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シナリオ詳細

スイカスイカスイカあああああうわああああああ!!
スイカスイカスイカあああああうわああああああ!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●スイカ愛
「スイカ! スイカ! スイカ! スイカぁぁうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
 あぁああああ、ああ、あっあっー! あぁああああああ!!! スイカスイカスイカァううぁわぁああああ!!!
 あぁクンカクンカ! クンカクンカ! スーハースーハー! スーハースーハー! いい匂いだなぁくんくん……んはぁ!?」
 まってくれ。変態じゃない。
 彼はカボチャの馬車ならぬスイカの馬車を操り、スイカヘルメットを被ったパカダクラの手綱を握るただの男。
 彼こそはスイカ農家、シマック氏である。
 深緑でいちばんウマいスイカをつくると豪語する彼は文字通りスイカ育成に人生を捧げ、彼の作り上げたスイカはマジウマと評判なのだ。
「ンアァー、今日もスイカが沢山とれて幸せだなァ! 興奮するな!!!!」
 ごめんやっぱり変態だった。
 けど変態性と公益が交わった珍しいケースである。
 そんな彼がラサのオアシス街へ自慢のスイカを元気いっぱいに出荷していた……そのさなか。
「ギシャー!」
「「ギシャー!」」
 ボッと音をたて砂漠から飛び出してきた巨大な蛇の群れ。
 全身が砂でできているが、頭部だけはまるでハロウィンパンプキンのごとく目と口をくりぬいた縞模様の球体……つまりはスイカめいた頭をしていた。
 そんな砂の大蛇、名付けて『サンドスイカ』はシマック氏の馬車を見下ろしギシャーと吠えた。
 そのあとどうなったかと、いうと……!!!!

●まぎらわしいスイカ
 最近、ローレットでは深緑まわりで不穏な依頼が相次いで舞い込んでいた。
 やれ深緑の幻想種が拉致られただのやれラサにロリエルフ(おさないハーモニアのことをさす。尊い)が奴隷として売られようとしてるだの、ロリエルフ浚うマンとロリエルフ売るマンがどうやらめっちゃヤンチャしているらしいってハナシなのだ。
 ロリエルフ豊かなローレットもこりゃ他人事じゃないぞと乗り気な兄貴も沢山いたのだが……皆は知っているだろうか。
 そう、いつも元気な出亀炉 スイカ(p3n000098)ちゃん。
 あのスイカちゃんも19歳の幻想種。あのスイカヘアーの内側をぴらってめくるととがった耳がぴこぴこしていることに。
 皆が『あーそいいえばそうだったな』と思い出したころ。
「大変だ! スイカちゃんが浚われた!」
 といってラサの農家が酒場に飛び込んできた。

「マジか! スイカが!? アタシが拉致られたってのか!?
 ちっくしょう許せねえぜ、アタシが深緑運動会で一等賞をとったり大食いチャンピオンのトロフィーをもってるからって奴ら目をつけやがったな!
 よっしゃ、その依頼ローレットが引き受けるぜ! アタシを取り替えさねえとな!? な!!!!!!」
 出亀炉 スイカ(p3n000098)がガッツポーズで振り返った。
 あなたに向かって振り返った。
 沈黙が流れること約一秒。
 スイカは真顔で言った。
「まて、じゃあアタシは誰だ?」
 おまえはスイカだ。

 話を整理しようか。
 深緑スイカ農家のシマック氏は今日も元気にラサへスイカを出荷していたが、道中の砂漠に現われた仮称『サンドスイカ』の群れが輸送用の馬車にばっくんばっくんくらいつき、中身を保持したままどっかに消えてしまったというのだ。
 シマック氏は死にものぐるいで走ったおかげで助かったが、馬車もパカダクラもきれいさっぱりなくなっていたという。
「奴ら、僕のスイカがマジウマだからって拉致っていったに違いない!
 僕の! 僕の可愛いスイカちゃんが! スイカちゃあああああんうわああああああああああ!!」
「だよな! スイカちゃん可愛いよな! え、アタシ……が……かわいい……!?」
 話がややこしくなるからってスイカちゃんの口にスイカアイスを突っ込んでおくと、シマック氏は涙をふきながらコイン袋を差し出した。
「最近ラサじゃ『砂の魔物』があちこちで暴れてるんだ。今回もソレに違いないんだ。
 僕の……僕の可愛いスイカちゃんを取り返してくれよォ!!!」
 そう、これは、ロリエルフとは割と関係なくスイカを取り返す戦いなのだ!

