PandoraPartyProject

シナリオ詳細

花嫁オブザデッド

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●福音の下に
 幸福の一時が今まさに訪れていた。
 大きな教会。
 真っ白なドレス。
 素敵な飾りつけ。
 祝福の為に集まった友達家族、見知らぬ誰か。
 沢山の拍手を浴びながら、彼女はウェディングロードを歩いて行く。
(嗚呼……なんてわたしは幸せなんだろう)
 花嫁はとても朗らかな笑顔を浮かべている牧師の前に立ち、教会を埋め尽くす者達を見下ろした。

「オメデトウ」
「オメデトウ」
「オメデトウ」
「オメデトウ」

 誰も彼もが祝福し、手を打ち鳴らす。
(お母さん……わたしは今日、大好きな人と一緒に幸せになります)
 花嫁はステンドグラスの向こうに見える夜空を見上げ、煌めく星に微笑んだ。
 すると、場内が突然騒々しくなる。
 遂に来たのだ。彼女の番い鳥が。
 扉が派手な軋みを上げて開かれ、その向こうから青年が現れる。

「ひぃ!? ゾンビがこんなに……ッ、うわわわわーーーーっ!! 誰か助けてくれぇえええ!!」

●式場へ突撃せよ
「町中でゾンビが?」
 卓に着いたイレギュラーズが首を傾げる。
 どうやら今回『完璧なオペレーター』ミリタリア・シュトラーセ(p3n000037)が持ち込んだ依頼とは救出を兼ねた討伐任務のようだった。
「そうです。事件は数日前、サンドバーヴィットの町で酒場の店員が連れ去られた事から始まります。
 彼は町に住む普通の17歳の青年ですが、先月道端で倒れていた少女を医療所へ運び込んだ事があるようですね。つまり好青年です。
 何に目を付けられたのか、その後しばらく彼の母親の願いで町では捜索が行われている最中……教会へ連れて行かれるのを見たという目撃情報が」
 後は話を聞いていたイレギュラーズの想像通りである。
 駆け付けた衛兵が廃教会を覗いた中では無数のゾンビが蠢きひしめいていた。
 その数に恐れを抱いた町は今日まで手が出せず、経過を見守る事しか出来ないでいたというのだ。

「皆様にはこれを掃討していただくと同時に青年フランクを助け出して頂きます」
 ミリタリアは卓上へ資料を出しながら詳細の説明を始めた。

GMコメント

 ゾンビをヒャッハーするシナリオとなります。ちくわブレードですよろしくお願いします!

 以下情報。

●依頼成功条件
 フランクの救出
 ゾンビ達の撃破

●ロケーション
 サンドバーヴィットの町郊外に位置する丘の上の廃教会。丘の周囲には草原しかありません。
 そこそこ大きな教会だけあって内部の旧礼拝堂は70×70mのフィールドとなっており、内部では天井の朽ちたシャンデリアに火の玉が灯っているので照明は充分でしょう。
 廃教会は吹き抜けの二階へ内部の階段以外にも、教会外側に掛けられた梯子から移動する事も可能です。
 狙撃または飛行を用いた奇襲を得手とする方はそちらから侵入して行くのも手です。
 状況として、皆様にはOP冒頭の結婚式が始まったタイミングで突入していただきます。

●エネミー
 【花嫁ゾンビ】
 華奢な蒼白の少女が朽ちたウェディングドレスを纏ったゾンビ。
 毒花で作ったブーケと鋭い八重歯で攻撃して来ると思われます。

 【賓客ゾンビ】×40
 焼け焦げた死体が朽ちたスーツを着ている。しかし脆い。
 小走りで絡み付いて来て噛み付く系のゾンビ。ただし大変数が多いので立ち回り次第で苦戦するかもしれません。

☆人質☆
 『青年フランク』
 とってもフランクな好青年。まだ見ぬ未来の奥さんに出会えることを夢見て、酒場でグッとくるヤサグレお姉さんが来店しないかなーと思い過ごしている。
 何故かゾンビの大群を率いて来た花嫁ゾンビに拉致されてピンチ。
 割と打たれ強いので高威力の貫通とか範・域攻撃がヒットしなければ死なない。そして倒れない。

●情報精度B
 不測の事態は絶対に起きませんが、何故か弱点が……?

