PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Pandora Panty Project

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●そらまうぱんつ
 老人はとても早起きだ。
「近頃寒くなってきたのー」
 起きて顔を洗って着替え、朝の散歩に出かける。まだまだ町は静かで、空気は太陽の光によって柔らかくなって来た頃合い。
「ふむ、今日はこちらへ行ってみるか」
 その日の気分によって散歩のルートを変更。ただし本日はほんのちょっぴり冒険気分。老人だって若い頃は──というのは長くなりそうなので割愛。
 森の中は空気が町より澄んでいて美味しい。のんびりと歩いているとぱんつがひらひら飛んでいて『ああ早起きだのぉ』って思ったり──。
「……うん?」
 足を止める老人。ぱんつって生き物だったかなと考え、いや違うだろうと答えを出す。そして振り返ると、やっぱり飛んでいるのはぱんつ。
「……んー?」
 首を傾げている間にぱんつはひらひらと森の中へ消えていく。何もいなくなった森を見て、老人は「ボケかのー」と呟いて散歩を再開した。


●おはようなのです、の後に
「ぱんつの捜索なのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はそう口にした。だが、周囲の反応はない。
「……ぱんつの、捜索、なのです」
 いや、区切らなくてもわかるけどわからない。
 それが周囲が──イレギュラーズ達が概ね抱いている感情であった。
 『誰のパンツを探すんだ』『使用済みパンツはちょっと……』『まさかユリーカのパンツが……?』なんて発言に、ユリーカは「ボクのじゃないのです!」と声を大にした。
「誰のパンツでもありませんし、多分未使用なのです。皆さんは空を舞うパンツを捕まえて依頼者に納品しなくてはならないのです」
 言うが早いか、虫取り網のようなものを1つずつ手渡し始めるユリーカ。これで捕まえろってことらしい。
 ユリーカ曰く、依頼者は変態に変態に片足突っ込んだパンツコレクター。『片足突っ込んだレベルか? 本当か?』って恐らくその場の全員が思っただろう。
 そのパンツコレクターが欲するのはそこらのパンツじゃない。闇市で出るパンツとかショップに売られてるパンツなんか見向きもしない。そう、此度納品を依頼された『空舞うぱんつ』である。
 それは芋虫から蛹になり、蛹からぱんつになり、ぱんつから蝶へと成長を遂げる。羽化する間だけぱんつであり、空舞うぱんつがぱんつでいられるのはたった1日という、ほんの僅かな時間だとか。
 どこからそんな情報を掴んだのかと思えば、最近ボケ始めたおじいさんの一言だったそうで。しかし信ぴょう性の低い発言でも確認しに行くあたり、流石コレクターと言うべきか。
「……というわけで、空舞うぱんつがぱんつでいられる間にそのぱんつ網でぱんつを捕まえてほしいのだそうです」
 ぱんつがゲシュタルト崩壊しそうだが、ご理解いただけただろうか。
 端的に言えば──ぱんつを追いかけ回す1日になる、ということ。
「あっ、お金になるからって納品しないで持っていったらダメですよ! パンツコレクターさんは目ざといのです。出回り品と空舞うぱんつは生きの良さが違うとか言ってたのでばれるのです」
 ぱんつの恨みは怖いのですよ、と告げるユリーカの言葉には何やら重みがあり──イレギュラーズはとりあえず首肯した。

GMコメント

●すること
 空舞うぱんつを沢山集める

●詳細
 とっても平和な森一体に空舞うぱんつがいます。皆さんが到着するのはお昼くらい。
 空舞うぱんつを専用の『ぱんつ網』で捕まえます。
 ぱんつ網は空舞うぱんつの成長を止めるネットを使用しており、捕まえればそれはもうただの(コレクター的には『生きの良い』)ぱんつです。
 ただ歩き回っても見つかりますが、非戦闘スキルやギフトを上手く使うと効率よく見つけられるでしょう。沢山あれば喜ばれます。

