PandoraPartyProject

シナリオ詳細

猫好きの猫好きによる猫好きのための依頼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「…………」
 依頼があるとのことでブラウベルクに訪れたイレギュラーズは、町の中にある酒場の一つに案内されていた。
 案内してきた『蒼の貴族令嬢』テレーゼ・フォン・ブラウベルク(p3n000028)はなんかもう、びっくりするぐらい真面目な顔で座ってイレギュラーズを見渡していた。
 彼女の隣には、20代後半から30代前半と思しき女性が座っている。
 外見からわかることは左の薬指に光る指輪――既婚者であることぐらいか。
「皆さんは、猫を好きですか」
 めちゃくちゃ真剣な声で、少女は言う。
 表情と全然あってなかった。
「私は大好きです。実はブラウベルク家の管轄内に有名な猫屋敷があるんです。
 実はその猫屋敷から、ブラウベルク家へ陳情がありまして……」
 真剣な顔と真剣な口調で言う少女は、少しだけ目を閉じた。
「こちらはその、陳情をあげてきていただけました依頼人の、猫之尾さんです」
 そう言って、テレーゼが隣の女性を紹介すると、女性――猫之尾さんがぺこりと頭を下げた。
「夫を探してほしいのです」
「夫を?」
 すわ事件かと思わず身を乗り出した者、猫屋敷なら猫を探すのかと思ったと落胆する者、その他。
「それで、旦那さんの特徴は?」
「三毛猫です」
「は?」
「あぁ、失礼いたしました。三毛猫の因子を持つ獣種です。
 私がいつも丁寧にブラッシングをかけ、シャワーもばっちりなのです。
 そんな夫がこの3日、帰ってきていないのです。
 快適な日々を過ごしてくれる。ただそれだけでよかったのに」
「つまり、浮気調査……とか?」
 君達の一人が問いかければ、夫人はふるふると首を振った。
「夫はその、気まぐれでして……ただ、私が一緒にいない状況で外にはあまり出ないのです。
 なのに外に出てしまいました。それで、3日も」
 なんかもう、家から飛び出した家猫を探してきてほしいみたいなニュアンスだった。
「このままでは夫が、夫が何かまかり間違えて路上に落ちてるもの食べてしまったり、泥だらけになったりしてしまうかも! 不安でたまらないのです!」
 違った。まんまそれだった。
「どうか、夫を見つけてきてください。
 もしも夫を見つけてくださったら、その時は我が屋敷に招待いたします!」
「――と、そういうことなのです。どうか、猫之尾の旦那さんを見つけてきてくださいませんか?」
 きらんとテレーゼの目が輝く。
 この女、どうやらイレギュラーズと一緒に猫之尾さんの家に行く気らしい。

GMコメント

さて、こんばんはイレギュラーズの皆様。

タイトルが全てを物語る系のやつです。

猫(の姿に変化した獣種を)探して、猫屋敷で癒される平和な依頼です。

・オーダー
猫之尾さんを見つけ出す。
猫之尾邸で猫と戯れる。

・猫之尾さん
三毛猫の雄の因子を持つ獣種の男性です。
ふわっふわもふもふの毛並みをしてたっぷりとしたお腹が気持ちいいです。

探す依頼、とは言いますがぶっちゃけ皆様が動物会話やらファミリアーなどを駆使すればすぐに見つかります。メインはどちらかというと猫屋敷で猫と戯れることです。

・同行NPC
テレーゼが皆さまと同行します。
皆様がいれば護衛として充分として町に繰り出しました。
絡んでいただければ適度に登場します。

  • 猫好きの猫好きによる猫好きのための依頼完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年06月24日 22時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
楔断ちし者
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
クリストファー・J・バートランド(p3p006801)
荒野の珍味体験者
シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)
花に願いを
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを

サポートNPC一覧(1人)

