PandoraPartyProject

シナリオ詳細

七彩イモムシと奇妙なお茶会

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「やあ、特異運命座標(アリス)。御機嫌は如何かな?
 良ければ歌でも聞いていかないかい。ああいや、これは『時間殺し』と誹られてしまうかもしれないね! はは、とりあえず、その席は君の為に開けて置いたんだ。
 何故? おかしなことを言うね。今日は君の誕生パーティーだからじゃないか! え? 誕生日ではない? 毎日が誕生日だというのに、私を笑わせてくれるのかい。はは、はは、愉快になってしまったよ! 白薔薇も愉快そうに頬染めて赤くなってしまい程に!」
 やけに饒舌に。それでいて、とりとめもない調子でDr.マッドハッターは笑う。
 此処は練達。旅人たちの作った都市国家――その首都がセフィロトの三塔主の内の一人。『想像』を司る彼は、その通り名に違わぬ奇天烈っぷりで特異運命座標を迎え入れた。
 彼が愛用しているであろうサロンは練達の都市の『ドーム』の中に更に小さなドームを作成した小さな植物園の中にある。白いテーブルクロスの敷かれたテーブルには菓子類や紅茶が――色味はノーコメントだ――並んでいた。
「んで、呼び出した理由は――なんだろ」
 青色のクッキーを齧りながら『男子高校生』月原・亮(p3n000006)は問い掛けた。
 元の世界に戻りたいかと問われれば亮はいまいち実感がないのだが、練達では『元の世界に戻りたいと願う人々』が集まっている。今日も日夜研究に励み、元の世界の英知を結集させ、悲願を達成せんと願っているのだ。
「理由? 君は愉快な事ばかりを聴くのだね。まだ時間は6時じゃあないか!」
「時計、止まってるだろ……」
「ははは! お茶会をしていると気づけば何時だって6時だからね!
 いや、君達には少し『オツカイ』を頼みたいんだ。特異運命座標(アリス)は何時だってそうしているのは知っているさ」
 Dr.マッドハッターはローレットには好意的だ。それは彼が特異運命座標をアリスと称するからかもしれないが――今回は彼からの依頼のようだ。

「私がお願いしたいのは練達の研究所から逃げ出した生物の捕縛だよ。
 何、簡単な事さ。戻ってきたならばこの茶会に帰っておいで、美味しいケーキを用意してあげようじゃないか!」
 饒舌なマッドハッターに亮は緑色のケーキをつん、と突いた。幾重もの層になったケーキは緑かと思えば次の層は蒼に、その次は赤にとカラフルな具合だ。
「そのカラーリングとそっくりのイモムシが逃げ出したんだそうだ。
 居眠りしていたイモムシが驚き起きたならば見知らぬ練達(くに)だ。彼も眠たい眼を必死に擦りながら逃げ出したという訳だ。何、簡単さ! 君達ならばすぐに終わる事だろう?」
 からからと笑うマッドハッター。亮の頭の中では奇妙な動きをしながら目を擦るイモムシの姿が浮かんでいる。
(……イモムシ、目、擦れんのかな……)
 ――中々に、難しい想像だった。
「それで逃げ出した場所なのだがね」
「うん」
「練達のある研究所の中なのだよ。そして、其処は『女性と判断された』者でなくては入れない」
「えっ、じゃあ、俺無理じゃん?」
「いいや、特異運命座標(アリス)、私はそこでミサオに頼んだのさ。
『どうすればいいかい?』『ああ、あの研究所の識別は阿呆だから、スカートでも履いて女性らしくすればいいだろう』とさ!」
「――つまり?」
「スカートがあるだろう。女性諸君は可愛らしく着飾っておくれ。仕事の後は私の茶会だからね。
 男性諸君? ああ、衣装ならばミサオが用意してくれたさ。適当に拝借するといい」
 亮は、認識した。

 ――わかった、これ、いわゆる『女装』シナリオだ。

GMコメント

 夏です。マッドハッターさんは何時もおかしな依頼をするという事で。

●成功条件
 ・七彩イモムシの捕獲
 ・仕事の後にマッドハッターの茶会に出席する

●練達研究所『ヒューマン・メロウ』
 男子禁制らしい研究所ですが、識別がガバガバだそうです。
 ズボンを履いて男装した操が男扱いされて『この識別は阿呆だ』と怒っていたことが研究員たちの記憶には新しいようです。
 研究所に入るには
 ・女性と認識させる(女装など)
 ・内部より識別システムを切ってから入室する
 の何れかになります。
 ちなみにマッドハッターも識別システムを切れば入室できますが「茶会の準備に忙しい」そうです。

