PandoraPartyProject

シナリオ詳細

吹雪に隠れの殺人者

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝国の中でも北部にその町はあった。
 雪降り積もる雑踏を人々は一様に、足早に歩いていく。
 極寒の鉄帝の北部――地獄のような寒さから逃れて暖かい家に帰りたいからというだけでは決してない。ましてや、住民たちがせっかちだからだとかでも決してなさそうだった。
 道行く人々の表情はまさしく真に迫っていて、何かから逃れるようですらあった。
「はぁ、はぁ、ッ」
 そんな町の裏手に、一人の若者が迷い込んでいた。
 普段ならこんな場所には来ないだろう。
 普段なら、それを笑い飛ばしていただろう。
 けれども、けれどもその噂は真実で。
 どうしようもないほどに近づいていて。
「た――」
 酷くぼんやりとした視界、いつの頃からか吹雪き始めたような白っぽい世界の中、若者は前に何かを見つけたように手を伸ばし、小さな町に小さな赤を遺した。
 若者の前から現れた影は、うつ伏せに倒れた若者を無造作に蹴って仰向けにすると、まだ熱のある若者の胸元に手を置いて――直後、ぐちゅりと音を立てた。
 それは、しきりにすすり、食らい、舐り、やがて満足したようにぽいと捨てる。

 やがて晴れ――偶然にそれを見つけた女性の悲鳴が、冬の町に轟いた。


「切り裂きジャック……私はウォーカーの友人からそんな殺人鬼の逸話を聞いたことがある」
 遥々鉄帝国の北まで訪れた君達に、男が言う。
「この町には今、そんな殺人鬼かもしれないやつがいる。ソイツは、数日に一度、町の中にいる十人を無差別に一人殺す。殺された者は鋭利な刃物で後ろから引くように急所を斬られて即死している」
 恐らくは、意識して事務的に男性はそう告げる。
「そして、殺された者達は皆、心臓を引っこ抜かれ、貪られたうえで欠片を捨て置かれているんだ」
 それなら、歯形とか残ってるのでは?そう問う君達に、男は静かに頭を振って否定する。
 少なくともこの町ではそんな技術はまだないのだという。
「警察や自警団、軍の手の者も殺されていて、住民はただ、次に自分が狙われないことだけを願って帰るしかない」
 けれども、そうやっているうちに一人、また一人と着実に殺される。
 人々は恐れ、嘆き、悲しみ、絶望している。
「奴が出るところは裏路地が多い。誰か一人を囮に立てないといけないだろう。すまない。それから……あいつは、もしかすると複数犯かもしれない」
 情報を淡々と告げていく男は、そこで一つ、呼吸を置いて、君達に視線を投げかける。
「実のところ、奴に関しての情報は君達に提示できるものはこれだけしかない。……あぁ、だが、路地はそれほど広くない故、流石に5人は超えないだろう」
 そこまで言うと、男はぎゅっとこぶしを握り、頭を下げる。
「どうか頼む。この町を救ってくれ」
 悔しそうな、男の声が響いた。

GMコメント

冬の鉄帝ターンな春野紅葉です。こんばんは。
そんなわけで切り裂きジャックと戦う感じのあれです。

以下、詳細情報をば。

・オーダー
切り裂きジャック(仮名)の討伐

・切り裂きジャック
ここ数ヶ月ほど、町を騒がせている何者かにつけられたニックネーム。
どんな奴なのかは今のところ分かりません。
狂人のか、侵入した魔物なのか。

ですが、状況を判断するに
「1:周辺に対して吹雪にも似た現象を起こし、視界を悪化させる(戦闘時には足止め、混乱、暗闇のBS)」
「2:後ろから的確に急所を斬る一撃を放つ」
「3:心臓を手で抉り取る」
といった行動が見受けられます。
この、精細な2と強引な3の不自然さから、複数犯の可能性が高いです。
足跡などは残念ながら見つかっていません。

戦闘時には斬り殺している方は何らかの刃物で、抉り取る方は何らかの神秘性で攻撃してくるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 吹雪に隠れの殺人者 完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月11日 22時05分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
蒼の楔

