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シナリオ詳細

<冥刻のエクリプス>信心の剣、騎士(アイドル)の槌
<冥刻のエクリプス>信心の剣、騎士(アイドル)の槌

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●国のために、振り上げる刃
 私は聖職者としてこの国に尽くしてきた。
 騎士になる? 馬鹿馬鹿しい。この溢れんばかりの信心の発露は聖職者として伝えるべきなのだ。
 聖なる姿で聖務に励み、この剣に恥じぬ信仰を広く民草に広め、信心を持たぬ者を剣でもって両断する。
 信心こそ正義! 信仰のみが正義! 国の在り方は、正義に則って成されなければならない!
 私の信仰、信心、正義を疑う者はことごとくが不正義である。信心を以てことに望むエルベルト様の意思を、私こそが先導となり導かねばならない――!

●……と、いう幻想
「<月光人形>事件から始まった一連の天義での騒動に関して、サントノーレ氏とイレギュラーズの皆さんのお陰で大分、状況がつかめてきました。本件の黒幕は魔種、ベアトリーチェ・ラ・レーテの仕業と断定されました」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦 (p3n000097)はその眼鏡からギルドの壁に資料を投射し、素早いスライドショーの如き様相で次々と情報を提示していく。
 探偵サントノーレ。天義にてその内実を暴くため、イレギュラーズと結託して調査に乗り出していた人物で、信頼できる相手だ。彼とイレギュラーズの調査は、ベアトリーチェの暗躍のみならず、様々な問題を浮き彫りにした。
「ベアトリーチェの動きが本格化し、天義首都陥落へ動き出したのは確かです。同時に、迎え撃つ天義国内の事情ですが。ご存知の通り『ご覧の有様』という他ないかと」
 スライドショーよろしく映し出されたのは、アストリア枢機卿と王宮執政官エルベルトの顔、大教会周辺と城壁外の各兵力の分布だ。さらに外側からベアトリーチェ麾下の軍勢である。迎え撃つにしても、内外の対処が必須となってくる。厄介極まりない。
「とはいえ、皆さんの凄まじい活躍でセイクリッド・マスケティアは半壊。アストリア枢機卿は籠城以外打つ手がありません。これを機に、皆さんにはいち早く内部の憂いを断っていただきたいのです」
 事態は迅速、速攻を要求する。断定的な口調に続け、三弦は城壁外の一点にペンを叩き付ける。
「皆さんに向かっていただきたいのはこちらです。ここにエルベルト麾下の『聖職の剣』クロス・アイ・ギアが陣取っています。強烈な信仰心――という本人の強固な妄想、幻想を糧に威力を高める剣を持ち、騎士達をまとめ上げています。率直に言って兵力の底上げを為せる彼は非常に邪魔です。かといって麾下戦力30を皆さんだけで倒すのは不可能ではないでしょうが骨が折れます。こんな所で消耗されたくもありません」
 ですので、天義騎士の協力を取り付けました。そう告げた三弦が促すと、戸口から入ってきた姿は――灰塚 冥利(p3p002213)が居合わせれば間違いなく目を疑った相手だろう。
「姫が3つで、織姫星 姫愛姫ちゃんですよ☆ 姫愛姫は、歌って踊れる騎士(アイドル)なんです! 聖都に仇なす愚か者共を『勇者』ローレットの皆さんとボッコボコにできるって聞いて喜んで来ちゃいましたぁ!」
 ……本人が全て言ってしまったので説明は要るまい。
 冥利からすれば『毛嫌いする天義で』『重篤なまでに推していた相手が』『そこの忠実な騎士として』再開することになろうとは思ってもいないだろうが、まあそれとこれとは別の話である。
「こんな方ですが、天義中枢、法王側に属する騎士ですので実力と信頼はお墨付きです。助力となることでしょう」
「もぉ~、『こんな』ってなんですか? 姫愛姫のコト知らないんですか? 田舎者ですかぁ?」
 姫愛姫の猛追に「ええ、田舎者です」とすげなく応じる三弦の目がどこか遠いところを見ていたような気がするが、それはともかく……事態は急を要し、敵戦力も十二分。
 フォン・ルーベルグを舞台にした信仰心の激突が今、幕を開ける。

