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シナリオ詳細

暑い夏にぴったりの依頼
暑い夏にぴったりの依頼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 夏は暑いものだ。そしてそれは、幻想とて例外ではない。うだるような、というほどではないかもしれない。しかし、不快なことに変わりはない。
 暑さをしのぐ方策といっても、そこらに転がってるわけでは……。
「皆さん、いらっしゃいますね。涼しい思いができる依頼があるので」
 すが、と言葉を続けようとした『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)の前に、イレギュラーズが近付いてくるのも道理だろう。
 小さく悲鳴を上げてから咳払いをひとつ。三弦は、大きめの三角帽子のスケッチを取り出した。
「練達から、製品モニターとしてこの帽子の使用依頼が来ています。この帽子を被り、必要な過程を経ることで着用者は涼しくなれるという代物です」
 あれ、滅茶苦茶マトモな気がするぞ?
 練達製と聞いて警戒していたイレギュラーズは、どこか美味しい話の匂いがする説明に驚きを隠せない。
「で、必要な過程ってなんだよ。運動するとか筋肉つけるとか大道芸するもかぱんつ見せるとか、じゃねえよな?」
「違います」
 取り敢えず、と質問してきた相手に、三弦は首を振った。話すだけです、とも。
「皆さんにはある話題について話してもらいます。それは……」


 依頼を受けた面々は、ローレット内の一室に円卓を囲む形で閉じ込め、否、集められた。中央にはくだんの帽子。
 既に誰ぞ早くと言わんばかりの牽制合戦の空気を醸し出していた。

「皆さんが話題にするのは『最近遭った危ないことや失敗談』です。あの時ああなった、原因はこうで改善策はこう。よく言うKYTというやつです」
 彼らを放置する前、三弦は確かにそう言った。
 危険予知トレーニング。混沌では間違いなくよく言わない。聞かない。危機に陥った体験を話すことで改善案を導き出す手法はともかくとして、帽子を被って涼しくなるだけではなかったのか?
「その帽子は、各々の体験談の危険度合いで装着者周囲の温度が下がります。余りにヤバいと体が凍ることもあると思います」
 しれっと欠陥要素を口にしたな?
「というか、皆さんは最近危険な依頼に多々赴いています。この際なので大小さまざまな危険という奴を洗い出すべきです。タンスの角に頭をぶつけて命を落とされても困りますので」
 混ざってる混ざってる。なんか諺混ざってる。
 余りにもあんまりな内容に、彼女と近しい空気の世界から訪れた旅人たちは悟る。これは、この帽子はつまり。
 『瞬間危機氷結帽子(ヒヤリ・ハット)』か……と。

GMコメント

 最近危ない依頼が多いからネ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●達成条件
 全員が帽子を被ってお題に即した話をする。

●瞬間危機氷結帽子(ヒヤリ・ハット)
 夏に体を冷やしたい、でもちゃんと危機管理について話し合いたい。そんな需要を満たす為の帽子。ニッチすぎる。
 話題の危険度に応じて冷気の度合いが強くなる。やりすぎると凍る(BS相当)。

●危ない話
 各個人の日常(キャラ単位)でのヒヤリハットや依頼での危機を感じた話など。
 話題の幅に制限はありません。全体依頼に基づくものでもいいです。
(※あくまで個人の失敗談であり、誰かの云々、とか棘を含む内容には反応しません。その前にマスタリングしますけども)
 そんなところで、怖くないけど話して涼もう。

  • 暑い夏にぴったりの依頼完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年07月23日 21時30分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)
特異運命座標
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
かくて我、此処に在り
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
願いの風を継いだ者
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
カイト(p3p007128)
雨夜の惨劇
ハンナ・シャロン(p3p007137)
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
海のヒーロー
ネーヴェ(p3p007199)
うさぎのながみみ

