PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ローレット探偵事務所

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●運命の探偵チーム
「夫が帰ってこないのです」
 そう語る女は、幻想港町で働く一般的な婦人であった。

 彼女の語る夫『ジェファーソン氏』は幻想の漁師だった。
 無口で真面目で、正義感が強く、しかし身の丈以上のことをしようとはしない。
 朝に船を出し、一日に必要なだけの魚をとり、市場へおろし、網をつくろい、翌日また船を出す。その繰り返しを黙々と続ける男だった。
 だがそんな夫婦の生活は、妻が子供を身ごもったことで変化した。
 新しい生命。その未来に降りかかるあらゆる理不尽から我が子を守るべく、夫ジェファーソン氏は仕事により精を出した。
 漁の仕事に加え、観光案内の仕事を始めた。訪れた人々を船に乗せ、幻想の町や島を案内する仕事だ。
 そんなある日。
 夫は態度の悪い釣り人を客にもった。
 雨の日であるにも関わらず、釣りのために船を出せと要求したのだ。
 金は前払いされていたし、断わることで今後の客入りに響くかも知れない。そう考えた夫は妻を残し、雨降る海に船を出した。
 それきり。
 夫も船も、帰ってくることは無かった。

「夫に何かあったのは間違いありません。行方を突き止めてはくださいませんか。
 そして出来ることなら、無事に家に帰ってきてほしいのです」
 それが、婦人からよせられた、ローレットへの依頼内容であった。

●情報収集
「調べられる限りのことは調べてきたよ」
 二日後の朝。『黒猫の』ショウ(p3n000005)は酒場に現われジェファーソン氏に関わる集めるべき情報の一端をまとめ、依頼を受けたイレギュラーズたちへと提供した。
 情報は、このようなものだった。

・ジェファーソン氏が観光案内の仕事を受ける際、『マンダリン観光』という業者を仲介していた。仲介当時の情報を聞けるかも知れない。
・ジェファーソン氏が船を出したのは幻想から南側の島付近。そこで暮らす老人『タンゴール』が当日釣りのために船を出していた。
 だが頑固で人嫌いらしく、話を聞くには工夫がいる。
・漁師仲間が当時ジェファーソンの客だった人間を最近見かけたと話した。
 だが金にガメつく簡単には詳細を教えてくれそうにない。
・小型船の中古買い取り業者にジェファーソン氏のものと思しき船を発見した。
 しかし個人情報を漏らせないという理由で業者は情報開示を拒んだ。

「ここからは、イレギュラーズの仕事だよ。事件を突き止めてきてね」

GMコメント

 このシナリオは【情報収集パート】と【戦闘パート】の二つに分かれます。
 情報収集パートではジェファーソン氏の生死が、戦闘パートでは依頼成功条件の達成が分岐します。

【情報収集パート】
 ショウの集めた情報をたよりに、四つの情報源から情報を引き出しましょう。
 1箇所につき2人を割り当て、手分けしてコトにあたるのをお勧めします。
 感覚としてはこの作業に一日かけることになります。

 情報を引き出すプレイングによって『情報ポイント』が1~3ポイント入り
 4箇所合計で8ポイント以上獲得することが出来れば、ジェファーソン氏の生存フラグが獲得できます。
 感覚としては、よりよい情報を獲得しPCたちが正しい推理を導き出すことができるようになり、真相究明が早まるといった具合です。

※ここで行なうのは段階を追った情報収集です。(クイズではありません)
 真相について正解をプレイングに書いたり、正解を引き出す必要はありません。
 それはそれとして事件の真相を自分なりに予想したり相談掲示板で話し合ったりするとお楽しみ要素が増えるでしょう。

【戦闘パート】
 メタ情報になりますが、真相究明段階に至ると戦闘が発生します。
 自分の得意な、そしてメンバーと連携しやすい戦闘方法を書いておきましょう。

 内容は対人戦。
 規模は6人程度。
 それなりの戦闘力を持ってはいるので、PCはパンドラ減少リスクを負う可能性があります。

※事前に敵対存在の戦力その他を探るプレイングは無効とします。
 かけたプレイングは変更できず、また無限の分岐対応をするキャパシティがないためです。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ローレット探偵事務所完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年03月26日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