◆戦闘前
ファミリアーとして鼠を使役、囮役のコゼットの元に潜ませておく。鼠と五感を共有し囮役の状況を把握するぜ。
俺自身は裏路地に身を潜め気配を殺し、囮役が襲われたら直ぐにフォローに入れる様に位置取る

裏路地の薄暗さ対策で暗視ゴーグルを装備
吹雪に似た現象による視界の悪化は、超視力と温度視界を組み合わせて敵の位置を探る
温度がありゃ、敵味方の大体の位置は見えるかもしれねぇ。


◆戦法
狭い路地にて味方人員を『4名(A班)、囮役、3名(B班)』に分け、前後から切り裂きジャックを挟み撃ち
囮役は戦闘開始後にB班へ合流
狭い路地で前後から挟み撃ちして奴等の逃げ道を絶つ作戦だ。
撃破順は『逃走を図る敵>吹雪を発生させてる敵>その他』
俺はB班だ。
…狩られる側になった気分はどうだ、切り裂きジャック。


◆戦闘
俺は後衛
敵とは基本的に遠距離の間合いを保つ
移動の必要が無い時の副行動は攻撃集中

基本的には味方と同じ敵を狙う
吹雪を起こしてる奴を判別出来れば優先的に攻撃
逃走する奴が居れば最優先で狙う
ーー俺は悪を葬る悪。罪人は逃がさん。
今度はてめぇらが心臓を置いてく番だぜ?

敵を複数巻き込み、且つ味方を巻き込まない時は『血河千槍陣』

単体攻撃は
R2~3の敵へ『夜ノ牙』
R4の敵へは弓による『神秘属性通常攻撃』
BSが複数付いた敵は『呪術』で攻撃

至近まで接近された場合は『キルザライト』で攻撃後、移動で再び間合いを取る

戦闘不能時はパンドラ使用
亘理 義弘(p3p000398)
義に篤く
さて、今回の仕事は霧に隠れる切り裂きジャック達を撃破する事だ。
ジャックどもの正体は不明、個人なのか複数なのかも分からねぇが
ここで仕留めなけりゃ更に犠牲者が出るからよ、気合い入れていこうぜ。

コゼットを囮役として霧を発生させ、それを囲むように仕掛ける作戦だ。
女子供を囮にするのは気が引けるが、踏ん張ってもらうしかねぇな。
ただし、フォローは確実に出来るように構えておかねぇとな。
超聴力のスキルを常に発動させ、足音や息づかいなんかで、敵の数や位置を把握したいとこだな。

戦闘時は、二手に分かれて、挟み撃ちの形をとるぜ。
敵は何体いるか分からねぇ。不利を悟って逃げる奴もいるかもしれねぇ。
確実に、タマぁ取らねえといけねぇからよ。
複数体確認できて、仲間を巻き込まない位置取りができれば、戦鬼暴風陣を使用する。
単体、もしくは仲間を巻き込むようなら、ショットガンブロウを使用するぞ。
移動が必要なければ、副行動の攻撃専念を使用してから攻撃するぞ。

霧の中の敵だ、視界が悪くて見落としてしまう可能性もあるしよ、
感覚を鋭く保って、警戒していかねぇとな。仲間同士連携し、互いの為に行動しよう。
任侠の心意気、見せてやるぜ。
お前さんの事件も、ここいらで終いだぜ、切り裂きジャック。
ハッピーエンドには程遠いがよ、事件は解決されねぇといけないからよ。

…倒す事で、こいつが何者なのか分かればいいんだがな。

アドリブ歓迎。
バンドラ使用。
武器商人(p3p001107)
闇之雲
【囮・襲撃】
4人組のA班に所属
隠れて囮に敵が襲いかかるのを待つ
敵がかかったら前後から挟み撃ちをして敵を逃さないようにする

【見敵時】
戦闘直前にエネミースキャンを使用して発見した敵の能力を確認
・吹雪現象
・急所攻撃
・心臓抜き
これらに該当するスキルを対峙したエネミーが持っていなかったら戦闘終了後に更に調査を進言
可能なら
・【必殺】スキルを持っているか
も確認

