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シナリオ詳細

聖水よりもチョコを
聖水よりもチョコを

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●亡霊だってチョコが欲しい?
 ここは幻想領内のとある村。
 この村にある大木には昔から恋の女神が宿るとされていた。
 バレンタインには、この恋の女神の大木の下でチョコレートを渡せば、末永く結ばれると言われている。
 今でもその言い伝えは信じられているが、ある時からこの村では女性達がチョコレートを想い人に渡すことはおろか、作ることさえままならなくなってしまった。
 その理由は、既にそこかしこに見え隠れしている亡霊たちである。
 昼であろうと夜であろうと、お構いなしに姿を見せる亡霊たち。
 ただでさえ不気味だが、この亡霊たちの目当てはバレンタインのチョコレートなのだ。

 村の女性達が想い人のために心をこめてチョコレートを作っていると、どこからともなく家の中まで入り込み、チョコレートを奪って貪っていく。
 運良く見つからずにチョコレートを完成させられたとしても、想い人へ渡す前に必ず奪われてしまうのだ。
 そのせいで、村ではバレンタインの日が近づくと憂鬱で重い空気が漂うようになってしまった。
 この亡霊たちを何とかしようと調査した結果、この亡霊たちはバレンタインにチョコレートをもらうことなくこの世を去った男たちであり、その悲しみから化けて出ているのだという。
 そして、この村の言い伝えのせいか、各地から集まってきているようだ。

●亡霊たちを鎮めるために
「バレンタインが楽しくないなんてひどいのです……」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、噂の村から来たという少女の話を聞き、心の底から同情していた。
「そうなんです。しかも、亡霊たちに邪魔されて告白できずに諦めたという女性は少なくありません。じわじわと村の人口も減っていて、無関係ではないんじゃないかって……」
 少女はローレット本部の椅子に座り、スカートをぎゅっと握りしめてうなだれる。
 本来なら結ばれるべき恋人達が結ばれなくなり、人口が減っているのだとしたら、これはただバレンタインが楽しくないというだけの話ではなくなってくる。
 因果関係については確かめるべくもないだろうが、無関係であると証明することもできない以上は、関係はあると見たほうが良いのだろう。
「私の姉も、幼馴染にチョコレートを渡すことができなくて、泣く泣く別の人と結婚しましたが……どうしても悔いが残って、好きだった幼馴染と今の夫を比較してしまい、揉めることが多いんだって言ってました」
「思ったより深刻なのです」
 少女の悲しそうな表情を見ていると、ユリーカまで悲しくなってくるのだった。

「その亡霊たちは、早く成仏させた方が良さそうなのです。たくさんの人が不幸になっているのです」
 しばし思案した後、ユリーカが力強く少女に告げる。
「安心するのです! きっと成仏させてやるのですよ!」

●いざ亡霊退治へ
「というわけで、今回は亡霊退治が依頼なのです。が、使うのは聖水や塩といったものではないのです」
 依頼を受けたイレギュラーズに向けてユリーカが説明している。
「事前調査の結果、この亡霊たちのために心をこめたチョコレートを作って、亡霊たちが満足するまで食べさせれば成仏するのです!」
 亡霊たちを成仏させる方法が分かったのは、少しずつ色々なチョコレートを用意し、既に少しずつ姿を見せ始めている亡霊たちに試しに与えた結果なのだという。
「バレンタイン当日には、かなりの数の亡霊たちが出るそうなので、とにかくたくさんチョコレートを作って欲しいのです」
 ユリーカが集まったイレギュラーズに、チョコレートのレシピが書かれた本を数冊渡している。
 料理が苦手でも作れる簡単なレシピから、料理が得意な者でなければ難易度の高いレシピまで、様々なレシピが掲載された本ばかりだ。
 これがあれば、作り方に困ることはなさそうだ。
 あとは、亡霊たちのために心をこめてチョコレートを大量に作るだけである。
 材料は村でかなりの量を用意しているというが、万一のために持ち込んでも構わないとのことだった。
「村の皆さんのバレンタインのため、頑張ってきて欲しいのです!」
 いつにもまして力が入っているようにも見えるユリーカに見送られ、イレギュラーズは村へと向かい出発したのである。

