シナリオ詳細
山に棲む者
オープニング
●山の狩人
山間に立ち並ぶ山小屋に出入りする者は皆、狩人だった。
流れの狩人がいつの間にか集まって作った集落には、質素だが幸福な暮らしがある。
今日もある者は山へ狩りに向かい、ある者は街へ毛皮を売りに向かう。弓を作っている者もいれば、走り回って遊ぶ子供の姿もあった。
そんな穏やかな日々を送る集落に、山の方から一人の男が走って来た。
「たっ、大変だぁ!」
矢も弓も捨てて逃げ出してきた、そんな体の男が集落の者全てに向かって叫ぶ。
「山ゴブリンだ! 山ゴブリンが出たぞ!」
――ゴブリン。
その言葉に狩人たちが青ざめる。
醜悪な魔物。大きな脅威ではないが、戦えば勝てたとしても犠牲は出る。元々流れの狩人である集落の人々は、脳裏に集落を捨てての逃走を思い浮かべた。
だが―――
●緊急依頼
「皆さん! 新しい依頼なのです!」
バンッ!と勢いよくギルド・ローレットに飛び込んで来た『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が近くのテーブルに紙を叩き付ける。
「今回は緊急なのです! 地図にも載らない山間の集落の――わんにゃんが! ピンチなのです!!」
鬼気迫る勢いで告げるユリーカ。
だが、周囲のイレギュラーズはどうしても首を傾げずにはいられなかった。
「………わんにゃん?」
「詳細はこうなのです!」
二度は言わず、ユリーカが強引に話を進めた。
いわく、山間の集落の付近に『山ゴブリンの群れ』が現れたとの事。
山ゴブリンは山で暮らすゴブリンで、普通のゴブリンより少しだけ強いが、その分道具はあまり使わないそうだ。
「サルとゴブリンを足したものと思ってくれればいいのです」
雑に例えて、ユリーカが続ける。
「しょせんはゴブリンなのです。数も少ないので、皆さんなら大した苦もなく倒せると思うのです。なのですが、問題はその山に暮らす動物なのです……」
その山には、山犬と山猫が暮らしているらしい。
山犬はどこぞの狩人が連れていたという猟犬の子孫で、人に慣れており、狩人たちにも協力的で共生関係にある。そんな山犬が縄張りに迷い込んだ山猫を拾って育てていたらしく、気が付けば山猫も増えて人に懐き共に狩りを行うまでに至ったと言う。
今では、狩人と山犬、山猫は、家族も同然となっていた。
「だから、なのです。危険を承知で狩人さんが山ゴブリンに挑もうとしているのです!」
ゴブリンは魔物で、略奪者だ。今回は山猫のように馴染むこともなく、ただ山に棲む生き物を殺して喰おうとするのだ。逃げるどころか立ち向かおうとする狩人たちも同じく喰らうだろう。
「依頼は山ゴブリンの殲滅なのです。ただし、可能な限り山犬も山猫も狩人さんも守って欲しいと、お願いされたのです」
ユリーカはそこまで言って、イレギュラーズの目を見る。
「ボクからも――」
そう言って頭を下げようとしたユリーカを制するように、テーブルの上の依頼書を誰かが拾い上げた。
「依頼なら仕方ないな」
「ゴブリンは嫌いなんだ」
「もふもふは!? もふもふ出来ますか!?」
イレギュラーズは皆、緊張感のない言葉を交わしながら、テーブルから離れていく。
その姿を見ながらユリーカは笑顔で手を振った。
「もふもふし放題なのです!!!」
- 山に棲む者完了
- GM名天逆神(休止中)
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年02月19日 21時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●走れ