GMコメント

■依頼内容
 スイカをとりもどせ!!!!!!

 このシナリオは
 『バトル!』
 『スイカ!』
 の二パート構成ででいているぞ!

 ある砂漠地帯を進んでいくと、仮称『サンドスイカ』が群れで現われます。
 奴らは通りがかった対象にばっくんばっくんくらいつき、頭のスイカめいた球体の中に取り込んでしまいます。
 丁度砂に埋まった感じになっており、案外頑丈なせいで壊して中身だけ取り出すってェことが困難なのだそうです。

 そんなわけで、皆さんはシマック氏と同じルートをあえて馬車で通り、『サンドスイカ』をおびき出し、ぽこちゃか戦い倒した上で、とんかん地道に掘削してスイカヘッドの中からスイカを取り戻しましょう。
 ちなみにスイカは時限冷蔵魔法がかかっているので砂漠に埋もれていたにも関わらずなぜかひんやりしています。
 シマック氏は一部を本来の取引先に持って行き、余分に運んだ分をオアシス街でごちそうしてくれるそうです。

■バトル!
 馬車で進む皆さんに、『サンドスイカ』の群れが砂の下からボッて出てきて襲いかかります。
 このときなんでか奇襲攻撃を行なわないので、こっちとしても普通に戦闘に入ることができます。
 『サンドスイカ』は5体ほどおり、噛みつき攻撃の他に砂嵐を起こして吹き飛ばすなどの攻撃方法を持ちます。
 基本的な攻撃レンジは近~遠。砂嵐には【飛】や【暗闇】といった効果が、噛みつきには【必殺】の効果があります。
 集中攻撃されるとちょっと厄介なので、あえて敵味方2~3名ずつにバラけて各個それぞれで撃破していくのがいいでしょう。
 メンバー配分やチームワークで遊んでみてください。

■スイカ!
 『サンドスイカ』を倒すことでスイカを取り返すことができます。
 一旦オアシス街へ出荷しおえたら、余分にもってきたスイカをごちそうしてくれるそうです。
 暑い日に美味しいスイカを食べるとスカッとしますよね。
 噴水広場に集まってみんなでスイカをいただきましょう。
 スイカって、食べかたひとつに性格が出ると思うんですよね。
 あなたはどんな食べ方をしますか? 豪快にがぶがぶ? 神経質に種をほじくりだしたり? 塩派? 蜂蜜派?

 なお、情報屋のスイカちゃんはアイスの食べ過ぎでお腹を壊したので本日は参加しておりません。お土産待ってます。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • スイカスイカスイカあああああうわああああああ!!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月25日 21時25分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

焔宮 鳴(p3p000246)
救世の炎
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
疾風蒼嵐
主人=公(p3p000578)
ハム子
ヨハン=レーム(p3p001117)
ラド・バウD級闘士
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
五行絶影
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
未知の語り部
ヴォルペ(p3p007135)
満月の緋狐
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り

