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シナリオ詳細

白い大地で雪合戦!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●立ちはだかるは、雪原の支配者達
 季節はすっかり冬。
 大陸の北側でも平原には雪が積もっており、周囲はすっかり銀世界となっている。
 冬はまた、鉄帝という国にあって厳しい季節。
 作物もなく、身も凍えるこの時期を、機械交じりの体を持つ者達は耐え忍びながら過ごす。
 だが、中には強靭な肉体を維持すべく、敢えて雪降る中で己の体を鍛えようと鍛錬を続ける者達もいる。
「いくぞ!」
「おおっ!!」
 雪原では、ガタイのよい鉄騎の男達がランニングを行っていた。
 一通り走り終え、実戦形式の組み合いを行おうとしたところ、彼らは雪原で妙な光景を目にする。
「なんだ、あれは……!?」
 そこにいたのは、たくさんの雪だるま。それが意思を持って動いている。
「我らと一緒に」
「雪合戦をするのである!」
 中には、5mもある雪だるまが2体おり、雪合戦による勝負を挑んで来ようとしてきた。
「「雪合戦!? ガハハハハハハ!!」」
 だが、そんな遊びに付き合っていられるかと、鉄騎の男達は大笑いして。
「そんなガキみたいな遊びなど、やってられるか」
「鍛錬の邪魔だ。そこを退け!」
 彼らはにやけながら、雪だるま達へと大剣、斧、拳といった手段で直接攻撃を仕掛けていく。
「ルール無視の愚か者は」
「成敗である!!」
 大型雪だるまは木の棒やスコップを持ち、小型の部下を従えて血気盛んな男達と応戦する。

 しばしの後、鉄騎の男達は雪の上に転がっていた。
「つ、強い……」
「……まさか、雪だるまなんぞに負けてしまうとは」
 これには鉄騎の手練達も肩を落としてしまい、すごすごと鉄帝へと戻ってしまう。
「我らと戦うなら雪合戦で」
「正々堂々と戦うのである」
 大型2体の言葉に、小型の雪だるま達は大きく頷く。
 雪原を占拠する雪だるま達は胸を張り、雪合戦の挑戦者を待つのである。

●雪原を占拠する雪だるまを打ち負かせ!
 イレギュラーズ達が幻想のローレットに向かうと、カウンターの付近で上機嫌な『穏やかな心』アクアベル・カルローネ (p3n000045)の姿があった。
「皆さん、雪ですよ、雪!」
 外にちらつく雪に、アクアベルがテンションを高くしているのは、雪とはなじみが薄い場所で育ったからだろう。
 一見大人びたように見えて、まだ世間知らずな少女の面も見せていた彼女だが、イレギュラーズが集まったことで情報屋としてしっかりと依頼について話し始める。
「鉄帝の近くの平原に雪が降っていたのですが、そこに20体弱くらいの雪だるまさん達が占拠しているのです」
 基本的には、人間種の一般成人と同程度の身長だが、2体程全長5mある雪だるまがおり、群れを統率している。
 彼らは雪原のあちらこちらに雪の塊を作って障害物としつつ、戦場となったその場所で雪合戦に臨む猛者を探しているようだ。
「基本は、雪玉で攻撃して相手を倒すのがルールとのことですね」
 雪を使った弾丸、矢、魔法は可。もちろん、素手で作った雪玉を投げるのも問題ない。
 一方で、剣、斧、槍、格闘など、近距離武器は雪だるま達としては「ルール無視」なのだとか。
 直接切りかかる、殴りかかるといった手段で攻撃してくる者には、容赦なく折れることのない木の棒やスコップで成敗してくる。
 ガタイの良い鉄騎種の一団をやすやすと倒す力を持っており、ルール外での勝利はかなり厳しそうだ。
「できるなら、彼らが望むとおりに雪合戦で勝負を挑んだ方がよいかと考えます」
 大型雪だるまは後方から狙撃を行う。ロケット砲で広範囲に攻撃してくるのが怖いところだ。
 残りの小型は半数ずつ、狙撃と遊撃に分かれて仕掛けてくる。遠距離と中距離を得意とする相手だ。
 相手の情報を纏めた紙を配布しつつ、アクアベルは最後に告げる。
「雪合戦、機会があれば、私もやってみたいですね」
 そんな本音を見せつつ、彼女はイレギュラーズ達に雪だるま達の気が済むようにバトルをしてきてほしいと願うのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。GMのなちゅいです。
 雪原での雪合戦バトルで、雪だるま達をぎゃふんと言わせてください!