リプレイ

●ディレクターズカット版(つまりNGなし)
「オーッホッホッホッ! ええ、ええ! それでは皆様お耳を拝借! このわたくしっ!」
  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///
「──の! 冒険譚の一端をたんたん致しますわー!」
 『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)、通称『タント様』は目の前に置かれた帽子を手に取るとものっすごいファビュラスなポージングと後光を纏って高らかに宣言した。なお、周囲の仲間達はタント様コールをなんの疑問も持たずにコールする。まあここまで目立ちゃね。そりゃノるよね。
「はいカーット! タントは話し始めるのちょっと待って! 最終確認は必要カナ?」
 ね? と同意を求めつつ、『チアフルファイター』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)は慎重にことを進めるよう進言した。タント様の勢いは素晴らしく、多分体験談全部語ると1人で時間ブッ千切りそうな勢いである、だが待ってほしい。度が過ぎると凍るのだ。こんなクソみたいな依頼でパンドラ削られてもどうかと思う。天義でドンパチ終わったばっかりなんですよ!?
「技師や闘いを主とする者たちにとって、事前の危険報告やミーティングはとても大事なことだ。起こり得る事故に対する予防意識の共有はそれだけ防げることが多くなる」
 『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)は至極真面目な表情でミルヴィに同意を示した。混沌ではどうか知らないが、マカライトの出身世界はなにかと殺伐としている。故に安全確認ひとつ欠けば、余裕で命の危機に巻き込まれていた可能性すらある。きっとそうだ。知らんけど。
「えーと、なんつーか。ぱんつ採集の話をしようか」
「それでは夜の森で雄叫びを上げながら爆走する大根のお話を! え、そういうのはではない?」
 『雨夜の惨劇』カイト(p3p007128)とハンナ・シャロン(p3p007137)は口々に凄い話を切り出そうとしたが、両者とも周囲の視線を前にして、一度止めた。
 カイトは確かその話、一生思い出したくないし仕事履歴として残しておくのもアレな筈ではなかったのだろうか。ハンナはどこでそんな大根を見たのだろうか。なんかどっかで流通してるの見たけどそんな大根。
「このような依頼に、参加しておいて、言うのはいけないかもしれませんが。……自分の、やってしまったことを言うのは、ほんの少し、気が引けてしまいます、ね」
 ネーヴェ(p3p007199)がどこか照れくさそうに心境を吐露すると、どこか救われたような気分になった一同である。それが普通だ。それでいいんだ。心からそう思ったのである。
「おー、危険が危ない体験談を話せばいいんだな? えっと、何かいい話あったかなー?」
 『オイラは〇〇〇』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)の言葉尻を捕らえるなら、『危険な出来事』は断じて『いい話』ではないのであるが。まあ涼しくなれるからいいか、そんな一同のリアクションだった。そういうところは統率とれてるねキミタチ。ただヤバすぎると凍るからね。そのつもりでね。
「所持品よし、スキルよし、話す予定の内容よし、全て良し」
 『特異運命座標』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)はアンドロイドゆえにその辺りの知識も豊富なのか、適切に指差し確認を行い、仲間のあれこれを確認していく。めっちゃ細かい。多分COHSMS(建設業労働安全以下略)認証を受けていた企業に貸し出される予定とかあったんじゃなかろうか。知らんけど。
「それでは拳を握って構えて下さい。――ご安全に」
 彼女の掛け声一下、イレギュラーズは唱和して安全を誓い合う。
 これは安全な依頼であるが遊びではない。
 安全ではあるが(二度目)。

