シナリオ詳細
Unknown芋を焼き払え
オープニング
●秋である
秋である。
それは収穫の季節。
厳しい冬の前に、今までの努力が報われる季節だ。
「ちぇー、なんで俺がこんなことしなきゃいけないんだっての」
『お騒がせ』キータ・ペテルソン(p3n000049)はぶつくさと文句を言いながらも畑に実るサヤエンドウをもいでいた。
幻想の片田舎に広がる、広大な畑。
そこはキータにとって故郷ともいえる場所である。
キータはたまに親戚の畑を手伝っていた。
「そういうない。日々の飯が食べられるのは我々お百姓さんががんばってるからだべ。おめーも情報屋なんてやめて地道に働いたらどうだ」
「俺は一流の情報屋になるんだってば」
この地道さが嫌だった。何もない田舎で決まった作業をするのが嫌だった。そんなときにローレットに憧れて、情報屋になろうと思ったのだ。
ここには冒険も何もないではないか……。
だが、そういう生き方が十分に大変なこともわかっている。わかっているつもりだ。
(芋掘りだけは宝さがしみたいでいいよな)
「お、なんか引っかかった」
手にツルが絡まった。引っ張るとシュルシュルと抜けていく。
「なあ、これ大分重そうだぞ!」
「お前、ほんとに向いてるんじゃねぇのけ」
「いや待って! 抜けねぇ!」
おかしな事態を察して何人かがかりで引っ張る。
掘り出された芋は、キータの手袋に深く噛みついていた。
「ウ、ウワアアアアアーー!」
●未知なる芋を秋に求めて
「というわけで、畑に植えた覚えのない「未知なる芋」が現れたのです!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はぱたぱたと小さな翼を震わせる。
「で、それがこれだ!」
キータはアルミホイルに包まれた芋を差し出した。
「こんなんじゃ商品にならないし、なにより畑を耕すじっちゃんたちがケガしちまう。それを退治してほしいんだ。
芋は土の中に隠れてるみたいで、掘り出さない限り凶暴にはならないらしい。被害は出ていないけど、このままじゃ畑がダメになっちまう。
あ、畑ごと焼き払うとたぶん地中に残っちまうから、掘り出して一か所に集めてファイアー! してくれよな」
「ふむふむ、ほかには?」
「ふかすととてもうまい」
「なるほどなのです。これは念入りな準備が必要なのです」
ユリーカは真面目にうなずいた。
- Unknown芋を焼き払え完了
- GM名布川
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2019年09月24日 22時55分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●芋、襲来
「さて、ドロシーさんの初めてのお仕事ですね」
「はい。初めての依頼なので、皆様の動きを見て勉強させて頂きます」
『孤高装兵』ヨハン=レーム(p3p001117)に連れられ、『心無き天使』ドロシー・アイリス・エフィンジャー(p3p007491)はローレットへとやってきた。
「足をひっぱらないように、がんばります。よろしくおねがいします、ね」
ドロシーはぺこりと頭を下げる。
「ほう、初めてか」
『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は懐かしそうな表情を浮かべる。
「誰にでも初めてはあるもんだな。よろしくな」
『荒野の珍味体験者』クリストファー・J・バートランド(p3p006801)は握手を求める。
友好的な仲間たちに、ドロシーは多少ほっとする。
「比較的安全そうな仕事だったので、実は僕が誘ったのですよ」
ヨハンは胸を張った。
「僕が守りますから安心して下さいね。ふふん、ギルドマスターの力も見せてあげますっ!」
「はい、よろしくおねがいします」
