シナリオ詳細
かわいいゾンビ屋、フランバディ
オープニング
●いつもニコニコあなたのゾンビ屋『フランバディ』
「いーらっしゃいませー!」
腰を低くした手もみ姿勢でゾンビメイドが出迎える。
その光景にあなたはぎょっとするかもしれない。
だが慌てるな。ここは混沌、無限と自由とカオスの世界だ。ゾンビのメイドが接客することくらいある。
あなたは自分なりに納得して状況を受け入れてもいいし、まだ困惑していてもいい。
「ゾンビリースショップ『フランバディ』へようこそ☆
借りたいゾンビを選択してくださいネッ☆」
といってゾンビメイドがゾンビカタログを見せてくるしいろんな改造ゾンビが写真付きで書かれているのであなたはどん引きするかも知れない。
だがまだ慌てる時間じゃない。ここは混沌無限の世界。ゾンビがゾンビをリースする商売をしていたって不思議じゃない。
「水夫ゾンビ3体ですね! オーダー入りマース☆」
ゾンビメイドがハンドベルをリンゴンすれば、後ろのカーテンから手かせのついた標準的なゾンビが十人まとめてぞろぞろ歩いて出てくるだろう。
さび止めと防腐処理が施され肉体をステンレス補強したことで重労働にも耐えられるという水夫ゾンビのつくりにあなたは関心してもいいし、ただゾンビだなあと思ってもいい。
スタンプカードにゾンビスタンプを押してにっこり笑うゾンビメイドを見て関心してもいいし、引いてもいい。
ここは混沌無限の世界。あなたもまた、自由なのだ。
●ローレットのゾンビ運送業
海洋に拠点を構えるゾンビリースショップ『フランバディ』は、なんか無限にアンデッドを出せるという先代から続く技能を活かしてゾンビのリース業を営む美少女ゾンビのお店である。
取り扱うゾンビの種類は多岐にわたり、御者ゾンビ運転ゾンビ鉱石採掘ゾンビ農夫ゾンビ監視ゾンビ水夫ゾンビと環境に合わせたカスタマイズによって顧客のニーズにゾンゾン答えていくのだ。リース期間が過ぎれば自動的にアンデッド化が解除されただの死体となりはてるので、必然的にみんな期間中に返しに来るし悪用の心配もないとのことである。
「けれど今回とっても大きなリース依頼が入っちゃいまして。
農夫ゾンビをまとめて20体の長期リースなのです。しかも現地まで配達しなくちゃならないんですが、私遠出はあんまり経験なくって……」
本来なら配達は請け負っていないがここまで大きな仕事は特別扱いダゾ☆ ってなもんである。
「ローレットさんは海運もやってらっしゃると聞きましたので、ゼヒゼヒ、可愛いゾンビちゃんたちアーンドわたしを顧客のもとまで配達してくださいナ」
「と、言う分けなのです」
それまでドーナツもふもふしていた『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が、ここからは自分の出番だとばかりに海図を広げた。
「運搬方法は船。途中にはモンスターの発生エリアもありますので、実際的には『快適な船旅』プラス『モンスター退治』の二本立てになると思うのです」
ここは情報屋。戦闘することになるモンスターの情報も、ユリーカはしっかり仕入れていた。ルートの途中に赤丸をつけていく。
「このエリアにはメテオシャークが出現するのです。サメなのです。石みたいに硬くて食べられない……じゃなかった、空を飛んで体当たりしたりかじりついたりしてくる恐いサメなのです!」
大きさはこのくらいです、と両手で1メートル程度の楕円形をジェスチャーしてみせる。
「フツーの小型船は用意できるのですが、もし自前の船が用意できるならそのほうがずっと快適な筈なのです。他にも航海術や操船技術のある人がいると更にドン! なのです!」
なのです!