【戦闘】
敵が自分からR0の距離にいない場合副行動で移動、主行動で庶幾う傲慢
以降付与が切れたらかけなおし
優先は逃走を試みる敵>吹雪を起こす敵>その他
副行動でマークを行いつつ主行動で名乗り口上
以降、怒りが付いていない敵がいたら名乗り口上
ただし、エネミースキルで敵が【必殺】スキルを所持していたとわかる場合は名乗り口上は使用しない
敵全員に怒りが付いているor名乗り口上を使わない場合は副行動で攻撃集中を行いつつクラッシュホーンで攻撃

パンドラ使用

【備考】
呼び方基本

苗字+の旦那


苗字+の方

名前のみの場合は名前+の旦那、方

敵には切り裂きジャック
楔 アカツキ(p3p001209)
軋む守り人
もしや魔種が関わっているのか?
しかし奴らにしては回りくどい上、被害が小さ過ぎる
……狂気に染まった者がいると見るべきか

■作戦
囮を使い、残りがA、B班の二手に分かれ路地の両側から挟み撃ちを狙う

■行動
降り積もるほどの雪なら、足跡が問題となる恐れはあるな
防寒具で顔は隠せるとは言え、下手に出歩く真似はせず、依頼者と共に町の地図を作成する
仲間のスキルが適用できる、半径100m以内にて囮となる場所を定めるべきだろう
この寒さだ、流石に外で待機する方が不自然だ
仲間のスキルに反応があれば、直ちに行動に移す
俺はA班だ

■戦闘
現場にたどり着いたなら、すぐさま後衛から全力オーラCで攻撃
「倒すのは手前の奴からでいいな?」
狭い路地ならば、否応なくそうせざるを得ないだろう
人混みにより攻撃に差し支えるなら、跳躍で屋根等に登り攻撃を行う
奴らの逃亡も同じ手段を取るのでは?とも思うので、もし逃げる素振りを見せるなら、屋根際にてブロックを試みる
同じ班の前衛が押されている場合は、交代し前衛に立つ
その際は低姿勢からのクラッシュHにて手前の敵を仕留めていく
いずれの場合も、副行動を行わない場合は攻撃集中

パンドラ使用

戦闘後、まだ意識のある敵に尋ねる
「今も声は聞こえるか?」
もし狂気に染まっているなら、まともな返答は期待できない
逆にそれこそがこの近辺に魔種が現れた証拠となる
恐らくは暴食
食料問題を抱えるこの国ならば、最悪の組み合わせだろうな
狩金・玖累(p3p001743)
PSIcho
アドリブ歓迎

なーんか、給餌してるように見えるんだよね。この切り裂き魔って
きっと、動物への慈愛に満ちた心優しい人なんだよ! ほらほら、ペットを飼ってる人に悪人はいないって迷信があるじゃん? 代わりに、人への慈悲は一重も無い奴だろーけど
心臓食いが人だったら? 馬鹿言え、そんなのは既に動物と変わりないよ


■戦闘
作戦はレイチェルの戦法に順ずる

B班
パンドラ使用
中距離レンジを維持
ヒーラーとして行動

仲間の合図で行動開始
自班と囮役のBS回復を優先して、班のHPに余裕がある内に、囮がBに合流できるようにと範囲攻撃を使いやすい様に、囮と自班の間の敵(特に移動を阻害してる奴)を衝撃の青で吹き飛ばす

HP回復時は各個の被害が均等になる様にダメコンを。不足の事態があっても余裕を持てるように

逃げる兆しがあれば、ブロックで抑える

やる事が無くなったら『逃げる奴→霧出す奴→その他』の優先順位で魔弾を撃ち込む
「何時もと大して変わらない、いい夜だね。ただ、君らが殺るか僕らが殺るかの、些細な違いだぜ」

■挑発と誘き出し
倒した相手を使って、【演技】で心臓を抉り出す手口を真似て、彼らの食事を手伝ってあげようかな
大事な仲間の心臓なんだから、無下に扱っちゃダメだよ

このパフォーマンスに、ギフトと【扇動】を使い挑発、相手に僕を殺す理由を与える。
これで、逃げる選択肢を無くしてやるのと、まだ殺人鬼が隠れてた時に、煽られて出てきてくれたら良いな
コゼット(p3p002755)
孤兎
うー、さむい……早く終わらせて、あったかいところ行こうよ。

