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シナリオ詳細

わんぱく海賊団の楽しいかいぞくごっこ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●少年海賊団
「おれたち!」
「しょうねん!」
「「かいぞくだん!!」」
 三人の少年少女が、合体ポーズをとって叫んだ。
 ここは島の港。ニャーニャーなく海鳥がいちわ、彼らの頭上を通り過ぎていく。
 それ以外はなにもない、きわめて平和平和した港であった。
 ポーズを解いた左側の少年、人呼んで『音サンダル』のペッキー。
 いつもキュッキュかわいい音の鳴るサンダルを履いている彼は少年海賊団の頭脳である。
「ねえ、今のインパクトよわくないです?」
「かなあ……絶対かっこいいと思ったんだけど」
 両手をY字に掲げ片足を立てた姿勢のまま振り返る中央の少年。人呼んで『はりもみ』のジレン。
 もみあげんとこの毛髪だけなんか針金みたいに硬いのでずっと伸ばしているという彼は少年海賊団のリーダーだ。
「そんなことよりプリンたべたい」
 右側でもうとっくにポーズを解いてた少女、人呼んで『お花畑』のアリシア。
 頭の中がお花畑だからっていう理由を本人に話すとぐるぐるパンチが飛んでくるというおそろしい彼女は少年海賊団の紅一点だ。
 そんな彼らのブームは、名前からも察する通り……『海賊ごっこ』であった。

 この人口38人のピスピス島でくらす子供はこの三人のみ。
 他はだいたい高齢者というかなーり年齢層の偏った島で、子供たちはひたすらに退屈していた。
「ペッキーたちもじきに大きくなる。そうなったとき、この島を出て行ってしまうと思うと……」
 震え声の老人。というか実際身体もぷるぷる震えてる老人が、懐から布を取り出して目尻をぬぐった。
 ここは島唯一の集会場。
 その名も愉快な『ピスピス公民館』である。老朽化の激しい木造小屋の中で、ジジイはぷるぷるしながらローレットのイレギュラーズと『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)たちにお茶をだしていた。
「なにもない島じゃ。今ですら退屈しておる。明日にでも都会に行きたいと言い出すじゃろう」
「ここはわしらが一肌脱いで……と思ったが」
 周りに集まるぷるぷるジジイたち。
 この島には子供とぷるぷるジジイしか住んでないのかと思うくらいに総出でぷるぷるすると、いい具合にコインが詰まった袋をスッと取り出してきた。
「いかんことにわしらはこの通りプルプルしておる。子供の遊びに付き合って走り回る体力がないんじゃあ」
「けんど、ローレットさん。あんたらなら体力がびんびんにある」
「ペッキー、ジレン、アリシア……この三人の遊び相手になっとくれ。一日だけで、いい!」
「おまかせください! なのです!」
 ガタッと立ち上がり、胸を叩くユリーカ。

 こうして始まった、ちょっと風変わりな依頼。
 依頼内容は子供たちと遊ぶこと。
 じゃあなんだい追いかけっこでもするかいと持ちかけたところ、子供たちは三人そろってこう言った。
「「海賊ごっこ!!!!」」
 そう、あなたは今、海賊ごっこを、求められているのだ!

GMコメント

■依頼内容
 子供たちと一緒に海賊ごっこで遊びましょう
 どこまで本格的にするか、船をいっそ出しちゃうか、ドンパチも見せちゃうか……なんてあたりを、皆さんで話し合ってみてください。
 ダメなことがあるとすれば子供たちが大けがすることくらいなので、わざと傷付けようとでもしない限りは大丈夫でしょう。

■役割を決めよう
 子供たちは海賊ごっこがマイブーム。
 なので彼らは海賊の役をやりたがりますが、普段相手にしているのが草とか山羊とかなのでとても欲求不満です。
 皆さんなりに配役を考えて、子供たちのごっこ遊びを盛り上げてあげましょう。
 皆さんの考えた筋書きで子供たちを楽しませ、『海賊ごっこ』をやりきればシナリオクリアです。