●空舞うぱんつ
 色々なぱんつです。くまさんぱんつとか可愛いぱんつとかおっさんのぱんつとか。
 早朝から羽化を始めぱんつになり、日中はぱんつで過ごし、夕暮れに蝶へ変化します。
 ぱんつの間も蝶のように花や草に留まり、蝶のようにひらひらと飛んでいきます。それが例えおっさんのぱんつでも。
 ただし割と移動スピードは速いです。追いかけっこもできるくらい。頑張りましょう。
 
●ご挨拶
 愁と申します。パンティの正しい綴りは『panties』らしいです。
 最終的に依頼者の手へ渡るのなら頭に被ろうが履こうが構いません。健全な範囲での描写になりますが。
 相談期間10日は内容に起因するものではなく、当方のスケジュールによるものです。
 ご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • Pandora Panty Project完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年12月06日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談10日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

猫崎・桜(p3p000109)
魅せたがり・蛸賊の天敵
主人=公(p3p000578)
ハム子
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
パティ・ポップ(p3p001367)
ドブネズミ行進曲
ボルカノ=マルゴット(p3p001688)
ぽやぽや竜人
シエル(p3p006444)
天空の狙撃役
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長
宮里・聖奈(p3p006739)
パンツハンターの血を継ぐ者

リプレイ

●ひらひら

「ふぉぉぉ!!! パンツ!!! パンツが空を飛ぶってそんなのアリなのですか!!!!」

 初っ端からパンツパンツと連呼する宮里・聖奈(p3p006739)。なんだあいつやべーな、なんて視線で見ている仲間もいるかもしれない──あるいは聖奈の同志かもしれない──が、どれも彼女にとっては些末な事。
 だって目の前の森にはぱんつが、しかも空舞うぱんつがいるのだから。
「聖奈も1人のパンツハンターを名乗るもの……是非とも空舞うぱんつの1枚くらい欲しい! と言う訳で頑張って捕まえるぞー!」
 おー! と元気よく森へ入っていく聖奈。その後ろ姿を『ぱんつコレクター』リュグナー(p3p000614)が笑い声を上げながら続く。
「クハハハハ! 空を舞うぱんつか! そのめずらしいぱんつという情報の真偽、我が確かめてやろう!」
 情報はすべからく財産だ。この世界において高価であるぱんつの情報なら尚更だろう。
 ……という言葉が本音か建前かは定かでない。何せリュグナーは情報屋でありぱんつコレクターである。
 ぱんつコレクターに関しては明言されてこそいないが、ポケットから覗くヒラヒラの布に視線を向ければお察しというやつだ。
 仮にぱんつの情報が本当ならば、是非とも手に入れたいところだが──。
「此度は依頼だ。信頼のために手は出すまい」
 ──此度は、な。
 最後の言葉は胸中に秘め、リュグナーは森の奥へと進んでいった。