テレーゼ・フォン・ブラウベルク(p3n000028)
蒼の貴族令嬢

リプレイ


(猫がかって? そんなの大好きに決まってるよ!!)
 テレーゼが問いかけてきたことに心の内で『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は返答する。
 ローレットに持ち込まれるにゃんこさん依頼はほぼほぼ参加してると自負するシャルレィスは、今日も今日とて、可愛らしいにゃんこと触れ合うためにやる気に満ちていた。
「テレーゼちゃんも猫好き仲間だったんだ、今日は一緒に猫さんをたくさんかわいがろうね!」
 相談が始まってからテレーゼ・フォン・ブラウベルク(p3n000028)の方に近づく機会があった『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727) が言うと、テレーゼの方も頷いて、ご褒美に胸を躍らせるような微笑みをみせた。
「怖い目に遭って、狭い場所で怯えているかもしれませんし、
 怪我や空腹で動けなくなっているのかもしれません。
 早く見つけて差し上げたいですね」
 腕の中で大人しくしている白い猫を優しくなでながら、『ほのあかり』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)はそう言うと、依頼人である猫之尾夫人に更なる情報はないかと問いかけた。
(猫様は、見たことはあるのですが、触るのは初めて、です。依頼も、初めてで。…どちらも、とても、ドキドキします、ね)
 少し緊張した様子を見せるネーヴェ(p3p007199)は、クラリーチェの言葉を聞いて少しだけ悩んだ様子を見せる夫人に、自分からも問いかけてみた。
「奥様が、とても大切になさっている旦那様の、絵姿などはありませんか?
 旦那様を探すために、お借りしたいのです。大事にして、お返しします」
「そうですね。絵姿としては……」
 少し考える様子を見せた猫之尾夫人は、少ししてから一枚の絵を持ち出した。
 描かれているのは、数匹の猫――その中で一番大きな猫を指さした。
 なるほど、たしかに三毛猫のようだ。
 ただ、なんというかその、こう。デカイ。普通の猫よりも――いや、なんなら人間種よりも若干大きめだ。
 猫というより、熊と言われた方がしっくりくるサイズ感。
 たくさんの猫に囲われ、気持ちよさそうに仰向けに寝転びすやすやする姿は、とても愛くるしい。そのうえ、猫達のベッドのようになってさえいる。
「これが……捜索対象か?」
 一番デカイ猫を示して 『蒼焔のVirtuose』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)が聞いてみると、猫之尾夫人はこくりと頷いた。
( ちょっとたのっまれごとを解決すれば、このにゃんこ達をもふもふできるのか……)
 ヨタカの横でそんなことを考えているのは 『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)だ。
 もふもふを愛でて余生を過ごしたかったというゲオルグにとっては、いわば当初の願いを少しばかり体験することが出来るいい機会といえよう。
「いいよな、猫。小さくてふわふわしていてとても可愛らしいぜ」
 そういう『俺の冒険はこれからだ』クリストファー・J・バートランド(p3p006801)はかなり張り切っていた。今までで一番張り切れる仕事かもしれない、なんて内心で思うぐらいには。
(思いっ切り猫を可愛がれるのなんて久し振りだなぁ……!
 お家に居た頃は、たまーに近くに来る野良猫で遊んだりしてたけど、
 混沌に来てからはあんまりそういう機会なかったし)
 少しばかり故郷に思いを馳せながら、たくさん撫でたりもふもふしたいとはりきるのは『正なる騎士を目指して』シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)だ。
 各々、癒しへの期待を胸に、猫之尾夫人から情報を聞き出したイレギュラーズは、いよいよ猫之尾さんを探すべく町へと繰り出すのだった。


 一座の看板猫ジェロームと連れるヨタカは動物疎通で子猫の様子を確かめながら、のんびりと町を歩いて探索しつつあった。
 蛇の道は蛇ならぬ、猫の道は猫、というわけだ。少しばかり散策していると、やがて一匹の野良猫に出会う。
 日当たりのいいところでくるりとなったその猫が、欠伸を一つ。
 それにジェロームが声をかけるのを見ながら、ヨタカもその様子を見る。
 不思議そうに首をかしげる猫を見れば、動物疎通をするまでもなく、かんばしくないことは分かるが――にゃんと一つ、声を上げた猫が、すくっと立ち上がり、こちらをチラ見しつつ歩き出す。
 ついてこい、ということだろうか。