GMコメント

 そんなわけで天義の治安を乱すクソ野郎をぶん殴って吹っ飛ばす依頼です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●成功条件
 『聖職の剣』クロス・アイ・ギアの討伐
 エルベルト麾下騎士の殲滅
※以上達成までの『騎士(アイドル)』織姫星 姫愛姫の生存

●『聖職の剣』クロス・アイ・ギア
 エルベルト派司教。聖職者の身でありながら信仰の敵を切り伏せる、いわば『戦う聖職者』として往時の天義では評価の高い人物だった。
 ……のだが、思い込みが激しく思考の変遷を強く拒みこれと決めたら揺るがない、厄介なタイプに頑固な男であり、今回は最悪の方向に振り切っている。
・『信仰剣』とよばれる両手剣を所持。騎士の残数が減るとFBとCTが上がる。騎士が減るほど、或いは『信仰を揺るがせる言葉』が通じるほどに全ステータスに下方修正がかかる。
・信仰の光(神超貫・万能、体勢不利、窒息)
・裁きの刃(神近扇・不運、毒、恍惚)
・近接戦闘がそれなり得意で、スキルによるBS付与はないまでもダメージの大きい攻撃を行えます(至単扱い)。

●エルベルト麾下騎士×30
 エルベルトとクロスの言葉に忠実に動く聖堂騎士。槍、剣、弓、術の4種混成。術の回復対象は専らクロスである。
 基本的には2~3人をターゲットに集中攻撃を行おうとする。
 攻撃にはMアタック、HP減少系BSが伴う事が多い。

●『騎士(アイドル)』織姫星 姫愛姫(おりぼし・ひめき)
 灰塚 冥利の関係者……というか激推し対象。
 マジカルパステルな鈍器を装備しており、アイドル然とした格好もれっきとした防御力の高い装備であるらしい。
 鈍器による攻撃すべてに『飛』が伴い、物中扇、物特特(自分中心に1レンジ)などのスキルを使いこなす。
 アイドルは他人を寄せ付けない、みたいな信念があるらしい。

 なんやかんや色々ありますが、協力者も居るのでかなり自由度は高いです。
 よろしくおねがいします。

  • <冥刻のエクリプス>信心の剣、騎士(アイドル)の槌完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年07月10日 23時16分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
透垣 政宗(p3p000156)
有色透明
ルアナ・テルフォード(p3p000291)
守護の勇者
サンディ・カルタ(p3p000438)
アニキ!
シクリッド・プレコ(p3p001510)
海往く幻捜種
灰塚 冥利(p3p002213)
眠り羊
シュテルン(p3p006791)
こころの花唄
ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)
天義の希望

