シナリオ詳細
子供を奪い去るコウノトリ?
オープニング
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天義……聖教国ネメシスという国は、神と呼ぶべき世界の意思、高位存在、聖なるかなをとても尊ぶ宗教国家である。
そんな土地柄であるからこそ、子供というのは神様からの授かりものという考え方をしても不思議ではない。
一部ではとある世界からの影響もあり、コウノトリが赤ん坊を運んでくるという考え方があるらしい。
それもあって、コウノトリを大切にする人々も天義では珍しくない。
ところが、そのコウノトリが大型化した魔物となり、生まれたばかりの赤ん坊を狙って連れ去ろうとする事件が一部で起こっている。
魔物となったのは1羽のみのようだが、人を恐れず見境なしに赤子を狙うこのコウノトリは、どんな場所でも見境なしに襲い掛かってくるから面倒な相手だ。
幸い、事件は小規模である為、天義の人々に周知されるほどにはなっていない。
だが、それだけにこのコウノトリの対処は難しく、聖騎士達もどうしたものかと頭を悩ませていたようだった。
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幻想、ローレットから派遣され、天義までやってきたイレギュラーズ達。
そこに待っていた青い髪の海種の少女、『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が大きく手を振って。
「お待ちしてました。遠路はるばるお疲れ様です」
依頼の度、混沌のあちらこちらを飛び回ることもあるアクアベルも大概なのだが、それはそれ。
依頼書で簡単にはメンバー達も概要を知らされていたが、詳細について彼女へと問う。
「このところ、魔物となったコウノトリが生まれたばかりの赤ん坊を襲撃する事件が確認されています」
赤ん坊連れで買い物する主婦が襲われたり、孤児院で寝ている赤ん坊が狙われたりと、襲撃場所や状況は様々。
ただ、そこまで回数が多くなく、現状は天義も聖騎士らが追い払うなどで対処できていることもあって、問題視はされてはいない。
しかし、アクアベルは、聖堂で行われる赤ん坊の命名式にまでコウノトリが襲い掛かってくるのを予見している。
「聖騎士達もいる中での襲撃ですが、聖騎士達も一般参加者を護っていますので、赤ん坊の守りまで手が回らないようです」
窓を突き破って現れるコウノトリは聖堂を襲撃し、赤ん坊を連れ去ってしまうようだ。
聖堂は聖騎士、一般参加者を含めて150人ほどが参列している。
イレギュラーズ達もそこに参列し、コウノトリを倒さぬようしながら子供を護りたい。
「それまでの事件はさほど公になっていませんから、コウノトリの命を人々の前で奪う行為はNGです。生まればかりの子供がいる前では、心象も最悪ですので……」
撃退できれば、コウノトリは逃げていくはず。
追跡ができればそのまま天義の人々が見ていない場所で撃破を。見失ったのであれば、別の手段でつり出してから撃破したい。
いずれも、街の外で討伐することになるだろう。
少しばかり厄介な状況だが、天義という場所故に仕方ない状況もある。
「なるべくことを荒立てないように、この魔物となったコウノトリの撃破を願います」
そうして頭を上げ、アクアベルは説明を締めくくったのだった。
- 子供を奪い去るコウノトリ?完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年09月08日 21時25分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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ローレットのイレギュラーズ一行がやってきたのは、天義某所。
とある大聖堂では、子供の命名式が行われるとあって、『ムスティおじーちゃん』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が喜ぶ。
「子供が産まれるのはとってもめでたい!」
僕もなかなかできなかったと、ムスティスラーフは息子のことをしんみりと思い出す。
だが、そんなまだ名もない赤ん坊を魔物が狙ってくるのだという。
「神聖なネメシスで魔物騒ぎはいけない」
この事態の解決の為、天義の騎士見習い『太陽の弟子』メルトリリス(p3p007295)も気合を入れる。
「赤ちゃんを攫おうとするなんて、悪いコウノトリさんだなぁ」