「先行! 全力疾走! 我が道に障害はなーし!ッスー!」
うおおおお!と雄たけびを上げ、『最速願望』スウェン・アルバート(p3p000005)は山の木々の間を駆け抜けていく。枯れ葉枯れ枝の募った凸凹な山道だろうとなんのその。すぐ後に続く『尾花栗毛』ラダ・ジグリ(p3p000271)もまた四脚をもって地面を蹴り飛ばすが、速度は控えめだ。
「大丈夫か?」
ラダがそう声を掛けたのは案内役の男だ。依頼を持ち込み、その足で案内役を買って出た狩人。走り通しが祟ったのか、如何に慣れた山道とは言え、目に見えて疲弊しきっていた。
イレギュラーズは何の準備もせずに真っ直ぐ現場へと向かう事を選択した。細かな心情は違えど、目的は一つ、山に棲む者の救出だ。とうに狩人の村は走り抜け、あとは現場へと向かう最中、しかしここに来て男は力尽きようとしていた。
「限界だな。アンタはここに残れ」
男が返事も出来ずそれでもよろよろと走るのを、『無道の剣』九条 侠(p3p001935)が止めた。正確な位置までは戦闘などの流れでずれているだろう、ともすれば男の案内もこれ以上は不要だった。
「あとは私達に任せてくれないかな?」
侠に重ねて『尋常一様』恋歌 鼎(p3p000741)が言い、小鳥のファミリア―を召喚して空へと放す。上からの視点があった方が良いという判断だ。
「狩人さん、ここは私達に任せてください! 皆さんには手を出させません!」
へばり、震える膝を引き摺るように走っていた男も、『没落お嬢様』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)のその言葉に遂に足を止めた。
かすれた声で男は言う。
「あと、は――た、のみ――ま、す――」
その言葉を丸ごと置き去りにして、イレギュラーズは山の中を疾走する。
言われるまでも無いと答える様に。
●山ゴブリン包囲戦
「追い込め! 囲め! 一匹たりとも逃がすな!」
狩人の声が響く。
それに応じ、弓を引きながら駆ける狩人達。同じ様に地を掛け、唸り、吼えながら駆ける山犬達。更には時折樹に駆け上りながら敵へと飛び掛かる山猫達。
決死の包囲網は、突如襲来した山ゴブリン達を追い詰めていた。
だが、山ゴブリンは嗤う。
「喧シイ山犬ドモハ叩キ潰シテ殺ス!」
「鬱陶シイ山猫ドモハ圧シ折ッテ殺ス!」
「小賢シイ人間ドモハ噛ミ千切ッテ殺ス!」
「殺ス! 殺ス! 殺ス!」
「ギィーヒャッヒャッヒャッヒャ!」
山中の木々の上を跳び回り、時に地に下りて爪を振るい、時に物を投げ付け、飄々と逃げ回る山ゴブリン。包囲網は奴等を追い詰めた。だが、追い詰められながらも無傷の山ゴブリン達に対し、狩人も動物達も少なくない傷を負っていた。
大きな怪我はしていない。しかし精神的にも肉体的にも限界は近かった。
いよいよもって追い詰められた山ゴブリンは反撃に転じるだろう。最悪、そこからは狩人と獲物の立場が逆転し得る。
勝てたとしても、犠牲は出る。
ならば――
「前に出ろ! みんなを守れ!」
「おおおおお!!」
狩人が吠える。
守らねばならない。
だがそれは、動物達も同じ。
狩人に並んで山犬も吼え、山猫も言葉なくただ同じ様に疾駆する。
「下ラン。喰イ殺セ」
その様子を樹の上から見下ろし、一際巨大な山ゴブリンが号令を放った。
山ゴブリンが牙を剥き出しにして嗤い、襲い来る一群を蹂躙せんと前へ出る。
だが、
「見敵蹴撃ぃーーーッス!!」
木々の間から飛び出して来た謎のフルフェイスが地に下りていた山ゴブリンの横っ面を不意打ち気味に蹴り飛ばした。
体重とスピードの乗った一撃をもろに浴びて吹っ飛んだ山ゴブリンが樹の幹に叩き付けられると同時に、別の山ゴブリンの側頭部にもブーツの爪先が減り込んだ。