「というか、常用するには微妙過ぎないかこれ」
 マカライトが全部持っていった。依頼・完(にはならない)。

●今日「は」一日安全作業で
「さっきのぱんつの話なんだが……何故か闇市でも売れるか怪しいぱんつがスリットから生えてくるやつな。ちなみにそれ、よくわからねぇが一定確率でスリットからふんどしが生えてくる奴だよ、うん」
 カイト、何を思ったか真っ先にぱんつ、じゃなかった帽子をかぶり、幻想と練達の境で起きた一件について語り出す。目には深い悲哀が交じる。
「あー、兎も角。身体のどこかが接触したら勝手に顔に巻き付いてきて『嫌な匂い』を発するんだわ、そのふんどし」
「何ですのその思い出!?」
 カイトの言葉に、タントが悲鳴にも似た声を上げる。だがカイトも「知るか」と返す。濁った目で。
「俺は引っかからないように一定箇所にずっと居座ってぱんつを引っこ抜いてた訳だァ。だけどな、死角からそのふんどしは『生えてきた』。どこから生えてきてたのかは本気で見えなかった。ある意味罠じゃねぇのか? 本気で理不尽だった」
 切々と語る彼の目から段階的に光が失われつつあったことを、一同は見たはずだ。詳細は依頼報告書に1730ってやつがあるから探そうね。
「それ以上はやめよう! こっちに届く冷気が強くなってるから!」
 ミルヴィはそろそろ凍りつきそうな感じだったカイトから帽子を剥がす。生ぬるい室温がこうも快適に感じたことがあるだろうか? 少なくとも、今夏は感じてないはずだ。
「最近…は、イレギュラーズになったばかり、なのです。それで、周りのことを、全て1人でするようになって。お料理をしてみようと、思ったのです」
 続けて、ネーヴェが口を開く。日常の延長線上らしいが、どこか目が遠いところを見ているようだ。料理ってのは大抵の場合はうまくいかない。刃物や火気に近付かないことが少ないくらいなのだから、仕方がない。そしてまだ話が続くのは、関連するKY事例ならありがちだ。
「でも、その、……上手くできなくて。レシピが分からなかったり卵を殻ごと入れたり、料理を炭にしたり……火事になりかけてしまって……とても、とても、怖かったうひゃあっ!?」
 彼女が話半ばだったにも関わらず、冷気は容赦なくその背中を駆けていく。
「ネーヴェ様も大変でいらしたのですね。料理とは大変なものです。指導する方がいれば上手くいきます」
「はい。なので、思いました。ちゃんと、お料理のできる方に、教えて頂こうと。1人でやっては、いけなかったのだと、思いました。……ただ、まだ捜して、いなくて。そのような方を、見つけるところから、ですね」
 エリザベスのフォローに、ネーヴェは頭を縦に振る。今の寒さが己への報いなのか、と思ったり思わなかったりしたが、彼女は解決策までちゃんと用意して言葉にまとめているので、なかなか将来有望である。
「そういうことならアタシも手伝うからさ、必要なら呼んでよ」
 ミルヴィに追加でフォローを射れられれば、ネーヴェも安心して頷けただろう。イレギュラーズ、あれで料理上手多いし。
「ああ、次は私ですね? では、危険を感じた話でも」
 続いてはハンナ。うっかりで危ない目に遭ったのだという。この界隈、ちょっとしたミスがとんでもない出来事に繋がるが……。
「あれは私が故郷の森から出て街暮らしを始めた頃のお話です。初めての都会は森とは違ってどれも同じような通りに見えるものでして」
 深緑西部から召喚され、幻想の町中に放り出されたとあれば、その行動にも納得が行く。木々の見分け方と建物の見分け方は全然違うのだから、さぞや苦労したことだろう。
「幻想は海がねーからな! 方角が分かり辛いもんな!」
 ワモンは海洋の者として、建物が似通っていても目印に乏しいこの国の様子に不満があったらしい。他国の者では差こそあれ、動き回るのに面倒だった……そういうことだろう。
「私は早く慣れようといつも地図とにらめっこしながら街中を歩き回っていたのでしたその日も地図を見ながらこの先はこう、こっちへ行くとこう、とやりながら歩いていて。それでも歩道を真っ直ぐ進んでいるつもりだったのですが……」
「要するにながら歩きか。地図なしで歩けないなら仕方がないが……」
 マカライトは頷きながら考える。この後にくる展開といえば、アレか。
「後ろから怒号が聞こえてビックリして身を竦めた瞬間、すぐ傍をとても大きな物体が凄い速さで通り抜けていきました。――大型の馬車でした」
