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シナリオ詳細

スカイペンギンハンター!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●スカイペンギンはうまいぞ!
「皆さん、スカイペンギンは食べたことありますか?
 よくフライドスカペンになって海洋の屋台で売られてるあのスカペンなのです」
 海洋B級グルメに詳しいあなたならもうご存じですね。
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が説明するスカペンとは海洋南部に生息する空飛ぶペンギンのことである。
 海の中で魚をとる一方で外敵から身を守るために飛行能力を使うというこのペンギンは身がぎゅっとしまっていてうまみもあり鶏をサッパリさせたような癖の無い味わいでとても人気があるという。
「今日依頼をくれたのはスカペン業者のギンギーさんといって、いつも同じ海でスカペン漁をしているかたなのです。
 ここでとれたスカペンのお肉がフライドスカペン屋台やスカペン鍋や冷凍スカペンなんかに卸されるので、漁が滞ったらタイヘンなのです。
 けど夏休み急に実家に帰ってきた孫と遊んだら腰をやっちゃったらしくて今日は漁に出られないとか。
 なので皆さんの力を借りて今日の内に沢山とっておきたいのだそうです!」

 スカペンは主に海の浅いところを泳いでおり、ギンギーさんが漁のために仕掛けておいた『スカペンがよく集まるようになる仕掛け』のところで漁を行なうという。
 普段はディープシーのギンギーさんが直接潜ってスカペンを水中猟銃で撃ってゲットしたり、船の上から撃ってゲットしたり、他の業者さんはわざと海中で戦いをおこしてる間に空に飛んだスカペンを飛行種が追いかけてゲットするなんてやり方もするらしい。
「けど気をつけてくださいね。
 ギンギーさんのおろすスカペンはよく祭り屋台で売ってる安スカペンとは違って高級なスカペンなので、抵抗もはんぱないのです。
 有名なところだとスカペンアタックは鉄板に穴を開けることもあるらしいですし、結構恐いところがあるのです」
 できるだけ身体に気をつけつつ、そして沢山のスカペンをゲットしよう。
 とはいえ食べ物のことなので、海に毒を流したり電撃でなんかしたりというのは控えたほうがいいだろう。
 あくまでスキル攻撃でスカペンを倒してゲットするのだ。
「一応船は用意してるですが、自分のお船があったらその方がきっといいのです。
 ギンギーさんはいっぱいとってくれたらあとでスカペン料理をごちそうしてくれるそうなのです。
 みなさん、よろしくおねがいします!」

GMコメント

●スカペン漁
 小型船にのって漁場へいき、スカイペンギンを狩ります。
 とってもシンプルな内容ですが、そのくせ得意分野で戦えたりして楽しいお仕事です。
 しかも沢山とれたらあとで料理をごちそうしてくれるそうです。やったね!

●船海空のどれがいい?
 スカペン狩りは『船の上で飛んできたスカペンを狩る』『海に潜ってスカペンを狩る』『空を飛んでスカペンを追いかけて狩る』の三種好きな方法で行なえます。
 3:3:2でもいいですし極端な話7:0:1とかでも構いません。
 あーおれ海の中得意だわーと思ったら海に潜ればいいし、潜れる能力があっても空を飛びたいとか船の上のほうがいいと思ったらそうして構いません。

●スカペンはちょっとキケン
 スカペンアタックは【移】つきの攻撃です。具体的にはびゅーんって飛んで(または泳いで)くちばしで突っつく攻撃です。
 たまに上位版の【移】【弱点】を使うやつもいますが目つきが違うのでよく見ればわかるよってギンギーさんはいってました。

●ごちそうになろう
 いっぱいとれたらごちそうになりましょう。
 フライドギンギーは脂っこさのないフライドチキンにゆずをちょっと搾ったようなさっぱり味。
 ギンギー鍋は地元郷土料理でつくねみたくして食べます。ほくほくしてて骨や頭をダシにするのであじがしみしみします。
 けど性質上生では食中毒の危険があるらしいので、お刺身はやめておきましょう。
 他にもアレンジ料理が思いついたら、自分でやってみるのもいいかもしれませんね。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • スカイペンギンハンター!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月12日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
グレン・ロジャース(p3p005709)
理想の求心者
アンジュ・サルディーネ(p3p006960)
海軍士官候補生
彼岸会 空観(p3p007169)
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
天狼 カナタ(p3p007224)
夜砂の彼方に
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海