天義出身の幻想種、『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)がいうように、今回の討伐対象は魔物となって大型化したコウノトリだ。
旅人である吸血鬼、『幻灯グレイ』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)もコウノトリが赤子を運んでくるという話は何処にでもあるものなのだと認識していたのだが。
「……とはいえ、奪い去って行くのは聞いた事がありませんね……」
彼女が言うように子供の躾になりそうな話かもしれないが、天義においてそれは簡単には浸透しそうもない。
いくら魔物化したとはいえ、命名式という場で赤ん坊を運ぶ鳥を人々の目の前で命を奪うわけにはいかない。
「確かに、具体的な被害がなければ暴力は悪いことかもしれぬ」
鉄騎の金髪女騎士、『背を護りたい者』レイリ―=シュタイン(p3p007270)もその天義の考え方には一定の理解を示す。
「でも、未然に被害を防ぐためなら、力は必要になることもある」
何より、それで弱者を護れるのなら、これ以上の正義はないだろうとレイリーは持論を語る。
「こんな非常事態に、天義の印象も何もあるかって話なんですけどね」
同じく鉄器種、機械の猫耳とコンセント状の尻尾を持つ少年、『孤高装兵』ヨハン=レーム(p3p001117)は小さく首を振る。
イレギュラーズは1人護るだけで一苦労なのに、魔物は好き勝手に殺生するのだからたまらない。
とはいえ、情報屋アクアベルの頼みならば、魔物は抑えるとヨハンは告げて。
「抵抗できない赤子を狙うというのは頭にきますね」
本音も見せたヨハンに、重装甲の鎧を纏う人間種の『紅蓮の盾』グレン・ロジャース(p3p005709)も同意して。
「赤ん坊の安全確保が最優先だ」
「喜びに水をさされないようにしっかり守ってあげないとね!」
さらに、ムスティスラーフも大きく首肯していた。
「攫われないように全力を尽くさないとね」
万が一、攫われた時のことをスティアは考え、最悪の事態まで想定して。
「そんなことは絶対にさせるもんか!」
声を荒げたスティアに、皆一様に同意したのだった。
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大聖堂で始まる命名式には、多数の人々が参列している。
そんな中、腰まで届く黒い髪の旅人、『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)はできる限り、コウノトリに関する情報を集めていた。
「決まった方向から来ていたり、決まった方向に帰ったりしてないデスかねぇ」
『カリスマ』、『コネクション』、『情報網』。
スキルを駆使し、美弥妃はこの近辺に住む住人から数少ないコウノトリの目撃衝撃を集めていく。
「大体の範囲がわかればいいのデスが」
さすがに、巣がある場所まで把握している人はいなかったが、飛来していく方向などは美弥妃もある程度察知できていたようだ。
聖堂内にイレギュラーズ達も入って式に参列し、警戒を強める。
クローネはファミリアーを呼び出し、超視力を伴って警備させていると。
「……来ます」
その姿を確認したクローネが仲間……とりわけ赤ん坊の守りへ入るメンバーへと呼びかけ、もう1体のファミリアーを使役し始める間に、聖堂へと大きな影が窓を割って飛び込んでくる。
まさしく、全長2mもある魔物化したコウノトリだ。
「「「うあああっ!!」」」
突如、現れた空飛ぶ大きな魔物にどよめく一般参列者達は天義の聖騎士達が守りに当たっていたが、大きな翼を羽ばたかせてくる魔物は聖堂奥の台の上に乗せられたまだ名もない赤ん坊を狙ってくる。
聖騎士達のカバーが間に合わぬ状況の中、グレンが魔物鳥の行く手を遮る。
「俺は行く手を阻む鉄壁……いやさ要塞、ってな!」
コウノトリの相手は、俺たちイレギュラーズ達が。
グレンはギフト「守護の誓い」を使い、敵の前に立ちはだかる。
周囲に警戒を払っていたスティアも保護結界を展開し、聖堂内の物が破壊されぬよう尽力していく。
ムスティスラーフも壇上の赤ん坊を見つめると、何が起こったのかわからず、不安そうに泣いていたようだ。
(魔物に襲われてる時間なんて、一秒でも少なくしてあげたい)
その為、ムゥティスラーフは聖堂内で頭上を飛ぶコウノトリ目がけ、投げキッスと共に光りの矢を飛ばす。
すると、魔物鳥はくちばしをカタカタ慣らし、ムスティスラーフ目がけて近づいてくる。