GMコメント

 閲覧ありがとうございます、文月です。
 今回は村に現れる亡霊たちにチョコレートを作り、成仏させて欲しいという依頼です。
 以下、補足となります。

●依頼達成条件
 ・亡霊たちのために心をこめて大量にチョコレートを作る
 ・亡霊たちに作ったチョコレートを食べさせ、成仏させる
 この2点両方をクリアすることで依頼達成となります。
 レシピはユリーカが用意したものがありますので、作り方に困ることはないでしょう。
 チョコの材料は村で用意しているものだけでも足りると思われますが、不測の事態に備えるのであれば持ち込んでおくとより安心でしょう。

●亡霊たちについて
 作っている途中でも亡霊たちは平気でチョコを盗みますので、盗まれないような対策があればより安定して大量生産が可能なはずです。
 なお、亡霊たちは1度チョコを奪うとしばらくそのチョコをありがたがって拝み、その後食べます。
 この習性を上手く利用すれば、チョコを作る時間が稼げるのではないでしょうか。

●その他
 アドリブ不可、アドリブOKなど添えていただいたり、口調が分かりやすいよう書いていただけたりしますと、大変助かります。
 皆様のご参加、お待ちしております。

  • 聖水よりもチョコを完了
  • GM名文月(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年02月27日 21時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
リリル・ラーライル(p3p000452)
暴走お嬢様
主人=公(p3p000578)
ハム子
Bernhard=Altern(p3p001754)
天秤の観測者
赤羽・大地(p3p004151)
ホンノムシ
カシャ=ヤスオカ(p3p004243)
死と悲哀に寄り添う者

リプレイ

●愛を求める亡霊
 グラオ・クローネの日の早朝、幻想領内のある村に8人のイレギュラーズが集まっていた。
「はー、もう結構集まってるね」
 『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)の言葉通り、既に村のあちこちに亡霊がいるようだった。
 家の窓を覗き込んでいる者、両手を突き出して何かを求めるようにさまよう者、物陰で両膝を抱えて座り込みながら泣いている者など、様々な亡霊がパッと目に付くだけでもかなりいる。
「まだ朝早いのに結構いるっすね。早く準備して始めた方が良さそうっす」
 『天秤の観測者』Bernhard=Altern(p3p001754)の意見に他のイレギュラーズも同意し、まず囮役になるグループと本命のチョコを作る真心チョコグループに分かれることになった。
 『慈愛の恩恵』ポテト チップ(p3p000294)の指示でBernhardが材料のチョコを割り、作業がしやすいような準備を整えていく。
 村の広場にまず囮グループが調理台や材料などを運んで準備していく。
 材料を運ぶ時には、村人達も自発的に手伝っている。
 まだ亡霊がそこまで多くなく、集まってもいない今は、できる範囲で手伝おうということらしい。
 真心チョコグループは、広場のすぐ近くにある家の台所を借り、できるだけ目立たないように材料を運び込んでいく。
 『暴走お嬢様』リリル・ラーライル(p3p000452)とBernhardは真心チョコグループだが、持ち込んだ囮用のチョコを囮グループに渡しておく。
 村人に確認すると、自分で作れない女の子が村の外で買ったチョコを奪われることもあったというので、持ち込んだチョコでもある程度は効果がありそうだった。
 しかし、亡霊達は恋の女神の言い伝えがあるからか、この村で作られたチョコを特別視しているらしく、成仏させるにはこの村の中で作ったチョコの方が効率が良いのではないか、ということだ。
 事前調査も急いで行われたため、はっきりしない部分もあるのは仕方ないかもしれない。
 とにかく、確定しているのはこの村の中で亡霊たちのために心を込めて作ったチョコをあげれば成仏する、ということである。

