シナリオ詳細
ミストバンディットと偽聖女ダルシア
オープニング
●黒霧山賊団
徹底北部に位置する『鉄柱ヶ丘』。
さび付いた巨大な鉄の柱がまるで森のように乱立し、視界や鼻を悪くするような霧に覆われた土地。
そこを、ある御者が通った際の出来事である。
「旦那、この辺は山賊が出るって噂ですぜ。さっさと通り過ぎちまったほうがいいんじゃないですかね」
「ばかをいうな。大切な物を運んでるんだ。派手に揺らしたら揺るさんぞ」
馬車の中からロングバレルの銃を突き出す髭の深い男。
彼の威圧的な態度に、御者はため息をついて馬を操作した。
四頭の馬でひく箱馬車はその天井に大きな荷物を積み、馬車の中には髭の男一人きり。
そんな馬車が鉄柱ヶ丘をゆっくりと進んでいく。
が、そんな時である。
遠くから無数の馬が近づく音が聞こえた。
「いけねえ、山賊ですぜ旦那!」
「分かってる」
髭の男は馬車の窓から顔を出し、銃の狙いをつけた。
直径1メートル弱の柱が森のように並び、そのうえ激しい濃霧に覆われていた。
視程はおよそ100メートルといった所だろうか。それゆえに銃の射程にはいる前からそれらの姿はよく見えた。
黒い馬鎧を着せた複数の馬が馬車をぐるりと取り囲み、それぞれが馬上からライフルの狙いをつけている。
中でもよく目立ったのは、露出の激しい赤い服を着た女だった。
「止まりなさい、黒霧山賊団です。抵抗しなければ怪我もせずに済みますよ」
戦力差は圧倒的。御者も命惜しさに両手をあげ、馬車の動きをとめた。
黒馬の山賊たちもその様子にどこかほっとした様子を見せていたが……。
「おい、なぜ馬車を止める! さっさと動かせ!」
馬車の中の男だけが声を荒げて馬車の壁を叩いていた。
「旦那、無理いわんでください」
「黙れ。私は箱馬車の席をまるごと買い占めたんだぞ。目的地に着くまでは私に従え!」
怒鳴りつけるも、御者は手綱をはなして両手をあげたっきりだ。
髭の男は馬車から降り、取り囲む山賊たちに銃を向けた。
「さがれ下民ども。この高貴なる私に近づくだけでも不敬であるというのに――」
「知ったことではありませんね」
男が銃の引き金を引くよりも早く、赤いライフルが火を噴き髭の男の額に穴を開けた。
ぐらりと仰向けに傾き、天空に向けて銃を撃つ髭の男。
「用があるのは荷物だけです。あなたはどうぞ行ってください」
部下たちに馬車上の荷物を回収させると、赤い服の女は御者にジェスチャーを送った。
「行って、私の名を知らしめてくださいね」
●山賊退治の依頼
「そうして御者のケンジットさんは生き残ったんだ。
あの人には生まれたばかりの娘さんもいたし、よかったよね。馬車全席分の代金がまるごと消えちゃったのは可哀想だったけどさ」
暖炉の前でそう語るのはカルネ(p3n000010)。この依頼の情報提供を勤める男である。
丸いテーブルには一枚の依頼書。
鉄柱ヶ丘に出没する黒霧山賊団の討伐依頼である。
カルネは依頼書をつまみ上げ、その著名をとっくりと読み上げる。
「匿名M。どうやらさっき話した乗客の関係者らしいんだ。家族か友人か同僚か……まあ、誰でもいいよね。僕らの役目はただひとつ。依頼の遂行だよ」
トンと指を突いて依頼書をテーブルへ戻すカルネ。
依頼内容の所には、きっぱりと『黒霧山賊団の抹殺』と明記してあった。
「黒霧山賊団は馬とライフルの扱いを得意とする山賊の集団だよ。
頭目はダルシア。話に出てきた赤い服の女だね。どうやら略奪対象を生かして返す際に聖女を名乗ってるようなんだけど、とてもじゃないけど聖女なんかじゃない。
主に鉄柱ヶ丘をナワバリにしていて、通行する馬車を襲って荷物を奪ったり金持ちを人質にとったりしているんだ。
そのたびに名前を名乗って、一人以上生かして返すことで名前を知らしめるっていう性質を持ってる。
人道主義ってわけじゃなくて、単純に自分が目立ちたいためって感じだね。実際に弱い女性や小さな子供を殺してる事例もあるんだから」
討伐のためにはナワバリである鉄柱ヶ丘に乗り込む必要があるだろう。広大な土地からアジトを見つけるのは不可能に近いので(できることならもう軍がやっているので)討伐のためには旅行客やただの通行人を装ってわざと襲われる必要があるだろう。