●目的
 全ての雪だるま達を打ち負かすこと

●敵……雪だるま18体
 どうやら、旅人の一団のようです。
 基本、雪玉のみの攻撃を行います。また、戦闘不能になっても、体が崩れることはありません。
 ただ、ルール無視で直接武器などで殴りかかろうとする相手には、棒を手に持って全力で成敗してきます。

◎大型……2体
 全長5mほどある雪だるまです。
 基本、後方で指揮をとりつつ、攻撃を仕掛けてきます。
 近接攻撃を行う者には滅法強いので、くれぐれもご注意を。

・成敗である!(物近単)※ルール無視時のみ
・大雪玉狙撃(物遠単・飛)
・雪玉乱舞(神中扇)
・雪玉ロケット砲(神遠範・溜1・氷結)
 広範囲に巨大な雪玉をぶつけてきます。

◎小型……16体
 1.5~2m程度と一般成人人間種と同等程度の大きさです。

〇狙撃班……8体
 大型の手前からバリケードで身を隠しつつ狙撃してきます。
・成敗なのだ!(物近単)※ルール無視時のみ
・雪玉狙撃(物遠単・飛)
・雪玉ガトリング(神中扇)

〇遊撃班……8体
 積極的に相手へと近づき、雪玉をぶつけてきます。
・成敗してやる!(物近単)※ルール無視時のみ
・雪玉投擲(物近単・ブレイク)
・雪玉狙撃(物中単)

●状況
 現場は、鉄帝付近の平原。雪が積もって雪原となっております。雪は7、80センチ程度積もっており、所々に雪だるま達が作った雪の塊(1.5~2m程度)があり、障害物として使えます。
 雪だるま達は雪原に現れる者に、雪合戦による勝負を挑んできます。
 大型と狙撃班が奥でバリケードを作った上で、遠距離から雪玉を投げつけ、さらに遊撃班でこちらに雪玉をぶつけてきます。
 イレギュラーズ、雪だるま共に、戦闘不能になった者(パンドラ復活はОK)は、戦場から離脱します。
 なお、雪玉を使わず、剣などの近接武器で戦いに臨む場合、依頼成功の難易度が上がりますので、ご注意ください。

●情報確度
 A。想定外の事態(オープニングとこの補足情報に記されていない事)は絶対に起きません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 白い大地で雪合戦!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月13日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

冬葵 D 悠凪(p3p000885)
氷晶の盾
ニーニア・リーカー(p3p002058)
辻ポストガール
タルト・ティラミー(p3p002298)
あま~いおもてなし
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
リナリナ(p3p006258)
シエル(p3p006444)
天空の狙撃役
VeMP 49(p3p006711)
汎用殲滅型機械式戦闘人形
ジョージ・ジョンソン(p3p006892)
特異運命座標