●ゾンビ速報[!]
 目撃者:通りすがりのネクロマンサーの証言
「やっちゃったなー、やっべぇなこれ……あ、えっとあれはヒール系とか聖なる光とか強い光に弱いと思うよ。
 うん……火は……火力次第かな、普通に殴るより効果あるだろうとは思うけど、うん」

 以上。
 皆様のご参加をお待ちしております。

  • 花嫁オブザデッド完了
  • GM名ちくわブレード(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年02月01日 21時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
無限乃 恋(p3p006272)
恋の炎を散らす者

リプレイ

●任侠者と傭兵に追われるネクロマンサー/数分後逮捕
「そこの通りすがり、ちょっと話を聞かせろ」
「ヒエッ」
「逃げるな、追うぞ」
「おう、任せろ」

●花嫁オーバー乱ッ
 青年フランクは恐怖した。何ゆえこのゾンビ達に自分は目を付けられてしまったのかと。
(ひえええええ)
 ガタガタ震える彼の目の前で「カハァァ」と掠れた吐息を漏らす牧師ゾンビ。
 だがこれは婚礼の儀、つまり結婚式。
「……ァ……ア……」
(この子は割と綺麗なんだけどなぁ~、ゾンビなんだもんな~、ヤッバイなこれ! 誰か来ないかなこれ!)
 ベールの下で微笑んでいる花嫁ゾンビは静かに瞼を閉じている。
 これが良い感じのお姉様だったなら、自分も満更でも無かったのだが。そんな事を考えている彼に天罰が下る事となる。
 牧師が手を広げ、何かを促す様に「コッファア」と言ったのだ。
「はい?」
「……ァアぁ……」
 上手い具合に悩める時も~のアレに肯定の言葉を漏らしてしまう青年フランク。という事でいきなり彼は花嫁ゾンビと誓いのキスをする流れとなるのだった。
 不意に近付いて来た花嫁が青年フランクの顔をがっしと掴み……

「  ち ょ っ と 待 っ た ! !  」

 勢い良く蹴破られ、吹き飛ぶ扉。
 涙目になったフランクが女々しく振り返った先に現れた、謎のヤクザが待ったをかける。
 礼拝堂のゾンビ達がどよめく。扉を蹴破った『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が半歩退いて次に現れたのは四人の花嫁衣装を纏った美女達だった。

「あたしたちが先約、ブッキングはお断り!」
「本当の花嫁はこの私……ケーキに入れる剣をちゃんと用意しました。フランクさんとケーキをオートクレールするのは私です!」
「花嫁に相応しいのは自分。ただの”死に損ない”程度のゾンビさんの出る幕はないのです」
「そんな腐った賞味期限切れより、若くて新鮮、将来性たっぷりのボクこそが花嫁に相応しいのよ!」