 囮グループになった『死と悲哀に寄り添う者』カシャ=ヤスオカ(p3p004243)も、囮用にチョコを持ち込んでいた。
 料理の経験は少ないが、ラッピング用にメッセージを書いたリボンを用意するなど、経験の少なさを補う努力をしている。
「良かったらフォンデュに使ってねー?」
 ポテトが持ち込んだ果物をカシャ、今回は女性アバターで参加している『異世界なう』主人=公(p3p000578)に渡していた。
 イチゴやバナナなど、どれもチョコレートに合いそうな果物である。

 囮グループは準備が整うと、持ち込んだ囮チョコが足らなくなった時のために早速チョコを作り始める。
 もちろん、全て囮用なので手早く効率を重視して作っていく。
 チョコを刻む包丁やナイフの音が周囲に響き、チョコを刻んだことで甘い香りが広がっていく。
 Bernhardが割っておいてくれたので、チョコを刻みやすくなっている。
 すると、すぐに亡霊達が反応して集まり始めた。
「あぁぁぁ……チョコだ、チョコの匂いだ」
「チョコを刻む音だ。聞こえる、聞こえるぞ…どこにいてもこの音だけは間違えない!」
「チョコオオォォォォォォ!!!! 全ての! チョコはあぁア! 俺様のものおぉぉォォ!!」
「どうかおめぐみを…チョコ…チョコオォ……」
 反応は様々だが、とにかくチョコを欲しているのはよく分かる。
「す、すごい…勢い……」
 亡霊たちのあまりの勢いにカシャは若干気圧されているようだ。
「これはちょっと予想外、かな」
 自分の知っているバレンタインソングの一部をグラオ・クローネに合うよう置き換えて歌い、踊って気を引こうと考えていた公だが、匂いや音だけで狂乱状態とも言えるほどの反応を見せる亡霊たちに少し引いている。
「もう来たのか、鼻が利く奴らだな…!」
 調理台で生クリームを温めていた『自称、あくまで本の虫』赤羽・大地(p3p004151)も驚いてしまい、わずかの間その手を止める。
「はいはーい、こっち集まってー!チョコの配給だよー!」
 集まってきた亡霊達が調理の邪魔をしないよう、バスケット一杯に入れた個別包装の小さなチョコをリンネが適当に掴んでは周囲に投げてばらまいていく。
「「チョコ!!だぁぁぁぁぁ!!」」
 亡霊たちの声が1つになり、ばらまかれて転がっているチョコに飛びついていく。
「おぉ…夢にまで見たチョコ…!グラオ・クローネの特別なおチョコ様!!」
 よく分からないことを言いながら、リンネによってばらまかれたチョコを拾った亡霊が涙を流して感激している。
 その後、チョコを握りしめたままひれ伏して祈りを捧げる。
「ありがたや…俺にもグラオ・クローネのチョコに触れる日が来ようとは」
 小声ではあるが、かなりありがたがっているようだ。
 事前に聞いた通り、チョコをゲットした亡霊達は皆、似たようなポーズでありがたがって拝んでいる。
 囮グループのメンバー達は、この光景を見て少しの間固まってしまうのだった。
 死してなお、ここまでチョコを欲する彼らの人生とは一体どのようなものであったのだろうか、と思わずにはいられない。

●外の騒ぎをよそに
 一方、屋内で本命チョコを作ることになった真心チョコグループも、調理を始めていた。
 こちらも、まずはチョコを刻む等の下準備をするところからである。
 その前に、Bernhardが持ち込んだ囮用チョコを材料の周囲に配置し、せっかくのチョコの材料が奪われないように備えておく。
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は、その生い立ちもあり、まずは火の扱いからポテトに教えてもらいつつ、心を込めてチョコを作っている。
「火のつけ方はこうだよー」
 ポテトがノリアの前で火をつけ、消してと実演しながら教え、ノリアもその通り真似してすぐに火のつけ方を覚える。
 ノリアは、自らが海から召喚されて初めて食べたチョコの美味しさと感動を、亡霊達にも教えてあげたいのである。
 カシャの案ではあるが、事前にラッピング用リボンの端にメッセージを書いて用意してきているのも、そういったノリアの優しい気持ちからであろう。
 熱いのは苦手なノリアだが、亡霊達のためにと頑張って2重にした鍋で湯煎し、お湯がチョコに混ざらないよう丁寧にチョコを溶かしていく。
 溶けたチョコは型に半分ずつ入れ、アーモンドやマカダミアナッツを置いてから、最後までチョコを入れ冷やす。
「うん、大丈夫そうだねぇ。きっと喜んでくれるよー」
 ノリアがチョコを作るのを間近で見守っていたが、問題なさそうなのでポテトも自分のチョコを作り始める。
 柔らかくなめらかな口溶けのチョコにするため、細やかな温度調節を行うテンパリングを行い、用意して来たリンゴや柑橘類の甘露煮、ピール系に付けて冷ましておく。
 こちらは冷めれば完成なので、精霊操作のスキルを使い冷ますのを手伝ってもらう。
 村人が用意していた材料は大量にあるため、次はブラウニーを焼くことにし、手際良く調理を進めていく。

