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シナリオ詳細

カルネと深緑奴隷船
カルネと深緑奴隷船

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 花と草と光の香りがした。
 小鳥のさえずる泉のほとりに、白木のテーブルと椅子が置かれている。
 目に見えるほど豊かな精霊たちの流れを横目にしながら、あなたとカルネ(p3n000010)は並んで座っていた。
 空のティーカップが並べられ、年老いたハーモニア女性が腰をまげながらもポットからお茶を注いでいく。
 紅茶のようだが、カップからはリンゴのような甘酸っぱい香りがした。
 じきにご主人様がいらっしゃいますと頭を垂れ、女性はポットを手に下がっていく。
「打ち合わせの前に、おさらいをしておこうか」
 あなたの隣。カップを手に取り、カルネは硬い表情で言った。
「深緑のあちこちから拉致されたハーモニアが船に乗せられ、徹底北部の村ウィンドホールに輸送されている。
 船の出所はわからない。ウィンドホールについてしまえば政治的軍事的な守りが堅くて手を出せない。
 だから僕たちは、輸送中の船を襲撃してハーモニアたちを助け出すしかないんだ」
 カップを口につけ、目を閉じるカルネ。
「君と仕事ができて嬉しいよ。けど、今回のことには、僕はちょっと、怒ってるんだ」

 やがて、長い金髪のハーモニア女性が馬のような胡瓜のような不思議な動物に跨がってやってきた。
 乗り物から降り泉の水を飲んでいるように言うと、女性があなたの向かいへと座る。
「拉致されたハーモニアたちの奪還を依頼した、レフィテナといいます。この里の族長をしています。
 あなたがたは、ローレットから派遣された傭兵さんということで、よいのでしょうか」
 あなたはそれに肯定したのか、否定したのか、傭兵ではないがそのようなものだと述べたのか。カルネはあなたに一度頷いてから、レフィテナに話の続きを求めるジェスチャーをした。
 普段の口調を少しだけよそ行きのものにかえて、レフィテナに問いかける。
「拉致された方々がどこに隠されているかはわからなかったのですか?」
「残念ながら……。我々も手を尽くしましたけれど、奴隷船で鉄帝北部へ運ばれることと、その航路しか」
「いいや、充分です。それだけあれば取り返せる。……そうだよね?」
 カルネはあなたに意見を求めた。
 船の上での戦闘は、海洋からの海上戦闘依頼を多く引き受けてきたローレット・イレギュラーズとしてそれなりの実績がある。
 個人所有の船を持っている者も多く、大きな船や部隊を相手にしてもけっして引けを取らないだろう。
「けれど、もし船での戦闘にまけて取り逃がすことになれば……ハーモニアたちをすぐに取り返すのは無理だと思ったほうがいい。あそこは鉄帝の悪い部分を凝縮したような村だからね。交渉に応じるどころか、送った使者をそのまま奴隷にしかねない」
 だから、船の上だけで決着をつけるんだ。
 カルネはそう言って、あなたへと、そしてレフィテナへと頷いてみせた。
「浚われたハーモニアたちは僕たちが取り返します。あなたはどうか、帰る家と暖かいスープを用意して待っていてください」

GMコメント

■依頼内容
 奴隷船の襲撃と制圧
 内容的にはシンプルな船での戦闘になります

 しかる後にとらわれたハーモニアたちを船ごと深緑の港へと送り届けることになりますが、この部分はリプレイで描写しない予定です。

■奴隷船について
 全長20メートル程度の甲板を持つ『小型船×3隻』で構成された船です。
 ハーモニアたちは特殊な薬品らしきものを使って眠らされており、船内部の船室に詰め込まれています。船室はよほど無茶をしない限りは安全で、戦闘の余波や流れ弾によってハーモニアたちが傷つかないものとします。

■敵戦力の把握と襲撃方法について
 奴隷輸送部隊は3隻の船にそれぞれ分けて配置されています。
 情報屋を通じて得た情報とファミリアー等をつかった偵察によって、それぞれの船にどういった戦力が配置されているかがわかっています。
 奴隷船A~Cと仮称して解説します。

・奴隷船A
 山賊風の男:高い防御とHP、【反】属性。至近距離での長期的な戦闘や味方を庇っての防御を得意とし、サブウェポンとして超レンジ射撃による【怒り】付与が行なえます。
 巨漢の獣種:高防御高HP。毒・火炎・崩しBSに耐性をもつ。山賊風と同じ動きをし、遠レンジ射撃による【怒り】付与が可能。
 飛行種ヒーラー:天使の歌やハイ・ヒールなどの治癒スキルを保有し、いざとなれば戦闘も可能。