相手が興奮し、怒りを燃え上がらせている間は、ムスティスラーフはダメージ覚悟で敵の気を引く。
くちばしに突かれ、傷を負ってしまうムスティスラーフ。
「赤ん坊が受ける怖さに比べれば、どうってことはないよ!」
この後のことも考え、彼はほとんど防御面のことを考えてはいない。
その分、エスプリ「罠の城」をいかし、コウノトリが攻撃すればするほど、ダメージも増えていく。
同じく、ヨハンも赤ん坊に被害が及ばぬようにカバーへと入り、エスプリ「レギオン」で近づくコウノトリを牽制する。
今は怒りの効果もあって近距離戦を仕掛けてくるが、それが解ければ、羽ばたきでこの場のメンバーを吹っ飛ばしてきかねない。
それもあり、ヨハンは飛ばされても赤ん坊を護れるように仲間と連携する。
その1人、グレンも赤ん坊を護る布陣に加わって。
「さぁ、来いよ。焼き鳥にしてやるぜ、チキンやろ……ごほん。なんて挑発は不味いか」
さすがに、天義の人々の目を気にして軽口を自重する彼は、防御を固めながらマーク、ブロックでコウノトリの進路を断つ。
とはいえ、至近距離での攻撃のみ行う敵の攻撃の威力は侮れない。
スキルで自身の肉体を再生しながらも、グレンも赤ん坊の守りを続けていく。
「皆の避難を。赤ん坊はこちらで護ります!」
レイリーは敵襲後、信仰蒐集を活かして聖騎士達に一般市民の避難を依頼し、赤ん坊をこちらに任せてほしいと伝える。
まだ、コウノトリが赤ん坊に近づけていないことをメルトリリスも確認しつつ。
「ご安心を! イレギュラーズはむやみに殺生致しません。子供を守りに来たのですから」
イレギュラーズがコウノトリを攻撃しているのを悪く見られない為、メルトリリスは人心掌握術を使って説得も行う。
「さあ、早く、此処から逃げてください!」
参列者達も巻き込まれぬよう逃げていく。
そうした仲間の説得が人々に届くのを確認し、クローネも相手の体を黒いキューブで包み込む。
その中でもがく敵目掛け、美弥妃も聖光を放って魔物鳥に強い衝撃を与えていた。
出来る限り、コウノトリへと目に見える形で傷つけないよう気遣いながら、イレギュラーズ達は敵をこの場から追い払おうとしていた。
「まぁ、コウノトリが諦めるまで立ちはだかる根比べですかね」
とにかく、この場は耐えねばならない。
ヨハンも庇いを徹底して魔物鳥から赤ん坊を護り、くちばしで突かれた傷は不滅のごとくイモータリティで自らの傷を癒やしていく。
頑丈な装甲で護りに当たるレイリーもまた盾『ゼシュテルグレート』を構え、特攻してくるコウノトリをしっかりとブロックし、さらに素手で追い払おうとする。
「絶対に無傷で守り切る!」
レイリーの意志までは、コウノトリのくちばしも貫けなかったようだ。
一方で、仲間以上に投げキッスと光の矢でコウノトリを煽っており、集中して攻撃を集めていたムスティスラーフ。
防御技能をほぼ捨てていた状況もあり、さすがに強力なくちばしでの一撃によって、見る見るうちに体力を削られていた様子。
祈りと共に角から放たれる蒼碧の光で自らの傷を塞いではいたが、さすがに耐えきれなかったのか、パンドラの力に縋ってしまっていた。
メルトリリスはそんなムスティスラーフを含め、抑えに当たる仲間達へと恐怖を打ち払う力を与えていく。
幾度か相手を黒いキューブに包み込んでいたクローネは、コウノトリが感電したことで、氷の鎖で縛り付けようとする。
「止めて、鳥さんを傷つけないで!」
そんな中、天義の子供から叫ぶ声が。
目に見えての直接攻撃はさすがに、天義の人々にとって印象が悪い。
それを目にしながらも、美弥妃は聖なる光でコウノトリの動きを止める。
しかし、怒り状態が解けた敵は飛び上がり、羽ミサイルを真下に向けて放ってくる。
「聖なる加護……のお陰かは知らねえが、俺の護りと抵抗力を抜けると思ってくれるなよッ!」
そこで、グレンが振るう刃で受け流し、シリウスの盾で防いで見せる。
「ただの要塞と違って、脚があるんでな!」
攻めあぐねたコウノトリは、これ以上は割に合わないとでも判断したのだろう。高く飛び上がり、そのまま突入してきた窓から外へと飛び出していったのだった。
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外に飛び出したコウノトリ。
そいつ目がけて、メルトリリスが無数の見えない糸を放つ構えも見せてはいたが、赤ん坊を諦めていたこともあり、手を出さずに追跡に転じていた。
他メンバーもまた、見失わぬようにと動く。
クローネはすぐさまファミリアーの使役に集中し、超視力を使って地上、上空の2方向から相手を捕捉しようとしていた。