 『恋の炎を散らす者』無限乃 恋(p3p006272)に続いて。
 『要救護者』桜咲 珠緒(p3p004426)、『言うほどくっころしそうにない』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)、『いいんちょ』藤野 蛍(p3p003861)達四人が一斉に新婦へ集中砲火を浴びせる。
 実に華やかな光景である筈が一瞬で地獄に変えた彼女達はイレギュラーズ。これぞ特異運命座標。カーニバルコープス、コープスパンティ、ZANGEKI!
 長い沈黙と静寂が礼拝堂に満ちる。
 そして、その沈黙に再び恋が放火した。
「そう、あたしたちこそ真の花嫁候補なの。フランク君が、誰かを選んでくれるのを前々から待っていたのに……
 そこの花嫁ちゃんも横恋慕はダメ、みんなで話し(バトり)合わないと。ね?」
「ッ~~~!!」
「「お“ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛」」
 遂に花嫁ゾンビが声にならない声でブチギレ。絶叫と同時に礼拝堂を埋め尽くしていたゾンビ達が咆哮する。
「私たちの花嫁道を邪魔するゾンビは、みんな纏めて薙ぎ倒す!」
「おっけい、ちょうど舞台も恋領域、恋のバトルにはうってつけ! さぁバトルを始めましょ!」
 ドレスの裾を片手で持ち、その下からシフォリィが大剣を抜き。珠緒がカツン、と足元を鳴らした瞬間に教会に【保護結界】が展開される。
「折角ウエディングドレスを着てるんだ、花道の露払いをするのは俺の役目だろう」
 言いながら、ゾンビの密集する一画へ飛び込んで行く義弘。
 横殴りの一撃を見舞い、続いて脇から組み付いて来たゾンビを抱え上げ、味方へ向かおうとする敵に突撃。一気に周囲のゾンビ達を巻き込んで乱闘を繰り広げる彼を中心に乾いた血潮が飛沫を上げる。
 それによって更に花嫁ゾンビが何事か叫ぶと、礼拝堂奥の壇上を固める10体を残して他のゾンビ達も次々と教会出口の方向へ殺到していく。
「ひえぇぇっ」
 残したゾンビ達にその場を任せ、何が何だかといった顔で混乱する青年フランクの手を花嫁ゾンビが掴んで何処かへ向かおうとする。
 逃す訳には行かない。
「――ッ」
 刹那。花嫁ゾンビが青年フランクから飛び退いた。
 花嫁のベールが大口径の弾丸による衝撃波で千切れ、吹き飛び剥ぎ取られた。
 その様子を見た『静謐なる射手』ラダ・ジグリ(p3p000271)はライフルを肩に担いで移動する。
「運の良い……死んでからも人生謳歌しているとは、元気な死人もいたものだ」
 向かう先は、仲間を巻き込まぬ位置取り。
 階下へと降りる『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)と『白金のひとつ星』ノースポール(p3p004381)を含めた仲間達の援護、そして当然敵勢力の掃討である。
 二対の翼が羽ばたき、騒然とした礼拝堂へと舞い降りる。
 壇上に並ぶゾンビ達の背後を取ったミニュイは小さく頭を振る。
「ただ好きな……好きだった人と結婚式を挙げたいというだけなら、叶えてあげたい気持ちもあるけど。
 それ以上を望むなら、それは阻まれなければならない。病める時も健やかなる時もと誓うには、もう何もかもが遅すぎる」
 銃声が轟いたのと同時、気配に気付き振り向いたゾンビをミニュイの翼爪が切り裂く。
「――花嫁は、どうして彼を好きになったのでしょう? ゆっくりとお話ししてみたかったですけどね……さあ、新郎を奪還しましょう!」
 肩口を両断されたゾンビが倒れ込んだ先で白い羽根が舞う。
 ノースポールの衝撃波を帯びた掌底の一撃がゾンビを粉々に打ち砕き、周囲のゾンビを怯ませた。
「……ッ!」
 あちこちから現れた邪魔者を目にして何と認めたのか。花嫁ゾンビがその白過ぎる顔を悔しそうに歪ませる。
 或いは表情筋なるものが硬直しているせいなのだろうが、それでもその顔に浮かぶ色は不穏な感情による物だろう。
 再び号令の様に叫んだ直後、一部のゾンビを引き連れ、階上へ向かわせて花嫁ゾンビがノースポール達に挑んで行く。
 青年フランクは礼拝堂入口の方で大暴れしてる花嫁軍団と、目の前のゾンビな花嫁を何度も見てから悲鳴を挙げた。

