シナリオ詳細
ジェントル・ダジウムロボット
オープニング
●ダジウムをめぐる争い
「ここではないどこか、遠い別世界での話でございます。
アメジア合衆国とメジエト連邦の星をかけた長い冷戦が行なわれておりました。
両国はダジウムという特殊鉱石資源から莫大なエネルギー技術を獲得し、高性能なコンピューターやロボット、パワースーツや爆弾を開発したのです。
その技術は家庭にもシフトし、お手伝いロボットや無限に走れる自動車となり人類文明は栄華を極めたと言われました。
ですが……ああ、なんということでしょう。彼らはそのエネルギー技術を再び戦争に使用したのです。
アメジアとメジエト両国が高性能ダジウム爆弾をそれぞれ発射。両国の広大な大地はダジウムの炎によって破壊されました。
わたくしはたまたま地下シェルターの清掃をしておりましたから助かったものの……地上は見るも無惨な有様でした」
そう語るのは銀色の金属球体であった。
頂点からはえたアイカメラめいた物体がくるくると周り、折りたたみ式の三本腕がマジックハンドやビームガンを備えている。
『ジェントル』と名乗る彼は、練達に身を置くウォーカーにして、かの世界の戦前技術を保有するダジウムロボットであった。
場所は彼の研究室。
矢絣模様のスチール・フスマに仕切られた六畳一間の和室には動揺の模様がはいった照明器具がぶら下がっている。
壁際にはびっしりと意味不明な機材が並び、一部は奇妙に青白い光を発してた。
「この世界へ召喚されてからは大変めまぐるしい想いをいたしましたが、幸いにも技術は進んでおりました。
わたくしの身体を修理することもできましたし、かの世界にはない武器を装備することもできました。
ですがやはり、かの世界が恋しゅうございます。ラジオから流れるカントリー・エンカや広告プレートが、なんとも懐かしいのです。
ゆくゆくはこのダジウムのもつ可能性を研究し、神のルールとやらを突破する手がかりとしたいと思っておりますが……」
ジェントルはここでもう一度『嗚呼』とため息交じりにアイカメラを振った。
「せめて今はかの世界の名残を手元に置いておきたいのです。
わたくしと同じくかの世界から来たという旅人が、ある施設に広告プレートをコレクションしていたと言います。
恐らくその方は広告プレートの製造技術とデザインを行なっていた方なのでしょう。あいにく生きているという噂は聞きませんが……施設を探索し、広告プレートのコレクションを回収してきてください。こちらは、その前金でございます」
体内ボックスからコインと地図を取り出してくるジェントル。
「しかしお気をつけください。あの施設にはわたくし同様のダジウムロボットが多数配備されていると聞きます。主亡き後も施設を守り続けているのでしょう。
施設の主と同じ姿になり果てませんよう、くれぐれも……」
ジェントルはそういって、礼をするようにアイカメラを下げて見せた。
- ジェントル・ダジウムロボット完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年07月10日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●旧世界を想う
レコードディスクプレイヤーからはカントリー・エンカが流れている。
プレハブタイプの休憩室にはテーブルが並び、フラボータイプのダジウムロボット『ジェントル』がコーヒーメーカーを操作していた。
「皆さん、コーヒーをどうぞ。摂氏65度。完璧な出来映えです」
トレーにコーヒーカップを乗せ、安定したスラスター移動でテーブルへ運んでくるジェントル。
『こそどろ』エマ(p3p000257)は彼からカップを受け取り、ほほーと言ってジェントルの身体を右から左から眺めた。
「つやつやで目がくるくるしてて可愛らしいですね、ひひひひっ」
「あんまりジロジロ見てやるな。そいつも立派な研究者なんだぜ」
