PandoraPartyProject

シナリオ詳細

出撃!聖剣騎士団!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●急な依頼もお任せです!
 その日、聖剣騎士団の面々は親睦会も兼ねたランチを取っていた。
「たまにはみんなでこうやって集まってランチって言うのもいいねー」
 パスタをくるくるとフォークで巻きながら『魔法騎士』セララ (p3p000273)が言う。
 『雨宿りの』雨宮 利香 (p3p001254)が頷いて、同じようにフォークを巻く。
「皆さんお忙しいから、こうした機会はなかなかないですしね」
「ふふ、本当ですね。できればもっと機会を増やしたいところですが……」
 『なぜか自分の本が売られてました』シフォリィ・シリア・アルテロンド (p3p000174)がそう口にしたところで、情報屋の『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)がやってきて、急なお願いだけど、と依頼を持ってきた。
「盗賊団退治でありますか。この手の輩は居なくならないでありますね」
 『悩める魔法少女』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク (p3p000497)がパスタを口にしながら言う。『ひとりの吸血鬼』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム (p3p000669)も依頼書を見ながら口元の汚れを拭き、
「幻想種が攫われているのですか。最近多いようですが、奴隷商人のみならず盗賊まで手を伸ばしてくるとは……早急に仕置きが必要ですね」
「それでは、みんなで参りませんか? せっかく揃っているんですもの、みんながいれば心強いです」
 『超面倒臭いネガティブ系お嬢様』フォルテシア=カティリス=レスティーユ (p3p000785)が手を合わせる。
 『おにいちゃん』カイト・C・ロストレイン (p3p007200)も微笑んで、
「ああ、良いんじゃないかな。聖剣騎士団の力を示せってね」
 と、少し戯けて言った。
「腹ごなしにには丁度良さそうだね。楽しくなりそうだ」
 『北辰の道標』伏見 行人 (p3p000858)が口の端を吊り上げるとセララが頷く。
「よーし、それじゃー聖剣騎士団出撃だ-! 盗賊を退治してハーモニアのみんなを助けるよー!」
『おー!』
 立ち上がる八名のイレギュラーズ――聖剣騎士団メンバー出撃の時だ!


 その薄暗い室内で、巨躯の男が一人、邪悪な笑いを浮かべていた。
「へへ、最近奴隷商の間で流行ってるみてぇだから俺らも流行に乗ってみたが、上手くいったみてぇじゃねぇか」
 流行――それは幻想種の拉致に他ならない。
 盗賊団『ゴズ・レギオン』は流行に敏感な盗賊なのだ。
「おい、モフリー。お前はさっきからなにをやってるんだ?」
 盗賊のボスであるゴズが、テーブルを占拠してる一人の部下に話しかける。モフリーと呼ばれた男は手にしたカードを見せて得意げに笑った。
「ボス、こいつはね『ケイオスホルダーズ』っていう超レアなカードゲームですぜ。マニアの中で今一番熱いゲームなんでさ」
「ほぉん……イレギュラーズねぇ……どっちかって言ったらカードゲームじゃなく直接やり合いたいところだがねぇ」
「ははは、ボスは強い奴とやり合うのが好きだからなぁ。俺は勘弁ですぜ、イレギュラーズのことを熟知してるからこそ、奴等とはやりあいたくねぇでさ」
「がはは、熟知ってお前そりゃカードゲームだろ!」
 盗賊達の笑いが砦に響く。
 彼等は気づいていない。今、その場に件のイレギュラーズが向かっていることに――

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 幻想種をさらった盗賊団との戦闘になります。
 若干ギャグよりになると思います。ノリの良いプレイングをお待ちしています!