「滅びるのが自然の摂理なら無視するですけど、略奪による終わりなんて見過ごせる訳無いのですよ」
振り抜いた脚を畳み、構え直して、『宵の狩人』サーシャ・O・エンフィールド(p3p000129)が山ゴブリンを睨み付ける。
彼女も狩人として、自然と共に生きるものとして、山ゴブリンに問うていた。略奪しに来たからには、狩るか狩られるかの覚悟があるのだろうな、と。
「グギギ……! オノレ人間ドモ!」
「ヨクモヨクモヨクモ……!」
蹴られ吹き飛び転がった二匹は立ち上がり、他の山ゴブリン達も我に返ってギャアギャアと騒ぎ出す。
「なんだ? 援軍か……?」
「ゴブリンらの相手は俺達がする!」
状況が呑み込めていない狩人達に、木々を抜けて現れた侠が宣言する。
「俺達より動物の事よっぽど解ってんだろ? だったらそっち頼む! 誰にも死なれたくないし、動物達も見捨てたりはしねえ!」
死なれるのには何時までも慣れないからな……と小声で小さく付け足して、狩人達に退避を促した。
侠の言葉とサーシャ達の攻撃を見て狩人達はまだ混乱しながらも弓を下ろす。
しかし、動物達は再び走り出した。
その眼に映るは醜悪なる山ゴブリン達、奴等はそこらで拾った岩を投げ付ける。
「……気進まないけどやりますかね」
その石飛礫をあっさりと盾で弾き返したのは、『流浪の騎士』クロガネ(p3p004643)だ。
盾の下で守られた山猫がクロガネを見上げると「受けた仕事だからなぁ。生きてくためだ」などと返す。
山ゴブリンさえ倒せば良いはずの依頼なのに身を挺し全力で飛び込んで来たクロガネの真意など分からないが、山猫はその姿に感謝を込めてニャーと鳴いた。
「狩人君もできればこの子たちを守りながら下がってくれないかな?」
そう言いながらその辺の狩人に抱きかかえていた山猫を預ける鼎も、つい先ほど猫を庇って石飛礫を受けていた。
さして頑丈な方ではない鼎だが預けた山猫の首もとをそっと撫でて笑顔を見せる。
その姿を見て、狩人達は頷き合う。
「退け! 俺達では足手まといだ!」
「山の子らを拾って下がれ! 急げ!」
声が響き、止まっていた人影が走り出す。
傷付いた動物達を抱え、降ってくる飛礫から庇いつつ、退いて行く。
「山に住む方々、そして共に生きる犬と猫の為に――シフォリィ・シリア・アルテロンド、この剣を振るいます!」
退いて行く動物達に追い縋ろうとする山ゴブリンへ、名乗りを上げて切り込むシフォリィが立ちはだかり、長剣を振り下ろす。牙と爪と剣が交差し、血と悲鳴が舞う。その隙にと守られた動物達を狩人が強引に引き摺って行った。
「敵は私達で始末する。ゴブリン殺しが楽しくなったのでなければ退け」
興奮し、なおも挑み掛かろうとする山犬を引っ掴んで強引に後ろへ押しやりながら、ラダは手にした銃を構える。
放たれた弾丸が躍起になって石を投げ続ける山ゴブリンの一匹に当たり、甲高い悲鳴が響いた。
ここに揃ったイレギュラーズは七人。
今となっては嗤うどころか喋る余裕もない山ゴブリン達に、低く唸ってから巨大な山ゴブリンが叫んだ。ラダを指差しながら。
「全員樹ニ登レ! 其処ノ女カラ身ヲ隠セ!」
咆哮が轟き、地に下り散々に痛めつけられていた山ゴブリン達が一斉に樹の上へと逃げていく。
樹の上では上手いこと動けはしないが、蹴りも剣も届かない。この安全圏から石でも何でも降らせ、痛めつけてやる、と。
あっと言う間に樹の影に隠れた山ゴブリンはラダからも狙えない。
「忌々シイ人間ドモ……嬲リ殺シニシテクレル!」
勝利宣言のように叫ぶ。
分厚い胸板を己の拳で叩き、牙を剥いて轟々と。