『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)もコーヒーカップを受け取り、そばに置いてあったスティックシュガーをごっそり握ってはポケットに入れた。
「ゆくゆくはそのダジウムってのを研究して………………して大丈夫なのか?」
どこか遠くを見つめる目をしたキドーの背景で、地球がズオーンっていいながら叡智の炎に焼かれていく風景が描写された。イメージである。
アームを掲げてガッツポーズを示すジェントル。
「お任せください! 必ずや不在証明を突破してダジウムの光で世界を包んでみせます!」
「つつまないで!?」
そういやこいつ練達民だったな、と今思い出したキドーである。
ジェントルの側面を指でつるつる撫でながら振り返るエマ。
「まーまー。楽しいお宝探しじゃないですか。いひひ……目に付く机とコンテナから小銭をかき集めていくあの感覚、いいですよねー」
「わかる……」
深くこっくりと頷いて、キドーはコーヒーに口をつけた。
「カントリーーーーーーーーーーンローーーーーー!」
『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)がスタンドマイクの前で歌って踊っていた。
それをコーヒー片手に見せられている『今日から観光客』ラナーダ・ラ・ニーニア(p3p007205)と『マッドガッサー』円 ヒカゲ(p3p002515)。
しゅこーしゅこー言いながらハンドホワイトボードにペンを走らせるヒカゲ。
『俺たち何をみせられてんの』
「これからスニークミッションだから今のうちに騒いで起きたいんだって」
『騒ぎ……溜め……?(゜ー゜)』
【疑問】の顔文字を書き込むヒカゲに、ラナーダは足をぷらぷらさせながら息をついた。
「でもテンションが上がる気持ちもわかるな。
広くて入り組んでて敵も沢山……まるでダンジョンだもんね。冒険してるみたいで少しわくわくしちゃうよ」
『でも今回の依頼結構やばそうな感じじゃない!? やばそうな機械たちがいっぱいだし』
「資源・技術・情報は、保持すればするだけ守れるものも増える……と」
いつのまにか後ろに立っていた『要救護者』桜咲 珠緒(p3p004426)がコーヒーに口をつけてどこか遠い目をした。
「誰かの言葉?」
シンメトリーに振り返ったラナーダとヒカゲに、珠緒は肩をすくめて見せた。
「とある略奪者の言葉なのです」
ジェントルの話によれば、このプレハブはかつて彼がいた世界を再現して作られたものだという。
巨大企業のマスコットフィギュアや何に使うのか分からないような機械が並ぶなか、かわった形状の飲料瓶が目を引いた。
「高い技術と豊かな文明……それが戦争の発展につながって、結局は荒廃しちゃったんだよね、その世界は」
ほお杖をついて『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)は小さくため息をついた。
「技術の使い方次第っていうけど、結局どこでも戦争が起きるなら、これってもう人の業なんじゃないかな。悲しいわね……」
悲哀。そして喪われたもの。きっとその世界のあちこちには、そんな風景が広がっているのだろう。それでも生きねばならぬ人たちが、文句を言いながらも案外楽しくやっているのかも……とも。
「それにしても」
蛍は自分が座っているタタミの床をぽんぽんと叩いた。
「まるっきり一緒ってわけじゃないけど、なんだか馴染みを感じるかも。そういえば、広告プレートってどういうものなの?」
「おっと、それをまだお伝えしておりませんでした」
スラスターをふいてやってくるジェントル。
お茶を飲んでいた物部・ねねこ(p3p007217)が身を乗り出す。
「私にも見せてください。近未来な感じなんですかね」
ジェントルがスケッチして見せた広告プレートというのは、金属でできたいわゆるポスターであった。
