シナリオ詳細
<ジーニアス・ゲイム>見晒せメイドの底力
オープニング
●弱小貴族を、舐めるな。
大太鼓の音。整列して進む軍靴の列。
ぴったりと掲げた銃口と、フリルカチューシャが天をつかんと並んでいる。
幻想南部ノージィズ。
田畑が広がり人々は笑顔朗らかに暮らす穏やかな町が今、一変して戦争の様相を呈していた。
これこそまさに貴族の怒り。
国の怒り。
民を傷付け田畑を踏み荒らしたサソリへの、怒り。
幻想南方小貴族ノージィ氏の、全力全開である。
「旦那様。全軍揃いました」
眼鏡のメイド長がひく飾り馬に一人の恰幅良き男が跨がっている。金色の髭をついっとなでて、男は――幻想貴族が一家門ノージィは呼びかけた。
「うん。ありがとう。みんな、家族のもとに返してあげたばっかりなのに、急に呼び出して本当にごめんね。お金や保証はうんと払うから、どうか僕に付き合ってほしいんだ」
遠くの丘には今なお、砂蠍が占領した村がある。
あがる黒煙は破壊と死と悲しみの煙。
かかげた旗は国盗りの旗。
この村を故郷にもつ者も、少なくは無い。
そんな気持ちに胸を痛めるように、ノージィ氏は唸った。
「盗賊の軍勢『新生砂蠍』は僕らの民を踏みつけた。みんなの故郷を踏みつけた。僕らの『家族(メイドたち)』を踏みつけた。僕はこれを絶対に許さない」
ノージィ氏に仕える戦闘メイド隊。および、周辺貴族がツンデレ気味に貸し与えた私兵隊。その全てがずらりと並び……その中央には、なんということか、ギルド・ローレットのイレギュラーズたちがいた。
「僕らは蠍を踏みつぶす。たとえ針に刺されようとも、毒に犯されようとも、僕は、彼らが生きていることを許さない!
全軍――」
軍配を振り上げるノージィ。
「突撃!」
●縁浅からぬローレット
時を遡ることすこし前。
「進軍なのです! 進撃なのです! うおー!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が拳を突き上げ燃えていた。
『盗賊王』キング・スコルピオの軍勢に侵された幻想南部各所。これを取り返すための戦いが貴族たちの間で行なわれ、その追加戦力としてローレットに無数の依頼が舞い込んでいる。
これはその一つ。
ローレットともなかなかに縁の深い小貴族『ノージィ氏』からの依頼であった。
――現状はとても複雑だ。
砂蠍は陥落した土地を橋頭堡に幻想占領を狙っている。
幻想貴族はその抵抗と同時に鉄帝よりの進軍に対抗せんと飛び回る。
鉄帝軍はこのタイミングで大規模侵攻を仕掛けている。
聞くところによれば帝都スチールグラード近郊の越冬備蓄が何者かに倉庫ごと焼かれるなど不穏な空気にせかされているらしく、鉄帝軍の将ザーバは不本意ながらもこの侵攻を進めているようだ。
結果、いかなる国にも肩入れしない完全中立の何でも屋ことローレットは、幻想VS鉄帝の両軍から寄せられた援軍依頼に等しく応えることとした。
が、しかし!
「そんなこともはや関係ないのです! この依頼は、幻想のひとびとに怪我させた砂蠍の軍勢をやっつける依頼なのです! うおー!」
はじまりは幻想貴族ノージィ氏にローレットが臨時メイドとして雇われた時のこと。
臨時とはいえ家族同然に歓迎したノージィと楽しく平和に過ごしていた所、突如攻め込んできた砂蠍の軍勢。
たちまちノージィ氏は捕らえられ屋敷は占領されてしまった。
しかしこれを臨時メイドとして居合わせたローレットと駆けつけた仲間たちによって撃退した。
しかし戦いはこれで終わりではない。
『僕のメイドや民を傷付けた報いを、盗賊たちに受けさせるよ』
ノージィ氏はその言葉どおり、反撃ののろしをあげたのだ。
誰の頼みでもほいほい受けちゃう人の良いノージィ氏。
幻想貴族にしてはえらく珍しい物腰で、それゆえ損も沢山してきたが、だがそれだけに、それだからこそ、多くの者に愛されていた。
領地の民は『旦那のためなら』と最大限の支援をし、安全地帯で休暇を貰っていた戦闘メイドたちが武器を手に勝手に駆けつけ、日頃ノージィに面倒ごとを押しつけてきた周辺貴族も『べつにお前のためじゃないんだからね』と私兵をごっそりよこしてきた。
そこへ、ローレットへの依頼によってイレギュラーズたちが加わり、一軍となって砂蠍占領下の村を奪還する作戦をたてたのだった。
「村は広くて敵の盗賊兵も沢山いるのです。けれど、沢山いるのはこっちも同じなのです!
