PandoraPartyProject

シナリオ詳細

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●山岳にて
 鳥がが鳴いていた。
 ギャアギャアと言う鳴き声が、頭の上から響いた。
 忌々しいその声を振り払うように、俺は頭を振った。途端、腹が冗談のような音を立てて、大きく鳴った。
 もう二日ほど、何も食べていない。
 遭難している。
 事の発端は二日前。登山中の俺は、ふと、助けを求める女の声を聴いた。か細い、今にも死にそうな声だった。
 遭難者か――そう考えた俺は、声の方へ向けて歩き出した。登山道を外れて、木々の生い茂る脇道へと入る。
 俺は声をあげて、女を探した。返事はあったが、やはりか細く、今にも死んでしまうのではないかと思った。
 俺は焦りながら、探した。ヤブをかき分け、周囲に目を凝らす。草陰に隠れているのではないかと思い、顔を突っ込む。探した。しかし、見つからなかった。やがて声は途切れた。
 死んだのか、と思った。間に合わなかったのか、と。俺は何度も声をかけたが、返答はなかった。俺は落胆を抱えつつ、元来た道を戻り始めた。
 だが、戻れなかった。歩いても歩いても、草木が途切れることはなかった。登山道に、戻れない。元の場所に、戻れない。遭難したのだ、とその時はじめて気づいた。二重遭難という奴だ。情けなさと恥ずかしさ、そして少しの恐怖で、呆然とした。
 その時は、何とかなると楽観的ではあったのだが、流石に一日過ぎ、二日すぎ、となると、不安感が増してくる。携帯食料などもなく、野草でも食おうかと思ったが、初日に毒草を引き当て、腹痛にのたうち回ってから止めた。
 死ぬのだろうか、と思った。こんな誰も来ぬような山の中で、一人、誰にも知られずに死ぬのだろうか、と思った。
 鳥が鳴いていた。
 ギャアギャアという鳴き声は、嘲りのように聞こえる。
 と――。
 声が、聞こえた。
 呼ぶ声である。
 助けに来たぞ、と聞こえた。
 こっちだ、と聞こえた。
 助かった、と思った。喜びのあまり、視界が涙で潤んだ。
「助けてくれ、俺は此処だ」
 俺は声をあげた。声は答えた。こっちだ。こっちにこい。
 俺は声の方へと駆け出した。真直ぐだ、真直ぐ来い。声が呼んだ。その方へ、走った。走った。
 途端、視界が激しく回転した。空と地が次々と入れ替わり、やがて衝撃と共に止まった。身体中に激痛が走った。
 落ちたのだ、とぼんやりと理解した。
 体の左手には急斜面がうっすらと見える。崖だったのだろう。そこから、落ちたのだ。
 何故、と思った。苦しさにせき込むと、口から血があふれた。内臓を傷つけたのだろう。骨も折れているのだろう。身体が動かせない。
 かすむ視界に、開けた空と、空を飛ぶ鳥の姿が映る。
「真直ぐ。真直ぐ。こっちに来い」
 鳥が鳴いていた。

●鳥
「嘘つき鳥ですね」
 ローレットの一角。テーブルについたイレギュラーズ達へ、『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)が言った。
「名は体を表す、とは言いますが、コイツらはその名の通りです。獲物の種族の声を真似ておびき寄せ、集団で襲いかかったり罠にはめて、弱った所を捕食する。まー、面倒くさくて厄介な奴です。その上、人間の声真似ができる関係から、単純な呪文詠唱も可能――下級ながらも魔法まで使ってきます」
 発生が確認されたのは、鉄帝のとある山岳地帯である。登山に出掛けたある男が遭難。その捜索中に、救助隊が嘘つき鳥の姿を見つけたのだそうだ。因みに、件の男は崖下で遺体となって発見された。その亡骸には食い散らかした後があり、周囲に鳥の羽が落ちていたことから、恐らく嘘つき鳥に騙され、がけから転落した所でトドメをさされたのだろうとの事。
「卑怯、搦め手、狡猾――まぁ、鉄帝の人からしたら、腹立つことこの上ない相手でしょうね。正々堂々、肉体勝負が好みの人達からしたら、戦ってもストレスたまるだけでしょう。で、こっちに依頼が回ってきた感じです」
 と、ファーリナは、テーブルの上の地図を指さす。
「現場は結構深い森林地帯になっていますね。見通しはあんまりよくなさそうです。確認された嘘つき鳥の数は、10匹。こいつらを纏めて駆除していただきたい次第」
 そう言ってファーリナはぽん、と手を叩くと、
「そこそこ厄介な相手ですので、お気をつけて。ではでは、しっかり働いて、しっかり稼いできてくださいな」
 そう言って、イレギュラーズ達への説明を終えるのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 厄介な鳥の駆除依頼になっています。

