シナリオ詳細
グラオ・クローネって10回言ってみ?2
オープニング
●レシピ通りに作らないことに誇りを感じてはいけない
ひとつの厨房室。
と言っても、レストランのバックヤードなどではない。
ここは純粋に、料理を研究するために用意された部屋だ。
そこで、ひとりの男が頭を抱えている。
男の名を出すことに意味はない。意味があるのは、男が作ろうとしているものの方だ。
話は昨年まで遡る。
彼は異世界から来たという男に、故郷の料理の話を聞いた。
男が絶賛するその料理を、彼は長年の経験を活かした自身のアレンジを加えて調理、販売に踏み切ったのだが。
結果は惨敗。廃棄処分をするにはプライドが許さず、結果、ローレットに引き取ってもらうハメになった。
「何がいけなかったのだろう……」
この一年、ずっとそのことばかり考えていた。
料理の師匠の元に転がり込み、イチから修行をやり直した。西の森に住むという片目のクマと柔道勝負もしてみた。霊峰と名高い山々に登り、頂上で座禅を組んだこともあった。
その結果、ついに閃いたのである。
「そうだ、アレが足りなかったのだ!!」
彼は霊峰を降りて直ぐに最高級のアレを発注。
研究に研究を重ね、ついに今日この日に間に合わせたのである。
「これは、これはイケる……!!」
ここまで前振りです。
●ほら、チョコレイトだぞ
「さ、これが先輩方のノルマッス」
『可愛い狂信者』青雀(p3n000014)が、君達のテーブルの前にどさりと大量の包みを置いた。
山と積まれたそれらは、ひとつひとつは片手で持てる程度のものだ。
手にとって見ると、どうやら食べ物のようだった。感触からして、サンドイッチの一種だろうか。
で、これはなあに?
「マカロニやチーズをオーブンなどで料理の表面を多少焦がすように調理したものをパン粉で包んで油であげてバンズでサンドイッチしたもの」
うん、うん。なんて?
だが何人かは心当たりがあるようで、その説明だけで吹き出してしまう者もいた。
赤・白・黄色のピエロが見える、とか。グラオ・クローネってそういう? とか聞こえてくるが、どういう意味だろう。
がたがたがたっ。何事かと周囲を見渡せば、何名かが立ち上がった音だ。
変な脂汗をかきながら、用事があるからと出ていこうとするところを、ギルドの職員に「まあまあまあ」と再着席させられていた。
なんだろう、嫌な予感がする。
「――に、溶かしたチョコレイトをぶっかけたもの」
表情が凍りついたのを感じる。室内にいた何人かは、「やっぱりか!!」と頭を抱えてテーブルに突っ伏していた。
「――に、生クリームをたっぷり染み込ませたものッス」
今度こそ、その場の全員が凍りついた。
曰く、それはとある料理人の失敗作なのだという。
異世界にあるというサンドイッチの製法を入手したその料理人は、グラオ・クローネにかこつけるべく、あろうことかそれに溶かしたチョコレイトをぶっかけるという奇行に出た。
というのが、去年の話。
これが全く売れなかったことに悩んだ料理人は、厳しい修行の末、とある結論に至ったのだという。
やっぱ甘さが足りなかったんじゃないか、と。
当然、今年もさっぱり売れず、泣きつかれたローレットが仕方なく買い取ることになったのだ。
で、この山のようなサンドイッチである。
「食べ物を粗末にするのはいけないことッス。だからみんなで食べるッスよ!」
マジかよ。
- グラオ・クローネって10回言ってみ?2完了
- GM名yakigote
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2019年03月05日 21時30分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●甘いものをしこたま食べても世間的には許される日
料理のレシピを見ていて、『少々』という言葉にそれこそ少々の引っ掛かりを感じた事は無いだろうか。料理という技術に対してそれほどの慧眼がなく、これといった確かな経験もなく、自分の中に確固たる調理手順が存在しない。だというのに、これを記した彼ら彼女らは何とも忌々しいことにしたり顔で目分量を催促してくるのだ。