●識別システムで『女性』判別になる為に
 化粧品、衣装、何でもかんでもマッドハッター(とお手伝いの操)が準備しました。
 衣装や化粧品の持ち込みはOKです。ちなみに亮君は指示に従いますが何もなければマッドハッターに着飾られて悲しみます。
(似合ってるか似合ってないか、女装するかしないか、可愛い服装とかも書いて頂ければ参考にします。服装はイラスト指定でもOKです)

●七彩イモムシ
 その名の通り凄く奇妙な色をした居眠りがちのイモムシです。
 研究所を壊すことはしないでしょうが捕まりそうになると抵抗します。
 何故なら彼だって突然こんなところにいるなんて――! やだ~~!!!!
 凄い勢いなので注意してください。難易度がnormalなのはイモムシさんの抵抗が凄いからです。

●同行NPC
 ・月原亮
 七彩イモムシ捕獲にいきます。女装します。哀しい。
 前衛タイプ。支援は少しばかりならば。指示に従います。

 ・マッドハッター
 茶会の準備をして待ってますよ特異運命座標(アリス)。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりませんが、破天荒なのは仕方ないのです。

よろしくおねがいします。

  • 七彩イモムシと奇妙なお茶会完了
  • GM名夏あかね
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月24日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)
楔断ちし者
エマ(p3p000257)
こそどろ
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
ロク(p3p005176)
クソ犬
ユー・アレクシオ(p3p006118)
不倒の盾

サポートNPC一覧(2人)

月原・亮(p3n000006)
壱閃
マッドハッター(p3n000088)
Dr.

リプレイ


 その日、練達某研究所前――犬は喜び庭駆けまわり、スカートを翻す男たち数人を見ながらふんわりとツインテールを揺らした女王は「赤の女王も驚きね?」と首を傾いだのだった。
「騙された!」
 開口一番、『蒼焔のVirtuose』ヨタカ・アストラルノヴァ(p3p000155)の悲痛鳴る声音に『心のパンドラ値には何も被害を受けない』彼女――『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)は笑みを浮かべて「帽子屋さんの言う事は何時だって可笑しなものなのよ」と冗談めかした。
 今日はDr.マッドハッターのお茶会だと特異運命座標達は練達へと呼び出されていた。風変りな口調で楽し気にからからと笑う旅人の紳士――彼から1つのオーダーと共に『お願い』があると言われて来たのだが……「女装……女装かぁ」と『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)は不安げに呟いた。
「俺みたいな鳥人で女装って似合うのか……?」
 そう思いながら自身の隣に立つ同じく鳥人をチラ見。いや、可愛い系なら似合うのだろうか……? ううん、しかし――どうか。
「とりあえずマッドハッターにお願いしたいかな。出来れば動きやすいのがいいんだけどな。民族衣装風とかそんな感じの……」
 リボンや色使いで女性らしくなればと狙うカイト。スカートはNGだそうだが――
「女装! うんうん! 女装が必要だよね! 勿論スカートも必須! 女の人がいるけど、気にしないで誰かが(亮くんでいいよ!)女装して中の判別システムオフにしないといけないし! 女装が必要だと思う! ね!」
 尻尾をぶんぶん。亮くん頑張ってねと笑う『クソ犬』ロク(p3p005176)の隣で、マッドハッターにより先に着飾られていた『男子高校生』月原・亮(p3n000006)がさめざめと泣いている。
「……カワイイ?」
「ひひひ、えひひひひ。正直女装した亮さん達をからかいに来た感は否めません。
 けど、カワイイってヤケで聞かれるとなると、そこはかとなく面白いですね。えひひひ」
 ふんわりとした水色のエプロンドレス。真っ赤なリボンを髪に飾って正しく『アリス』になった亮に『一夜限りの怪盗団』エマ(p3p000257)がくすくすと笑う。
 マッドハッターに任せれば何でもアリスだ。時々トランプ兵かもしれないが、とりあえず特異運命座標はアリスなのだからそうなるのはレジーナも何となく想像はついていた。
 黒を基調とした豪奢なドレスを身に纏ったレジーナにマッドハッターは「是非その姿で茶会にもね、アリス」と楽し気に声かける。
「ええ、けれど戦闘では汚れてしまうから乙女には少しの時間をお願いするわ」
「一回目のお色直し終わりました!」
 半分やけくそなヨタカ。その後ろからひょこりと顔を出した『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)。
「んんん……芋虫を捕まえるだけなら良いのにまさか女装をしなければいけないとは……。
 マッドハッターのお茶会に釣られてしまった感が否めな……いや、おれっ……私は芋虫を捕まえますわよ……? 決してお茶会の為ではありません……!」
「お茶会楽しみだねー。練達ってあんまり来た事ないけどこういうのも文化なのかな?」
 きょろきょろとするアクセル。郵便屋の格好にインサイドプリーツスカートのシンプルなコーディネート。くちばしに紅を乗せて、小さなハットをマッドハッターに飾り付けて貰えば彼のコーデは終了だ。
 ヨタカはと言えば、慣れた様子で女装をしていたのだった。タイトなグレーのスカートに黒のストッキング。喉仏は目立たぬように詰襟とフリル多めのジャボネクタイ。
「もう此処まででぐったりよ……」
「ふむ」
 ヘアアレンジや化粧は女性陣に任せたいという言葉に『沈黙の御櫛』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は首を傾げた。
「マリアは女、だ。スカートも、普段から着用、している。研究所に入るのは問題ない、な。
 ……だが、マリアが、化粧を『してあげる』、のは中々に難しい」
「私がしてもいいよ!」
 楽し気なロクの声にエクスマリアが「肉球で、持てるのか」と首を傾げる。
 その様子を眺める『不倒の盾』ユー・アレクシオ(p3p006118)の表情もどこか曖昧だ。
「捕まえるのはイモムシ、だったか。芋虫捜索、とは。
 練達とはいえ、変わった依頼もあるもの、だな。……逃げ出してしまうほど、怖いものでも見たのでなければ、良いが」
 エクスマリアの言葉にレジーナはくすくすと笑う。
「マッドハッター、加えてアリスとくればイモムシはあれかしら? 水タバコを嗜むあのイモムシかしら?」
 何はともあれ――女装は完了です。さあ、皆様、記念撮影はOK?


