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シナリオ詳細

貴族のヒミツ防衛戦線

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●怪盗『紳士』のウワサ
 ――次の月の映える夜、貴方の『花園』を頂きにあがります――
 とある貴族の邸宅に届けられた一枚の紙片。それを見た主人は慄き、従者達(主に女性)を集め、男性装を命じた。
 『幻想』は旅人の流入が少なくない国とはいえ、思想やジェンダーの思想は未だ中世~近世のそれを色濃く残す。貴族の権勢の象徴である従者達を、わざわざ女性として魅力の薄い(一般論)格好にするなど普通ならば考え難い話だが……紙片、言ってしまえば『予告状』の差出人を考えればさもありなん。
「くそっ、私の所に不遜にも潜り込もうとは……ルパンツ82世め、腹立たしいことよ……!」
 貴族は怒りを隠さずに吼え、黒壇の机を強く叩く。
 ――ルパンツ82世。幻想を騒がせる怪盗であり、その所業、そしてその姿から明らかな変態として扱われている。整った燕尾服に黒の長髪、目元を覆う仮面。まあそれはいいだろう。
 だが、彼は頭にパンツをかぶっているのだ。そして盗むのは決まってぱんつ、しかも女性のものをメインにしているというではないか。貴族が従者達を慮って、というよりは従者が餌食になったという醜聞を晒したくないばかりに、道理を曲げて男性装を強要したのも頷ける話だ。
 だが。
「キャァァァァァァッ!」
「貴女様のぱんつ、頂きます」
 少女の悲鳴――あれは従者の中でも最年少のケティのものではなかったか――と、厳かですらある男の言葉が反響する。声を聞きつけた貴族と私兵達が駆けつけるも、そこにはすでに、ズボンのラインが妙にフラットになったケティの姿だけが残されていた。
 それだけではない。従者達がさらに数名ほど犠牲になっており、彼女らのパンツは後に、ルパンツ82世によってばら撒かれた……の、だとか。
 そして今また、ルパンツ82世の毒牙にかかろうとしている貴族の屋敷があった。

●今回は『捕まえる方』なのでよろしくおねがいします
「ルパンツ82世……!」
 リュグナー (p3p000614)がその話を聞き、ガタリと椅子を揺らしたのは当然といえば当然であった。彼は過去に、コレクションを盗まれたとかで強い因縁を持っているのだ。
 貴族の邸宅内であっても、その骨髄まで侵した恨みは抑える事ができぬ。数秒ほど固まってから、リュグナーは椅子に腰を落ち着ける。周囲のイレギュラーズもハラハラものだ。……時折どこかブッ飛んだことをしているが、彼も一応、名の通ったイレギュラーズであるゆえに。
「知っているなら話が早い。実は、私の家に先日、これが届いたのだ」
 そう言って貴族が取り出したのは、予告状だ。『次の月が映える晩、罪深きぱんつに解放を ルパンツ82世』と書かれたそれは、一度見たなら間違いなく本人の所業であると理解できよう。
「残念ながら我々は『罪深き』、などという話は知らないのでね。守ろうにも手の出しようがない……それで、君達の評判を聞いた。随分と上手くやっているそうじゃないか?」
 貴族の言葉にはどこか侮蔑のような、下に見た空気が垣間見えた。だが、依頼人であることに変わりはない。一同はその空気を無視し、改めて依頼について詰め始める。
 依頼内容は『ルパンツ82世の捕縛』。撃退や討伐といった面を望んでおらず、手元に置くことを主眼に置く。
 ……なお。
 依頼人の貴族、使用人、家族各位は『罪深きぱんつ』の存在、その意味に首を振るのみだったが、心を見通せる者なら、それが明らかな嘘であることが分かるだろう。
 どこまでが嘘か、どこから真実が混じっているかは明らかではないが。

GMコメント

 関係者依頼EASY……ですが、一筋縄で行くわけでもなさそうです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●成功条件
 ルパンツ82世の『捕縛』。『撃退』(盗ませずに撤退させる)でも『討伐』(戦闘不能にして放り出す)でもないことに注意されたし。
 達成に伴う危険度その他で言えばEASY。

