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シナリオ詳細

エクストリームかぶと狩り

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●かぶと狩りじゃーい!
 伝説のカブトムシを知っているか!
 幻想東部、マウント山のフォレスト森にそびえたつゴッド霊樹。そこからしみ出るハニー樹液には様々なカブトムシがまっしぐらに集まっていく。
 中でも素晴らしいのが……。
「このゴッドマキシマムハイグレード1分ノ1ヘラクレスギガカブトムシだ」
 昆虫博士でおなじみインセク博士が虫そのものってかんじのヘルメットをついっと撫でて言った。
 広げた図鑑に載っている黄金のカブトムシ。
 その巨大さは横に描かれた太郎君(小学生男子)の実に五倍。
 くっそデカいそのカブトムシをなぜ説明するのかっていうと……。
「このゴッド(中略)カブトからとれる鱗が次の研究に必要なのだ。しかしこの時期は寒くていかんということで森はおろか山にすら入ってくれる冒険者もつかまらん。ちょっくら行って、このゴッド(中略)カブトの素材を採取してきてくれんか」

 と、このような依頼を受けたイレギュラーズたちは『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)と一緒に昆虫図鑑を開いていた。
「ふむふむ……ゴッド(中略)カブトは巨大な霊樹から出る樹液を年に一度すいにくるらしいのです。時期的には今がぴったりらしいのです……」
 ぺらりと次のページをめくると、太郎君(小学生ヴァンガプレイヤー)が『ゴッド(中略)カブトはここがスゴイ!』とガッツポーズで解説していた。
 イルカが攻めてくる的な絵本のタッチで想像してみてほしい。

 ――ゴッドビーム!
 ツノから放つビームはひゃっぴきの虫をいちどにケシズミにするんだ!

 ――ゴッドウィング!
 巨大な肉体を空に飛び上がらせる大いなる翼なんだ!

 ――ゴッドイヤー!
 遠くで田中君が陰口を叩いてもすぐに聞きつけるんだ!

 ――ゴッドカリスマ!
 まわりの巨大虫が味方になってくれるんだ!

 田中の下り以外はかなり重要な情報だった。
「このゴッド中略カブトを倒すには、多くの巨大虫を倒しながらこのゴッド中略カブトを相手にする必要があって、そのうえ強力なゴッドビームにも気をつけなくちゃいけないのです。
 これは案外大仕事になるのです……!
 けど戦って倒せばよいという点においてはとってもシンプルなのです。
 みなさん! 虫さんに注意しつつ、ゴッド中略カブトを倒すのです!」

GMコメント

【オーダー】
 ゴッド中略カブトを倒すのだ!

 目的はゴッド中略カブトを倒して素材をはぐことのみなので、まわりの巨大虫を倒しきらなくてもOK。
 というか、巨大虫は暫くすると次々増えるので、全部倒そうと考えると十中八九死ぬ。
 『巨大虫を適度に倒しつつしのぐ』『ゴッド中略カブトへ有効打を与え続ける』の二種のプランを同時進行していこう。

【フィールドデータ】
 特殊な森。
 ゴッド霊樹という巨大な木のまわりは小高い丘みたくなっていて、なんでか木がほとんど生えていません。
 ひろーい芝生の中央に巨大な木が一本だけあると思ってください。遠近感おかしくなるわ。
 ついでに、そこにゴッド中略カブトと配下の巨大虫たちがぞろぞろ居ると思ってください。遠近感おかしくなるわ!

【エネミーデータ】
・ゴッド中略カブト
 名前が長すぎていつも省略されているカブトムシ。
 高いHP、高いAP、高い特殊抵抗、長い名前が特徴。
 高さだけでも太郎君の五倍くらいある。つまりはくっそでかい。
 ゴッドビームは貫通攻撃だが、配下の虫を巻き込まないためか割と終盤まで温存される。
 そのかわりマイクロゴッドビームという大量のほっそいビームを打ちまくる技を使ってくる。範囲は『遠域【万能】【識別】』というずるいやつ。

・ギガダンゴムシ
 ボール状態で直径1メートルくらいのダンゴムシ。
 いっぱいいるがボール状態になって突っ込む以外に能は無い。
 命中力が低く攻撃力も低いのでこれ単体は驚異にならないが、かわしまくってるうちに集中攻撃ペナルティがかかってくるという罠がある。
 そうでない時は主にダンゴ装甲を用いてゴッド中略カブトの盾になっていたりする。