だがしかし、その勝ち誇った咆哮は、銃声によって遮られた。
どかっ、と鈍い音を立てて山ゴブリンが一匹地に落ちる。
蹴られ斬られ既に瀕死だった山ゴブリンだが、止めを刺したのは落下による衝撃ではなく、眉間に叩き込まれた弾丸だ。
「全てはもふもふのため」
何処からか声が聞こえた。
それは木陰に潜み、虎視眈々と山ゴブリンの眉間を狙っていた『夢幻への送還者』レーヴ・シュマン(p3p000345)の声だ。
金に拘る彼女の隠された決意は仲間にさえ、聞き耳を立てていなかった侠にも聞かれなかった。
「……オ、オノレェ!」
樹の上がにわかに騒がしくなる。
新たな狙撃手の存在に今更気付き、どちらから身を隠すべきかと混乱し始めたのだ。
「まあ私も撃ち落とせるのだけれどね」
それに乗じて、今までは動物達を守っていた鼎が弓を引く。狩人達の物とはまるで違う、山に満ちた小さき死者達の怨念を放つ弓を。
放たれた一条の矢は山ゴブリンを地へと叩き落し、そこへスウェンが超反応で迫り蹴りを放ち、蹴飛ばされた先でシフォリィと侠が斬り捨てた。
「残り三匹」
クロガネが呟いた言葉に、山ゴブリンの頭は「ゴォアアアアア!」と怨嗟の籠った咆哮を上げた。
●決死戦
「私も飛べるのです!」
サーシャが飛翼を広げ、山ゴブリンの一匹に肉薄する。樹上と空中、どちらも不安定な場所だが、実力に勝り至近まで迫ったサーシャの放った蹴戦は山ゴブリンをふっ飛ばす。
「逃ゲロ! 散レ! 今直グダ!」
叫ぶ頭に山ゴブリン達はギイギイと鳴きながら従う。
が、その先には包囲網を保ったままの狩人達が居る。
吼え猛る山犬達の剣幕に怯み、足を止めた瞬間、ラダの放った一矢が山ゴブリンを地へと叩き落とした。
「次だ」
「見下ろされるも疲れるものだね」
ラダに続き鼎が再び弓を引く。
「樹の上では回避行動をとるのも難しかろう、むしろいい的だ」
隠れるのをやめたリーヴも銃を構え、鷹のような目つきで獲物を狙う。
怨念の矢と鉛の弾丸に撃ち抜かれた山ゴブリンも地に落ち、悲鳴を上げた。
「ガンガンいくッスよ!」
「私も行きます!」
地に落ちた山ゴブリンにはすかさずスウェンとシフォリィが進行を喰い止め、そのまま攻撃を浴びせる。
大した連携も無ければ実力も無い、イレギュラーズの迅速な行動により動物達を捕らえて盾にする事も出来なかった山ゴブリン達はほとんど一方的に倒されていった。
こんな筈ではなかった。
山ゴブリンの頭は追い込まれながらも狩人達の弱点を知っていたのだ。
此奴等ナラ、其処等ノ獣ヲ盾ニスルダケデ逃ゲ切レル……ツイデニ何匹カ攫ッテ逃ゲタ先デ喰エバ良イ……と。
だがそうはならなかった。
唐突に現れ、機先を制し山ゴブリン達の移動を封じたイレギュラーズは、その勝ち筋も逃げ筋も見事に全て打ち壊したのである。
最後に残った一匹、頭である筈の山ゴブリンは、とうに勝ち目など無いと知って逃走を指示した。――自分の為に。
他の二匹がやられている間に自分だけはこっそりと樹を降り、地を駆けて逃げる。そう画策していたのだ。
「逃がすわけないわな」
しかしごく自然にあっさりと、その作戦は眼前のクロガネによって阻まれる。
「グ、ゴ、オノレェ……!」
進退窮まった山ゴブリン頭の行動はただ一つ。
「今から本気出すわ」
相対するクロガネの行動もただ一つ。
髪と瞳が銀色に輝き染まっていく。クロガネのその変化に怯みながらも頭は我武者羅に拳を振るい、叩き付け、牙を向ける。
「ゴァアアアアアアア!!!」
ドゴン! ドガン! と凄まじい打撃音が響く。
押し退ける。
押し通る。
それしか生き延びる術は無い。
樹の上に戻って蜂の巣になどされてたまるか!