「ひぃッ」
 袖が掠れた音の臨場感、馬車の道を遮っていたこと、それが無意識に行われたこと。臨場感たっぷりに語られる言葉は、タントの心臓を大いに縮みあがらせた。
「あれは本当に危なかったので皆様は気を付けてくださ」
 そして、ハンナも心臓が縮み上がったまま、動きを止めた。見ればわかるだろう、凍ったのだ。
「ほ、本当に、本当に凍ってしまいました……!」
 ネーヴェはまさか、そんなことにはなるまいと考えていた。否、薄々警戒していたが、そこまでヤバいとは思っていなかった。……だってこれ凍結とかすっ飛ばして氷漬状態じゃん。怖。
「本当に凍ってしまいましたわよ!? 溶かさないとですわ!」
 タントは目を丸くしながら、しかし的確にブレイクフィアーでハンナを氷から解放する。自分が危地に立たされる事を考え、準備は抜かり無いらしい。
「オーダーだし、体験談を一つ挙げておこう。俺のこの鎖、肩甲骨から六本生えてる訳だが引っ張られるとそこそこ痛い」
 マカライトは、仲間の様子を見て不安を覚えつつ、自分の体験談も語り始める。そして早々にびっくりの事実判明。え、そんな構造だったのソレ。
「鎖自体は肉体じゃないから問題ないが、埋まってる部分が肉と骨を繋いでいるのが原因だ。で、この鎖の隙間に取っ掛かりが引っ掛かって転倒したりする事がある訳だ。普段こそ起こり得ないが、緊急時の移動で意識を欠いていると、急いでいることも相まってよくやってしまう訳だ」
「ストーップ、なんかオチがもう既に見えたよ!? 冷気舞ってる!」
 続くマカライトの言葉に、たまらずミルヴィが止めに入る。
「――以前それで肩甲骨とその周りの肉を……な。それからは、俺は常に回りの取っ掛かりは気をつけるようにしている」
 強烈な冷気が舞う。しかしマカライトは無事だ。抵抗したのか? いや、ただ単に彼が一番痛々しいところを伏せた故であろう。土壇場で止めに入ったミルヴィがいなければ、危なかった。
「ところでこの帽子、『帽子を被り』『既定値以上のヒヤリハット報告をして』『凍った。怪我した。凍死した』のならそれはそれでヒヤリハットなのでは?」
 ……帽子からは冷気はない。認めたくなかったのだろう、多分。
「何か話は……おお! そうだ! そういやこの前の事なんだけどさ! あれはそう、海にクラゲ退治に行った後……いや、アルパカタンクとの死闘の後だったか?」
 ワモンはじっくり悩んだあと、思い出したように声を上げる。クラゲ狩りとアルパカタンクとの激戦まで10日くらい間があいてるのですが、それは?
「まあいいや、とりあえず戦いの後にオイラの相棒(背負ってるガトリング)の整備をしてた時の話だぜ。しっかり汚れとってピッカピカに磨いてたら、中にまだはじけイワシ(弾)が残っててな、うっかり」
「やめろ! ソレ以上は分かった! それを言い切ったら凍るぞ!?」
 ワモンの体験談を遮ったのは、カイトだった。仲間達のリアクションから、早々に止めること、全て言わせたらロクなことにならないことを肌で学んだのだ。自分の体験談を話す際に『オリジナル』が彼を止めなかったのは、多分大したヤバさではなかったからだ。でも仲間の危機にはBIN-KANなのだ。
「じゃあ教訓! 整備の前にはきちんと銃身にイワシが残ってないか確認しないとだぜ!」
 銃に置き換えれば尤もな話だ。彼のガトリングは本当に絶妙にヤベーものなので、本当に気をつけてほしい。
「あ、最近……最近、だとユリーカ救援した時カナ。アタシは守りと補助と妨害がお仕事なんだケド、あの時仲間をちゃんと守れなかったなーって……」
 ミルヴィが思い出すように口にしたのは、記憶に新しい天義防衛戦におけるユリーカ襲撃、『超越者ヴァイオレット』との戦いについてだろう。
「援護と補助に目が行き過ぎて他の人の守りが疎かになっちゃった……悔しい! 辛うじて勝てたけどあの時一つ間違えればあの子はいなかったかも知れないんだ!」
「そ、そんな事ありませんわ……ミルヴィ様は健闘されたと思いますわよ……」
 ミルヴィの独白に、タントはおずおずと声をかける。皆の保護対象であるユリーカの生死は、確かに重大な関心事たりえるだろう。だが、彼女が過度に自分を責める必要はないのだ。……むしろ、相手方の戦力を考えれば被害のほどは少ないくらい、殊勲ものである。
