PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ネクベト討伐戦

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●増え続ける砂娘
 ラサ傭兵商会連合の事実上のトップ、『赤犬』ディルク・レイス・エッフェンベルグ(p3n000071)から依頼されたネクベト討伐は記憶に新しいところだ。
 多くのイレギュラーズがこれに参加し、優に七百回を越える戦いが行われ多くのネクベトが討伐されているが、それを持ってしても今だネクベトが出現し続けており、ラサに取っては頭痛の種となっている。

 昼夜問わずラサの砂漠から湧き出ては問答無用に襲い来る砂の魔物。
 今日も今日とて、砂は娘の形をとって、動き出す。
 その思惑は、一帯何処にあるのだろうか――


「みんな良く集まってくれたわね。
 そんなわけで、今日からしばらくネクベト退治と洒落込むわけだけど、準備は良いかしら?」
 ラサの砂漠に程近い村で集まったイレギュラーズにそう声を掛けたのは『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)だ。
 基本的に一人を好むErstineには珍しいことだが、今回の仕事に関して言えば、確かに手は多い方が良い。
 呼びかけに応じたメンバーもその事は理解していて、またErstineが呼びかけたという事実をもの珍しがって来たのかも知れない。
「それでそれで、倒すのはネクベトだよね?
 一杯倒してきた気がするけど、まだまだ残ってるってことだね」
 『トラージャーハンター』ソア(p3p007025)の言葉に、『緋道を歩む者』緋道 佐那(p3p005064)が頷く。
「目的や意図は不明だけれど、とにかく増え続けてラサもかなり問題視しているようね。
 ローレットからも定期的に討伐に向かっているようだけれど、圧倒的に人手が足りていないわ」
「物量だけが取り柄の連中だが……厄介なことには変わりないか」
 一体一体の能力はそう高くない。
 しかしそれが数十、数百となれば脅威には違いないのだと、『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)が言う。
「それじゃ今回は……今回も? 数を減らすことが第一になるのかな?」
「ええ、そうなりますね。
 ネグレトの出現が確認されてる場所をいくつか回っていくのが良いんじゃないでしょうか?」
 『わからせ美少女』シエラ バレスティ(p3p000604)の確認に『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)が肯定し、プランを提案する。
「数が多いから、無理しないようにいきたいね。
 それに、余裕があればネクベトが発生する謎も調査したいところだね」
「発生の要因……あるいはその手がかりが手に入ればかなり良いだろうね。
 ラサからの評価も高まるんじゃないかな?」
 『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)と『おにいちゃん』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)がそう言うと、Erstineがその蒼眸を輝かせる。
「ええ、ええ、そうね。
 ネクベトを多く倒し、その発生の謎さえ解明できれば、きっとディルク様もお喜びになるわ。
 ふふ、ディルク様に感謝されるなんて――楽しみね!」
 直接の感謝があるかどうかはともかくとして、今回の討伐が何かの手がかりに繋がればよいのだが――準備を行うイレギュラーズはそう心に思いつつ、ラサの砂漠はネクベト発生地点へと向かい始めるのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 シナリオリクエストありがとうございました。
 熱い砂漠でのネクベト討伐戦となります。
 難易度はノーマル同程度となります。

●依頼達成条件
 ネクベト十五体の撃破。

■オプション
 ネクベト発生原因の調査

●情報確度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●ネクベト討伐について
 ラサの砂漠に一グループ五体のネクベトが、十グループほど存在しています。
 自分達の戦力を鑑みながら、何グループを討伐するかその目標ラインを設定しましょう。
 余力を残して調査に回るもよし、限界までネクベトを倒すもよしです。
 休憩を挟みながらの討伐も可能ですが、砂漠ですのでそう体力は回復しないものと思って下さい。
 
●ネクベトについて
 砂でできた人型の魔物です。
 クエスト同様目立った戦闘能力はなく、そう強いモンスターではありませんが、数が多いです。
 油断は禁物ですので、しっかりと戦いましょう。

●調査について
 ネクベトは謎多きモンスターで、今だその正体は掴めていません。
 今回も手がかりが無い状態ですので、想像の赴くままに調査を行って下さい。行わなくても問題ありません。
 もしかしたら何か手がかりが手に入るかもしれません。

●戦闘地域について
 砂漠での戦闘となります。
 やや走りにくい地形ではありますが、戦闘行動に支障はありません。
 暑さ対策や水分補給は忘れないようにしましょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • ネクベト討伐戦完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年09月07日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シエラ・バレスティ(p3p000604)
バレスティ流剣士
緋道 佐那(p3p005064)
緋道を歩む者
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
カイト・C・ロストレイン(p3p007200)
天空の騎士
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海

