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シナリオ詳細

諸君、夏だぞBBQだ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●走れオーク
『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は巨体を揺らしながら、山道を必死に走っていた。
(ヤマダ! 無事でいてくれよ……)
 ヤマダのいる野営地が魔物に襲われた――その一報が入ったのは、少し前のこと。
 ローレットに居合わせたゴリョウは、友人の安否が気にかかり、文字通りすっ飛んできたのであった。
「ヤマダ! 大丈夫か!」
「え、何が?」
「ん?」
 テントに駆け込んだゴリョウは脱力した。
 ヤマダは見るからにぴんぴんしていて、元気そうである。たしかに手の甲に擦り傷は負ってはいたが、それ以外はなんともなさそうだ。
「なんだ、大丈夫そうだなぁ。とりあえず、無事でよかった」
「心配してくれたのかい? いや、大したことではないんだ」
 ヤマダの言うことには、ここの野営地には、確かに魔物と呼べるべきものが出るそうだ。
「いや、それがね。巨大なカラスが、料理をしているキャンプの客を襲うという事件があってね。なんでもBBQをしていると、肉をかっさらっていくそうだ。
 まあちょっとケガはしたけど、大丈夫だよ。ゴリョウ君こそ大丈夫かい? ずいぶん疲れてないかい?」
「だな。走ってきたからなぁ」
「お腹すいてないかい?」
「そうだなあ。こういうときは肉でも食べたいなあ。……ん?」
「それじゃあ、魔物退治をよろしく頼むよ」
 良いように使われてないか?
 どこか釈然としない気持ちを抱えつつも、BBQを心に決めた。

GMコメント

●目標
 カラスに負けるな、BBQを完遂せよ!

●登場
巨大カラス『グアー』×20
 通常のカラスの2,3倍はあろうかという大きさのカラス。キャンプ地でBBQをしていると出現する。上空を旋回し、程よく焼けたところで素早く肉をかっさらっていく。
 BBQをしないと出現しない。でもジンギスカンとかでも出る。
 結構頭が良く、毒物やトウガラシなどの劇物の仕込まれた肉にはほとんど口をつけないという。工夫なくしては難しいだろう。
 肉食でお肉を好む。なぜか焼いた肉が好き。
 おいしそうなら人もつつくかもしれない。
 グアー自体の肉は普通に食べればおいしくもなく不味くもなく。たいして強くはない。

ボス『ビックグアー』
 20体倒したところで現れる超巨大なカラス。
 普通のカラスの10倍ほどの大きさをしている。とってもお肉が大好き。

●関連人物
ヤマダ……ゴリョウの友人。(自称)一般人の情報屋。
「出血したのでレバーが食べたい」とほんのり希望している。なお、そんなたいそうなケガはしていなそうである。

●場所
 幻想の野営地。
 よくレジャー目的でキャンプをする客が訪れるが、今はグアー騒動で閑散としている。
 施設にはBBQ用のコンロと大量の肉、野菜、調理器具などがある。
 近くには小川があり、釣りなどもできるかもしれません。
 飲食物の持ち込み可能。ゴミは各自で持ち帰ってください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 諸君、夏だぞBBQだ完了
  • GM名布川
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月27日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
カイル・フォン・フェイティス(p3p002251)
特異運命座標
メル・ラーテ(p3p004228)
火砲少女
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
ムー・シュルフ(p3p006473)
味覚の探求者
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人

