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シナリオ詳細

幻のチョコレイト
幻のチョコレイト

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●グラオ・クローネ(バレンテインディ)
 ――ねぇ、今度のグラオ・クローネ、どんなチョコレートにする?

 雪がちらほらと降るその日、街の女性たちは楽しそうにそんな話をしていた。
 グラオ・クローネとは、昔から伝わるお伽噺だ。
 可愛らしいチョコレートだったり、大人のビターなチョコレートだったり、贈るチョコレートは様々だったが、どれもこれも贈る人の心が篭った大切な物には間違いない。

 そんな中、一人の老女が哀しみに包まれていた。
 小柄な身体を丸めながら、頭を抱えている。
「ああ、まさか全員病気になるなんて……!」
 チョコレイトのイベントがあるその日、彼女たちは本来であれば、街でイベントを開催しているはずだった。
 だが、普段一緒のメンバーは誰一人として居ない。
 全員が流行病の影響で来れなくなってしまったのだ。
 カカオの討伐は、例年通りローレットに依頼していたが、イベントスタッフは気心の知れたいつものメンバーで行うのが常だ。
 ただ、今回ばかりはそうも行かない。

 ――老女はローレットへ依頼の変更を依頼したのだった。

●魔人現る
「チョコレイト魔人が現れたのです!」
 情報屋ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が楽しそうに声をあげる。
 彼女もまた、一人の乙女。お伽噺の事は知っていた。
 チョコレイト魔人とは、チョコレイトを形成するために必要なカカオの魔物だ。
 森の中にひっそりと生えており、毎年2月になると、開花する一風変わった魔物として知られている。
 放っておくとキノコの胞子並に周囲に無尽蔵に増えていくため、生態系の問題で毎年討伐しているのだ。
 勿論、討伐するだけではない。彼らのカカオは極上の素材として知られている。通常のカカオよりも濃厚な味わいが特徴だった。
「森にびっしりと生えていますが、特性上、こちらから攻撃をしなければ向こうからは絶対に襲いかからないので、個別で撃破すれば危なくないのです。倒した後、カカオを収集して頂きたいのですが、依頼はまだそこで終わりではないのです。実は依頼主の方は毎年このカカオを作ってチョコレート作りのイベントを行っているのですが、今回、いつもの従業員さんが流行病で全員倒れてしまい、スタッフさんが足りないのです。幸い皆さん、命に別状はないのですが、年齢なども比較的高齢な事もあり、今回のイベントには間に合いそうにないのです」
 つまり、今回の依頼はチョコレイト魔人の討伐、カカオの収集、イベントのスタッフ、の3点と言う事だ。
「イベントが終わった後、ある程度は皆さんにお裾分け出来るとのことですので、作ったチョコレート持ち帰るも良し、カカオだけ持ち帰って後でじっくり作ってもOKなのです」
 そう言って、彼女は地図をテーブルへと広げる。
 チョコレイト魔人の生息地と、今回貸し出しのあるスペースの場所が記されている。
「ただ、今回、一つだけ注意いただきたいのが、彼らは一度敵と見なすと、攻撃を止める事はしませんので、あんまり欲張ると後々大変な事になるので気をつけて下さい」
 欲張りは禁物、という事だ。
「依頼主の方は、このイベントをとても大切にしています。彼女は旦那さんとこのイベントが切っ掛けで知り合い、結婚したそうです。彼女のお願い、叶えてあげて下さい」

 ――ちなみに、ボクとレオンさんへのチョコレイトは歓迎ですよ

 ユリーカが冗談混じりに微笑んだ。

GMコメント

バレンタインデイ的依頼です。
チョコレイト魔人を倒し、カカオを収集した後、イベントの手伝いをお願いします。

●チョコレイト魔人×30本くらいあります
カカオのモンスター。南の森に生息するちょっと変わった魔物です。
悪さはしないのですが、生態系を乱すため、ある程度の討伐をする事になっています。
それほど強くはありません。
攻撃は触手をしならせて鞭のように使うのと、カカオの玉を遠隔で飛ばしてきますが、こちらから攻撃しないとあちらからは攻撃しません。
また、他の個体を攻撃しても、攻撃はしてきませんので、確実に狩るのが楽です。
ただし、一度敵と見なすと倒れるまで襲ってきますので、注意して下さい。