リプレイ

●「これはスイカですか?」「いいえ上腕二頭筋です」
「依頼人もスイカ! 情報屋さんもスイカ! 人質(?)もスイカ! 敵もスイカ!
 もうあっちもこっちもスイカだらけなの! スイカの依頼でスイカを倒すとスイカを貰えてスイカにスイカのお土産なの!」
 『炎嵐に舞う妖狐』焔宮 鳴(p3p000246)が頭っていうか耳んとこをわしわしやってうわーすいかーと叫んだ。
 事情を知らなかったら仕事のしすぎか夏の暑さで頭がやられちゃったのかなって思う場面だが、安心してください。正気ですよ。
 赤いエプロンにでっかい剣を背負った『大剣メイド』シュラ・シルバー(p3p007302)が、大体鳴と同じポーズで手を翳した。
「前に受けた依頼は幻想でスイカ割り、そして今度は砂漠でスイカ割り!
 世界はスイカでいっぱいなのですか……!」
 んわーといって頭をわしわししかかったシュラの肩に、『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)がぽんと手を置いた。
「それだけじゃないよ深緑でもスイカは割ったよ」
「うわーすいかー!」
 本当に夏の暑さでどうにかなっちゃったのかもしれない。ラサの砂漠に夏があるかは知らないが。
「いずれ慣れるよ。混沌の世界には不思議がいっぱいだからね」
 おかしな混沌生物をきっと人一倍みてきたシャルレィスの、なんだか含蓄のある言葉が光った。
 ゆっくりと頷く『ハム男』主人=公(p3p000578)。
「もうじき、夏も終わるんだ。スイカの季節も終わる……終わるよね? 落ち葉で焼くオータムスイカとかシャーベット状のウィンタースイカとかないよね?」
「やめて、本当にありそうな気がしてくるから」
「今年は、スイカに縁があるなあ……」
 『寝湯マイスター』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は冷やす用の水を残して置くべくアルミクーラーボックスにアイスブロックをしまい込み。パカダクラへと乗り込んだ。

 商業馬車とそれを囲む護衛。一塊の即席キャラバン。
 ロープで繋がれたパカダクラが等間隔にあるく砂漠の一角で、『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)ばこぶに寄りかかるような形で笑った。
「スイカ、お土産にいいよね。おにーさん、甘いのは身体がうけつけないけど」
「混沌の世でまで糖分に苛まれるとは不幸な……」
 『五行絶影』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)は揺れるパカダクラの波に身体を無意識にふりながら、額にトンと指を当てた。
「ところで……サンドスイカというのはもはやスイカでは無――」
「こんなスイカなんかに負けてたらいつまでたっても強くなれません!」
「むっ」
 『孤高装兵』ヨハン=レーム(p3p001117)が装備したままの盾を振りかざす。
「気を引き締めて! 敵を過小評価することなく対応しましょう! 見た目はスイカですが!!」
「実にその通りだ。形がスイカならば是非も無し!」
 白い脇差しのような武器を抜き、真昼の太陽のようにぎらりと光らせた。
「スイカは、かち割るしかあるまい!!!!」
 その瞬間!
 ボッと激しい音をたて、砂の大地より巨大な蛇が現われた。

●「これはスイカですか?」「いいえ砂の蛇です」
 巨大な長細いボディに丸い頭。走る縞模様とパンプキンランタンのごときギザギザの口。誰が呼んだかサンドスイカ。
 彼らはパカダクラも馬車もその乗員もみんなまとめていただいちゃおうと猛烈な勢いで食らいついてきた。
「散開!!」
 ヨハンの号令と共にパカダクラを乗り捨てた鳴たちは、それぞれサンドスイカを中心に四方向へと散っていった。
 一度きょろきょろと見回したサンドスイカは一匹が鳴たちへ、新たにボッて出たサンドスイカはそれぞれ別のグループへと襲いかかっていく。
 追いかけてくるサンドスイカと他の個体を一通り確認した鳴は、ブレーキアンドターンで腕を水平に振った。
 指先の描いた軌跡が光となり、二重螺旋を編み上げた槍となって頭上の空間へとセットされた。
「こっちは4チーム、あっちは……4体?」
「油断は禁物です。まずはこの個体を倒しましょう!」
 ヨハンは盾を両手持ちしてサンドスイカに立ち塞がると、砂嵐のブレスを斜めに受け流した。
 風圧で僅かにずるずると押されはしたものの、身体に残るダメージはさほどない。
 砂が生きているかのようにヨハンの目や口に入ろうとしたが、ヨハンはそれを上手に振り払った。
「大丈夫です、いけます! 全力で撃ってください!」
「はい、防御は任せました!」
 鳴は指鉄砲の構えからスピリチュアルバレットを乱射しながら、予めセットした槍を発射。
 それこそ蛇のように高く鎌首をもたげたサンドスイカの首や顔面に弾丸と槍が刺さっていった。
 弾丸によって表面装甲をはがされたサンドスイカに、槍が深く入り込み、砂の結合をもろく崩していく。
 よろめいた所を、ヨハンが背負っていた大剣『フルムーン』によって豪快に切断した。