リプレイ

●はじまり
「あらあラ、食事の時間を邪魔するとハ。随分と無粋なお客様方ですわネ?」
『鉄腕メイド』アルム・シュタール(p3p004375)はスカートをひらりと翻す。
「その様な方々には早々にお引き取り願いましょウ」
「巨大なカラスが肉をかっさらっていく……か」
「らしいなぁ」
『慈剣の騎士』カイル・フォン・フェイティス(p3p002251)と『和食料理長』ゴリョウ・クートン(p3p002081)は空を仰ぐ。
「キャンプが台無しにされてしまっては、せっかく来られた方々も残念がるでしょう。人を襲ったりはしないとはいえ、害となる魔物を放ってはおけません」
 カイルは正義感を胸に頷いた。
「とりあえず片付けて肉だな、肉」
「ああ、ここで肉を食らうために……いや待て、なぜカラスを斬らなくてはいけない」
『墨染鴉』黒星 一晃(p3p004679)は額を押さえる。因果関係が全くおかしい。
「……BBQは皆が仲良くなるための神聖な儀式ですメェ……鴉になんて邪魔されるなんていやですメェ……」
『味覚の探求者』ムー・シュルフ(p3p006473)は憂い気を帯びた声で喉を震わせた。
「まあ、頼まれたからには仕方あるまい。獣風情に食い物を取られるというのも癪に障る。ここはやはり薄汚くかっさらっていくとどうなるか教え込んでやるべきであろうよ」
「はい。野営地に活気を取り戻すためにもカラス退治に励みましょう。そのあとは……」
「……思いっきり、BBQを楽しみますメェ……」
「飯前に腹を空かせとくにゃあ丁度いい運動になんだろ。ついでだしグアーどももぶっ倒したら血抜きして旦那方と姐さんに良い感じに調理してもらおうかね!」
『白黒の傭兵』ラーテ・ラーテ(p3p004228)はニカッと笑う。
「ぶはは、まかせとけ。何作るか考えとくぜ」
「食材として調理するのも面白いかもしれませんわネ♪」
 アルムは早々にグアーの調理法を考え始めたようだ。
「BBQで沢山のお肉を食べる為にグアーをグアーと言わせてやります!」
『イカダ漂流チート第二の刺客』エル・ウッドランド(p3p006713)はえいえいとこぶしを突き上げる。
「私、思うのです」
『小さな太陽』藤堂 夕(p3p006645)は真剣な顔で思案していた。
「焼肉、BBQに“お野菜は要るか要らずか”――と」
「あー、そりゃ大事だ」
 ラーテは頷いた。
「まだ幼き頃より、この問題に直面してきましたが、しかし、未だ答えは出ず。ならばこの機会、この好機に試みてみようと思うのです!」
 夕はクーラーボックスを開けた。
 肉を前にして、皆の心が一つになりつつある。
 美味しい肉はカラスにやるには惜しい、と。
「よっしゃ美味い飯が食えんなら頑張らねーとな!」
「どうやって焼くのがおいしいですかね」
 エルは考え込むそぶりを見せる。
「ジンギスカンだけは勘弁して下さいですメェ……」
 ムーは羊の獣種はである。肩身が狭そうに縮こまった。

●こちら側は領土
「まず、陣地構築ってとこか」
「まかせときな」
 ゴリョウが切り倒した木を、カイルが運んだ。ラーテが受け取り、ツタでぐるぐると固定していく。
 簡易で作ったにしては、かなり本格的な足場だ。
 1時間も作業しないうちに、あっという間に戦うための足場が出来ていた。
「おめぇさん、ちょっと乗ってみてくれ」
「大丈夫そうです。これで戦いやすくなりますね」
「足場の高さはゴリョウの旦那より少し高いぐらいありゃ良さそうだな」
 ラーテは昇り降りの為の梯子をこしらえる。
「どうだ?」
「おう、ばっちりよ」
「あちらでも、肉を焼く準備ができたみたいですね」
「んじゃ、奴らが来るのを待つとすっか」

「いつもならバランス大事、健康にも良いとお野菜を持参するところなのですが、今回はお肉一辺倒で臨みます!」
 夕はどさどさと肉を並べる。そこには、バランスの良さなどというものはない。
「そして長年の問題に終止符を打ってみせる……!」
「……本当に何故俺達は肉を焼く用意をしているのか」
 一晃は着火剤とともに、花火を選定していた。……ロケット花火がいいだろうか。
 なんたって相手は上空から攻めてくる。
「焼いてもいいが、俺の肉は37%の確率で……焦げる」
「いいねぇ、どうせなら派手に行くとしよう」
 戻ってきたラーテがロケット花火を手に取った。
 ムーはハーブを採取して、アルコールと共に肉に漬けていた。
「美味しそうです……グアーには渡せませんね!」
 エルはごくりと喉を鳴らした。
「やるか」
「お任せくださイ」
 一晃が火をつける。アルムが一礼をし、華麗に網に肉をのせた。しばらく良い匂いが立ち込めた後……。
「来たぞ!」
 やってくる気配に、ラーテがいち早く気が付いた。