●イベント
街のイベント会場を貸し切ってチョコレイトを作るイベントです。
可愛いデコレーション様の具材や、包装用紙など、必要な物はある程度揃っており、すべて参加費に含まれています。
皆さんにはスタッフになって頂き、チョコレイト作りを手伝って頂きますが、皆さんにもチョコレイトは作って頂けます。


シーンは、チョコレイト魔人戦&カカオ採集、イベントの2シーンですが、メインは後者のイベントになります。

  • 幻のチョコレイト完了
  • GM名ましゅまろさん
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年02月19日 21時15分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

テテス・V・ユグドルティン(p3p000275)
樹妖精の錬金術士
世界樹(p3p000634)
 
リナリア(p3p001041)
妖精の姫
マルク・シリング(p3p001309)
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
あい・うえ男(p3p002551)
人を堕落させし、怠惰司る魔王
アレーティア(p3p004118)
真理を求める者
桜坂 結乃(p3p004256)
ふんわりラプンツェル

リプレイ

●チョコレイト魔人
 『樹妖精の錬金術士』テテス・V・ユグドルティン(p3p000275)、『散歩する樹』世界樹(p3p000634)、『妖精の姫』リナリア(p3p001041)、マルク・シリング(p3p001309)、『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)、『人を堕落させし、怠惰司る魔王』あい・うえ男(p3p002551)、『真理を求める者』アレーティア(p3p004118)、桜坂 結乃(p3p004256)の8人は件の森にやって来ていた。
「この時期と言えばバレンタインデーじゃもんな。この手のイベントは大人気というわけでスタッフ不足で中止なんて無理って事でわたいらの出番になったわけじゃと。ほんにローレットも人使い荒いのう」
「確かに。まぁ、あまり強くはないらしいからちゃっちゃと倒していこう」
 世界樹の言葉に、テテスが同意するように頷いた。

 森の奥を進んだ所に、大きな木が何十本も生えていた。近くに行くと、中々どうして変わった木である。形としては南国にあるような椰子の実が近いだろう。話の通り、木から攻撃してくる事はない様子で、沈黙したままだった。
 とりあえず一本、と世界樹がレイピアで実のなっている部分にぶすり、と突き刺した。

 ーーキィ!!

 甲高い悲鳴の様な声が大音量で辺りへと響き渡ると同時、椰子の実部分が開き、弾丸のように塊が飛び出した。
 狙いは自身を突き刺した世界樹だ。
「わわ……っ!」
 飛ばされた塊は小さかったが、リナリアにとっては充分大きい。構えた弓を器用に操り、慌てて迎撃する。
 だが、その中のいくつかがうえ男に命中した。
「いたーい」
 地味に痛い様で、悲鳴をあげるうえ男だが、うえ男の様子から、そのダメージがたいした事でないことが分かった面々は顔を見合わせ、かねてからの打ち合わせ通り二手に別れる事にした。

●あっさりとした戦いの終わり
「メンバーの攻撃2回で倒れてくれるよ」
 結乃の冷静な観察眼を主軸に、B班は2体ずつ魔人を倒していく。
 アレーティアの逆再生で、魔人の表面が崩れ大地へと木が崩れ落ち、魔人から飛んでくる弾丸をうえ男の シールドバッシュが巻き込みながら木をなぎ倒していく。
 流れ弾の間を縫いながら、潮の遠術が魔人を貫く。
 危なげなく、B班の戦いは終わった。
 A班もまた、窮地を迎える事は無かった。
 とっておきのリナリアの花の矢の雨が降り注いだ事で、カカオの入った実がぼとりと地面へと落ち、残った部分を世界樹のマジックフラワーが灰にする。
 援護するようにテテスの遠術が舞い、魔人の攻撃による僅かな傷をマルクが瞬時で癒やし、危なげない勝利を収めたのだった。