「パンジー。お仕事ですよ。貴女の力を貸してくださいね」
 クラリーチェは抱えていた白い猫をそっと降ろすと、にゃあと一つ。
 依頼人から聞いた情報によれば、猫之尾氏はまずサイズが大きいらしい。
 獣種ということを考えれば、おかしくはないサイズ感だ。
 尻尾の色合いは基本的に茶色のみ、先端にちょろっと白と黒があるとか。
 近くにいた住人に、その特徴も兼ねて聞いてみると、基本的に芳しくない。
 基本的に『そういえば、ここ2、3日はあのご夫婦がお散歩してるとこを見てないわね』だとか『どーりで奥さんが色々と聞いてらっしゃったわけね』だとか。
 そんな感じの返答ばかりだ。
 パンジーを連れて歩いていることもあって、クラリーチェの事は猫之尾夫人と同じような猫好きとすぐ分かるらしい。人々の口は意外と軽い。
 ふと、視線をパンジーに移すと、陽射しから顔を隠すようにしてくるまるにゃんこに声をかけている。
 柔らかそうな毛並みと首輪を見れば、飼い猫であろうことは分かるが――どう見ても普通の猫だ。

「もう3日も帰ってこないらしい。何か知っていたら教えてくれないか?」
 クリストファーは猫之尾夫人から伝えられていた情報を犬を連れた女性に問うてみた。
 残念ながら、女性からは何も情報はなかったが、動物疎通でちらりと犬の方を見ると、犬がくるりと振り向いて、何やら頭をくいくいと女性が歩いてきた方へ向ける。
 あっちで見た、と言ってるように見えなくもない。
「そうですか、ありがとうございました」
 とりあえず、女性にそう告げると、そのまま歩き出した。

 ゲオルグは空を飛んでいた。
 なんともまぁ、風が心地いいが、それはともかく。
 町を俯瞰してみることができるのは、今回参加している中で自分だけだ。
 何より、2mほどのサイズでかつふわっふわもふもふの毛並みとくれば、こうして俯瞰すればすぐわかる、という心算である。
 どこぞの家の屋根の下や建物の間の死角といった上からでは見通しづらい場所を除けば、たしかにこの手段は効率がいい。
 ふと下を見れば、先程わかれたイレギュラーズの姿が見える。
 どうやら、猫に先導されてどこかへと行っているようだ。
 確かな足取りの猫の様子をふと考えて、ゲオルグは空からそれに続く。
 猫は行く先々で出会った猫の前で立ち止まる。
 こうして空から見れば、その猫が動いて他の猫を呼ぶ様子が見えてくる。

 シャルレィス、シャルティエ、ネーヴェの3人は何やかんやで一緒に行動していた。
 最初、シャルレィスは人助けセンサーを使っていたが、今はとりあえず止めている。
 残念ながら、いくつか見つかった助けを求める人の声は、荷物が多くて困っているおばあちゃんや、ナンパされている人やらだった。
 とりあえずそれはそれで助けたりしてはいたし、助けた人についでに聞いてみたりもしていた。
「この辺りとか日当たり良さそうだけど……いないかぁ」
 路地裏をちらりと見てみるが、普通の猫が1匹いるだけだった。
 シャルティエは少しだけ肩を落とす。
「『猫じゃらし』の近くにも、いるかもしれません。
 ……あ。猫じゃらしとは、どのようなものなのでしょう?」
「えっとねこういうやつだよ!」
 見たことのないらしいネーヴェにシャルレィスは愛用の猫じゃらしを取り出して見せる。
「なるほど、……これはどこにでもはなさそうですね」
 見たことのない物に穏やかながらも少しだけ不思議そうにしている。
 そんな時だった。後ろから聞こえてきた猫の声に振り向けば、そこにはヨタカが立っていた。彼の少し前には先導するようにしてぺたんと座る猫がいる。
 そんな時、足元をとことこと路地裏にいた猫が抜けていった。
『にゃにゃん』
 何やら話し合いが行われ、路地裏にいた一匹がすぐにどこかへと消えていく。
 不思議そうにしながらも、3人は猫についていくことにした。 

