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シナリオ詳細

はらぺこ王女とオランジクイナ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●はらぺこ王女はお腹がすいた
 幻想南部を巡る攻防が一時の落ち着きを取り戻した今日この頃。
 ローレットの中で集めた情報の精査をしていた『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)に声が掛かった。
「ねぇねぇ、リリィ」
「あら? ルーニャちゃん? どうしたのかしら?」
 リリィの黒いワンピースドレスの袖を引っ張るのは、最近召喚されたばかりの新人、『はらぺこ王女さま』ルーニャ・エルテーシア(p3n000050)だ。
 とっても悲しそうな顔をしてリリィの顔を見上げた。
「リリィ、あのね……お腹が空いたのよ。
 それはもう、ぐーぐーとお腹が鳴り続ける程に、私はお腹が空いたのよぉ~」
「あら、お昼は食べなかったのかしら?
 最低限の食事は頂けるはずだけれど」
 衣食住が保証されるイレギュラーズは働かなくても最低限生活に困ることはない。
 そう、食べるものはあるはずなのだが――
「足りん! 足りんのじゃ!
 私の胃袋は、あれっぽちのご飯じゃ満足できんのじゃ~~!」
 ジタバタと暴れるルーニャはもっと飯をよこせと手にした大剣をブンブンと振り回した。ローレットの主に床が斬惨と切り刻まれる。
「もう、ローレットの中で暴れたらだめじゃない。
 そうねぇ、働かざる者喰うべからずよ、ルーニャちゃん。
 そろそろ依頼でもして報酬で美味しいものでも食べたらどうかしら?」
 リリィの言葉にピタリと動きを止めるルーニャ。自分の中で天秤を揺り動かし、ぽんと手を叩いた。
「うむ。ならばなにか良い依頼はないかのう?」
「……切り替え早いのね。
 魔導図書館からの依頼は……ちょっとルーニャちゃんには早いかしら」
「私は強いからな。なんでもこいだぞ」
 この娘、いまだに混沌肯定を理解していない。
 それを察するリリィは、依頼書を幾つか見比べて、打って付けの依頼を見つけ出した。
「これならどうかしら?
 幻想東部の農村でオランジクイナが暴れてるそうなの」
「オランジクイナ? なんか美味しそうな魔物ね」
「その名の通りオレンジの魔物よ。
 果汁を辺り一面に散布して、農作物をダメにしてしまう困った魔物だわ。
 その果肉はとっても甘くて美味しいらしいわよ」
 リリィの言葉にルーニャは目を輝かせて、
「おおぉ……甘くて美味しい。良い魔物だな!」
 ばっと依頼書を受け取り、流し見すると依頼書を懐に放り込んでぴゅーっと出口に向かってしまう。
「ちょっと、ルーニャちゃん。手順とかわかっているの?」
「大丈夫よ! なんてたって私は王女で騎士だんちょーなんだから!
 魔物なんてイチコロだわ!」
 それだけ言い残すと、大剣を引き釣りながら立ち去ってしまった。
「……これは、フォローしておかないとダメかもしれないわね」
 ちょっと面白くなってきたかもと思いつつも、依頼を失敗させるわけにはいかない。
 さっそくイレギュラーズへ呼びかけようと新たに依頼書を準備することにした。

「うぉ、なんだこの傷はっ。誰だギルドの中で暴れた奴は……」
 その後ろで、レオンのどこか悲しそうな声が聞こえていた。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 はらぺこ王女、初めての依頼です。
 このアホの子を助けてやって下さい。

●依頼達成条件
 オランジクイナ十体の撃破

●依頼失敗条件
 オランジクイナ三体以上取り逃がす

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●オランジクイナについて
 オレンジの木が魔物に変化した生物。
 大量のオレンジの実を実らせて、果汁を振りまき田畑を荒らす厄介者。
 高い反応に自分を中心とした域攻撃を得意とし、振りまかれた果汁は目に入ると【暗闇】に陥ってしまうだろう。
 臆病さを隠し持っていて、不利になるとみると即座に逃げ出す足の速さを持つ。
 成っている実は、とってもフルーティで甘酸っぱく美味しい。