と拳を突き上げるユリーカとゾンビメイド。
「「よろしくおねがいします! なのです!」」
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_icon/8949/49afa3a1bba5280af6c4bf2fb5ea7669.png)
- かわいいゾンビ屋、フランバディ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年02月10日 22時20分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ゾンビメイドはメイドのゾンビ
「今回はよろしくおねがいしまーす!」
営業スマイルでにっこりするゾンビメイドに『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)はよろしくおねげーしまーすと握手を交わした。
顔色ピータンなわりに女の子らしいいい香りがする。
「これが今回使うお船ですか? 立派ですねー」
「それほどでも」
ほんのりてれてれするマリナ。マリナ自前の船である。
「今まで色んなモノを積んできましたけど、ゾンビを積むのは初めてです。傷が付かないようにお布団巻きましょうか?」
「いやいや、ちゃんとぷちぷち巻きますんでその辺はお構いなく」
ベルをりんごーんとふれば、ぷちぷちのデカいやつによって簀巻きにされたゾンビたちがペンギン歩きでぞろぞろやってくる。
「この子たちって、自我とかあるんでしょうか。会話ができたり……」
「ンー。そこまでの知能(AI)は組み込んでないですねー。この子たちは疲れ知らずの単純作業がウリなので」
「そういうもんなんでごぜーますかー……」
ひたすら単純作業を代行してくれるゾンビ。水夫に一人いてもいいかもしれない……そんな風に思う、マリナであった。
「ここからは私たちがばっちり運送しますので、ゾンビメイドさんは船室でくつろいで居てくださいね」
胸をどんと叩いて船に案内していく『圧倒的順応力』藤堂 夕(p3p006645)。
「それとも、頼ってもらった方が楽だったりします? メイドさんですし」
「あんまり気を遣われるとこまっちゃうかもですけど……わたし、家事とかあんまりできないですよ?」
「メイドなのに!?」
「こちら、ショップの制服ですので」
メイド服のスカートをつまんでみせるゾンビメイド。
「制服なのかー」
現代ジャパンで生まれ育ったイマドキJK藤堂夕。
彼女にとっての(幻想でやけに見かける)メイド服とは、アキバで散らし配る制服みたいなとこがあった。確かに家事に従事する格好ではなさそうだ。
船室に荷物一式を運び込んだ『絵本の外の大冒険』アルメリア・イーグルトン(p3p006810)。
さすがに小型船に10の個室というわけにはいかないので暫く相部屋になりそうだが、それもそれで冒険みがあるというものである。
「それにしてもゾンビのリース業……不気味な商売もあったものねぇ」
「こんな世界だからねー」
二段ベッドに寝転がっている『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)。
(基本的にゾンビなんてのは退治するものなんだけど……。それにここまで意思疎通が出来るゾンビってのも、なんか複雑だねほんと。まあ依頼人ではあるし、細かい事はいいや)
リンネがいなければ気づきもしない余談になるが、リースされるゾンビたちには死者の霊魂が全く感じられなかった。
いわゆる科学ゾンビ。血と肉と骨でできたロボット。クローンボディに疑似知能を与えたもののようで、そもそもリンネの管轄範囲外の生き物(?)だったようだ。
「屍どもは殺さずに愛でる。鮫の牙を受け止めて嘲笑う。奇怪な映画の類を足した結果。此れも素敵な物語に違いない。我等『物語』の一頁に記すのみ」
隣のベッドからむくりと起き上がる『Storyteller』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)。
どうやら彼女たちは、今回の船旅をそれぞれなりに受け入れているようだ。
「はいゾンビ! サメ! ベストマッチ!」
『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)は右ピースをピースを重ね合わせて二重のブイサインを作った。
「うーん新機軸! さすが混沌。属性の過積載! 魅力のビュッフェスタイルですね!」
「そういえば私、長い船旅って初めてだわ」
『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)は指で召し使いにサインを送ると、大きな黒いアタッシュケースを部屋に積み込ませた。
「あとで防衛も視野に入れることになるし、少し甲板を見てくるわね」
「行ってらっしゃいませ。しかし楽しみですね。船旅……うっ」
『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)が額を押さえてよろめいた。
「船旅、筏……う、頭が」
「かわいそうに。トラウマが残ってるんですね」
「なんのこれしき」
45度ほど傾いた身体をぴんと垂直に戻すと、幻はなかったはずのシルクハットからなかったはずの船のミニチュアを取り出した。
「(マリナ様もいることですし)船が沈む心配はない模様。今回こそは、快適な船旅を満喫し、させるとしましょう」
●美味しいご飯は幸せのもと
「できないわけじゃないしー! 凝った料理ができないだけだしー!?」
焼いた漫画肉をがつがつしながらカッと振り返るリンネ。
うるせえ日常の料理にレストランぽさはいらねえんだよ!