山と積まれた料理を、妄想したことは誰にでもあるだろう。
食べても食べても食べきれない。無限にも思える料理。料理。料理。
本日はその夢が叶うのだ。
腹一杯どころかはちきれるほど食べて構わない。食べ過ぎを窘められたりはしない。後で金銭を要求されることもない。
問題は一つだけ。
美味くはないのだ。
「食べ物を捨てるなんて出来ないっす!」
『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)はグラオ・クローネを象徴した食べ物があると聞いてやってきたのだ。それもなんと、食べ放題だと言うではないか。
大食いなら負けはしない。ウルトラカロリーなんのその。そんなものは以前に戦い、打倒している。あのロボは色んな意味で危険な存在だった。
「ほかの皆さんより多く食べてフードファイターの名を得てやるっす!」
「実に一年ぶりのグラクロサンドな訳だけど……何か、ちょっと思わぬ方向に進化してんな?」
非常に運の悪いことに、『雲水不住』清水 洸汰(p3p000845)は経験者である。このマカ(略)サンドイッチ二回目。二週目と言うべきか。リピーターなのである。前世でなにか悪いことでもしたのだろうか。
「だけど、進化したのはグラクロサンドだけじゃねぇ! このコータ様だって、成長してるんだからな、レベルとか年齢とか!」
「うーん、なるほど。おいしくないわね!」
ひとつ味見を試みた『祈祷鬼姫』六車・焔珠(p3p002320)は、何とも率直な感想を述べ、周囲の『もしかしたら今年こそ美味いのでは』という淡い期待を粉々に打ち砕いた。
「これチョコレートをかけない方が良かったのではないかしら」
根本的なところにいった。しかしもうぶっかけてしまったのである。
「次はもう少し控えめな量にした方がいい気がするわ。いただきます!」
『騙されたチクショウ! 俺は可愛い女の子がチョコくれるっていうから来たのに!!』
『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)はテーブルを殴りつけて怒りを顕にしている。
この時期、女の子からもらえるチョコレイトの意味は特別だ。安物も高級品も無く、どんな一欠片でさえ男は求めてやまない。
だけどこんな謎サンドイッチだとは聞いてない。
でもちゃんと、可愛い女の子がチョコレイト(を、かけたもの)くれただろ?
「おー、食べ物、粗末にするダメ! 悪いこと! リナリナ大いに賛成!」
生きるための糧を大切に扱うのは良いことだと『原始力』リナリナ(p3p006258)は言おうとしたが、包のひとつをワクワク顔で開き、その直後絶望を表情に滲ませてテンション急落下を見せた。
「…………でもこれ違う。履き違えてるゾッ。これ、既に粗末にした後の物体。事後」
必死で首を振る。これはもう食べ物ではないと。
「むおおぉ、リナリナ、『ただ飯』なのに一口も食べる前から後悔する、初めてだゾッ」
「甘いものがいっぱい食べられるお仕事があるって紹介してもらっちゃった!」
誰だ、純粋な『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル(p3p006816)を騙したのは。
「嬉しいなー、お仕事のお金ももらえて甘いものも食べられるなんて! 戦う依頼じゃなくて、こういう依頼が沢山あったらいいのにー」
年一で十分だと思う、こんな地獄。
「ダイエットは明日から! 今日は全部ぺろりと行くぞー!」
皆は、仕事の詳細をちゃんと読んでから選ぶんだぞ。雰囲気で決めると後で絶対公開するからな。
「これはこれは……」
『特異運命座標』ジョージ・ジョンソン(p3p006892)は、目前に積まれたそれのひとつを開くと、そっと元に戻した。
「体に悪そうな食べ物(?)がいっぱいですね……」
どうしたものか、とややハイライトの消え失せた瞳で山の頂上を見上げている。