「それからの戦いは……熾烈を極めるものだったーって言いたかったねー」
「全然熾烈は極めておらんな」
 うえ男の物語調の言葉に、アレーティアが肩をすくめて見せる。
 周囲にはボコボコにされたチョコレイト魔人の残骸が横たわっている。
 結論から言って、かねてからの情報以上にチョコレイト魔人は弱かった。
 苦戦する可能性もあり一本ずつを最初は想定していたが、2体倒した段階で、かなり余裕である事が分かった2グループは全力で駆逐していた。
 あれよあれよという間に目標の30体を倒しきり、それぞれが用意した袋にはぎっちりと収穫したカカオが入っていた。
「わしの回復が結果的にあまり必要なかったのう」
 持って来た荷車にカカオの入った袋を積み込みながら、潮が少しばかり残念そうに苦く笑った。
 今回二班とも、回復の用意も万全だったのだが、いかんせん相手が弱すぎたのがある意味で予想外だった。
 確かに攻撃は痛い事は痛いのだが、命を失う可能性があるかというと否であった。
「まぁ、イベントもありますし、良かった、のかも?」
 はは、と合流したマルクが苦く笑った。
「まだ時間はありそうですね」
 リナリアが太陽の角度を見ながら呟く。
 瞬殺と言って差し支えのない戦いではあったが、それでも数が30とそこそこあったし、カカオの量もかなり膨大な数の獲得があったため、採集する時間はある程度はかかってしまった。
 とはいえ、想定の範囲内であり、まだ時間に余裕はある。
 だが、ここで暇を潰していても意味はない。

 A班B班は素早く合流し、今回のメインであるチョコレイト作りのイベントへと向うのだった。

●イベント開始
「今日はよろしくね」
 たくさんのカカオに、依頼主がご機嫌でぺこりとお辞儀をした。
「チョコレイトか。元の世界で錬金術で作ったことならあるが、普通に料理をして作るのは初めてだな」
「錬金術って、すごいね」
 テテスの言葉に、結乃が微笑んだ。
「チョコは美味しいですよねー!そしてそしてこの時期だからこそチョコはさらに美味しいのです。私はいつも貰ってばかりでしたねー!うんうん!」
 リナリア。さり気なく勝ち組である。
「作り方を簡単に纏めると、ローストして皮をむいて、ひたすら砕いた後に砂糖とかと合わせてひたすら練る、という手順みたいだ」
「その通りだとすると思った以上に力仕事だのう」
 マルクの言葉に、潮が唸った。
「男の子たちは砕いたりをしてくれると嬉しいねぇ。何分女性が多いから」
 依頼主の言葉に男性陣が頷く。
「この日を大切にしている者。この日にかけている者。皆が笑顔になれるように今日も頑張るとするかのう」
 潮の言葉に面々は力強く頷いた。
 参加した理由はそれぞれにある。単純に楽しそうだと思って参加した者、自身の薬を売りたくて参考になると思って参加した者。
 だが、全員に共通しているのは、このイベントを成功させたいと言う思いだった。
「やる事は沢山だけど、ひとつひとつはシンプル。順にこなしていこう、ね」
 結乃の言葉に全員が力強く頷いた。
 そうこうしている内に、イベント開始の時間となったのだった。