・ギガトンボ
 空を飛び焼夷弾みたいな卵で爆撃してくる恐い奴全長約3メートル。数体いる。
 爆撃には【業炎】がついていている。
 ただし30m高度(ペナルティ高度)を飛んでいるため射撃ができるなら撃墜が楽。

・ギガカマキリ
 高さ2m弱のカマキリ。カマキリ拳法で戦うアグレッシブなファイター。数体。放っておくと増える。
 攻撃範囲が至近に限られる代わりに命中補正やCT補正が高く攻撃には【出血】がついている。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • エクストリームかぶと狩り完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月07日 23時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
シラス(p3p004421)
超える者
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽

リプレイ

●なんでもかんでもでっかく育つ家ってあるよね
 幻想東部マウント山のフォレスト森。その中央にそびえるゴッド霊樹。
 こんなふざけた名前の場所にやってきたのにはワケがある。
「今更驚くのもおかしな話だがよ、相変わらず混沌世界ってのは、読めねえなぁ……」
 登山道具を地面におろし、戦闘態勢を整えた『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)。
 彼が見上げる先には、とてつもなく巨大で無駄にゴールデンなカブトムシがあった。
 同じく額に手を翳してみる『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)。
「いやしかし……でけぇし長ぇな、あのカブトムシ。おまけに取り巻きの虫までデカイと来たスか、ナントカ旅行記かっつの。虫カゴに入らねぇ虫は生け捕りもできねぇしな、やるしかねぇッス」
「ゴッドマキシマムハイグレード1分ノ1ヘラクレスギガカブトムシゴッドマキシマムハイグレード1分ノ1ヘラクレスギガカブトムシゴッドマキシマムハイグレード1分ノ1ヘラクレスギガカブトムシ! よっしゃ言えた!」
 その横では『特異運命座標』シラス(p3p004421)が謎の達成感にガッツポーズをしていた。
 人によっちゃもう神甲とか略されてる可哀想な生き物の名前を全部言ってあげるとか慈悲の化身だった。
 眼鏡をちゃきっとやる『特異運命座標』秋宮・史之(p3p002233)。
「カブトムシ、それは男子の夢。夏休みに網を持って追いかけ……まって今冬だよ! なんで僕冬にカブトムシとりに登山してるんだよ! なんでいるんだよ! トンボもダンゴムシもカマキリもー!」
「「……ああ」」
 巨大さに目を取られすっかり気づかなかった義弘たちが振り返り、一斉に手を叩いた。

 とはいえ、スケールも季節感も関係なくただただ楽しみな子らもやっぱり存在した。
「子供たちが一度は行うというカブト狩り。桜咲も晴れて初体験なのです」
 麦わら帽子に虫取り網。ある意味のフル装備で桜咲 珠緒(p3p004426)はガッツポーズ――と同時に盛大に吐血した。
「がんばりまゴフゥ!?」
「珠緒さーーーーーーん!」
 駆け寄る仲間たち、ハンサムな『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)に肩を借り、珠緒はゆらゆらと立ち上がった。
「わかるよ。俺も子供の頃は夢だったからね。こんなにでかくて黄金のカブトムシ。でかすぎるけど……どう、立てる?」
「臓器がいくつか動かないだけなのです」
「だめなやつだよねそれ」
 この状態のままレベル1にノーマライズされてその状態のまま強くなっていくというのが混沌世界のヤベーところである。
 さておき。
「今回はわくわく昆虫ランドか……。虫との縁が妙にあるのぉ、儂」
 気分だけで被ってきた麦わら帽子を脱ぎ捨てる『Hi-ord Wavered』ルア=フォス=ニア(p3p004868)。
 『特異運命座標』藤堂 夕(p3p006645)が何かの権利にひっかかりそうな歌を歌いながら歩いていたところ、カブトムシを見てふと呟いた。
「そういえば、カブトムシってお店で売ってるもんだと思ってました。あれって山でとってきてそれをお店が買い取ってるらしいですねー。虫取りでお金儲けとか――」
「お金儲けとな」
 ぴたりと動きを止めるニア。
「こやつ等をたくさん捕まえて貴族のボンボンに売れば、ボロ儲けできんかのぅ?」
「……できますかね」
「……無理じゃろな」
「「ねー」」
 一緒に首を傾げるニアと夕であった。