●デッド・ウェディング
 礼拝堂奥から聴こえて来た銃声に混じり、青年フランクの悲鳴に恋が気付く。
「……フランク君パニクってる? 大丈夫ー? あたしの魔眼を見てー!」
「それはそうでしょうね……あとこの距離ではゾンビが壁になって視えないかと」
 義弘がゾンビを相手に縦横無尽に暴れていても敵の数が多い。未だ扉を背にしたまま膠着しながらの迎撃を強いられる事となっていた。
 しかし時折、階上からラダが援護射撃をする度。一行によって集まったゾンビを確実に、それこそ時には複数まとめて急所を撃ち抜いて倒している。
「頭ァ下げな!」
「はい! ―――バレェ・フェニックス!!」
 飛び散る乾いた血潮。何故か執拗にシフォリィの足元を狙って来るゾンビを斬り払っている最中、義弘が殴り飛ばした賓客ゾンビが群れにストライクする。
 屈んで避けたシフォリィはその手に握る大剣に焔を纏う。
 不意を突いたつもりで飛び掛かって来たゾンビを袈裟斬りに、続いてその身を包む純白のドレスへ降りかかる血潮ごと彼女は舞う様に全て剣先で斬り払い鮮やかに刻んで抜けた。
「ぁ゛ぁ゛あ゛ア゛」
 燃え上がるゾンビが転がり、淡い光と共に消えて行く。
 僅かに散った炎を嫌っているのか、ゾンビ達はそこから怯んだように散らばる。
 そこへ、恋と珠緒。蛍達が放った癒しの光弾が次々に降り注ぐ……!

【アア……暖カ……イ……オ迎エガキタノカ…………】
【幸セニ……ナレヨ……】
【私ノ子……ボウヤハ生キテル……アノ火災、ヲ生キテ……】

 着弾した光弾はゾンビ達の全身を包み。消滅の間際に辺り一帯に何ともやるせなかったり意味深なセリフが響き渡る。
「ちょっとやだ……ボクいま……」
「あたしもなんか悪い事した気分に……」
「なんですか今の」
「B・フェニックス撃ち辛くなったじゃないですかどうするんですかこれ」
 花嫁.Sに動揺が走る。が、だからと言って撃つのは止めないし斬るのも止めない。ちょっとした恋の行き違いならどこでも良くある事だと恋は頷いた。
 三人娘が癒しの光を放ってゾンビに着弾する度、やるせないような微妙な気持ちになる声が礼拝堂に続々と鳴り響いて行った。
 しかし、その甲斐はある。
「多かったが、それだけだな。数が減れば何て事はねえ……!」
「ァ゛ァ゛ア゛」
 脆くなった床板を踏み割り、木片をブン回しての一撃でゾンビが錐揉みする。
 派手に暴れた分、彼の全身に細かな傷が増える。だがダメージは後衛の花嫁こと蛍が波の合間に隙を見て癒せば問題無いだろう。
「生命力が違うのですよふふ う ぐふぉぁ……」
「結婚の祝福はね、二人の幸せを祈って捧げるのよ。どんな深い想いがあるのかわからないけど、新郎新婦が幸せを共有してないなら……って珠緒さんーー!?」
「珠緒ちゃん!? お願い死なないで! 今ここで倒れたら、あたしやフランク君との観覧車からダイブするデートはどうなっちゃうの?
 ゾンビも半分を切ってる。ここを耐えればフランク君に誰を花嫁にするか選んで貰えるんだから!」
「ぐふぅ そ そんな思い出、捏造しないでくださ……」
「何やってんだ? お前ら……」
【ォオオ……ブロイラーサマァ……ナゼェェ……】
 フラつきながらも「大丈夫です」と一言の後。特大のメガヒールを牧師ゾンビに射ち込んだ珠緒は満足気にウェディングドレスを揺らした。
(さて……これだけ視界が明けて来たなら恐らくフランクさんに【テレパス】も届くでしょうか……ふむ?)
 シフォリィと義弘が奮戦する前衛の向こう。青年フランクが蹲っている壇上周辺へ珠緒は視界を巡らせる。と、その時だった。
 彼女へ『音』とは別のメッセージが伝わって来る。その伝達、情報の内容はノースポールからの物。
 丁度その時、義弘がシフォリィを宙空へ投げた後にゾンビの一群が彼を追っていった事で壇上までの視界が一気に晴れる。
 状況はすぐに分かった。