「作るのは初めてなので教えてもらいながらやりまーす! 私みたいに小さくても出来ますかねー?」
 小さな身体を可愛らしく羽ばたかせて、リナリアが立候補する。
 隣に居たアレーティアも、依頼主へと話しかける。
「すまんがカカオからチョコを作った事はなくての最初だけご教授願えるかの?」
「勿論よ。ちょうど良いからお手本になって貰おうかしら」
「お手柔らかにの」
 アレーティアの覚えは早かった。料理スキルを持っているのは伊達ではなく、老女の説明を瞬時に理解していく。
「お上手ね。いいなぁ、私もあんな風に作れたらな~」
 参加者の若い女性が、アレーティアの手さばきを見て感心した様に声をあげた。
「料理やった事無い……不安……」
 普段から料理に親しんでいるメンバーも居れば、得意ではないメンバーもいる。うえ男だ。
(マシュマロ……なんか親近感)
 用意されていたマシュマロに自身に似た何かを感じながら、女性が忌避する力仕事を手伝う。
 料理よりは面倒くさくないと思っての行動だったが、このカカオを粉々にするのは結構大変な作業だった。
「……調理、面倒」
「うふふ。可愛い」
 そんな様子を見ていた壮年のお姉さんが、微笑ましそうにうえ男を見つめている。
 ぷにぷにしてそうな素晴らしいそのフォルムは、乙女心をがっちりと掴んでいた。
 だが、乙女心を掴んだのは、うえ男だけではなかった。
 潮の連れているポチの人気は凄まじかった。よほど珍しいのか、小さい子供連れのお母様方には特に大人気を博した。
 お母さんが一生懸命チョコレイトを作っている間、ポチが子供たちの相手をしてくれたのも大きな理由だろう。
「ポチは大人気じゃのう」
 デコレーションとトッピング用のアイテムを広げながら、潮が豪快に笑う。
「あ、そこ、ちょい火力強すぎじゃよ?」
 生徒の一人の火が少し強かったらしく、世界樹がフォローを入れる。
「火はもう少し抑えるのじゃ」
 チョコレイト作りがそれほど難しい訳ではないが、最近の若い女性は料理下手な人も一定数いるらしい。お客さんの中にはぎこちない動きをする人もいた。
(チョコレイト作りのおてつだい。作ったことないけど、たのしみ)
 ふふ、と楽しそうに笑みを浮かべて結乃も一生懸命手を動かしている。
 しかし、どうやら皆カカオからのチョコレイト作りは経験は殆ど無いようだ。
「チョコレイトを砕くイメージだった」
 結乃が砕くのはチョコレイトではなくカカオ豆だ。細かく細かく砕く。
「お料理って、錬金術みたい」
 カカオからのチョコレイト作りは大変ではあったが、結乃にとってはそれも楽しいのだろう。
(おねぇちゃん、喜んでくれるかな?)
 大切な人にプレゼントするためならなおさらだ。
「テテス、君何入れてるんだい?」
 レシピに忠実にチョコレイトを作っていたテテスだったが、自身の持ち物の中から「謎の白い粉」を取り出すと、自身のチョコレイトの中に入れていた。マルクが不安げに聞く。
「む?これはテテス特製の白い粉だ。どういう効能かは食べて貰えば分かるぞ」
「ええ。なに、それ怖い」
 うえ男がそのやりとりにゆるーい感じで呟いた。
 味覚に疎いとは言え、やばい物はやばいのだから。
「悪いことにはならんよ。多分」
「……遠慮しておくよ」
 マルクも得体の知れない物を進んで口にするほどマゾでもなければチャレンジャーでもなかった。
 チョコレイト作りは順調だった。
 若干手つきに怪しい者も居た者の、下ごしらえを男性スタッフである潮たちが引き受けてくれた事もあり、概ね問題らしい問題も起きなかった。
 会場は楽しそうな熱気に包まれ、依頼主も満足そうに快活に笑って教えている。


●休憩
 8人がコツを掴んだ頃合いにマルクが手を上げた。
「皆、ちょっと休憩にしない?お茶かコーヒー、淹れるからさ」
 それに、作り立てのチョコレイトも、ちょっと味見したいし、と冗談めかしてマルクが言うと、面々が笑顔で頷く。
 チョコレイトの甘さに合う濃さで用意された紅茶や珈琲の良い香りが漂う。
 マルクが自分で飲むのは珈琲だ。
 苦みがチョコレイトの甘さにとても合うだろう、と予想してのチョイスだったが、それは正解だったらしい。
 ただ、年若い女性は甘い物に甘い飲み物でもいけるようだ。きゃあきゃあ、と楽しそうな声を上げながら参加者たちは賑わっていた。
 8人の仲間たちも、互いについての親睦を深めるべく、会話を楽しむ。
「わしはユーリカとレオンの分も今回作ろうと思ってな」
「ふむ。そういえば、依頼を受けるときにユーリカが言っておったな。歓迎だと」
 潮がそう言うと、そういえば、と、依頼をする時にユーリカが冗談めかして言っていたのをアレーティアが思い出した様子で頷いた。
「作ったチョコは会場で配って感想を聞いてみるつもりじゃったが、二人にもお裾訳と行こうかの」
 チョコレイトのお菓子をぱくり、と結乃が口に入れる。程よい甘さが口の中に広がった事で、嬉しそうにふわん、と結乃が笑う。
 依頼主の姿に、少しだけかつての主を思い出し、温かい気持ちになった結乃だった。
「うーん。ちょっと私には大きいかもです」
 30㎝の身体のリナリアから見れば、かなり大きい部類に入るチョコレイトのお菓子を見つめ、リナリアが困った様子でチョコレイトを突くのを見た世界樹が、おし、とそのチョコレイトを器用に小さく割り、リナリアへと皿を奨めた。
「ありがとうございます!」
「どういたしましてじゃ」
 嬉しそうに受け取るリナリアに、満足げに世界樹が頷き、紅茶を一口飲む。
 その横で、ギフトの能力について興味を持ったうえ男が、テテスへと話しかけている。
「便利、だねー」
「まぁな」
 先ほどから器具などを、ギフトで引き寄せているのを見て、便利そうだなと思ったらしい。
 戦わない依頼、と言うのもたまには良いかもしれない。こうやってゆっくりと話す事ができるのだから。
 そんな様子を依頼主は微笑ましそうに見つめていた。