リプレイ

●雪原で挑戦者を待つ雪だるま達
 鉄帝付近の平原。
 ちらちらと雪が舞い、一面銀世界となったこの場所に8人のイレギュラーズ達がやってきていた。
「ここ雪だらけ! 寒い! 冷たい!」
 ワイルドな原始少女、『原始力』リナリナ(p3p006258)は積もった雪にテンションが上がり、思いっきりはしゃぐ。
「でも、ダイジョーブ!! いっぱい動く! 肉食べる! からだポカポカ!」
 リナリナは難しいことは考えていないが、のーぷろぶれむと元気に降り積もる雪の上を駆け回る。
 そして、その平原で挑戦者を待ち受けていたのは……。
「我らと一緒に」
「雪合戦をするのである!」
 陣地にバリケードと戦場に無数の障害物を作り、じっとこちらへと見つめる大きな2つの雪玉でできた体を持つ雪だるま達だ。
「……なんとも不思議なものですね」
 弱気な態度もあって儚げな少女、『氷晶の盾』冬葵 D 悠凪(p3p000885)がこの状況に風情があると素直な感想を口にしていた。
「実際やるのは初めてですが、まさか雪ダルマと戦う事になるとは」
 クールなサイボーグ、『高機動偵察兵』シエル(p3p006444)はそういうが、彼女でなくとも雪だるまと雪合戦の交戦経験のある者はまずいないだろう。
「あらまあ、雪だるまちゃんと雪合戦をしたらいいのね?」
「雪だるまとの雪合戦だなんて、面白いわね~」
 ふんわりおっとりとした『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)も、ツインテールをドリル……もとい、縦ロール状にした『あま〜いお菓子をプレゼント♡』タルト・ティラミー(p3p002298)も、この状況を楽しんでいる様子だ。
「んふふ~、ここは童心に返って雪合戦を楽しんでしまいましょ~」
「さぁってと、遊びであればボクも本気出しちゃうわよ~♪」
 嬉々として、作業に取り掛かる2人。
 すでに、『混沌の名所マップ作成人』ニーニア・リーカー(p3p002058)は自前の馬車の車輪を外し、板を付けてソリに改造など、準備を進めている。
「雪だるま相手に雪合戦ですか……」
 だが、今回のチーム唯一の男性、『特異運命座標』ジョージ・ジョンソン(p3p006892)は可愛らしい見た目の相手に懸念も示す。
「これだけを見ればすごくほのぼのしてるんですが、彼ら鉄帝の人たち相手に勝ってるんですよね」
「鉄帝の手練れを、格闘戦で正面から打ち負かす雪だるま……。割とシャレにならないわね」
 そんな事情もあって、ジョージが足を引っ張らないよう頑張りたいと語ると、オートマタ……自律思考型機械式人形の『汎用殲滅型機械式戦闘人形』VeMP 49(p3p006711)も相手の力に脅威を覚える。
 ただ、その話は、ルールを無視した場合の話。
 旅人らしいので、雪だるま達には特定状況下でのみ発揮できる力があるのかもしれない。
「雪ダンゴの集団倒す! 倒す!」
 その撃破に強い意気込みを見せるリナリナに、メンバー達は準備を進めつつルールを教えることになる。
「おーっ、攻撃方法、雪丸めて投げつける! 使える武器、雪玉のみ!!」
 なお、雪の矢、弾丸、魔法は可。拳を含む直接殴る近接武器は不可というのが雪だるま達の定めたルールだ。
「おーっ、リナリナおぼえた! ダイジョーブ! るーるまもる! 任せろ!」
「ルールに則ってやる分には面白そうね」
 改めてルールを確認した49も、この戦いに楽しみを見出していたようだ。
「もう数ヶ月したら、雪ともお別れですからね」
 悠凪が言うように、冬だからこそできることでもある。
 楽しめる時に目いっぱい楽しんで、冬の思い出の一つとなれば。
「楽しみつつ、きちんと依頼も完遂しましょう」
 準備を整えたイレギュラーズ一行は悠凪の主張に同意し、雪だるま達へと接触していくのだった。

●正々堂々と勝負する為に
「我らのバトルフィールドに」
「ようこそ、なのである」
 見上げるほどに大きな大型雪だるま2人がやってきたイレギュラーズ達を出迎える。
 その周囲では、イレギュラーズと同程度の身長の雪だるま達がペコリと頭を下げていた。
「こんにちは、雪だるまさん達」
 まずはニーニアが一行の代表として、挨拶を交わす。
 今回の勝負に当たって、イレギュラーズ達は一つ思うことがあり、それを指摘しつつ交渉することにしていた。
「雪だるまさん達は正々堂々と雪合戦で戦おうって言ってるけど、自分達の陣地はバリケードで守ってるんだよね?」
 後方から、49がその交渉を見守る。話の通じる相手であればよいのだが……。
「そんな風に防御固めてるの、ずるくない?」
「流石に雪だるまだけだけってのは、不平等じゃない?」
 ニーニアの交渉の合間に、タルトが合いの手を入れる。
「正々堂々という割りには、こちらには準備をさせてくれないの~?」
「確かに、このままだとあまりに不平等すぎますね」
 さらに、レストが『信仰蒐集』を働かせてカリスマを活かして、不利を主張すると、ジョージも口をはさみ、交渉を援護する。
「言われてみれば」
「確かにそうである……」
 雪だるま達は、その主張に頷く。
 確かに、戦場となる雪原には、雪だるま達の陣地しか用意されてはいなかったのだ。
「正々堂々って言うなら、僕達も同じように陣地を整えさせてくれてから始めてもいいんじゃないかな!」
「楽しい雪合戦にしたいなら、ボク達の方にもバリケードが必要ってもんでしょ♪」
 ニーニアがこちらの提案を持ち掛け、タルトがさらにその必要性を示す。
「試合に当たり、先に陣地設営を準備を。それがこちらが勝負する条件です」
 改めてジョージがイレギュラーズの主張を示すと、雪だるま達はううむと唸りこむ。
 数の上でも、雪だるま達が有利。
 ニーニアはそれを指摘して、それくらいはさせてほしいとさらに畳みかける。
「その方が、拮抗した熱い戦いが楽しめると思うんだけど、どうかな!?」
「わかったのである」
「ここは我らが折れるべきなのである」
 雪だるま達は勝負は別としながらも、イレギュラーズ達の提案を飲むことにしていたようだ。
 そうして、雪だるま達とは逆側に一行の陣地を築くことになるのだが。
「も ち ろ ん、アンタ達にもバリケード作りを手伝ってもらうわよ~☆ミ」
 早く勝負したいなら、尚更手伝ってもらわないと。
 タルトは笑顔で威圧し、スコップを差し出した。
「それに、正々堂々雪合戦で戦うって言ってるアンタ達なんだから、バリケードのクオリティはそっちと同等のものよね?」
 有無を言わさぬタルトの言葉に、雪だるま達もしぶしぶ従っていた様子。
 レストはそれにくすりと笑いながら、陣地の作成を進めていくのだった。