「同意オブ同意! 実家のご飯がなによりウマいのは宇宙の常識ですよねー!」
感情のネジを海に落としたのかってくらいはしゃいだテンションで同じ漫画肉をがじがじするヨハナ。
「違いない」
オラボナは謎のホイップクリームを謎な肉に謎く振りかけながらざわざわと笑った。
「美味。美味。美味だ。ホイップクリームはモツを意味する。夢見る牛乳と自害した鶏卵の出会いと混濁だ」
「…………」
パンにホイップクリームは定番だと思ってご相伴にあずかろうとしたアルメリアだが、オラボナの謎い空気に若干引いた。というか、本能があれはやめておいたほうがいいと言っていた。
「コホン……ええと、フランスパンとベーコンがあるんだけど、どうしようかしら。クラブサンド?」
「あら奇遇ね」
レジーナがライ麦のパンをパン切り包丁でスライスしながら振り向いた。
缶詰のコンビーフをスライスしたパンにうすく広げ、スライスチーズをかぶせる。そこへ鉢植えから切り取った葉野菜を千切って並べビーンミートとシーザーサラダドレッシングを振りかけていく。それを同じパンで挟んでやれば……。
「できあがるわ」
「できあがる!?」
ハッとしてテーブルを見ると、それらの作業を一通り終えた召使いがお辞儀をしていた。
もののついでなのか、アルメリアのフランスパンも斜めに切り込みを入れパンの上下で挟むように刻んだタマネギとベーコン、粉チーズとケチャップをふりかけたサンドが出来ていた。
「もうメシテロみたいな文章ね……」
「めしてろ?」
ふふふ、とスマホを片手に横ピースする夕。
「ジャパニーズジョシコーセーをなめてもらっては困りますよ。実家の味と言えばそう……米、焼魚、味噌汁!」
こってりファンタジーな幻想国家といえどここは混沌無限の世界。味噌も醤油もあるんだよ。
特に日陰に置いておけば暫くは日持ちする味噌は調理の共。
夕はエプロンをつけて鍋をくるくるやると、削った鰹節を清潔な布にくるんで湯に浸し、出汁をとって味噌をかきいれた。
隣では既にさばかれた魚が開いた状態で網焼きにされ、そのまた隣では土鍋がふつふつと音を立てている。
「うん……」
炊いた白米と焼き魚、そして味噌汁がテーブルに並び、夕はなんかちょっと感動した。
「あ、これ。すごくやばいです。海外旅行をしてる人が味噌と醤油を持参する気持ちちょっと分かります……」
涙をぬぐい。味噌汁に口をつける。
ザ、宇宙。
「そろそろお腹すいたでごぜーますな」
「そう言うと思いました」
船の舵取りをしながら羅針盤を見つめるマリナ。
そこへ銀のトレーにあの、なに、ごちそうを見せつけるために存在してそうなドーム状のフタみたいなやつ(正式名称はクロッシュ)をのせて幻が現われた。
「差し入れでございます」
クロッシュを開いて見せると、お皿におにぎりが並んでいた。
「中身は焼いた魚の身でございます」
「おー……」
メシテロ。
マリナは思わず呟いた。
●お風呂は乙女の帰る場所
フフフーンという鼻歌と、シーツ越しのシルエット。
シャワーの音に混じるリンネの声。
近づくカメラ。
びくりとしたシルエットのリンネは、咄嗟に振り返りシーツをはぐと……!
