PandoraPartyProject

シナリオ詳細

もえろ、もえろ、もえろ、もえろ、もえろ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●燃え落ちた村
 むかしむかしあるところに、小さな村がありました。
 村は金が沢山とれるせいでとても豊かでした。
 子供も大人も、尊重もご婦人方も毎日贅沢をして、パーティばかり開いていました。
 そんな村にある日、旅の老婆がやってきて言いました。
 私に一晩の宿と食べ物をくださいませんか。
 村の人々は老婆をあざ笑いました。
 汚らしい老婆にやるものなんて一つも無いぞ。そう言って老婆を追い返したのです。
 すると、嗚呼、なんということでしょうか。
 老婆はみるみる若き美女へと姿を変えました。老婆の正体は、恐ろしい魔女だったのです。
 村の人々は恐怖におびえ許しを請いました。
 しかし魔女は彼らを許すこと無く、永遠の呪いをかけたのです。
 彼らは魔法の炎で肉体を焼き尽くされ、呪い業火で魂を焼かれ、飢えと熱にうなされ続けることになったのです。
 いつまでも、いつまでも。
 いまも。

●永久火刑
 ギルド・ローレットの掲示板を前に、『黒猫の』ショウ(p3n000005)があなたに語りかけた。
「依頼書を見たかい? モンスターを退治して欲しいって依頼なんだけど……
 ん? おとぎ話で聞いたことがあるって? きっと吟遊詩人が広めたんだろう。
 それに、たいして昔の話じゃない。愚かな村人たちと呪いの物語さ。
 呪いはモンスターという形で残っているしね。
 そうだよ、あの『クジャ村跡地』だ」

 クジャ村跡地。
 この土地にあるのは三つだけと言われている。
 腐った家畜の死体、どれも半壊して盗賊に荒らされきった高級住居郡、そして村をさまよい続ける狂った魂たちだ。
「昔話にある例の村人。そのなれの果てさ。永久になくならない飢えと熱で完全に狂ってしまった魂が、モンスターとなって近づく者を無条件に襲うんだ。
 燃える頭蓋骨だけになって齧り付くんだそうだ。ご飯か何かに見えるのかな」
 個体ごとの戦闘能力はさほど高くはないが、なにぶん数が多い。
 メンバーを2~4つほどにチーム分けして駆除にあたるのが効率的だろう。
「中には罪の薄さからかろうじて意識を保った魂もあるかもしれないけど、うまく意思疎通ができなければ他のモンスターと変わりないさ。油断せず、倒してあげてね。
 そうすることが彼らの解放になるってハナシだからさ」
 ショウはそこまで語ると、カフェの食事チケットをひらりとやって差し出した。
「興味がわいたら、他のメンバーと合流するといいよ。いい依頼になるといいね」

GMコメント

 いらっしゃいませ、プレイヤーの皆様。
 呪われた村でゴースト退治はいかがですか?
 PCさんの戦闘能力、時には霊魂関係のスキルが役に立つかも。
 興味がわきましたらお席へどうぞ。このお店はパンが美味しいんです。

【相談会場】
 折角このメンバーに巡り会ったのですし、街角感覚でロールプレイを添えて相談をお楽しみくださいませ。
 こちらの相談会場はカフェ・アナスン。
 焼きたてのパンとコーヒーのお店です。
 色々なサンドイッチやパン。コーヒーが苦手なお客様には果実のジュースがお勧めですよ。
 ではお席を選んで、ご注文をどうぞ。

【依頼内容】
 『クジャ村のモンスターを全て退治すること』が依頼内容です。
 依頼主は土地を納める貴族のようです。
 内容が全ての退治である以上、村を隅々まで探索する必要がございます。
 おおまかで古い地図は支給されますので、それをもとに探索チームを配分してみて下さいませ。

【ロケーション】
●クジャ村
 東西南北の四ブロックに分かれた村です。
 半壊した家々が並んでいます。どれも壁や扉が壊され金目の物が奪われているはずです。
 家々はどれも大きく、お金持ちだった過去が窺えます。
 屋内外含め隅々まで歩いて探索する必要ががあるでしょう。