なんで心臓食べかけなんだろうね、ぜんぶ食べろってことじゃないけど
殺されて、心臓引っこ抜かれたうえに、食べ残されたんじゃ、被害者も怒るよね


あたしは囮役、迷い込んだ体で裏路地にいって
犯人をおびき寄せる、よ
ギフトと、超聴力でさりげなく警戒して、悪意を感じ取る、よ
もし襲われても、超反射神経で不意打ちなんて、受けない
「さむい……くるんなら早く来て、さむい」

襲われたら、悲鳴をあげて仲間に知らせる、よ
それから、逃走防止に名乗り口上……!仲間が合流するまで、耐えるよ
味方の範囲攻撃が来そうだったら、いったん敵から離れる
「ざんねんだけど、狩りはこれでお終いだよ」


裏路地の両方から仲間が来たら、あたしはB班(3人の方)に合流
挟み撃ちにして、絶対逃がさない、よ
撃破順は【逃げそうな敵→吹雪を起こしてる敵→その他】だよ
「だいじょうぶ、あたし達は、心臓とったり食べたり、趣味わるい事しないから」
「あんしんして、殺されて」

戦いは至近で行動、名乗り口上で敵を引き付けて
黒氷礫でBSまみれにして、蹴兎で攻撃、するよ
仲間と集中攻撃して、かくじつに減らしてく。

パンドラ使用
アドリブ歓迎
攻撃は、蹴りとナイフでの斬撃がメイン、回避重視のカウンタースタイルで戦います。
不動・醒鳴(p3p005513)
特異運命座標
パンドラ使用:有

あー……不穏な気配がする
面倒くさい話になりそうだぜ

囮役にかかるまで裏路地に身を潜めておく
エネミーサーチとゴーグルを併用して悪い視界対策
敵意感知と暗視効果であたりをつけるぜ

囮にかかったら3人と4人で挟み込んで逃がさないように行動するんだけど
囲んだつもりでさらに背後から奇襲されないようエネミーサーチは絶やさない

人助けセンサーで囮以外が近くで危ないなら味方に知らせて助けに行く
新手が来るならマークでそっちを抑え込む役はやっとくよ
あ、俺は3人側な

エネミーサーチで探知したならそっちのチェック
顔が見えたなら当然顔は覚えておくぜ
変装に騙されないように看破もする
逃げられるかもしれないし気づいた様子は気づかせないよう注意
仕掛けてきたら味方に新手だと警告

こなけりゃ戦闘後に全員に情報を伝えるぜ
犯人が残ってるなら潰さにゃならないしよ

(倒れ際の状況がわかるなら)
誰かに助けを求めている風だったならそれ相応の身分がある奴だったんだろうよ
自警団、警察、軍、どれか或いは全部が怪しいんじゃね

(メタ情報なしでも)
同じ組織、似たような組織の方が油断しやすいだろうしな
その手の奴にも油断しないぜ
敵意に引っかかった奴から手口はわかってる風にカマをかける

戦闘は基本コンビネーションBSが入ったら戦闘続行
敵が付与ついてたり止めならディスピリオド
AP不足は格闘

副行動は移動やマークがない時
攻撃時攻撃集中、回復時防御集中だ
岩倉・鈴音(p3p006119)
放課後のヴェルフェゴール
鉄帝で動機のわかんない連続殺人とはね。戦闘狂が恐れる切り裂きジャックの正体、暴いてくれる!

事前:防寒は手袋。気合いいれとくよ。
非戦の木鶏をつかい殺気を消して裏路地に身を潜める。
雪を踏む足音は聞耳たてておく。飛んでくるような音、囮が襲撃されたならすぐに挟み撃ち出来るよう号令っ。

戦法:軍師とは存在が支援。故にR3に仲間をいれるよう意識的にたち振る舞う。
● 4(A)、囮、3(B)にわけ、囮に切り裂きジャックがひっかかれば裏路地から逃がさないように挟み撃ちにする。逃げ道を断って撃破するよ。
撃破順:逃走はかる>吹雪>他

さいしょに合流したときに、囮の至急なる回復がいる場合には緑の抱擁をおこなう。
霧の効果が範囲的なもので複数にBSの影響がある場合は戦況の立て直しのために、超分析の大号令。
「むう、この霧は噂に聞く……!」

戦闘:状況をみながら存在し続ける。エネミースキャンで敵の能力を見極めたり、弱って来た敵がいれば報告したり敵情報を味方と共有していく。
普通の場合は副行動は防御集中。逃げようとする敵にはマジックローブで攻撃する。
攻撃されないよう後ろへまわったりしている。
集中して攻撃を受ける場合は防御集中と全力防御でぷるぷるさせながら耐え抜く。

●殺しかたからして鉄帝でも連携を知っている自警団や軍隊あがりと見てる。
理由は……鉄帝でも夜の一人歩きは危険ですよ。心臓食べて強くなっちゃいますよ?