 ぱんつで経済を回したりなんやかんやする混沌であるが、流石に今回の件については特殊すぎではと考える者もいる。
(パンツが空を飛び蝶になる……)
「……一体どんな進化を辿ったらパンツから蝶になる必要性が出てくるのか……」
 無表情ながらも疑問に思わずにいられない『特異運命座標』シエル(p3p006444)。
 何故ぱんつから蝶へ。いやそもそも蝶になるためにぱんつになる必要性もないのでは?
「幻想って本当に不思議であるなー」
 シエルの言葉に『ぽやぽや竜人』ボルカノ=マルゴット(p3p001688)が1つ頷いた。
 この世界に元から住まう者でも見たことのない生物は多い。ボルカノ達のような旅人にとっては尚更だ。
「此処まで来るとパンツがどうなっても驚かなくなりそうだよ、ほんとに」
 『魅せたがり・蛸賊の天敵』猫崎・桜(p3p000109)は苦笑を浮かべながら森を見る。
(ローレット、パンツ関連の依頼ばっかだなぁ……)
 桜は今回だけでなく、数度とパンツに関係する依頼へ参加していた。これまで盗まれたり色々あったが、今回のような『飛ぶぱんつ』は初めてである。
 まあ、此度の依頼はこちらが危害を加えられるようなものではないのが幸いか。
「誰も困らない依頼であるし、はりきって空舞うぱんつ集めるのであるよ!」
「ええ。仕事は仕事、キッチリこなしましょう」
 森へ足を踏み出すボルカノとシエル。続いて『ドブネズミ行進曲』パティ・ポップ(p3p001367)も耳を澄ませ、鼻をきかせながら注意深く森に入っていく。
「2人とも、行くよー!」
 桜の声に『湖賊』湖宝 卵丸(p3p006737)が手の中の虫取り網を握りしめた。
 故郷にいる間は世界をほとんど知らなかったのだ、と思わされる。ぱんつが空を飛ぶなんて聞いたことがない。
「でも卵丸は海の男、これくらいで圧倒されてたり恥ずかしがってちゃ駄目なんだ」
 ちなみに、海はまだ見たことがない。
 女性姿の『ハム子』主人=公(p3p000578)は2人と共に森の中へ歩を進めながら口を開く。
「ねえ、頬が赤いみたいだけど。大丈夫?」
「だ、大丈夫に決まってるっ! 別に、は、恥ずかしくなんか無いんだからな!」
 公の指摘に慌てて頬を抑える卵丸。
 ……そういうことにしておこう。
 暫く歩くと3人の前をひらひら、ひらひらと布が飛び去って行く。桜は思わず声を上げた。
「本当にいっぱいパンツが飛んでいるし!? いや、なんていうか凄くシュールな光景だよね、これって」
 森にぱんつ。通常は有り得ないこと、なのだろう。しかしここは混沌である。
(依頼だし、いっぱいパンツ捕まえないと……!)
 口に出したら変態発言である。
 空舞うぱんつはあっという間に木々の向こうへ飛び去った。それを見送りながら公が口を開く。
「混沌世界に来ていろんな変なものを見たけど、意外とキチンとしたルールがあるみたいなんだよね」
「そうなんだ」
 公の言葉に卵丸が目を瞬かせた。
 曰く、空舞うぱんつは蝶になる前からその習性を持っている。花や草に留まるのも習性からだろう。
 花の蜜は蝶にとって食事だし、食草の周りにはオスの蝶が集まって来やすい。一般的な蝶に当てはめれば、だが。
 まあ今の所はその習性に当てはまっている。求愛の為メスの近くをオスが飛び回るという習性と、決まったルートを飛び回る習性から罠を仕掛けてみようではないか。
「……と言うわけで用意してもらったぱんつを仕掛けるよ! 皆も手伝ってね!」
 罠を仕掛けるくだりまではうんうんと頷いていた卵丸が、公のセリフに「えっ!?」と驚愕の表情を見せる。
「パンツって、自分の奴囮にするの」
 通りでぱんつを用意してくるよう言われるわけだ。
 卵丸は顔を真っ赤にするが、いや、と心の中で自らを鼓舞する。
(卵丸は海の男、これくらいできるんだ……!)