●同行NPC
 ルーニャ・エルテーシアが同行します。
 混沌肯定を理解しておらず、自分がとっても強いと勘違いしたままです。
 そのお蔭で敵とみれば意気揚々と突撃を繰り返すでしょう。
 放って置いてもいいですが、ちゃんと教えてあげれば言うことは聞くはずです。アホの子ですが。
 お腹が減りすぎると、生きたままのオランジクイナにかぶりつきます。

●戦闘地域
 幻想東部の農村。その田畑になります。
 時刻は十二時。
 大きな田畑で視界も良く取れ、戦闘がやりやすいことでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • はらぺこ王女とオランジクイナ完了
  • GM名澤見夜行(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月05日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
二輪
ショゴス・カレン・グラトニー(p3p001886)
蠢くもの
メルナ(p3p002292)
揺らぐ青の月
シュリエ(p3p004298)
リグレットドール
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
嫉妬の後遺症
葛城 リゲル(p3p005729)
竜爪黒狼
ガーベラ・キルロード(p3p006172)
黒翼の恋人
瑞泉・咲夜(p3p006271)

リプレイ

●それゆけはらぺこ王女
「ふんふんーふんー♪」
 鼻歌歌いながら『はらぺこ王女さま』であるところのルーニャ・エルテーシアが街道を行く。
 ルーニャのお守り――もとい、手伝いを引き受けたイレギュラーズの視線は実に心配そうだ。
「あっ! デルパみっけ! リリィから雑魚モンスターって聞いてるわ!
 覚悟ーっ!」
 寄り道この道何のその。魚頭の雑魚モンスターに飛び込んでは返り討ちに遭う。
「ぎゃー、殺される! なによ、雑魚じゃ無くてレアモンスターかなにかなの!
 強いぃ! 逃げろー!」
 こんな目に遭いながら、しかしアホの子であるルーニャは未だ混沌肯定を理解していない。
「ルーニャちゃん……だっけ。危なっかしいなぁ……」
 後に続く『兄の影を纏う者』メルナ(p3p002292) が呆れたように言葉を零す。はらぺこ王女さまが食い意地を張って件のオレンジの魔物オランジクイナに立ち向かい大怪我をしてしまうのではないかと、気が気では無い。
「……よく騎士団長できてたにゃ、こいつ。
 きっと副団長辺りが機転の効く奴だったにゃ。お約束的に間違いにゃい」
  『リグレットドール』シュリエ(p3p004298)の独り言に、耳聡く聞き逃さなかったルーニャが胸を張る。
「ふふん、よく分かったわね。
 私は一番強いけど一番不安要因のお飾りの団長さまだって、よく副官のペルシェが言ってたわ! すごいでしょ、一番強いのよ。ふふん」
 問題はそこではない。
「副官のペルシェさんとやらもとても苦労しただろうにゃ……。
 同じ苦労はしたくないのにゃ。早速策を講じるにゃ。
 ――さて、ここにお菓子がある。これが欲しければ何をすれば良いかわかるかにゃ?」
「おぉ! くれるのか!?」
 さっと手をだすルーニャからお菓子を避ける。
 渡すには作戦を理解して貰う必要があるのだ。
 作戦は五箇条。それを一つずつ説明する。
「そして……わらわ達の指示を聞く事! なんたってこっちの世界じゃ先輩だからにゃ!」
「うーんめんどくさいのじゃ。私が突っ込んで全部倒すのじゃだめなのか?」
 ダメっと罰点マークを見せつけて、ルーニャに警告する。
 ぐぬぬ、と考え込むルーニャに、『農家系女騎士令嬢様』ガーベラ・キルロード(p3p006172)が「オーホッホッホ!」と笑いながらお弁当片手に近づいて言う。