リプレイ


「動機の分からない連続殺人とはね」
 男性からの任務内容を聞き終えたところで『放課後のヴェルフェゴール』岩倉・鈴音(p3p006119)はふぅと一息つく。防寒用に持ってきた手袋に収められた手をぽふぽふと叩く。
「ジャックどもの正体は不明、個人なのか複数なのかも分からねぇが、ここで仕留めなけりゃ更に犠牲者が出るからよ、気合い入れていこうぜ」
 茶髪の髪に浅黒い肌をした、任侠と呼ぶべき男――『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が愛用の煙草を燻らせる。
「ヒヒヒ、切り裂きジャックか」
 長いフードの下で『闇之雲』武器商人(p3p001107)は笑う。影の中の黒い不定形のナニカが跳ねる。
「奴らにしては回りくどい上、被害が小さ過ぎる……狂気に染まった者がいると見るべきか」
 もしや魔種の仕業であろうかと疑う『軋む守り人』楔 アカツキ(p3p001209)は思案していたことをぽつりと呟いた。
「なーんか、給餌してるように見えるんだよね。この切り裂き魔って。きっと、動物への慈愛に満ちた心優しい人なんだよ! ほらほら、ペットを飼ってる人に悪人はいないって迷信があるじゃん?」
 笑顔で語る『PSIcho』狩金・玖累(p3p001743)はいつものようにふざけた様子で朗々と語る。
(あー……不穏な気配がする。面倒くさい話になりそうだぜ)
 そこそこ我の濃い面子と事件の内容を聞かされた『特異運命座標』不動・醒鳴(p3p005513)は頭を抱えるようにして思うのだった。


「うーさむい……」
 町中を囮役を買って出た『孤兎』コゼット(p3p002755)は一人で歩いていた。
「こいつを連れていきな」
 そう言って『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)に預けられた鼠がちゅうと鳴いていた。
 肌を刺す空気は寒いばかりか痛みさえ伝えている。
 多くの人々は彼女のことを眼中になく、ただひたすらに進んで行く。ちらり。なんとなく感じた物に振り返れども、仲間達であろうとすぐに視線を戻す。
 少しだけ、歩幅を早め、今度は敢えて緩め、ぴくりと黒い耳が動いた。小さな息が白く染まり、瞬く間に冷える。
 その瞬間、少女は走り出した。
 振り返る。雑踏の中、自分と同じ方向に向けて迫る影。
 コゼットはひたすら走った。
 狙い通り、冬ということもあり、瞬く間に黄昏は消え、夜の黒と街灯の白が支配していく。
 事前の予定通りのところを曲がり、今度は跳ねるように動きを止める。
「……誰か、いる、の?」
 その声はきっと、警戒と寒さ、普段の口調も相まって、震えたようにも聞こえただろう。
 視界の先、不意に白く染まった。
 雑音がするのは前から。足音は殺されていた。
 瞬く間に白く染まったその場所で、コゼットが動けたのは種族としての本能か。
 少女は身体を腰から折って落とし、横に動かした。
 コゼットのいた場所で何かが風を切る。

