その反応に、ラノールは耳をピクリと動かして渋面を作った。
「もう依頼は終わったのだから、ボス呼ばわりはやめてくれ」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした!
結果としては実質的に皆さんの勝利です!

ご参加いただきありがとうございました!

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