 雪だるま達の力を借り、イレギュラーズ達の陣地にも大きなバリケードを築いていく。
 彼らもバリケード造りはちょっとこだわりがあるようで、敵陣の物だろうが、決して手は抜かない。
 バリケードは非常に厚く、硬い。並大抵の攻撃では破られる壁ではないのは間違いない。
 悠凪はその後ろに支え、木でフレームを作るといった提案もすると、雪だるま達はふむふむと自分達の陣地の分も作り直そうかと考えていたようだ。
「そういえば、小型船もありますが……」
 悠凪はこれもバリケードにと、利用することにしていたようだ。
 そんな中、雪上を楽しそうに駆け回っていたリナリナ。
「リナリナ全く平気! でも、みんな寒いのか?」
 仲間達が寒そうにしていることに気づいた彼女は、しばし首を傾げて。
「なるほど、リナリナわかったゾッ!」
 バリケードの後ろに、彼女は焚き火を起こす。
 雪だるま達には近づかぬよう注意してもらいつつ、これで冷えたら暖をとることもできる。
「拠点確保! コレ大事だなっ!!」
 バリケードだけは雪だるまに助力を得て作ったが、後はこちらの作戦もある。
 例えば、ニーニアは相手には気づかれないよう、雪原に水を撒く。
 雪だるま側から陰になって見えない場所に仕掛けることで、一気に攻撃できるようにとの作戦だ。