リプレイ

●ペンギンの飛ぶ海へ
 海は『ざざーん』と鳴るものだと思っていると、案外船旅の静けさに驚くものだ。
 ずっと遠くでサーッという水と風の滑る音がするくらいなもので、港を離れてしまえばウミネコの声すらも聞こえず、船が海面を滑っていくどうどうという奇妙な船底の音ばかりが聞こえていた。
 そんな独特な音と揺れ。そしてしめった木と潮の香りの中で、『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)は手すりに寄りかかってにこにことしていた。
 ぽん、と小さな音をたてて海面からペンギンが飛び、暫く滑空した後海へと潜る。そんな光景が時折遠くに見えるからだ。
「ペンギンが空を飛ぶなんて不思議な感じがするなー。それに食べれるなんて……」
 ペンギンに可愛いイメージ(あと貴重なイメージ)をもっていたアウローラはちょっと可哀想な気がしてきたが、そこは食物連鎖と食文化。割り切りの精神でいくことにした。牛さんも魚さんもキャベツさんも似たようなもんだと。
「ペンギンというのは私の出身世界にも居たが、こちらのは飛べるのだな。それに食用と……味が気になるところだが、サッパリしているということはやはり主食はプランクトンだったりするのだろうか……?」
「ちがうよ、あいつらはイワシを食べるんだよ!」
 目をカッと見開き、親の仇でも語るように振り返る『エンジェルいわし』アンジュ・サルディーネ(p3p006960)……と、エンジェルいわしのエルキュール。
「スカペンはいわしの天敵だからね。ここはどっちが食物連鎖の上に立ってるか教えてあげないといけないよ。スカペンはいわしのおやつなんだってことをね!」
「きゅっ!」
 闘志をもやすイワシディープシー、アンジュであった。
「あとエンジェルいわしのほうが可愛いし浮いてるってことをね!」
「きゅっ!」
「どうやら大変な確執がおありのようで……」
 錫杖を肩に立てかけ、木の椅子に腰掛けていた彼岸会 無量(p3p007169)。
「ぺんぎんという物がどういった生物なのか見た事が無いのですが……飛ぶ鳥を斬るというのもおもしろそうですね。たしかツバメを落とした剣豪の話があったような、ハエを箸でつまんだ方でしたか?」
「混ざってないか、それ」
 いつ海に飛び込んでもいいようにか、海パン一丁で船の手すりに腰掛けている『地元最強?』グレン・ロジャース(p3p005709)。
 瓶のコーラ飲料を飲み干すと、くずかごめがけてぽいっと投げた。
 回転しながら飛んでいき、見事アルミ製の網籠へと入っていく瓶。
「そういえば食えるんだったよな。スカペン料理……話には聞いたことあるぜ。屋台のスカペン串より高級ってことになると、興味わくよな?」
「最近はスカペンブームが来ているらしいからな。以前海洋の都でフライドスカペンの専門店を見たことがある。
 やはり、鳥の揚げ物はどこの世界でも人気が出るのだろうな」
 こちらはこちらで金のキセルを吸っていた『彼方の銀狼』天狼 カナタ(p3p007224)が、コンと船の外に吸い殻を放り捨てた。
「スカペンか、子供の頃からあったな……ボスに至っては祭りのあるたびにスカペン串屋台を探してたものだ」
 『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)はどっしりと腕組みをし、人差し指で眼鏡のブリッジを押した。
「しかし地元では定番だったが、実際に飛んでいるのを見るのは初めてだな。海洋も、狭いようで広い」
「オイラも話には聞いてたけどな! 実際見るとすげーペンギンだな! これからオイラがあのスカペン狩りをするって考えると楽しみだぜ。な、ペンギンのにーちゃん、イワシのねーちゃん!」
「ああ、せいぜい仕事を楽しむとしようか。アシカの坊主」
「オイラはアシカじゃねえ!」
 しましまの水着を纏ったワモンは両腕と尾びれでべしんとジャンプすると手すりを飛び越えて海の中へと飛び込んでいった。
「オイラはアザラシだ! スカペン狩りはまかせろー!」