●ルパンツ82世
 リュグナー (p3p000614)の関係者(?)。ぱんつを盗む怪盗(義賊)として知られ、ギフトに関しては『PaNtU』という名前のみ判明している。
 頭にぱんつをかぶり、夜会マスクを付けた変態だ。
 怪盗としての技倆は目を瞠るものがあるが、戦闘能力は極端に強力というわけではない。少なくとも、イレギュラーズと8対1を演じられるほど強くはない。
 非戦スキルは豊富に使える模様。逃げに徹すと極悪。
 変装の腕前も高いとか。色々ギリギリだが気にしてはいけない。

●貴族
 幻想南部の一般的な中流貴族。当然だが裏で語られるようなことも幾つかあるようだ。
 ルパンツ82世の述べる『罪深きぱんつ』については知らぬ存ぜぬを通している(リーディング等の看破系スキルがあれば嘘をついている人間とそうでない人間との区別がつくだろう)。
 接触可能なのは依頼者、その妻子、使用人、庭師etc(接触希望を出せば左記以外もいるかもしれない)

●貴族の館
 2階建て、1階辺り20部屋ほどを有するそこそこ大きな屋敷。
 特に警戒すべき(と、貴族が主張している)のは書斎、金庫室、食堂(ここまで2階)、大広間、貴族家族個々の居室(1階)。ルパンツ82世の侵入経路は不明ながら、これら以外で大きい動きは(今回は)ない。
 手を分けるなら1階と2階に分ける程度に留めたほうが懸命だろう。

 何かが始まるようで何も起こらない! ……なんてことはないと思います。
 では、ご参加お待ちしております。

  • 貴族のヒミツ防衛戦線完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年08月28日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
悪鬼・鈴鹿(p3p004538)
ぱんつコレクター
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
フィーア・プレイアディ(p3p006980)
CS-AZ0410
ラナーダ・ラ・ニーニア(p3p007205)
必殺の上目遣い系観光客
高槻 夕子(p3p007252)
クノイチジェイケイ

リプレイ

●もうちょっとタイミング考えて
「クハハハハ! ルパンツ82世、向こうから出向いてくれるとは有り難い! 貴様を捕える日をどれ程待ちわびたか……今宵が貴様の最後だ!」
「ルパンツ82世……この依頼で出会わなければ仲良くなれそうだったのに……世は無常なの」
 『ぱんつコレクター』リュグナー(p3p000614)にとってルパンツ82世は報復すべき対象だ。『ぱんつコレクター』悪鬼・鈴鹿(p3p004538)の語るように、出会いが被害者と加害者に分かれて、でなければ、両者の心が通じた事は間違いない。ホラ、どっちもトンチキだし。
「パンツ盗む怪盗の事件には嫌な思い出があるのよね……」
 『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)はどうやら類似の手合いについて知っており、エラい目にあったらしい。……天義に迷惑を掛けるぱんつ泥棒ってお前。もっと詳しく。
「いーやーー、お家帰るーーー!」
 『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)はローレットで作戦会議って段階で既に逃げ出そうとしていた。よかった、常識的リアクションだ。
「怪盗の出るところに名探偵の影あり……ついにボクの出番が来たね」
「怪盗の捕縛とは聞いたけれど、それがパンツ泥棒だなんて聞いていませんわよ!」
 『必殺の上目遣い系観光客』ラナーダ・ラ・ニーニア(p3p007205)はここぞとばかりに探偵アピールに熱心さを重点しようとするが、ヴァレーリヤの言う通りこんな変態を相手に探偵としての功績を積むのは如何なものか。イレギュラーズとしての経験を積むことについては、ほら、パンドラ集めだし?
「コメディな雰囲気に誤魔化されますが、要するにただの痴漢かつ強盗……そのような者、このわたくし!」
   \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///
「――が!とっちめてみせますわー!」
 『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)は相変わらずの輝き具合で全力アピール。タントにとって相手の立場がどうとかは関係ないようだ。
 で、タントがぱんつを頭に被ってることは目をつぶっておこう。同じメーカー製のをリュグナーも被ってるし……。
「どうして……パンツを盗むのでしょうか? どうして……高値で取り引きされているのでしょうか?」
「……ていうかブラは良いの??」
 『CS-AZ0410』フィーア・プレイアディ(p3p006980)と『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)は常識的な観点から観点から素朴な疑問を口にしtおいまてカメラ止めろ。新しい被害の種を自らアピるんじゃない。
「そこにぱんつがあるからであろう?」
「魅力的なぱんつは集めないほうが失礼なの」
 リュグナーと鈴鹿はいたって真面目に問いに応じる。呆然とするフィーアをよそに、リュグナーは淡々と彼の考えた作戦を一同に開示する。なるほど合理的な案である。
(頭に被っているアレさえ無視すれば優秀ですのに……何故……?)
 ヴァレーリヤがリュグナーを汚物と賢人のあわいを見るような目で見ていることは、割と仕方ないことなので脇においておこう。貴族の家に連絡とらないといけないからネ。