大手飲料メーカーであるとか、殺虫剤の広告であるとか、ねねこはまるで見たことの無いタッチの何かだったが、かつていた世界に似たような商品がなかったわけではない、くらいの感覚だった。
「こういうのが懐かしいんですか?」
「ええ、とても。本物ではございませんが、巧妙なレプリカを作れる方自体、この世界では珍しいですから」
ジェントルの話からすると、同じ世界からのウォーカーは何人かいて彼らはそれぞれ別分野で活躍している風だった。少なくとも今から行く施設のダジウムロボットを設計したのはそのうちの誰かだろう。
「わくわくしますね。どんな出会いがあるんでしょうか」
ねねこはうっとりと目を瞑った。
●『施設』
目を開くとそこは廃墟の研究所だった。
急にテレポートが起こったわけではなく。それほどあっという間に、ねねこが現場へ訪れたという意味である。
「思ったよりも、ほこりっぽくないんですね」
『そりゃあね?』
「無人といっても、ロボットが清掃してるだろうしね」
『ちゃっちゃと調べちゃおう』とハンドサインを出して進むヒカゲ。
曲がり角で『止まれ』のサインを出すと、ちらりと角の先をのぞき見た。
その足下からもひょっこり顔を出すラナーダ。
「あっ、あれだよねブレインっていうのは。話の通りキャタピラにドラム缶」
「どれどれ……本当、ドラム缶ですねえ」
二人の間からひょこっと顔を出すねねこ。
ドラム缶の上についていた半球体のなにかがぐるりと180度回転し、こちらに赤いライトの点滅を向けた。
「あ、バレたっぽい!」
「ですよね私もそう思いました!」
ヒカゲはシュコーと気合いを入れるように息継ぎをすると、通路の真ん中に飛び出して機関銃を腰だめに構えた。
身体をぎこぎこと反転させてサブマシンガンで反撃してくるブレイン。
ヒカゲが『牽制してるうちに隙を作って飛び込め』というサインを出してきた。
「そんなこと言われましても……あっ」
ねねこは手提げ鞄から手榴弾を取り出し、親指で弾くように安全ピンを抜いた。
「いちにのさんでいきましょう!」
「えっいきなり!?」
「いち――わあ!!」
キャタピラを唸らせ、ドリルを回転させて突っ込んでくるブレイン。
その迫力に驚いたねねこがワンカウントで手榴弾を放り投げた。
頭部の半球体にぶつかり、魔術爆発を起こす手榴弾。
ラナーダはこうなりゃ仕方ないとばかりに飛びかかり、深紫色の長細い魔術弾を至近距離から直にブレインに叩き込み、その勢いで横をすり抜けた。
ごろんと前転し、手を突いて止まる。
背後でおこる破裂音と金属のゆがむ音。そしてぐちゃりと焼く前のハンバーグが壁にぶつかるような音がして振り返った。
そっとボードを掲げるヒカゲ。
『脳みそじゃん』
「「――!」」
ラナーダが悲鳴を、ねねこが変な声をあげた。
「俺思うんだよねー。この施設絶対ヤバいもん作ってたよ」
「瓶コーラ工場には見えませんもんねー」
エマはそんな風に言いながら、キャビネットについた鍵穴にヘアピンを差し込んでいた。
差し込んで二秒。
通常の鍵を使うよりもしかしたら早いんじゃないかというほどの速度で鍵をあけると、中身をごそごそろとあさり始めた。
「あっ、見てください財布ありましたよ財布」
「マジかよやるじゃねえか、ほれ」
分け前くれのサインと共に手を出すキドー。エマは中身を半分にしてキドーに手渡すと、残りを懐に入れた。
「お、サルジャーが来るぜ。隠れろ」
通気口に走らせていたネズミ越しにファミリアー偵察を出していたキドーが肩を叩き、スチールデスクの下に身を隠す。
一方のエマは机のそばで身を丸め、『私は石私は石』と唱えて存在感を消した。
彼らの横でぴたりと立ち止まり、ゆっくりとあたりを見回すサルジャータイプのダジウムロボット。
光線を発射するという顔を赤く点滅させると、『気のせいか』といったような調子でその場を通り過ぎていった。
「ひひ……ちょろいもんですねえ。さっさと先に進んじゃいましょう」
「まあ待て、アレをいただいてからだ」