●成功条件
 全ての『嘘つき鳥』の撃退

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●シチュエーション
 鉄帝は、とある山岳地帯にある森林が舞台です。
 木々が生い茂り、見通しなどはあまりよくない様子です。
 嘘つき鳥は、この森林地帯に生息しています。

●エネミーデータ
 嘘つき鳥 ×10

 特徴
  嘴と、鋭い爪による物理攻撃がメイン。
  高い回避率と命中率。防御面は貧弱。
  人間並みとはいかないが、生き物を罠にはめる程度の知能。群れで行動する。
  全体の内、3体は、単体遠~中距離射程の、精神属性攻撃スキルを持つ。
  全体の内、2体は、単体遠~中距離射程の、回復スキルを持つ。
  (嘘つき鳥は、戦闘ルール上は地上にいるものとして扱います。嘘つき鳥は飛行ペナルティ・メリットを受けず、イレギュラーズは地上にいる状態でブロックなどが行えます)
  (嘘つき鳥は地上にいるものとして扱いますが、フレーバー上では空を飛んでいるものとして表現されます。その為、飛行敵に対して優位となるプレイングがあった場合、その程度に応じて、イレギュラーズ達は戦闘中に有利判定を得ることができます)


 以上となります。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております。

  • 完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月29日 22時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シュクル・シュガー(p3p000627)
活菓子
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
サングィス・スペルヴィア(p3p001291)
宿主
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
久住・舞花(p3p005056)
月下美人
美咲・マクスウェル(p3p005192)
魔眼の前に敵はなし
リナリナ(p3p006258)
エブリデイ大冒険
アミュレッタ・ズィルバー(p3p006652)
高貴なる紅