 ワモンがうおーといいながら率先して海に飛び込んでいくのを見て、ジョージは手袋を外してコートのポケットへと詰めた。
 そしてコートを甲板へ豪快に脱ぎ捨てると、眼鏡のブリッジを中指で押さえたまま船の外めがけて走り出す。
「俺たちも行くぞ、イワシ」
「ペンギンは出荷だよー!」
 背中の翼をぱたぱたやって大きく跳躍するアンジュ。
 アンジュがばんざい姿勢で海中へ飛び込むのと同時にジョージは跳躍と共に大柄なコウテイペンギンへと変身。くちばしから綺麗なフォームを描いて海中へ飛び込んでいった。
 海面を破り、どうんという低い音の中へと入っていく。
 敵影発見。
 船が近づいたことで、簡単に喰われてなるものかと襲いかかるスカイペンギンの群れが肉眼で確認できた。
 集団でこちらに狙いをつけると、まず戦闘の一匹がバタ足と翼(?)の運動によって猛烈に加速。鋭いくちばしを立てて突撃を仕掛けてくる。
 かの有名なスカペンアタックに違いない。
「先手を取ったつもりか。いいだろう、相手になってやる」
 ジョージもまたバタ足と翼の運動によって加速。
 真っ向から迎え撃つ姿勢をとると、スカペンとジョージはごごんという激しい衝撃をもって交差した。
 先に出血したのはジョージの方だった。海中に赤い線が走り、彼の目がきゅっと細くなる。
 対して、これで奴もおしまいだぜと言うように不敵に笑うスカペン。だがその直後、スカペンは目を見開いて血と空気をはき出した。
 ジョージの突撃が綺麗に入っていたのだ。スカペンは白目をむいてぷかりと海面に浮かび上がる。
「ジョージが目に物見せたぜ! 後に続けェ!」
 ワモンがガトリングガンを召喚。船からジェット噴射で発進したガトリング砲が海中を走ってワモンの背に装着されると、全体のペイントがイワシのそれへと変化した。
「くらえ、ガトリングIWASHIボム!」
 がががががと激しい音をたてて回転するガトリングガンから大量のイワシが発射され、スカペンにぶつかるたびに小爆発を起こしていく。
「あれははじけイワシ……まけてられないよ、エルキュール!」
 アンジュは潜水のフォームを転じて椅子に腰掛けるような姿勢をとると、両手を合わせて指鉄砲を構えた。
「いわしびーむ!」
 指先に集中したセイントイワシの光が海中をまっすぐに走っていく。
 爆発とビームにやられたスカペンたちが、これじゃあかなわんと上昇運動を始め、仮面を抜けて風をまとい始めた。
 スカペンをとりまく風がそのまま推進力となり、ぽぽぽんと音を立て次々に海面から飛び出していく。
 しかしこれで収まるスカペンではない。高級スカペンのプライドか、彼らはすぐ近くの船に陣取っていた無量たちをロックオンした。
「クワ!」
 つばさをM字に曲げ、ミサイルのような軌道で無量へと突っ込んでくるスカペンたち。
「あまり、長くは待ちませんでしたね」
 椅子にこしかけていた無量は錫杖をとり、たちあがる。
 ただそれだけの動作に見えたが、一瞬後には既に抜刀し既に刀を振り抜いていた。
 スカペンが真っ二つに切り裂かれ、船の甲板をはねる。
「おっと……どうやら『殺しすぎ』だったようですね」
 折角の高級食材をいためてはいけませんといって、無量は刀の刃を返した。
「ふむ、出きるだけ可食部を狙って倒したいものだがな」
 やや距離をとっていたゼフィラは拳銃を構え、飛び込んできたスカペンめがけて射撃を浴びせていく。
 何発かはあたったものの、空を舞うように飛び回るスカペンを打ち落とすには苦労しそうだ。
 ゼフィラが次の狙いをつけあぐねていると、アウローラが空中に指でサインを描き始めた。
「奏でるは魔法の重ね唄!」
 多重展開した魔法を次々に発射し、スカペンのうち一匹へと叩き込む。
 ヒットアンドアウェイで距離をとっていたスカペン編隊のひとつに命中し、バランスを崩して転落。
 甲板をぼよんとはねたスカペンを掴み、グレンは専用のボックスへと投げ込んだ。
「鳥だか魚だか知らねえが、来いよペンギン野郎。カラッと揚げて食ってやるぜ!」
 挑発的な言葉をなげかけ、スカペンへと身構えるグレン。
 スカペンたちは空を大きくカーブすると、アウローラたちめがけて突撃を開始。
 グレンは彼女たちを庇うように立ち塞がると、両腕をクロスさせてスカペンアタックを防御した。
 鉄をも打ち抜くくちばしが彼の腕や身体へ次々に突き刺さるが、グレンは気合いと自己再生能力によってそれをはねのけた。
 そんなグレンを打ち倒すべく、鋭い目をしたスカペンが研ぎ澄まされたスカイペンギンアタックを繰り出そうと迫る――が、横から飛びかかったカナタがスカペンを狩りとるような浴びせ蹴りでスカペンを撃滅。
 着地と共に大きく飛び退き、船の端へと身をひくカナタ。
「船の上ではそう広々と飛び回れないか」
 小型船の全長は約20メートルといった所だった。船中央に陣取るグレンたちと、ひたすらヒットアンドアウェイでスカペンアタックを繰り出してくるスカペンたち。
 離れてくれるおかげでむしろ攻撃レンジには困らないが、動き回れない分取り囲まれるとキツいだろう。無量の戦闘スタイルに合わせるためにも、ここはひとつ……。
「グレン、あえて敵を自分に密集させられるか。そこを俺たちが短いレンジで叩く。アウローラとゼフィラはそれでいけるか」
「大丈夫だよっ、まかせて!」
 ピッと三本指を立ててみせるアウローラ。
 ゼフィラも『そういうことなら仕方ない』と言って零距離射撃が可能なフォームをとりはじめた。
 攻撃レンジの重ね合わせは連携戦闘の基本といってもいい。カナタなグルルと獣のように喉を鳴らすと、より獰猛な姿勢をとってスカペンへと襲いかかる。