リプレイ

●嘆きを以て一撃と成せ
 アイドルって良いよね!
 彼女達の心には誰よりも深い闇が根付いている。愛さずにはいられない。姫愛姫ちゃんもそうだった。
「……それがどうしてこんな事に! 天義の騎士なんて聞いてないよ!!」
「姫愛姫のコト、知ってるんですかぁ? 幻想(いなか)のヒトなのに物知り☆」
 『眠り羊』灰塚 冥利(p3p002213)の絶望に道満ちた声を聞き、姫愛姫は心底不思議そうな顔をして彼の顔を凝視した。遠巻きからだが。
 或いは、強度高めのおっかけであった彼のことを思い出してもおかしくはなかろうが……残念ながら、人の頭はそう都合よくは出来ていないようだ。
「サインくださいっス! 姫愛姫ちゃん!」
 他方、『天義の希望』ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)は新人アイドルにしてドルオタ(自称)として、突如として降って湧いた幸福に叩き込まれ、完全に判断力が低下していた。サインの要求は条件反射だ。
 本当ならファンに近づくなど、と思っていそうな姫愛姫だが、仮にも戦友となる相手だ。躊躇なくミリヤムの持ち物にサインをひとつ。どこか満足そうだ。
「冥利さんの推しが居るって聞いたのもあって仕事しに来たけれど、パステルふわふわで可愛いねぇ!」
「そうなんだよ! 姫ちゃんの可愛さはもうなんていうか最高なんだよ!!!」
 冥利の激推しに流される形で依頼を受けた『有色透明』透垣 政宗(p3p000156)は、当のアイドルの格好を見てそれはもう、凄まじい感銘を受けていた。彼の愛用する『求蓉』もなかなかに攻めたデザインのフリルドレスだが、やはり姫愛姫のような同系色でありながらパステル感を強調するそれと比べれば普通の色合いだ。特筆すべきはそこではないが。
 そこではないからこそ、多分。お互いの美的意識を共有できるのだろう。互いを認め合う視線が見える、見える。
「元アイドルの騎士……しかも天義中央所属。なんというか、ガッツすげえな……真似できねえや」
 『アニキ!』サンディ・カルタ(p3p000438)は、あまりに自分と違う次元にある相手を見て、驚くような、戸惑うような表情を浮かべた。『アイドル』という概念自体は、混沌でも比較的ポピュラーなものではある。あるのだが、騎士にしてアイドル、偶像(アイドル)にして天義の中央に座する、というのは並ならぬ度胸と覚悟を思わせる。
「私はアイドルですからぁ、それくらいは出来なきゃダ、メ、なんですよぉ♪ もっと褒めていいですよぉ?」
 姫愛姫はサンディの称賛(?)に満足したように笑みを浮かべる。彼女の言葉は、逆を言えば……褒めないとよろしくないことが起きると言っているような。
「他の、世界の、アイドルさん……どんな人だろ? じゃなくて、ちゃ、ちゃんと守る、しなきゃ、ね!」
「あら、アイドルは騎士(アイドル)ですよぉ? 歌って踊ってお国も守る。最高じゃないですかぁ!」
 『星頌花』シュテルン(p3p006791)のふとした疑問に、姫愛姫はにこやかに応じた。本人すらつぶやいた程度の言葉を拾ってレスポンスを行う姿勢は、元の世界でアイドルとして培った経験則か。彼女は恐らく、シュテルンの秘めた才能すらも看破していておかしくはない。
 イレギュラーズと姫愛姫のささやかな交流は、しかし邪魔が入らぬまま……というわけにもいかなかった。
「貴様らがイレギュラーズ、か! ……成る程、執政官殿から伺った通り、不遜かつ不正義の輩が集っているようだな!」
「司教様、その……貴方のような方がわたし達の敵に回り、悪に染まるのは、本意ではありませんの」
 居丈高に振る舞う司教、クロス・アイ・ギアの態度を前にして、しかし『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)は一歩も退かずに訴えかけた。彼女の言葉を最後まで聞くより早く、クロスは剣を抜き、騎士達は布陣を敷く。聞く耳持たず……そう言いたげだ。
(アイドルはファンからある種の信仰を集める、聖職者にも通ずる存在……姫愛姫さんと司教様の言葉をぶつ合わせることで、何か説得の糸口が掴める気もするッス)
 『海往く幻捜種』シクリッド・プレコ(p3p001510)はノリアがクロスの目を引いている間に、慎重に状況を見定めようと意識を集中させた。
 姫愛姫なら、彼の態度などから何か掴めるのだろうか? 興味はあるが、彼女に無理強いをするのは好ましくないように思える。まずは、自分達でなんとかせねば。
「信仰ってなんだろうねー。信じる心が力になる、っていえばかっこいいけれど。信じる者が間違っていたらそれは……破滅につながるんだ」
 『守護の勇者』ルアナ・テルフォード(p3p000291)は自分に言い聞かせるように小さく告げ、霊樹の大剣を握りしめ、呼吸を整える。クロスの持つ剣は信仰を糧にして力を得る。信じるもの、目指す事。それらが道を外れた途端、道理は消え、持ち主は破滅への一歩を踏み出すだろう。子供でもわかる話だ。
「不心得者、不正義の僕が信仰の何たるかを語るなど片腹痛し! ……神の御名に恥じぬよう、あれらを蹂躙せよ!」
「さっきからピーピー騒々しいですねぇ、司教様もヤキが回っちゃいましたかぁ?」
 クロスが吠え、姫愛姫が煽る。
 彼女の態度は今に始まった話ではないが……救いたくもない天義の為に、というか姫ちゃんの為に天義を救うだなんて。
 冥利はなんとも、不遇の立場にあるようだ。