●かーぶとがりじゃーい!
 ジャングル探険でもするかのようなハットのつばをあげるシラス。
「さあて、カブトがりといこうか!」
 後ろ腰のベルト固定式ホルダーからX字にさげた刀の柄を、逆手にそれぞれ握り込む。眼前にはゴッド霊樹。
 こちらの戦意を読み取って空に舞い上がるゴッドマキシマムハイグレード1分ノ1ヘラクレスギガカブトムシ。
 彼(?)の呼びかけに応えてか、無数の巨大虫たちが現われた。
 空を飛び生体爆弾を握り込むギガトンボ。
 ボール状態のまま転がって地面を埋めるように迫るギガダンゴムシ。
 カマをしゃきしゃきやって戦闘態勢を整えるギガカマキリ。
「どこに撃っても当たっちゃいそうだぜ――」
 シラスはニヒルに笑うと、刀をふたつ同時に抜刀した。
 露わになった黒曜石の刀身にはハガルのルーンが刻まれている。
 刃側にはしる破壊の力をのせたまま、上空のギガトンボへと振り込むように発射した。ほぼ同時に爆撃をしかけてくるギガトンボ。
 卵状の生体爆弾が着弾。外気と反応して激しい炎をあげて爆発する。
 そんな爆発を跳躍によって突き抜けてくるニア。
 空中でガンウォンドを引き抜くと、取り込んだ聖痕の力を破壊エネルギーに変換。側面のエネルギーメーターが真っ赤に染まる。
「せめて羽根くらいはむしって好事家に売り渡してくれるわ!」
 二丁拳銃スタイルで破壊光線を乱射。
 大量の破壊の力をうけたギガトンボは煙をふいて墜落していった。
 抱えていた爆弾が見当違いな場所で爆発し、残骸や土を吹き飛ばしていく。
 灰と草と土と、知らぬなにかの臭いが煙と共に広がっていく。
 吹き抜ける黒煙をかき分けて、夕が紙飛行機を構えた。
「活路を開きます! とんでけー!」
 ていやーといって投げた紙飛行機は高速で飛行し、群れるダンゴムシの中央に着弾。書き込まれた破壊のルーンにしたがって空圧爆発を起こした。
 衝撃で一斉に吹き飛んでいくダンゴムシ。
 とはいっても、彼らは夕より早く動けなかったダンゴムシたちにすぎない。
 先んじで接近をかけたダンゴムシたちは既に夕を轢殺する構えでローリングアタックをしかけていた。
「おい」
 迫る直径1メートルのダンゴムシ。
 それを義弘は喧嘩キックで受け止めた。
 殺しきれないエネルギーで義弘は軸足ごと土を数十センチ削るがそれだけだ。
「俺を無視していくんじゃねえ」
 義弘はハンドポケットのままダンゴムシを蹴りつけると、後続のダンゴムシたちへとビリヤードよろしくぶつけていった。
 はねとぶダンゴムシ。おおきく浮かんだその一個体に目をつけて、葵は高く跳躍。
「もらったッス!」
 足に真っ赤なオーラを集めると、葵は強烈なサッカーシュートを繰り出した。
 オーラに包まれたダンゴムシが天高くシュートされ、途中にあったギガトンボの肉体を打ち抜いていく。
 くるりと回転して着地。
 はずみながら攻撃をしかけてくる無数のダンゴムシに、にやりと牙をみせて笑った。
「こういうのは、得意分野ッス」
 突撃してくるダンゴムシを足で打ち上げ胸でトラップ。スローな意識の中でゆっくりと落ちるボールとその先の敵の位置。仲間の位置。その全てが高速でマッピングされる。フィールド把握というフィールドスポーツ選手特有の感覚である。
「そこっ!」
 連続キック。
 弾むダンゴムシが次々と敵にぶつかり、ダンゴムシの接近を打ち払っていく。
 そんな虫だらけの戦場で、珠緒は夕へ駆け寄った。
「藤堂さん、ブレッシングウィスパーを付与するのです。じっとしていてください」
「あっ、助かります!」
 夕はなんかファーってなるキラキラしたやつを浴びるイメージで両腕を広げ、珠緒のほうを向いた。
「では行きまゴファァ!?」
 大量に吐血する珠緒。
 頭から被る夕。
 祝福の囁きで対象に活力を与えます。(スキル説明文をコピペしました)
「なんだろう。不本意ながら活力が……!」
「なんかすみません。こんなはずでは……あ、自分にキャッスルオーダーもかけておかなくてはオロロロロロ」
 地面に手を突いて大量に吐血する珠緒。
 城のように敵を迎撃する不動の構えで一つの隙も作りません。(スキル説明文をコピペしました)
「あれ大丈夫? 大丈夫なんだよね?」
「たぶん……大丈夫だと、思います」
 威降と史之は背後で行なわれている謎の儀式にびくびくしつつ、開かれた活路を進むべく走り出した。
 刀を抜く威降。はずむダンゴムシを飛び越えカブトムシめざし飛びかかる――が、それをブロックするようにギガカマキリが飛びかかってきた。
 鋭いカマが迫る。
 威降は鋭敏な感覚でそれを察知。せまる鎌を刀で打ち払うと、もう一本の脇差しを抜いてギガカマキリへと突き込んだ。
 肉体を貫くかと思われた刀はしかし、先端がやや刺さっただけで止まる。ギガカマキリの二本目の腕がそれをさしとめたのだ。
 空中でぶつかった状態から反発し、互いに距離をとる威降とギガカマキリ。
「それなら俺が――!」
 腕時計型障壁発生装置を起動しナックル状に拳を包むと、史之はカブトムシめがけて走りこんだ。
 そうはさせぬと立ち塞がるギガカマキリ。
 立ち止まる史之に、上空からゴッド(中略)カブトムシからのマイクロゴッドビームが浴びせられた。
「くっ……!」
 障壁を拡大して点に翳し、うねうねと曲がって史之たちだけを狙う細いビームを防御する。
 弾かれたビームのエネルギーが周囲の木々にぶつかり、激しい火花となって散った。
「このままじゃ近づけない。まずは巨大虫たちを倒しきらないと……!」