とらわれてる村人さんたちを助け出して、村を占領してる砂蠍軍の追い出してやるのです! うおー!」
- <ジーニアス・ゲイム>見晒せメイドの底力完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年12月12日 22時00分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●見晒せメイドの底力
大地を駆けよ軍靴の列。
天を脅すアサルトライフルとフリルカチューシャ。そして周辺小貴族たちの旗。
その中央を走るのは、メイド長カチュウさんに馬を任せた恰幅良い貴族。およそ戦とはほど遠い穏やかな顔つきが、今はキッと怒りに燃えていた。
幻想貴族ノージィ氏。幻想貴族にしては人が良すぎて苦労ばかりしているが、そのぶん民やイレギュラーズに好かれる男。
「お久しぶりでございます、ノージィ様、カチュウ様」
戦闘馬車に乗り込んだ『魔法少女スノードロップ兼メイド』飛騨・沙織(p3p004612)がスカートのすそをつまんで礼をした。
「やあ、いつかは世話になったね」
こちらこそと表情を変えずに言う沙織。
「我が主もノージィ様には世話になったとローレットを通して私を派遣なされました。微力ながら皆様のお力添えになるべく粉骨砕身ご助力させていただきます。そう……メイドとして」
上を見やれば『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が翼を広げて飛行している。
「ノージィさんが戦うなら、オイラも一肌脱がないとね!」
やる気が目の光りに出ているようで、アクセルはくるくると回転しながら高度をあげていく。
人徳は時として力となる。
「またお会いできてうれしいのです、ノージィ様、カチュウさん」
焦げ目の刻まれた木剣を掲げ、『こげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)は先端に火をともしていた。
「(元)メイドの矜持を示すが為、もうひと暴れと行くのです!」
ノージィ氏の屋敷が砂蠍の盗賊たちに占拠され、それを打ち倒したのはつい最近のこと。
今こそ反撃の時であるとばかりに、クーアたちは燃えていた。
眼鏡のブリッジを籠手のつけねで押すカチュウさん。
「初めて見る方もいらっしゃるようですね」
「白馬よ!海月をやっているわ。職業は妹! ……妹系メイドね?」
「そうですか。たのもしいですね」
「存分にたのもって頂戴!」
胸をドンと叩いてみせる白馬。
世の中、沙織やクーアに限らずメイドと名の付くおかしな存在は山ほどいるので今更驚かないカチュウさんである。
そんな様子を遠くから見ていた『夢棺』ミーシャ(p3p004225)。
「情けは人の為ならず、っていうけど、ノージィさんは本当にそうだね。人の縁は巡るもの。ノージィさん。とっても格好いいと思う」
ミーシャはどこか眠りを誘うような音楽を奏ながら、馬車の上で瞑目した。「だから、ボクも全力でお助けするよ」
「うん……」
同じように瞑目する『しがない透明人間』透垣 政宗(p3p000156)。
「僕ね、幻想の貴族って基本的に嫌いなんだぁ。なんというか、観ていて面白くない人が多いからね。でもねぇ……」
目を開ける。
砦へ向けて走る軍隊に、どこか一体感があった。
「ノージィさんは好き。善良な人には無条件に味方したくなっちゃうよ!」
馬車から身を乗り出し、握った拳をぐるぐると回してみせる。
「一緒に頑張ろうね!」
呼びかけに応え、ライフルを掲げてみせる戦闘メイドたち。
随分とかわった光景だ。
『凍てついた碧色』鼎 彩乃(p3p006129)は内心そんなことを思っていた。
(話を聞く限り、気持ちいい程善人みたいですし。……うん、自分とは正反対のタイプ、かも……ノージィさん。状況は良いとは言えないでしょうが、出来る事をしましょう……自分なりに)
「ふうん……」
馬車をひき馬に跨がっていた『吸血鬼を狩る吸血鬼』サイモン レクター(p3p006329)。
「ここの貴族は随分いろんな奴らに好かれてるみてぇだな、必要なものは何でも調達するように協力までもらえるなんて普通はありえねぇぜ」
背負っていたライフルのセーフティを解除すると、中指と親指でサングラスをはさむようにして位置を直した。
「ここまでしてくれるんだったら何としても人質や村の奪還は成功させてぇな!」
目的の砦が近づいてくる。
そびえたつ壁と並ぶ塹壕。
さて、なにから手をつけようか。
●防壁と塹壕
雑草の間を走る子ネズミが、草間からわずかに顔をあげる。
小さな目には新生砂蠍呪怪樹部隊の塹壕がうつっている。