「正直廃棄したほうがよろしいのではと思うのですが、食べ物を無駄にしないという考えも納得できるわけでして……えー、みなさん、胃薬の準備は大丈夫ですか?」
「これを食べるだけのお仕事なんですね。ええと……」
シリル=エンフィールド(p3p006919)はお品書きに目を通す。本日の料理はひとつしかない。
「マカロニやチーズをオーブンなどで料理の表面を多少焦がすように調理したものをパン粉で包んで油であげてバンズでサンドイッチして……チョコレイトをぶっかけたものに生クリームをたっぷり染み込ませたもの?」
そして、誰もが言いたかったことを言う。
「な、なんでそこから甘くしちゃったんですか……!?」
●甘いものをしこたま食べていると友情的には許されない日
だが我々は同一の手段でこの危機を回避する術を手にしている。そう、分からなければ人に聞けばよいのだ。そこで以前、母君に少々とは明確にどのような数値を示すのか尋ねてみたことがある。回答は『そんなの大体でいいのよ』だった。恐ろしい事態である。料理界は自分たちの既得権益を保守すべく、我が母にまで戒厳令を強いているのだ。
見ているだけでは終わらない。
料理とは、食べなければなくならない。言い換えれば、食べることだけがこの地獄から開放される術なのだ。
ひとつめの包を手に取る。ずっしりとした感触が、これひとつにとんでもねえ量の具材が使われているのを如実に知らせてくれる。
誰も助けてはくれない。
意を決して、その包を開き始めた。
●甘いものをしこたま食べれば経済が比較的潤滑になる日
料理界が如何に秘密主義かわかったとしても、事態はけして好転しない。少々とは如何なる値であるのかを己の力で解読しなければならないからだ。他人は頼れない。料理界の魔の手はもうそこまで迫っているのだ。私はなんとしてもこの少々の明確な値を見出さなければならない。そうしなければ、世界は何れ料理界の闇に呑まれてしまうだろう。
「オレに力を分けてくれ、パカお、メカパカお、近所の子供達!」
勢いで言ってみたものの、洸汰は山になったサンドイッチを前に振り上げた拳をゆっくりと下ろした。
「……うん、食ってくれとは言わないから、単純にオレ達の事を応援してくれねぇかな?」
流石に、これを一緒に手伝ってくれとは言えない。
栄養の偏りが甚だしく、お世辞にも体に良いとは言えないだろう。
「パカおとかには毒が多すぎるし、メカパカおはそもそもメカだ! 食えねぇ! つーかメカって何食うの!?」
オイルとかかな。
「そんなわけでせめて、ローレットの有志から選ばれたオレ達の勇姿を、しかと見届けてくれ!」
気合を入れ直すものの、包みを見ただけで去年の味が思い起こされる。その言葉にはやや覇気がない。
「……というより、うん。監視の目がねぇと、逃げ出しちゃいそうな気がしないでもないから、その、そういう意味でも、気を引き締めさせて」
その挑戦に否と言う本能を抑えるつけ、洸汰は両手を合わせた。
いただきます。
食べ始めてからおそらく、時間はそれほど経過していない。
「……っす」
だが既に、レッドの動きには食べ始めた頃の勢いが失われていた。
「いま、何個めっすか?」
口に入れる度、脂っこい衣とグラタンのコクが喉に絡みつく。
それだけならば味の濃いものとして楽しめたかもしれないが、一切の妥協なく同時にやってくるチョコレイトと生クリームの甘み。
「頬張れば口内の水分が持っていかれよく噛まないと飲み込むのに難儀するこのグラクロ……強敵っす」
だが負けられない。負けるわけにはいかないのだ。レッドはカロリービームをも乗り切った英雄である。サンドイッチを手で握り潰し、超圧縮。水と一緒に口の中へ。喉を無理くり通してしまう作戦に出たのだった。
数分後。
「……今何個なのか味がどうなのかわからなくなってきたっすデブー」
そこには朦朧としたまま握っては流す丸っこいのがいた。
口調も体型もすっかり変わってしまったレッドである。
あのビーム、後遺症とかあったんだろうか。
「私けっこう甘い物は好きだけれど、何でも甘ければいいって訳でもないと思うの」