「機動力の高さには自信があるからね」
ムスティスラーフもそのまま簡易飛行を使いつつ、離されないように追跡していく。
事前に魔物について調べていた美弥妃は仲間達とその情報を共有しつつ、仲間と追跡に動く。
追いかけようとするイレギュラーズに、この場の人々から苦言もあったが。
「出来るだけ遠くに追い払って、この周辺に近づかないように念押しするだけデスよぉ」
そう美弥妃は告げ、人々を刺激させぬようしてから聖堂を後にしていく。
人気のある場所では、あの大きさの物体が浮遊していればさすがに目立つ。
グレンも騒ぎの声や目撃衝撃を頼りに追いかけていく。
追跡を仲間に託すヨハンは急に不意打ちする可能性も考え、仲間の盾となるべく敵の強襲に気を配る。
これからの戦いに備え、スティアは魔力を活力に変換して仲間に与えたり、天使の歌声を響かせ、優しい光を発したりして傷を塞いでいた。
仲間達がうまく追跡していたこともあり、スティアは回復、態勢の立て直しに注力していたようだ。
街の外まで追跡するイレギュラーズ達。
クローネのファミリアーと、ムスティスラーフの追跡から逃れられぬコウノトリは、敵は町の外にあった沼の近くへと降り立っていた。餌でも食べて体力回復を考えていたのだろう。
「ここまで来たなら、出し惜しみ無しだ」
それを見たムスティスラーフは、目印になるようにと大きく息を吸い込む。
そうして、彼は目印になるようにと、全力全開で空に向けてむっち砲を発していく。
エネミーサーチで敵の居場所を察したメルトリリスは、その地点までレイリーを抱えて飛行していく。
レイリーも捜索スキルを駆使し、コウノトリが逃げる方向を推測していたが、うまく相手を捕捉出来ていたようだ。
「いたな……。今度こそ」
天義の人々の視線がない場所であればと、レイリーは防御重視の耐性をとって名乗りを上げる。
「今度はわたし、レイリー=シュタインが相手だ」
レイリーはコウノトリが自身に狙いを定めて飛び掛かって来たことを受け、全力で防御に専念する。
人目を気にせず自由に戦えるのであれば、メンバー達も容赦なく攻撃に出る。
グレンが相手のブロックに当たる中、ヨハンは並々ならぬ気概で燐光を纏う巨大な大剣「フルムーン」を両手で握りしめて。
「僕は絶対にこんな魔物は許さない。狩られる恐怖というものを教えてやる」
防御重視から積極的に攻撃に出るヨハンは光の斬撃を十字に刻み、相手を牽制していく。
仲間が抑え続けている状況であれば、クローネも先程同様に黒いキューブでコウノトリを包み込み、そいつに様々な苦痛を与えていく。
周囲には幸い、一般人の姿はない。
スティアはそれを確認しながらも、主に抑えへと当たるレイリーの回復を行い、魔力を優しい光に変換して彼女を包み込んでいた。
総力戦にはなってきていたが、聖堂における攻防でコウノトリの疲弊はかなり激しい。
「聖獣として扱われようと害をなせば害獣。悪いがここで仕留めてやるぜ」
状況が整ったことで、グレンも「守護聖剣ノルン」を手に意志の力を破壊力に変えてコウノトリへと叩き込んでいくと、敵は苦しそうに息をしていた。
身を挺していたムスティスラーフやヨハンの反撃によって、敵は相当なダメージを受けていたのだろう。
だが、敵はそれでも時折羽ばたき、巻き起こる風と合わせて羽を飛ばし、イレギュラーズへと応戦を続けてくる。
それでも、スティアが余裕持って抑えに当たるレイリーの回復に当たっており、イレギュラーズ達の優位は覆らない。
「もう容赦はしません」
――神の遣いでもある貴方をこれ以上陥れない為にも。
こんどこそと、メルトリリスは見えない糸で敵を絡めとり、その身に深く食い込ませながらも捕らえて離さない。
「そろそろ、観念してくれませんかねぇ……」
そこ目がけ、美弥妃が「フォールーン・ロッド」に魔力を纏わせて全力で殴りつければ、ヨハンが再び月のごとく美しい刀身から十字に光の斬撃を浴びせかけていく。
「……貴様は生かしてはおけない!!」
十字に体を切り裂かれ、苦しむコウノトリ。
そいつはなおも大きく羽ばたいてメンバー達をふっ飛ばし、距離を取ろうとするが、逃れた面々がさらに畳みかける。
「赤ん坊をどうしたかったのはわからないけど、奪うのはだめだよ」
期待、希望を意味するパンドラ。
その名を持つ武器を、ムスティスラーフが一閃させて。
「安らかに眠ってね」
ヨハンの傷を抉るような一撃を受け、苦しむコウノトリへとさらにクローネが精神力を弾丸に変えて相手を撃ち抜く。
クローネにとって、何度も使うことはできぬ極め技だ。