「芋が相手でも油断せず! 真剣に! そして肩の力を抜いて、です!」
ドロシーは真剣にヨハンの話を聞いている。
まだ、何も知らない。本で得た知識以外には、なにも。
だから、知りたいと思うのかもしれない。
「人を襲うお芋……なんて恐ろしい相手なのかしらね~」
『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)はのんびりと傘を揺らした。
「お芋さんが牙をむく時代なんスねぇ」
依頼書をのぞき込む『花紅柳緑』鹿ノ子(p3p007279)のツインテールがひょこひょこ揺れる。
「抜いた人を襲うとはとんでもねぇ芋が出来ちまったな」
クリストファーは依頼書をぴんと弾いた。
「お芋が襲ってくる、のは……危険です、ね。安全のためにも、早く退かさないと、いけません。」
ネーヴェ(p3p007199)の兎の耳がぱたんと伏せられる。
「ええ、慎重に……」
(……ぐぅ)
と、そこでリゾートのお腹がなった。
「……コホン。危険な依頼だけれど……ええ、きっとやり遂げて見せるわ。村人の安全と、美味しいお芋の為にね~」
ドロシーは目を丸くして、それから遠慮がちに笑った。
ローレットというのも、怖いところではないのかもしれない。
「ああ。芋にしてみれば食われてたまるかってところなのかもしれないが、俺は芋が食べたい」
クリストファーは力強く宣言する。
「わたくし……その。ほくほくな、お芋が…食べたいです!」
ネーヴェがはにかんだ。
「世の中は弱肉強食ッス! 食うか食われるかッス! 食べられるのは嫌なので食べてやるッス!」
「イモイモ、食べる!」
鹿ノ子も。そして、『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)も。
「立秋はとうに過ぎ、暦の上では既に秋。ならば、ここらで芋料理に興じるのも乙というもの」
汰磨羈は一同の顔を見回した。
「例え、その芋が未知のお芋Xだったとしても!」
応、と仲間たちがそれにこたえる。
たとえ相手が未知の芋でも。
ふかして食う。慈悲は無い。
●地中に潜む芋
一面の畑。
「おー、イモイモ! 噛みついてくる不思議イモ!」
「またれよ」
畑に踏み込もうとするリナリナを汰磨羈が制止する。
「おお?」
「この未知なる芋。近寄るとつるを絡めに来ると聞いたが」
「コレ倒すのか? 美味いのか?」
「美味いかどうかは……試してみるしかあるまい」
汰磨羈は舌なめずりをする。
畑は芋のフィールドだ。不用意に踏み込むのはまずいだろう。
「さて、どこを足掛かりにするか……」
「既に農家の人や動物を襲った事のある芋なら、その芋の近くに、つるを動かした跡がある可能性があるはずだ。っと、……これだな」
クリストファーは、目ざとくうごめいた跡を見つけて辿り、手近な芋を見つける。こういうときの冒険の勘は、経験で培われたものだ。
ツルを手につかみ、ぐいと引っ張った。
すると、地中から飛び出した芋が姿を現す。
クリストファーは、素早く拳を振り上げ、噛みついて来ようとした芋をはたき落とした。芋の噛みつきは、手甲によってはじかれる。
クリストファーは手首を振った。
大して強くはないが、数は多そうだ。
「長期戦になりそうだな」
「1本1本掘り返したらいいんスかねぇ? 近付いただけで向こうから出てくるなら掘る必要もないッスね?」
鹿ノ子はじりじりと歩みを進め、ある一点でツルの攻撃をかわした。靴の先でざりざりと線を引く。
「射程はこのくらいッスかね。一度に多くを相手にすると大変そうなので各個撃破したいところッス」
「近づくとツルを伸ばしてくるみたいだけれど、お芋自体は動かないはず。畑にはゆっくりと近づいて出来るだけ1体ずつ倒しましょ~」
「詰まる所、端から少しずつ行けば、一度に大量の芋が襲い掛かってくる事態は避けられる訳だ。なので、端からいく。各個撃破だ!」