 戦闘開始と同時に敵味方が入り交じる今回の戦闘においてもはや前衛も後衛もない。
 範囲攻撃による殲滅を警戒したことで四方に広がったイレギュラーズたちは、それぞれのチームに前衛タイプと後衛タイプを分けていたことで、ルアや夕といった遠距離攻撃が得意なメンバーがダンゴムシやカマキリに囲まれるといった事態に苦戦した。
 その一方で、範囲攻撃を(きっぱり地上から30m乖離した)ギガトンボの殲滅にあてたことで対応していたが、全長3mのギガトンボが飛行するに充分な距離を保つべくそれなりに離れていたので範囲攻撃が活躍する機会は群れでワッと現われた最初の段階に限られていた。
 つまるところ、ここからはどれだけ単体攻撃を沢山撃つか――もしくは味方を巻き込むことを計算に入れてもろとも吹き飛ばすかする必要があった。
 できるだけ味方を巻き込みたくない彼らのとった選択は、前者である。

「このままじゃキリがない」
 シラスは宝石剣の刀身に無数の小さな光を乗せると、拡散状態で発射した。
 眼前のダンゴムシやカマキリたちにまとめて被弾。次々に小爆発を起こしていく。
「ゴッドビームがくる。伏せて!」
 史之はシラスめがけてゴッドビームを発射するゴッド(中略)カブトムシの様子を察して叫んだ。
 貫通タイプの攻撃は庇うのがとても難しい(逆にかばう敵を丸ごと抜くのによく使われる)
 とはいえ対処方法がないわけじゃなく、ぱっとみ沢山攻撃出来そうなラインをあえて用意しておくことでそこに打ち込ませ、防御の硬いメンバーで攻撃を引き受けるというものがある。
 意図したかどうかは定かでないが、史之たちがとった対策はまさにそれだった。
 三人固まっている史之周辺のラインとヒーラーを担当している珠緒のラインがよく狙われたが、このうち史之と珠緒の防御がメンバーの中でも比較的高く、ダメージの軽減にかなり貢献していた。
「この調子でいきましょう。大丈夫ですか珠緒さ――」
 珠緒がうつ伏せに倒れて血の海に沈んでいた。
「珠緒さーーーーーーーーん!」
「生殺与奪は治癒手の責任なのだとか。ご心配なく、やりますとも」
「そんな台詞今言われても!」
「大丈夫です。見た目よりは」
 ぱっとみ死体一歩手前だが、珠緒の体力は沢山残っていた。どころか、今まさに沈んでいる血の海もよく見れば血でできた巨大な法陣になっていた。
 珠緒がつくった血の池から空飛ぶ蛇のように血液が舞い上がり、いましがたビームをくらった葵の身体へと入り込んでいく。
「うっわなんスかこれすっごくなじむ!」
「いやじゃないんですかそれ」
「オレの場合大歓迎ッスね」
 あと葵との相性がすごくよかった。
「気合い出てきたッスァ!」
 エナジードリンクを飲み過ぎたひとみたいなテンションになった葵が大量に生み出したオーラボールを連続蹴り。あちこちの巨大虫が次々と粉砕されていく。
 そのうちの一発がゴッド(中略)カブトムシに命中。
 巨大な足の一本が破壊されて地面に落ちた。
 飛行状態であるとはいえ身体がもげればバランスは崩れるもの。二足歩行に影響ないとはいえ小指ぶつけたら誰でも悶絶するのと同じ理由でゴッド(中略)カブトムシは地面に墜落した。