●ブライド・オブ・ザ・デッド
 硬質化した翼が振るわれる度、ゾンビが千切れ飛ぶ。
「ぉ゛あ゛あ゛あ゛」
 背中に飛びついて来たゾンビを振い落としたミニュイが脚の爪で貫き、正面から駆けて来た数体へ赤く光る羽根を射出。直後、その羽根を中心に空間が爆ぜる。
 爆撃によって生じた噴煙を突き破り、躍り出る花嫁ゾンビがミニュイの翼に腕を絡ませてその根元に噛み付こうとした。
「……!」
「ガァアッ!!」
 辛うじて弾くも八重歯に切り裂かれたか、微かに鮮血が花嫁衣装を濡らす。
 鋭い眼光が瞬く。壇上のゾンビを殆ど切り刻んだ翼爪が鈍い輝きを垣間見せる。
「泥棒猫はこっちにもいますよっ!」
 ノースポールが名乗りを挙げて花嫁ゾンビの意識を逸らしたと同時、一瞬だけ翼を羽ばたかせたミニュイが両翼をクロスさせる。
 硬質化、羽根の質感が変化したように見えた時には、生半可な金属を鍛えた剣よりも遥かに切れ味のある刃となっていた。
 既に花嫁ゾンビは幾度と他のゾンビを両断した物だと、知っている。
「~~! …………っ? ァァア!?」
 反射的にミニュイに背を向けて伏せた花嫁ゾンビ。
 だがしかし。凶悪な翼爪による一撃はいつまで経っても彼女を襲わなかった。
 代わりに、ノースポールと立ち位置を入れ替わる様にして反転。青年フランクを抱え飛び去ったのだ。
 白い手を伸ばしても既に遅く。何より礼拝堂奥の反対側へ移動していたラダがそれを許さない。
 掌を撃ち抜かれた花嫁ゾンビがブーケを片手に転倒した。
「っ……!」
(この距離ならブーケトスが来たら銃身で叩き落せるかな。私、まだ結婚願望はないんだ)
 礼拝堂の二階、スコープ越しに睨む花嫁ゾンビを見て移動しながらラダは手元の対戦車ライフルを見やる。
 花嫁ゾンビの下へ、ノースポールが近付いて来る。
「誓いの言葉で『死が2人を別つまで』と言いますよね。残念ながら、貴女は死んでいるのです。生者とは結ばれません……!」
「ゥ……ゥウウゥウッ!!」
 ブーケを片手に掴み掛る花嫁ゾンビが吼える。
 既に幾度かの打ち合いと戦闘でボロボロになってしまったドレスが、皮肉にも死者である彼女を先ほどより美しく彩っていた。
 対して、生者であるノースポールは何もかもが彩に満ちていて。尚の事白く、温かみのある存在感を与えていた。
 振り下ろされるブーケを正面から受け止めたノースポールは、そうして顔を歪ませる花嫁に胸を痛める。
 同情するつもりは無くても、分かるものはある。
(誰だって、好きな人と結婚したいよね)
「シャァァァッ……!」

「そこまで、です! 貴女を花嫁にするわけにはいきません、私があの人をもらいます!」
「その通り……乱入新婦に、ボクはなる!」
「ふふふ、めくるめくローレットの夏。シャイネンナハトの雪上戦。フランク君との思い出の数々が力をくれる……あたしは負けない!」
「その理屈なら恋さん無敵ですね」

 来てしまった地獄からの使者、花嫁.S。
 ノースポールが「いまはやめてあげて~!」というジェスチャーをするが、もう遅い。恋と修羅場はノンストップで押し寄せて来るのがお約束だった。
「ちょっ、待ってあげt
「くらえあたしのフランク君への想いを乗せた熱視線☆」
 ウェディングドレスを着ていると更に強くなった気がした。ウインクで花嫁ゾンビにトドメを刺した魔法少女は後にそう供述していた。

