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シナリオ詳細

シャークシップ!
シャークシップ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サメだああああああああああ!!!!
 これは、ある船乗りの伝説である。
 六月の夏至頃。その日は不思議なまでに海が澄んでいたという。
 空は青く晴れ渡り、港が近いというのに海鳥がまるで飛んでいない。
 この奇妙な静けさに首を傾げ、船の手すりから下を覗き込んだとき。
 『それ』は見えた。
 透明で深く深く青い海のそこから猛烈な速度で浮き上がってくる影。
 巨大なそれは、おおきく口をあけたサメに見えた。
 船底にかじりつくつもりかと息を呑んだ船乗りはしかし、次の光景に目を疑った。
 サメが、船を呑んだ。

●シャークシップ
「この世界はいつも不思議な生態系の中にいるのね。ディープブルーな世界だわ……」
 海洋の港町にたつカフェレストラン『サメの奥歯亭』。分厚いピッツァやスパゲッティナポリタンを出すこの店はいつも大賑わい……の筈だが、今日はとんと客がいなかった。
 店の奥では蓄音機がナポリミュージックを静かに流し、店主はどこか不機嫌そうに食器を洗っていた。
 プルー・ビビットカラー(p3n000004)はため息をついて、一枚のスケッチ画をテーブルに置く。
 海の上に浮かぶ小舟とその海底の様子が描かれていた。小さな船を今にも飲み込まんと巨大なサメが海底から口を開いて登っていくさまが、どこか恐ろしく描かれている。
「これは『シャークシップ』といって、船を主食にするサメ型モンスターよ。
 海底からこのようにして急速浮上して、船を飲み込み噛み砕き、粉々にして溶かしてしまうの。
 といっても消化作業に時間がかかるしその間は海底に潜り直せないから、外敵に攻撃されないように消化中は周囲の船を破壊して回るという習性があるそうよ」
 要するに、船を一隻丸呑みしたあと、周囲の船も破壊してまわるという凶悪なシーモンスターなのだ。
「これが沖の海底で発見されてしまったせいで船は欠航。観光客は激減。漁と観光で栄えている町の人も困り果ててるってわけ。私たちに急ぎの依頼が入るのもうなずけるわね。
 そう。私たちへの依頼内容はずばり『シャークシップ』の討伐よ」

 シャークシップはその凶暴さや厄介さがゆえに対策がある程度確立されていて、シャークシップを誘因しやすい船やその仕掛けが伝わっていた。
 今回はその仕掛けを施した特別な『囮船』というものを用いてシャークシップを食いつかせ、消化中に暴れるシャークシップと戦い、そして倒すのだ。
「『囮船』は完全に囮専門の船だから、乗ったり動かしたりはできないの。毒や火薬を積んだりするのもダメよ。とても繊細なものなの。
 けどそのかわり、初撃を確実に囮に向けることができるわ。
 皆は別の船で周囲に配置して、シャークシップを撃退して頂戴」
 プルーはそこまでの説明を終えると、テーブルの上にレストランのメニュー表を広げて見せる。
 そしてコインをいくらかテーブルに置いて、席を立つのだった。
「それと、これはおごりよ。相談しながらお腹を満たして置いて。ハラペコなのはシャークシップだけで充分だから」

GMコメント

■■■相談会場■■■
 今回の相談会場は海洋港町にあるカフェレストラン『サメの奥歯亭』です。
 分厚いピッツァやスパゲッティナポリタンが美味しいお店ですが、モンスター騒ぎのせいでお客はぱったりのようです。
 こちらで相談のロールプレイをお楽しみください。

 では、まずはご注文をどうぞ。

■■■オーダー■■■
 『シャークシップ』の撃退

●戦闘時の船の扱い
・基本的にはレンタルした船を使います。
・メンバーの誰かがアイテム『小型船』を持っている場合レンタル船の代わりにこれを使用することで乗員の戦闘力に補正がかかります。
・小型船の操縦と戦闘は若干のペナルティつきで同時に行なえるものとし、『操船技術』をもっている場合はその際のペナルティを無効化します。
・小型船の操縦は必ずアイテムを装備しているPCが行なってください。
・操縦者が戦闘不能になった場合、最低限の操縦は継続できるが戦闘は継続できないものとして判定します。(交代は不要です)
・この戦闘に投入できる小型船の数は3隻までとします。(囮船は含みません)
・基本的に船のサイズは全長20mとして扱います。