「馬車が必要なら手配してくるよ。自前のものがあるならそれが一番いいかな。最低でも二台。できれば四台ほどあると相手の初期配置が広くなるから便利だと思うよ。
っと。僕の仕事はここまでだ。あとは、よろしくね」
- ミストバンディットと偽聖女ダルシア完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年07月30日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●人の芯を問え
霧の中を青い鳥無が飛んでいく。
眼下に広がる無数の鉄柱と霧ははるか昔の戦争によって生まれたものだと、誰かが言った。
かつてはこの土地に豊かな牧場と平和な民族の家々が広がっていたとも言われたが、今あるのは霧と鉄柱とそれに紛れて悪事を働く山賊たちだけであった。
「聖女? 何人も殺されちゃってるし、自己顕示欲のためにヒトの命を奪うのはダメだよ! 聖女でもなんでもないよ!」
馬車の御者席で手綱を握り、『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)は怒ったような調子で言った。
一方で隣を併走していた馬車の御者席から、ハンナ・シャロン(p3p007137)や『斜陽』ルチア・アフラニア(p3p006865)がちらりとたがいを見やった。
ルチアが『どう思うか?』という顔で小窓越しに車内の那須 与一(p3p003103)のほうを見ると、対物ライフルをいつでも撃てるように組み立てていた与一が片眉だけをあげて返した。
専用の器具でボルトをしめ、サイトを覗き込んで照準を確かめる。
一方でルチアはホーリーシンボルの表面を親指でぬぐうように撫でた。
聖女を語るただの山賊を抹殺する。これは言ってみれば当然の始末であり、おこるべくしておこった仕事であった。
蜂の巣を取り払う害虫駆除業者のように、彼女たちは淡々と仕事に備えていく。
彼らは霧の中を四台の馬車で走っていた。
そのうちひとつに、『鬼槍』ムサシ・オトギリ(p3p007281)と『聖贄の聖女』カナエ・オトギリ(p3p007294)の馬車がある。
「ヒャハハハ! 山賊ねェ? 山賊家業やりながら聖女を自称するとは笑える女だな?
聖女っていうのはうちの奥さんの様ないい女の事を言うんだよ、糞ボケがァ!」
武器の点検をしながら笑うムサシ。
馬車を操るオトギリはそれに応じるように頷くと、遠い霧の先を眺めた。
「他者の命を奪い、財を奪う、「山賊」なる行為は褒められた行いではないでしょう。
私は悲しい……そのような行いでしか生を掴めない山賊なる集団が。そしてその中でもダルシアという方が特に
だってそうでしょう? そうする事でしか名を高められないと思い込んでいる当たり……救いようがないかと」
「しかもグドルフの旦那のような大物じゃねェ……」
ムサシの視線の先。馬車の車内で、『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)は山賊刀と斧をこすり合わせるように鳴らした。
「黒霧山賊団か、聞いたこともねえなあ。ま、弱小も弱小、有象無象の雑魚どもだろうよ」
砂蠍軍の例は極端にしても、この世に賊をなりわいとする者は大勢いる。その多くは国に属することができず流れた者やまともな暮らしが出来ず落ちぶれた者が大半で、グドルフのようにある意味堂々と生きている山賊はそう多くない。
それでも、だからこそ噂話程度は伝わるものだが、この霧を縄張りにして閉じこもっている黒霧山賊団の噂をグドルフは耳にしていなかったらしい。
これだけを根拠にするのはいささか乱暴ではあるが、黒霧山賊団という集団が『有象無象の雑魚』であるのは確かなことのように思えた。
「ふふふ……」
めぐりめぐってアクセルの馬車の中。
『カーマインの抱擁』鶫 四音(p3p000375)は目を閉じて笑った。
「山賊なのに聖女。慈悲深いと言いたいのでしょうか?