●信じる力は何のため
「姫ちゃんに用があるなら、まずは僕に話を通してもらおうか!」
 ともあれ、冥利は騎士達の正面に立つと、堂々たる名乗りですぐ側で身構えていた数名の視線を釘付けにした。姫愛姫への敵意も多少はあろうが、彼へのものに比べれば可愛いものだ。
「栄えある『騎士様』なんだから、わたしひとり倒すくらい、簡単なものだよね?」
 ルアナもまた、騎士達へと真っ直ぐ突っ込み、挑発を繰り返す。騎士達は己の誇りに傷をつけられたかのような言葉に怒りを覚え、当然ながら彼女へも矛先を向ける。……彼女が『勇者』であることを知れば、何というだろうか。
「調子良さそうだな、じゃあ俺も調子に乗らせて貰うぜ!」
 サンディは、仲間の派手な初動に喜びを覚えながらも、深呼吸して意識を集中させる。次の瞬間、周囲に吹き荒ぶ風は彼の身を傷つける。……だが、仲間達は背を押され、一斉に動き出した騎士達の動きに対し、こころなしか余裕を持って対応出来ているはずだ。気まぐれな風は、今まさにイレギュラーズと姫愛姫の背を押したのだ。
「ふふ、その人が気に入ったの? 良いよ、君らの物にしても」
 政宗は指先から投じた血の行方を眺め、くすくすと悪戯めかして笑う。血を媒介に生み出された怨念の手、その狙いは騎士達の隊列において後方を守る術士達だ。
 しっかりと掴んでくるそれらは、前衛職であればいざ知らず、安全な後方に身を置く彼らが避けられようはずもない。
「術士に近付くのは無理そうッスね……なら、手前から片付けるッス」
 シクリッドは鮫牙棒を構え、近くの騎士へと繰り返し打撃を叩き込む。
 守りを固めた騎士達とて、彼の一撃は無視できぬ重みとなろう。数を頼った相手を1人ずつ叩くのは容易な道ではないが、積み重ねることにこそ価値が生まれるのだ。
「フハハハ! ボクが居る限り倒れてでも姫愛姫ちゃんには指一本触れさせないっスよ!」
 ミリヤムはいつの間に確保したのか、姫愛姫のファンアイテムを腰に提げ、笑顔で呪いの唄を紡ぐ。伊達に駆け出しのアイドルを名乗っているわけではないとばかりに放たれたそれは、政宗が捉えた術士達にさらなる追撃を叩き込んでいく。運が悪い者が混じっていれば、ミリヤムの唄の前に意識を手放していただろうか。
「皆、好きに動く、出来るよーに、シュテ、回復、いーっぱい、頑張る、するーっ!」
 シュテルンは指を伸ばし、冥利へと癒やしの波長を流し込む。正面から騎士達を押さえ込み、その攻撃の多くを受け止めた彼の傷はそれなりに深いが、持ち前の守りの堅さとシュテルンの治癒、そして姫愛姫と轡を並べて戦っているという事実が、彼の足を押し留めた。
「イレギュラーズの皆さんにばかりいい格好はさせられませんよぉ、私も少し本気でやるですぅ」
 姫愛姫は一同の奮戦ぶりに感化されたか、ルアナと冥利が受け止め切れなかった前衛の騎士達の間合いに踏み込み、雑にメイスを振るう。
 雑な一撃、であるはずなのに盛大に吹き飛ばされ、戦線を後退させられる彼らの姿は……もはや同情を禁じ得ない。
「狼狽えるな、我が同士! それでも執政官に傅く騎士の端くれか!」
 クロスは、後退した騎士達を朗々たる声で叱咤し、信仰剣を高く掲げて前進する。いっそ無防備なほどに真っ直ぐな踏み込みは、そのまま突きの構えを取る……剣先から発される光が、冥利を貫き、更に後ろに控える仲間達を傷つけていく。