・奴隷船B
 都会風の男:EXAが高く連続行動による素早い攻撃の畳みかけを行なう。
 黒服の男:近接戦闘に長け、凄まじい命中、威力をもった攻撃を行なう。
 ヤクザ風の男:同じく近接戦闘に強く、対多戦闘で特に力を発揮する。

・奴隷船C
 覆面をつけたスナイパー:非常に命中能力の高いスナイパー。火力もそれなりにあるが麻痺や呪縛といった行動不能系BSに長けている。
 フードを被った傭兵:アサルトライフルやショットガンなどを駆使し弾幕を張るのを得意としている。範囲攻撃が得意。
 巨大な杖を持った魔術師:一撃必殺型の高火力高命中の魔法砲撃を行なう。これは『貫通』効果範囲をもつ。

 こちらのPCが船の乗り換えが可能であるのと同じように、彼らも船を乗り換えることが可能です。それを阻止するには船同士の分断や相手そのものの移動阻止が必要です。(別に移っちゃってもいいやという作戦方針も勿論アリです)

■小型船の持ち込みと戦闘について
 こちらはカルネが手配したレンタル装甲船が一隻あります。操縦はカルネが行ない、操縦しながら射撃による援護を行ないます。
 加えて、PCがアイテム『小型船』を装備している場合は1PCにつき1隻まで投入することができます。
 船は装備者が操縦し、不自然でない範囲までなら操縦しながら戦闘も可能とします。(基本的には相手に船をぶつけて敵船に乗り移ることになるので、操縦云々は無視してもいいかもしれません)
 小型船の全長は20m(端から端まで中レンジ距離に相当)程度とします。

■カルネの同行
 この依頼(シナリオ)にはカルネが同じローレット・イレギュラーズとして参加しています。
 彼は主に船の操縦。射撃による援護。いざというときに盾になる係……の三つです。
 PCのプレイングで特に触れていない場合あまり描写されないことがあります。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • カルネと深緑奴隷船完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月27日 21時55分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Lumilia=Sherwood(p3p000381)
白綾の音色
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
山賊
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
無影拳
黒星 一晃(p3p004679)
ガスマスクイレギュラー一晃
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
未知の語り部
シエル(p3p007084)
彼女は刺激的なジュール
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り

リプレイ

●君が息を吐くとき、遠い大地の花が揺れたのだ
 美しい魔術刻印が走った小型船が、海面を切るようにすいすいと進んでいく。
 『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は石版状のマジックボードに水色の石を翳し、船を巧みに操作していた。
「ウィンドホール……再びその名を聞くとはね」
 目を瞑ればあの吹雪がよみがえるようだ。
 あそこは鉄帝の北にある、悪しき村であるという。
「ただでさえ同胞が攫われる事件続きで心穏やかとは言えないところに……腹立たしい事この上ないね」
「ハッ、何ホールだかしらねぇが……なんでおれさまがこんなみみっちい仕事をしなきゃあいけえねえのかねェ」
 『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)は船の手すりに寄りかかり、両手を頭の後ろに組んでくつろいでいた。
「だがまァこれも仕事か。それに──連中のやり口も気に食わねえしな」
 グドルフ。彼は『ある界隈』で非常に有名な男であった。それゆえ、だろうか……。
「人さらいだなんて見過ごせません! ね!」
 一方で『大剣メイド』シュラ・シルバー(p3p007302)は元気よく立ち上がると、そばでフルートを演奏していた『白綾の音色』Lumilia=Sherwood(p3p000381)へと振り返った。
「……ええ」
 演奏をとめ、閉じていた目を開くLumilia。
「攫い、自らの利益のため自由を奪い、そして勝手に売り渡す。許される行為ではありません。
 自由を持つ者にこそ価値はうまれる。その機会を奪う者たちに容赦は無用です。お縄に付いてもらいましょう」
「オナワで済めばいいけどね」
 手すりに腰掛け、ずっと遠くに見える船に目を細める『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。
 船は三隻。情報の通りの特徴だ。
 奴隷を積み込んだ輸送船に違いあるまい。
 乗り込んでいるのはこういった汚い仕事を専門に請け負う裏傭兵であるという。
「奴隷船を襲ってリャクダツなんてサナガラ海賊だね。セッカクだから海賊旗を作ってくれば良かったかな?」
 そんなふうにおどけて見せると、イグナートは『手すりの上』に立ち上がった。
 シュラは剣をとり、Lumiliaもまた魔力糸でエストック剣を編み上げる。
 ウィリアムが船を操作し、目標の船団へと突撃を開始する一方、カルネもまた木造小型船の舵を握って併走していた。
「彼らの所行。とても許せるものじゃないよ。そう思わない?」
 カルネに問いかけられ、『彼女は刺激的なジュール』シエル(p3p007084)がどこか気だるげに息をついた。
「美しいものを手元に置きたい気持ちは、わからなくもないけど……攫って売り払うのは理解出来ないわ」
 暗い色のネイルカラーをはけで塗りつけると、フッと息を吹きかけた。するとどうだろう。指先を中心に雷の精霊が散り、ラメが散るかのように発光現象を起こした。
「美しさも笑っていてこそ、でしょう?」
「そういうもの、か」
 一連の動作を横から見ていた『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)が、拳銃のセーフティーバーを親指ではじいた。
「できることなら奴隷解放を優先したいが、今回は下手に船室から出すほうが危険か。戦闘もやむなし……だな」
「…………」
 黙って座り、刀を抱いていた『墨染鴉』黒星 一晃(p3p004679)。
 戦いが近いと察してすっくと立ち上がった。
(……依頼に対して思うことなどはない。金を積まれれば俺かて奴隷船の護衛を務めるであろう。今回は奴隷を開放する側に来た、それだけだ。だが……)
「皆、戦闘圏内に入るよ。準備をして」
 カルネが腰からフリントロック式の拳銃を抜き、舵を握ったまま構えた。
 敵も、味方も、もう充分に見えている。
 Lumiliaの『神の剣の英雄のバラッド』が。開戦の合図のように始まった。
 砲撃が、交差する。