●依頼達成条件
 盗賊八名の撃破。

■オプション
 聖剣騎士団をアピールする。

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●盗賊団について
 ゴズ・レギオンという名の盗賊団です。数はボス含め八名。
 元々ラサの傭兵団でありましたが、金銭を求めていくうちに盗賊団と成り果てました。
 盗賊団メンバー全員が傭兵として名うての連中です。
 戦闘能力はそれなりに高いので、油断すると危険でしょう。

 モフリーという髭面の男は、大変なイレギュラーズマニアで、頼んでもないのに色々解説してくれます。
 彼が知らなそうなことを魅せていけば、聖剣騎士団の良いアピールになるかもしれません。

●幻想種について
 牢屋に入れられていますので、最後は助けてあげましょう。

●戦闘地域について
 古い砦での戦闘となります。
 室内での戦闘になりますが、戦闘行動に支障はでないでしょう。
 暗がりを照らす灯りがあると、戦いやすいかもしれません。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 出撃!聖剣騎士団!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年09月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
セララ(p3p000273)
魔法騎士
ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)
キミと、手を繋ぐ
アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)
双世ヲ駆ケル紅蓮ノ戦乙女
フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)
天嬢武弓
伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
天空の騎士

リプレイ

●参上! 聖剣騎士団!
 夜、古い砦に悲鳴が響いた。
 悲鳴の主はこの砦を根城にする盗賊のものに他ならない。
「なんでぇ、何の騒ぎでぇ!?」
 悲鳴に気づいた盗賊団『ゴズ・レギオン』の頭領ゴズが声を荒げて砦中央のホールにやってきた。後ろには髭面の男モフリーも一緒だ。
「大変だ頭! 襲撃だ! 滅法強ぇ連中が襲撃して来やがった!」
「んだとぉ!? この『ゴズ・レギオン』に仕掛けてくるたぁどこの馬の骨だ! 全員集まれ! 返り討ちにしてやろうじゃねぇか!」
 荒々しい声を上げてゴズが腰の剣を抜く。同時、ホール対面の扉が開き可憐な声が響いた。
「馬の骨とはご挨拶だねー。ボクらが正面から正々堂々と来てあげたっていうのに――!」
 小躯な少女――『魔法騎士』セララ(p3p000273)を先頭に、八人の男女がホールに姿を現した。
「ん……んんっ!? あ、あれはまさか――!!?」
「なんでぇ素っ頓狂な声をだして……モフリーあいつらを知ってるのか?」
 ゴズの問いかけに、モフリーが震えながら指さし答えた。
「イ、イレギュラーズ……それも、聖剣騎士団……ッ!?」
「イレギュラーズだとぅ?」
「なんだかボクらのことを知ってる人がいるようだ。ボクらも有名になったものだー」
 セララは手にした剣を回し床に突き立てると、快活に名乗りを上げる。
「では、一つ名乗らせてもらうよ!
 聖剣騎士団団長、ラグナロクのセララ参上! ハーモニアのみんなを攫う悪党たちめ、覚悟しろ!」
 そのセララの名乗りに、モフリーが身を仰け反ると、指を指しながら早口で捲し立て始めた。
「きたあああ! 聖剣騎士団団長セララ! 正義感が強くて優しい十二歳にして美少女魔法騎士!
 その手にする剣はラグナロク! 所持者によって救世の聖剣にも終焉の魔剣にもなる剣という話でさ!! くぅ~見てみたいですぜ、『劇場版魔法騎士セララ 妖精国と呪いの魔王』!!」
「わー、なんか見てきたように語るね、キミ」
 モフリーの熱量ある説明に思わず感心するセララ。
 そう、お気づきのようにモフリー・モスマンはイレギュラーズマニアであり、目の前に現れた本物のイレギュラーズに大興奮なのである。
「興奮すんな、モフリー! 唾が飛ぶ!
 しかし、奴等がイレギュラーズか。なんでぇ女子供の集まりじゃねぇか。どうやってここまで入ってきたんだ!」
 ゴズの言葉に、一人影より前に出た男が答える。『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)だ。