■■■エネミーデータ■■■
●シャークシップ
 小舟を飲み込んでしまうくらい巨大なサメ。
 全長はまさかの20メートル。
 初撃は必ず囮船を攻撃するため、先制攻撃のチャンスがあります。
 最初になんの攻撃をするかで後の流れが変わるので、慎重に選んでいきましょう。

 HPがとんでもなく多く、【精神無効】【麻痺耐性】【怒り無効】を持ちます。
 使用スキルは以下のとおり。
・通常攻撃(物近単【必殺】大ダメージ)
・大暴れ(物近域【崩れ】)
・強引な突進(物超貫【弱点】)

  • シャークシップ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月27日 22時20分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
黄昏き蒼の底
燕黒 姫喬(p3p000406)
猫鮫姫
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
猫さんと宝探し
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)
正気度0の冒涜的なサイボーグ
高槻 夕子(p3p007252)
クノイチジェイケイ

リプレイ

●海はいつでも生きている
 木製のラジオボックスから、サンシンによる民族音楽が流れている。
 『黄昏き蒼の底』十夜 縁(p3p000099)はキセルに火をつけると、熱い煙を吸い込んで目を細めた。
 珍しい鉱石の雁首と黒い竹材によるラオ。吸い込む煙と潮の香り。遠い漣の音と民族音楽。空と海の間に熔けてしまいそうな景色の中で、十夜は船の木製ギアレバーに手をかけた。
「シャークシップねえ……船ごと喰うのは勘弁願いたいね。漁ができねぇってことは、市場に出回る魚が減っちまうってことだからなぁ」
 深く腰掛けた椅子の背もたれには浮世絵調のシードラゴンが描かれ、差し込む陽光に青く照った。
 船にはっていた帆が畳まれ、代わりにスクリューが回り始める。
 独特の振動に目を瞑り、『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)は船のデッキに立ち上がった。
「お行儀はわるいですけれどー、あれはあれでベストな狩りなのかもしれませんわよー」
 メリルナートはそんな風にいいながら、なじみあるネオフロンティアの空気を胸一杯に吸い込んだ。
「それにしてもー、災難ですわねー」
 シャークシップの知名度はさほど高くはないが、巨大なサメという意味では海洋でも有名なたぐいのモンスターであった。
 日本の田舎町における熊くらいの存在だと言ってもいいだろう。
 本来彼らの狩り場と漁場が被ることはないが、餌となる魚の量や分布が少しでも変われば人々にも危険が及ぶ。生態系とはえてしてそういうものである。
 天災のようなものであり、ゆえに対策もまた伝わっていた。
 だが田舎の熊の例えのごとく、知らない者は知らないハナシであったりする。
「SA! ME!」
 『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)が両手の指でS字を作って空高く掲げていた。
「海とサメとJK! あーしとサメの出会いは必然だったのよ! 水着とチェンソー用意しなきゃ!」
 王道イエーといいながらメロイック・サインを掲げる夕子。
 メリルナートは元気ですわねーと笑いながら、帆を畳んだポールを掴んで海風を浴びていた。