●ただ立っているだけでも、星は君を無視できない
 奴隷船パッセージ号は三角形の並びを組んで深緑鉄帝間の海を渡っていたが、急速に接近する二隻の船を見つけたことで戦闘態勢をとった。
「多少の雑魚がくいついてきたところで問題にはならないでしょう。そのために、私たちがいるのでね」
 椅子に腰掛けくつろいでいた飛行種の男が、本を閉じる。
「まあな。なにせこちとら山賊流よ。鉄帝の軍人だって相手に出来る」
「自慢話は後にしろ。金にもならねえ……ほれ」
 巨漢の獣種がぽんと折りたたみ式の望遠鏡を投げると、山賊風の男がそれを受け取って相手の船を凝視した。
「どれどれ、相手も九人か。美人もいるな。捕まえて奴隷商にうっぱらっても……ンあ゛あ゛!?」
 奇妙な悲鳴をあげた山賊風の男――の遠い視線の先。
 船の手すりに足をかけ、山賊刀を抜いたグオルフの姿があった。
「俺のマネのつもりか? ……舐めんじゃねえぞ、パチモン野郎があッ!!」
「つかまって……はいないよね。突っ込むよ」
 ウィリアムは石版を操作すると、船に半透明な大砲を出現させた。
「破城天鎚(偽)――発射」
 ドウンという轟音と共に魔術によって錬成された鉄球が発射。奴隷船の先頭船舶に命中した。
「オラァ――!」
 巨体を駆使して鉄球をはねのける獣種の男。
 その直後に、船体側面を削り取るかのような勢いでウィリアムの船が激突した。
 グドルフが手すりから飛び立ち、敵船へと転がり込む。
「──見せてやるよ、『本物』って奴を」
 茨の鎧を発動。対する山賊風の男も茨の鎧を発動させ、二人は真正面から激突した。
 互いに剣をぶつけ、額をぶつけ、歯を食いしばってにらみ合う。
 その一方。ウィリアムの船に同乗していた一晃は甲板を走り抜け、豪快に跳躍。
 船と船の決して小さくない幅を飛び越え、別の船へと飛び移っていた。
 都会風の男、黒服の男、そしてヤクザ風の男がそれぞれ身構える。
 が、その誰よりも早く、そして誰よりも強引に、一晃は鞘に収めた剣を抜刀。空間を丸ごと切り裂いた。
 剣でものを斬るという次元をかるく超越した、空間ごとえぐり取ったかのような斬撃である。
「な――」
 ナイフを抜いて連撃を繰り出そうとしていた都会風の男が、斜めに切断される。
「墨染烏、黒星一晃、一筋の光となりて、深緑の幻想種を奪還する!」
 たったの一撃。向かい合って一瞬の出来事であった。
 あまりに早い決着に、ヤクザ風の男が顔を僅かに引きつらせる。
「ハッ――」
 ぎらりと、歯を見せて笑う黒服の男。
 男の凄まじい拳が、一晃の顔面めがけて走った。
 攻撃に全てをかけた彼のフォームに、もはや防御や回避の余地などない。それほどに研ぎ澄まされ、それほどに狂っていた。
 が、ゆえに。
「この!」
 割り込みをかけたカルネが、男の拳をキャッチした。
 受けきれなかった衝撃が彼の腕を破壊し、球体関節式の肘がひび割れていく。
「カルネさん――」
「僕はいい、今のうちに!」
 翼を広げて船に飛び移っていたLumiliaは、回復を一旦後回しにして短節の呪歌を詠唱。
 剣に紅蓮のオーラを纏わせ、螺旋状に燃え上がらせると、ヤクザ風の男めがけて剣を払った。
 放たれた斬撃をクロスアームの防御するヤクザ風の男。
 防御を強引に突き抜けたエネルギーが、男を僅かに吹き飛ばす。
 カルネが飛び降りてほぼ無人になった船が、そのままの勢いをもって第三の船側面へと衝突。
 覆面をつけたスナイパーが大きな揺れに手を突いたその隙をつくように、イグナートは甲板を走り、ジェットパックを用いて大きく跳躍。
 空中で角度を調節すると、ジェットの勢いをそのまま乗せて敵船へと突っ込んだ。
「人さらいにはヨウシャ無用! オトシマエを付けさせてもらうよ!」
「笑止!」
 巨大な杖を持った魔術師が杖をライフルのように構え、飛来するイグナートへ発砲。
 イグナートは砲撃の中を突き抜けるように進むと、魔術師に強烈なジェットパンチを叩き込んだ。
 吹き飛ばされる魔術師。
 シエルとゼフィラはそれぞれ船へと飛び移り、イグナートの援護に回る。
「状況からして、一秒でも早く敵を制圧するしかないな」
 揺れる船の甲板を走り、魔術師めがけて近接射撃を連射するゼフィラ。
「残念ながら、貴方たちの航海はここまでよ」
 前衛仕事を彼女たちに任せ、シエルは翳した手のひらにぱちぱちと稲妻の結晶粉末を生み出すと、タンポポの綿毛を散らすかのように息で吹き飛ばした。
 魔術師へと飛んでいき、激しく炸裂する雷。
「別の船に乗り移ったほうがいいのでは」
 フードを被った傭兵がショットガンを撃ちながら問いかけるが、スナイパーは小さく首を振って返した。
「今は無理です。戦いながら、なんとか仲間の船に近づけましょう」
「早くしろ。そう長くはもたんぞ」
 再びの砲撃をしかける魔術師。
 そんな彼らから一歩遅れる形で、シュラが船へと飛び移ってくる。
「海上での闘いは前の世界でいっぱい経験しました! 慣れっこです!」
 ダン――と片手を床につけると、その勢いのまま魔術師へ突撃。
 走りながら剣を抜き、走りながら振り込む。
 杖で防御を試みる魔術師だったが、シュラの猛烈な剣のスイングに耐えかねて吹き飛び、さらには手すりを破壊して海へと転落していった。
 赤い軌跡をひきながら、スイングの反動でぐるんと一回転するシュラ。
「まずは一人!」