 さて、ところ変わって焔は少しばかり他のイレギュラーズとは離れた所にいた。
 精霊疎通を幾度か試みようとして見た所、徐々に他のメンバーとは離れた場所に移動することになっていたのだ。
 情報としては幾つかあったが、どれも決定打には欠けている。
「あれ? そういえば、この辺……」
 ふと町の地図と照らし合わせてみれば、この近辺は猫之尾さんのご近所で聞いて回った猫のたまり場だという場所だ。
「この板の向こう側……かな?」
 簡易な壁のようにして聳える木の板をよく見れば、幾つか穴が開いていて――そこからちらりと奥を覗いてみる。
 残念ながら、今日はまだ周回は開かれていないらしい。
 しょんぼりとして顔を上げ――ようとしたところで、微かに猫の声を聴いた。
 それも一匹ではない。何となく穴を再び覗き見ると、複数の猫が、ぞろぞろとそこに集まってくるではないか。
 もしかして! なんて思っていると――一旦別れたイレギュラーズ達も徐々に集まってきているのが見えた。
 周囲を見て、自分では通り抜けられそうにないと知ると、迂回しようと走り出す。
 気づけばすぐに仲間達の後に辿り着いていた。
「あの……こちらのような姿の猫様を、お見かけしませんでしたか?」
 ちょうど、ネーヴェが絵を一堂に会すにゃんこたちに絵を見せるところだった。
 その絵を見たにゃんこたちが、次々ににゃんにゃこにゃんにゃこと鳴きだした。
その後、一匹が頷いて、イレギュラーズを先導するように頭を動かし歩き出す。

 さて、そのまま歩き出してからややあって、イレギュラーズは町を出ていた。
 にゃんこに送れぬようついていくと、やがて町の外れにある森へと入って行く。
 さらに進めば――いた。
 開けた場所にある花畑、その中心で、くるりと丸まった2mサイズの三毛猫。
 『あれか?』といわんばかりの視線を向ける猫に、一人が頷くと、にゃっ、と一つ声を上げ――その猫が2mサイズの猫に突進し、ぴょんと跳んで背中にダイブする。
「にゃおっ!?」
 おっかなびっくり飛び起きた2mサイズの猫が、そのまま視線を巡らせて君達に気づく。


 ――さて。少しばかり流れを速めよう。
 あのあと、猫集会に参加した猫たちには、クリストファーが持ってきたペットフードがお礼としてばんばん配られ、眠そうな猫之尾さんを引き連れたイレギュラーズは猫之尾邸へ戻ってきていた。
 約束通り、猫之尾邸での癒しタイムである。夫人の許可を受けて、イレギュラーズは邸宅の客間に通されていた。
 ちなみに、猫之尾氏は連れてきた途端に猫之尾夫人に猛スピードでお風呂へ連れ込まれていった。3日も外で暮らしていたのだ。まぁ、色々とアレがアレであろう。
 猫之尾夫人の目は汚れた猫を洗うブリーダーのソレだった。あの様子では当分の間はお風呂の中だ。