 彼らが危惧するほど、出鱈目な破壊力ではない。だが、繰り返し喰らえば間違いなくただでは済むまい、と理解できる。騎士達を叱咤する姿から、己の本分を弁えている……ようにも見えた。
「司教様、やはり、こういうのは良くないですの」
「くどい! 私が不正義の異端者の言葉など聞き届けるとでも、か!」
 ノリアはゆったりとした足取りで前進しつつ、クロスへと語りかける。ともすれば全く警戒していない、愚かしいほどに無防備な姿。それが彼女の技能であり、誘いの形であるなどとは誰も思うまい。思わずその所作に惑わされた騎士がいても、それを咎め立てするのは酷だといえる。
「いやぁ、どうだろうな? っていうかさ、異端者の声に耳を塞ぎ続けてる司教様に聞きてーんだけど」
 サンディはSSTで騎士達を蹴散らしながら、クロスに問いかける。彼の声を無視し、表情ひとつ動かさない巌の顔は、次の瞬間、さらに厳しいものになる。
「直近で神の声を聴いたか?」
 サンディはぽつりと、独り言にも似たトーンで問いかける。依然として厳しい顔で応じないクロスは、騎士達に布陣を改めるように命じ、同時に狙いを引き受けた冥利達3名へと攻撃を集めるように声を張る。
「聞いてないのか……? 今もなおガンガンに響くこの神の嘆きと怒りの声を?」
「悪魔の囁きは煩いものだ。神は心を痛めておられる。貴様のような下賤の者に軽々に扱われる事実をな」
 構わず続けられた語り口へと明確な否定を返したクロスだが……サンディは気付いただろうか? こめかみに僅かに汗が浮いたことを。
「シュテにも、きこえる……! かみさまは、戦いたくない、言ってる!」
 シュテルンはその様子、そして心境をリーディングで機敏に感じ取り、サンディの言葉に追従する。1人が2人に。神の声を聞き届けたと言って聞かぬ者達の姿に、騎士達は少なからず動揺を深めたが、さりとて彼らは指示を受けて戦う存在であり、深く考える余地を持たない。ある種、クロス以上に目の前の使命に従順に動くのだ。
「司教様が自分の考えを全く間違ってない、って思うんなら、それを受け入れられていない事実についてはどう思うッスか? 正しいなら絶対に通じるものッス。それが出来てないのは、神様にとっても司教様にとっても不幸じゃないかなぁ、と」
 思うッスけど。シクレッドは周囲の反応や戦いぶりを見ながら、言葉を選んで問いかける。当然、その間も獲物は猛烈な勢いで騎士達を蹴散らしていく。魔力を浪費しすぎぬように、しかし遠慮はせぬように、だ。
「神の教えを守る事こそが信仰だと言うのに、司教である貴方自身が『私の正義を疑う者は不正義だ』と仰るんですね……クロスさんは聖職者として素晴らしい方だとと聞いていたのに……」
 政宗は目尻に涙すら浮かべ、司教の方へと視線を流す。求蓉の美しさ、女と見紛う彼の美貌、そして流麗な演技。これで落ちない奴も居まい。……司教は黙して語らぬが、彼らの言葉に心揺り動かされているのは間違いない。
「あらあらあらぁ、司教様ってば田舎者の戯言にすら心がガタガタなんですかぁ? 笑っちゃいますねぇ?」