「こういった砦を冒険するスキルは心得ているのでね。
 それにお前達は気づいてないようだけど、この砦には多くの精霊が存在しているよ。彼等は非常にお前達に迷惑しているようだ。頼んだら快く手を貸してくれたよ」
「あ、アンタはまさか――ッ!?」
 今モフリーの脳内イレギュラーズデータベースが行人を検索し、照合、一致させる。それを確認したかのように、行人がセララに倣って名乗りを上げた。
「俺は伏見。こんななりだが、聖界正義の剣として末席を戴いているよ」
「旅人、伏見行人――間違いねぇ、『北辰の道標』伏見行人でさぁ! 成人男性のようにも見えるが、その年齢は不詳。自らの足で世界を見て回り、五感をもって世界を感じる、生粋の旅人!! 俺は知ってるぞ、絵を描くのが趣味で、旅装には絵画制作の道具が含まれてるが、人前ではなかなか描く姿を見せないってことを!!」
 モフリーの解説に驚きつつ肩を竦める行人。
「まあ、絵に関しては下手の横好きなんでね。
 ともあれ、依頼として受けたからにはお前達を逃がす理由はない。覚悟してもらおうか」
「ハッ、言ってくれるぜ。このゴズ率いる『ゴズ・レギオン』をそう簡単に潰せるとは思わないことだな! おい、モフリー次だ! 次はアイツについて教えろ!」
 ゴズが指さす先には、セララの後ろに立つ金髪の少女――『悩める魔法少女』ハイデマリー・フォン・ヴァイセンブルク(p3p000497)がいた。
「彼女はハイデマリー・フォン・ヴァイセンヴルク!! 聖剣騎士団団長セララと同じ十二歳にして強く戦略に長けた豪将!! 軍人にして魔法少女というミスマッチ差が萌えポイントであります!! 彼女の狙撃能力は目を見張るものがあるでさぁ! その聖剣名は最優の名剣『ナーゲルリング』!! 狙撃銃だけと剣なんでさぁ!!」
「……度し難い」
 不機嫌そうに言うハイデマリーに睨まれてモフリーが犬みたいな悲鳴を上げるが、これは確実に喜んでいる。
 こうして名乗りが続くと、ゴズとしても全員分聞きたくなってくるものである。若干冗長ではあるが、続く名乗りをご覧頂こう。
「やあやあ、遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!
 我が名はグラム! 竜を切り裂く者也! ……どうですセララさん決まってました!?」
「ばっちりー!」
 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)の見本のような名乗り口上にセララがグーをする。利香は夜魔剣グラムを突きつけ言葉を続ける。
「ご存じ防御役の宿娘ですよ! かわいい可愛い宿娘ですよ!」
「雨宮利香……幻想王都の宿『雨宿り』のドジっ子看板娘! しかしてその実態は聖剣騎士団のやべーやつ! 正体である夢魔の姿を見せればハーモニアの少年に目が無いショタコ……」
「だだだ、誰がショタコンですか! ちょっとかわいい子見たら胸の奥が熱くなってちょっとギフトで誘惑しようかなとか考えるだけですよ!?」
 なぜモフリーがそんなことまで知ってるのかはともかく、利香の反論は正真正銘やべーやつである。
「まったく利香さんは。ここは健全な私が聖剣騎士団の誇りを見せるしかありませんね。
 聖剣騎士団『オートクレール』、シフォリィ・シリア・アルテロンド! 高貴なる剣の如く参ります!」
 『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の名乗りにモフリーが興奮するように叫んだ。
「おぉぉぁぁぁ!? シフォリィ・シリア・アルテロンドぉ!!? マジに本物ですか!? あの幻想貴族アルテロンド家の令嬢にして銀色の長髪がトレードマークのシフォリィ! 聖剣名『オートクレール』を拝命し、令嬢ながら前線で剣を振るうあの!」
「ちなみに私の剣は突き主体のフェンシングスタイルですよ。それと令嬢などと言われますが、私は五人兄妹の末っ子ですので」
「それだけじゃないでさぁシフォリィ! 俺は知ってるでさぁ、アンタの薄い本が出回ってたことを!!! 手に入れるのにどれだけ苦労したことか! 悪事で稼いだ金が全部なくなっちまったでさぁ! あ、いつもお世話になっております」
「いやーー! 聞きたくない聞きたくない! 
 ……っていうか、なんでも持ってるんですか案件ですよ。許しません、燃やしますよ」
 青白い妖気をたなびかせ妖刀を構えるシフォリィ。
「いやあ、シフォリィさんも人気だねぇ。次は盗賊さんとくっころシリーズかい?」