「ていう感じでよく出てくるよね、ゾンビ」
「きます?」
バスタオルと着替えを積んでやってきたゾンビメイドと、目が合った。
「人間は風呂に入らなくても死なない。あるアニメ監督は言いました。
けど……入らないのはそれはそれで! それはそれで!」
ヨハナはぶんぶん腕を振りながら、船の舵を握っていた。
その横で、暖かいぬれタオルを使って身体を拭くオラボナ。
「そういうものか」
「そういうものですよ。お風呂に入れないと濡れタオルで身体を拭いたりするものですけど、それでもねえ? なんかこう、石けんのにおい? させたいじゃないですか?」
「ふむ……」
物語に常識を求められても、という顔(?)をするオラボナ。
だがそんな乙女の願いを叶えるべく、幻は努力した。
「ドラム缶風呂でございます」
甲板に設置した仕切りの内側に、火で湯を沸かした風呂釜が置かれていた。
「おー……」
バスタオルを手に並ぶマリナ。
幻はカーテンを開いて、どうぞごゆっくりと手招きをした。
●娯楽は心で食べるもの
古書店のワゴンで見つけた本を、リンネは顔の上に開いている。
管轄外といえどゾンビがそばにいるというだけでなんとなあく心が落ち着かないのだろうか。リンネは黙々と文字を目で追っていた。
顔を覗き込む夕。
「その本っておもしろいです?」
「犯人はヤスダだったよ」
「それ一番言っちゃいけないやつでは!? というか……二度目なんですね?」
「二度目って言うか、何度目かな? 本ってこう、あれだよね。あれできるっていうか……」
もう何も話していないが、夕はなんとなく言わんとしていることが分かった気がした。
地球の日本でそうあるように、空想のようなこの世界でも空想は人々の娯楽だ。
決して短くない人生を、四次元とは別の方向に広げてくれる。
「本はいい。物語は、良い」
オラボナは隣でそんなことを呟きながら、羊皮紙の束に羽根ペンで詩をしたためていた。
そんな彼女たちの耳をさくかのように。
「船上っっ大デュエル大会っっっ!!」
聖なるデュエルガントレットを装着し、カードデッキをセットするヨハナ。
「聖人コレクションで!!!! 勝負!!!! だ!!!!!!」
「えっ」
カードゲームっていうからトランプかなって輪にくわわったマリナが二度見した。
「『聖人コレクション』デュエルを始めます。ヨハナ自慢の『青瞳の白柳(ブルーアイズ・ホワイトウィロウ)』の味に酔いしれることになるでしょうふふふ」
「聖人デュエルを挑まれたからには聖人でこたえざるをえない……わね!」
レジーナがキラカード『ブルーアイズホワイトセイント』を翻し、颯爽と現われた。
二度見するマリナ。
「えっ」
「何っ!? 貴様も!!!! ブルーアイズの所有者……!!!!!」
「驚くのはまだ早いですよ」
シルクハットの中から聖人カードデッキを取り出す幻。
早業でめくった一枚は、そう……!
「貴様も!!!!???? 三人めのブルーアイズ所有者だと!!!!????」
「えっ」
置いていかれているマリナ。
わーいと手を叩くゾンビメイド。
「私も一応買うだけ買ってみたけど……どのカードが強いの?」
アルメリアも同じカードのブースターパックを取り出した。
「流行ってるんですかそれ? ローレット内で?」
「あ、『八腕の孫ノ手神父(エイトハンズマゴノテ)』が出たわ。全てのトラップカードを破壊」
「レアカードじゃねえか!!!!!!!」
と、こんな具合で彼らの船旅は順調かつ楽しく過ぎていった。
だが安心するのはまだ早い。
船はじきに、危険海域へと突入する。
●サメ! サメェ!