●雪合戦スタート!
 しばらくして、両者が各陣地へとつく。
「おーっ! 雪! 雪! 雪合戦!!」 
 リナリナがテンテケテンテケと戦いの舞を踊り、試合が開始する。
「んっふっふっ♪ バトルスタートよ☆ミ」
「無論、手加減はしないわよ!」
 タルトも49も気合を入れ、それぞれの役割に動き始める。
「偵察兵として、空から相手の動きを偵察し負けないよう頑張るとしましょう」
 早速雪だるま遊撃班が前に出てくる中、シエルは雪玉を持ちつつ全力で飛び上がる。
「ギフト起動。視野拡大開始」
 シエルは地上40mの高度を維持し、浮遊する。
 その上で、自らのギフト『全天球視野』と超視力を駆使し、シエルは雪原上空から雪だるま達の居場所を捕捉していく。
 さらに、地上からは49がエネミーサーチを行い、シエルの索敵と合わせて敵の捕捉の精度を上げる。
 彼女達が偵察の結果を廃テレパスで皆に伝達してくれることもあって、遊撃班の居場所はほぼ筒抜けだ。
「スノーボール・パーティと洒落込むわよ!」
 49は壁の裏にいる雪だるまを狙い、プラズマライフルを雪弾射撃モードにして1体ずつ攻め立てる。
「なぜわかった!?」
 これには遊撃班も、驚きを隠せない。
 後方からは大型が支援のロケット砲を発射してくれるが、現状、イレギュラーズは自陣営メインに展開しており、届かない。
 ともあれ、メンバー達は1体ずつ遊撃班を戦場から離脱させるべく攻め立てる。
 雪玉の生産はジョージが請け負い、時に水をかけて凍らせた玉などを作っていく。
 正々堂々という心構えからか、相手が雪玉に異物を入れることはなかった為、彼も雪玉のみで残弾を増やす。
 タルトがバリケード越しから、その雪玉を投擲していくが、一手間加えて。
「逃げるたい焼き用に編み出したパイ投げの要領だよ☆ミ」
 平べったくなった彼女の雪玉を食らわぬよう、遊撃班は障害物に身を潜め、隙を伺っていた。
 完全に押されてはいた雪だるま達だが、遊撃能力に優れる彼らも本気で素早くこちらとの距離を詰めてくる。
「いくぞ!」
 雪玉を渾身の力で投げつける敵に対し、リナリナは左手を突き出してダメージを軽減する。
「リナリナ投げるの得意! るら~!!」
 自身で作った雪玉を空へと投げるリナリナの姿に、遊撃班は首を傾げて。
「わははっ、なんだ、それは!」
 嘲笑していた遊撃班だったが、次のタイミングで空から流星のように雪玉が落下してくる。
 しかも、そこは丁度、ニーニアが水を撒いて凍結していた場所。
 狙撃班は足を取られて滑ってしまい、頭上から降る雪玉を避けられない。
「「のわあああっ!」」
 体力を失い、離脱する者も出始めていたようだ。
 相手の位置はシエル、49が教えてくれはするが、素早い相手の動きはテレパスでの伝達速度の上を行く。
 主に、遊撃班が投げつける雪玉の盾となっていたのは悠凪だ。
 命中に難を覚えていた彼女は自身の小型船を使って至近にまで迫り、遊撃班へと雪玉をぶつけていくこととなる。
 『決死の盾』を使い、他メンバーのカバーにも回ることで、悠凪はこの戦いの勝利を目指す。
 そんな彼女を含め、迎撃に当たる者は徐々に体力を削られていた為、レストが練達の治癒魔術を使って仲間達の癒しに当たる。
 合間を見て、レストも雪玉を乗せた式符を投擲していたようだ
 そして、ニーニアは雪で作ったマジックロープで攻勢に出ており、先端から雪玉を投げつけていく。
「ぬ、ぬかった……」
 思わぬ位置からくる攻撃に、遊撃班も次々に倒れてしまっていた。