 余談ですが島のぷるぷるジジイたちも若干乗り気です。
 体力がないのでたいしたことは出来ませんが、『これやる?』と勧めたらやってくれるでしょう。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • わんぱく海賊団の楽しいかいぞくごっこ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年09月11日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
清水 洸汰(p3p000845)
理想のにーちゃん
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ
プラウラ・ブラウニー(p3p007475)
普通のソードマスター

リプレイ

●ピスピス公民館にて
 畳敷きの広間に低い長机と座布団を並べ、人数分のお茶とテキトーなお菓子を囲みながらイレギュラーズたちは顔をつきあわせていた。
 ひとくちせんべいをぽいっと口に放り込み、『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)が後ろへ倒れるようにのけぞった。
「決まった遊び仲間が居るのは良いことだけど……子供達にとっちゃあマンネリは大敵だし、じーさんばーさん達に無茶はさせらんねーし……なにより刺激がほしいよな! やっぱ!」
 ぐいんと姿勢を戻し、座布団の上へはねるように立ち上がる。
「よーし、このコータ様達に任せとけー! 皆もやるよな!」
「「やるー!」」
 ぴょーんとテーブル(ちっちゃい座布団完備)の上でジャンプする『小さな騎兵』リトル・リリー(p3p000955)。
 そしてあの、なに、丸いクッキー生地でチョコを筒状にくるんだ実家感のあるお菓子、あれを口にくわえたまま手を上げる『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)。
「海賊ごっこで子どもたちに一時の夢を全力で楽しんでもらおう!
 もちろん俺もめいっぱい楽しむよ!」
「リリーも! それじゃあリリーはね、おたからをまもるどーぶつさんと、いっしょにすんでるひとのやくをしよー!」
「なーん」
 広い畳スペースでごろーんとしていた巨大なネコ、『破壊の猫』陰陽丸(p3p007356)が顔をあげた。
「にゃーん?(かいぞくごっこ? ああ、キャプテンジョニーとかですね!ボクもテレビで見ました!)
 なぅん、にゃー(それにお子さん達も冒険に出たいお年頃なのですね。分かります分かります)
 にゃーおぅ!(それではこの陰陽丸、子供達の冒険にふさわしいらぶりーちゃーみーな敵役として頑張りましょう!)」
「がんばろー!」
「にゃーん」
 リリーの小さい手と陰陽丸の巨大な肉球で世にもアンバランスなハイタッチが行なわれた。
 そんな遠近感の狂う風景をよそに、ぬれせんべいを食べていた『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が『そういうことでしたら』と白い手を上げた。
「海賊には、幽霊船と、お宝が、欠かせませんの。
 わたしの、幽霊みたいな見た目は……幽霊船の演出に、一役立てそうですの」
「幽霊船ですかー。いいですねー。自前の船がありますから、こんぶとかわかめとか貼り付けてそれっぽくしましょう」
 『小さな太陽』藤堂 夕(p3p006645)がノートに船の絵を描いてから、幽霊船っぽいモチーフをさらさら書き足していった。
「そうだ、折角ですしおじいさん達にも手伝ってもらいましょう! 幽霊の役で!」
「「幽霊の役で!?」」
 隣の長机でぷるぷるとせんべい囓っていたジジイたちが一斉に振り返った。
「まかせてけろ」
「ワシらほど幽霊に近い人間はおらん」
「十代のヤングとは違うってところをみせちゃるけんのう」
「そんな形で、自信をもった方は、初めて見ましたの……」
 とか言いながら、早速紙をぱたぱた追って『ザ・幽霊』みたいな頭につける三角のやつ(額烏帽子とか天冠とか呼ばれてるよ)を作ってはぷるぷるジジイたちにかぶせていった。
 ジジイ総出で仏教的死装束に身を包む光景は軽くユーモアがあったが、その辺をよく知らないらしい『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は『ノリノリだな!』くらいのコメントしか残さなかった。
「よし! オイラも海賊ごっこは大好きだ! 海賊やりてーのも山々だが……ここはひとつ、海賊をおいたてる海軍の役をやるぜ!
 賞金首の海賊を捕まえてしょーしん狙ってるって設定でいくぜー!
 手のあいてるじーちゃんも一緒にやろうぜ!」
「まかせてけろ」
「ワシらほど昇進を狙ってる人間はおらん」
「十代のヤングとは違うってところをみせちゃるけんのう」
「さっきと言ってることちげーぞ!」
「あ、あ、えっと……」
 『大体普通の街娘』プラウラ・ブラウニー(p3p007475)はお茶片手にせんべいぱりぱりしていたが、気づいたときには周りの配役が一通り決まっていたために露骨に慌てた。
 慌てたが……ハッと気づいて畳んだ布を取り出した。
「じゃあ私は! 普通の街娘のプラウラです!」
 『ザ・村娘』みたいな三角巾めいたアレ(正式名称なんかねえよ)を被って振り返った。
「子供たちを冒険にいざなう重要な役割! なのですよ!」