リプレイ

●砂漠の旅
 広大な熱砂を、一台の馬車が進む。
 馬車に乗り込む八人は皆一様に砂漠用の装備を着込み、暑さに対して十分な備えをしたと言えるだろう。
 冷風を起こす魔法でもあれば、この旅は快適な物だっただろうが残念ながらそういった力を持つ者は八人のなかにはいない。
 物理的な暑さは如何ともしがたいものだが、それが砂漠での旅というものなのだ。馬車に乗り込むイレギュラーズ一行はそれを良く理解していた。
「だいぶ日が高くなって気温が上がってきたね。少し喉を潤そうか」
「お水タイムだ! わーい!」
 そんな砂漠での旅において、『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)の持つギフトは、非常に貴重と言えた。
 一日二十リットルという制限はあれど、”よく冷えた”清潔な水を生み出せるというのは、熱風吹く砂漠においては恵みの水となる。
「しかし、本当に砂ばかりなんだな!
 こんな砂ばかりなら、この世界なら動き出す砂が居ても不思議はない気がする!」
 美味しそうに水を飲む『トラージャーハンター』ソア(p3p007025)が、馬車から見える光景を見ながら言うと、『おにいちゃん』カイト・C・ロストレイン(p3p007200)が頷く。
「この世界ならば確かにね。
 ただ、それにしても数が異常だ。増え続けることを考えると早急な原因究明が必要だよね」
「増殖しつづける魔物か。
 魚なら、餌が増えたか、天敵が減ったか……だが、どこか人為的な印象も受ける。つまり、不自然すぎるのだ」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)は深慮する。探索対象であるネクベトは砂の魔物だ。深緑の方でも砂の魔物が出たことがあった。そして深緑の御伽噺に登場するザントマンは眠たい砂とともにやってくると言う。
 これらに関連性はなさそうだが、砂という共通項がある。点ではあるが線で繋がるのだ。
「ネクベトの謎を掴むためにも、今回は頑張って調査しないといけませんね。
 所で、シエラ様は何をしてらっしゃるのです?」
 『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)はなにやらごそごそとしている『わからせ美少女』シエラ・バレスティ(p3p000604)を見やる。
 問われてシエラは振り返る。手にはトカゲとサソリ。一体いつ拾ってきたというのか。
「私達は此度の遠征!
 野生のラクダやトカゲやサソリを調理して食べる事さえ厭わない……!
 そうだよね、みんな!?」
「いやぁ……それはどうでしょう……?」
 若干引き気味の弥恵。『緋道を歩む者』緋道 佐那(p3p005064)は「うーん」と唸って、
「ラサ出身としてはそういったスタミナ元を食べることもあるけれども……」
 と、やや肯定的に言うと、
「今回はちゃんと食料も用意してあるからね。無理に食べなくてもいいかな」
 森育ちのウィリアムはそう言って苦笑した。
「えー! 美味しいよ! 絶対!」
「美味しいかどうかはともかく調査が長引けば、食べざるを得ない、かもね」
 食い下がるシエラをカイトが宥める。
 調理法がどのようなものになるか、それはシエラにしかわからないところなので、美味しい保障は一切ないが、カイトの言うようにネクベトを探索や調査が長引けば、食料も尽きることからそれらを食べる必要はでてくるかもしれない。もしくは、本当に美味しくてスタミナも付くと言うのであれば、小腹を満たすには良いのかも知れないが――口からトカゲの尻尾やサソリの尻尾を出しつつ戦う光景を想像したくはない。
「まあ、そうならないようにキリキリ倒していきましょう。
 幸いかどうかはともかく――ほら、見えたわよ」
 馬車の手綱を引いていた『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325)が前方を指さす。
 捜索スキルによって僅かな痕跡を追っていたErstineがその影を捉えたのだ。
 音も無く砂漠を彷徨う女性の影。その面影は一様に不鮮明で、女性的象徴の長い髪と乳房を模した砂の形で女性型であるとわかるだけだ。
「報告にあった通り、数は五体ね。
 みんな、水分補給は大丈夫かしら? 砂漠での戦闘だもの、消耗には気をつけないといけないわ」
 Erstineの確認に全員が頷く。準備は万端というところだろう。
 イレギュラーズ達は馬車から飛び降りて、砂漠彷徨う砂娘――ネクベトへと向け武器を構えた。