●キリキリはきだせ!
「我が"伏せろ"と言ったら、両手でお腹を抱えて伏せるのだ。この行動をしていない者をルパンツと見なす」
 リュグナーは、当日屋敷に到着するなり貴族とその関係者全員をかき集め、開口一番こんなことをのたまった。
 「なにをいきなり……」「偉そうだねキミィ」「そんな、お稽古もあるのに……」などなど。貴族一家と使用人達は口々に不満を露わに反論する。だが、彼らとて事前にローレットから話は通っている。……いる、はずだ。何より自分達の被害を抑える為ならば、いざとなれば対応してくれるはず。……そう思うしか無い。
 使用人各位、庭師、貴族は夫婦と一人息子。それ以外にもちらほらと下男下女が。
(……うん?)
 ラナーダはそんな中で、あからさまに怪しい気配を感じ取っていた。具体的には、リュグナーへ向けてどこか熱の籠もった視線を向けている何者か……いや隠せてないわ。間違いなくあいつだわ。
(目元の隠し方が狙いすぎなの。でも自然に溶け込んでいるから油断は禁物なの)
 鈴鹿も、明らかに「あいつだ」と言える対象を見抜いている。当然といえば当然ながら、それはラナーダが目をつけた相手と同じ者だ。
 しかし、視線を交わした2人以外はこれといって怪しいとは感じていない……らしい。まあホラ曲りなりにも怪盗なので。
 万人バレするヘッタクソな変装をされたらそれはそれでどうかと思う。
(ちょっとつつけばコロッといっちゃいそうな奴も混じってるわね。チョロそうで助かるゥ~♪)
 夕子その他、情報収集をメインに動く面々は、今回……なんというか、実に蠱惑的な魅力を持つ連中ばかりだ。
 言いくるめて情報を引き出すには、これ以上なく相性がいいのは間違いない。何人かに見当をつけた彼女は、リュグナーが一同を解散させるのを待ってから、するするとターゲットに近づいていく。
 他の面々も、各々で警備すべきと思った場所、聞き込みをする相手の持ち場へと散っていく。
 ラナーダと鈴鹿は『怪しい相手』をマークする……かと思いきや、別の場所へ。いつでも対応できるという余裕か、意味深長な動機ゆえか。ともあれ、貴族邸の長い一日は始まった。

「ねー。色々大変なんでしょう? 少しぐらいイイコトしてもイイんじゃない?」
 夕子は執事の男にしなだれかかると、胸元に指を這わせながら蠱惑的な口調で語りかける。JKとしての魅力と上目遣いの破壊力は、精力旺盛な男であればコロリといってしまいかねないもの。
「ははっ、お嬢ちゃんは冗談が好きだねぇ。イイコトか、私がもう少し若ければ……いや」
 若くなくても、お願いしたいかなぁ。そんな冗談を返しつつ、老境に差し掛かった男の目は冷たい輝きを宿して彼女を見据えていた。情報収集、大いに結構。だが、怪盗の同行を探り、先手を打つ為のそれであろうに、無駄な(彼女にとっては異なるかもだが)時間を消費するつもりなのか? そんな苛立ちすら漂ってくる。
「じゃ、じゃぁ『罪深い』ってなんなの? そういうことに絡んだぱんつってコト?」
「さあ、ねえ。本当に大事、どうしても明け渡したくない、そういう思考があるのなら、ご主人は既に話しておられるだろうさ。尤も――」
 続く言葉を咳払いで隠し、男は取り付く島もないという様子で夕子から離れていく。彼女は自分なりの手段を選んだのだろう。長所を理解しているのはとても評価できる。相手と、状況と、緊張感が足りなかっただけである。