●第一幕 海賊団の誕生
「キャーーーー!!!! 敵襲ですー!!」
 プラウラが悲鳴をあげながら逃げ惑っていた。
 そんな彼女を追いかけるジジイ海賊団。
 手に持った恐ろしい武器(主に竹箒)を振りかざし、ウオーと威嚇していた。
「まちやがれ!」
 そこへ駆けつける洸汰。
 ジジイ海賊団たちに剣(バット)を突きつけた。
「オレはスラッシュ海賊団のキャプテン・スプラッシュ!
 この港町は俺たちが守ってる縄張りだぜ! 乱暴は許さねーぞ!」
 洸汰が振り返ると、彼の忠実な部下たちが勢揃いする。
「メカパカお!」
「DARA!」
「メガぴょんた!」
「GARU!」
「山下!」
「山口です」
「メガネ!」
「史之だけど」
「かかれー!」
 うおーといってジジイ海賊団に襲いかかっていく洸汰たち……だが、ジジイたちのぷるぷるした攻撃に打ち払われ、地面をごろごろと転がった。
「なんて強い奴らなんだ! まずいぞ、このままじゃ負けちまう!」
 そこへ駆けつけたのはペッキー、ジレン、アリシアの三人であった。
「大丈夫か! キャプテン・スラッシュ!」
「僕たちが来たからにはもう安心ですよ」
「プリンたべたい」
「来てくれたのか、兄弟!」
 がばっと身体を起こす洸汰。
 素早く駆けつけたプラウラが、宝箱めいたボックスを指しだした。
「そこのお方! これは海賊に伝わる秘宝です! これを使って悪い海賊団を退治して下さいっ!!」
「まかせとけ!」
 ガッツポーズをとるペッキーたち。
 史之は宝箱から手作りの服をそれぞれ取り出すと、ペッキーたちに手渡していく。
「ジレン、きみには沈む太陽のような赤いバンダナを。ペッキー、きみには大海原のような青いバンダナを。そしてアリシア、きみには可愛いピンクのバンダナをあげよう。これをつけた者は最強の海賊になれるんだ」
 史之は三人を海賊ルックに着替えさせ、オモチャの木剣と水鉄砲をそれぞれうやうやしく握らせた。
「僕らの使命は海の果てにあるという秘宝を手に入れること。
 そのための戦いを、いま始めるんだ!」
「はい!」
「よっしゃあ! まかせとけ!」
「ぴんくのかわいい!」
 ジレンたちはそれぞれ木の剣や水鉄砲を構えると、ジジイ海賊団めがけて攻撃を始めた。
「「グワー!」」
 ばたばたと倒れていくジジイ海賊団。
「ああっ……なんて勇敢なのでしょう! この港町はもう安全です!」
 プラウラは両手を組んで感謝を示すように言うと、ジレンたちにチョコレートの金貨を手渡した。
「これはほんのお礼です。どうか海の果てから財宝を持ち帰り、この町を豊かにしてください」
「まかせとけー!」
 割とボキャブラリーが少ないジレンは剣を掲げると、島の桟橋へと走り出した。
 さあ、大航海のはじまりだ!