武器商人(p3p001107)
闇之雲
楔 アカツキ(p3p001209)
踏み出す一歩
十六女 綾女(p3p003203)
毎夜の蝶
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ロク(p3p005176)
クソ犬
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)
ロクデナシ車椅子探偵

リプレイ


「わたしからあげ! からあげがいい! ロリババアからあげある!?」
 椅子の上にお行儀良く(?)座った『クソ犬』ロク(p3p005176)のもとへ揚げたての唐揚げが運ばれてくる。
 わあいといってかじりつくロクを横目に、『闇之雲』武器商人(p3p001107)と『ロクデナシ車椅子探偵』シャルロッテ=チェシャ(p3p006490)は静かにグラスを傾けた。
 オレンジ色のライトが照らす酒場。
 暖炉の燃える音と、場を薄く塗りつぶすような人々の話し声。
 例え小さな子供が泣き出したとしてもそれをうるさく感じないほど、場の空気は満たされていた。
 テーブルを囲む四人と四人。
 隣のテーブルでは依頼書にくっついてきた僅かな情報を頼りに、『軋む守り人』楔 アカツキ(p3p001209)が頭をひねっていた。
「なんとも奇妙な依頼だな。生死の判断がつかないほど曖昧な行方不明。それが自発的なものか事件なのかも分からない。目撃者は少ないながら船は売りに出されているのが分かっている……と」
 向かいの席で足を組み替える『毎夜の蝶』十六女 綾女(p3p003203)。
「どうにもちぐはぐな印象なのよね。事件の口封じにしても船狙いの窃盗にしても中途半端だわ。なにかしら、二つ以上の線が絡み合った事件だと考えてもいいかもしれないわね」
「でも、やっぱさ。事件全体から臭いがするよね……」
 『見敵必殺』美咲・マクスウェル(p3p005192)がほおづえをついて、酒場の端で弦楽器を演奏する吟遊詩人を見た。
「『よくある悲劇』……けど、『よくあって欲しくない悲劇』」
 ローレットは何でも屋であり便利屋だ。
 それゆえ、今回のように厄介な案件が持ち込まれることも少なくない。
 言ってみれば、厄介ごとを放り込むための箱である。
 そんな箱が実在したなら、中身はなんともグロテスクなことになっているだろう。
「真っ当なひとが悪意に潰されたり食いものされたりするのは、気分よくないよね」
「…………時間のようです」
 腕時計をちらりと見た『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)が、すっくと立ち上がった。
 椅子にかけていたコートをとって羽織ると、革の財布からコインをいくらか出してテーブルに置く。
「マンダリン観光へ?」
「ええ……ですがその前に、少し顔を出しておきたい相手がおりまして」
 寛治はコートのポケットから何も書いていない真っ黒な名刺を取り出した。いつの間にか入っていたものである。
 名刺に携帯シガーカッターを翳し、目を細めた。青白く文字と数字が浮き上がり、寛治はそれを記憶し、火をつけて灰皿へと投げる。
「では、成功を祈ります」
 寛治が席を立つと、少し遅れてアカツキもポケットに手を入れたまま席を立った。
 入れ替わるように席に着く『放課後のヴェルフェゴール』岩倉・鈴音(p3p006119)。
 ラサで有名な酒を一瓶まるごと買ってきたようだ。
「準備完了! どんな些細なヒントにも食らいつく名探偵ぶり見せるヨ!」
「みせよー! みてわたしのエンジェルいわし! かわいいでしょ!」
「ミジャー!」
 鈴音とロクは頷き合い、それぞれ席をたち、店を出て行く。
 気づけば綾女は誰かを見つけて酒場の奥へ、シャルロッテたちはカウンター席へと向かっていく。
 既に捜査は始まっているのだ。
 美咲は依頼書を畳んで懐にしまい込むと、虹色の目でまばたきをした。
「さてと、私も動こうかな」
 席を、立つ。