 それでも再び飛び上がろうとするゴッド(中略)カブトムシ。
「させん!」
 ニアは跳躍によってゴッド(中略)カブトムシの背を視界にとらえると、ガンウォンドに特殊な魔力を込めた。
「しばらくじっとしておれ!」
 ため込んだ魔力を一度に発射。
 ゴッド(中略)カブトムシに打ち込まれた魔力は当人の精神を激しく苛み、翼を広げる気力すら奪っていった。
 防御のおろそかになったゴッド(中略)カブトムシ。
「今じゃ! もぎとれぃ!」
「らじゃりました!」
 夕が天嬢転化を抱えて跳躍。
 盾のこう、側面の、硬そうな、あの、とがったあれの所でガッとゴッド(中略)カブトムシの角を殴る。
 するとなんということか、ゴッド(中略)カブトムシの角が根元からへし折れ、ずずんと地面に落下したではないか。
「私考えました。ゴッドなカリスマを剥奪すれば、虫たちは戦意を喪失するんじゃないかって! カブトムシのカリスマといえば勿論――角!」
 落ちた角をそいやと掲げて、振り返るギガカマキリやギガダンゴムシたちに見せつけた。
「貴様らのボスはこの通りだぞー!」
 ゴッド(中略)カブトムシを助けるべきか、角の折れちゃったゴッド(中略)カブトムシははたしてゴッドなのか。そんな葛藤が巨大虫たちの中にわき起こった。
 そう、まさに勝機。
 威降と義弘は同時に飛び出し、まだ息のあるゴッドカブトムシに連携アタックを叩き込んだ。
 義弘の拳が硬い装甲に命中。そこから凄まじいラッシュパンチを叩き込んでいく。角が折れてなにか大事な気持ちを喪った相手の脳をゆさぶった。
「巨大昆虫……格好良かった」
 差し込まれた威降の刀がゴッド(中略)カブトムシの脳を的確に破壊。
 そのひとさしだけで、ゴッド(中略)カブトムシは死亡した。
 金色の装甲板を一枚ひっぺがし、威降は満足そうに刀を納める。

 そこから先は流れるような展開だった。
 角も命も失ったゴッド(中略)カブトムシはゴッドならずとばかりに巨大虫たちはゴッド霊樹へと引き下がった。
 そしてギガカマキリは両手をすりあわせ祈るように、ギガダンゴムシは木に集まってすがるように、ギガトンボは何かを呼ぶように樹の周りを飛び始める。
 なにがおこるのか。
 つい見守ってしまったイレギュラーズたちの眼前に現われたのは、新たなるゴッド――そう、ゴッド霊樹の幹が割れ、内側から巨大かつ黄金のカブトムシがあられたのだ。先程のものよりずっと小さいが、あれは確かに――。
「ゴッドマキシマムハイグレード1分ノ1ヘラクレスギガカブトムシ!」

 命は失われ、また生まれる。
 ゴッドは今日も、森にあり続けるのだ。

成否

成功

MVP

藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽

状態異常

なし

あとがき

『言われてみれば!』感がすごかったので夕さんにMVPを差し上げます。いわれてみれば!

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