お忘れのないように一旦おさらいしておこう。
海路を通る際、メテオシャークの群生地帯を通り抜ける必要がある。全長1メートルほどの空飛ぶサメで、噛みついて怪我をさせたり岩のようなボディをぶつけて体勢を崩したりしてくる船乗り泣かせのモンスターだ。
「護衛の時間だ。耐久の戯れだ。己の肉を貪るならば焼いた方が得だと思え。貴様等鮫には炎を扱う術がないか。否か。嵐の如く現れるならば壁の如く受け止めて魅せよう」
船の端に展開したオラボナは、真正面から突っ込んでくるメテオシャークにおらぼなくんけーきを叩き付けた。
はじけ飛ぶホイップクリーム。心を病んでいくメテオシャーク。
ビギャアと絶叫するサメの様子を見て、『あれ食べなくて正解だったかもしれない』とアルメリアは思った。
さておき。
「暫くは私も攻撃に加わるわ。怪我をしたら言って頂戴!」
アルメリアは口を開いて飛びかかってくるメテオシャークに対して魔力障壁を生成。緑色の光がメテオシャークの牙を一瞬だけ押し止め、そして強引に突き破ろうと迫る。
アルメリアはそれを見越して描いて置いた短縮魔方陣を発動。反発の魔術が衝撃をもってメテオシャークをはじき飛ばした。
「少し伏せてなさい」
レジーナはぱちんと指を鳴らすと、デュエルガントレットからカードをドロー。
「私は逆光騎士団を生贄に異端審問官スナーフを召喚。ダイレクトアタック!」
「それまだやってたの!?」
「『天鍵:緋璃宝劔天(つみぶかきものへのてっつい)』!」
異端者を叩きつぶすための聖なるメイスが無数に発生すると、その全てがメテオシャーク一体へと殺到。ばきばきに粉砕していく。
「私ここにいたらいいのー?」
後ろではリンネが甲板から下へと通じる階段を塞ぐように、あぐらをかいて座っていた。
メテオシャークが攻撃、もしきは侵入を試みる際に方向が限定されるようにわざと障害物を配置したレジーナによって、リンネがある種最後の砦となっていた。
砦というか、司令塔なのだが。
「まあ、長期戦は得意だからねー。まかせて」
はらはらと手を振ってバフを飛ばし始めるリンネ。
ヨハナはカードを扇状に広げるとなんかしらんけど髪型をトゲトゲさせはじめた。
「ヨハナは聖義戦士ジャストレイサーを生け贄に継承聖義ジャストライジングを召喚!」
「それ本当に流行ってるのね」
「デッドバタリオンを打ち砕け、ジャストレイブラスター!」
カードを突きだしながら、なにかのスプレー缶を投擲するヨハナ。メテオシャークの口にがぽっと収まったかと思うと魔術弾を発射。激しい破裂によってメテオシャークが吹き飛んだ。
「Smile,You Son of a ■■(くたばれ化け物)!」
「満喫していらっしゃいますね……」
幻はシルクハットをステッキで叩くと、縮尺を無視して頭が二つあるサメを召喚。飛びかかろうとしたメテオシャークをダブルで食いちぎった。
「あっ、それ! それいいですそれ!」
夕も手鍋をおたまでかんかんやると、フカヒレスープが召喚されてメテオシャークにびしゃーっといった。
「……」
「……」
「ビギャアアア!?」
「「効いてる!?」」
「それじゃあ、この調子でばんばんいきやしょー」
マリナは舵をとりながら拳を握ると、腕にくらいついてくるメテオシャークを殴り飛ばした。
「海の男(女)パンチ!」
「ビギャア!?」
それからしばらくして。
海域を抜けたイレギュラーズたちの傷を、リンネが包帯をくるくる巻き付けて治療していた。
「みなさーん、港が見えましたよ~!」
舵を取りながら呼びかけるヨハナ。
仲間たちとゾンビメイドが甲板に飛び出すと、明けた空と島が見えた。
「やー、楽しい船旅でしたねー。またお願いしちゃいましょうかしら? かしら!?」