汰磨羈は刀でびしりと正面を指し示した。
●オーディエンスたち
イレギュラーズたちが珍しいのか、村人が続々集まってくる。
キータが一応戦場にはみ出ないように牽制してはいるが、本人もイレギュラーズたちの戦いが見たいようである。
結局、安全そうな位置に陣取って見ることにしたようだ。
「にぎやか、ですね」
ネーヴェは少し耳を畳んだ。ブルーブラッドの兎耳は音を拾い集めすぎるのだ。
「畑に村人が近づくと危ないかもしれないわ~」
レストの旅行鞄から、小さなリスが顔をのぞかせた。
「よろしくね~」
レストが手渡したのは、「危険」と書かれた小さな立て看板だ。イレギュラーズの様子を見ていた村人たちの前に駆け寄ると、小さく看板をふるふると左右に振る。
(危ないから近づいちゃだめよ~)
レストはハイテレパスで、村人たちに呼びかけた。
「ひえっ……」
「リスちゃん……カワイイ……」
「カワイイ……」
●レッツ・芋掘り
「おー、リナリナ考えた!」
リナリナは木の棒を拾ってきていた。
「長い木の棒使う! これで、畑のあやしい所を遠くからツンツン!」
「良い考えだと思うわ~」
「えっへん」
リナリナはレストに褒められて嬉しそうだ。
リナリナが棒でつつくと、絡みついてくるツタがある。それは次第にぐいと力を増して、ついに芋が噛みついた。
だが、リナリナも負けてはいない。
「やー!」
一本釣りの要領で、棒を振り上げる。
続けて、リナリナは”掘り出し物”を振るう。
明後日の方向への攻撃。
リナリナは攻撃を外した。と、思ったはずだ。だが、不思議な力で放たれた質量が芋を吹き飛ばす。原理は、……本人に聞いても説明はない。
リナリナは理屈ではなく、直感と野生で動いている。
「豪快、ですね」
ドロシーは目を丸くする。
「こっちと、つながってるみたい、です」
ネ―ヴェはつんつんとつるをつつき、しゅるりと伸びてきたつるを握る。
「それじゃあ、よいしょ~」
「いきます、よ。せーのっ……!」
ネーヴェとレストは、力を合わせて一緒に芋を引っ張った。
「きゃっ」
すぽんと芋が地面から這い上がり、レストが尻もちをついた。
「……腰をイワさない様に注意しなきゃね。おばさん結構な歳だから……おほほ……」
「徹底的につるをぶった切る。うむ、シンプルだな!」
汰磨羈が振るうのは、霊光器・双剣型両義律界『陽虔』。霊光器・双剣型両義律界『陰劉』。陰陽の双剣は、芋をぶった切るにはあまりに強すぎる。
芋は即座に灰に帰すが、その格の違いを自覚できるほど未知の芋は賢くはない。
「纏めて切断出来れば、尚良しだ。しかし、ちと強すぎるか?」
「僕たちも行きますよ、ドロシーさん!」
ヨハンとドロシーは続けて小さな芋を掘り起こした。
「この大きさなら、わたしにも……」
「来ます、ドロシーさん!」
ヨハンは前衛に構え、フルムーンを振り上げた。
「は、はい……!」
ドロシーは、ヨハンに教わった心構えを心の中で復唱する。
(浮いた立ち位置は取らず、味方から離れないように……)
フリーオフェンスにより身体能力を強化する。何度もシミュレーションした動きだ。防御をヨハンに任せ、捨て身の攻撃を繰り出した。
ツルが飛んでくるが、ヨハンが的確に弾き飛ばす。
攻撃をしたが、一歩足りない。倒しそこねた芋が牙をむく。
「ドロシーさん!」
自分の力で及ばない時は……。
「そうです、仲間に任せることです!」
一歩足りない。だから、「下がる」。仲間に攻撃を任せ、連携をとる。
攻撃を受け止めたヨハンが、にっこりと微笑んだ。
「来たッスね!」
鹿ノ子が構えていた。挟み撃ちだ。
「これぞ裏取りッス!」
鹿ノ子の、素早く華麗な身のこなし。一歩踏み込むたび、秘想霏霏蒼天が、切り刻まれる舞い落ちる葉の隙間から、空を映した。
一体、二体。また一体。
「1本1本……1体1体?」