「――ルーニャ様は強い女王様で騎士団長ですわ……ならばここぞという時にカッコよく活躍してください。
 ですので私達の言うタイミングで攻撃してほしいですわ」
「おぉ……そういうことか!
 ふふん、まあ私に任せてくれればいいのよ。どんな奴でもイチコロよ!」
 先ほど雑魚モンスターデルパに返り討ちにあったことはもう忘れているようだ。
 呆れつつも言質が取れた事で、納得したシュリエとガーベラが餌付けする。これでしばらくは大人しいだろう。
「やれやれ、これは現場についたら、もう一悶着ありそうだな。
 ただ、まあなんとなく思うんだが――」
 『竜爪黒狼』葛城 リゲル(p3p005729)が仲間にルーニャに対して思うところを口にする。
 元の世界で要人であり仮にも騎士団長を務めていたというルーニャが、召喚されて失った物というのは大きい。
 こうしておバカなフリをしつつ、内心焦っているのではないか。そう、リゲルは感じたのだ。
「理解できる、とは言えないが――そうして失することをなんというか、私は知っている。
 ――絶望と言うのだ。
 彼女がそれを知ったかどうかは――本当にそれを理解するかは、この後わかることだろう」
 無力というものの辛さを知る瑞泉・咲夜(p3p006271)が瞳を伏せ言葉を返す。修行の途にある者よりも、辿り着いた先の力を持つ者が、混沌肯定によって振り出しに戻されれば、より深い絶望を知ってしまうに違いなかった。ルーニャ・エルテーシアは話を聞くに後者であろう。
 これより後、件の魔物と相対して、彼女がどんな理解を得るか。その答えに、咲夜は少しばかりの興味を持った。
「ところで”おれんじくいなぁ”ってどんな魔物なんじゃ?」
 この子は情報屋から聞いた話をまるで覚えていない。
「オランジクイナですよ。
 ルーニャさ……様に分かりやすく言うとオランジクイナは未来のご飯を台無しにしてくる不逞の輩です」
「なんと! それは許せんのじゃ。
 ……でも甘いのよね? へへへ、どれくらい甘いのかしら……じゅるり」
 『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)の説明に、目を見開いてぷんすこ怒るルーニャ。しかしすぐに顔が緩んでいく。涎を拭いて下さい。
「待て。
 甘味は愚生も欲するのだ。
 全てをくれてやるわけにはいかぬぞ」
 もう一人の『はらぺこさま』である『蠢くもの』ショゴス・カレン・グラトニー(p3p001886)が柑橘系甘味に反応して食い意地を見せる。実に、内面アホの子のはらぺこ二人組は気の合う仲間のようだ。
「はいはーい。そうこう言ってる内に現場に着いたわよ。
 怪我しないように、戦う準備するわよ!」
 引率のお姉さん――もとい、 『お節介焼き』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)が問題の畑の前で全員に指示をだす。実に世話好きな感じが出ていて大変よろしい。
「あれが、”おれんじくいなぁ”ね! へへへ、美味しそうな実がなってるのじゃ」
 身の丈に合っていない巨大な大剣『エルテブリンガー』を引き釣りながら、うずうずと突撃の構えを見せるルーニャ。
 その首根っこを押さえながら、イレギュラーズはオランジクイナを観察する。
 なんとも陽気に、根っこの足をばたつかせて、田畑を荒らしている。
「まったく、冬だっていうのに常夏気分な魔物だわ」
 華蓮の嫌味は大変正しい。時期はずれも良いところの魔物だ。
「それじゃ、ルーニャちゃんと……それに、農家さん達の為にも。頑張ろう!」
 スチャっとゴーグルを装備して、拳を握りこんだメルナのかけ声を合図に、イレギュラーズとオランジクイナ、そしてルーニャの初めての実戦が始まるのだった。