●きっと誰にもなれなかった彼らの、精一杯の模倣
「やれやれ、こういう技能は専門外なのだが……」
 スナイパーに足を撃たれ動きを制限されたイグナートに、ゼフィラが科学的な祈祷薬投与した。
 小瓶の中身を空中に散布し、治癒効果を高めていく。
 なんとか動けるようになったよ、といって立ち上がるイグナート。
 そんな彼らに、傭兵によるショットガンの射撃が浴びせられた。
 ただのショットガンではない。拡散した弾が花火のように燃え上がり、ゼフィラやイグナートたちを包み込んでいく。
 対抗するように魔力放出を繰り出すシエル。
「私のヴェーゼは、刺激的よ?」
 自分の手の甲にキスをすると、はじけた雷の精霊たちが敵めがけて飛んでいった。
 と同時に、爆弾のピンをぬく傭兵。
「全く、戦いづらい……」
 ほとんど自爆のような攻撃に晒されるシエラたち。その一方で、スナイパーはジェットパックによる跳躍で別の船へと逃げ込んでいた。
「悪いですが、チャンバラに興味はないもので」
「おっと、逃がさないよ!」
 そんなスナイパーを、同じくジェットの勢いで追いついて蹴り飛ばすイグナート。
「これぞ仙法・八艘跳びってね」
 背を蹴られたスナイパーは派手に甲板を転がり、手すりにぶつかって止まる。
 その姿勢のまま、スナイパーは再びイグナートに射撃を集中させた。
 回避――は間に合わない。着地直後を狙われたイグナートが打ち抜かれ、すぐ後に飛び込んだシュラがスナイパーめがけて剣を振り上げた。
「――ッ!」
 咄嗟にライフルを翳すスナイパー。
 だが、シュラはお構いなしに大上段からの面打ちを繰り出し、スナイパーのライフルと覆面、そして頭に至るまでを丸ごと破壊した。
「これで……三人! こっちの船は片付きました! そちらは!」
 船の床に剣をめり込ませた状態で振り向くシュラ――のすぐ横を、カルネが派手に吹き飛ばされていった。
 手すりを破壊し、回転しながら海へ転落していくカルネ。
 Lumiliaの回復が間に合わないほどの勢いとラッシュで吹き飛ばされたがためである。
「……」
 一晃は船に残った仲間の数をかぞえて、自分たちに余裕がないことを悟った。
 そして今、自分自身にも。
 となればやるべきことは一つ。
 『やられるまえにやる』である。
「紛い物でも――」
 歯を見せて笑い、豪快な拳を繰り出そうとする黒服の男。
 一晃はそんな彼に高速で接近すると、相手が拳を振り抜くよりも早く刀を振り切った。
 腕が肩から切断され、回転しながら飛んでいく。
 返す刀で更にもう一撃。
 相手の首が飛――ばずに、もう一本の腕で止められていた。
 討ち損なった――わけでは、ない!
 Lumiliaの剣が、男の背を貫いていた。
 彼女の回復量はかなりのものだが、それ以前に敵の攻撃力に対する味方の耐久力が低いことを察しての切り替えであった。
 ここで回復に専念したら負ける、と判断したのである。
 笑ったまま血を吐き、崩れ落ちる黒服の男。
 Lumiliaと一晃が、そしてシュラが、ギラリと最後の船へと視線を向ける。