「ところでイモムシさん、外に逃げ出しちゃうとまずいよ、どれくらいまずいかって……
 わたし……ロバ飼っててさあ、ある日それが逃げちゃったんだよね、そしたら……」
「やめて!」
 ロクの語りださんとした言葉に何か――VR世界のアレコレ――を思い出したように亮が叫んだ。
「えひひ、どうしたんですか?」
「ロリババア恐怖症なの! お願い、やめて!」
 エマの言葉に悲痛なる亮の叫びが響く。傍らにはちゃんとメカ子ロリババア。エマはひとまず、と普段はズボンを着用していたがスカートを着用していた。

 閑話休題。
 レジーナの様に素敵なドレス姿であったり、エマの様な愛らしいワンピースと比べればシンプルないでたちのエマは話半分に女装陣営を揶揄っていて『佐伯操』の話に行き当たる。
 普段はタイトスカートな操だが、性別識別システムのチェックの為にズボンを着用し『男』と判別されたそうだ。これは非常にまずい、このままではパンツルックのエマも男に扱われる。
「ぱんつ!?」
 ロクちゃん、ここでいうパンツはズボンだから大丈夫だよ。
「うぅーん。もうちょっと女とわかる服装を見繕ってみますか……。えひひ、マッドハッターさん。こういうの苦手なので亮さんのついでに私も見繕ってくれません?」
「アリスでいいかい?」
「あ、もうちょっとシンプルなのでいいですか?」
 何でもアリスにしちゃうDr.マッドハッター。その隣では泣く子も黙る聡明で狡猾なコヨーテなロクちゃんがいつも通りのありのままの姿を見せつけていた。
「わたしもスカートを履く。ぱんつも履くわ。
 連れのメカ子ロリババアたちにも口紅べったべたにつけてスカートを履かせ、蹄にきらっきらのネイルを塗布するのよ! コッテコテね!」
 ――という訳であった。

