PandoraPartyProject

シナリオ詳細

もすと ばりゅあぶる ぱんつ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●混沌ではよくある事
 ここ、無垢なる混沌において『そんなわけないだろ』という言葉は辞書に存在しない。
 へそで茶を沸かす部族が居るとか、凍ってもいないのに釘が打てるぬかがあったとか、花が咲く石があったとか。そんな話を聞けば異世界より舞い降りた旅人の何人かは「んなアホな」と口をそろえてつぶやくことは間違いないだろう。
 しかし、混沌の大地で生まれ育った住人達はやれやれとため息をつき、首を振る。混沌ではそういう常識外れな事は『あり得る』のだ。というよりは、いやいやそんなわけないでしょと思う事ほど混沌では大抵文字通りの意味で本当にあったりする、といった方が正しいか。
 さまざまな異世界の文明や物質が混ざり合い、出来上がった不可思議世界。それが混沌なのだ。

 だがしかし。そんな『なんでもありえる』混沌で生まれ育った純種達ですら『ありえない』と言いたくなる事の一つや二つ、ないわけではない……その一つが、今回の事件のキーアイテム――ぱんつである。


●変な泥棒
「いちまい、にまい……うへへ」
「こんなに一杯手に入れることができるなんてなぁ! グへへへ!」

 幻想の深夜、深い森の中にある盗賊達のアジト。
 20人はいるであろう、いかにも悪そうなごろつきどもが、盗んだものがたんまりと入った木箱の中の布きれを数えながら、舌を出し、悪い笑みを浮かべている。

「これだけのぱんつ、売り切れば1年は遊んで暮らせるぞ!」

 盗賊達が盗んだものはぱんつ――それも、新品ではない、数百枚、数千枚にも及ぶぱんつの数々である。
 そう、彼らは盗賊の中でも泥棒、それも『ぱんつを狙った泥棒』なのである。

 彼らの名誉(?)のために補足するが、決して彼らは変態的な趣向の持ち主ではない。盗賊にとってぱんつ泥棒は馬車の積荷や旅行者の身ぐるみを剥ぐのと同じ、立派な『仕事』なのである。
 というのも、ある業界に属するものにとってぱんつとは、混沌世界において『ぱんつは通貨』と言われるほどの――それも、冒険者達はそれを用いて高価な武器や防具の交換を行うといわれているほどの確固とした価値を持つ――一種の立派な通貨なのである。

 そのぱんつ文化たるや、本来ならば余りにも恐れ多い国王のような人物であったり、盗もうと考えただけでも殺されてしまいそうなほどの実力者相手であろうとぱんつを何らかの方法でかすめ取り、裏ルートに流すものもいるほどなのである。今、色とりどりのぱんつを手にニヤつくこの盗賊達もその類なのであろう。

 だが、彼らの狙いは今までの『国の有名人』とは少し違っていた。彼らが狙いに定めたぱんつの持ち主は――


「でもいいんですかい兄貴? イレギュラーズ達に喧嘩売っちまうなんて」
「知ったことか! むしろ世界の救世主サマのぱんつなら高く売れるにきまってるだろ!」
「ははは! ちげえねえや!」

 そう、イレギュラーズ……あなたたちのぱんつである。


●略して、MVP
「だずげでぼじい゛の゛でずう゛う゛う゛!!!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)の泣き声が、ローレットにこだました。
「ボクのぱんつが全部盗まれてしまったのです!」

「ぱんつを狙うなんてなんてやつなのです! ボクもそんなものをないないした事は絶対にないのです!」
 ユリーカの嗚咽と怒りの混ざった声が響き渡る。
『いねむりどらごん』カルア・キルシュテン (p3n000040)が泣きじゃくるユリーカをなだめながら、若干心配そうな寝ぼけ眼でイレギュラーズ達の方を向くと、事情を説明しだしたのであった。

「……ユリーカと、みんなのぱんつ、盗まれたみたい」

GMコメント

●ごあいさつ
 お久しぶりです、そして、ごめんなさい。

●依頼内容
・ぱんつを取り返す。
・盗んだ奴らに天誅を与える。

●依頼人
・ユーリカ・ユリカ(p3n000003)
 ローレット所属の新米情報屋。
 自らもかなりの枚数を盗まれた上にぱんつ泥棒の嫌疑をかけられ、本人は参っているようだ。
 ちなみに、彼女のぱんつは妙に人気があるらしく高価で売れる。

・カルア・キルシュテン(p3n000040)
 時折冒険者として現地に赴くこともあるローレット所属の超新米情報屋。流石に自分のぱんつを盗むものはいないだろうとどこか他人事。
 万が一盗品から見つかったとしても「……好きにしていいよ」との事。