美味しくないと正面から言い放つものの、焔珠はもぐもぐとサンドイッチを咀嚼している。これでお金をもらっているのだから、完遂しなければならない。すごいプロ根性だ。
「チョコレートにもちょっと苦い種類があるのだからそっちにした方が良かったと思うわ」
やめようよ。そのアドバイスでまた作っちゃったらどうするんだよ。
もぐもぐもぐ。ごくん。
「……今半分くらいしかしら。完食までまだ遠いわね」
ノルマ、と称して自分の前に積まれた分を見る。周囲を見れば、ペースとしては平均よりも少し早いくらいだろうか。それでも、舌と胃はとっくにアラートを掻き鳴らしていたが。
「一つ一つはすごくおいしいのに、組み合わせを間違えると大変な事になるというお手本ね!」
そう、パーツごとの味は悪くないので、ワーストマッチ過ぎるだけで。
「この冒険心きらいじゃないわね。カロリーなんて動けばいいのよ。大丈夫、問題ないわ!」
視覚と嗅覚を封じれば、割合今何を食べているのかは不明瞭になる。人間は五感全体で食をしているのだとわかるものだ。
それでも強烈な味覚への暴力は、一口ごとに虚の脳に金属バットで殴られているかのような衝撃を与え続けている。
もうひとりの自分とも言うべき稔はとっくにギブアップだ。始めは全部押し付けてしまおうと考えていたのだが、一口で引っ込んでしまった。
曰く、「悪魔の食い物」。曰く、「魂が汚れる」。これ作ったやつは何者だ。
腹に溜まった油分で胃がもたれてくる。そうなれば奥の手だ。国に伝わる秘伝の奥義。口いっぱいに頬張った後、スクワットのような動きで無理やり胃に食べものを落とすのである。
秘伝『熊落とし』。
かつて国中を駆け回り早食い対決をしたという逸話を持つ英雄の得意技だった。
「さぁ、じゃんじゃん俺の所に持って来な! ド派手に40個食ってやるぜ!!」
数分後。
「へへっ……まだ死ぬには早い、か。一丁、漢らしい姿見せてやろうじゃん」
「ぶはぁ、ぶはぁ、はぁ………ウぷ、ナニコレ、しんどい」
食べるという行為に対して、リナリナが『しんどい』と言ったのは生まれて初めてかもしれない。
とにかく勢いで完食してしまえと高速で咀嚼していたのだが、それがよくなかった。
口の中全体に、これの味が広がってしまったのである。
めげずに次を手に取るが、一口ごとに味へ慣れていくどころかより強みをまして味覚へと暴力を奮ってくる。
一口、そしてお茶ごっきゅごっきゅ。一口、またお茶ごっきゅごっきゅ。
動きが止まる。ぼーっと虚空を見つめていると、突如体がびくんびくんと痙攣した。禁断症状である。
「ぅウげぷ。ぅ一瞬、お花ぶ、畑が、が、見えたぇ」
次を手にする。既に呼吸は不規則だ。手の震えは段々と激しくなってきている。
一口、食べて、また――
「どゅっ」
白目を剥き、テーブルに突っ伏すリナリナ。
ドクターが急行。両腕で大きく×印。職員が担架を持ってきた。
虚ろな顔で、テーブルに突っ伏す者がここにも一人。フランである。
「こ、これがあの死者も出るという噂のべりーはーど仕事……」
こんなゲテモノと同列にされた盗賊の大将が不憫でならない。
「イージーって見間違えたけど、だから皆心配してくれたんだね!?」
君の目は正常だ。イージーにはある意味、『軽く死ねる』仕事が混じっているだけなのだ。
「で、でもチョコなことには変わりないし、生クリームもあるし……イケる!」
マジかよ。メンタル強いな。
「生クリームはおいしいし、チョコもおいしいし、グラタンもおいしいから……そう、一つ一つの味だけに集中して食べればきっと美味しいはず!」
しかしどうやったのか、チョコも生クリームも衣の中までしっかりと浸透している。グラタンを食せばチョコレイトが、生クリームを食せばグラタンが、嫌でも最前線で自分の存在を主張する。
「こ、このシェフを『説得』で作らせないように、しなきゃ……」
この仕事の困難さをいち早く理解していたジョージは、誰にも見つからぬようひとつの手段にて自己を強化していた。
断っておくが、ドーピングではない。それは薬学によりもたらされ、特殊な訓練を用いずに脂肪の吸収を緩やかにするよう体を作り変えてくれるが、けっしてドーピングではない。