●敵の陣地に攻め込め!
 多角的な攻めを見せるイレギュラーズ達。
 程なく、狙撃班を殲滅した一行は攻めへと転じる。
 その際も、やはり、シエルの活躍がめざましい。
「ターゲット確認、攻撃を開始します」
 地上からの攻撃と合わせ、シエルはマギシュートに雪玉を乗せて射出し、相手狙撃班を撃ち抜いていく。
「的になっているのだ!」
「散開するのだ」
 狙撃班は急いでフォーメーションを変え、シエルの魔力弾に乗せた雪玉に当たらぬよう移動しながら、攻め来るイレギュラーズ達を狙撃していく。
 そこで、上空を飛んできた梟。
 レストが飛ばしたその梟は、どさりと相手陣地へとハンカチにくるんだ何かを投下する。
 雪の上に散らばったのは、レスト持参のアイスキャンディーや、タルトがギフトで作ったたくさんのお菓子だった。
「お菓子なのだ!」
「ボクも食べるのだ!」
 これには、狙撃班達も目を輝かせ、我先にと飛びついていく。
「勝負中である!」
「早く持ち場に戻るのである!」
 大型が注意をするが、しばらく相手陣地は混乱を続ける。
 そうして相手の戦線が崩れた隙に、改造馬車で身を隠すニーニア、49が時折別の障害物へと移動していた。
 一か所に留まらぬことで相手をかく乱しつつ、狙撃班を攻め立てる作戦だ。
 特に49のライフルは、相手をバリケードごと射抜いていくこともあり、雪だるま達を一層困惑させていたようである。
 また、ここでも、ジョージが仲間の侵攻に合わせて雪玉を生産して仲間を支援していた。
 時にジョージは自分で投げることあったが、仲間が疲弊していたこともあって、ポーションでの回復を主として動いていたようだ。
 主に、回復の相手は、タルトや悠凪だ。
 移動するタルトが平にした雪玉を飛ばし、狙撃役の攻撃を引き付けようとする。
「あいつらの注意を引きつけるから、皆は頑張って倒すのよ~」
 悠凪は狙撃してくる雪玉や散弾を、なんとか避けようと動く。
 それらは相手狙撃班の数がいるうちは、非常に避けづらい。
 何より、大型2体のロケット弾は着弾から広範囲を爆撃する為、逃れるのが困難だ。
 タルトの危機を察した悠凪が雪玉を塞いでいたが、立て続けに浴びせかけられる狙撃とロケット砲。
 仲間のカバーに当たっていた悠凪は連撃によって、回復のサポートが間に合わず、雪の上に倒れてしまう。
「後は、頼みます……」
 すでに離脱していた遊撃班が彼女の体を運び出す最中、ニーニアが改造馬車を押し、盾としながら進軍していく。
 仲間達が気を引いてくれていたおかげもあり、敵陣近くまでそのまま進むことができていた。
 ニーニアは馬車内にストックしていた雪玉を投げつけ、狙撃役の数を減らす。
 そして、距離をとっていたリナリナも相手のロケット砲に応戦するようにして流星を利用し続け、狙撃役を落としていく。
「うふふ、隙ありよ~。よいしょ~」
 シエルの狙撃と合わせ、先ほど同様にレストが梟へと今度は雪玉を投下させて大型の体力を一気に削る。
「負けるわけには」
「いかないのである!」
 大玉で反撃してくる大型だが、ここまでくれば、数と戦略でイレギュラーズが圧倒する。
 攻防が続く中、マジックロープで投げつけたニーニアの一撃が命中して大型の片割れを倒してしまう。
「……やられた、のである」
「よくも、我が妻を!」
 どさりと音を立てて横倒しになる大型に、もう1体の大型が憤る。どうやら、大型は夫婦だったらしい。
 そんな新事実を尻目に、49は明らかに痛手となりそうな敵の大雪玉を障害物でやり過ごしつつ、集中して貫通力のある一撃を見舞う。
「Jackpot、ってやつかしら?」
「見事……である」
 49の鮮やかな一撃に大型はぐらりと体勢を崩し、雪の上へと横たわっていったのだった。

●一試合終えて
 試合が決着し、ジョージがリナリナの起こす火で暖をとる仲間達を気遣って。
「みなさん、雪合戦で汗をかいていませんか?」
 普段、医療の勉強をしているジョージ。
 汗をかいたままだと、冷えて風の原因となる。風呂などで汗を流してから着替えるようにと彼は仲間達へと勧告していた。
 そのジョージも着替えないといけないと考えつつ、思った以上に汗をかいていたのを感じて。
「それほど動く役じゃなかったはずなんですが……、運動不足なんでしょうかねぇ」
 自身の体力の無さに、苦笑してしまっていたようだ。
 とはいえ、イレギュラーズ達は試合に勝利することができた。
「バトルの後は盛大にお菓子パーティよ!」
 タルトがギフトによって、色々なお菓子を出して見せる。
 イレギュラーズ達には、パイやショコラといった温かいものを。そして、雪だるま達にはかき氷やアイスキャンディといった氷菓子をふるまって見せた
「おばさん達は楽しかったけれど……、雪だるまちゃん達はどうだったかしら~?」
 心からこの戦いを楽しんだレストは雪だるま達を労い、事前に用意していたアイスキャンディーを差し出しながら問いかける。
「ありがとうである」
「十分、満足したのである」
 礼を告げてそれを受け取った雪だるま達は、美味しそうに口にし始める。レストは小型の分まで数を用意していたようで、皆満足気に食べていた。
「勝っても負けても、要は楽しんだもの勝ちなのよ♪」
 楽しそうにお菓子をふるまうタルトの様子に、負けたはずの雪だるま達も楽しそうに笑って。
「キミ達が相手で」
「本当に良かったのである」
 彼らも心行くまで、イレギュラーズ達との交流を楽しんでいたようだった。

成否

成功

MVP

シエル(p3p006444)
天空の狙撃役

状態異常

なし

あとがき

リプレイ公開です。お待たせしまして、申し訳ありません。
MVPは空から索敵、狙撃を行ったあなたへ。
雪だるま達にはちょっとかわいそうな感はありますが、ルールにはのっとってましたからね。(笑)
今回はお疲れさまでした。ごゆっくりお休みください。

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