さて、今回の物語は果たしてどんな結末になるのやら」
愚かしさと滑稽さ。
それゆえに、いやそうでなかったとしても訪れたであろうむなしい末路。
もし四音たちの仕事が失敗したならダルシアという山賊の頭目は逃げおおせ物語の続きを作るようになるのだろうか。それとも彼女は物語の端役にすぎず、無事に仕事を完遂した四音たちの報告履歴に小さく名が残るだけの存在になるのだろうか。
少なくとも、この仕事の成否は……いまから自分たちが開かねばならない。
「皆さん、そろそろですよ」
車窓から見えた無数の影。こちらを取り囲もうと展開する山賊に違いない。
四音は開いた手のひらから粘菌をめきめきと広げ、カラフルな黴のように色づかせた。
●霧の中の戦い
ルチアは御者席からパカダクラへ飛び移ると、馬車と接続していたロープを切って取り囲む山賊たちへと走り出した。
「私欲に従って女子供も手に掛けるのが聖女ですって? 笑わせるわね」
その機敏な反応から護衛だと判断したのだろう。馬に乗った山賊たちがライフルを構え、ルチアに狙いを定め始めた。
5~10メートル感覚で並ぶ鉄柱間をジグザグに走ることで狙いをつけづらくしながら、ルチアは『Auster meridiei』を発動させた。
霧の中を動く熱の渦が突如として山賊たちの間に発生し、山賊の一人を激しく落馬させた。
周囲の山賊たちは巻き込まれないように馬から飛び降りることで逃れつつ、ルチアに銃撃を仕掛けてくる。
そんな銃弾を斧で強制的に打ち払い、グドルフが突撃していく。
「さあ、山賊らしく、奪い合いを始めようぜ。おれらが欲しいのは──てめえらの命だ!」
かなり長い楕円形に取り囲んだ山賊たちにとってラインを下げるのは不利益が大きい。突撃してくるグドルフに対応するように剣を抜くと、グドルフへと集まっていった。
はじめは衛兵を相手にしていた山賊の中の一人が目をこすり、『まさか』という顔をした。
「おい、あいつって……幻想に居た頃見たことがあるぞ。確か――」
「この最強の山賊、グドルフ・ボイデルさまが直々に相手してやるよ! 覚悟しやがれ三下どもッ!」
飛びかかるグドルフの斬撃を、必死に受け止める山賊たち。
そうしてできた小規模な敵集団に狙いをつけ、アクセルはばさりと僅かに跳躍、ホバリングを始めた。
「そのまま引きつけといてね! いくよ――!」
アクセルは馬車からおりたハンナと共にグドルフに加勢。山賊の集団へと突撃していく。
激しく滑空していくアクセル。彼のキックが山賊に直撃し、派手に吹き飛ばす。
吹き飛ばされた山賊は鉄柱に身体をぶつけ、潰れたカエルのような声を出して地面に転がった。
元々四台の馬車が大きく横並びで走っていたことで、山賊たちは広い楕円形の包囲をするほかなかった。
そんな状態でルチアたちがその端を相手取ったために、もう一方の山賊たちは味方と寸断されることになった。
隊列の工夫によって包囲の不利を大きく軽減したのである。
勿論、これには後の工夫もなければいけない。
「俺様は傭兵団『オトギリ衆』が特攻隊長、ムサシ・オトギリ様だ!