 『正気度0の冒涜的なサイボーグ』ベンジャミン・ナカガワ(p3p007108)が胸のボタンを押し込めば、どこからともなく飛んでくる。
「チーェンジ! ベンジャミンロボ! 合体ですぞ!」
 なんともいえないフォルムをした大きなロボと変形合体すると、ベンジャミンは背部のベンジャミンウィングによって海上へと移動。
 胸のボタンを再び押し込み、海中から飛び出すように召喚されたベンジャミンシップに誘導ビームを発射。
「此度の戦場は海! であれば、このフォームの出番ですな!」
 がしゃがしゃと変形するベンジャミンロボが、ベンジャミンシップと合体。
 目の部分を煌々と光らせると、両腕を力強く振り上げた。
「完成! ベンジャミンポセイドン!」
 ぎゃおーんと謎の効果音を放つ全長20mちょいのベンジャミンポセイドン。
 要するに船に足を突っ込んで直接操作しているだけなのだが、身体が八尺強あるせいでインパクトがすごかった。
「今日はよろしくねー」
 といいながら、翼をばさばさやってデッキに着陸する『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)。
 一方の『猫鮫姫』燕黒 姫喬(p3p000406)は海中からタラップをよじ登ってデッキへと上がってきた。
「アクセル、あたしのピザ持ってきてくれたかい」
「お持ち帰りのやつだよね。あるよー」
 小さいピザボックスをひょいっとなげるアクセル。姫喬はそれを片手でキャッチすると、まだ暖かいピザを掴んでギザ歯で囓り始めた。
「はむはむ……シャークシップってのも大概だけど、こいつもなかなかでっかいねえ」
「お褒めに預かり光栄ですぞ!」
 喋るたびにライトをぺかぺか点滅させるベンジャミン。
 その横を、巨大なサメ……もといサメのペイントがなされた小型船が併走した。
 舵を握って笑う『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)。
「今回はサメ要素が満載じゃのう。サメの船にサメの海賊。船ごとくうサメ……」
 潮の後ろではポチが小さな船型容器から刺身をもりもり食べている。
「今度はわしも船ごと喰ってみるかのう」
「もきゅもきゅ(お腹を壊しますよ)」
 『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)が世にもおっとりした顔のまま、頬をハムスターみたく膨らませてなんか食べていた。
「はっはっは、冗談じゃよ」
「もきゅもきゅ(船はともかく、サメを食べ返すくらいはしてあげましょう。私達ろーれっとの手に掛かればサメも恐るるに足らず。今夜はサメパーティーです!)」
 瓦屋根のついた和風の船、ベンジャミンシップ、ポチ二号。三隻の船は滑るように海をはしり、依頼人の待つ目標ポイントへと進んでゆく。
 全ては海の脅威、シャークシップを倒すため。