疑問に思いながら、斬り進めてゆく。
「こっちは頼むッス!」
わかった。
返事の代わりに、潜んでいたクリストファーはスニーク&ヘルを繰り出す。完璧に気配を消していたクリストファーの一撃が、芋を背後から消し飛ばす。
「ドロシーさん! 出番です!」
ドロシーは構える。斬撃に身を乗せる。
敵の攻撃は、ヨハンが。仲間たちが防いでくれる。
そのまま踏み込み、一刀、両断。
芋はばさりとその場に落ち、動かなくなった。
「倒せ、ました……わたしにも……」
「流石です、ドロシーさん!」
「おおっ、やるなあ!」
野次馬が、ワイワイと盛り上がっている。キータが一応は止めてはいるのだが、はしゃいでいて、レストのリスの方が明らかに役に立っている気がする。
「っと!」
ヨハンが村人に向かって飛んだツルを叩き落した。
「ふむ、これはどうだろうか」
汰磨羈は姿勢を反転させ、芋に業炎撃を叩き込む。ツルが一斉に燃え上がった。
「……美味しく焼けているといいな?」
香ばしい匂いにつられてか、すかさず、リナリナが噛みついた。
「この不思議のイモイモ、美味い!」
「む、そうか」
「後でみんなで焼いてたべる!!」
「無論だ」
(いきます……)
回り込んでいたネーヴェが、シャドウステップで噛みつきをひらりとかわした。
威嚇術で芋を取り押さえる。
「痛いのは、嫌ですから。それに兎は、身軽なのです、よ」
「おお、芋、無事! えらい!」
(ほくほくお芋のために)
「……これ、茎を根元から切断したらどうなるんだ?」
汰磨羈が試してみると、ツタだけがびちびちと跳ね回る。
「きゃっ……」
「ふむ……」
「なんか、妙なものを見たな」
クリストファーはツタを掴み、草むらに放り投げた。
●ふかした芋を夢見て
「大丈夫よ~」
レストのフォースオブウィルが、芋を大きく吹き飛ばした。
ネーヴェは、息を吸って吐く。小さな肩が上下した。耳が連動してぴこぴこ動く。
(吸って、吐いて、また頑張りましょう)
(兎耳も柔らかそうでいいな)
汰磨羈の耳もまた頷くように上下した。全力で息を合わせる。
一体、そしてまた一体。
あらかた終わった。
ゴールは、ずいぶんと見えてきている。
「破壊のし過ぎに注意! 注意!」
リナリナがむしゃむしゃと肉を食べ、戦線に復帰する。
「これはシャベルで抜きましょう~」
レストが芋を掘り返す。
「なかなか固いな」
汰磨羈は二刀を構えると、地面に突き立てて一気に掘る。
「こういう時、直刀は案外便利なものだ」
「あら、便利だわ……」
「高い刀じゃないのか?」
芋にトドメをさしながら、クリストファーは言う。ずいぶんと芋も積みあがっている。
「口の所を切除すれば良さげか?」
戦いを増すごとに、イレギュラーズたちはコツをつかんできていた。
戦いのキレが増している。
芋の状態が良い。
「さあ、いよいよ、仕上げですね!」
ヨハンが名乗り口上をあげた。
「ま、まだいますね。すごい数です」
ドロシーはあたりを見回す。
「……だが、これが最後だろう」
汰磨羈は武器を構える。
「まぁ僕もちょっとやそっとじゃ負けませんし、負けるつもりもないですけど。援護、よろしくおねがいします」
「みんな怪我無くお芋を食べられるのが一番だもの、おばさん回復を頑張っちゃうわよ~」
レストはパラソル・ステッキをくるりと回す。
ミリアドハーモニクス。
クリストファーも名乗り口上をあげ、ターゲットを引き付ける。
狙うは、無力化。綺麗な形での勝利だ。
鹿ノ子のカプリースダンスが、一体を倒す。
「ドロシーさん、行けますか?」
レストのミリアドハーモニクスが、続け様にドロシーを癒した。ドロシーは武器を握りしめ、一撃を決める。
撃ちもらした一体を、ネーヴェが素早く倒した。
最後の一体だった。
「本気、出すまでもないですよね」
ヨハンは高らかに勝利を宣言した。
●焼き芋タイム!