「そんなものはでません。出ても全部焼き払います。焚書です」
 『おにいちゃん』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)の言葉に反応して、本にとっての禁忌を口にするシフォリィの眼はマジだ。
「そういうお前はカイト・C・ロストレインか!? あの天義の騎士家ロストレイン家の長兄にして六枚羽の正義の騎士!」
「よくご存じのようだね。ならば、名乗ろう我が名を――来い! ロストホロウ!」
 呼び声と共に砦の天井が崩落する。それはカイトのギフトによって引き寄せられた魔剣によるものだ。
 突き立った剣を前に、カイトが高らかに名乗りを上げる。
「【勝利の王剣カリバーン】カイト・C・ロストレイン! 悪は全て断罪だっ! 幻想種の子達を返してもらうぞ!」
「か、かっけぇでさぁ……亡き妹から聖剣名を引き継いだって噂は本当だったんだな……俺も一度でいいからあんな風に自分の武器(ベストフレンド)を呼んでみたいものですぜ」
 感激しているモフリーは更に一歩前にでた少女に視線を合わせる。『穢翼のLast Ans』アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム(p3p000669)だ。
「ご機嫌よう皆様。聖剣騎士団が一人、【モラルタ】の称号を冠るアリシアと申します」
 アリシアの微笑みにモフリーは身震いする。
「アリシア・アンジェ・ネイリヴォーム。異界からやってきたという吸血鬼という話でさぁ……その聖剣名モラルタは全てを切り裂く一太刀……ぶるぶる、まさに夜の帝王って感じですぜ」
「夜の帝王ではないのだけれど、夜の一族であるのは間違いないですね。
 まぁ私は新参ですから、あまり知られていないのかもしれないですけど。それと――」
 と、まるで自分の背後に話しかけるようにアリシアが言う。
「『私』は落ち着きなさいな」
「な、なにかがいるのか……!?」
「アリシアちゃんは『もう一人のアリシア』ちゃんと共にあるのだ。霊感が強ければうっすら見えるかもね?」
 団員のことはなんでも知ってるのだ、とセララが胸を張った。
「それでぇ……テメェが最後か……」
 ゴズが睨みを効かせて最後の一人―― 『超面倒臭いネガティブ系お嬢様』フォルテシア=カティリス=レスティーユ(p3p000785)を威嚇する。
 フォルテシアはまるで意に介さないように笑顔で名乗りを上げる。
「初めまして皆様方。そしてさようならになるかも知れませんね。
 私はフォルテシア=カティリス=レスティーユ。
 与えられし聖剣の御名は『フラガラッハ』。答える者、或いは報復する者、という意味を宿します」
「知っているぞ。フォルテシア=カティリス=レスティーユ。海洋で代々続く鳥種の名門、レスティーユ家の娘。
 その繊細な見た目通り、生まれつき貧弱で非力と聞くでさぁ。なんでも食器より重たい者は持てないお嬢様だとか」
「ええ、ええそうです。
 私は見ての通り、騎士とは申せ剣は持たぬ身。いえ、実際には持てないのですけど。
 さりとて戦えないわけではありませんよ。
 貴方には特別にご覧にいれましょう。敵を打ち据え縛る血の鞭を……ウフフフ」
 そう言って魔力を弾丸にして放つロングバレルを見せ黒い笑顔を浮かべる。
「おい、食器より重たいものは持てないんじゃなかったのか!?」
 狼狽するゴズにモフリーが答える。
「ヒロイックサーガに憧れて冒険者になってから力が付いたんじゃないですかね? 本だって重たいものは重たいし、なんというか言葉の綾ってやつでは?
 なんにしてもその白い翼がまるで天使のようで、守ってあげたくなるタイプでさぁ!」
 興奮冷めやらないモフリーが並び立つ聖剣騎士団の面々を見やる。
「これが……本物のイレギュラーズ……本物の聖剣騎士団……!
 ボス、やばいですぜ。本物が来ちまった……俺らの全滅は必至ですぜ……!!?」
 怯えるモフリーにゴズが豪快に笑う。
「丁度仕事も終えて退屈してたところだ。それにお前が言うイレギュラーズってのが本当に有名なら、コイツらも金になるかも知れねぇ!
 男はともかく、女もガキも上玉だ。ブチ転がしてコイツらも奴隷にしてやるぜ!!」
 ゴズが吠えるように言うと、大柄な曲刀を手にホール中央へと立った。
「さぁ来な!! ゴズ・レギオンがお前らを叩きのめしてやるぜ!!」
「フフン。勝てると思わないことだね!
 いっくよーみんなー! 聖剣騎士団、とっつげきー!」
 セララの号令を合図に、盗賊団『ゴズ・レギオン』との戦いが始まった。