 リリルは、自分が思いつく限りのスパイスや調味料を事前に用意していた。
「同じ様な味ばかりだと、きっと亡霊さんも味に飽きてしまうと思いますの」
 そう言って、用意されたレシピだけでなくリリルオリジナルとも言うべきアレンジレシピをどんどん作っていく。
「塩味は甘さを引き立てると言いますわね。隠し味に塩やソースを入れてみましょう。あっ、カレールウなんかもいいかもしれませんわね?何となくチョコに似ていますし!」
 どんどん色々なものを入れていく。
 様子を見に来たポテトは、複雑な笑みを浮かべて何も言わずに戻っていった。
 チョコは大変なことになっているが、リリルは真剣に心を込めて作っている。
 これまでお菓子作りをしたことのないリリルだが、気持ちは他のイレギュラーズに負けていないのである。
 ただ、アレンジが独創的なのだ。
 Bernhardはコウモリのスカイウェザーであり、そのままの姿で調理しては毛が入ってしまう。
 そこで、毛が生えている部分を変化のスキルで人間の姿にしてから調理する。
 他のメンバーが作るレシピに合わせ、チョコを刻むのを手伝ったり、バターを用意したりとサポートをメインで行う。
「これをかじかじするのがたまんないんす…!」
 サポート作業の合間に、ローストして持ってきたナッツを嬉しそうにたっぷりと入れ、ボリュームたっぷりなブラウニーを作っていく。