 一方の桜は公から聞いていたか、それとなく推測していたのか驚いた様子はない。だがしかし。
「パンツを捕まえる為に、パンツを握りしめて森を走り回ってパンツを仕掛ける……。……もう何が何だかわからなくなりそうだよ」
 苦笑しながらもどこか遠い目になる桜。ぱんつってなんだったっけ。
 ぱんつの用意バッチリな3人は仕掛ける場所を探し始めた。捕まえるものが例えぱんつだろうと、なるべく効率よく捕獲したいもの。先程のぱんつ達が向かった方向へ歩き始める。
「蝶に似てるなら花の蜜のある所に集まってきたりしないかな? あと、水辺とか」
「ぱんつだし、水辺って濡れると思うんだけど……日当たりのいい場所はどうだろう」
「でも蝶の習性を持ってるし、水辺も可能性としてはあるんじゃないかな」
 果たしてアレはぱんつなのか蝶なのか。なんて話をしながら、3人は花の群生地に辿り着いた。
 ここなら日当たりも良く、蝶も花の蜜を吸いに来るだろう。
 というわけで罠の設置開始。
「……み、見ちゃダメだよ!?恥ずかしいんだから!?」
「べっ、別に卵丸、見てないし、恥ずかしがってなんかいないんだぞ!」
「ボクは別に見られてもいいけど」
「「ええっ!?」」
「言っておくけどボクのじゃないからね?」
 花の上にふわりと置かれるぱんつは白から派手な赤、果てにはどぎつい紫などとカラーバリエーションに富んでいる。何故自分のものではないものを持っているのかとかじゃあ誰の何だとかって問いはこの場において無粋なのだろう。きっと。
 そんな彼らの賑やかな声を聞き、ボルカノは森の中へ方向転換。
(争奪戦ではないであるしな。我輩は別に皆と奪い合いしたいわけではないのである)
 トータルで沢山集めれば良いだけで、何かしらの勝負ではないのだ。
 ボルカノは透視の力で木々の裏や草の陰を探していく。まあいないと思うが見上げて木の枝付近にもいないか探す。
 何も考えていなければったりと出会えたのだが、いざ探してみるとなかなかに見つけ難いもの。
「こういう時は協力してもらうのである!」
 ボルカノは小鳥を使役し、森の中へ飛ばした。その視界を通し、透視でさらに捜索を続けていく。
(どこにいるであるかー……お、ぱんつが沢山……いや、あれはリュグナー殿であるな。ぱんつ、ぱんつ……)
「──……いたである!」
 とうとう空舞うぱんつを発見したボルカノはぱんつを確保すべく、ぱんつを見失わないよう素早く移動し始めた。
 シエルは僅かに体を浮かせながら、望遠鏡並みの視力で動くものを探す。
(可愛いぱんつとかの方が若干気は楽ですが……仕事ですからね)
 例え見つけたのがおっさんのぱんつだったとしても躊躇はしない。淡々と依頼をこなすのみである。
 不意に遠くでひらひらと舞うものを視界に捉え、シエルは高機動バージニアで肉薄しにかかった。
 ひらひらと飛んできた1枚の──1頭の? ぱんつは一休みするぱんつ達の周りを飛び、誘うようにどこかへ向かって行く。
(……あちらか)
 ぱんつ達──否、ぱんつをカモフラージュにと沢山装備したリュグナーは飛んでいくぱんつを追いかけ始めた。
 生物との勝負は情報がモノを言う。このぱんつが生物なのかという疑問はさておいて、まあ何にせよ情報があるに越したことはない。
 時に移動し、時に気配を消し。リュグナーは情報屋の本分を発揮して(?)ぱんつの反応速度、視野の範囲などを調べ上げた。あとはそれを如何に有効活用できるかにかかっているのだ。
 全力の追いかけっこに勝利し、ぱんつを捕らえたリュグナーは頤に手を当てた。
「やはり……か」
 蝶のような習性を持つぱんつ。彼らは幾つかのルートを巡回しており、いずれも決まった1カ所を通るようだった。
(追いかけるのではなく、待たせてもらうとしよう)
 リュグナーは小さく笑みを浮かべ、数々のぱんつを纏ったまま移動を始める。