 一方シャルレィスと汰磨羈は、水面を泳ぐかのようにざぶざぶと波打つサンドスイカの突撃を左右に素早く回避していた。
 巨大な球体頭部が暴風のように突き抜けていく。
 汰磨羈は自らに淡い霊力の薄衣を纏い、シャルレィスは剣を中心に身体へ渦巻く風を纏って、それぞれ砂の上を転がった。
「よそと合流されても面倒だ。ここに足止めするか」
「確実じゃ無いけど、やってみよう。『サンドイッチ作戦』だね!」
 二人は一度交差するように走ると、ターンしてきたサンドスイカのさらなる突撃を察知。
 自分が狙われたと察したシャルレィスは蒼嵐の纏う風を強くしてサンドスイカの暴風へと叩き付けた。
 風がぶつかり、混じり合い、食らいあい、一瞬の無風状態が生まれる。
「硬い物を割るコツの1つ。両側から、衝撃をブチ込む!」
 雨のようにざらざらと降る砂。そんなサンドスイカの後方から、助走をつけた汰磨羈が跳躍、宙返りを経て白く輝くキックを繰り出した。
 接触と同時に生命の脈を寸断する気を送り込むこのキックは、サンドスイカの硬い砂装甲の結合能力をも破壊。
「よーし、私も負けてられないぞー!」
 キックの勢いのままシャルレィスへと押し込み、剣を構えていたシャルレィスはやぶれかぶれに口を開いたサンドスイカの顔面を真っ二つに――いや、四つに切断した。

 猛烈な砂吹雪。
 展開した魔力障壁が崩壊し、公は派手に吹き飛ばされた。
 ごろごろと砂を転がる公をシュラが片手でキャッチ。ぬいぐるみでも立たせるようにひょいと持ち上げた。
 余った勢いでつんのめりそうになるのを押さえ、シュラの前によろけ出る公。
「おっとと」
「大丈夫ですか? 苦戦、してるんでしょうか」
「どうかな。けど『正論の刃』がうまく聞かない気がするんだ。え、なんで? 砂だから?」
「そういう問題では、無い気がしますけど……」
 公はクッと言って口元の血をぬぐった。
 なんだかすごく主人公っぽいムーブである。
「ボクはまだ、『正論の刃』を使いこなせていないっていうのか」
 なんだかすごく主人公っぽいセリフである。
「使用するとだけコールされた正論ってただの論では」
「ぐう正論!」
 唇を噛み――そして公はハッと目を見開いた。
「そうか! ボクは使いこなせなかったんじゃない。使い方は、もう知っていたんだ! ボクはただ、正論をつきつければいい!」
 はいここ一連の主人公シーン。
 公は再び砂のブレスを吹き出そうとするサンドスイカへ、背筋を伸ばし堂々と胸を張り、そしてトゲつきの吹き出しが出る勢いで指を突きつけた。
「キミ、サンドスイカって呼ばれてるけどただの砂だよね!」
「――!?」
 言われてみれば! という感じでビクッとなるサンドスイカ。
 うるせー俺はスイカだ! とヤケになったかのごとく食らいついてくるサンドスイカ。
「今だ、シュラ! キミの力を見せてやれ!」
「はい!」
 公の前に出て両手を突き出すシュラ。
 突っ込んできたサンドスイカの口――その上あごと下あごを手袋越しに掴むと、その握力によって歯を止めた。
 どころか。
「えい! 一本背負いです!」
 そのまま大きくのけぞり、勢いで相手のボディ全体を地面から引っこ抜き、顔面を土に叩き付けた。
「うんそれ一本背負いじゃないね。バックドロップだね」
「正論!」
 首ブリッジ姿勢のままハッとするシュラ。
 勢いよく直立姿勢に戻ると、軽くのびていたサンドスイカめがけて大剣を振りかざした。
 赤い刀身が陽光に光り、青空に炎のようなライトグリーンの残像が引いていく。
「デストロイブレード(未完)!」
 思い切り剣を上から下に振り込み、その勢いで腕がひっこぬけそうになりつつ、というか実際顔面からめきゅっと倒れ、一方のサンドスイカを失敗した砂の城みたくした。