●獰猛と猛攻と
 シャークシップ。船を喰うとされる巨大サメ型モンスター。
 主食が船というだけあって肉体は頑丈かつタフ。船をかみ砕けるだけの顎と溶かしきれるだけの胃液を持ち、なによりその巨大さは20mクルーザー船とほぼ同等。
 ゆえに対処方法の第一段階は――。
「うわー! 船喰ってるー! あとデカッ! 遠近感死ぬくらいデカッ!」
 船から身を乗り出す夕子。
 眼前では廃棄寸前の中古船がシャークシップに激しく囓りとられていた。
 全て胃に収めるまでおよそ十秒といったところだろうか。
「ゆくぞぃ――ぽちは隠れとるんじゃぞ!」
 潮は屈強な腕を漲らせ、小型船ポチ二号の尾びれスクリューを起動。
 中古船を喰らうシャークシップめがけて突撃を開始――するとみせかけて、豪快に面舵をきった。
 激しい海上ドリフトをかけながらカーブをかけたポチ二号。その側面デッキにうつぶせの姿勢スタンバイしていた樹里が目を光らせた。
 傍らには真魔砲杖。三脚とボルトによってデッキに固定された魔道対物ライフルの発射レバーに指をかけ――。
「もっきゅもっきゅ!(まずは脇腹に一発、打ち込ませて頂きます)」
「まだフカヒレ食っとったのか樹里ィ!」
 砲撃。
 夏場になるとより強い威力をもつと評判の水着ピン受理への祈りが虹の螺旋を描き、シャークシップの脇腹へと激突した。
 反動によって僅かに傾くポチ二号。
 衝撃によって大きく流されるシャークシップ。
 食事を邪魔されたシャークシップはうろのような目を動かし、ポチ二号へと殺意を向けた。
「いかん、くるぞ!」
 舵を握りながら手刀を構える潮――の前に、十夜の小型船がドリフトをかけながら割り込んだ。
 船とサメの間をきるように通り抜け、そこから激しくターン。
 小型船の側面装甲がシャークシップへ迫る。
 鬼瓦めいた強固なスパイク装甲はその実十夜の武器でもあった。
「こちとらか弱いおっさんなもんでね。肉弾戦はサボらせてもらうぜ」
 キセルを加えたままハンドルを豪快に回し、ギアチェンジをかける十夜。
 船はシャークシップの脇腹へとスパイク装甲を叩き付け――ただけでは止まらなかった。
 デッキのポールに足と片腕をからませ身体を固定していたメリルナートは、遠心力に耐えながら小さく呪歌を口ずさんでいた。
 狙いをつけるために突きだした手に、冷気の塊が渦巻いていく。
 塊はたった一点だけを破裂させたように超低温の空気を発射した。
 衝突のタイミングで打ち込んだメリルナートの冷気はシャークシップへ直撃し、脇腹についた傷口を氷の板のごとく冷凍してしまった。
「今ですわー」
「サメを超える美少女力、見せてあげる! ――JK変身!」
 デッキを走る夕子。
 着ていた制服の胸元を掴むと、早き替えによって特殊結界を展開。ぴっちりとしたダイバースーツめいた衣服にかえると、デッキの端を蹴って跳躍した。
 振りかざす拳が炎を纏い、青い光の残像をひいてシャークシップの凍った脇腹へと叩き込まれた。
 先程も説明したが船を主食とするシャークシップは非常に頑丈でタフ。船舶装甲のごとき鱗を一発で打ち抜くことは難しいが、段階を重ねることでそれは可能となる。
 連続攻撃によって開く隙。そして【氷漬】効果によって生まれる隙。そこへ満を持して打ち込まれた【火炎】の効果が、シャークシップへと浸食した。
「けど死にはしないのね!? タフすぎっ!」
 シャークシップから飛び退き、再び十夜の船の瓦屋根へと着地する夕子。
 痛みに吠えたシャークシップは怒り狂ったかのように十夜の船へと豪快な体当たりを仕掛けてきた。
 普通の船なら転覆していてもおかしくない衝撃だが――。
「十夜!」
「おいおい、海に落ちるのは勘弁してくれや」
 十夜はのらりくらりとした奇妙な運転術で転覆を回避。
 超人的なバランス感覚で船を保つと、スクリューを加速してシャークシップから離れた。
 いや、ただ離れただけではない。
 シャークシップの視界を覆っていた船体をどかすことで、今まさに突撃していきているベンジャミンシップの射線を開いたのだ。
「一斉砲撃ですぞー! ヒャッハー! 鮫湿布だかなんだか知りませんが、体の半分を猛毒に侵されるのはどんな気分ですかなー!?」
 ベンジャミンが合体した船体から大砲を展開すると猛毒弾頭を発射。
 シャークシップを緑色の爆発が覆った。
 連続攻撃による隙については先程説明した通りだが、シャークシップに対して得られる効果は【猛毒】効果のほうがずっと高い。
 というのも、対象のHPが高ければ高いほど【猛毒】はそのスリップダメージ量を増すからだ。
「畳みかけるよ! ついてきな!」
 ベンジャミンシップの船首部にあえて立ち、姫喬は刀を引き抜いた。
 刀身をわざと船の手すりに打ち当て、ぎゃりぎゃりと勢いよくこすりつける。あがった火花をまるで吸い込むかのように、刀身が燐光を放ち始めた。
 耀化鮫牙造御神楽宝刀『八尋火』。燕黒家へ伝わる刀の特殊構造である。
「あんまカタギに迷惑かけんじゃあないよ、デカブツ!」
 空をはらった斬撃。しかし燐光はそのまま円形の刃と化し、シャークシップへと命中し鱗をがりがりと削り始める。
「ひー、こんな怪物相手によく漁にでてられるよみんな」
 アクセルは翼を派手に上下させ空気を乱すと何も無い空中にいくつかのゲートを生成。ゲート越しに岩石を召喚し、大砲の弾のごとくシャークシップへと発射していった。
 激突し、派手なダメージにもがくシャークシップ。
 そんなシャークシップの狙いはここへきてやっと、ベンジャミンシップへと向いたのだった。