●はらぺこ王女とオランジクイナ
 閑静な農村の田畑に、甲高いエキゾースト音が鳴り響く。
 圧倒的なまでの反応を持って動き出すのはアルプス・ローダーだ。本体にライドするアバターがアクセルを捻ればエンジンが唸りを上げる。
 高回転からのクラッチインで前輪を持ち上げウィリーしながら走り出す。
 突如マシンの乱入にオランジクイナ達が一斉に散開した。その中央を駆け抜けて、おもむろに前輪ブレーキからのジャックナイフターンを決めて、逃げ損なったオランジクイナを後輪で蹴り飛ばす。アルプス・ローダーならではの蹴撃が決まった形だ。
 ギフトたる暗示をその瞳に輝かせ、勇猛果敢に攻め入るのはメルナだ。
「はぁぁ――!!」
 得意の自由なる攻勢ままに、小柄な身体には少し大きい手にした魔剣を横薙ぎに振るう。振るった斬撃の重さを利用して、今一度体重を乗せて、鈍重ながら威力に特化した渾身の一撃を振り下ろす。
 メルナの一撃によって縦に裂かれたオランジクイナの身体がメキメキと音を立てて割れた。
 攻撃を受けた事で、オランジクイナ達が一斉に反撃にでる。
 その身体を器用に曲げて、木に成る実を収縮させると、一斉に果汁をばらまいた。
「痛っ――!? 強い酸性の果汁!? でも――!」
 メルナの肌を焼く酸性の果汁に歯噛みするも、イレギュラーズ達が事前に準備したゴーグルは非常に効果的で、目を潰されることなく戦いに集中できる。
「あはは! 攻性果汁やばいわね! でもその美味しそうな実はもらったわよ!」
 意気揚々と飛び出したルーニャが、引き釣る大剣を捻った身体の勢いままに振るい叩きつける。
 だが――
「かったぁぁ――!? な、なんじゃー!?」
 実のなる枝は恐ろしい程の硬さで大剣を阻む。それは単純にレベルの低いルーニャの攻撃というのもあるが、それ以上にオランジクイナは命ある限りその実を落とす事はないのだ。
 そんな事を知らずに何遍も大剣を叩きつけて、大した傷もつけられないことに苛立ちを覚えたルーニャが爆発した。
「がー! なんじゃこの剣! 切れんではないかー!
 アホかー! 何が伝説の大剣『エルテブリンガー』じゃ! いらんわ! ていっ!」
 地面に叩きつけてゲシゲシと踏みつける。
 おいおいと呆れかえるイレギュラーズの心持ちは子守の気苦労だ。子守にはならないはず……そう思っていたが、予想以上にルーニャがアホである。
「へいへい王女様ー! 大口叩いた割にあんま効いてないにゃー?」
「むかーっ! 効いとるわー! ちょっと傷付いてるわー!」
 思わず煽ってしまったシュリエだが、これがルーニャのプライドに火を付けた。半べそ掻きながら大剣を拾い直すと先ほどとは打って変わった慎重さを見せる。
 弱くなったとはいえ、その戦闘経験や勘はそのままだ。ようやく本気になったのだとわかる。
 ルーニャの突撃がなくなったことで、イレギュラーズの戦いは非常に安定したものを見せる。
 対オランジクイナ戦で非常に重要なのはやはり果汁による目つぶし対策だ。イレギュラーズは物理的に覆うゴーグルを用いてしっかりと対策を行っていた。
 また、先手をとって二体を撃破するというのも良かっただろう。後の一斉攻撃への伏線でもあるが、二体程度であればオランジクイナは自分達に不利な戦況であると見做さなかったからだ。
「ほい、王女様。その腹の虫を止めるにゃ」
 シュリエはルーニャをよく注視していて、はらぺこからの突撃を抑制していた。
「まずは二体。愚生の贄となるがいい」
 ショゴスの混沌に塗れた魔力纏う一撃がオランジクイナに直撃し、その生命活動を停止させる。ルーニャがいくら武器を振るっても取れなかった果実を、ショゴスがその手でもぎ取り、皮ごと喰らう。
「うむ、実に美味い。
 この木は愚生のものだ。何人にも分けはせぬぞ」
 もぐもぐしながら、自分の取り分を主張するショゴスは、やはり食いしん坊である。
「あっ! ずるいぞ! 私にもくれー!」
「待て。その前に敵だ」
 ショゴスがルーニャを庇う。助けられたことが、尖っていたルーニャのプライドにちょっぴり傷を付けた。
「むぅ~!」
 文句言いそうなルーニャを真顔で一度見つめれば、ショゴスは無視して次へと向かう。
「ムキー! 待てー!」
 アホの子二人、戦場での鎬合いが始まった。
「思った通り根を足にして歩いているな。
 なら、その足を狙うまでだ」
 咲夜が生み出した魔弾を幾重にも叩きつけ、オランジクイナの”足”を潰していく。
 依頼の経験的にはルーニャを除けば一番浅い咲夜だが、それを良く理解し、自分の間合いを維持して攻撃していた。
 とはいえ、ルーニャが「ぎゃー目がー!」とか大げさに叫びながら地面に転がっているのを見ると、真剣に自問し、思わず助けへと向かってしまう。
 弱者を助ける事に躊躇をしない咲夜は、弱者の立場を良く理解する弱者の良い味方だ。
「くっ……回復が追いつかないのだわ……! 皆、このままだともたないのだわ!!」