「おにーさん、甘い物は苦手だけど砂を崩すのはね」
 イケるから。と呟いて、ヴォルペは突っ込んでくるサンドスイカの攻撃を身体で受け止めた。
 直撃――は避けたものの、腕や肩に食い込む歯。
 ブーツで下あごこそ防いだものの、上あごのギザギザがヴォルペの肩へと刺さっていた。
 そのまま豪快に振り回し、食いちぎろうとするサンドスイカ。
「大丈夫。すぐにすむからね」
 ウィリアムは大気中の水分と砂を集めると、巨大な杭を形成していった。
 その巨大さはサンドスイカと同等なほどで、杭はガス噴射によって飛び上がっていく。
「魔術の基礎を教えよう。ある国で、魔術の構成要素は火と水と土と空気。水は熱によって動きをもたらし、強固ではあるがバラバラな土を巨大な塊へとかえる。そして空気をもって、衝撃にかわる」
 呪文を小さく唱え、パチンと指を鳴らすウィリアム。
 サンドスイカの頭上へと位置調整された巨大な杭が、頂上からの猛烈なガス噴射によって急速落下。サンドスイカをきわめて強引に、そして激烈に破壊した。
 たったの一発。その膨大で緻密な魔力調節によってウィリアムのこめかみの血管と皮膚が破れ出血したが、与えたダメージの大きさに比べれば微々たるものだ。
 ウィリアムは布で血をぬぐい、砕けた砂の山から這い出てくるヴォルペに手を貸した。
「ありがとう、君のおかげで安全に魔法を行使できた。助かったよ」
「いや、なんの」
 と、その時である。
 ボボッ、と大きな音をたてて、彼らの中央。
 つまりは4チームで分散していた戦場の中心地点から、新たなサンドスイカが飛び出した。
 通常よりも一回り大きなそのサンドスイカは、口の中にひどく傷ついた馬車を保持したまま、グオオと獣のように叫ぶ。
 空と砂漠に響き渡る咆哮の中で、ウィリアムは微笑した。
「なるほど、あれがシマックさんのスイカだね」
「ダラァ!」
「あとパカダクラだね。鳴き声がした」
 両手を開き、腕を広げる
 周囲の砂が持ち上がり、水分と合わさり無数の杭へと変わっていった。
「さあ皆、仕上げだよ」

 ウィリアムの作り出した杭の一つを手にとって、サンドスイカへと突撃していくヴォルペ。
「まずはおにーさんが隙を作るから、一斉攻撃は任せたよ」
 サンドスイカの表面装甲が鋼のように硬いのは、砂漠の砂を三層構造で圧縮したからだ。たかが砂されど砂。握って固めれば人を殺す力にだってなる。
 ヴォルペは食らいつこうとするサンドスイカめがけてあえて跳躍し隙を晒すと、杭を振り上げて口の中へと飛び込んだ。
 誰だって急に口に何かをつっこまれたらびっくりする。
 サンドスイカだってそうだ。
 頭をのけぞらせてヴォルペをはき出すか噛み砕くかどっちかにしようとしていた……所へ。
「スイカ割だ!!!!」
 霊力噴射によって高く跳躍した汰磨羈が、自らを巨大な光の掘削ドリルに変えてサンドスイカへと突っ込んだ。
 真っ白い霊力光の螺旋が気の刃によって回転し、サンドスイカのボディを貫通していく。
「一斉攻撃でしたね。じゃあ、もう一回これで!」
 鳴が魔力の槍を再び形成。今度は一回り太く大きいものを作り出すと、その上にシャルレィスが飛び乗った。
 発射、の勢いに乗るように突きの構えをとり、魔力爆発と暴風を起こしながらサンドスイカを突き抜けていく。
「まだまだ、後に続いて!」
「ではここはひとつ豪快に――」
「合わせ技でいきましょう!」
 ヨハンとシュラがそれぞれの大剣を握り、サンドスイカの根元部分でブレーキ。勢いをつけシンメトリーフォームで振り上げる。
 青白い電光がヨハンの剣を走り、赤い炎のようなオーラがシュラの剣を走る。
 同時に叩き込まれた剣――とほぼ同時に、公とウィリアムがびしりと指を突きつけた。
「偽式――破城天鎚」
「論法――神気閃光」
 大量の光の杭と石の杭。それがバラバラにサンドスイカへ殺到し、激しい爆発となってサンドスイカをつつみこんだ。