●グアー、来襲
 上空から黒い影が押し寄せてくる。
「いきますよ」
 エルはきらりと目を輝かせた。正確な射撃がグアーの翼を砕いた。
 それでもグアーたちは猛然と肉を求めてやってくる。
 一晃は目を閉じる。
 足場の上に構え、血蛭を構える。
 いや、それは第一の武器ではない。一晃の最大の武器は、零式閃刀技(桜花)。染みついた攻勢戦術だった。
 まるで隙だらけの様子である。グアーは一晃に思い切り群がっていく。だが、それこそが狙いだった。
 一鬼討閃・衰勢無惨。
 あまりにそれは早かった。
 グアーたちは薙ぎ払われ、群れの一角が斬り伏せられた。だが、それだけでは終わらない。続けてもう一筋の太刀筋がグアーを粉みじんにする。
 零式閃術・彗星。
 恐ろしい速度はもはや研ぎ澄まされた暴力となっていた。
 一介のグアーには耐えることなど望むべくもない威力。すさまじい反応速度で繰り出された剣技。そして美しく着地した一晃の姿勢は、まだ余裕があることを示していた。
 グアーたちは生存のためにもうすべて投げ捨てて帰るべきだったかもしれない。だが……。
「ぶはは、こっちだ!」
 グアーの群れの一部は、ゴリョウを向いた。招惹誘導により、幾重にも存在感を増した巨躯。そして、白煙立ち上る肉。ゴリョウは両腕に肉を掲げてグアーたちの注目を集めていた。
 ここには、肉がある。
 グアーたちは怒りにかられた。なぜ、あの肉が自分のものではないのか。ゴリョウは器用に肉を焼く。慣れた手つきで余分な脂を落としながら……。
 ゴリョウはやってくるグアーの攻撃をひたすらに耐える。
 耐えれば、仲間たちがやってくれるはずだ。
 手に肉を持ったムーは敵の攻撃をかわしてひらりと踊った。
 フレンジーステップで、つま先が地面を蹴った。
 Hades-RSPの射線に食い込んできたグアーたち。それらは、すべてラーテの獲物だ。
「いくぞ!」
 制圧攻勢で一気に蹴散らす。
 数体は撃ち落とされ、そのまま動かなくなった。
「ゴリョウさん、大丈夫ですか?」
 カイルはゴリョウに群がるグアーを斬り捨てる。だがいかんせん数が多い。
「へっ、まだまだ余裕だぜ」
「お待たせいたしましタ」
 アルムがゴリョウから離れた位置で名乗り口上をあげる。
 アルムのメイド服はしなやかにグアーのくちばしを跳ね返した。
 ブロッキングバッシュで、グアーをなぎ倒す。
 夕には一つ、懸念があった。
 それはBBQのことである。
(戦闘って動きを考えると、埃っぽくなるものですよね。それで折角のお肉が台無しになるのはヤダなって)
 だからこそ、自らが囮となろう。
 グアーの一匹が夕を向き、新たな可能性を見出した。
 食材適正である。
 肉を見せびらかされてばかりのグアーたちは、もはや空腹が限界だった。
 夕に群がるグアーたちを、契約精霊たちが打ち据える。
「簡単に食べられたりしませんよ!」

 グアーは上空を旋回し始めた。どの肉もおいしそうだった。獲物を見定めようとしているようだ。だが、そこを一晃の放ったロケット花火がかすめていく。
 空にいても安心はできない。食うか食われるかだ。
 覚悟を決めた大量のグアーが、ゴリョウとアルムに向かって降り注ぐ。
「ここが踏ん張りどころだな!」
 くちばしでついばまれながらも、ゴリョウは退かなかった。
「ムー様、どうぞ後ろへ」
 アルムは盾を振りかざし、ムーを庇って前に立つ。盾を振るって、また自身も茨の鎧で立ちはだかる。
 イモータリティにより回復しながら、盾となって耐える。
 アルムに襲い掛かるグアーたちも無傷ではない。
 グアーの一匹がようやく肉にたどり着いた。くわえたが、エルの射撃がそれを許さなかった。
「それはみなさんのお肉です!」
 弱肉強食。この世はしばしば無慈悲である。
「てい、ここだ!」
 ラーテのSADボマーがグアーたちの群れに近寄り、炸裂した。
 はぐれた一匹を、夕のアタックオーダーIIが襲う。豪華絢爛のエフェクトが、焼ける肉に美味しそうな印象を与える。
 後、4分の1といったところか。
 グアーたちが鳴き声を上げる。何かを伝え、何かを呼ぶような鳴き声。
「気を付けてください」
 ゴリョウの傍で、一匹を切り伏せたカイルが叫ぶ。