●戦闘、掃討、殲滅だ
 砂漠での戦いは時間との戦いでもある。
 熱波降り注ぐ灼熱の下では、如何にイレギュラーズと言えど、極度にスタミナを消耗するからだ。
 対して、砂で出来た身体を持つネクベトは、熱波熱風の影響がない。魔物であるので当然だが、こうした環境下ではその差が大きくでるだろう。
 幸いなのはネクベトの戦闘能力がそれ程高くないことだ。ある程度の数を倒すことを求められるイレギュラーズには、この点、非常に助かったと言える。
「とはいえ、自分から突っ込むのはノンノンってね! 待機して効率よく戦うよ!」
 飛び抜けた反応を持つシエラは、うずうずとしつつも敵との間合いを図る。
 ネクベト達はイレギュラーズを感知すると、揃って近づいてくる。そこに戦術的意思は感じられない。
「なら、先手はもらったよ! びりびりをくらえーっ!」
 ソアが拳を突き出すと、ソアの操る所謂すごい雷がネクベト目がけて走る。雷は一直線にネクベトへと突き進むと、爆発を伴ってその砂の身体を吹き飛ばす。
 大きく身体を仰け反らせるネクベト。衝撃によって崩れた身体が周囲の砂を集め始め、また元の形へと戻っていった。
「よく知る魔物のよく知る挙動ね……異常発生さえなければラサの日常というところだけれど――まずは、しっかり倒させてもらうわ!」
 残像のように影を展開させる佐那が、ネクベトとの間合いを一挙に詰める。
 防御を集中しながら、一足飛びに懐まで踏み込むと一刀の下に両断する。
 砂を斬る――というのは、なんとも手応えが感じられないものだ。斬りつけ崩れる人の形が、再度、周囲の砂を集めて復活するのではないかと注意する必要があるだろう。
「やり辛いものだね。これなら鉄帝方面でよく見かける古代兵器を相手にしたほうが、刃が通らないともまだ斬ってる感覚がある」
 カイトはそう零しながら手にした剣を振るう。その動きは素早く、瞬時にネクベトの背後に回り込み的確に斬撃を見舞っていた。
 カイトの言うように、まるで空を切るかのような手応えは、なんともやり辛いだろう。相手が倒れたのかどうか、攻撃が効いているのかどうかがわかりづらすぎる。まるで手応えのないゾンビを相手にするかのようでもある。
「余所見はさせませんよ。さあショーの開演です。
 熱砂を焦がす情熱の舞、天爛乙女の津久見弥恵、参ります!」
 マントを脱ぎ捨ててイルミナント・ドレスを見せる弥恵が、砂漠のステージを舞台に軽やかなステップを魅せる。
 長い足を伸ばしながら振るい、砂を蹴り上げ情熱的に舞を披露する。天爛乙女たる弥恵の魅力的な舞は、無味乾燥な砂漠に蕩けるような香りを振りまく。大胆に、そして艶美に肢体を乱して。あまりにも無防備な仕草は、意思を持たないようにも思えるネクベト達ですら目を奪われる程だ。
 とは言え、舞に夢中になる弥恵はあまりにも危うい。それが彼女のスタイルであるとはわかっていても注意を促したくなると言う物だ。
「見事な舞だが――囲まれるなよ」
「あら、ご心配ありがとうございます。頼らせてもらってもよろしいですか?」
 注意を促すジョージに、熱っぽい表情で返す弥恵。ジョージは変わらぬ表情で、
「俺なら幾らでも壁にしていけ」
 と言いながら拳を握りしめて走り込んでいく。
 襲い来るネクベトの一撃を回避すると、マークから肉薄戦に持ち込む。徒手空拳必殺の間合いだ。振り抜いた拳が音を立てて砂を吹き飛ばす。一撃では終わらない。ネクベトの身体が残っているのならば、そこ目がけて更に拳を振り抜いた。
「傷付いた人は下がって。すぐに回復するよ」
 ウィリアムはチェインライトニングで攻撃をしながら、ヒーラーとしての役割も果たす。
 賦活術を駆使しながら、魔力を温存し、傷付いた仲間を回復の魔力へと転換した力で癒やしていく。
 まだ戦いは始まったばかりだ。このネクベトグループを倒しても、次はまだまだ待っている。ここで力尽きないように、十分に力を温存していた。
「取りこぼしのないように確実に仕留めていきましょ!」
 Erstineは積極的な攻めを見せる。
 奇襲、牽制、本命の一打と、多様な技を駆使してネクベト達を翻弄していく。
 手応えの少ない相手だ。Erstineはしっかりと止めを指したことを確認することにしていた。声を上げて、仲間にもそれを促して、一体ずつ確実に仕留めていく。
「私も行きますよ! 突撃です!」
 待ち構えていたようにシエラが、『翠鋼のアスラリエル』と共に突撃を行う。速力を物理的なエネルギーに変換し、騎乗メカより放つダブルカノン砲が、蒼き水星となってネクベトを粉砕する。
 反撃にシエラを襲うネクベト。しかし――
「ざーんねんっ! 追いつけるものなら追いついてみなよっ!」
 速力と機動力を武器にしたヒット&アウェイは、動きの緩慢なネクベトにはかなり有効である。
「さぁどんどん行くわよ!」
 Erstineが声を上げて、仲間を鼓舞する。
 熱砂の上で、戦いは続いていく。