ヒャハハハ! 黒霧山賊団だか知らねェが自称聖女を名乗る糞女に率いられる地方山賊如きがイキってんじゃねぇ!」
ムサシは豪快に名乗りを上げながら山賊の中へと突撃。1~2人を引きつけると、それに伴って別の山賊たちが剣やライフルによる集中攻撃を仕掛けてきた。
馬車から降り、広く展開する山賊たちにロベリアの花を発射するオトギリ。
「かつて『聖贄の聖女』と呼ばれた身です。
同じ聖女として彼女を楽にさせてあげましょう……ええ、神の御許に逝けば彼女達も救われるでしょうから……」
魔術的爆発の中で、山賊たちは僅かに統率を乱しつつあった。
ムサシを集中攻撃してロスを減らすべきだとするもの。オトギリたちのように耐久力の弱そうなものを優先して攻撃すべきだとするもの。
集団の中に混じったダルシアは怒ったような様子で山賊たちに指示を飛ばしているが、それが十全に行き届いているようには見えなかった。
「どうやら、カリスマで頭目になれたわけではなさそうでござるな。
たかが山賊が何をもって売名行為をしているのやら……と思っていたでござるが、英雄や恐怖の象徴に憧れたのでござろうか」
世はいつも無い物ねだりでござるな……と小声で呟いて、与一はとめられた馬車の窓から対物ライフルの銃口を出した。
皮の幕で目隠しした車内は暗く、僅かにのぞく光に与一は目を細める。
サイトスコープの倍率を上げ、与一は頭目に尻を蹴られてライフルで応戦しようとする山賊のひとりに狙いをつけた。
引き金を、引く。
山賊の手からライフルが跳ね飛び、手を血まみれにした山賊が酷い悪態をついている。
「これは銃撃戦ってやつですか。実際やると大変ですねこれは。でも……」
四音はそんな様子をあえて横転させた馬車の影から覗き見て、小さく割った。
手の中に生み出した極彩色の粘菌たちを魔力の膜で包み、衝撃の魔術で発射する。
悪態をついていた山賊が粘菌に呑まれてもがき苦しむさまを、四音はじっと深く観察していた。
まるで小説のなかの登場人物を追うように。どこか愛おしそうに。けれど冷酷に。
「物語としては、派手で盛り上がりそう」
●物語の端役に
山賊の頭目ダルシアに脅される形で飛び込んでくる山賊たち。
ムサシは増援に来たハンナと共に山賊を迎え撃っていた。
ぐるぐると振り回す『人外無骨』が山賊たちを威圧し、猛烈な勢いで突撃するムサシ。
突撃の勢いをしのぎきれなかった山賊は槍に貫かれ、高く振りかざされた。
「ヒャッハー! テメェを串刺し刑に処す!」
そんなムサシたちに銃撃を加えながら、ダルシアが接近をかけてきた。
「調子に乗っているようですね。最後の一人になるまで殺して差し上げましょう」
「ヒャハハハ! 黙れ糞女! 俺の女と同じ聖女を名乗った事を後悔しながら死ね!」
さらなる突撃をしかけるムサシ。
オトギリは彼をハイ・ヒールで支援しながらダルシアへ呼びかけた。
「何故こんな行動を? 聖女を目指してたなら何故奪うのか……聖女とは分け与える者であるというのに」
「知ったことではありませんね。私は皆殺しになる筈の命を助けてやったのです。賞賛されるべきでは?」
「……」
話になりません、といって首を振るオトギリ。
そこへ山賊たちが激しい銃撃をかぶせてくる。
「何を流に聖女を名乗ったのかと思えば……随分くだらないオチになりましたね」
四音は大きく飛び退き、自らを狙う銃撃に手を翳す。
手のひらや肩を銃弾が抜けていくが、そのたびに治癒の魔法をかけてぐにゃぐにゃと傷口を粘菌で塞いでいく。
「無知と憧憬。そして矮小さの発露であったとは……」
「なんとでも言えばいいでしょう。所詮あなたちは死ぬのです」
ダルシアの銃撃――が、なされる一瞬前。
対物ライフルの弾がダルシアの銃を指ごとはね飛ばした。
スコープを覗き、ため息をつく与一。ぴこんとはえるネコの耳。
「名声も実績も、行動の結果に付随する副産物にすぎない……それを超越した『記号』を得るのは人間性の破棄にほかならないというのに、本当にお笑いでござるな」
与一の射撃で半身が吹き飛ばなかったのは流石頭目と言うべきか、それとも悪運の強さを褒めるべきか。
もしくはこれから降りかかる災難を哀れむべきか。