 次々に飛来するスカペン。
 グレンはそれをぱしりと受け止めると、後続のスカペンめがけて投げつけていく。
「次から次へとキリがねえが……タフさと防御が自慢ってな! 一丁カッコつけさせて貰うぜ!」
 守護聖剣ノルンを掴み、飛びかかるスカペンを野球選手のごとく打ち返していく。
 彼に守られたアウローラとカナタ。やや突出した形でゼフィラがスカペンに銃口を直接押しつけ、零距離射撃を叩き込んでいく。
 そして自らに刺さったスカペンを引き抜き、ボックスへと放り込んだ。
「数的にももうじきラッシュが終わる」
「では、ここは一つ丁寧に」
 無量は返した刀を握ったままスカペンたちの間をジグザグに駆け抜けた。
 彼女を迎撃しようとスカペンタックルを繰り出そうとしたスカペンたちだが、翼を羽ばたかせるよりも先にぐりんと白目を剥き、次々に甲板へと落ちていく。
「安心してください。峰打ちです――殺しましたが」
 無量は錫杖にしゃらんと刀を納め、ブレーキをかけた。
「そろそろだ――まとめて打ち落とす!」
 彼女の横から飛び出したカナタが勇ましく狼のように吠えると、その咆哮によってスカペンたちが恐怖にしびれ、気の弱いものに至っては気絶して甲板に転がった。
 それでも負けじと飛び込んでくるスカペンたちに対し、カナタは猛烈な逆立ち旋風脚を繰り出してスカペンたちを蹴散らしていく。
「アウローラちゃんの唄に聴き惚れて!」
 その間を縫うように、アウローラがスピリット・カンターレの歌唱を開始。ある程度スカペンたちから感情エネルギーを吸い上げたところで、天空を指さすように稲妻を発射した。
 あたりを舐めるように走る青い雷撃がスカペンたちを焼き、ばたばたと甲板に落としていく。
 これ以上は付き合えないとばかりに残ったスカペンたちが海中へと避難――しようとするが、海面から飛び上がったジョージによるペンギンキックが炸裂。
 海に飛び込もうとしたスカペンが蹴り飛ばされ、そのまま甲板へと打ち上げられた。
「後は俺たちに任せて貰おう。アンジュ、トド!」
「オイラはトドでもねえ!」
 ぬおおといって海面からジャンプし、アザラシキックを繰り出すワモン。
 スカペンを一匹甲板に打ち返すと、装着していたガトリングからマダコを発射した。
「くらえ! ガトリングMADACO弾!」
 巨大なゴム弾のごとくぶつかったマダコにべしんとくっつかれたまま、スカペンがまた新たに甲板に打ち返された。
 追って、ぱしゃんと水面に上半身を出すアンジュ。
 両手を二丁拳銃のように構えると、飛来するスカペンたちに片っ端から水鉄砲を撃ち込んだ。
「神妙におなわにつくがいいペンギンめ! いわしのおやつになれ!」
「クエー!?」
 襲いかかってきたうちの半分ほどのスカペンを打ち落とすと、残りのスカペンは彼女たちに恐れをなして逃げ出した。
 汗をぬぐい、手すりに身を乗り出すグレン。
「もういいだろう。スカペンは充分とれたしな。ほら、上がってこいよ」
 備え付けの縄ばしごをアンジュたちへと投げてよこした。