 ……バサリと、毒花のブーケが礼拝堂に落ちる。

 ──────
 ────
 ──

「……ァ…………ァ……」
 灰と光の残滓が礼拝堂に吹き荒れる下で、壇上に横たわる花嫁ゾンビだけは未だ消滅せずに居た。
 胸元に空いた風穴によるダメージによって動けない様だった。
「……彼女達はどうしてゾンビとなって発生したんでしょうか、この教会には何も無い様でした」
 ひとしきり駆け回りながら残りのゾンビを倒して来たノースポールが考える。
 花嫁.Sの話では彼等ゾンビ達に共通点は実は無い。強いて言えばいずれも焼死体のようだったが、だとしても、花嫁との関連性が見つからない。
 そしてそこに考えが至ればやはり。
「なぜ人を拐うゾンビが現れたのか、そこは分からねぇが。詳しい事は、この通りすがりのネクロマンサーにでも喋って貰おう」
「あいたーッ!?」
「そういえば……何故通りすがりのネクロマンサーが弱点とか知ってるんでしょうか、実は間違って復活させてしまったとかじゃないですよね……?」
 教会の外に縛り倒しておいた魔術師のような、死霊術師のような風貌の男を義弘が引き摺って来る。
 シフォリィはふと、依頼を受ける前に思っていた疑問を口にすると。
「……し、知らないナ~……」
「3、2、1……」
「きぇぇええっ!? 何そのカウント! 何そのライフル! 分かった話す話すよ!」

 そうして、自称魔術師のその男はポツリポツリと語り始める。
 事は数日前。男は王都へ用がありサンドバーヴィットの町を通った際、偶然道端で倒れていた少女を見つけたのだという。
 それが花嫁ゾンビであり。名も知らぬ少女だった。
 男は町の警邏に報せようと少女を連れて行こうとしたが、なんと未練が強かったのか。少女は霊魂と疎通できる男に突然頼みごとをしたのだという。
「……私はただ、その子の初恋を一瞬だけ叶えてあげようとしただけサ」
「そんな事が……」
「いやまて」
 義弘が待ったをかけた。
「あの大量のゾンビはなんだ」
「あれはうっかりここであの子をゾンビ化した時にここの地下に埋まってたのがわーっと……」
「憲兵に引き渡そう」
「賛成です」
 満場一致で魔術師の男はラダと義弘に首根っこを掴まれて連行されて行った。
 ……連行していくその最中、ラダは一度振り返り。
「──ところで、あの花嫁も真剣には違いないだろう。思いへの返事なり、一度くらい言葉を交わしてもと思うがどうだ、色男」
「え……?」

 困惑するフランクに、今度は静観していたミニュイが歩み寄る。
「フランクには花婿に選ばれた事について心当たり無いのかな。例えば、その子が先月……フランクが医療所に運び込んだという少女だったりはしないのかな」
「医療所……医療……ッ、あ。ぁあ……! あの時の!?」
 フランクは相手がゾンビだという事も忘れ、横たわる花嫁に駆け寄る。
 白い、白い肌はいよいよ最期の時が近付いているのか。チリチリと灰になって行く。
 だが青年は思い出した。
「どうして……あの時は、もっと君は幼くて。もっと痩せこけていたじゃないか……それがこんなに綺麗になって、何故いまさら俺なんかを……」
「……ァ……」
 花嫁は語らない。それは、生者ではなく霊魂でもなくなったから。
 人ではない、もう言葉は交わせないのだ。
 だが───

【……暖カカッタ、カラ……パパトママミタイデ……ズット、傍ニイテ……欲シカッ…………

 ───最期の声は。確かにフランクの記憶通り、外見に似合わぬ幼い声音だった。

「……」
 宙に消えて行く灰と光を見上げる一同の後ろで、ノースポールは礼拝堂に落ちていたブーケを拾い上げる。
 幼い少女がよく分からず摘んだ花。ブーケに選ぶほどだ、恐らくは元々目にしていたのだ。
 この鮮やかな紫紺の花が好きだったのだろう。
 ボロボロのブーケを、ノースポールは静かに抱き締めた。
(私には、素敵なブーケに見えますから)

成否

成功

MVP

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳

状態異常

なし

あとがき

【少女に親は無く。その生涯は孤独に満ちていた。
 幼い少女に構う大人もいなく、寒さと空腹に耐えかねて教会の傍に生えていた草花を口にする。
 倒れた少女はこのまま死ぬのだと思っていた。
 そんな時である、都合9人もの大人達が少女を見て見ぬふりする中で彼女へ歩み寄って行った青年が現れたのは】

 ……尚ネクロマンサーが獄中で語るに、「花嫁は綺麗でないと」という理由だったとか
 お疲れ様でしたイレギュラーズの皆様。
 ゾンビの集団を前に一歩も退かず花道を拓き続けた貴方にMVPを。

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