「パンツ!!! おパンツゥ!!!!」
 森に響く嬉々とした声。その瞳は獲物を捕らえた獣の如く。
「フフフ、小さい頃は「虫取りマスター」と呼ばれた聖奈の技を見るのです!」
 小さいながら群れで移動していたぱんつ達、聖奈の手腕によって次々と網へ納められていく。
 虫取りマスターの名も伊達ではなく、蝶と同じように前から掬い取るような手さばきによって網の中へ入る入る。
「んふふ、大量なのです」
 網にかかったぱんつは最早ただのぱんつ。生きの良し悪しはわからないが、それがぱんつもいうだけで聖奈にとっては大変魅力的だ。
(ちゃんと渡すけど……楽しんでもいいよね?)

 すー、はー。くんかくんか。すー、はー、すー、はー。

「ふぉぉ……ふふふ……ふふふふふ……」
 側から見たら大層ヤバい奴だろう。聖奈が男でないことは不幸中の幸い……幸いか?
「はー……さて、そろそろ続きなのです」
 楽しんでいて依頼を疎かにしてはならない。聖奈はパンツハンターであるが、イレギュラーズでもあるのだ。
「上手くいっていれば、そろそろかかってる頃のはずなのです」
 聖奈が足を向けたのは元来た道だ。暫く歩けば花を掠めるのは独特な香り。
 バナナを潰してアルコールを混ぜ、暫く放置して発酵させているのである。蝶の好む匂いを発するのだ。
 上手くいっているなら聖奈の仕掛けたトラップにぱんつもまた集まってるはずである。
「いざ行くのです! パンツパンツパンツパンツゥ!!!!!」
 そんな声から遠く離れ──ボルカノはぱんつに接近していた。だが、捕まえる前にこちらも準備がある。
(花や木を傷つけたら、環境が壊れるかもしれないである)
 これだけ各所でぱんつを捕らえているのだ。少しでも環境の保護をしておきたい、とボルカノは保護結界を周囲に張る。
 それが終わればようやくぱんつの元へ。
(動くなよー動くなよーであるよー……)
 じり、じりと慎重に背後から近づくボルカノ。焦らず、間合いまで入って──ぱんつに網が襲いかかる!
 ぱんつは間一髪で網を逃れるが、ボルカノはそのまま逃がす気はない。
「まてまてー! 我輩の網からは逃れられないのであるよ!」
 普通のイレギュラーズより素早い動きで追いかけるボルカノ。執拗な網の襲撃にとうとうぱんつが捕らえられる。
「よし、まだまだ捕まえるであるよ──」
 ヒュンッ。
「え?」
 不意に巻き起こった風にボルカノは振り返る。しかしそこには誰もいない。──いや、正確には『既に過ぎ去った』のだ。
 ボルカノの2倍速で標的へ肉薄したシエルは網を振り下ろした。しかし機敏な動きで網を避けるぱんつ。
「逃がしませんよ」
 シエルは先回りしてぱんつの行く先に立ちはだかるが、ぱんつも一筋縄で捕まってはくれない。
(可能なら損傷のない状態で捕獲したかったですが……仕方ありませんね)
 逃げようとするぱんつへ威嚇術を放つシエル。ぱんつは術に当たると地面へぺしゃりと落ちた。
 その後ろに立ちはだかり、シエルは無表情に網を構える。
「さぁ、大人しく捕獲されてください」
 こうしてただのぱんつになるぱんつ。
 シエルは網から摘み上げると、汚れないよう持ってきた袋に入れようとして──。
「……」
 おっと何やら見つめ始めたぞ。被るのか。それとも履くのか。
 しかしシエルは目を伏せると袋にぱんつを収めた。
「……被ったり履いたりなんてしません、ええしませんとも」
 誰に言うわけでもなく、或いは自らに言い聞かせたのか。
 結局被ったり履いたりしたのかどうかは──本人のみぞ知る。

 卵丸が奇襲攻撃を与えると、ぱんつは慌てて逆方向へ逃げていく。
「桜、そっち行った!」
「任せて! 出来る限りたくさんのパンツをこの手に──!!」
 卵丸の声かけに桜が真正面から向かってきたぱんつへ網を振る。網の中に収まるぱんつ。だが桜は複雑そうな表情を浮かべた。
「……自分で言っておいて何だけど、普通に聞いたら変態さんの台詞だよ、これ」
 これを集めている依頼者もやはりただの変態だ。
「ぱんつそっち行った!」
「待てぱんつー!」
「あっぱんつが逃げる! どうしよう、何かパンツパンツ言いすぎてパンツって何だかわからなく……」
 ゲシュタルト崩壊しようともとにかく網を振り、協力してぱんつを捕らえていく3人。
 ちなみに囮と本物は既に区別がついていない。
 ぱんつを捕らえつつ、公は小さく呟く。
「ぱんつとしての側面からも攻めてみようかと思ったけど……」
 正直追求したくない。ぱんつの側面から見ても『誰かに履かれたい』とかそう言うのしか浮かばないからだ。
(下半身何も穿いてない状態で森で立ってるとかどんな変態だって話になるしね)
 公は頭を振り、2人の加勢に乗り出した。
 また別の花畑で。
 ぱんつ達は花に留まり、その羽(布)を休ませ始めた。森の中に自分達を捕らえようとする者が現れ、追っかけ回されたのだ。
 幸いにしてこの周辺にその気配はない──つい先ほどまで、ぱんつ達はそう思っていた。しかし。