【エネミー】
●永久火刑
 呪いにとらわれた者のなれはて。
 30~90センチ、大小様々な燃える頭蓋骨が宙に浮き、村をさまよっています。
 個体戦闘力は大きさ相当。使う攻撃方法は一緒です。
・かじりつく(物近単):頭蓋骨でかじりつきます。
・逆恨み(神遠単【呪い】):逆恨みの言葉を吐きつけます
・怨嗟(神遠単【毒】):ひどくなじる言葉を吐きつけます

【意志ある魂】
 罪の少ない魂がもとの姿を保ち、村のどこかに隠れていることがあります。
 これはモンスターではないのですぐには襲ってはきませんが、
 放置しているとやがてモンスター化して襲ってくるようになってしまいます。
 もし霊魂との疎通能力を持っているなら語りかけることができるでしょう。
 許しの言葉を与えたり、罪を償ったとわかるような語りかけをしてやれば、モンスター化せずに消えていくと言われています。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • もえろ、もえろ、もえろ、もえろ、もえろ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年02月20日 21時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アイリス・ジギタリス・アストランティア(p3p000892)
幻想乙女は因果交流幻燈を夢見る
叶羽・塁(p3p001263)
此花咲哉
ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)
我が為に
アレーティア(p3p004118)
真理を求める者
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
シラス(p3p004421)
超える者
無限乃 愛(p3p004443)
魔法少女インフィニティハートC
ブローディア(p3p004657)
静寂望む蒼の牙

リプレイ

●空をまう灰の音を聞いたことは
 マフラーの先端がそよかぜに揺れている。
 『pick-pocket』シラス(p3p004421)はマフラーの首元をつまんで、口元を隠すように引いた。
 長いこと放置されてホコリを被った古物のように、灰を被った静かな廃村が眼下に広がっている。
「ふぁ……早起きし過ぎた」
「こうしてみると随分と明るいね」
 方位磁石を手に同じ村を見下ろす『メルティビター』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)。
 彼らが立っているのは、村を見下ろせる山の一角だ。ここから下りていけば、村へと入っていくことが出来る。まずはチームを二つに分けて村の中央に拠点を作り、ゆっくりと探索をする。できれば日が暮れるまでには探索を終えたい……といった具合だ。
 『静寂望む蒼の牙』ブローディア(p3p004657)が彼らの横に並ぶ。
 色白で桃色の神をした幼げな少女だ。
 息を吸えば灰のにおいがするかのようで、ブローディアは目を細めた。
 胸元から声が漏れる。
「モンスター化にも対処出来れば良かったが……いや、無い物ねだりはよそう。今はただ出来ることをするまで」
 ん、と同意の意図を示しつつ横に並ぶ『魔法少女インフィニティハート』無限乃 愛(p3p004443)。
 胸に手を当て、おきまりの変身バンクを終えると、白とピンクとフリルでできた世にもキュートな魔法少女コスチュームを装着した。
「『愛なき世に愛を伝える光の使者!魔法少女インフィニティハート、ここに見参!』」
 四人の中央に立って、堂に入った登場ポーズをキメるだけキメる……。
「さて、行きましょうか」
 真顔に戻ってすたすたと歩き出した。
 特に反応を示さないシラスとブローディア。
 その間に挟まれ取り残されたルチアーノは、真顔のまま空を仰いだ。
「どうしよう、この空気」