「女か?」
 襲撃場所として選んだ一つの裏路地、コゼットを待っていたレイチェルはやや目を細めた。超視覚に捉えたそれは、髪の長いどこにでもいそうな女の姿だった。
 不意に、周囲を吹雪が囲っていく。間違いなく、彼女が切り裂きジャック――少なくともその一人だろう。
 鼠と共有している聴覚がコゼットの問いを聞き、同時にその動きを共有した視界で収める。
「もう一人――上か」
 コゼットへの襲撃を把握したのと同時に、暗視ゴーグル越しの視界を上に向けた。
 青く染め上げられた視界、本来であれば町中のそれも裏路地で必ずしも標的の位置だけを把握するのは少々難しさも伴う。
 けれど――この状況下、暗がりとなった真冬の鉄帝の夜、屋根の上に人がいる、などという状況は限られる。
 それも、突如として吹き上がり濃くなってきた吹雪の中へ、飛び降りていく影とくれば、それはひとつだろう。
 レイチェルはすぐさま吹雪の中に突入すると、その気配を悟ったのか、女が振り返った。
「どなたでしょう?」
 判然としない視界の中で女の風貌を確かめると、やや間合いを開ける。吹雪の奥からは、剣戟の音が聞こえてきた。
「――俺は悪を葬る悪。罪人は逃がさん。今度はてめぇらが心臓を置いてく番だぜ?」
「……警察か、軍の方でしょうか? 私、迷ってしまって」
 レイチェルの言葉にきょとんとした様子を見せる女が、一歩近寄ってくる。その足元で、緋色の光を帯びた魔術式が顕現する。
「な、なんですかこれ!?」
 噴出した闇が、狼がごとく女へと牙をむく。
「何時もと大して変わらない、いい夜だね。ただ、君らが殺るか僕らが殺るかの、些細な違いだぜ」
 玖累はそう言っていつものごとく笑いながら、音のする方へ青い衝撃波を放った。
「こんなところで迷子もなにもあるかよ。なぁ、切り裂きジャック」
 醒鳴はF・ブレイカーを肩に担げば、一気に女へ近づいて振り下ろす。女はそれをあろうことか両腕で掴んで防いだ。
「なっ」
 がっしりと握られた大剣を通じて感じるのは、女だてらには信じがたい膂力だった。
「いつもはさっくり殺してさっくり帰ってるのですが、仕方ありませんね」
 返すように女が打ち込む強烈な拳が、醒鳴の腹部を強かに撃つ。魔術めいた痛みが身体を駆け抜けた。
「」

「むう、この霧は噂に聞く……!」
 コゼットから少し離れ、路地裏を囲うようにして待機していた鈴音はそれに気づいて立ち上がる。
 発生した何かへ飛び込むように、鈴音が走り、続くようにしてそちらにいた面々も突入する。
 吹き付ける白の世界の中で、鈴音が味方を見失わぬ位置に立ち止まると、その横を武器商人がゆっくりと抜けていく。吹雪の向こうから現れた少女と相対して、敵を観察する。
「ヒヒ。ブラックジャック、良い武器(コ)を持っているようだね」
 少女は答えない。静かにそのまま吹雪の向こうへ消えていく。代わりに、横合いから現れた別の少女からの攻撃を、武器商人はゆらりと躱した。
 その少女へ向けて義弘が動いた。至近距離まで近づいて放たれた義弘の拳が少女の肩を打つ。痛打には至らぬも、体勢を崩した少女に向けて、アカツキによるオーラキャノンが炸裂する。
 続けざまの二連撃を受けた少女が無感情な瞳でイレギュラーズを見る。
「油断しなければ脅威にはならなさそうだよ!」
 鈴音は互いの間合いを図るような前衛の様子を見ながら超分析による号令を発すると、その一方で敵の様子を見る。
 戦闘に支障がない程度には目が慣れてきたが、それでもはっきりと思うのは、自分達がいる場所から吹雪を出した元凶であろう人物を攻撃するのは難しいということだ。
 距離の問題はないが、路地という立地上、如何せん場所が狭い。吹雪の向こうから現れた二人の少女を無視して、他の敵を攻撃するのは困難だ。
「つまり、どっちにしろあの嬢ちゃんたちをやらねえと進めねえわけだ」
「結局は、倒すのは手前の奴からということだな?」
 義弘に続けてアカツキが言えば、武器商人が笑いながら少女と相対し、鈴音がマジックロープを飛ばす。
 ロープは惜しくも少女の動きを捉えこそしなかったが、その手の甲を強かに打った。