リプレイ

●大嘘つき空を飛ぶ
 鳥が、鳴いていた。
 『活菓子』シュクル・シュガー(p3p000627)が、空を見やる。目に映るのは、大型の猛禽の類であった。猛禽はしばしぎゃあぎゃあと鳴いて辺りを旋回すると、姿を消した。
 それを見送りながら、シュクルはふぅ、と憂鬱気にため息をついて、
「気をはっちゃうよね……ただでさえ雰囲気重い感じの森だし」
 ぼやいた。
 イレギュラーズ達が現在探索を行っているのは、嘘つき鳥のテリトリーである森である。敵地である事、そして実際に被害者が出ていることも手伝ってか、辺りはなんだか薄暗く、無機質に感じられた。
 それに、つい先ほどまで、被害者が転落した崖の下に訪れたばかりである。遺体はかたずけられていたものの、些か生々しい痕跡は、確かに残っていた。なんだか気が滅入るのも仕方はあるまい。
「ふむ――? まぁ、些か薄暗いのは事実ではあるな」
 そう思わない人も、まぁ、いる。何故なら『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は美少女であるからだ。美少女である百合子にとっては、死の気配濃密な空気など、日常的に吸うものに過ぎない。美少女とは、そういうものである。
「さて、なかなか厄介な生物もいた物ね。我(わたし)の世界にも、賢い鳥、程度の生物ならいたけれど、欺き、騙し、獲物を捕らえるとなると、恐ろしいものがあるわ」
 『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665) が言った。故に、討伐対象であるのだろう。その性質から、対象は、いわゆる魔物の域に足を踏み入れている可能性も捨てきれない。
『過酷な環境だ、餌をとる為の進化というものだろう、女王(レジーナ)殿』
 『宿主』サングィス・スペルヴィア(p3p001291)――サングィスが言った。鉄帝国は、厳しい環境の国土を持つ。そこの住まうものは、それに適応したかのように強靭なものが多いが、嘘つき鳥のように、ずる賢く立ち回るように進化したものもいるのだろう。生命の神秘と言えば面白いが、騙される方はたまったものではない。
「……中途半端に賢い生き物は面倒ね。後ろよ、シュクル」
 スペルヴィアが、静かに言った。シュクル、と呼んだが、これは仲間内ならまず、誰でもよかった。嘘つき鳥が声を真似するなら、自分達の声を真似られる可能性は捨てきれない。ひとまずは、名前を呼ぶことで、合図とした。
 シュクルは、ゆっくりと、後ろを振り向いた。果たして後方、木の上に、一羽の奇妙な鳥の姿があった。全長は1mほどだろうか。ぎょろりとした目が、一同を見ている。一瞬、シュクルは目があうのを感じた。鳥は、ぎゃっ、と一鳴きすると、ばさりと翼を翻し、飛び去って行く。
「……うげ、目が合っちゃった。嘘つき鳥で間違いないよ、スペルヴィア」
 シュクルが言う。スペルヴィアも、その鳥が移動するのを感じていた。
「む。感づかれたかな」
 百合子のボヤキに、女王(レジーナ)は、
「様子見をしているのかもしれないわね。或いは、美味しいかどうか品定めしてるのかも」
「俺は喰っても美味くないぞ……っていうか、鳥に甘いものの味が分かるのかよ」
 シュクルが嘆息する。
『連中のやり口は分かっている。ひとまずは、別チーム(むこう)の反応を待つとしよう。警戒は怠るなよ、我が契約者殿よ』
 サングィスの言葉に、
「余計なお世話よ、サングィス」
 スペルヴィアは鼻を鳴らした。