(もし、私に子供が居たら、こんな風だったかしら)

 子供は授かることが出来なかったけれど、彼女にとっては、この教室で出会える人が皆家族に等しい存在だったから、決して寂しくはなかった。そして、こうして今年もまた新たな出会いがあったのだから。

 ーーああ、私は幸せね

「さぁ、続きをやりましょう」


●満面の笑みで
「本当に今日はありがとう。貴方たちのおかげでイベントは大成功でした」
 そう言って、依頼主の女性が皆に今日取れたカカオと、カカオで作ったチョコレイトのお菓子を渡す。
 イベントは大盛況の内に終わった。参加者の全員が楽しそうにチョコレイトを持ち帰えるのを見送った後、無事に終わってほっとした様子で互いに顔を見合わせ笑った。
「大切な人にあげるもよし、自身で食べるのも良しよ?」
「レオンとユリーカ嬢ちゃんに作ってみたが喜ぶかのう」
「きっと喜ぶわ」
 潮は自身のチョコレイトだけではなく、宣言通りレオンたちへのお土産も作成していた。
 本格的なお菓子作りは初だったが、出来映えは大成功だ。レオンには少しお酒を入れたチョコレイト、ユリーカには甘いミルクチョコレイトを用意した。
「僕はギルドの皆にだね」
 お世話になっているギルドへのお土産を持っていくのを想定し、マルクはたくさんの種類のチョコレイトを作った。皆に選んで貰えれば、と。
「あと、そちらの方にはこれを」
 そう言って老女は、リナリアに極小さな丸いチョコレイトの入った袋を渡した。
「小さなお友達も居るでしょうし、皆で召し上がってね」
「ありがとうございます!」
「そちらの可愛らしいお嬢さんも、今日は本当にありがとう」
 結乃の目線に合わせ、依頼主が屈む。
「ボクのマスターにもだんなさん、てひとがいた。二人はいつも笑ってた。ボク達のお仕事の頑張りが、幸せと笑顔をたくさん作れるなら、うれしい、から」
 だから気にしないで、と儚く微笑む結乃の頭を依頼主がそっと撫でた。
 結乃の優しい心遣いに、依頼主は照れた様子で微笑みながら、8人の姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。
 別れが惜しい、と言わんばかりに。
 その姿を振り返りながら、リナリアはご機嫌に羽を可愛らしく羽ばたかせた。
「別れはちょっと寂しいですねー」
「はっはっは、何また会えるじゃろう」
 豪快に潮が笑い、その近くを漂って居たポチも、可愛らしい声をあげた。
 短い時間ではあったが、確かに依頼主との絆はそこのあったのだ。また街に行けば、運が良ければ会うことだってあるだろう。
 それはこの依頼に集った8人にも言えることだ。
 各々の道はそれぞれ違う。だが、その中で交差する事はあるのだ。
「では、わらわはこの辺りで失礼するのじゃ」
 ウイスキーボンボンみたく中に即席練成で作った薬を閉じ込めたチョコレイトと、粉状の薬をチョコに混ぜて作ったチョコレイトが思いの外、参加者に美味しいと高評価だった事に満足しつつ、アレーティアがひらり、と手を振り帰路についたのを切っ掛けに、それぞれが己の日常へと帰って行く。
「家に帰るまでがイベントじゃからのー。それとバタ……いや、泥には気を付けるのじゃぞ?」
 その世界樹の言葉に、残りの7人は何のことだろう、と首を傾げたのはここだけの話だ。
 何かの作品なのだろうが、7人にはその知識は無かったのだった。

その後8人にはローレットを通じて依頼主からの手紙と報酬が届けられた。

 ーーありがとう。貴方たちのおかげでイベントは大成功だったわ。貴方たちのこれからの依頼も上手くいきますように。たまには遊びに来て頂戴。あの店で私は毎年居るから。

 また会いましょう、そう手紙には書かれていた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ありがとうございました。
皆さんのバレンタインデイも素敵な物だったら良いなと思い書きました。
楽しんでいただけたなら幸いです。

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