●ギンギーさんにゴチになろう!
「まず首を落とします」
 肉切り包丁を手に、無量は逆さに吊るしたスカペンを掴んだ。
 動物のしめかたを一通り知っていた無量。
「腸を海に撒いて魚を誘き寄せると正に一石二鳥……いや一鳥二魚でしょうか?」
 ふふ、と笑いながらスカペンをしめる無量に、ワモンたちがぷるぷる震えていた。
 ……のも、過去の話。
「エルキュール、おやつだよー」
 アンジュは新鮮な焼きスカペンをお箸でつまむと、ぴちぴちよってきたエンジェルいわしにちびちびつつかせた。
 エンジェルいわしは雑食。ブリーダーなら基礎知識だね。
 一方でぐつぐつ煮えた鍋を前に、無量がすっと一升瓶を取り出した。
「鍋と言えば、酒がつきものですね」
「おめぇさん……」
 眼帯をした濃い顔の漁師ギンギーさんが、ぎらりと無量の顔を見た。
「成人かい」
「成人です(※あくまで自己申告)」
「ならよし!」
 呑めぃといって湯飲みを突きだし、無量にかわって酒を注いでやった。
「ああ、やはりこの世界は未知に溢れているな。ペンギンを食べる日が来るとは思わなかったよ」
 思ったよりもさっぱりしている、といいながら鍋に舌鼓をうつゼフィラ。
 グレンは手帳に『ギンギー鍋』のレシピを書き付けると、どれどれといってスカペンの肉を皿に取った。
 さっぱりとした肉だがうまみは強く詰まっており、椎茸やネギと一緒に煮込むことでそのうまみは複合され生命のエキスとなっていた。
「鍋ってのは偉大でな。質のよくない肉でも複合してウマくできる。堅い肉やアクのつよいもんでもいいところだけを抽出できるんだ」
 グレンはそう語りながら、カナタやジョージの椀にももってやった。
 片手を『いただきます』の姿勢で掲げ、椀を受け取るカナタ。
「このクソ暑い時期はさっぱり煮がいいな。元々さっぱりしてる味だから……」
 がぶりと豪快に肉を頬張り、噛みしめる。
 ジョージもそれに習って豪快にかじりつくと、浸るように目を瞑った。
「俺は油の多いものはすすまないクチなんだが……これはなかなかいけるな」
「すだちを絞れ。もっといけるぞ」
「なるほど」
 きらり、とカナタの牙とジョージの眼鏡端が同時に光った。
「みんなで食べるとおいしいね!」
 アウローラは串揚げにしたスカペンを囓りながらにこにこしていた。
「当然だぜ。夏の太陽、青い空、広い海に揚げたてのスカペン。そしてイカスミジュース!」
 レフトハンドにジュース、ライトハンドにフライ。そんなフォームでワモンはニヒルに笑った。
「これがオイラの黄金コンボだぜ!」
 まだまだ夏は終わらない。
 食い尽くせ、夏!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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