 世界に風が吹いているのは、空気をいつでも変えられるようにだ……と誰かが言った。
 山を下り、村へとさしかかった所で『幻想乙女は因果交流幻燈を夢見る』アイリス・ジギタリス・アストランティア(p3p000892)は一旦足を止める。
「どう思うか、ですか?」
「私はこの状態、『力ある者を侮った罰』だと考えているんですが」
 小首を傾げてみせる『此花咲哉』叶羽・塁(p3p001263)。
 アイリスは瞬きを二度して返した。
「強欲とは罪ではあるのでしょう。ですが、死して尚苦しんだ事で報いは十二分に受けた筈。せめて召される瞬間だけは穏やかに逝かせたいものです」
「なるほど……」
 意見を更に求めるように振り返ると、『真理を求める者』アレーティア(p3p004118)がぼさぼさにはねた癖毛を指でまくように回した。
「たしかに、自業自得とはいえ、哀れよな」
 けど気になるのはそれだけではないのじゃろ?
 そんな目をして見やると、塁は小さく肩をすくめてみせた。
 代弁するように咳払いする『カオスシーカー』ラルフ・ザン・ネセサリー(p3p004095)。
「皆、この村のおとぎ話は聞いたはずだ。だが実態は……真実は知らない」
 実際に立ち入ることで、その真実を見つけることができるのだろうか。
 もしくはおとぎ話に隠された秘密や、誰かがついた嘘を、知ることができようか。
「そもそも何がしたかったのでしょうね、魔女とやらは」

●灰が渦をまいて飛ぶ様をみたことは
「うーん…………」
 シラスが満足いかない顔で周囲に視線を巡らせている。
 ごとん、と何かが倒れる音がした。素早く振り向き、戦闘の構えを撮るシラス。
 見れば、崩れた小屋の煉瓦を払うようにして30センチ大の頭蓋骨が宙に浮かび上がっている。
 歯をがちがちと打ち鳴らし、全体から炎をあげていた。
 噂に聞く『永久火刑』だ。
 来る。そう直感した彼らは即座に応戦を開始。
 永久火刑が逆恨みの呪いを浴びせてくるのに対して、シラスはすぐさまキュアイービルでの対抗を開始。
 塁とルチアーノが同時に左右へ回るように走り出し、陣形を整え始める。
 この場合突っ込むのはラルフの役目だ。
 懐から拳銃を抜いて撃ちながらまっすぐに突っ込む。
 弾が永久火刑をかすり、体勢を整えようとするその隙をつくかのようにラルフは義手の左腕に逆再生の魔力を流した。
 殴りつけることで永久火刑の表面に大きくヒビがはしる。
 チャンスだ。塁は一旦足を止め、怨念のエネルギーを全身から生み出した。
 エネルギーが蛇のようにまとまり、うねり、泳ぐように飛んでいく。
 怨念は絡みつき、永久火刑をばきばきとへし折っていく。
 やがて砕け散り、炎が消えて骨のみとなった永久火刑。
 が、安堵するのはまだ早い。
 彼らの背後の土を払い、二体の永久火刑が飛び出してきたのだ。
 素早く反応したのはルチアーノだ。塁やシラスへ襲いかからんとする永久火刑に殴りかかると、至近距離で銃を乱射した。
 衝撃によって打ち払われる永久火刑。
 ルチアーノは大きく距離を取りながらべつの永久火刑へ向け銃を連射。
 徐々に砕けていく永久火刑。
 それが塁のそばに達する頃、塁は先程飛ばしたようなエネルギーを近距離で発射。まるで水風船を壊すかのように永久火刑を破壊した。
 ラルフたちはそれを確認すると素早く陣形を再構築。
 シラスたちを守るように位置取り、ルチアーノとラルフで永久火刑に集中砲火を浴びせた。
 身を覆っていた火が消え、ぼろぼろと崩れ落ちる永久火刑。
 ラルフとルチアーノはそれぞれ回転弾倉を開放。銃口を上向けて空薬莢をばらばらと滑り落とした。
 そして足下に目をやれば……。
「うん?」
 日記帳のようなものだ。鉱山夫が記したもののようで、他愛の無い日常が記されていた。鉱山で働く少年が恋をした旨が羨ましそうに書かれているくらいの、普通の日記だ。

 一方、ブローディアは何らかの建物跡にあれやこれや集めて即席の塹壕を組み立てていた。
 元々障害物の多い場所で、尚且つ敵が積極的にこちらを探索して集まってくる場面ではなかったことから、防衛陣地の構築はそう難しくはなかった。
「しかし、逆にこちらから外に出て行かないと倒し尽くすのは難しくなるな」
「危なくなったらここに戻ってくればよい」
 有利な地形が近くに存在するのは心強いぞ、とアレーティアは武器をとった。
「では行きましょうか」
 ぴっと腕を振るうと、愛の手元にハートを象った大きな鎌が現われた。
 愛を知らず死んだ者たちに愛の洗礼を。
 脳天に一撃を見舞いハート型の風穴を開ければ、彼らも愛の力の前に頭を垂れるしかないでしょう。
 ……と、祈りのように呟いて。