もしそれを見つけたならば何者かが使役した動物だと気づくだろうが、草間に隠れたネズミとなれば見つかりづらい。
どころか、塹壕の兵士たちは近づく軍隊の横隊風景に息を呑んでいる。
振り返れば軍隊の一部が馬でなにかの機械をひいてきたのがわかるだろう。
「あれは?」
誰かが呟いた。
次の瞬間、巨大な岩が飛来する。
「着弾!」
「次、急いで!」
空から塹壕の様子を確認していたアクセルが塹壕に岩が激突したのを確認し、後続の部隊へと知らせた。
「兵士は塹壕を捨てて逃げたよ。他の部隊は迎撃にかかってる」
「わかった。それじゃあ隣の塹壕だね」
政宗はメイド部隊に合図を送ると戦陣をきって走り出した。
握った拳の甲に口づけをすると、かわいさを暴力に変え、塹壕めがけて空パンチを繰り出す。
砲弾のように飛んでいったエネルギー体が爆発。
迎撃しようと銃を乱射してくる塹壕の兵士たちに、次なる砲弾が飛んできた。
白馬の指示した催涙弾である。狭い塹壕には効果覿面だ。
広がる煙にむせながら塹壕から飛び出していく兵士たち。
このままでは塹壕も効果が無いと踏んだのか残る兵士たちも砦へと撤退。門を閉じて防衛に専念し始めた。
「さて。第二段階といきましょうか」
沙織は鋭く走ると破城槌をかついだ貴族連合部隊を誘導するように飛び始めた。
閉じられた門に激突する丸太。
さらには無数のはしごがかけられ、皮布が渡される。
はしごをまっさきに駆け上がったのは彩乃だった。
防壁の上に突き出た監視塔の兵士が慌ててライフルを向けてくるも、はしごを走りながら魔術弾を発射。
相手が塔から撃ち落とされたのを確認することもなく防壁を飛び越えた。
わずかな滞空時間。視界に映ったものを高い集中力で確認すると、着地と共に『続け』と叫んだ。
と同時にサイモンが物質透過で砦内に侵入。
手榴弾のピンをぬき、勢いよく投擲。
爆発が起きたと同時に、その箇所めがけて砦の外側から大量の爆弾が飛んできた。
吹き飛ぶ建物。
武器を装備しようと駆け込んでいた兵士たちが慌てて飛び出していく。
「武器庫がやられた!」
「侵入してきた奴だけ潰せ。奴がビーコン代わりだ」
サイモンを取り囲もうと展開する兵士たち。
が、サイモンは余裕そうに煙草をくわえていた。
マッチを擦り、火をつける。
「俺ばっかり見てていいのか? 空から思いがけねぇもんが降ってくるぜ」
咄嗟に上を見る兵士たちが見たものは、ジェットパックによって防壁を乗り越える戦闘メイドたちであった。
それに混じって乗り込むミーシャ。
「みんな、いくよ」
楽器を構えると音の魔術弾を大量に展開。発射し始める。
ライフルの銃撃が降り注ぎ、サイモンを囲んでいた兵士たちが残らず倒れる。
ミーシャは戦闘メイドたちから遅れて着地すると、使い捨てのジェットパックを脱ぎ捨てた。
「火はちゃんと消さなきゃだめ」
「はいはい、っと」
サイモンはマッチを捨てて踏みにじると、にやりと笑って走り出した。
●卑劣な盾
「くそっ!」
高そうな彫像を蹴りつけたハーモニアの男。彼の名は『呪怪樹』ベルドモード。
「どいつもこいつも俺の邪魔をしやがって。兵士も底脳だらけで使えねえ。誰かが俺を蹴落とそうとしてんのか? クソッ! 村人どもを連れてこい!」
部下に命じて拘束していた村人たちを小屋から引っ張り出すと、首根っこを掴んで突きだした。
攻め込んでくる戦闘メイドやノージィたちに見せつける。
「それ以上近づいてみろ。こいつらの首をころがしてやるからな」
「そうですか」
しかし沙織はそう呟いたきり、ロッドを握ったまま突き進む。
追従するメイド隊が素早く着替え用のカーテンをひくと、七色の光と共に沙織の衣装が魔法少女スノードロップのそれへと替わった。
「愛と勇気の正義の魔法少女、魔法少女スノードロップ。ここに参上! 覚悟しなさい、悪党! 魔法の力でデストロイだぞ!」
ベルドモードと同じように村人を盾にしていた兵士たちの一部が沙織に反応して飛び出し始める。
中には村人の子供を盾にしたまま飛び出した者もいる。
が、これで終わりではない。沙織の役割はあくまで混乱を呼ぶこと。それを増幅させるのが、仲間の役割である。
沙織が黙ってゴーグルをかけると、グレネードランチャーを構えたメイドたちが一斉発射。擲弾から激しい黒煙があがりベルドモードたちを覆い始めた。
こういうときは準備のあるほうが勝つ。
ゴーグルをかけた政宗が突撃し、兵士の側頭部に膝蹴りを叩き込んだ。
「幻想の人を苦しめるためだけにこんな事をするだなんて……つまらない人。目を曇らせるのも程々にしなよ」
流れるように空中に指でサインを描くと、召喚存在を別の兵士へとけしかける。