●依頼情報
 以下の情報はPL情報となりますが、『ユリーカ達に聞いて情報を得た』『その場に来て判明し、情報を入手した』という体でプレイングに書いていただいて結構です。
 イレギュラーズ達はユリーカの情報を元に、ぱんつを盗んだとされる盗賊達が出入りするアジトを見つけたところからスタートします。

 幻想の田舎の森深く、木造2階建ての広い屋敷。広いとはいえど屋内なので最大でも20m程度しか距離をとることができない。
 1階には8人ほどの弱い盗賊が散会して見張りにあたっており、2階にはより強い11人ほどの盗賊とそのリーダーが待ち構えている。
 1階の盗賊がイレギュラーズ達を発見した場合、大声をあげて異常事態を知らせてしまう。堂々と殴り掛からない限りは見つかることはないがもし見つかって異常を知らされてしまった場合、2階の盗賊達が事前にこちらの奇襲に備える時間を与えてしまうだろう。

 武器は1階は至近ナイフを使用する盗賊のみ、2階はナイフを使う盗賊、中距離の銃を使う盗賊が5人ずつ、そして斧を使用するリーダーという内訳となっている。
 雑魚は攻撃力こそ高いものの特に特殊な攻撃はない。
 リーダーは以下の攻撃を使用する。
『ぱんつ投げつけ』 物・中・単 大ダメージ 
『斧ぶんまわし』 物・至・範【防御無視】【不吉】【出血】 得物の斧で殴ります。
『ぱんつを見せる』物・中・特レ 高命中+【怒り】 2人を選び、該当者のぱんつを見せびらかします。

 盗賊の生死は問いません。
 リーダーを撃破した後は盗まれたぱんつや既に売られたぱんつの代金(※依頼報酬)を見つけ、回収してください。かなりの枚数が予測されるので馬車などがあるといいでしょう。


●情報精度
 このシナリオの情報精度はA-です。
 想定外の事態は絶対に起こりません。
 ぱんつの枚数は想定外の場合があります。

●アドリブに関して
 この依頼では、セリフや言動に『アドリブ・ぱんつ要素』を多く含みます。
 全ての国の名声の最高値が『50未満』だと数枚程度。50以上の場合は十数枚程度ぱんつが見つかるでしょう。
 しかし、最高名声が『100』以上の場合は話が別で、その枚数は名声に応じ跳ね上がります(しかもご丁寧に宝箱入り)。その枚数になるまで気づかなかったのはきっとこっそり新品と取り換えられていたのでしょう。
 自分や友人のぱんつを見つけた、あるいは見つけているのを見た時の反応等があればできるだけ採用するように努めます。
 念のため「私こんなにぱんつを履いてないよ!」とか「盗まれるタマじゃねえ!」な人は『ぱんつ少なめorぱんつ無し』と記載していただだければそのように努めます。

  • もすと ばりゅあぶる ぱんつ名声:幻想10以上完了
  • GM名塩魔法使い
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月24日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

猫崎・桜(p3p000109)
魅せたがり・蛸賊の天敵
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
リノ・ガルシア(p3p000675)
宵歩
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
一条院・綺亜羅(p3p004797)
皇帝のバンギャ
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ

リプレイ

●イレギュラーズのぱんつを取り返せ!
 世界の破滅を防ぐため、良くも悪くも金で動く傭兵稼業をやっている彼らにとって『それ』とは無縁ではなかったのだ。いや、それとは無縁でありたいと思っていた。
 混沌世界の裏世界では有名な『有名人のぱんつ泥棒』。その毒牙にかかる事とは。
 これは老若男女のイレギュラーズのぱんつが一斉に消え、あるいは偽物とすり替えられた【大規模窃盗】――その事件の顛末である。