●第二章 幽霊船との戦い
 海を進むグレイスフルイザベラ号あらため、スラッシュ海賊船。
 手作りの海賊旗をかかげた船が、島のそばをぐるっと一週しはじめる。
 島の外へほとんど出たことの無い子供たちは手すりにしがみつき、揺れる床やどこまでも続くような海に歓声をあげていた。
 船長役の洸汰と部下役の史之、そしてなぜかついてきた町娘役のプラウラは顔を合わせてニッと笑った。
 手を広げて堂々としてみせる洸汰。
「我が魂の兄弟たちよ! オレたちはこれから海の果てを目指して進む!
 けれどその先には恐ろしい幽霊船が待ち構えているんだ!」
「幽霊船だって……!?」
「ああっ、みてください!」
 悲鳴のような声を上げて指をさすプラウラ。
 双眼鏡を構える史之。
 すると、大きな岩場の影から一隻の船が姿を現わした。
 あちこちに海藻やガイコツの飾りをぶら下げたその船首には、三角のやつを頭につけたノリアが両手を振りかざして浮いていた。
「我らの眠りを妨げる者は、誰だー?」
「「だれだー!」」
 船から一斉に姿を現わす夕とジジイたち。
 皆おどろおどろしいメイクと死装束によってどっからどうみても幽霊だった。
 唐草模様のほっかむりをした泥棒くらいに古典的な、ほんとにいるのかってくらいの幽霊である。
 しかし船を丸ごと使った大がかりなセットと仮装、そして夕がドコドコヒュードロ鳴らすそれっぽい効果音によって、子供たちは恐怖のあまり史之たちの足にしがみついた。
「砲撃だー」
 空に向かって水鉄砲を放つノリア。
 周囲のジジイ幽霊や夕たちも一緒になって放水を開始。
 洸汰率いるスラッシュ海賊団はたちまち水浸しになってしまった。
 ウワーと叫んで目をおおう子供たち。
 しかし。
「目を開けるんだ。勇敢な海賊たち!」
 洸汰と史之は幽霊船を……いや、その船首に浮かぶノリアを指さした。
 ノリアは地図を手に持ち、大きく広げているではないか。
「あれは海の果てを示す海図なんだ。幽霊船を倒した者だけが、それを手に入れることができる! 勇気を出して、攻撃するんだ!」
「う、うん!」
 ジレンたちは水鉄砲を構え、ノリアめがけて放水を始めた。
 揺れる船の上、何度も水鉄砲をはなった末に、ついにアリシアの射撃が命中。
「ひゃあー。やられましたのー」
 へなへなと崩れ落ち、筒に入れて地図を投げるノリア。
 夕はジジイ幽霊ズに向けて『せーの』と勢いをつけると。
「「やーらーれーたー!」」
 といって、船を岩陰へと隠していった。

●第三章 狡猾なるあざらし軍曹
 船を岸に着け、草の生い茂る広場へとおりたったスラッシュ海賊団。
「すごいです! ここが海の果てなのですね!」
 両手をあわせ感激してみせるプラウラ。
 だが、そんな彼らを……。
「ハーハッハッハッハ! 案内ごくろーだぜ!」
 オモチャの海軍帽子を被ったワモンが段ボールの中から現われた。
「あいつは海軍のワモン軍曹だ!」
「敵だな!」
「アシカだ!」
「アシカじゃねえ!」
 ワモンは両手でだしだし地面をうつと、ガトリングを天高く振り上げた。
「おまえたちが海の果てを目指していたことは知っていたぜー!
 伝説の財宝はオイラがいただいて、女王陛下にけんじょーしてしょーしんしてやるぜー!」
「女王陛下に!?」
「史之さんハウス!」
「おまえたちはここでおしまいだぜ!」
 ワモンはガトリングから大量のマダコを射出することで、空に向けて次々に打ち上げていった。
 べしべしと大量のマダコが降ってくる。
「DAKA!」
「メカパカお!」
「GARU!」
「メガぴょんた!」
「山口です!」
「山田!」
 次々と倒されていくスラッシュ海賊団。
 ついには洸汰や史之でさえも倒され、残るはジレン、ペッキー、アリシアの三人のみ。
 震える手で彼らにバットを差し出すと、洸汰は強く呼びかけた。
「ワモン軍曹は強すぎる……けど、『伝説の海賊』のおまえたちなら絶対に勝てるはずだ。勇気をもつんだ、必要なのはそれだけだぞ!」
「…………」
 ジレンはバットを、ペッキーは二本の木剣を、アリシアは二丁の水鉄砲を握り、それぞれ頷きあった。
「それそれー! ここをおまえたちの墓場にしてやるぜー!
 じーちゃんへーちょー! おまえたちもいけー!」
 次々とマダコを発射するワモンが号令を出すと、別の段ボールに隠れていたジジイ海軍たちがウオーと叫んで恐ろしい武器(主に箒)を振りかざした。
 バットで、剣で、水鉄砲で立ち向かう子供たち。
 ジジイ海軍は次々に倒され、ワモン軍曹もジレンのバットをぶつけられたことで『グワー』と言って倒れた。
 ガトリングをパージし、横向きにぺたんと寝転ぶワモン。
「認めるしかねーな。おまえたちこそ真の海賊だぜ……。
 けどな、簡単に財宝は手に入らないぜ。この先には宝を守る猛獣たちがまちかまえているんだ。
 それでも、いくのか……?」
「……うん!」
 力強く頷く子供たち。
 ワモンは満足げに頷き返すと、スヤァって顔で目を瞑った。