「ああ、助けてくれ。助けてくれないか。右だ。右を見てくれ」
 ふと、男の声が響いた。
「おーっ、右か! 右を見ればいいのか!?」
 と、いいつつ、辺りへきょろきょろと視線を移すのは、『輝く太陽の息吹』リナリナ(p3p006258)である。そんなリナリナの頭をぐいっ、と抑えるのは、『高貴なる紅』アミュレッタ・ズィルバー(p3p006652)だ。
「ええい、きょろきょろするでない。明らかに罠じゃろうが!」
「罠! マンモス獲るのか!」
 ぽん、という勢いと共に、アミュレッタの拘束から逃れたリナリナが、嬉しげに言うのへ、
「ええい、聞いておらんかったのか! わらわたちは、どっちかと言えばかかる方じゃ! 嘘つき鳥が仕掛けた罠に決まっておるじゃろうが!」
「へー、トリ肉なのに嘘つくのか!? 頭良いなっ! リナリナ、騙されないよう頑張る! 頑張る! で、右を向けばいいのか!」
「向くなと言うに! 彼方此方向かされた上に、最終的に『ザマを見ろ』とか言われるのがオチじゃぞ!」
「それもどーなのよ……」
 始まりかけた寸劇に、こめかみに手をやった美咲・マクスウェル(p3p005192)であったが、気を取り直しつつ、
「どうやら、私達を餌だと思ってるみたいだね。手口は前のと変わらないのかな」
「なれば、言葉の『中身』まで理解しているわけではない、と考えられるわね。恐らく、『人間が助けを呼ぶ鳴き声』とか……私達が動物の鳴き声をおおざっぱにしか理解できない様に、向こうもそういう風にしかとらえていないのでしょう……それでも充分、厄介ではあるけれど」
 『特異運命座標』久住・舞花(p3p005056)が答える。100メートル以内には、こちらに敵意を持つ影が複数――狙われているのは、間違いないだろう。
「別チーム(あっち)の方には現れなかったのかしら……それとも、私達の方が御しやすいと思ったのか」
 舞花が小首をかしげるが、
「いや、いたみたいだよ、向こうにも。様子見だったみたいだけど――」
 美咲がちらり、と後ろを見やると、やはりまだきょろきょろとあたりを見回すリナリナと、それを止めようとするアミュレッタの姿が見える。
「御しやすい、と思われたのかな……」
 はぁ、と肩を落とした。まぁ、本当の所、ただの偶然なのであるが。
「さて、どうしようか? このままここで待っていたら、しびれを切らして襲い掛かってくるかな?」
 美咲の言葉に、舞花は頭を振った。
「相手が一定のルーチンで狩りをするなら、それを破る事はない、かと。虎穴に入らずんば、と行きましょう」
 にこりと笑う舞花に、美咲は頷いた。美咲は、別チームへと預けてあるファミリアーを、ゆっくりと此方の方向へと移動させた。ある程度、接近さえしてもらえれば、戦闘に入れば詳しい位置は分かるだろう。
「さて、皆、準備はいい? 気を付けてね?」
 美咲の言葉に、
「おお、トリ獲りに行くのか! ヤキトリだな!」
 と、リナリナが片手をあげる。残る二人は静かに頷き、ゆっくりと、声の方へと移動した。
 暗い森と、ヤブをかき分け、慎重に歩を進める。がさり、がさり。一歩、一歩、進むたびに、イレギュラーズ達を呼ぶ声は、近くなっていった。
 がさり、がさり。草むらをかき分け歩み――先頭を行くリナリナの踏み出した足は、地を踏みしめる感触を返さなかった。
「お――?」
 声をあげ、リナリナの身体がグラリ、と前に倒れ込みそうになる。
「――ッ!」
 息をのみつつ、慌てて舞花が手を差し出した。リナリナの手を掴み、思いっきり引っ張る――リナリナが後ろに倒れるようにバランスを崩すや、入れ替わりに舞花が前方へとバランスを崩した。
 しかし、それをアミュレッタが抱きかかえて、後ろへと引き倒した。リナリナは、美咲が受け止めている。
 舞花は慌てて立ち上がると、前方――足元にあった、穴を覗き込んだ。
 おそらくは、地面の陥没かなにかで、自然にできた物。しかし、底には大小の石や、枝分かれし、尖った木材などが、粗雑に放り込まれている――まともに落下していたら、ケガは免れないだろう。
 舞花は、少しばかり血の気が引くのを感じた。おぞましい――なんと悪意に満ちた、罠か。
「助けて! 助けて!」
「痛い! 痛い!」
 鳥が、鳴いている。
 上空を旋回する、10羽の鳥。狩りの失敗を、悔しがるものか。或いは、こちらを嘲笑する物か――おぞましい、悪意の鳥が、鳴いている。
「逃がさないでッ!」
 美咲が叫んだ。途端、式神の猛禽が、嘘つき鳥たちのさらに上空より現れた。美咲は同時に、上空へ魔法を放ち、仲間達への合図とした。
 式神の猛禽は翼を広げ、威嚇する様に高く鳴くが、嘘つき鳥たちは猛禽に群がると、瞬く間に消滅させていまう。
「燃えろ! 燃えろ!」
「凍れ! 凍れ!」
 鳥たちが喚くと、言葉通りに火球と氷柱が現れ、イレギュラーズ目がけて降り注いだ。イレギュラーズ達は、慌ててそれを回避する。どうやら、向こうはやる気になったようだ。
「おい、大丈夫か!?」
 シュクルの声――一瞬、偽者かと疑念が浮かぶが、すぐにシュクル本人が姿を現す。
「まったく、面倒な鳥みたいね」
 と、スペルヴィア。
「なに、中々食いでのある鳥ではないか。吾も全力を以てお相手いたそう」
 文字通りに腕を鳴らし、美少女力全開で、百合子が満面の美少女スマイル。
「なに! やっぱり喰うのか! リナリナも食べるぞ!」
「やれやれね。少し賑やかだけれど」
 女王(レジーナ)は薄く笑うと、
「小賢しいとて所詮はケダモノ。しっかり調教してあげましょう」
 その言葉に応じるかのように、嘘つき鳥たちは一斉に奇声を上げ、襲い掛かってきた。