「月の舞姫の津久見弥恵にございます、良ければお話聞かせてくださいませんか? 何でも構いません、是非」
「おや、素敵なお嬢さんだね。なるほど、なんでも……ねぇ。私が知ってることなんて大したものじゃないと思うけど……」
 弥恵のやり方は、夕子に近い、と言えなくもない。女性としての魅力を十全に引き出し、相手の口を割らせるもの。違いがあるとすれば、衣装から立ち居振る舞いからすべてにおいて『踊り手』としての側面を強調したうえで、少しでも糸口を掴もうとしている点にある。そりゃあ、『罪深いぱんつ』なんてトンチキ用語よりはマシな解答が帰ってきそうものだが。
「ああ、そういえば! 最近、屋敷に荷馬車が来る事が殊更に多くなった気はするねぇ。それが怪盗さんやあなた達の探しものと何の関係があるかは知らないけど、何か繋がりがあるのかねぇ」
「荷馬車……ですか?」
 弥恵のオウム返しに、女性はああ、と大仰に頷いた。料理を担当しているのであろう、恰幅がよく健康的な彼女が詳細を知らぬという荷馬車。
 それに何らかの意味があるとすれば……今回の依頼となにか繋がっていそうだ。

「奥様、失礼を承知でお伺いします。その、『罪深いぱんつ』について何かご存知ではないでしょうか」
「…………あの人が狙われる理由は多くあるでしょうが、私が知っていることなどございませんわよ?」
 弱々しい声と上目遣いを駆使して問いかけたフィーアに、貴族の夫人は憮然とした様子で応じてみせた。イレギュラーズを家に引き入れることも賛同できなかったのだろう、表情には不満がありありと浮かんでいる。その言葉に偽りが無い、という事実も。
「だいたい、あの人は私にだって多くを語ってくださらないのよ。怪盗に何を狙われているのか知らないけど、知ったことじゃないわ。その程度でこの家がどうこうなるわけでもないでしょうにね。それに――」
 フィーアが何事か言葉を続けようとしたが、夫人の言葉は止まらなかった。相当鬱憤が溜まっているのだろう。彼女は暫し、夫人の話につきあわされることになるが……裏を返せば、夫人にすら胸襟を開けぬ理由や裏がある、ともいえようか。
「あの人がああだから未だに子供――が――あら? 子供……?」
 そこで、夫人ははたと口を噤む。

「ルパンツは確実に『あの人』だとして、問題はぱんつの方かな……」
 ラナーダは家人が集合している段階で、ルパンツの変装を見破っていた。鈴鹿にも同じことが言えるが、両者ともに敢えて泳がせる選択をした。何故か? 相手のターゲットが明らかではないからだ。
 変装はあからさまなのだが、所作にボロが出ないところで捕まえようとしても、自分たちに不審者としての烙印が押されかねない。なら、狙いを前にボロを出してからでも遅くはないのでは、と考えたのだ。
「実はちょっと何人かに『協力』してもらったの。大体わかったの」
 悩むラナーダの前に現れたのは鈴鹿。彼女もまた、変装を見破っていた者のひとりなのだが。短時間で数名の使用人や貴族から情報をかっぱいできたらしい。主に魔眼とかで。探偵っていうよりもはやこっちの方が怪盗らしい感じするが、それはさておき。両者は、思いがけぬ真実、その一端に触れかける。