 アレーティアたちと共に探索に出たアイリスは、道ばたに自生している雑草に問いかけてはとらわれし魂たちの行方を追っていた。
 とても断片的ではあったが、何度もあちこちで尋ねているうちに永久火刑の集まる場所があるらしいことが分かってきたのだ。
「恐らく、ここではないかと……」
 アイリスは杖を手に、半壊した建物の前に立った。
 看板には朽ちかけた文字で集会場を意味することがらが書かれている。
 外観からはかつて優雅に暮らしていたなごりが見て取れるが、金になりそうなものは片っ端から盗賊に持ち去られたと見える。
 潰えた栄光。
 盛者必衰。
 哀れなるものたちの過去が、そこにはあった。
 朽ちかけた扉を、ブローディアは強烈に蹴り壊した。
 屋内に駆け込むと、机に突っ伏したようになった白骨死体から頭蓋骨だけが外れ、炎を上げてガチガチと歯を打ち鳴らし始める。
 あるものは大きく膨れ、あるものは群れて飛びかかろうとした。
 前に飛び出し防御を固めるブローディア。
 次々に食らいつく小ぶりな永久火刑たち。アイリスは死骸盾を展開して防御を固めると、SPOによる攻撃を開始した。
 呪いや恨みといった何かを言葉に変えて飛ばす永久火刑と競り合うように攻撃を交わしてく。
 死骸盾が破壊されると同時に、アレーティアが色とりどりの試験管の中から一本をベルトから引き抜いた。
「わらわ特性のポーションじゃ。とくと味わうがいい!」
 試験管の中身がはじけ、永久火刑のボディを溶かすように崩壊させていく。
 やれ! アレーティアの呼びかけに応えるように、愛が長くて頑丈そうなテーブルに飛び乗った。
 醜い恨み言をぶつけてくる永久火刑に、愛は口の端を上げてみせる。
「心地良いBGMですよ。愛のアドレナリンの前では」
 ぶん、と風を切り裂く音と共に鎌を振り回し、ハート型の魔術を放つ。
 永久火刑は自分勝手な妄言をはきながら、がらがらと崩れ去っていった。
 ブローディアやアイリスたちが他の永久火刑を打ち払ったのも、同時期である。
 ふるふると首を振るアレーティア。
 永久火刑の投げかけた恨み言はどれも支離滅裂なものだったが、不思議と頭に残る嫌なものだった。まるで呪いのように毒のように体力が削られている。
「陣地に戻って休憩するか。疲れたなら……ほれ」
 『飲むと疲労がポンと取れる薬じゃ』と言って、ベルトから色とりどりの試験管の一本を抜き取った。
 先程敵を崩壊させた瓶のすぐ隣にあったものだが、愛は構わずそれを受け取り、一気に飲み干す。
 口元をぬぐってから、観察する仲間たちに視線を返す。
「何か」
「いえ……なんともありませんか?」
「全身一切の歪み無く、愛に満ち満ちていますが?」
「ふ、ふむ……」
 アレーティアが『これは天然モノじゃあ』と感心したように呟いた。