同時に緒近くの屋根から飛んできたアクセルが攻撃機のようにマジックミサイルを連射しながら駆け抜けていく。
黒煙を抜けて上昇するアクセル。それを追うように飛んできたベルドモードの部下が翼を広げたままサブマシンガンを乱射してくる。
アクセルはそれを確認すると素早くバレルロールをかけ、マジックミサイルを連射。
空中戦へともつれ込む。
彼らが頭上を抜けていったのを確認して、サイモンは構えていたライフルの引き金をひいた。
村人を盾にしている兵士の頭を抜けるライフル弾。
無言でさらなる狙いをつけ、射撃。次に狙いをつけて射撃。
機械のように行なわれる銃撃に兵士たちの一部は恐慌し、村人を蹴り出して後方へと逃げ始めた。
「まちなさい!」
白馬が黒煙の中を抜けて現われた。
鉄串に巨大なウニが刺さったような武器を振りかざすと、慌てた兵士の頭部めがけて叩き付けた。
「村人たちを盾にすれば手が出せないなんて、相手をばかにしすぎよ! 相手を馬鹿にした時点で勝負からおりたようなものなんだから。覚えておきなさい!」
倒れた兵士をウニソードでがしがしやりつつ説得する白馬。
そこでふと、黒煙のはれた背後へと振りかえった。
「ベルドモードがいないわ。あいつ、味方を捨てて逃げたわね!」
ベルドモードが面倒くさがって村人を全て小屋に押し込めていたおかげで、かえって村人たちの救出は一度にまとめて行なえた。
そうすることでなにが可能になったかというと。
「むん」
手榴弾を腰にまきダイナマイトを背負い肩から爆薬を帯び回転弾倉式グレネードランチャーを担いでついでに頬に緑のラインを塗ったフルアーマークーアが立ち上がった。
なんかシュワル○ネッガーがコ○ンドーしてる音楽が後ろで流れた。
懐から取り出したスイッチを押せば、あちこちの建物が爆発炎上。
逃げたベルドモードが火攻めによってあぶり出されていく。
「こっちに来るんじゃねえ! クソが!」
路上に立ち、娘を人質にして拳銃を突きつけるベルドモード。
彼の射撃をすばやくよけ、クーアは木のかげに隠れた。
「私一人なら貴方でも倒せるのです。来るのです賊共、武器など捨ててかかってくるのです! ――それとも、恐いのですか?」
クーアの呼びかけにベルドモードはキレた。
「お前なんか恐くねえ! 銃も、人質もいらねえ!」
娘を蹴り出し銃を投げ捨てると、ナイフを握って飛び込んできた。
「野郎、ぶっ殺してやる!」
途端、ベルドモードの首にフロストチェインが巻き付く。
建物の影から状況を見守っていた彩乃が死角から放ったものだ。
怒り狂ったベルドモードの死角。それゆえに回避はまるでできなかった。
首に鎖がまきついたまま、派手に転倒するベルドモード。
「くそっ、なんでだ! どいつもこいつも、俺を邪魔にしやがって! 悪いのは全部お前らだろうが! 俺は、俺は……!」
「きっとアナタの方が自分と似てる……だから討つよ、理由はきっとそれだけ……ね」
倒れたベルドモードに、更にオーラの縄が巻き付き、腕までもを拘束していく。
ロープの端を掴んだままミーシャがゆっくりと近づいた。
「因果応報。それじゃぁ、おやすみなさい」
ミーシャは囁くように、ベルドモードに永遠のような眠りを与えた。
●寝ても覚めても明日は来る
黒煙のあがる村の様子を、村人たちは呆然と見上げていた。
村はご覧の通りにめちゃくちゃだが、幸いにも村人に死亡者はでなかった。
ベルドモードたちに殴られて怪我をした者は多いようだが。
「ごめんね。村が焼けちゃったけれど……できる限りの保証はするからね」
ノージィがこの期に及んで申し訳なさそうに言うのを、政宗やアクセルたちは苦笑しながら見守っていた。
「あの人他人のためにばっかりお金を使うからなあ」
「塹壕や防壁で随分あれちゃったし、作り直すにはいい機会だったのかもね」
一方で、戦闘メイドや貴族連合の兵士たちは互いの健闘をたたえあい別の戦場へと移動していく。
沙織やクーア、彩乃たちも別の戦場へと向かうべく馬車へと乗り込む。
砂蠍の軍勢を打ち払うための最終決戦が近づいているのだ。
「さて、お嬢様やご主人様たちは大人しく待っていてくださるでしょうか」
馬車はたち、村は静かになってゆく。
白馬は皆に手を振り、次の依頼を遂行すべく走って行く。
残されたベルドモードとその兵士たちは、最低限の弔いがなされるという。
ミーシャは一度だけ目を閉じ、あがる煙に背を向ける。サイモンも煙草の火を消すと、かりそめの墓標へと投げてやった。
「じゃあな。来世ではもうすこしうまく生きろよ」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete!