●第四章 財宝と守護者たち
 ついに財宝のありかへとたどり着いた子供たち。
 だがそこへ!
「なぁーん!」
 巨大なネコ、陰陽丸が立ち塞がった。
「これは……宝を守る猛獣なのか!?」
「みて、それだけじゃないわ」
 陰陽丸の背には馬(カヤ)。その更に上にはシャチ(レブン)。そのまた更に上には猟犬。そのまた更に上にはカラス。そのまた更に上にて……!
「ここからさきは、とおさないよ!」
 リリーが両手を高く掲げて通せんぼの姿勢をとった。
「にゃーう! にゃん!(みなのもの、かかれー!)」
 陰陽丸が大きく叫ぶと、レブン、カヤ、わんこ、カラス、そして更にリリーがぴょーんと背から飛び出し、子供たちへと襲いかかる。
 圧倒的な迫力に逃げ出す子供たち。
 しかし足の早い陰陽丸やレブンたちに追いつかれ、すぐに取り囲まれてしまった。
「ど、どうしよう……」
 水鉄砲を握ったままきょろきょろとするアリシア。
 ジレンもバットを抱きかかえたままなすすべが無い。
 だがそんな中で、ペッキーは大きく叫んだ。
「勇気ですよ!」
 ハッとして振り返るジレンたち。
 ペッキーはあらためて、剣を構えて見せた。
「僕たちは真の海賊です。勇気をだせば、誰にも負けません」
「……そ、そうだぜ!」
 バットを再び握りしめ、ジレンは陰陽丸へと挑みかかる。
「俺たちはスラッシュ海賊団だ! 欲しいものは、この手でつかむ!」
「なーう!?」
 攻撃を受け、ごろーんと仰向けに転がって降参のポーズをとる陰陽丸。
 アリシアの放った水鉄砲や、ペッキーの繰り出す剣を受けてリリーたちもぱたんと仰向けに倒れていく。
「すばらしいゆうき! あなたたちは、ざいほうをてにいれるしかくがあるよ!」
 リリーの指し示す先には、ひとつの宝箱があった。
 おそるおそる近づいて開いてみると、中には綺麗に飾られた木剣や、素敵なブレスレットや、沢山の金貨チョコレートが詰まっていた。
 子供たちは金貨チョコレートを一枚ずつ手に取ると、天高く掲げた。

●終章 海賊の帰還
 桟橋へとおりたつ子供たち。
 たずさえた金貨チョコレートや綺麗なブレスレットを、彼らは町娘のプラウラへと手渡した。
「……いいのですか?」
「うん」
 子供たちは顔を見合わせ、にっこりと笑いあった。
「俺たちは、また冒険に出るんだ。新しいお宝を探しに」
「けどその前に、宝物を手に入れたお祝いをしたいんです」
「みんなでパーティーをしましょ」
 そうして、町のみんなとして集まったプラウラ、洸汰、史之、ノリア、夕、ワモン、陰陽丸、リリーたちがウッドテーブルを囲み、金貨チョコレートの包装をといて一緒に食べ始めた。
 その様子を……ぷるぷるジジイたちは世にも満足げに頷きながら、眺めていたという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 スラッシュ海賊団の冒険はこれにておしまい。
 子供たちは海賊ごっこをいっぱい楽しみ、そして大切な勇気というお宝を手に入れたことでしょう。

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