「入ったら判別装置をオフしないと」
 無事スカートを揺らして研究所に潜入したアクセル。普通ならばこの段階でOFFにするのだが、彼は『皆が入る』まではシステムを切る気はないようだった。
 スカートは嫌だと抵抗し続けたカイトだが、システムは『女性がズボン姿でもNG』なのだからスカートを履くのは仕方ないの。既定路線なの。だって、アクセルくんがOFFにしないって――レジーナさんの魔眼? ああ、それは仲間には使わないもん、ネッ。
「さぁて、例の芋虫です」
 きょろりと見回すエマ。七彩イモムシというそのポエムな名前と『芋虫』という想像のつきやすい生物を思えばヨタカはぐったりとしていた。
「柔らかそうな芋虫に傷が付いたら……んん……考えたくないな。まずは穏便に、戦闘はせず捕獲する事を考えよう」
 柔らかそうな芋虫さんに傷がついたら!?
「とりあえず鷹の眼を使って隅々まで見ていこう。近づいたら起こしちまうだろうしな」
 猛禽類!? カイトが探すだけで餌探しをしているように見えるのは――此処では伏せておこう。
「芋虫の捜索は……とりあえず足で、だな。
 芋虫が逃げ出した理由が分からない以上、地道でなくては」
 きょろりと見回すエクスマリアの隣ではコテコテな美女(?)メカ子ロリババア達が緩やかに歩き回っている。
「仲間がおびきよせてくれるのなら、それを待つわ! もしくは眠ったところを、なんてね」
「なあ、ロク」
「どうしたの! 亮くん!」
「いや……あの、その……メカ子ロリババアかわいいね……」
「ありがとう!」
 ――イモムシもビビっちゃうよ、何てこと、亮には言えませんでした。
「芋虫さんが逃げた理由なのだけど『旅人として召喚されて知らない場所だから家に帰りたい』と逃げたそうなの。
 一先ずは酩酊してしまいそうな甘いお酒と、彼の好きそうな水煙草を用意してみたわ」
 ギフトで芋虫――ほら、仲間がいると安心するかもでしょ?と優しくレジーナは言っていた――の姿を見せながら進むレジーナ。
 穏やかな彼女の思惑の通り「もしかして」と顔を出した芋虫は怯えた様にまたも顔を隠す。
 感情の協奏曲を弾き鳴らしヨタカは芋虫を誘った。不思議の国をさまよう様な、そんなリズムを聞きながら芋虫がこそこそとその身を揺らす。
「恐れないで……出ておいで……」
 ハイセンスを利用して進んだエマは一筋縄ではいかぬ相手だという事をその身で感じた。
 警戒する芋虫が一気にその凶刃を振るう。
「ッ――」
 ユーが慌てた様にその身を翻すが芋虫の反撃が大きくも突き刺さる。
 対抗するようにダガーを握ったエマの脳裏には芋虫の体から何等かが飛び散りそうな気配を感じその手が僅かに震えた。
「……どうやら……」
「えひひ、一筋縄ではいきませんねえ」
 首を傾げ困ったような笑みを浮かべてレジーナが「御機嫌よう」と微笑む。
「ねぇイモムシさんは何で逃げ出したの? 大人しく戻るという選択肢はないかしら?
 何か要求があるなら聴くだけ聞くけれど、どちらにしても戻らないと我(わたし)たちも困るし抵抗するよりは実りがあるかもよ?」
『――かえりみちがないんだよお』
 震える様にそういう芋虫にレジーナは困った様に肩を竦める。
『納得できないよう!』
「力づくで、戦えば、納得できるか?」
『ぼくよりつよいならね』
 エクスマリアの言葉に芋虫がその身を揺らし、びょいんと弾けるように飛び上がる。
「あら、良い度胸ね?」
「さっさと終わらせるぜ!」
 カイトが一気に飛び付いた。アクセルから見れば猛禽類の食事のようにも見えるが――スカートでうまく戦えぬエマが控えめな蹴撃を放つ。
「つんつん。むしタイプには効果が抜群って亮が言ってたけどどーいうことだろうな?」
「え、そりゃタイプ表だろ」
 わかる?と首傾げた亮にエクスマリアがふるふると首を振る。レジーナは「我にも分からないけれど」とぱちりと瞬いた。
「威嚇術も考えねばならない、が……芋虫では、流石に潰れる恐れもある、だろうか」
 弱らせたならば捕獲の手に自身の権能を使えるかと考えるエクスマリアにロクが尻尾をぶんぶん。
「芋虫さん、我儘はだめよ!」
 お尻をべちり。叩くロクに続いてエマがぐぐうと息を飲む。
「からかいに来た罰が当たりましたかね。ひひっ……えぇーいもう気にしない! 依頼第一! 必要とあらば哀れなイモムシを蹴りまくるししがみついてやりますとも!」
 飛び込んだエマ。芋虫が死なぬようにと気を配り回復を与えながらも説得を続けるアクセルはヨタカがその身を縛り上げた事に好機を見出した。
「今じゃないかな!?」
「ああ!」
 カイトが頷く。啄む様子を見れば食事に見える――虫タイプ、ひこうタイプにくわれてるね、と囁く亮にヨタカは曖昧な表情を返したのだった。