 クリストファーはじっと部屋の隅っこにいた。
 そうやって少しすると、やがて興味を持った様子の猫達が近づいてきて、ぐいぐいと前足で押してきたり、そのまま膝の上に乗っかってきたりする。
 そっと手を伸ばしてみると、にゃんこの方から頭を寄せて撫でさせてくれた。
 そのまま動物疎通を試みれば、何となくの意思を感じ取れる。
 猫達と会話を続けながら、クリストファーはそっと視線をシャルレィス達の方へ向けるのだった。
「ねこさんがいっぱいだ!」
 入ってきた時からテンション高めだった焔は、持ってきたおもちゃを取り出している。
「みんなかわいいなぁ、にゃーにゃーにゃー、こっちにおいでー、一緒にあそぼ」
 ふりふりとおもちゃを振れば、数匹のにゃんこが飛びかかるようにして連れてくれた。
 その姿に微笑みながら、そういえば、コレの名前なんだっけ?なんて考えている。
「にゃんこさん達、こんにちは!
 今日は仲良く遊ぼうね♪」
 猫の喜ぶなでなでに自信があるというシャルレィスは、人懐っこそうに近づいてきたにゃんこをそっとくすぐるように優しいタッチでなでなでと。
「そだ、愛用の猫じゃらしはネーヴェさんに貸してあげる。
 大丈夫、一緒に遊べばきっと仲良くなれるから」
 そう言ってシャルレィスが取り出した愛用の猫じゃらしを、ネーヴェがそっと受け取る。
「は、はい……お借りします」
 少し緊張した様子も見せつつ、猫じゃらしを振ってみる。
 猫を見つめすぎないよう、出来る限り猫じゃらしの先に視線を向けこそするが、フリフリする部分に飛びかかり、視界に入ってくる猫の姿に思わず頬が緩む。
(兎は、動くものがあったら、逃げてしまうマスけれど、猫様は違うのですね)
 そんなことを思いながら、もう少し遊んでみる。
「あ、良かったらテレーゼさんも使う?」
 もう一本持ってきていた方をテレーゼに差し出すと、彼女も嬉しそうに礼を言って遊び始めた。
(これも猫じゃらしなのかな?)
 ネーヴェとテレーゼの様子を見つつ、焔はにゃんこと遊び続けていく。華麗なテクニックに翻弄されるにゃんこが、ペタンと後ろ脚と臀部を付けて立ち上がり、必死に前足で捕まえようとしている。
 シャルティエは寝ころぶにゃんこのお腹をそっと触ってみる。
 ふわりとした心地よいお腹の毛が、掌に伝わってくる。
 のんびり触れ合っていたシャルティエは、やがてネーヴェの視線を受けて彼女を手招きする。
 恐る恐るではあるものの、人懐っこいにゃんこに触れるネーヴェに、シャルティエは柔らかく笑う。
「ふふ、満足するまで触れ合える様にお手伝いしますから! おまかせくださいっ」
 猫をびっくりさせないように小声で言うと、ネーヴェが頷いて。
「わたくしの耳とは、また違った感触、ですね。……ふふ、こちらもふわふわで、気もち良いです」
 ナデナデしていると、やがてつられるように一匹の猫がふらふらと近づいてきて、ちょんちょんと前足をネーヴェの膝の上に乗っけ、そのまま彼女を見上げる。
 シャルティエはその様子を眺めながら、自分の上に乗っかってきたにゃんこがお腹を見せてゴロゴロ言っているのを撫でていた。

「これが……至福の時間……」
 恍惚とした表情を浮かべるヨタカは、許可を貰って寝ころんでいた。
 人慣れしたにゃんこたちがそんな彼の周りをひょこひょこと近寄って、そこかしこでごろごろしている。
 お腹の上で寝ころぶにゃんこは、ヨタカのお腹でアーチのように横に伸びている。
 そんなヨタカの横には、ジェロームとにゃんこがじゃれあいの取っ組み合いを繰り広げている。
 ジェロームが嫌そうではないのは動物疎通をするまでもなく感じ取れた。

 クラリーチェは部屋の手近なところに座っている。
 最初、クラリーチェの膝の上に陣取っていたパンジーは同じような白猫から誘われるようにして遊びだしている。
 楽しげに揺れる尻尾は愛らしい。その様子を微笑まし気に見ていると、不意にざらりとした感覚が膝に来て、見れば一匹のにゃんこが興味深そうに数度舐めた後、クラリーチェを見上げていた。
 ゲオルグは魔法陣を描いてふわふわした羊を呼び出すと、一緒ににゃんこをモフモフし始めていた。
 人慣れしたにゃんこたちは知らない人間であるはずのゲオルグにも怖がることなく近寄ってきている。
 そのまま、ジークと共にふわふわを命一杯楽しむ。
 飴玉にちっちゃなあんよのついたような、ファンシーな羊が珍しいのか、にゃんこたちの興味も津々といった感じだ。

 ちなみに、猫之尾氏がお風呂から上がって申し訳なさそうに謝罪をしてきた後、焔を筆頭にその自慢の? たっぷりとした身体をモフモフさせてもらった話は、いうまでもないだろう。
 すやすやしている猫之尾氏は、なんというか、人をダメにする感じだった。
 絶対に気持ちいい。そう思いつつ、夫人に許可を貰って沈み込むと、思わずそのまま寝てしまいそうになったほどだ。

 日が暮れ始めた頃、イレギュラーズは猫の癒しにほれぼれしながら、邸宅を後にするのだった。



成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

にゃんこ……にゃんこは……良いもの……

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