攻撃をさけて馬車に飛び込んできた四音と入れ替わるように、アクセルが馬車の上を飛行によって通過し、ダルシアの周囲を固めていた山賊を蹴り飛ばした。
キックの反動で大きくバク転。着地するアクセル。
「向こうの山賊たちは片づいたよ! こっちの残りは任せて!」
「任せろだと!?」
山賊が剣を抜きアクセルに斬りかかるが、アクセルは横一文字に払われた斬撃を跳躍によって回避し、返す刀のもう一撃を鳥めいた足でもってがちんと受け止めた。
「それっ……!」
相手の手首を掴み、自重をかけて山賊をひねり倒す。
強制的に転倒した山賊を、与一たちの射撃が蹂躙するように破壊していった。
そこへ、怪我をおったムサシたちと交代するようにルチアとグドルフが駆け寄ってくる。
「殺しの依頼をこうして遂行してる私たちが言えた義理じゃあないけれど……『一人だけ生かして聖女』だなんて、虫がよすぎる話よ」
馬車を影にしたまま『Vera Crux』を握り込み、癒やしの力を球状に固めていく。
そしてダルシアの斜線からはずれるために馬車の裏に隠れた。ダルシアからの射撃が馬車の壁にはじかれる。
ルチアは改めて馬車から顔を出して様子をうかがったが、戦闘の結果として生きている山賊はいなかった。残るはダルシア一人きり。
「法の裁きを受ける権利はあるだろうとは思ったけど……」
「こいつらに人権なんてねえよ。虫みてえに死ぬだけだ」
馬車の横を駆け抜けるグドルフに、治癒力を固めた球をパスするルチア。
それを受け取り、リンゴのように囓って治癒力を吸い出すグドルフ。
体中の小さな傷を復旧させ、ダルシアへと突っ込んだ。
「哀れなもんだな、ダルシア。お前の名前が知れ渡るどころか、まともに聖女と呼んでやるやつもいねえときた」
使い物にならなくなった手をだらりと下げ、剣をぬくダルシア。
グドルフの山賊刀とぶつかり合い、派手に火花が散った。
が、グドルフの打撃を受けきるだけの力は残っていなかった。
「俺からの餞だ。せめて一人くらいは覚えておいてやるよ山賊――いや、聖女ダルシア」
回転して飛んでいく剣。
首筋を切り裂かれたダルシアが、膝を突いて崩れ落ちる。
グドルフが山賊刀を振って血を払うと、すぐそばの鉄柱に血のしぶきがかかった。
●そして霧は霧のままで
馬車が霧と鉄柱の中を走っていく。
この土地に住み着いていたという山賊たちの噂話は消え、黒霧山賊団という名前も忘れ去られていくだろう。
しかしローレットの依頼報告書の中に、小さく。しかし確かに、聖女ダルシアという名前が刻まれた。
きっとこれが、唯一の墓標になるだろうからと。
鉄柱ヶ丘の霧は、今も深く曇っている。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete!
GMコメント
オーダーは『黒霧山賊団の抹殺』。
自前の馬車を用い通行人を装ってわざと襲撃されてください。
馬を走らせながら戦うよりは、とまって戦ったほうがよいでしょう。
山賊団の数はおよそ13~15と言われています。
彼らは機動力と反応が高いため放っておくと一方的な集中攻撃を受けかねません。(主要武器がライフルだという点もその要素を高めています)
仮にフツウに頭数を減らしあう勝負をした場合、こちらのパンドラ消費量がかさむ代わりにまあまあの勝率を得ることができるでしょう。
ここから勝率を上げたり損害を軽くしたりという工夫が、プレイングや相談によって可能です。
フィールドは鉄柱ヶ丘。
深い霧に覆われ沢山の鉄柱が狭い感覚で乱立しています。
具体的には5~10m感覚で柱が並び、すべてどこかさび付いています。
霧の視程は100mほどです。よって戦闘にはそうそう影響は出ません。
※カルネは今回情報屋代行及びいざというときの迎えとして働いています。
依頼には同行しませんが、依頼終了時に迎えに来るため接触できなくもありません。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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