●語る灰、歌う灰
「あっちに何かいるよ」
 岩肌の露出した小道の先。天井の無くなった粗末な小屋のそば。
 シラスは小屋のほうを指さして言った。
 近づいてみると、人の形をした炎のようなものがゆらゆらとしているのが見える。
 暖炉の前、うずくまるようにしてだ。
 今にも襲いかかって来そうな、あやうい魂だ。
 それを救うすべを、彼らは持っていない。
「苦しかったろうね。十分罪を償ったんだもの。僕が許すよ」
 ルチアーノは礼儀正しく声をかけると、銃をとった。
「悪い、な」
 同じく銃をとるラルフ。
 彼らの戦闘姿勢が整うのを待ったわけではないのだろうが、人型の炎は爆発するように肥大化し、90センチ大の永久火刑へと変化した。
『呪われろ! 呪われろ! すべて、おまえのせいだ!』
 嵐の風圧のごとく吹き付ける恨み言。
 塁は手を翳し、目を細めて口を結んだ。
 苦しむ魂を赦すには、荷が重い。そう目で語っているかのようだ。
 ぶわりと靡く黒髪。袖。髪を結ぶひも。
 しかし姿勢はぶれることなく、呪いそのものを薙ぐかのように腕を払った。
 乱流が生まれ、穿つように死霊弓を発射する塁。
 シラスは後退しながらキュアイービルで仲間の回復につとめつつ永久火刑を見やった。なにか考えていることがあるようだが、口に出すことはない。仲間の回復に集中するだけだ。
 建物の側面へと周り、敵との間に壁を挟むルチアーノたち。
 永久火刑はそんな壁を体当たりで破壊し、野外へと飛び出してくる。
 吹き飛ぶがれきに腕を翳して目を守ると、ルチアーノは牽制するように銃撃を浴びせながら別の建物の中に飛び込んでいく。
 壁に背をつけ、空薬莢を排出。腰からスピードローダーを引っこ抜くと、素早く弾を込める。
 ふと見るとラルフも同じように弾を込め、親指で弾くように弾倉を回した。
 同時に飛び出し、銃撃を仕掛ける。
 シラスたちは永久火刑の猛攻に対抗してぶつかり合い、壊しあい、最初に崩れ去ったのは、永久火刑の方だった。
 それまで霊魂のあった場所に歩み寄り、暖炉のそばに置かれた日記帳を手に取るラルフ。
 ある女のなんということのない日常が記されている。友人が村を出て行ったことと、暫くして帰ってきたことが書かれていた。

 村が薄闇に包まれ始めるころ、ブローディアたちはたいまつを翳して続けていた。
「そろそろじゃな」
 と、アレーティアが呟いた途端に近くの壁が破壊され、無数の永久火刑が飛び出してきた。
 語って聞かせて成仏はさせてやれないが、その代わりに身を焼く炎を魂ごと消し去ることはできる。
 アレーティアは無数の試験管を引っこ抜くと、それらを両手であふれんばかりに握りしめた。
「さあこい、話くらいは聞いてやるぞ」
 その横を駆け抜け、自ら相手に飛びかかっていくブローディア。
 食らいつく永久火刑をトンファーで防ぐと、えぐり込むようにパンチを繰り出す。
「ブローディアの一撃を甘く見て貰っては困る」
 ぐわんと歪んだ永久火刑に、ブローディアはナイフをざっくりと差し込んだ。
 砕けて散っていく永久火刑。
 その中を駆け抜け、愛は鋭く鎌の一撃を繰り出していく。
 刃の光が飛び、ハート型のエネルギーカッターとなって回転しながら永久火刑へ飛び、突き刺さり、回転のこぎりよろしくがりがりと切り裂いていく。
 アイリスは乱戦の中をくぐり抜けてきた敵にマジックフラワーで応戦すると、素早く後退してSPOを幾度も投げつける。
 必死に食らいつこうとした永久火刑だが、徐々に形が崩れていき、最後にはアレーティアたちの攻撃に晒されてぼろぼろと崩れて消えた。
「この地にも愛が満ちました」
 ハートマークがあちこちに刻み込まれた部屋に背を向け、愛は鎌を地につけた。

●おとぎ話はおとぎ話のまま
 こうして、八人のイレギュラーズは村にすくう永久火刑のことごとくを倒し、夜には村をあとにした。
 八人のうち、誰かがこんなことを言う。
 あのおとぎ話はなんだったのか。
 誰かが、こんな風に返した。
 分からないけれど、一つだけ言えることがある。
 仮に村の誰もが焼き尽くされたのだとしたら。
 そのおとぎ話を語ることができる人物は、ひとりしかいない。

 安全が確保された村は再開発が行なわれ、鉱山もまた開かれるという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 karma stake――to good end.

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