●漁師仲間は知っている
「やァ、調子はどうだぃ漁師の旦那方。景気付けに一杯どーぉ?奢るよ?」
 突然話しかけてきた武器商人に、漁師の男は驚いた様子を見せた。が、手早く同じ酒を二つ注文する武器商人の手際と、ちょうど自分の呑んでいた酒が空になったことで男は状況を一旦受け入れる姿勢をとった。
「なんだァ? あとで返せつっても返さねえぞ」
「そんな風に見えたかい。ヒヒヒ」
 ストン、とシャルロッテが横に座った。座ったというよりは椅子をどけて車いすを着けたのだが。
 両サイドを挟まれ、新しい酒のグラスを手に持ったという状態になって、男はバツの悪い顔をした。
「……なんだよ。知りたいことでもあるのか?」
「話が早くて助かるね。ジェファーソン氏が行方不明になったのは、知ってるかな」
 男は何も応えなかった。しかし手に持った酒の水面がびくりと揺れたのを、シャルロッテは見逃さなかった。
「その日の客を見たらしいな?」
「さあ、どうだったかな。よく思い出せねえや」
 濁したように言うが、暗に追加要求をしていることが身振りでわかる。
 武器商人の『入り方』から、それ以上の儲けを期待したのだろう。
 シャルロッテがそっとコインを滑らせ、囁くように言う。
「よく思い出してみてくれ」
「あ、ああ」
 コインを素早くポケットに入れ、男は語り始めた。

 カウンターに突っ伏して眠る男を背に、武器商人とシャルロッテは酒場を出て行く。
「必要な情報は聞き出せたかな?」
「根掘り葉掘り、とは行かないが」
 漁師仲間の男が、あの日ジェファーソン氏の客だった男を見たというのは間違いなさそうだ。
 だがその情報に若干の不自然さがあったのを、シャルロッテたちは見逃さなかった。
 虚偽。特に、ごく一部の行動を隠すために、関連しそうな情報を咄嗟に誤魔化そうとする節が見られた。
「隠されたつながりがあるとすれば……」
「中古船業者、かな」

●中古船業者は隠している
 ダックス。
 それが、小型船を主に扱う海沿いの中古販売業者の主人である。
 野球帽を被り灰色の髭をたくわえた彼の店は、お世辞にも綺麗とは言えない。
 古くなった船を買い取り、修理し時にはバラして組み直し、できるだけ綺麗な状態で売り払う。要するに造船技術を間接的な金に換える商売である。
 そんな店の前に、二人の女が立ち止まった。
「ここでいいの?」
「間違いないわ」
 美咲と綾女の二人であった。
 ダックス中古船点は、店構えからしてあまり儲かっているようには見えなかった。事務所は汚れ、奥のヤードは船に用いるパーツが山のように積まれている。ちゃんと紹介されなければゴミ捨て場だと思ったかもしれない。
「ごきげんよう、ダックスさん」
 事務所のドアを開いてノックしてみせる綾女に、ダックスは驚いたように目を見開いた。
「やあ、昨日の今日で一体……」
「お店を教えてくれたのはダックスさんじゃないの。別にあなたが恋しくなったわけじゃないのよ?」
 わざとらしく言って、綾女は美咲をさししめした。
「なんだ……客の紹介か」
 ダックスはまあいいかという顔をして、美咲たちを事務所へと入れた。

「船を使ったクラブとか奇抜で貴族受けしそうでしょう?」
「とはいえ、元手はそんなに無いからね。一旦中古船から始めようとしたわけなんだけど……いくつか見せて貰ってもいいかな?」
 ダックスは構わないと言って、ヤードのほうへと案内した。
 何隻かの小型船が台の上に固定されている。綾女と美咲は、その片隅に置かれた船をちらりと見た。
「あの船は?」
「あー……あれはまだ売り物じゃあない。傷がついてるからな。パーツを交換して清掃して、その後だ。もっと良い船ならいくらでも――」
「中を見せて貰っても?」
 美咲が興味を示すさまに、綾女が苦笑して見せた。一度見たら満足するから見せてあげて、というサインである。
 ダックスは顔をしかめたが、はしごを持ってきて船へと案内した。
「中で銃をぶっ放した奴がいたらしいんでな。掃除はしたが弾痕が消えん。見ろ、こいつは曰く付きだぞ?」
「なるほど。たしかに貴族受けはしなさそうだ」