 はやくはやく! お茶会が始まっちゃうわ!
 尻尾をたしたし揺らしてロクが亮をぐいぐいとひっぱった。笑うエマも気付けば普段通りの格好に身支度を整えて茶会への足を進めている。
「スカート整えて! メカ子ロリババアたちの口紅塗り直して!
 ああもう6時! いやまだ6時? とにかくはやく行きましょう!」
「えひひひ、そうですね。遅刻は厳禁ですから」
 楽し気なメカ子ロリババアと共に茶会の席へ向かえば楽し気なマッドハッターが手招いた。
「初めまして。レジーナ・カームバンクルよ。以後お見知りおきを」
 ドレスの裾をつい、と持ち上げて笑みを浮かべて見せるレジーナにマッドハッターは「こちらこそ」と微笑みを返した。
「愛らしいアリスとお茶ができて光栄さ」
「あら、お上手ね」
 ふかふかとしたクッションに腰かけたレジーナは透明な天蓋の下でマッドハッターが勧める茶器を手に取りこてりと首を傾げる。
「毎日お茶会を開いてたら、コップを洗う暇もなさそうだけれども。練達のマッドハッターさんもそうなのかしら?」
「ああ、それはミサオに怒られてしまうからね」
 きちんと洗っているさ、とマッドハッターはどこかに視線を向ける。フィールドワーカーとして練達で働くファンという青年がマッドハッターの世話を焼いているのだろう。端に控えていた彼からは何処か困ったような雰囲気で笑みが投げかけられる。
 ふと、その様子を眺めながらマッドハッターはトリッキーではあるが国家の元首相当の地位か――若しくはそれに近しい存在――なのだろう。
 敬意を向けるべき相手なのかと考えれば、彼はそういった類は望まず、普段通りの特異運命座標との交流を楽しむタチなのだろうが。
「茶菓子は、ありがたく頂こう。芋虫にも、いいか」
 エクスマリアの言葉に「勿論さ、アリス」とマッドハッターはにこりと笑う。
「アリス、ではない。マリア、だ」
「ふむ」
 ティーカップを手にしたアクセルは「わあ」と瞳をきらりと輝かせる。
「あ、マッドハッターの紅茶ってこんなにおいしくなるんだ。
 闇市で手に入れたのを自分で淹れてもほどほどくらいになるんだよねー」
 紅茶を楽しむアクセルの隣でヨタカは幸福に浸っていた。マッドハッターとの茶会を楽しみにしていたという彼は心を躍らせる。
 折角の茶会だとカラフルなケーキを楽しみながらもヴァイオリンを弾き鳴らすヨタカにマッドハッターは「これは素敵なバースディパーティーじゃないか」とへらりと笑った。
「終わらぬ……茶会を……。キラキラ光る……コウモリの音色を……」
 響いた音色を聞きながら、ふと、カイトは顔を上げる。
「嫌な予感がするのでマッドハッターに聞いてみる。絵とか……写真とか……作ってないよな? な?」
 カイトの言葉にマッドハッターは柔らかな笑みを浮かべ――目を伏せただけだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ユー・アレクシオ(p3p006118)[重傷]
不倒の盾

あとがき

 カワイイヨ!
 お疲れさまでした、イレギュラーズ! お茶会楽しかったね、心のパンドラ削って頑張っていただき嬉しかったです。
 皆さんホント可愛い……。女性陣がドレス着るのも素敵だと思います。

 また、お茶会いて!

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