キドーが指さす先。部屋の壁には、スケッチで見たものと同じ広告プレートがさがっていた。
壁からプレートをはがし、胸に抱える蛍。
「うーん……なじみがあると言えばあるというか……田舎のたばこ屋さんとかにこういうのあったよね。すごくさびてるけど」
「私に言われましてもー」
小首を傾げて苦笑する珠緒。
似たような世界から来た珠緒ではあるが、生活環境がまるで違ったせいでそういう世俗的なものを見たことが無かった、のだろうか。よしんば見えたとしてもそれどころじゃねー健康状態だった筈である。
「ハッ……蛍さんっ」
「なあに、敵!?」
サッと振り返る蛍。
口を押さえて振り返る珠緒。
「ちょっとそこで一リットルほど吐血してきていいですか」
「トイレに行くようなノリでいわないで」
といいつつ、蛍は眼鏡の縁に指を当てた。
五感共有と透視能力によって偵察を行なっていた排気口のネズミが、こちらに近づくフォークタイプのダジウムロボットを感知したのだ。
「東側の通路から接近。戦闘は避けたいんだけど、どうかな」
「だめそうです。後方からも思いっきり音が」
耳を立て、こちらに近づくゴウンゴウンという独特の激しい走行音を聞き取った。
「ごめん。五感共有のせいでちょっとどっちの音か聞き分けられなかったわ。やりすぎるとだめね」
目が増えても脳はひとつ。見る場所を増やせば注意が散漫になるものである。
さておき。現状はわかった。
「東側なら攻撃をしのぎながら横道に飛び込んでなんとか逃げ切れるはず。戦闘も少なくてすむわ。急ぎましょ!」
「わ、わかりま――ゲフォア!?」
走りながら吐血する珠緒。
が、付き合いの長い蛍である。このくらいで驚かない。
珠緒のはき出した血が集まり、彼女の衣服に張り付いて複雑な模様を形成していく。
その全てが巨大な呪印となり、フォークの発射するロケット弾を真っ向から迎え撃った。
両腕をクロスし、爆風を突き抜けて走る珠緒。
指についた血をフォークへはねさせると、付着した血を中心にスパークをおこし、その隙に駆け寄った蛍のキックがフォークの巨体を転倒させた。
「今よ!」
二人はフォークの横を駆け抜け、施設のさらなる奥地へと進んでいく。
さて。
仲間たちがあの手この手で敵との遭遇を避けたり偵察を行なったりやり過ごしたりしている中。
「おはよーございまー……す」
通気口の中にみっちりつまり、小声でつぶやくハッピーがいた。
そのままよじよじ移動すると、フタもないのにスッと壁抜けをして小さな部屋へと降り立った。
「あー……さけびたーい……テンションあげたーい……」
小声でうにょにょしながらも、透視能力で近くの箱や棚、壁の様子を確認。
棚の裏に挟まったように入っていた広告プレートを見つけ出すと、細い腕を突っ込んでぐいぐい引っ張り出した。引っ張り出すことには成功したが、棚に当たってガコーンという音をたてた。
「おや、誰かそこに居るのですか?」
フラボータイプのダジウムロボットが物音に気づいて部屋に入ってくる。
が、しかし。
部屋には誰も居ない。
高性能聴力センサーを走らせてみるが、それらしい物音をひろうことはなかった。
「気のせいでしょうか。おかしいですね……」
そう言いながらも部屋を出て行くフラボー。
ハッピーはというと、先程の通気口にみっちり埋まって『せーふ』と呟いていた。既に何枚か確保した広告プレートを束ね。軽くリュックサックみたくして背負った。
「この広告プレート、居住エリアに多くない? なんか、ハッピーちゃんだけ大量にゲットしてない? だいじょうぶ? まいっか」
目的の数に一人でぐっと近づけるならそれに越したことは無い。
実際的な目的が広告プレート10枚の確保なので、一人で半分くらいを達成しつつあるハッピーはもはややることがないとすら言えた。
「先にもどっちゃおっかな? なんて」
●『秘密』
なんだかよく分からないエリアの奥。
やたら警備が厳重であちこちに鍵のかかった場所を抜けた先。