 二人は持ち帰って検討するといって事務所を出ると、それぞれ海辺に立った。
 海風が綾女の長い髪をもてあそぶように吹く。
「買い取り相手の情報は話さなかったみたいだけど、それ以外は包み隠さなかったね?」
「そうねえ……もし後ろ暗いところがあるなら、船を見せすらしないはずだけど」
 船がジェファーソン氏のものであることは、いくつかの情報と照らし合わせてハッキリとした。
 当人の性格から船内で銃を撃つようなことはありえないだろう。となればあの船が事件当時に用いられ、その時の傷がついたと見るべきだ。
「手入れの様子から殺人の痕跡ってわけじゃなさそうだ。もっと血が飛び散って大変になるはずだからね。ということは……」
「ジェファーソン氏は生きてる可能性がある、わね」

●マンダリン観光は記録している
「そうか……いや、悪いな。時間を取らせて」
 通行人と話し込んでいたアカツキは、聞いたことをメモにとってから息をついた。
 かつん、と革靴の音がする。聞き覚えのある足音に、アカツキは振り返る。振り返って、ぎょっとした。
「お待たせしました」
 寛治がステッキ傘をついて現われた。後ろではガムを噛みながら露骨に顔をしかめる大柄な男性が立っていたのだ。
 地球で言うところの東洋人の肌と顔立ちをしているが身長は2メートル強あり、サングラスとスキンヘッド、眉は薄く鼻の下にライン状の髭をはやし、黒い革ジャケットとパンツを纏っていた。
 どう見ても普通の人ではないが、寛治はごく普通にしている。
「……そっちは?」
「別に、ただの知り合いっすわー」
 ぼんやりと言う巨漢の男に、アカツキは追求をやめた。地雷の臭いがするからである。
 眼鏡を中指で押す寛治。
「行きましょう。マンダリン観光の事務所はそちらで間違いありませんね?」
「ああ……けど口は硬いぞ」
 アカツキは苦々しい顔をした。
 彼はある程度のアタリをつけ、マンダリン観光の事務所の受付でピンポイントな質問をしかけた。
 そこで分かったのは、マンダリン観光事務所がフォローしているここら一帯は歴史ある建物や美しい風景が多く、運河も多いことから観光客が訪れることも少なくないこと。
 そして、ジェファーソン氏のように船を持っている人間に観光案内をさせて賃金を払うという事業も行なっていること。
 行方不明になった際、案内箇所を説明するために一度顔を合わせていることまでが分かった。
 が、それ以上のことは分からなかった。
「ピンポイントに質問を絞りすぎたかもしれん。まあ、前提の確認作業だと思ってくれ」
「……わかりました」
 寛治は静かに、そしてゆっくりと巨漢の男へ振り返った。
 無言でクチャクチャとガムを噛む男。
「楔さん。充分な功績です。観光事務所が『そこまで』の情報を公開したことで、ジェファーソン氏の無事がほぼ確定しました」
「……どういうことだ?」
「大きい声では言えませんが」
 寛治は後ろに立つ巨漢の男をさし示して、アカツキに耳打ちをした。
「この観光事務所は麻薬取引とマジックアイテムの横流しに利用されています。彼はその仲介役です」
「………………」
「ご安心ください。彼はジェファーソンの件に絡んでいません。彼の担当はアイテムの横流し。つまり、麻薬取引側の誰かがジェファーソン氏を拉致した疑いがあります」
 続けますね、と寛治は手を翳した。
「麻薬密売業者は勢力拡大のためにマジックアイテムの取引ルートを欲した。
 そのためには情報が必要ですが、直接乗り込めば命すらあやうい。
 ですから間接的に関わっていて、かつ自覚の無い者から情報を絞り出すのです。
 ジェファーソン氏は彼……ああ、田梶という男ですが、彼の客に観光案内をさせ、土産物屋に立ち寄らせるという形で密売ルートにしていたようです。その土産物屋の場所を知りたがったと言うところでしょう」
「…………あ、ああ、うん」
 アカツキは眉間を揉んでうつむいた。
「どうしました?」
「クリティカル過ぎる」
「私もそう思います」
 巨漢の男こと田梶は寛治からコインを受け取ると、観光事務所へと入っていった。
「残るは、ジェファーソン氏の監禁場所です。事前調査でも見当が付いていないということは……」
「ああ、タンゴールが鍵を握っている」