GMコメント
【オーダー】
村の! 奪還!
なお、ローレット自体の失敗条件はイレギュラーズチームの総合戦闘力(≠人数)の半分が失われることです。
この時点で味方の兵によって強制撤退がなされ、イレギュラーズたちは戦場からパージされます。
これは『死んだりしたらだめだよ』という依頼主ノージィ氏からの条件でもあります。
【味方戦力】
この戦いで味方になる戦力です。
主に雑兵をぶん殴ったり民間人を保護して逃がしたりが役割です。
極端に強くはありませんが、イレギュラーズより弱いってこともないので保護や援護の必要はありません。むしろ彼らがしてくれます。
・戦闘メイド隊
ノージィ氏の家につかえるメイドたち。
先祖代々の決まりらしくノージィ家に衛兵やコックはなく全員がメイド。なので衛兵役は戦闘メイドと呼ばれている。
家事能力に加えて戦闘力を有している。その筆頭がメイド長の『カチュウ』さん。なにげにカチュウさん以外はローレットとは初対面。
・周辺貴族の私兵
いつも面倒ごとを押しつけていたノージィ氏がなんだかんだで好きだったらしい周辺貴族の連中がよこしてきた私兵。あまった人員をよこしただけと言いながら全員本気装備。
【使用できる道具】
今回は特別に『なんでも使ってOK』です。
装備アイテムになかろうと高値のつくものだろうと好き放題ぶち込んでください。
ノージィ氏への支援として領内の大工鍛冶屋パン屋その他諸々の住民が『なに旦那に手ぇ出してくれてんだ』とそれぞれの分野で本気を出しまくったせいです。丸太から投石器までなんでもあります。
この際だから普段出来ないようなことをやりまくりましょう。
【敵戦力】
・盗賊兵
砂蠍の軍勢です。い~っぱいいます。正確には新生砂蠍呪怪樹部隊
充実した装備とそこそこの戦闘レベル。一人で突っ込むのは自殺行為ですが、今は一人じゃあない!
・『呪怪樹』ベルドモード
軍勢のリーダーです。
ハーモニアの男性で、恐ろしい被害妄想によって幻想住民を憎んでいます。今回砂蠍に参加したのも、幻想の民を苦しめること自体が目的であったようです。
●多くの仕掛け
村を占領するにあたっていくらか要塞化しています。
・塹壕
入念な陣地構築によって塹壕が作られ、敵の防衛能力がアップしています。
防壁の外に防衛チームが結成され、攻め入られれば要塞化した村へ逃げ込んでしまうでしょう。
・防壁
村が高い防壁に守られています。このままでは突入が困難になります。
・村人を盾にする
拘束した村人を並べて盾にするという卑怯な手を使います。
これによって幻想の兵が困惑するさまを笑うつもりのようです。とてもいやなやつです。
【オマケ解説】
ノージィ氏はローレットともなじみのある貴族です。(発足当初からのおつきあい)
いい人すぎて損をするという人柄で、そのぶん多くの人々に愛されています。
ローレットが荒事関係で関わるのは、前回が初めてでした。
それ以外はずっとメイドのお手伝いでした。
・前回のお話はこちら
<刻印のシャウラ>メイド・イン・レガド
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/1105
・それより前のお仕事はこちら
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/3
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/280
https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/605
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
Tweet