キドーとエマは数枚の広告プレートを胸に抱えたまま、ぼーっと眼前を眺めていた。
カメラをぐっと引いてみよう。
等間隔にならぶ筒状の水槽が沢山。
その中には一個ずつ、人間の脳みそ。
うすい緑色の溶液は定期的にぽこぽこと泡をたて、今もそれが稼働していることを示していた。
「なんだと思います? これ」
「さあ……アクアリウムじゃあなさそうだよな」
「警告。許可のない人間の立ち入りは抹殺」
背後で声。
急速に接近していたサルジャーの存在に気づいたキドーとエマはほぼ同時にその場から飛び退いた。
横薙ぎに発射される赤い顔面ビーム。
「それは警告じゃねえ!」
「よ、っと!」
エマは飛び退いたついでに手を突いてバク転し、短刀をサルジャーめがけて投擲した。
刀が顔面に突き刺さり、ビームの発射装置が破壊される。
「おっいいぞ!」
慌てるサルジャーに後ろから組み付き、豪快なバックドロップ(キルザライトの使用シーン)でサルジャーの頭を粉砕させた。
「バレちまったら仕方ねえ。プレートはいただいた、ずらかるぞ!」
「えひひ、そうしましょう!」
一方その頃、蛍と珠緒はサルジャーとフォークによる数機のロボットに追いかけ回されていた。
「流石は兵器エリア、いますねえ、沢山!」
「そろそろ、振り切るのも限界かも……!」
蛍はきゅっとブレーキをかけると、180度反転。
腰に手を当て、ロボットたちを指さした。
「止まりなさい!」
敵が止まれといって止まるロボットはいない。
当然のようにフォークは加速し、サルジャーはブレードを振り上げて飛びかかる。
「止まらないなら――」
腰にバンドで固定していた教科書からページが大量に抜けて飛び出し、重なり合って長い剣へと変化した。
それを握り、飛びかかってきたサルジャーへと斬りかかる。
「今のうちに!」
「あっそれです。今のうちに広告プレートを回収してくるのです……『すずきさんズ』!」
すずきさん、こじまさん、ゆかりさんの少女型ロボットがぎゅおーんと目を光らせ、目的の部屋へと駆け込んでいく。
それを阻止しようと走るサルジャーへ、拳を巨大な血の塊で強化した珠緒が思い切り殴りつけた。
吹き飛ぶサルジャー。
両手を広げて立ちはだかる珠緒。
「ここから先へは一歩も行かせまウヴォア!?」
そして吐血した。
「なるほどー。この脳はついさっきまで生きていたんですねー。機械の身体に接続することで生きながらえ、今さっきやっと死亡したんですねー。死にたてほやほやの脳みそだなんて、こ、こ……」
ねねこは床に散らばった脳みそを手でこねこねしながら、ラナーダとヒカゲへと振り返った。
なんか頬が赤かった。
「興奮しませんか!」
「普通の子だと思ったのに」
『患っていらっしゃったネ☆』
軽く引いてるラナーダたち。
ねねこも別にネクロフィリアを他人に共有させようとするほどヤベー子ではないはずだが、ないと思っていた死体要素が思わぬ形で現われたことにテンションを上げてしまったらしい。
「けどこのことでハッキリしたよね。この施設は『無人』なんかじゃなかった。
ある意味不老不死を機械の身体で実現するための施設だったんだね」
『ちょっとまって、今不老不死つった?』
ラナーダの発言に、ヒカゲは壁にかかった広告プレートをはがしながら片手でさらさらとボードに発現を書き付けた。
『脳だけ生身だったら、どっかでボケない?』
「…………あっ」
ぽんと手を打つラナーダ。
施設が無人だと言われる理由。
『ダジウム世界(仮)』から来たであろう旅人が一人か二人しかいなかった筈なのにここまで沢山広告ボードが作られ、そして飾られていた理由。
あとから考えれば色々と不自然なのだ。
手をぬぐって立ち上がるねねこ。
「そう、ですか……」
『この施設、まるごとボケちゃったんだねー』
広告プレートを胸に抱き、ヒカゲはしゅこーとため息をついた。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