「オラァッ!」
 もう何度目かもわからない打撃が、山賊風の男へと浴びせられる。
 グドルフの斧は相手の刀をついに折り、豪快に吹き飛ばした。
 手すりにぶつかり、血を吐く山賊風の男。
 グドルフはさらなるタックルを浴びせると、相手を船から突き落とした。
「山賊が山で散るなんてつまらねえだろ? これからは海底で快適に暮らしな」
「チイッ、強え……やっぱりこいつ、『三賊』のグドルフか……」
「あぁ!?」
 振り返り、にらみ付けるグドルフ。
 獣種の巨漢は半歩退き、ウィリアムをにらんだ。
 こうなれば一人だけでも道連れに……と突撃をかける獣種を、割り込んだグドルフが受け止める。
「無茶をしすぎだよ、流石にね」
 ウィリアムがライフアクセラレーションで回復を試みるが、グドルフの蓄積ダメージは深刻なものだった。
 そろそろ限界か……と思った所で、別の船を制圧した仲間たちが乗り込んできた。
「お待たせしました! 誰から行きますか!」
 剣を振り上げ威嚇の姿勢をみせるシュラ。
 獣種は飛行種とハッと顔を見合わせ――。
「どっちもゴメンだ! ズラかるぜ!」
「仕方ありませんね」
 彼らは船の外へと飛ぶと、そのまま飛行と水泳を駆使して逃走していった。

●奴隷船
 これは後日談ではない。
 結構な被害は出たものの、なんとか輸送中の奴隷たちを解放することができたイレギュラーズたち。
 彼らは船を調べるなかで、あるアイテムを発見した。
「これは……『眠りの砂』だね」
 ラサの闇商人と話していたカルネが折れた片腕をつった状態で言った。
「最近出回っているマジックアイテムだよ。対象にふるうことで意識がぼんやりしたり、酷いとそのまま気を失ったりするらしい。幻想種の奴隷をあつかう商人が同じものを持っていたらしいけど……」
 これは一体どこから出回ったものなのだろう。
 謎は尽きず、そして闇もまた……。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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