●巨大グアー、堕つ
 攻防が続く。
 あらかたのグアーを倒し終えたところで、それは現れた。
 まるで大きな一つの暗雲のような黒い影。
「あれがボスのようです!」
 カイルが声をあげ、さらなる攻撃に備えて武器を構える。
 今までのグアーとは一線を画する巨体。
 さながら、ビックグアーだ。
「さすがにあれは……」
「ヤマダ様、お下がりくださイ」
 アルムは一行の戦いを見守っていたヤマダを後退させる。安全な位置とはいえ、戦場が姿を変えようとしている。
「撃墜します!」
 エルはマグナム弾を構える。
 マグナム弾は……エルにとっては身を切るような出費だった。だが、これも肉のためだ。怒りを込めて、一撃を放つ。
 マグナム弾は空中で炸裂し、ビックグアーの姿勢がぐらりと揺れる。
 グアーは攻撃の正体を探るように視線をやるが、ゴリョウの金銀蓮花の炯眼がグアーを射抜いた。
「こっちだ、来いよ!」
 ゴリョウは掌を打ち合わせると、どっしりと構えた。
 風圧と共に、ビックグアーが押し寄せてくる。
 ラーテは毛を逆立たせ、血意変換を行った。その反動は、ラーテには届かない。攻撃の手を緩める理由にはならない。
 流星。
 一筋のまっすぐな流星が、グアーを射貫いた。
 一晃は構える。外三光。いや……。カイルの意を組み、一晃は攻撃を先手に譲った。レジストクラッシュにより、グアーは姿勢を崩す。
 ラーテの放った、流星に続くように。
 一晃は再び目を閉じる。
 反動など問題ではない。
 一気に決める。
 軽やかに足場を蹴った。一瞬だけ、飛び立つ。

 零式閃術・彗星。

 グアーと一晃は交錯するように、互いに弧を描いた。
 そして、巨鳥はどさりと倒れる。
 一撃。
 一撃だった。
 起き上がる望みも断ち切るほどの一撃。

 くちばしには、ゴリョウが焼いた肉をくわえていた。

●ここからが本題だ
「よっし、片付いたみてぇだな!」
 ゴリョウは腕をまくった。
「皆様、お疲れ様でしタ」
「今日の私は肉食系女子ですよ!」
 夕が持ち込んだ材料は、すべて肉である。
 幾分かグアーの群れに食われたが、ほとんど戦闘から守り切った。これも大切な戦果だ。
 ムーの氷結の石により保管されたボックスはひんやりとしており、傷んだ形跡はない。
「こちらは丸ごとステーキ、なんてどうでしょう?」
「ステーキ……! 豪華ですね!」
 エルは顔を輝かせる。
「よし、まかせときな。あ、ついでにヤマダにもレバー焼いてやるよ。ついでだがな!」
「ゴリョウくんは素直じゃないなあ」
 ゴリョウは調理を開始する。
 ゴリョウ専用・百花調理用具。エルフ鋼が太陽の日を受けてきらりと輝いた。
 バターでほどよく炒めた玉ねぎに、続けて投入される野菜たち。
「折角ですのデ、グアーも調理致しましょウ」
 グアーは頭が良い。殲滅も難しいだろう。きっと、今日倒したので全てではない。だとしたら……。
「だったら「あそこに近づくと食われる」って意識を持たせりゃ、今後近付きにくくなるだろうって考えだな!」
「見せしめか……」
 一晃は血抜きされているグアーを眺める。
「グアーが寄り付かなければ、キャンプは安全になりますね」
 カイルは頷いた。
 アルムが正確無比な手際で獲物を解体し、血抜きをして内臓を取り分けていく。
「カラス、美味しいんでしょうか」
 夕は首をかしげる。
「ご安心くださイ。炭火でしっかり焼く事で炭の香りが肉に移るので、大抵のジビエは美味しくいただけますヨ?」
「……これが使えそうですメェ……」
 ムーは摘んでおいたハーブを取り出した。
「素晴らしいですネ。まだ臭みが気になる場合は特製のハーブソルトを付けてどうゾ?」
 一足早く肉が焼けている。
「……うむ」
「こりゃウマい」
 一晃とラーテは早々に焼けた肉を口にしていた。
「血抜き、完了しましタ」
「……ミートパイを作ろうと思っていますメェ……」
 ムーはミートチョッパーを取り出した。
「おっ、それじゃあまとめてミンチにすっか」
 ゴリョウはその体躯を生かし、ムーとともにあっという間にひき肉をこしらえる。
「……助かりますメェ……」
 ムーは肉をジャガイモと炒め、塩胡椒とスパイスで味を調える。そして、自宅から持ってきたパイの皮で包んだ。
 セロリ、ネギと合わせることで、臭み消しも忘れない。アルミホイルで包んで焼き上げる。
 ムーはキャンプ場を見回した。焼くための設備はあると言えばあるが、物足りない。
「おっ、オーブンか? これも陣地構築かね」
 ラーテがオーブンを組み上げる。
「おお、こりゃいいな」
「ステーキ、カレー……ミートパイ!」
 エルは心を躍らせながらわくわく雑草を集めている。掌で包み込めば、干からびたパンが生成される。切り込みを入れて、きたるべき時を待ち構える。
 焦げ目の付いた肉が、スパイスの利いた香りを漂わせはじめる。
「カレーならカラス独特の臭みも抜けて純粋に肉を味わえるからな!」
 パイをオーブンに入れ終え、ムーはうやうやしく一礼する。
「……私の本業はバーテンダーですメェ……。……リクエストがあれば、聞きますメェ……」
「強いのが飲みたいな」
「はいはい! 甘いものが良いです!」
「なんでもいい。だが、そうだな……」
 ムーは味覚テレパスを用いて仲間たちの気分を察する。
 たくさん動いたから爽やかなものがいいだろう。夕とエルにはノンアルコールの……。
 一人一人の顔を見回し、想像していく。望みが分かったとしても、それを再現できるかはバーテンダーとしてのムーにかかっている。
(……ここからが腕の見せ所ですメェ……)
 仲間たちが、本当に欲しているものを。
 見えた。
 材料を手際よく混ぜ合わせ、ぐるぐるとダンスしながら、シェイクしていく。
「美味しい!」
「疲れた体に染みるなぁ」
「ヤマダ様も、どうゾ」
「おっ、ありがとう」