「実食タイムだな」
汰磨羈は刀をしまう。
「ずいぶん運動したわ~」
「イモイモ、食う」
リナリナは、早速倒した芋をずりずりとツルごと引きずってきた。
「落ち葉と枝はこんなものか」
クリストファーは、倒したツルと一緒に枝を拾い集めていた。
枝は細いやつから太いものまで、バラエティに富んでいる。
「いろいろ、あるのですね……」
「組み方を変えてたき火にするからな」
「こっちは落ち葉を集めるッス!」
「こんなものかしら~」
レストはホウキで枯れ葉と小枝を集めていた。
「さて、火はどうやってつけるんだったかな」
クリストファーは頭を掻いた。キータは首をひねっている。
「うーん、火かぁ……棒と板切れで、なんとか?」
「やってやれないことはないが、手間だな」
「村によってもらってくるか?」
「あ、あの……」
ドロシーはごそごそとポケットから火種を取り出した。
「こんなこともあるかと……」
「おおっ、さすがドロシーさん、用意が良いですね!」
ヨハンが顔を輝かせる。
「せっかくなので、おいしいおいも食べたいですし」
「ありがとな」
「おーい、もう終わったッスよ!」
鹿ノ子は村人たちを呼んだ。
「んふふ~、みんなでお芋ぱーちー開始よ~」
たき火を囲んで、いよいよ芋を焼くことと相成った。
鹿ノ子は、芋を濡らした新聞紙で包んで更にアルミホイルで包む。
「ぬらすんですか? 銀の紙に包んで、焼くのでしょう、か?」
鹿ノ子の仕草を、ネーヴェは興味深そうに見ている。
「こうすると新聞紙に含まれた水分がお芋を蒸らして、ほくほくに焼き上がるッスよ!」
イレギュラーズたちは芋が焼きあがるのを待つ。
香ばしい匂いがした。
「美味しく焼けたかしら?」
割ると、ほくほくとした身が顔を出す。
「ふむ、これはまごうことなき正解だ」
汰磨羈は手を伸ばす。
「あつ……はふ…美味し、です」
ネーヴェはふわ、と顔を綻ばせる。
「あっ、これ、ドロシーさんが倒した芋ですよ!」
斬撃の跡に覚えがあった。ドロシーは暖かい芋を押し抱く。
「みなさんのおかげ、ですね」
未知の体験。
同じように目を輝かせていたネーヴェと目があった。
知らない食べ物。また一つ知識が増えた。
「苦労したせいか芋がいっそう甘く感じるな」
クリストファーは笑った。
「ところで、そのメイド服なんですけれど……変わってますね? いいですね?」
「おっ、気になるッスか? メイド仲間がッスね……」
「あら、手作り?」
「レストさんのお洋服もなかなか凝ってますね」
「リナリナの服か? めずらしいか?」
「あら、口が汚れているわ~」
レストはそっとハンカチでリナリナの口を拭う。
メイド談議と洋服談義に花が咲く。
「可愛いは正義だ」
汰磨羈は深く頷いた。
ネーヴェはちまちまと芋を口に運んでいる。
「おうちでも、こんな風に、作れるもの……なのでしょうか?」
「うーん、頑張ればなんとか……? いけるッスかね?」
「ふふ、なんにせよ、みんなで食べるのは美味しいわ~」
「家か……そうだ。甘いと言えば干し芋好きなんだけど、この芋も干したら美味いかな? ちょっと幾つかやってみていいか?」
「うむ、いいんじゃないか?」
「さすがにこの量だと、全部食べるのは無理そうですしね」
クリストファーは、芋をいくつか干すことにした。
「干したおいも……」
ネーヴェはひそかに目を輝かせる。リナリナは不思議そうに首を傾ける。
「のこしておく? おいしくなる?」
「上手く行けば名物になったりするッスかね?」
「美味しそうね~」
「炙っても美味いんだ。上手く行ったら、またみんなで食いたいもんだなあ」
それは、なんてことのない物語の一ページ。
依頼が終わってみれば、かけがえのない、穏やかな日々の一こまだ。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
こうしてイレギュラーズの活躍により村には平和が戻り、美味しい匂いが立ち込めましたとさ。
その後の村では、干し芋がひそかなブームを巻き起こしたとかなんとか……。
Unknown芋掘り、お疲れ様でした!
美味しい思いはできたでしょうか。
機会がありましたら、また一緒に冒険いたしましょうね!
GMコメント
というわけで芋掘りです。
●目標
Unknown芋を排除する。
終わった後は丁重に焼き払ってください。
●登場
・Unknown芋
サツマイモによく似ている。30㎝~70cmほどの凶暴化した芋。
畑に埋まってしまっているという。
胴体が二つに避けて牙が生えている。
地中に潜み、犠牲者が近寄るとつるで絡めとり、口で噛みつき人を襲う。
焼くとホクホクとして美味い。
畑の一区画のみに寄生しているようで、20体~30体ほどいるようだ。
野生のツル性植物との交雑による突然変異が原因とみられる。
・キータ・ペテルソン
身内に駆り出され畑を耕していた情報屋見習い。
さいきん情報屋の仕事がなく農家と化している。
●場所
幻想の片田舎の畑。
今は収穫期で忙しい。
物珍しさに村人たちが様子を見に来るかもしれない。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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