 ベンジャミンが最大の脅威であると認識したのか、それとも見た目のインパクトがつよかったのか、はたまた偶然か。とにかくシャークシップはベンジャミンシップへと豪快にかじりついた。
「ぬう、一大事ですぞ! 全員離脱の準備は――!」
「いつでも!」
「時間稼ぎは任せて!」
 ベンジャミンは船とのドッキングを解除。ジェット噴射をかけながら大空へ自らを垂直発射した。
 がりがりと破壊されていくベンジャミンシップでは、仲間が逃げやすいようにアクセルがロックバスターを連射して注意を引いていた。
 一方の姫喬は船から海中へと飛び降り、下半身をサメ状態へ変化。尾びれのキックによって素早く潜水するとシャークシップの下をとった。
「よくも俺のベンジャミンシップを破壊してくれましたな。万死に値しますぞ!」
 ベンジャミンは飛行形態をとったままオーダープログラムを実行。
 どこからともなくジェット推進によって飛んできた巨大なビーム砲をベンジャミンロボで掴むと、手招きする潮の船のデッキへと着地した。
「わしの船から砲撃するんじゃ!」
「サンキューですぞ!」
「もきゅもきゅ――んごっく(さあベンジャミンさんも潮さんもご一緒に。合体攻撃と参りましょう)」
 口の中のものをカートゥーンめいた飲み込み方で処理すると、樹里は真魔砲杖をスタンドから取り外して抱え持った。
 ターンし、次なる攻撃をしかけて突撃してくるシャークシップ。
 潮はポチ二号を巨大なサメのオーラで包むと、突撃に対抗した治癒空間を生成。大きく開いたサメオーラの口から、ベンジャミンと樹里の合体ビームが発射された。
 直撃をうけるシャークシップ。
「さあて、もう一息だよ!」
 豪快なキックによって海中を垂直に上昇した姫喬が、海面を割って空中へと飛び上がった。
 その際にシャークシップの脇腹の傷を再び切り開いていく。
 空中で身をひねるように振り返る姫喬。
 目に映る十夜の小型船。
 にやりとギザ歯を見せて笑うと、姫喬は身体を丸めた。
 なぜなら――。
「やれやれ……シャークシップの旦那、そろそろ終いにしてくれや」
 体力勝負はキツいんでね。そう言って十夜はギアを最大にし、スクリューを最大速度で回した。
 猛烈なスピードでまっすぐ突っ込む小型船。
 脇腹の開いた傷に、十夜の船の船首部分が突き刺さった。
 叫びをあげるシャークシップ。
 振り払うように暴れ、十夜の船を突き飛ばす。
「ひゃん!?」
 攻撃に巻き込まれた夕子のスーツだけがダメージを肩代わりして破けていく。
「ヤバいヤバい服ヤバい!」
 胸元を押さえる夕子が助けを求めるように振り返ると、メリルナートが仕方ありませんわねーという顔で呪歌を大きく口ずさんだ。
 調和の光が夕子を包み、破れていたスーツが元通りに修復される。
「便利ですわねー」
「意外とよそには不評だけどね?」
 夕子はぎゃりぎゃりと音を立てる回転のこぎりを手に取ると、漆黒の光を刃に纏わせた。
「とにかく、トドメの一撃ごちそうさま!」
 船から跳躍――と同時に振り返って口を開くシャークシップ。
 サメの口内を間近で見る恐怖に、夕子の顔からサッと血の気が引いたが。
「みゃーーーーーーーー!!」
 悲鳴をあげながら回転のこぎりを突き出し、シャークシップの中を無理矢理掘り進んだ後、夕子はぷかあと浮き輪を掴んで海上に浮かんできた。
「ひぐぅ……さめ……こわぁい……」
 杖(?)を掴んで祈る姿勢をとる樹里。
「どうやら新たなトラウマが生まれたようですね(もっきゅもっきゅ)」
「まだ食べとる……」
「なあに、苦手は喰って克服するもんさ」
 十夜の船の瓦屋根に着地していた姫喬が、刀を納めてイヒヒと笑った。
「さあ皆、戻ってサメパーティーだよ! サメの奥歯亭でもっかいピザを食べようじゃないか!」
「賛成ですわー。あのお店、美味しかったですものねー」
 頬に手を当ててうっとりするメリルナート。
 潮の船に引き上げられた夕子とアクセル、そして合体を解除したベンジャミンもなるほどという顔でこくこく頷いていた。
「決まりじゃな」
「ま、こんだけ働けば飲んだくれてもバチはたらねぇか」
 帰投のサインを出し合う潮と十夜。
 船はゆっくりとターンし、再び港町へとはしっていく。
 これは海の日常。
 ネオフロンティア海洋王国の季節を彩る一ページ。
 危険と共に生きる者たちの、物語である。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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