 突然現れた気配、振り下ろされる網。哀れにも1枚のぱんつが網に収まる。

「クハハハハ! この気配に気づかぬようでは、野生が足りていないようだな?」
 近くで身を潜めていたリュグナー、高笑いを辺りに響かせながら網を振った。遠くへ逃げようとするぱんつには悪意の霧を放ち、逃れてきたぱんつを真正面から捕獲する。
「この技法こそが、ぱんつを手に入れる秘技……PPP(Pandora Panties Project)だ!」
 網を振るとともに、角に引っかかった黒いぱんつが揺れる。まあ幸いにして令嬢とかその関係者はいない。
 群れの大半は網に収まった。ぱんつ達は暫くすればまたここを通るだろう。
「何枚かは逃げてしまったか……ならば、再び待たせてもらうとしよう」
 リュグナーはにやりと笑い、木陰に身を潜めて気配を消した。


●のうひ……んん?
「おお! こんなに沢山……ん?」
 コレクターはイレギュラーズの持ってきたぱんつに目を輝かせた。しかし、その表情が怪訝そうな色を宿す。
「んんん??」
 積み上げられたぱんつに素早く視線を走らせ、コレクターは頤へ手を当てる。
「生きが良くないのが混じってるな。これとか」
 ぴら、とぱんつの1枚を手に取るコレクター。その柄は──。

「そっ、それ、卵丸の!!」
「あ、ボクのも……いやボクのじゃないんだけど」
「み、見ちゃダメ僕のー!!!」
「む……それは我のコレクションではないか!」

 コレクターによって次々と選別されるぱんつ。その度に赤くなったり律儀に訂正したり慌てて隠したり黒のパンツ返してもらったり。
 その被害に遭っていない者達は彼らを見て複雑そうな表情を浮かべ、あるいは目を逸らす。
 約5分後、疲れた表情を浮かべるイレギュラーズ数名に対し、スッキリ顔のコレクターがそこにいた。しかしある方向を見てはっと険しい表情を浮かべる。
「ねえ君」
 そう、彼は見逃さない。
 視線の先──声をかけられた聖奈はぎくりと肩を揺らす。
「持ってるよね?」
「な、なんのことです? そんなわけ──」
「持 っ て る よ ね ?」
 聖奈はコレクターの威圧にたじろぎ、思わずポケットに入れていたぱんつを差し出した。その手から素早くぱんつが奪い去られ、聖奈は思わず膝をつく。
「くっ……可愛いぱんつで手を打とうとしたのに……! 本当は乙女のぱんつとか令嬢のぱんつとかだって欲しかった!!!」
 パンツハンター、心からの叫び。リュグナーがそれとなく持っていたぱんつを隠す。
 静かに涙を流し始める聖奈の肩にコレクターは手を乗せた。
「君のぱんつに対する欲求は素晴らしい。だから……次回はローレットや依頼を抜きにしてぱんつを捕まえに行こう」
 それなら自分の捕まえた分が取り分だ。
 コレクターの発言に数人引いた気がしたが、聖奈はがばりと顔を上げて目を輝かせた。
「是非お願いするのです!!」

 ……こうして、イレギュラーズのぱんつな1日はまあ色々あったけど一先ず終わりを迎えたのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 本当に……その……お疲れさまです。楽しめていたら良いのですが。
 64回もパンツって見たしパンツって書いた回数は3桁超えました。ぱんつって本当になんだっけ……。

 情報屋のあなたへ、アイテム欄を埋めるパンツはずるいです。想像してお腹痛くなりました。称号をお贈りします。
 捲りハンターな貴女へ、パンツハンターの血をとても感じました。称号をお贈りします。

 今後もご縁がございましたら、どうぞよろしくお願い致します。

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