広告プレートは沢山確保され、依頼人のジェントル氏は大喜びでした。
施設の状態を一応説明しましたが、『そういうこともありますね』くらいのドライな反応だったようです。
GMコメント
このシナリオでは建物内広範囲の探索を行ないます。
継続戦闘技術、または高度なスニークスキルがあると有利に進めることができるでしょう。
■■■オーダー■■■
・成功条件:広告プレート10個以上の回収
対象となる施設『タフィントン・ダジウムプラント』は練達の中でも低階層にあたる閉鎖された建物で、内部はかなり広大かつ入り組んでいます。
この施設内を探索し、広告プレートをできるだけ沢山回収してくることが求められています。
施設内には大量のダジウムロボットが巡回し、高性能センサーで侵入者を発見ししだい抹殺をはかります。要するにこれらを倒して進むか、センサーにかからないくらいステルスを高めるかする必要があるわけですね。(それでも見つかるときは見つかります)
ふつうHPやAPは無限にもつわけではない筈ですし、得意分野はメンバーごとに異なる筈なので、手分けして効率よく探すのがベターとなるでしょう。
■■■フィールドデータ■■■
広大な施設ですが、電力は未だ生きていて明かりは確保されています。
施設内にはそれほど広くない部屋が沢山あり、入り組んだ通路やエレベーターでつながっています。
詳細な地図はありませんが、施設が中央のエレベーターから東西南北の『四方向』に分かれてることが分かっています。
チーム分けをする際はこの四方向に散るやり方が効率的でしょう。
実のところ、この施設がなんのためにあったのかはわかっていません。
分かっているのは戦闘用ダジウムロボットが沢山巡回していることと、アメジア合衆国文化を取り入れた内装が取り入れられていることだけなのです。
興味がありましたら、施設の秘密を調べてみるのもいいかもしれません。
■■■エネミーデータ■■■
●ダジウムロボット
施設内には沢山のダジウムロボットが巡回しています。
依頼人のジェントルと同種のロボットですが、混沌世界で再現するかたちで製造された戦闘専門ロボットであり、侵入者は話し合いの余地無く抹殺しようとします。
そもそものAI構造が違うのか、この世界に『ジェントル』が定着したことで根本的に違う生物になったのか、そのところはよくわかっていません。
・タイプ『フラボー』
空飛ぶ球体(フライングボール)のロボットです。
ジェントルと同タイプのロボットで、アームに装着した回転のこぎりやビームガンなどで戦闘を行ないます。
スラスターで地面から1mほど浮遊しており、機動力が高いことが知られています。
南の居住エリアに多いタイプです。
・タイプ『フォーク』
四つ足戦車(フォーレッグタンク)のロボットです。
文字通りタイヤのついた四脚で移動し、ガトリングガンを装備した腕と肩のミニロケットランチャーで戦闘を行ないます。
ひたすら頑丈で攻撃力が高く、近接戦闘においてもヤバい物理攻撃力を誇ります。
東の兵器エリアに多いタイプ。
・タイプ『サルジャー』
戦闘兵士(アサルトソルジャー)のロボットです。
人間に近いシルエットをもち、高周波ブレードや顔面から発射するビーム砲などで戦います。
命中・回避性能が高く基本的に素早い動きをします。
西のよくわからないエリアに多いタイプのようです。
・タイプ『ブレイン』
キャラピラの足とドラム缶のような導体、そして太いゴムホースのような腕をもつロボットです。名前の由来はわかりません。
火炎放射器やサブマシンガン、ドリルなどで武装していますが、実は戦闘には優れていないとみられています。
北の研究エリアに多いタイプです。
■■■アドリブ度■■■
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。
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