●聖剣を冠する者達の戦い
 聖剣騎士団の面々は作戦通りボスを取り囲む盗賊団メンバーから排除しに掛かった。
 元傭兵で、戦闘能力の高い盗賊達だが、やはり個々戦力はイレギュラーズに及ばない。
 一人、また一人と倒れて行き、残るはボスであるゴズと逃げ腰のモフリーだけとなっていた。
「チィ……なかなかやるようだがコッチにはモフリーがいる!!
 おい、モフリー! あいつらの弱点を言え! お前なら知っているだろう!!」
「じゃ、弱点ですか……!? そりゃ、カードの能力値なら全部覚えてますけど……カードですぜ?」
「いいから言え! このままじゃやられちまうぞ!」
「取り込み中のようですが、残すは貴方一人。覚悟して貰います――!」
 アリシアが圧倒的な眼力でゴズの死角を見定め回り込む。その手には紫電走る魔法刃。
「ア、アリシアは……高目の数値で纏まったバランス型でさぁ! 即ち穴がねぇ……!」
「初手からそれでどうすんだ! なんかねぇのか!」
「攻撃力は低めでさぁ! 耐えてくれ、ボス」
「よくご存じで……でもそれは穴にはなりませんね」
「チィィ……!」
 放たれる呪術を纏う斬撃にゴズの精神が恍惚にも近い状態へと導かれる。
「フォルテシア様――」「心得ています」
 遠距離から中距離へと距離を詰めていたフォルテシアが自らの血を媒体に鞭を生み出して、ゴズを縛りあげ切り裂いていく。
「ウフフフ、どうです? 痛いですか? 私はすぐに血を吐いてしまいますが、こうして技として使う事ができるんですよ」
「あぁ!? フォルテシアはそれなりに神秘攻撃力があるんでさぁ! しかもアリシアとの連携でボスの体力が見る見る削られていっちまうぅ!」
「みんな連携でボスを追い詰めていくよ!
 くらえ! 聖剣クロススラッシュ!!」
「合わせよう団長! 戦女神の加護をこの身に! ラ・ピュセル!!」
 セララとカイトがゴズの左右に回り込み、勢いままに聖剣を振り抜いて技を見舞う。
 攻撃の手は止まらない、セララがフェニックスのカードをインストールする。
「な、なんだあのカードは!? 俺は知らないぞ!!?」
「魅せてあげるよ、ボクの新必殺技!」
 炎翼を羽ばたかせ、接近からの超高速の連続攻撃!
「セララフェニックス!」
「ぐおお、ガキなのになんて重い連続攻撃だ……!」
 呻くゴズに、モフリーは顔を覆ったまま言葉を零す。
「と、当然ですさぁ……セララはイレギュラーズ内においてもトップクラスに位置する騎士……高い能力で纏まった数値はまさにSSR級でさぁ……!」
「チクショウ! やられてばかりいるかよ! こいつを喰らえ!!」
 ゴズが傭兵時代に磨き上げた延焼斬りを魅せる。その名の通り斬りつけた相手を燃やす恐るべき技だが――
「あ!? だめだボス! カイトは特殊抵抗が高いでさぁ! ボス得意の延焼斬りもこいつには効かねぇ!!」
「それ以前の問題さ。僕のロストホロウには守護の魔炎纏う魔石が取り付けられている。どのような炎であっても僕とロストホロウには通用しない――!」
 まるで操るように炎を手繰り振り払うカイト。彼の勇姿を見て、人質になっていた幻想種達が「すごい」と声を漏らした。声に気づいたカイトは、