●「これはスイカですか?」「えっそうだけど……食べる?」
「うまい!!!!!!!!!!!!」
 四分の一にカットしたスイカを両手に持ち、端からんがーっと囓って種だけ適当に飛ばし、ぺろりと唇をなめた汰磨羈がいた。
 もうなんかこれ以上なくスイカ喰ってるシーンである。
「あぁぁああぁあああぁぁぁぁあスイカ! スイカちゃああああああん! うわああああああ! よかっよかかかよかよかったスイカちゃうわあああああああああ!」
 手塩にかけたスイカが戻ってきた軽く発狂してるスイカ農家のシマック氏をよそに、汰磨羈たちはスイカパーティーを開いていた。
 スイカ農家ってやつはとにかくスイカを沢山つくるしちょっと形が悪かったりすると周りに配ったりするので、一部地域の人たちにとってスイカは貰うもんらしいね。
 そんなわけで汰磨羈たちの前にはスイカがなんかの冗談みたいにピラミッド積みされていた。
 ヴォルペはそれを手際よく切っては配り、ウィリアムはウィリアムで砕いた氷と水につけてスイカを冷やしていた。
「スイカにはいろんな切り方があってね、たとえばこう……」
 球状のスイカを一旦真っ二つにしたあと、まな板に伏せて網目状にかつ等間隔に切っていく。
 すると、中央のスイカは持ち手が小さく長細い棒状のスイカとなるのだ。
 普通の包丁では難しいが、切れ味が良く頑丈な包丁なら結構やれる芸当である。
「スイカは中央にいくほど甘さがあって、種の並びにそって斬っていくと種がとりやすくなるんだよ」
 スイカ豆知識。スイカは中央から四方向へ矢印状に維管束が伸びていて、その管の周りに種ができる。そのあたりをよけてきると種のないスイカにできるのだ。
 ちなみにシマック氏のスイカはそもそも管が見えないくらい細く種が少ないつくりになっており、甘さも端まで比較的均等に行き渡るというなんか奇跡みたいなスイカなのでどう切ってもウマイ。
「今年の夏は美味しいスイカを食べられて幸せだなぁ」
 最初は丁寧に塩をふったりしていたが、二個目三個目と進むにつれて面倒くさくなって直接かぶりつくウィリアム。
「スイカはあまり食べないので、よく分からないのですが……」
 やや困り気味のヨハンに、鳴がスティック状になったスイカを手渡した。
「さきっぽだけ普通にたべて、あとはこうやってお塩かけるの」
 ソルトミルをかりかりやってやると、自分も同じようにしてかぶりついた。
「へー、塩をかけると甘みがますって……どういう理屈なんでしょう」
「知らないけどおいしいの!」
「たしかに」
「そんなあなたに、スイカ牛乳」
 シュラはボトルに入れたミルクを種なし部分のスイカをやや凍らせたものと混ぜ合わせ、しゃりしゃりやってスムージー状にした。
「おーーーーーーー」
「お任せください。メイドですから」
 とかいいながら凍らせたスイカを拳でメシャアって割るシュラ。
 メイドはスイカをメシャらないよねって思ったけど、便利なので黙っておくことにした。
「やっぱり、暑い日にスイカは最高だよね。あっ、スイカちゃんへのお土産もとっておかないと。それに……あの半分にしたスイカに直接スプーンをたてるやつやりたいんだけど……」
 そっと振り返るシャルレィス。
 親指を立てるシマック氏。
「いいぜ!」
「やったー!」
「はチキチキスイカ早食い大会ー!」
 イエーといいながらスイカを真っ二つにする公。
「そう、ボクに足りないのは思い切りなんだ!
 今ここでボクは限界を超えて見せる! うおー!」
 こうして、イレギュラーズたちは軽く飽きるくらいスイカを食べまくり、夏の思い出をまた一ページ増やしたのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

『すいかおいしいです!』――スイカちゃんから届いた暑中見舞いのハガキより

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