 追いすがるようにして近づいてくる少女を、コゼットは軽やかに跳ねて蹴り飛ばすと、その勢いのままに距離を開けて走る。
 仲間と交戦する女の隣を駆け抜けて、醒鳴の隣へとたどり着いた。
「ざんねんだけど、狩りはこれでお終いだよ」
 振り返り、一つ呼吸を整えて女に視線を向けた。
「美鈴、貴女、殺せなかったの?」
「ごめんなさい、足がすごく速くて」
 ちらりと、女がコゼットを追ってきた少女に視線を送れば、少女がしゅんとした様子で言う。
「いいえ、良いのです……潮時のようですし」
 女が艶のある笑みを浮かべた。レイチェル、醒鳴、玖累の攻撃を受けて多数の傷を負っているにしては、あまりにも危機感のない笑み。
「この人達は私達を殺しに来たのでしょう。だから、今までと同じ。殺される前に食べちゃわないと」
「私達で切り拓くから……アナ、お願い」
 美鈴と呼ばれた少女が、女――アナを呼んで感情の読めない顔で笑う。
 その直後、美鈴が構えを解いてだらりと身体の力を抜き、静かに視線を上げる。
 そのまま一気に駆け抜け、向かう先は玖累。一瞬、動きの遅れた玖累の首筋に、浅い赤が奔った。
 レイチェルは玖累の方へ醒鳴が走ったのを見ると、再び魔術式を構築し、夜ノ牙を噴出させる。白の世界に映える黒い闇が、アナに襲い掛かる。
「鬱陶しいですね!」
 コゼットを抜けて、アナが至近し、その手に濃密な魔力を纏い、突き出してくる。咄嗟に身体を動かして躱せば、尋常じゃない握力が左腕に襲い掛かってきた。
「痛くねえなァ! どこ狙ってんだ?」
 端正な顔立ちに理知的な殺意を覗かせて、吹雪の中、超視力の捉えた悪に嗤う。
 アナの顔に、苛立ちが滲む。
「だいじょうぶ、あたし達は、心臓とったり食べたり、趣味わるいことしないから」
 アナの動きがレイチェルの言葉に一瞬止まったのを確認するより先に、コゼットは動いている。
 コゼットはアナへと声をかける。振り返ってコゼットの方を向こうとする彼女の懐へもぐりこめば、身を低くして黒魔を衝きこんだ。黒い衝撃波を伴った一撃が、アナの肺辺りを捉えた。よれよれと、アナが後退していく。
「あんしんして、殺されて」
 静かに残した声に、女が狂ったように雄叫びを上げた。
「いいね! もっと叫んでみなよ」
 貼り付けた笑みのままに、玖累は魔弾を女へ撃ち込んだ。

「流石に一人で私達四人を相手にするのは荷が重いみたいだねっ」
 割と軽い印象を受ける声で鈴音が笑う。
「ヒヒ、その剣の攻撃は脅威だったよ。ちゃあんと我(アタシ)を倒してくれるんだろぅ? 切り裂きジャック」
 武器商人は星官僚のタクトで作り出したモノで何度目かのクラッシュホーンを叩きこんでいる。不気味に、一切の表情を変えることなく笑い続けるソレは、少女の攻撃を幾度となく受けている。
 鈴音のヒールによっていくらかは回復できているが、壁として立つ不気味な商人は致命傷に当たりうる攻撃を数度受けたことで徐々に疲弊しつつある。
「――」
 目を細めた少女の一撃が、遂に武器商人を捉えた。剣に籠められた呪いが彼の復活を阻害していく。
 床に伏したソレの周囲で影がひたひたと踊る。
 けれどそれ以上に少女の方が致命的だった。義弘、アカツキ、武器商人、それに回復をやらなくていいと判断した時の鈴音の攻撃を受けて、彼女の身体も明らかに満身創痍というべきものだった。
「っらァ!!」
 武器商人の背後に回っていた義弘の裂帛の雄叫びと共に放たれた拳が、少女のナイフを捉え――バキンと音を立てた。
「なっ!?」
 少女が目を見開いて反応を見せる。
「今も声は聞こえているか?」
 得物を失いった少女に向けて、身体を低くして至近したアカツキが、少女に問うた。
「なんの、話?」
 ぎらりと剥かれた眼は容赦のない、生きるためにがむしゃらな人間がするソレで。
 打ち据えた強烈な一撃が、少女の心臓に痛打を叩きこむ。一瞬、少女が目を見開いて、がくりと膝から崩れ落ちた。
 誰かが、合流しようと声を出した時、不意に吹雪が晴れていった。