●嘘つきの末路
 鳥が放つ魔術の弾幕をかいくぐり、百合子は美少女的に美少女立ちした。にぃ、と野性味あふれる美少女スマイルを魅せるや、
「カァ――――ッ!」
 美少女力溢れる、大音声の一喝――空気を揺らす音波はソニックブームじみて物理的衝撃になり、まともに受けた鳥が数羽、落下する。
「ナイスです、百合子さん!」
 この隙を逃す舞花ではない。一機に跳躍するや、自由落下中の嘘つき鳥を一匹、一閃の下に斬り捨てた。
「リナリナもやるぞ! ガオォォォ~~~!!」
 一気に息を吸い込んで放たれる、リナリナの『三つ首肉食大恐竜の声真似』――似てるかどうかはさておき、その衝撃は大恐竜の鳴き声と言っても問題ない程の声量だ。また鳥が思わず落下していくが、もちろん、嘘つき鳥とて黙って狩られるものではない。
 嘘つき鳥はその翼を大きく羽ばたかせ、シュクルへと迫る。
「うわっ、っと……くそっ、鳥のくせに甘党のつもりかっ!」
 悪態付きつつ、鋭いかぎづめを受け止める。
「痛い、痛い!」
 シュクルの眼前で、ガチガチと嘴が打ち鳴らされる。よく見れば、嘴には鋭い歯も見える……つくづく、規格外な生物だ。
「痛い痛いって、痛いのはこっちだっての! ほかに言う事ないのかよ!」
 鳥の隙をついて、シュクルは思いっきり、ダガーで嘘つき鳥を斬りつけた。ぎゃっ、と悲鳴をあげた鳥が飛び上がる。しかし、その鳥へ、異形の鳥が襲い掛かった。翼ではなく鱗を持つ、奇怪なそれは、
「大人気みたいね、汝(あなた)」
 女王(レジーナ)の呼び出した、名状しがたき異界の魔物である。
「嬉しくない!」
 シュクルの抗議に、女王(レジーナ)がくすりと笑った。
「そういえば……汝(あなた)、何か鳥の習性について調べ物をしていたわね。何か分かったのかしら?」
 女王(レジーナ)の言葉に、シュクルはすこし、ムッとした表情で答えた。
「鳥って、真下を見てるときは目の前に注意を向けられなくなるんだよ……分かってるよ、やるよ! その代わり、外すなよ!」
 べぇっ、と舌を出しつつ、シュクルは嘘つき鳥の注意を引きつけるために、走った。
「あら、やってくれるのね……ならば我(わたし)も張り切らないといけないわ」
 ぱちん、と指を弾けば、無数の機関銃が虚空より姿を現した。『天鍵:緋璃宝劔天』と呼ばれる、女王(レジーナ)の権能。女王の鉄槌が、一斉に火を吹く。
「見つけた、回復役!」
 美咲は声をあげ、魔力弾を撃ち放った。厄介なのは、敵の中に潜む回復スキルを持つ敵である。長期戦は避けたい。できれば、さっさと討ち取るべきだろう。
「策を弄するものほど、それがやぶれた時には脆いものよ」
『賢者は二の手三の手を持つ――いくら賢しかろうと、そこは獣と言う事か』
 『≪傲慢の血潮≫』による補助を受けた、スペルヴィア、サングィスの放つ攻撃が、回復鳥を強かに打ち付けた。ギャッ、と悲鳴をあげ、回復鳥が落下していく。
「ほれ、狙い撃ちじゃぞ!」
 アミュレッタが言って、ロケットパンチをぶっ放した。残る回復鳥へ、狙い違わず突き進むそれは、回復鳥に見事直撃。そのまま直進を続け、背後に立つ巨木へ突き刺さった。見事にぺちゃんこにつぶれた回復鳥を見て、
「む、残っておれば血でも貰ってやろうと思ったのじゃが、ありゃぁあ無理じゃな……」
 アミュレッタがぼやく。
「……他の人もそうだけれど、あの鳥、美味しそうには見えないけれど」
 スペルヴィアの呟きに、
『見た目だけならば、エビだのウニだのも相当な物だろう』