 華蓮が回復に追われたヒーラーらしいセリフを言う。
 確かにオランジクイナは自域攻撃によって多くのイレギュラーズの肌を焼き体力を奪っていた。ルーニャを庇う幾人かの体力の減少は顕著だ。
 しかし余裕はまだまだ十分にある。それを悟らせないように、焦っているかのような演技でオランジクイナ達を釘付けにする。実に演技派の策士である。
「オーホッホッホ! 貴方達如きオレンジが私に叶うはずないですわ! 大人しく喰われてしまいなさい!」
 農業に精通するガーベラが言うと実に説得力あるセリフだ。その内果樹園でも作りそうである。
 そんなガーベラは自慢の”鍬”を振り翳しながらオランジクイナ達の注意を引きつける。
 オランジクイナを蹴り飛ばし、勢いままに素早く華麗な身のこなしから、怒濤の連続攻撃を叩き込み、オランジクイナの幹を砕いていった。
 しかし、余りに目立った為かオランジクイナ達に囲まれてしまう。追い詰められた(と見せかけた)ガーベラがお約束のセリフを口にした。
「くっ! 例えオレンジに負けようとも私は屈しませんわ!
 さあ、煮るなり焼くなりオレンジ塗れにするなり好きにするといいですわ!」
 姫騎士らしい見事な『くっ殺』セリフである。当然、その後果汁攻めにあった。
「お姫さん。この世界がどういう世界か――混沌肯定を――理解したか?」
「う、うん? いや、よくわからん! よくわからんが私は弱くなってるわ! いや強いんだが、弱い! んん?」
 なんとなく理解し始めてるのが見て取れるが、なんとも言えない微妙な感じだ。リゲルはおもむろにルーニャの大剣を取り上げる。当然力では敵わないので呆気なく取り上げられた。
「うぉ、なんだこの剣。重すぎるぞ。よく振れるな……」
「わー! 返せー! その剣は私のだぞー! やだー! 返してよー!!」
「わかったわかった、返すから抱きつくな。
 つまりだな――」
 剣を取り上げる事でどれだけ弱くなっているかを実感させたリゲル。これによってルーニャはだんだんと混沌肯定というものに理解を示し始めた。
 ルーニャを傍目に置きながら、リゲルが疾駆する。肉薄からの踏み込んだ中段突きにオランジクイナの幹が破砕し、直後振り上げた掌底が巨大なオランジクイナを浮かび上がらせ追撃の振り下ろしが、バランスを崩したオランジクイナを地面に横倒した。
 そうしてイレギュラーズとオランジクイナの戦いは、イレギュラーズの見事な演技によって、オランジクイナを釘付けて、優位にあると誤認させたまま、その体力をジワジワと削っていく事に成功した。
 当然ではあるが、そこに至るまでに多くのオランジクイナを引きつけて見事な『くっ殺』を演じたガーベラや、韋駄天の如き反応を見せるも防御技術に弱点のあるアルプスローダーは多くの果汁攻撃を受け、パンドラの輝きを見せる事になった。
 途中から慎重に立ち回っていたルーニャも、十分以上に痛い目を見たところだ。肩で息をしながら、己の無力さを一人噛み締めている。
「うーん? こうじゃないんだよね……こうか? んんん?」
 いや、無力を噛み締めていると言うより、力が足りない分を試行錯誤で埋めようとしているというべきか。
 何れにしても、それはイレギュラーズの戦いを邪魔するものではない。お守りから解放されてみれば、敵の体力ももう僅かであると見切っていた。
 機は熟したと、イレギュラーズは頷き合う。
 アルプスローダーがクラッチを切りながらエンジンを吹かす。力を溜め、一撃に籠める算段だ。それは他のイレギュラーズも同じである。
 オランジクイナの最後の猛攻――全方位の果汁ばらまきを耐え凌ぎ、ついにそのチャンスを迎える。
「いくわよ! みんな!
 ルーニャさん、一気に行くのだわ!」
 華蓮のかけ声と、仲間を癒やす治癒が合図となった。
「チャンスね! 任せろー!」
 一人一体、オランジクイナへと一斉攻撃が行われる。
 このときを待ち構えて、高められた力の爆発が、八体のオランジクイナに同時多発的に叩きつけられる。
 一つ、また一つと動きを止めていくオランジクイナ。仲間の死を見て、逃げ出し始めるが、もう遅い。
「最後だわ!」
 華蓮の遠距離術式と同時、ルーニャが走る。
「これならどうだー! エルテ式ぃ、ペテロ・ロギア――ッ!!」
 自身の持つ最大級の必殺技を叫んで、畳みかける重厚の二十連撃。浅く傷付く幹が、最後には大きく避けた。
 だが、まだ止めには至っていない――!
 脱兎の如く逃げ出すオランジクイナ。一匹だけならば依頼失敗とならないが――このまま逃がす手はない。
 猛るエキゾーストままに、アルプスローダーがその反応で回り込み逃げ道を塞ぐ。そして追いかけたメルナが今一度大上段からの振り下ろしを叩きつけるのだった。
 見事、イレギュラーズとルーニャの手によって、農村の田畑を荒らすオランジクイナの群れは倒されるのだった。