●時と場所は選ばず
「つーかーれーたっ!」
「昼間は穴掘りしたりと大変だったわね。ご苦労様」
 身を投げ出して休息するシエラに、Erstineが温かいスープを差しだした。
 既に陽は落ちて、砂漠に夜がやってきていた。
 昼間とは打って変わって気温の下がった砂漠は、容赦なく体温と体力を奪っていく。この二面性が砂漠の恐ろしいところである。
「ここまでに倒したネクベトは十五体。一応オーダーは完遂したと言って良いでしょうね」
「ええ。情報が正確で助かったわ。グループ事に休憩を挟めて、こちらの戦力はまだ余力があるものね」
 Erstineに頷き返した佐那。佐那の言うようにイレギュラーズ一行は、体力的な面ではまだ余裕があった。
「その分、時間的なリソースはかなり消費したね。思った以上に陽が沈むのが早かった。気温差が結構身体に堪えるよ」
「周囲の状況もあまりよくないかな。ファミリアーで偵察してるけれど、こちらに向かってきてるネクベトの群れがいる。話してる余裕はまだありそうだけれど」
 カイトとウィリアムの言葉を聞いて、ソアが提案する。
「なら今のうちに昼間得られた情報をまとめておこうよ」
 今回の依頼には調査もオプションながら含まれている。イレギュラーズ達は、戦闘後思い思いの方法で、ネクベトについて調査していた。
 シエラがガバッと起き上がると、砂を払って言う。
「穴掘り……もとい死体堀りをがんばったよ! まあどれも砂に還っていて今ひとつピンとこなかったけれど!」
「同じく死骸を調べたけれど、普通の砂のようには見えるかな……一応死骸と思われる砂は確保したけれどね。後で調査してもらうのがいいかも」
 カイトの言葉に弥恵も同意する。
 ネクベトを構成する砂はラサの砂漠の砂と同一と思えた。
「ネクベトが何かを守っている……或いは探していると考え、空からグループの位置を確認したんだがな、規則性や法則は見いだせなかった」
「あー昼間空に飛び上がってたのはそういう。うーん……謎が多いわね……」
 ジョージの報告に、Erstineが小首を傾げる。
「僕もファミリアーで確認したけれど、やっぱり規則性は感じられないね」
「不自然なんだけれど、自然というか。本当に砂漠を彷徨って人を襲っている感じよねぇ」
 ウィリアムと佐那も同じように規則性や法則性を気にしていた。
 シエラもうんうん、と頷く。
「でもでも、そうやっていろんな多角的に調査することでネクベトの目的、つまり動機がわかる!
 全ての物事には理由があるのだ……フフフ、名探偵シエラと読んでくれたまへー!」
「それじゃ、名探偵シエラさん。目的はなんなのかしら?」
 Erstineに突っ込まれて答えに窮するシエラは、
「えー、えっと……うーん、なんだかわからないけど! どうやって生まれるか、どこで生まれるかが気になった!」
「ああ、それは自分も気になったね。ネクベトって卵とか巣とかないかな? ナワバリとかあるんだろうか?」
「さすがに卵はなさそうな気もするけど……でも確かにネクベトの発生源とか発生理由は知りたいわよね」
 Erstineがそう言うと、ソアが手を上げる。
「それなら、次はボクが無機疎通を試してみるよ!
 えへへ、ボクの精霊らしいところを見せちゃおう、食べてばっかりじゃないんだぞ。
 なにか情報が得られるかもしれないしね」
「砂のことは砂に聞けか……なるほど納得だ」
「でしたら、次も確実に倒してまいりましょう。ほら、お客様が丁度やってきましたよ」
 弥恵が立ち上がる。視線の先、こちらに向かう砂娘の影が見えた。
「昼でも夜でもお構いなしだね。人の気配を感じればどこだろうと現れるんだろうか」
「ぼやいても仕方がないさ。謎多き魔物ってね。
 さて、食後の運動と行こうか。
 目標数は……二十五体だっけ?」
「ええ、あと二グループね。
 油断せず行きましょう。程々に全力、でね」
 武器を構えたイレギュラーズがネクベトへと向かっていく。ネクベトもまたイレギュラーズに襲いかかろうと速度をあげた。
 夜の砂漠で、砂の魔物との後半戦が幕を開ける――