「大丈夫だ、すぐ助けてやるからな」
 と、優しく声を掛けた。
 連携攻撃はまだまだ続く。
「部下も結構タフだったけど、ボスもまたタフだね……けれど――!」
 仲間に、そして人質となっている幻想種に攻撃が行かないようにと、行人が身体を張ってボスを釘付ける。
 叩きつけるブロッキングバッシュはゴズの身体を痺れさせ、動きを止めたゴズの腹へと『傲慢な左』が撃ち込まれた。
「戦闘経験こそセララに及ばないが、伏見行人もバランス良い数値でさぁ! 今撃ち込まれた必殺の左は、全ての防御を無力化するぅ!」
「そういうことは早く言えっ!」
「……お喋りはそこまでであります」
 モフリーを叱責するゴズを照準に収めて、ハイデマリーが引き金を引く。
「ボスゥ! 正確に、ボスの腕と足を射貫く射撃! まさに白き魔法少女の夜でさぁ!?」
 もはやモフリーの解説は意味不明だが、なんとなく凄いというのは伝わってきた。
「ちくしょう……負けねぇ……負けねぇぞ……俺はこの奴隷売買で一山当てるんだァ!」
「まったく往生際が悪いですね」
 曲刀を我武者羅に振るうゴズへと、利香が一足飛び肉薄し――そこから更に、肉体に魔法電流を流して加速して、目にも留まらぬ速度で切り刻む。最後の一閃を跳躍の勢いで斬り上げた妖艶なる乱舞に然しものゴズも意識を失い倒れた。
「かわいい盾持ちとだけだと思ってました? 私はこういう事だって……できるんですよ!」
「可愛い宿娘かと思いきや……やっぱり夢魔……!」
 一人残されたモフリーは手の指を噛みながら、この後に待ち受ける自身の末路に震えた。
「さて……そういえば。わ、私の薄い本を持ってるとか言ってましたね?」
 ニコリと可憐に笑うシフォリィはしかし怒気孕むオーラが見える。
「ひぇ……お助け!」
「どこにあるか白状してもらいましょうか。皆さんアレをやりましょう!」
 掛け声をあげるシフォリィ。手にした剣で突きまくる準備は万端だ。
 そして聖剣騎士団必殺の『聖剣オクタアタック』がモフリーに炸裂するのはすぐ後のことだった。

「一本では折れてしまう矢も三本集まれば折れない。
 それをボクらは伝説の聖剣が八本だ! どうだ、参ったか!」
「いいか! 悪の道に落ちた野郎共!!
 今日ここでお前達は盗賊を辞めるんだ!!
 真っ当に生き真っ当に償うんだ。
 じゃないと何度でも僕たちは君たちを止めに来るだろう!」
 セララとカイトの駄目押しの口上で、盗賊達は観念したようだった。
「もう大丈夫だ。俺達が君達を日常に返すから……立てるかい?」
 こうして盗賊達に攫われた幻想種達は救われて、聖剣騎士団、そしてその団員達の名は広く漫画と共に伝わることになったとさ。

成否

成功

MVP

セララ(p3p000273)
魔法騎士

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様でした!

 MVPは団長セララさんに送ります。

 リクエストありがとうございました! また機会あればよろしくお願い致します!

PAGETOPPAGEBOTTOM