●はらぺこ王女は挫けない
 荒れた田畑をガーベラが丹精込めて耕す傍で、イレギュラーズは倒したオランジクイナに齧り付く。甘酸っぱい柑橘系の香りが広がり、口の中に広がる濃厚な甘みに顔が綻んだ。
「それで、混沌肯定は理解できたか? どう思った?」
 咲夜の質問に、プルプルと身体を震わせてルーニャは泣き言を零した。
「泣きたい。いや泣いた。
 私の無敵な強さがこれっぽちも残ってとらんじゃないかー!!」
 暴れ出した。そしてすぐ収まる。
「……まあ、でもそれなら一から強くなればいい話だな!
 もしかしたら、前より強くなれるかもしれないじゃろ?」
 あっけらかんと、そんな前向きな答えを聞いて――咲夜は「……そうか」と小さく微笑んだ。
「ちょっとばかし時間は掛かるだろうが、努力すりゃいつか力は取り戻せるし、元の世界に戻る方法だって見つかるもしんねぇしな。
 ま、焦って死んじまうのだけは勘弁しろよな」
「ふふん、当然じゃ。
 良い機会だわ、ここで私は新しい騎士団を作るのよ! とーぜんだんちょーは私!」
 途方もない夢をぶち上げたルーニャにイレギュラーズは呆れ返った。
 さてはて、一体誰がこのアホの子の世話をするのか。
 見合わせた互いの呆れ顔を眺めながら、イレギュラーズはオレンジ一つ口に放り込むのだった。

成否

成功

MVP

華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
嫉妬の後遺症

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。
ルーニャの初依頼に参加してくださってありがとうございました。

設定してたよりもアホになった気がしますが、まあ良いでしょう。
ここからルーニャの成長が……あるはずです。
良かったらまた依頼に参加してくださいね(ちょくちょくはらぺこ王女シリーズが出ると思います)

MVPは描写の裏で回復を頑張った華蓮さんに贈ります。暗闇対策はされてましたが範囲攻撃の嵐の中で仲間をよく支えたと思います。

依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!
今後もルーニャを宜しくお願いします!

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