 サングィスが返す。
「っと、まだ気を抜かないでよね?」
 美咲が言う。
『相違ない。次の標的は、やはり魔術使いか』
 サングィスの言葉に、美咲は頷いた。
「まったく、ほんと厄介だよね……まぁ、アイツらの相手ももう少しで終わり。もうちょっと頑張ろうか」
「ええ。……さぁ、まだ働いてもらうわよ、サングィス。契約を果たしなさい」
『承知した、我が契約者殿よ』
 一時の会話の後に、イレギュラーズは再び嘘つき鳥へと向かった。
 イレギュラーズ達の攻撃に、嘘つき鳥は次々と落ちていく。厄介な敵の補給を潰し、遠距離役を潰していくという作戦も、しっかり功を奏したと言えるだろう。
 残るは獰猛な獣と言えど、数の面でも、質の面でも、もはやイレギュラーズの敵となる様な相手ではない。
「ハッ、所詮は口先だけの鳥か!?」
 美少女の美少女スマイル――猛獣の如きそれを浮かべ、百合子が嘘つき鳥へと肉薄する。殴りつければ、嘘つき鳥がぎゃっ、と悲鳴をあげた。
「痛い! 助けて!」
 言葉の意味を理解しての事ではない――が、
「おお、正解である。プレゼントはこれだ」
 満面の美少女スマイルから放たれる蹴りの一撃が、嘘つき鳥を空高く打ち上げた。すでにこと切れている嘘つき鳥は、はばたく事なく、自由落下速度のまま、地に激しく叩きつけられる。
「空の旅――と言いたい所であるが、相手は鳥であったなぁ」
 むぅ、と百合子が小首をかしげた。一方、残る最後の一羽は、流石に全滅を認識し、浮足立つような様子を見せていたが、
「成程、劣勢を感じる程度の知能はありましたか。ですが――」
 舞花が静かに、『斬魔刀』を振るった。刹那の剣閃。それですべては終わる。舞花は始まりと同様に、静かにその刃を鞘へと納める。
「もはや手遅れ。来世では、彼我の戦力差を理解できる程度には、賢くなれると良いですね」
 同時に、すっ、と嘘つき鳥の身体が二つに分かたれた。
 それがバタリ、と地に落ちる。全ての嘘つき鳥が討伐され、イレギュラーズ達は見事、依頼を完遂したのであった。

「うむ! やはり大ぶり……焼き鳥にでもするか!」
「わっはっはっは!」
 笑う百合子。笑うリナリナ。その両手には、嘘つき鳥が握られていた。
「ふむふむ、調理は手伝わんでもないぞ……血抜きとか」
 乗っかるアミュレッタである。
「食べるのか……それ、本当に……」
 シュクルが呆然と言うが、
『気にする事はない。例えば海産物などは水』
「それ以上は止めなさい」
 反応し、要らぬ豆知識を披露しかけるサングィスと、それを止めるスペルヴィア。英断であった。
「なんだか締まらないね……」
 苦笑する美咲に、女王(レジーナ)は、
「まぁ……暗い雰囲気でいるよりは、いいでしょう?」
 そう言って、笑った。
「そうね……あの鳥の被害者も、これで浮かばれるでしょう」
 舞花はそう言って、空を見上げた。
 驚異の除かれた森は、先ほどよりは明るく見えた。
 木々の合間から、抜けるような青空が見えて、その空に――。
 ぎゃあぎゃあと。
 鳥が一羽、飛んでいた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 皆様のご活躍により、嘘つき鳥の群れは無事掃討されました。
 これで、この一帯の治安は保たれる事でしょう。

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