●愛をください
 屋内でチョコを作る真心チョコグループは、まだ亡霊達に気付かれていなかった。
 というのも、屋外で囮グループが頑張っていたからである。
 リンネがチョコを景気良くばらまいて回り、亡霊達がそれを拾ってありがたそうに拝み、しばらくすると貪るように食べ、またチョコを拾う。
 近くにチョコが見当たらず、調理台へ向かおうとする亡霊がいれば、すぐにまたリンネがチョコをばらまく。
 時間と共に、少しずつ亡霊の数も増えてきているため、リンネだけでは厳しくなってきた。
 調理台の方へと向かう亡霊が出て来ると、魂魄使いで効果を高めた霊魂疎通スキルを使い、意志を伝え圧力をかける。
「そっちに行っちゃだめだよー。本命チョコ貰う前に無理やり成仏させられても知らないよー?」
「本命、チョコ……ほんめいいぃぃ!!」
 リンネの言葉にピタリと動きを止めた亡霊だが、両手を上に突き上げて空に向かって叫ぶ。
 村の人々は、さすがにもう近くにはいない。
 あまりに異様な光景に、ほとんどが怖がって家の中に引きこもっている。
 勇気のある村人でさえ、かなり遠くから様子を窺っている程度である。
 リンネだけだとあぶれてしまう亡霊も出始め、カシャがポテトにアドバイスをもらいながら事前に作ってきた果物やマシュマロのチョコがけを、霊魂疎通を使って呼びかけながら配っていく。
「ここにも、チョコ、あるよ」
 ラッピングも可愛らしく、リボンにはカシャが亡霊に向け心を込めて書いた「これで、あなたが喜んでくれると、自分も嬉しい」などのメッセージが見える。
 用意してきた分だけでは足りなくなりそうなので、カシャは亡霊達にチョコを配りながら同じものを作っていく。
 カシャのギフト、鎮墓獣“カイカ”が亡霊がチョコに近づくと軽く吠えてカシャに教えている。
 だが、カシャはチョコを配ろうと離れている間に、作っている途中のチョコが取られてしまっても気にしない。
 元々、彼らに配るために作っているチョコだし、これは囮なのだ。
 カシャから直接チョコを受け取った亡霊は、しばらく固まっていた。
「メッセージ…手書きのメッセージだあぁ! 俺最高に幸せ…」
 かなり喜び、くっきりしていた姿が僅かに薄くなっているようにも見える。
 ラッピングだけとは言え、やはり亡霊に向けて心を込めたチョコは、彼らにとって成仏するための助けになるようだ。
 この様子なら、本命チョコを受け取れば1個で成仏する者も少なくないだろう。
「チョコフォンデュの用意が出来たよ!」
 公がそう言って今度こそ歌と踊りで亡霊達を呼び集める。
 アイドルクラスでカリスマや歌唱、舞踏スキルを使い、効果を高めている。
 料理スキルは持っていないが、チョコフォンデュという簡単なレシピを選んだので、失敗はない。
 バナナやイチゴなどを串に刺し、湯煎にかけたままのチョコにつけては歌と踊りに誘われて来た亡霊に渡していく。
「はい、どうぞー。こっちも美味しいよ! まだいっぱいあるからね」
 リンネやカシャが抑えきれなくなった亡霊を公が上手く集め、調理台へは行かせない。
 万一のために一口チョコも大量に用意してきている。
 亡霊が集まりすぎた時には、一口チョコをばらまいて抜け出すつもりなのだ。
 実際、チョコフォンデュや公の爽やかな笑顔に歌といった楽しげな雰囲気に惹かれ、集まってくる亡霊の数はかなりのものである。

 大地が作っていた生チョコも完成が見えてきた。
 コクを出すために加えたバターも綺麗に混ざり、香り付けの洋酒も入ってかなり美味しそうだ。
 既に、型に流し込まれて冷やす段階まで来ている。
 まだまだ寒いこの季節、屋外で作っている囮グループのチョコは冷えやすく、温めることをやめれば端の方から少しずつ固まっていく。
「こっちも、もうちょっとダ!」
 どこから現れるのか、チョコを求める亡霊は今も増え続けている。
 本命チョコができ上がってくるまでは、増える一方で減らないだろう。
 公がチョコフォンデュで時間を稼いでいる間に、生チョコが固まったので大地がこれをダイス状に切り分けていく。
 ナイフや包丁では切りづらいので、糸を使って綺麗に切られていく生チョコは、亡霊でなくても欲しくなってしまいそうだ。
「ほら、お待ちかねのチョコダ!」
 切り終えると大地が霊魂疎通のスキルで亡霊達にチョコがあることをアピールする。
 リンネや公の周囲に群がりつつも、まだチョコに到達できていない亡霊達が反応し、大地の方へと向かってくる。
「おぉ…生チョコ…あれが生チョコというものか!」
「チョコを…愛を! ください! 俺にも!」
「ヂョゴレードオォぉぉ!!」
 それぞれに色々なことを叫びながら押し寄せる亡霊達に、大地がチョコを小皿に取り分け配っていく。
「そうダ、折角来たんだから味見してってくれヨ!」
 受け取った亡霊達は、小皿を捧げるようにしてまた泣きながらありがたがり、拝み終わると貪っていく。
 ちょっとした間にも、大地は次の生チョコを型に流し込み、冷やしておく。
 大量に作って固まらないように管理しているので、型が使えるようになればすぐ次を作り、今のチョコがなくなった後に備える。
 囮グループが村の広場で4人がかりでどんどんとチョコを作り、どこからともなく現れる亡霊がこのチョコを狙い、チョコをゲットした亡霊はしばらく泣きながらチョコを拝み、貪るように食べてしまうとまたチョコを求めて押し寄せる。
 やはり、かなり異様な光景になっている。