 玖累は夥しい量の血を流しながら大地へ沈んだアナと呼ばれていた女に近づいた。
「ほら、大事な仲間の心臓なんだから、無下に扱っちゃダメだよ」
 にぃと笑んで、アナの心臓あたりへ近づく。美鈴と呼ばれていた少女が、玖累の方を向いて目を見開いた。
「や、止め――」
 ぐちゅり。彼女から見れば、心臓をくりぬいたように見える角度で、音を立てる。
「あ――あぁぁぁああああぁぁ!!!」
「どうしたんだい! キミらがやったことじゃないか!」
 激昂と共に、美鈴が玖累に向けて走る。
 すさまじい速度でイレギュラーズの合間を抜けて、ぎらついた目で玖累に辿り着いた美鈴は、そのまま剣を振るう。
 二度、三度、それで玖累の動きを止めるには充分だった。
「あぁ、あぁ……あぁあああぁぁ」
 ぽつり、ぽつりと涙を流し――やがて小さく笑んだ。
「もう、ふたりぼっちだってさ」
 吹雪が晴れ、もう一人の少女の姿を視認して、美鈴はゆらゆらと立ち上がる。
「いつかは、いつかはこうなるってわかってたから――お土産を作らなきゃ。違う?」
――けたり
「じゃあ、終わりにするから……一人、選ぶね」
 もう、吹雪の中で人を殺す殺人鬼たちなどいない。
 ここにいるのは、一人――いや、一匹の、けだものだ。
 狂った獣は、視線を巡らせ、目を細める。
 それを見ながら、レイチェルは再び夜ノ牙を発動させる。しかし、大地に顕現した魔術式を少女はその場から飛びのいてあっさりと避ける。
 鈴音は女との戦いで一番疲弊していたレイチェルへ緑の抱擁を放って回復を施すと、そのまま美鈴を見る。
「そろそろ、終いにしようや」
 遅れて駆けつける形になった義弘は美鈴を見て、静かに言葉を紡ぐ。
「きぃめた」
 ことんと首を落として美鈴は壁に向かって飛ぶ。
「逃がすか!!」
 逃走経路として利用する可能性を考慮していたアカツキがそれに反応して放ったオーラキャノンに肩を打ち込まれて少女が呻く。
「どうせ死ぬんだから――痛くなんてない!」
 獲物を目前にする空腹の獣のように目を剥き、少女が猛る。そのままタンと跳び、着地するは鈴音の後ろ。
 後ろに引くようにして動かされた刃を、薄皮一枚のところで何とかかわすと、舌打ちが聞こえた。
 醒鳴が反応し、思いっきり横殴りにF・ブレイカーをぶち込めば、ぐにゃりと身体を横に追って少女が壁に叩きつけられた。義弘とアカツキが追撃の一撃を見舞った後、美鈴の動きは完全に停止した。


「全てが終わった後に調査を報告するのもあれだが、どうやら彼女たちは同じ孤児院を出身としていたようだ」
 調査報告の束を依頼主が机の上に置いた。
「医者の方は孤児院を出て、軍医を経験した後、戦争から逃れるようにこの町に着て診療所を立てたようだ。少女の方は、この町に養父母に貰われてきたらしい……どうやらそのすぐ後に養父母は亡くなってしまったようだ」
 孤児院を出て、知り合いもいない町で再び孤児になった。そんな少女たちの前に、同じ孤児院を故郷とする医師がいれば、きっと彼女たちはそこを頼っただろう。
 その後、何があって連続殺人に手を染めたのかは、分からなかったという。
「ただ、診療所と言ってもあまり儲けは出てなかったようだ。最初は食うに困って、かもしれないな」
 そう言って依頼主が一つ息を整える。
「彼女たちは生きて捕まっても確実に極刑は免れなかった。ただ、どこにでもある闇が産んだ悲劇――そう、簡単に言い終えたくはないが」
 言い淀んだまま、男は目を閉じた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

というわけで、なんちゃってサスペンスホラーでした。
まだまだ精進せねばならないジャンルですが楽しんでいただければ幸いです

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