●肉だ! 祭りだ!
「ぶはははっ、お疲れさんだな皆の衆! さぁ腹いっぱい食ってくれ!」
 ゴリョウはどんとカレーを置いた。鍋を開けると、歓声で沸いた。
「……こちらも、よろしければどうぞですメェ……」
「美味しい! おかわり! たくさん食べられます!」
「美味しいです!」
 アルムは完璧に配膳をこなし、皿には次々と料理が盛りつけられている。
「なんだか本当のキャンプみたいですね」
 カイルは微笑む。
「やっぱゴリョウの旦那の料理は最高だな! ムーの旦那とアルムの姐さんの料理も最高だ!!」
「……光栄ですメェ……」
 ムーは嬉しそうに目を細めた。
 食べている人たちの笑顔というものは、何と良いものだろうか。
「お肉だけというのも最高においしいです! ですがパイとカレーも捨てがたい……もぐもぐ……」
「さあ、まだまだおかわりはあるぞ!」
 たらふく食べて、ひとごこちついた。
「ゴミはこちらにどうぞ。来た時より美しく、がキャンプの鉄則ですから」
 カイルはせっせと足場を解体し、出たゴミを集める。
「おっ、それじゃ最後に……こういうのはどうだ」
 ラーテが木々を組みなおした。一晃は意を汲んで着火する。
 そして、キャンプファイヤーが始まった。
 一晃はマシュマロを焼いた。
「デザートに焼き菓子も持ってまいりましたのデ、宜しければそちらも召し上がってくださいネ?」
 アルムがバスケットを広げる。
「……甘味は貴重だからな。これはこういう機会にしか食らえぬ」
「マシュマロをビスケットではさんでもおいしいかもしれませン」
 アルムが再び包みを開く。
 余ったロケット花火を打ち上げた。
「……さて、おかわりはいかがですかメェ……」
 ムーは機敏に跳ね踊る。ゴリョウが手を叩く。
 明るい夕日の下で、キャンプファイヤーがはぜる。
 こうして、夜は更けていくのだった。

成否

成功

MVP

黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃

状態異常

ゴリョウ・クートン(p3p002081)[重傷]
黒豚系オーク

あとがき

キャンプ場のグアー退治、お疲れ様でした!
美味しく調理されたグアーたちも、きっと浮かばれているところでしょう。
戦闘の役割分担もさることながら、食べ物、飲み物、おやつとバランスの良い分担でしたね!
弱肉強食。
それでは、また冒険いたしましょう。

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