●本命の到着
 囮グループの奮闘により、どうにか本命の真心チョコグループは調理を邪魔されることなく、無事にチョコを作り終えていた。
 できあがったチョコをそれぞれ作った本人が急いで広場へと運び込む。
「この匂い…本命の匂いだァ!」
 運び込まれたチョコの匂いに反応し、亡霊達がすぐに寄ってくる。
 ここからは、囮グループも本命チョコを配るのを手伝う。
 渡す者の性別は特にこだわっていないようだ。
 もしかしたら、亡霊達はチョコに対する執着が強すぎて、他の物に関してはちゃんと見えていないのかもしれない。
 どのチョコもきちんとラッピングまでされ、見た目からして本命で心がこもっているのが分かる。
 真心チョコを受け取った亡霊は、子供のように泣いて拝み、今度は貪るのではなくゆっくり味わって食べている。
 食べ終わると、一様に涙を流しながらそれぞれの感想を述べ、作ってくれた4人に頭を下げて消えていく。
「本命…本命だ!! しかも、これ俺のために作ってくれた本命チョコ! あぁ、俺もう死んでもいいや…死んでるけど」
「あぁ、夢にまで見た本命チョコ…もう思い残すことはねぇ…」
「これが本命チョコ…何て、何て優しい感じのするチョコなんだ…心が満たされてしまう!」
 聞いている方まで泣きたくなってくるような言葉を残し、成仏していく亡霊達。
 ノリアのラッピングに使われたリボンには、「ずっと、さみしい思いをしていたあなたへ。わたしが、その孤独を癒せるのなら、光栄ですの」などの温かいメッセージが1つ1つ手書きで記されている。
 それを相手の亡霊の持つ雰囲気や見た目に合わせて選び、手渡していく。
 中には、このメッセージを見て泣き喚き、チョコを食べて更にわんわん泣きながら成仏していく亡霊もいた。
「ああ、何だろうこの…味は強烈だけど、普段料理なんてしないけど貴方のために頑張ったのよ! って感じのするチョコ…これはこれでイイ…」
 リリルのチョコを食べた亡霊達も、それっぽい言葉を残し無事に成仏していく。
「何だか失礼なこと言ってませんこと?」
 リリルが不満そうに言い、他のイレギュラーズになだめられている。

 用意されていた材料、持ち込んだ材料の全てを使い切って造られたチョコは、かなりの量だった。
 しかし、亡霊達も成仏しては新たに現れてくるので、1つずつ渡して成仏させてもほとんどのチョコを配り終えてしまった。
 グラオ・クローネの1日が終わるまで、亡霊達にチョコを手渡し、さすがにクタクタになってしまったイレギュラーズだった。
「来世は満ち足りた生でありますように」
 リンネが成仏していった亡霊達のために晩鐘の鐘を鳴らしている。
 カシャや他のメンバーも祈りを捧げ、彼らの安らかな眠りを祈る。

 山ほど用意したチョコは、それぞれ数個ずつ残っている。
 疲れたときには甘い物、ということで皆で分けて食べてから撤収しようということになり、食べることにした。
 どれも美味しく、疲れた体にはありがたい。
 ただ、リリルのチョコだけは個性が強く、様々な反応をされていた。
「リリルさんのチョコ…その、すごく、独創的ですのね」
「うん、思いがいっぱい籠ってるねぇ」
 ノリアはオブラートに包んだ言い方をし、ポテトも直接的な表現はしない。
「…ちょっと、アレンジしすぎましたかしら」
 リリルも自分で食べてそう漏らし、皆に苦笑されてしまうのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 大変お疲れ様でした。
 今回は私、文月の担当しましたシナリオにご参加いただきありがとうございました。

 皆様の活躍により、亡霊たちは満足して成仏していきました。
 村の人達は今後、亡霊に悩まされる心配もなく、バレンタインを楽しむことができるでしょう。
 そして、亡霊たちはやっと安らかに眠ることができました。
 皆様に感謝していることと思います。

 少しでも楽しんでいただけましたならば幸いです。
 またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。

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