●調査報告
 ラサの砂漠に出現する魔物ネクベト。
 その討伐を行ったイレギュラーズ八名は、目標として決めた二十五体のネクベトの討伐に成功した。
 併せて、ネクベトの発生原因などを調査した八名は、手にした情報を持ち寄り調査報告書を書くこととなる。
「さて……夜に話した通り、あまり情報としては有意義なものは得られなかったわけだけど、みんな新たな情報は得られたかしら?」
 Erstineの問いかけに、多くの者は首を横に振った。
 ネクベトの発生要因や、発生源の特定は困難だったと言えるが、これは調査を主体に行ったわけではないので仕方がないと言えるだろう。
「それじゃ、ソアさん。あなたはどうだったかしら?」
 Erstineはソアへと問いかける。
 ソアはネクベト討伐後に無機疎通を試していた。無機疎通は漠然とした情報を得られるだけで、正確な情報を得るのは困難であるが、ソアは疎通を経て感じ取ったことをそのまま口にする。
「ネクベトを倒したあと、その死骸である砂に対して無機疎通を試してみたんだ。
 最初は、良い反応が得られなくて無駄だったかなって思ったんだけど、何回かやってみるうちに気づいたんだ」
「気づいた? 何にだい?」
 ウリィアムが尋ねると、ソアはひどく怯えるように言った。
「とっても強大で、邪悪な何か――何て言ったらいいんだろう。すごく曖昧で、漠然としてるんだけど、とにかく身震いするような邪悪さを感じたんだ」
 ソアの言葉に、イレギュラーズは考える。
 無機物から感じられる邪悪な意思。それはネクベトの持つエネルギーの正体なのか、はたまた、”ネクベトを操っている者”の残滓か。
「他には何か感じたの?」
「うーん、難しくてうまく言えないんだけど、邪悪な何か……曖昧なエネルギー……あるいは運命の導きのような……それらに誘発されたのか、もしくはそれらの影響で生じたのか――」
「――難しいわね。漠然としている感じだわ」
「うん。ただわかったことは自然現象ではなさそうだということ。何者かの意思がきっと働いているに違いないと思うんだ」
「超常的な現象とも解釈出来そうではあるが――やはり人為的と見るのが自然か?」
 ジョージが腕を組み考える。他の者もそれに倣うように考え込んだ。
 思考は纏まらないが、得られた情報はたしかな手かがりになるはずである。Erstineは一つ手を打つと、この場を締めることにした。
「まあ私達だけで考えても答えはでそうにないわね。
 各自調査報告をまとめて提出してくれると嬉しいわ。ディルク様にも報告しておきたいし」
「ふふ、それは大事なところですよね」
 弥恵が笑うと、ツンと首を逸らしてErstineが言う。
「……尊敬するお方に褒められたいと思う事は皆誰しもが思うことだと思うけれど……?」
 他意は無いのだとErstineは極めて真面目に答えるのだった。

 後日、ディルクの下へと調査報告は届けられることになる。
 二十五体という討伐戦果も十分ながら、ソアの無機疎通によって得られた情報がかなりディルクの注意を惹いた。
 そのことで、ディルク直々にErstineを始めイレギュラーズに褒賞が贈られたのは言うまでもない。
 こうして、ネクベト討伐戦は無事に終わりを告げた。

●操る者
 深夜の砂漠に人が一人立っていた。
 男か、女か。その正体はわからない。
 ただわかることは、その者の周囲にはネクベトと呼ばれる魔物達が立っていた。であれば、その中心に立つ者は襲われ死ぬ運命に或る者か。
 否、正体不明の者は口を開かず手を動かす。
 するとどうだろう、ネクベト達はまるで操られるように動き出した。
 静寂の砂漠の中、その者だけが取り残される。
 その正体は、いまだ不明のままだった――

成否

成功

MVP

ソア(p3p007025)
愛しき雷陣

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れ様です。

 MVPは総合判断でソアさんに贈ります。おめでとうございます。

 新たな展開は近いうちに訪れるでしょう。その時をお待ち下さいませ。
 ありがとうございました。

PAGETOPPAGEBOTTOM