「そうだそうだ! というか推しに対するここまでの気概を見せない時点であんた等の信仰心は笑っちゃうすね! 僕を見習えよ! 痛い!」
 姫愛姫の挑発に乗っかるように、ミリヤムは得物を騎士達に突きつける。治療前の手傷がじくじくと痛むし姫愛姫を守りきれてない力不足感に嘆きを覚えるしそんな感情を微塵も理解してくれない周囲に病むし、そりゃあ彼女だって涙ボロボロ流すわ。そうなるわ。
「ねぇ司教さま。あなたにとって、信仰ってなぁに?信仰を持たない人は、ころしていいの?」
 ルアナは大剣を振るい、騎士達を斬り伏せていく。いきおい、振り下ろした一撃をクロスは受け止めるが、先程までの威勢からくる反発力はなにほどにも感じない。
「ほざけ、この危地で信仰を持たぬ者が、今後持つことなどあるものか!」
「でも、それでも信仰って押し付けちゃ駄目なんだ。根気よく説き伏せて、分かって貰ってこそだよね?」
 さらにクロスの剣の力が弱まる。騎士達は次々と倒されていくが、辛抱強く戦う彼の姿は持ち前の頑丈さゆえだろう。それでも、限界は近いようだが……。
「……お前が尊び、祈りを捧げているのは神の皮を被った悪魔に違いない。難癖つけて殺すのは楽しかったかい? さぞ良い気持ちだっただろうなあ!」
 仲間の声は確かに届いているようだ。姫ちゃんの言葉も確実に届いている。それでも剣を取り落とさない? まったく、なんて愚考だ――なんて。冥利が考えたかは定かではない。
 だが、彼はクロスに対し、声を張り上げた。
「見てみろ。幾多の血に染まった剣、それを振るうお前の顔を! 神の光を飲み込んだ、お前という心の暗愚な側面を! それを見ても自分の間違いが分からないのか!」
 オオオオオオオオ、とクロスが吼える。最早、相手の言葉がどうとか、自分達の戦力がどうとか、そういう思考にはない。
 そういう状態ではない。それほどまでに弱り、落ち込み、崩れた信仰の力はもはや楊枝一本にも届くまい。
 それでも、楊枝一本で人を殺すことは可能だとばかりに彼は向かってくる。暗愚なる心は、矯正する余地を残していない。信仰で埋めた脳は、他を受け入れる余地を持たない。
 ……残念な話だが、『ナントカは死んでも治らない』のである。

「お疲れ様でしたぁ! 皆さん、案外やるんですねぇ♪」
「姫愛姫ちゃん、また共演したいっス!」
 戦いが終わり、姫愛姫がイレギュラーズを認めるように笑みを浮かべる。それだけでもミリヤムには卒倒ものだろうが、ここで言わねばと次の機会を申し出る。薄く笑みを返されれば、彼女はもう立ち上がれまい。
 そして、冥利だが。彼は……敢えて近付くことはしなかった。
 天義で生きると決めた彼女の道を邪魔してはいけない。近付く日がまた来るかは別として、袂を分かったことは間違いない。
 ……それでも彼は、姫愛姫のTOで有り続けるだろう。

成否

成功

MVP

灰塚 冥利(p3p002213)
眠り羊

状態異常

なし

あとがき

 皆ちょっと挑発酷すぎんよ……(ドン引き)
 でもまあ、敵が多勢に無勢だったので多少損害を受けた以外は概ね良好、だったと思います。
 姫ちゃんの再登場……は……えっ、するの……?

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