「貴方の秘密を白日の下に晒そうとしているわけではありませんの。私達はぱんつを守るために、その在処を知りたいだけ」
「主を恐れて嘘をついても構わぬが、貴様の大事な下着が盗まれて国中にばら撒かれても……我は知らぬぞ?」
 一方その頃。リュグナーとヴァレーリヤは手分けして警備に当たる前に、と1人の男を問い詰めていた。相手は、庭師。虫も殺さぬような顔をした彼の良心を刺激しつつ、やんわりと脅しにかかっていたのだ。
 えっげつねえ脅しだが概ね事実っぽいから仕方ない。庭師はどこか観念した表情で言葉を発しようとした……その時である。
「リュグナー、君がその脅しをかけるのかい?」
 そこにいたのは、貴族の息子を名乗っていた青年だった。唐突に話しかけられたリュグナーが違和感に気付くのに、一拍分の時間がかかった。
「な……」
「君は本当に騒々しいね。もう少し華麗に立ち回れないものか……」
 青年はするりとリュグナーの間合いに入り込むと、そのまま彼の傍らをただ通り過ぎようとし。その瞬間、指が閃き――。
「あーーーーっ! 貴方ですわね、ルパンツ82世!」
 その動きを直前で止めさせたのは、タントの叫び声だった。なぜかこの子は頭に採寸済みの一点物ぱんつを被っているけど気にしてはいけない。多分同類をなんとかかんとか引っ張り出したかったんだきっとそうだ。
「貴様ッ、この期に及んで我に手を出そうなど! 男色家か!?」
「はっはっは、とんでもない。そんな趣味はないが、そのぱんつが魅力的だったのでね、つい」
 ついじゃないが。庭師は脅され損だしヴァレーリヤは突然すぎる展開に立つ瀬がないし、本当になんなのかこれは。
「それにしても、貴方様は随分と慧眼だ。先程の時点ではそうバレはすまいとおもったのだが……?」
「ここに来る途中で仲間から聞いたのですわ! この家にはまだ跡継ぎがいない、なのになんでわたくし達は息子の存在を当たり前のように受け容れていたのか……そう! 貴方の! 暗示ですわー!」
 ビシッとポーズをキメ、眼力でなく状況証拠から相手の変装を看破したタント。主人にダイレクトで話を聞きに行った際、フィーアが夫人相手に体験した違和感を自身も感じた……そんな所だろう。
「おやおや、これは一本とられた。だが貴方達とまともに戦うのは私も避けたい……」
 スッと一歩下がったルパンツに、逃すまいと居合わせたイレギュラーズは包囲する。
 だが、ルパンツはここで思わぬ行動に出た。なんと、逆に突っ込んできたのである。タントが隠しきれぬカリスマ性で敵を屠る、その手段をすんでのところでかわし。驚くべきことに、タントの頭のぱんつを一瞬で掠め取ったのである。
「あーーーー! そのおぱんつだけは駄目ですわ! 返して!」
「ははははは、私は怪盗なのだから返せと割れて返すわけがないであろう!」
 まあ確かにその通りだわ。一同が納得しかけつつ、慌ててルパンツの背を追いかける。道すがら、リュグナーはルパンツの犠牲になった仲間――弥恵とか夕子とか――を横目に、悔いつつもなんやかんやして追い詰めた。執念で。あと羞恥心により露わになった敵意を向けるイレギュラーズの協力で。ここで止めないとブン殴られるの我では? みたいな。
「もう逃げ場はないぞルパンツ! 後ろは締切の扉、裏手には逃げ場もない……物質透過できるスペースがないことも確認済みだ!」
「逃げ場は作るもの、この程度の窮地では私の収穫を阻むことなど」
 リュグナーの宣言に驚きつつ、それでもルパンツが逃げ手を打とうとした、まさにその時。

「パンツカモン!」
「んな――っ!」
 そう、鈴鹿のギフト『真・パンツ脱がすの術』だ。真てなんだよ。まあなんやかんやで独自に情報収集を行なっていた彼女とラナーダの存在は、ルパンツにとって完全に思考の外にあったらしく。
 畢竟、このようにルパンツ本人のぱんつが奪われるわけである。誰が得するのかは兎も角――少なくとも、ルパンツ本人の動きを止めることには成功したわけだ。
「くそっ、卑怯な……それでもイレギュラーズか?!」
「ええ、イレギュラーズだからこそ……容赦はいたしません」
 フィーアは動揺するルパンツに、全く容赦のないトンファー打撃をくわえていく。手心という概念が一切ない乱打は、彼が昏倒するまで続いた。

「ルパンツ82世、恐ろしい男であった……あ、この前の代価としてこれは頂いておくぞ」
 もののついでのように頭のぱんつを剥ぎ取られ、縛り上げられたルパンツは貴族に無事(?)引き渡されたのだが。……だが。

 後日、ローレットに『罪深いぱんつ』の詳細報告とともに届けられた情報によれば。
 貴族の手に渡ってから数日後、夫人と使用人の若い女、そして貴族のぱんつが盗まれるとともに、ルパンツが逃げたという情報が入ってきた。
 そして、『罪深いぱんつ』はなぜか未だ健在であるということも。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 大変おまたせして申し訳有りません。
 とりあえずルパンツは捕まりましたし『罪深いぱんつ』は脱走されこそすれ無事です。
(実は調べすぎるとルパンツに場所が開示されて脱走時に……なんてトラップがあったりなかったりしたんですがそれはさておき)
 情報収集の手段は全部、尊いものと思います。TPOが合致していればさらによし。
 色々怪しい情報の断片が出てきましたので、こちらは……多分いつか役に立ちます!
 謎のままにはしません!
 たぶん!

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