●ダンゴールは見ていた
「帰ってくれ」
「えー! そういわずに! ね? おさけ美味しいよ? 呑んだこと無いけど。ね?」
「ルーシェル~! ツナだよー! えらいえらい! ほらおじいさんも投げて投げて! 投げ――ツナおいしい!」
 釣り人のダンゴール。
 人と関わるのを嫌い、いつも船を出しては静かに過ごしているという老人だ。
 それゆえ彼の居場所を誰もが知っているが、誰も近づこうとはしない。
 彼自身が何か悪事を働くわけでもなく、日々静かに過ごしているがために、彼の周囲が空白地帯になっていた。
 逆に言えば、それだけダンゴール氏は人の居ない場所を好んだのである。
 ロクと鈴音ははじめ、この老人に接触して情報を聞き出そうとした。
 貴族にウケるというペット、エンジェルいわしを見せてみたり、高いお酒を見せてみたり、初対面の人間と接触しやすい方法を試してみたが……人嫌いであるダンゴール氏にはかえって逆効果であったようだ。
 そういった社交的な接触を避けたがり、ロクや鈴音を遠ざけようとした。
 が、ここからがロクと鈴音の実力の見せ所だった。
 遠ざかろうとするダンゴール氏にしつこいくらいつきまとい、周りでひたすら馬鹿をやった。それを意図的にやってないところが、彼女たちのすごいところである。
 結果。
 悪そうな人間をどこで見かけたのか。どんなことをしていたのかを断片的ながら聞き出すことに成功した。

 そして。

 八人は、ある運河に存在する倉庫へと、たどり着いたのだった。

●真相
 名も無き倉庫。しかしこのあたりを少ない情報からしらみつぶしに探していれば、いずれは見つかった場所である。
 だがその場合、ジェファーソン氏の生存は見込めないだろう。
 地元マフィアの勢力争いが元であるなら、情報を引き出しきったジェファーソン氏に用は無い。時間が経てば魚の餌になっているだろう。
 だが――。
「動くな。ジェファーソン氏を返して貰う!」
 アカツキは倉庫の扉を蹴破り、拳を構えて飛び込んだ。
「なんだテメェ!」
「どうしてここが……!」
 剣や銃を抜く男たち。
 発射された弾を、ロクは歯でがちりとキャッチした。
 それを撃った本人のもとまで走って届け、肉球の間に挟んで相手の叩き付ける。
「とってきたよ! ほめて!」
「ぐっ!?」
 よろめいた所に素早く詰め寄るアカツキ。
 相手の腹と喉をそれぞれ突くと、回し蹴りによって意識を刈り取った。
「ま、まずい……!」
 慌てて倉庫の裏口から逃げようと走る男。
 その男に向けて、シャルロッテは銃撃を仕掛けた。
「おっと」
「話の続きをしようねえ」
 回り込む武器商人。
 そう、この男こそ、武器商人たちが酒場で話を聞き出していた漁師仲間の男だったのだ。
 金にがめつい彼は麻薬密売に荷担していたが、マンダリン観光を出入りするうちにジェファーソン氏がアイテムの横流しに関与しているリスクの少ない人物だという情報を掴んだ。この情報を麻薬組織に売り、かつ彼らを見たという情報だけをよそに売った。さらには船の解体と破棄を引き受けるふりをして、中古販売業者に売り払っていたのだ。
 彼の金への執着が、セキュリティホールになっていたのである。
「悪いコ」
 首を撫でるように密着する綾女。
 それだけで精気を吸い上げられた男は、白目を剥いて膝から崩れ落ちた。
「チッ、引き上げだ、逃げるぞ!」
「にがすかー!」
 鈴音の放つマジックロープ。
 と同時に発射された美咲の魔弾が、男の足を崩壊させた。
 倒れ仰向けに転がった男の胸に、寛治がステッキ傘を突き立てる。
 柄から飛び出したトリガーに、指をかけた。
「チェックメイトです」

 その後、倉庫の奥で拘束されていたジェファーソン氏を救出。
 麻薬密売組織のことは海洋警備隊預かりとなり、ジェファーソン氏は暫くの事情聴取のあと妻のもとに返されるという。
 イレギュラーズたちには深い感謝が寄せられた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

 とても素晴らしい活躍であったため、密売グループの虚を突き戦闘を有利に進めるボーナスが加わりました。
 そのため本来減るはずのパンドラが減らず、むしろ回復しています。

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