だが、敵はよろけながらも踏みとどまり、カタカタとくちばしを鳴らす。
「いくらすばしっこくても、追い詰められれば形無しだな!」
でかい図体もあり、グレンは相手を逃すことなく抵抗の破壊力を地面へと炸裂させていく。
大きく目を見開いたコウノトリはついに卒倒し、沼の中へと落ちていったのだった。
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無事、赤ん坊も守り切り、天義の人々の知らぬところで魔物となったコウノトリも討伐して。
一行は再び命名式に戻ると、赤ん坊を護ったイレギュラーズ達に命名を求められることとなる。
「えっとね、ラナン君とかどうかな?」
まず、スティアが幸福の花言葉を持つ、紫のラナンキュラスの頭3文字をとってみたとのこと。
「そうだねえ、『ドロフェイ』なんてどうだろう?」
ムスティスラーフの発案した名前は、彼の世界で神様からの贈り物という意味を持つそうだ。
「神様の祝福があるといいよね!」
ヨハンも仲間達の発案を聞きつつ、一つ名前を出す。
「結局、僕たちは何かを奪って生きているんです」
魔物もそうかもしれないが、奪った分だけ与える人になれという古い伝えがあるとのことで。
「その伝承者に肖って、グランなんてどうでしょう?」
イレギュラーズ達の提案する名前を一つずつ、赤ん坊の両親が頷きながら耳にする。
「鳥に攫われず地に足付く? という感じでいいなぁと思いましたぁ」
さらに、美弥妃が大地、地球といった意味を持つらしいジェミャという名前を。
「……童話の中のコウノトリにも、赤子を運ぶ話があってですね」
それは、悪い子のところには死んだ赤子が、いい子の所には元気な赤子が来るというもの。
クローネは童話の中からとった名前として、いい子の名前ペーターを提案した。
皆の名前も決しても悪いとは思っていなかった両親だったが、一番心に響いたのはメルトリリスの出した名前だった。
「ラズワルド、とかどうかな」
それはラピスラズリ……瑠璃の語源ともなった言葉で、とある場所で天、空、青といった意味を指す。
「その、幸運を呼ぶ空の名前……ほら、魔物に襲われて助けられた幸運の子、だから……!」
「ラズワルド……いい名だ」
両親もメルトリリス提案の名を喜ばしく受け取ると、赤ん坊は……嬉しそうに手を伸ばして反応して見せた。
そして、改めて、その両親はイレギュラーズ達に、息子を助けてもらったこと、そして、名前を授けてくれたことを感謝してくれた。
命名式を終え、名前を授かった赤ん坊、ラズワルドは幸せそうに夫婦に抱かれて聖堂を後にしていたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
リプレイ、公開です。
MVPは赤ん坊を主として守り、追跡にも貢献したあなたへ。
赤ん坊の名前は今回の1件に絡め、
とても綺麗な名前だと感じましたので、選ばせていただきました。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
天義において、赤ん坊を狙うコウノトリの魔物が目撃されております。
お国柄、大っぴらに倒すのが難しい相手ですが、うまくつり出して討伐していただければと思います。
●敵……魔物×1体
◎コウノトリ
全長2mほどもある魔物となった鳥です。
・クチバシ……(A)物至単・出血
・羽ミサイル……(A)物遠列・足止
・突進……(A)物中単・ブレイク
・羽ばたき……(A)神中扇・崩れ・飛
・麻痺睨み……(A)神遠単・万能・麻痺
・飛行……(P)飛行可能
●NPC
赤ん坊……生後1日程度の赤ん坊、男の子です。
まだ、名前はありません。
●状況
まずは、とある街の聖堂で行われる命名式、生まれたばかりの子供を連れ去ろうとするコウノトリの対処を願います。
むやみに命を奪おうとすると、その場の天義の人々に悪印象を抱かれてしまうので、うまく対処して追い払ってください。
その後、コウノトリを追跡できれば追跡、見失ったらおびき寄せして天義の人々が見ていない場所で討伐していただければと思います。
赤ん坊を護り切って、コウノトリを撃破した後なら、改めて命名式に参加した際に名前を付けることができます。
基本、由来などがあってよい名前 or MVPの方がつけた名前などを優先する形です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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