生き汚い魔物の必死の攻撃を受け続け、クロガネは遂に盾を弾き飛ばされた。
「グアハハハ! 退ケ! 人間風情ガ!」
息を荒げて笑う山ゴブリンの頭。
血を流し、盾をも取り落としたクロガネを目にして、勝利を確信したのだ。
行ける。逃げ切れる。
だが、返すクロガネは、冷たく言い放つ。
「ああ、退いてやる。私の仕事は終わったからな」
ハ――。
息と笑みが消えた。
クロガネの後ろに並んだイレギュラーズの武器が、全て、山ゴブリンの頭へと向いていた。
「リベリスタ、九条 侠。さて……やろうかい?」
二刀を手にした侠の名乗りを皮切りに、八重の攻撃が魔物の身体を引き裂いた。
●山に棲む者
「危ない時こそ頭冷やして考えろ。何に置いても死んだら意味はないだろ」
クロガネの説教に、狩人達は笑顔で頷く。
分かっているのかいないのか、とにかくクロガネの言葉の合間合間に返事と感謝を繰り返していた。
「村で共に暮らそうという気はないのか?」
山犬の治療しつつ、すり寄せられた頭を撫でてやりつつ、ラダが聞く。
それに対する答えは「山で共に暮らしていれば満足です」とのことだった。意外に数が多いので村では収まらないというのも理由な気もするが。
山は広い。しかし恵みは常に十分とはいかない。
倒したゴブリンの皮を剥ぎ、穴だの切り傷だのが多いのに顔をしかめるサーシャが言う。
「しかし、山犬に山猫って…よくこれだけいて生態系が崩れないですね」
サーシャの素朴な疑問ももっともだ。今、村には相当数の犬と猫がやってきている。
それへの答えは、増えるも減るも自然の恵み次第、いよいよって時は山を渡るなり農作を始めるなりするとの事だった。
「ふわぁあ~……! ふわふわです!」
「はあーもふもふーッス」
シフォリィとスウェンは無事だったり治療が済んだ山犬、山猫達をもふっていた。
よほど気に入られたのか仔犬や仔猫まで連れて来て、「この人達は恩人だぞ、匂い覚えておけよ」とばかりに寄ってくる。おかげで二人共ふわふわでもふもふな冬毛にまみれていた。
猫の額の短い毛、尻尾の付け根のへこみ、肉球プニプニまで、野生どこ行ったのかとばかりに触らせてくれる。
犬も同じく、アグレッシブに撫でろと突っ込んで来る者、身体を擦り付けてアピールして来る者、脇に控えて尻尾を千切れんばかりに振り回す者と様々だが、感謝と好意は痛いほどに伝わってくる。
「凄く癒されるね」
恥ずかしいから控えめに、と思っていた鼎も、しゃがんだ途端に囲まれて逆もふもふされていた。
身を挺した分気に入られているらしく、もっふもっふとのしかかっては甘い声でクーンとかニャーとか鳴いてくる。
しかし控えめな鼎に迷惑を掛けまいと控えめに寄って来るのが実にいじらしく、結局もふもふは長引いた。
そんな様子を憮然とした表情で遠巻きに見ていた隠れ動物好きのリーヴのもとにも動物達が数匹寄って行き、足に身体を擦り付ける。
「……」
無言のまま大人しい犬を撫でると伏せってもっと撫でろとせがみ、隣の猫を撫でると喉を鳴らしてころがり腹を撫でろとせがむ。リーヴはそんな奴等を相手にたっぷりもふもふを堪能したのだった。
そんなもふもふしい光景をさらに遠くから眺めて侠は微笑む。
「良かったな」
そう呟く侠のもとにも、もふもふが駆け寄っていくのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
山ゴブリン退治、お疲れ様でした!
まさか直行とは。
おかげで案内役以外の犠牲は出ませんでした!
すばらしいです!
(案内役も死んではいません)
次回のもふもふ依頼はキツネとタヌキを予定してます!
予定は未定!
それではお疲れ様でした!
GMコメント
純戦です。(おまけ付き)
よろしくお願いします。
以下詳細です。
●依頼内容
・山ゴブリンの殲滅
・可能な限り山犬、山猫、狩人を守護
●山ゴブリン
・数は5体、うち1体は頭(かしら)
・力は強いが頭は悪い
・樹の上で生活しているが、割と不器用
・生き汚い
●山ゴブリンの戦闘データ
噛み付き:物至単:噛み付いてきますが病気は有りません
投げ付け:物遠単:その辺の物を投げ付けてきます
飛び付き:物至単:一気に距離を詰めて飛び掛かり、組み敷こうとします
・頭(かしら)はサルと言うよりゴリラ似のゴブリンです。他よりちょっと強いです
・連携はほとんどとりませんが、似たような行動をしやすいです
・樹の上にいる場合は命中と回避がマイナスされます(飛行に似ます)
●山の生き物
・山犬、山猫、狩人が若干名います
・それぞれがピンチの時は身を挺して守ろうとします
・必死過ぎてイレギュラーズの言うことを聞きません(特に犬と猫)
・イレギュラーズを敵とはみなしません
・が、山の生き物ごとゴブリンを攻撃しようとするとその限りではありません
●その他
・現地までは依頼を持ち込んだ狩人が案内役を買って出てくれます
・山ではすでに戦闘が開始されています
・事前準備はあまりできません
・必要なら狩人が可能な範囲で道具を貸してくれます
・依頼が成功すると犬猫はもふらせてくれます
・ただし犠牲が大き過ぎるともふれる空気ではなくなります
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