ゾンビメイドは、にっこり笑ってそう言った。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お帰りなさいませ、イレギュラーズの皆様。
今回は楽しい船旅だったと、先方から伺っております。
なんでも楽しいカードゲームを覚えたとか。どんなカードゲームだったのでしょう。流行るといいですね。
GMコメント
【オーダー】
商品輸送&護衛のお仕事。
ゾンビ20体と依頼主のゾンビメイドさんを船に乗せて、数日間の船旅をいきましょう。
途中にはモンスターが発生するエリアがありますので、戦闘の準備もしておいてください。
依頼主が快適なら快適なほど、荷物(ゾンビ)が無事なら無事なほどグッドです。
【船旅】
数日間の船旅をします。
気になってるかもしれないので申し上げておきますと、今回リースする農夫ゾンビは食品衛生上の観点から防腐処理がかなり徹底されており顔色ピータンなことを覗いてはとっても清潔です。軽くラベンダーの香りもします。
依頼主のゾンビメイドさんに至っては接客を専門にすることからとても身ぎれいにしていて顔色ピータンなことを覗いては可愛いメイドさんと変わりませんし女の子のいいにおいがします。
●お食事
船旅の間、お食事は自分たちで作ることになります。最悪ディストピアメシを数日間もさもさし続けることになるので、お料理スキルは重要です。(仮にスキルがなかったとしても努力はきっと実ります)
食材はごっそり積み込んでおきますしその辺も依頼人持ちになっています。極端なモンでなければ『こんな料理を作りたいよ』とリクエストしてくれれば用意するそうです。
といっても冷蔵庫とかないので日持ちするものを置いておきましょう。
(※プレイングがお買い物リスト化しないように気をつけましょう。出番が食材の名前で終わると悲しいのです)
●衛生面
お風呂とか入りたくありません?
最悪濡れた布で拭いたり我慢したりですけど、やっぱ入りたくありません?
水に関しては日光蒸発式の簡易浄水装置があるので一日一回全員がお風呂に入る程度のことはできると思います。たぶん。
●娯楽
一日じっとしてる程度ならあんま無理じゃないけど数日間何も無い船の上にいると心を病むと聞きます。
なにかしら楽しいことをして過ごしましょう。移動することがお仕事なので、その間どう楽しむかも大事なはず、です。
【戦闘】
途中、メテオシャークの群生地帯を通り抜けることになります。
メテオシャークとゆーのは岩みたいに硬くてめっちゃ空を飛ぶサメです。
海面からビャッと出てきてシュッと突撃してきます。
バラバラに現われては船の中へ入っていこうとするので、そうならないように甲板に出て広く陣形をとり、個別に対応していきましょう。
多分やりたくなると思うので先に説明しておくと、何匹も固まって飛んだりしないので範囲攻撃に沢山巻き込めるタイミングはあんまりないと思われます。あと海に潜ってこちらから攻めに行くのもやめましょう。重傷まっしぐらのやつです。
メテオシャークの攻撃方法は物至単に限られ、【乱れ】タイプと【出血】タイプの二つがあります。
命中力は低いので一発二発はたいしたことなさそうですが、連続でこられると回避ペナルティの影響でかなり危ないので、対策をとっておくと便利です。
敵の数は『船が危険地帯を抜けるまでずっと』増え続けます。
ながーいターン数を戦える準備をしておいてください。最低でも30ターンは見て置いてください。
通常攻撃や消費無しスキルがとっても役立ちます。
※交代のススメ
戦闘の目的は甲板から奥へ行かせないことなので、4人体勢で適時交代しながら戦闘すると案外持ちこたえやすくなります。
無限ヒーラーとかいない場合の対策として頭の隅に置いておいてください。
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
Tweet