それは『トクホ』である。
食事の前に体に取り入れれば、油分による身体への影響を減らしてくれるのだ。若干眉粒感が無くもないが、そこはそれ、信じるものは救われる。プラシーボ効果も相まろう。
これで明日の体重計は問題がない。いざ、実食。
結論から言うと。
グラコ(略)には勝てなかったよ。
胃もたれは防げるかもしれない。脂肪吸収は抑えられるかもしれない。でも味覚は悲鳴を上げていた。
「本来食べ物を粗末にするなど許されないのですが、そもそもこのような物体に調理してしまった段階で粗末にしていると言わざるをえないかと……」
視線は何処へ。口は既に焼き払うことを前提としていた。
「ちょっとシナモンを効かせてみたり……他にはどうしようかな」
既におかしな呼吸音を出しながら、焦点の合わない瞳でシリルは自身が持ち込んだ調味料と睨めっこしている。
味を少しでもマシにしなければ。そんな意気込みで始めたものの、食べ始めて直ぐにひとつの問題点が浮かび上がったのだ。このグラコ(検閲音)、どういうわけか何を加えてもより悪い方向へと進化する。
凶悪になった味の奔流がs,やめておけばよかったという後悔とともに流れ込んでくるのだ。
「むぐ……もが……んっ……ん~ごくん」
こうなれば残されたのは気合だけだ。右手が嫌がれば左手で抑えつけ、口が開かなければ無理矢理にこじ開けてでもその中に放り込むのだ。
その内、胃が反逆する。流し込まれた猛毒を排除せんと、逆流を試みてくる。
必死で抑えるつけ、治癒術式を展開した。対象は自分。打ち消せバッドステータス。
「は、吐き気にこれって効くんでしょうか……!?」
またこみ上げてきたものに、慌てて口を押さえつけた。
●後悔はまた明日
私は立ち上がった。料理界に宣戦布告するのである。剣の代わりに包丁を。盾の代わりに鍋蓋を。私は勇者だ。ところで、料理らしい薀蓄でも垂れようとしていたら自分はそんな分野の知識など聊かも持ち合わせてはいなかったため、このような戯言を書き始めたら思いのほか筆が乗ってしまったのである。なんというか、ハッピーグラオ・クローネ。誰にでも幸あれだ。
たべ、きった。
回りを見渡せば、誰もが死屍累々である。
自分達も、顔の知らぬ他の被害者達も。
だが自分達は勝利したのだ。この悪鬼羅刹の如き混沌の塊を、制覇したのだ。
そう思えば、どこか誇らしさが胸にこみ上げてくる。
どん、と。テーブルの上に何かが置かれた。なんだろう。口直しのお水かな。
顔をあげると、そこには見覚えのある光景。なんだこのデジャブ。さっき食べ終わったよな。
「おかわり、いるッスか?」
皆、生命すら賭して全力で首を横に振った。
了。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
来年はもっとパワーアップする。
GMコメント
皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。
テーブルの上に山と積まれたグラコげふんげふん、マカロニやチーズをオーブンなどで料理の表面を多少焦がすように調理したものをパン粉で包んで油であげてバンズでサンドイッチしてチョコレイトをぶっかけたものに『生クリームをたっぷり染み込ませたもの』←new! を完食してください。
日暮れまでに。ひとり30個ぐらい。余裕があるならおかわりはいくらでも。
泣きながら、あるいは笑いながら、一心不乱に。
美味しいかって? そう言うことは聞くもんじゃない。
《用語集》
■マカロニやチーズをオーブンなどで料理の表面を多少焦がすように調理したものをパン粉で包んで油であげてバンズでサンドイッチしてチョコレイトをぶっかけたものに生クリームをたっぷり染み込ませたもの
・とある料理人がトチ狂って作ったら売れ残ったゲテモノ。
・砂糖と油がこれでもかと使われており、中にはチーズがたっぷり。今年は生クリームもどっさり。
・デブ活御用達。ウルトラハイカロリー。
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