「役割広く持つのはイイ事だしやり方を変えるつもりはないよ。もっと仲間の動きをよく見てちゃんと合わせられるように、相談してちゃんとお互い把握できるようにしとかないと! 今回はホントに運が良かったけど、間違ってもいい時とダメな時があるの!」
「はえー、最前線で戦うヤツらはすっげえんだな!」
 ワモンが彼女の言葉にそうとしか返せないのは、まあ当然といえばしごく当然だ。
 戦いの規模が大きくなり、選択肢が増えるということは、必然的に多くのことに目端を利かせる必要がある、ということなのだから。……それで、だ。帽子は現時点で、そよ風しか流していない。
「ひやり、とは違うかもだケド【強欲】と戦ったあの時飛び散った闇が夜の光に反射して綺麗だったなァ……」
 そよ、そよ、そよ、そよ……。冷気は驚くほど弱く、しかしミルヴィが快適になる程度には吹いていた。
「カーソン様、のお話は……ヒヤリハットというよりは戦いの教訓、でしょうか。どうにもならないところが多いから、冷えないのかも……?」
「すべて確認した上で追いつかないなら、まだ成長の余地があるということでございますよ」
 ネーヴェやエリザベスのフォローも、ミルヴィには悪いものではないだろう。
「……っと、KYT(危険予知トレーニング)をする必要があるのでしたね。左様でございますねぇ。わたくしは社運を懸けて製造された高性能アンドロイドですが、この混沌という世界においてはとても矮小な存在。危険な目には幾度も遭っております。どれを選ぶか迷うくらいですが、いくつか挙げてみましょうか」
 一同は、思いの外早口でエリザベスがそう口にしたことにたいし、もう少し注意を払うべきだった。
 否、止められなかった今、強く述べる余地はない。だが。
「渾身のギャグが滑りました。闇市で全財産溶かしました。うっかり行動指針を開示しないまま依頼に赴きそうになりました。実際そうしてしまってエラい目に遭ったのでございます……お、恐ろすぃ~。既に背筋が寒くなっております。『これはこの場で話して大丈夫な話題か?』という意味におきましても」
 ああそうだな、これはこのオブラートの包み方で大丈夫か? っていうマスタリングですげぇ頭が痛えよ。面白いけど。
「対策といたしましては、ギャグの滑りは頑張るしかございません。闇市は適度に楽しむ遊戯でございます。行動指針は三日前までにまとめましょう……こんな感じでしょうか?」
 超絶早口で語るエリザベスは、半身がガッチガチに凍っているが口元はなめらか。動く動く。なんだこの惨状は、たまげたなぁ。
「バリエーション商品としては、『怪談話をすると冷気を発』」
 すべて語る前に、エリザベスは氷に覆われた。
「……ぶっ、ブレイクフィアー!?」
 タント、この混乱で既に突っ込みがおいついていない。そして残ってるのはキミの体験談だ。
「皆様、混沌の……巨大な生物にはお気を付け下さいまし。これは全てわたくしが経験した出来事(依頼)なのですが……」
 タントは語り始める。己の危険な体験談を。
「陸を走る巨大なマンボウに海に向かってはっ飛ばされたり、地に潜る巨大なミミズに地面から突き上げられて吹っ飛ばされたり、地面を転がる巨大なクルマエビに真正面から轢かれたり、自我を持って襲い来る巨大なスイカにボーリングのピンの如く吹き飛ばされたり……対策はいまのところ、ございません……」
 あの、それ多分、依頼の元請けが元請けだったり日常短編(ショートストーリー)の末尾が6の一件に元凶が隠れてません? 大丈夫です?
「対策はありません……」
 繰り返したタントの頭には、何故か雪が積もっていたという。

 なお。
 寒さにやられかけた一同が表へ出て、その蒸し暑さ(WBGT33度相当)に、ローレットへ取って返して「最終的にはワモン様をさわさわしているのが一番涼しそうな」「オイラは保冷剤じゃねえ!」ってやりとりがあったとかなかったとか。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 それでは唱和を行います(拳を胸元に構え)
 明日も一日、安全作業で頑張ろう!(拳を突き上げ)
 ――ご安全に!(おつかれさまでした!)

 なお、練達からのバイト案件だったので練達にちょっとだけ名声が行きました。

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