「しかし女物ならともかくなんで男の俺の物まで狙ったのか、理解に苦しむぜ」
 数日後の事。カンテラの明かりを手に森の奥深くに姿を現した草原とその上に建つ洋館を眺めながら 、『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)は理解しがたい様子で独り言をつぶやいていた。任侠の世界で生き、現世においてもその心意気で望んできた自分の下着を一体どこの物好きが欲望の為に欲しがるというのだろうか――そんなことを考えながら振り返り。
「あれがユリーカの言ってた屋敷とやらだろ、さっさと終わらせてパンツ泥棒からパンツと売り上げを奪い返そうぜ……自分でも何を言ってるかよくわからねぇが」
「そうじゃ! わらわの家宝、皇帝陛下直筆サイン入りぱんつがァァァ!! 死亡上等じゃァァァ!!!」
 義弘の言葉に応じるように、『皇帝のバンギャ』一条院・綺亜羅(p3p004797)以下、女性達7人が次々と木々の間から飛び出す。女性にとって(男性にとってもだが)下着泥棒は万死に値する行為。程度の差はあれ彼らに対する軽蔑や怒りといった感情があるかもしれない。綺亜羅にとってはぱんつそのものよりもサインの方に執着がありそうだが。
 それに下着が無いと言うのは精神的な面を除いても大変な事である。「最近ぱんつが少ないと思ったんだよ! おかげで洗ったら履くのがなくて」と『魅せたがり・蛸賊の天敵』猫崎・桜(p3p000109)も困り果てた様子だ……今彼女がどういう状態かは本人のみが知っているだろう。
「はい、少し前まではとてもよく手に入った乙女のぱんつが最近手に入らなくなったのはこの方達のせいだということは確定的に明らかなのです」
 多分それはじじいのステテコのせいの気もするが……ともかく、『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)も彼らへの相当の恨みを募らせている。
「中身よりも外装が良いなんて奇特なヒトも居るのねぇ」と、その隣でクスクス笑うはブルーブラッドの『宵歩』リノ・ガルシア(p3p000675)。自由奔放な彼女にとっては、ぱんつを盗まれた事よりも、その売上を独占されているのが気に食わないようだ。
「ぱんつ泥棒、中々迷惑な方々でございますね。ですが、確かに人気のある方であれば需要は高いでしょう」
 一方、『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)はどこか冷静な様子で館を眺めていた……イレギュラーズ達にとってもぱんつの売買は無縁なものではない、いつかは自らのものが売られてもおかしくはないだろうといった様子で。
「とはいえ私のパンツだけならまだしも、ご主人様のパンツまで。許すまじ」
 身の丈以上はある得物を組み立て、弾丸を装填しながら『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)が憎しみのオーラを立ち上らせている。幻想で名高く、グラマラスな彼女のぱんつも当然毒牙にかかってはいるのだが、彼女自身はその事よりも、この場にはいない主人のそれが盗まれているという事が憎くて仕方がないようであった。
「ミルキィさん、何かわかりましたか?」
 最後の一発を込め、鶫は隣でじっと洋館を眺めていた『見習いパティシエ』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)に話しかける。ミルキィは頷くと、
「喜んでるやつが……あそこに1人と……」と大雑把な位置を皆に伝えていく。

「ありがとうございます、それだけわかれば十分です……ミルキィさんも準備をお願いします」
 鶫の言葉にミルキィは頷けば、「それにしても、最近パンツが何枚か無くなってると思ったら! 温厚なボクでも許さないんだからね!」とやはり怒りの感情を示しながら物陰に身を潜める。

 そう、これは当然の怒りなのだ。たとえ貨幣代わりであったとしても、下着泥棒には天誅を加えなければならない。
「それでは……死なないことを、祈っててください」
 鶫はただひたすら狙撃銃を構え、見張りがノコノコと外へと顔を出すその時を待ち続けた。
●ぱんつの館
 場所は変わり、洋館の内部。
 ごろつき率いるぱんつ盗賊の下っ端共は、ぱんつをコイン代わりに使った賭け事で大盛り上がりしていた。
「いやっはっは! 所詮イレギュラーズも人の子だな!」「ちげえねえや!」
 ……そんな事をいいながら、サイコロやカードを使って遊んでいる。しかし賭け事はほぼ確実に一人は負けはでる。そのうち、ぱんつを『スッた』一人が舌打ちをしながら、見張りをすると言い残し、館の外へと向かっていった。馬鹿な仲間を嘲笑う笑い声……だが、それは10秒もしないうちに一気に静まり返る事になる。
 銃声。館の外に出た見張りの男が被弾の衝撃で館の中へと吹き飛ばされたのだ。
「な、なぃぃぃぃ!?」
 大慌てで武器を取りに走るも、直後、壁が吹き飛び、なだれ込むイレギュラーズ達の奇襲、豪快かつ鮮やかなその雪崩に次々と盗賊達は押し流されていく。
 一人の盗賊が必死に応戦し、リノへ複数のナイフを投げるも、あっさりとその攻撃を躱され。
「少しお灸をすえてあげなきゃね?」と瞬時へと鮮やかなナイフの錆へと変えられていく。
「な、何だコイツラ!? 化物か!?」
 瞬時に倒された仲間を見て、青ざめた盗賊がぱんつを手に即座に逃走しようとするものの、樹里に行く手を遮られ。
「後悔させてあげます、ローレットのぱん通貨文化に土足で踏み入ったこと……月が許してもレオンさんのぱんつが赦しませんよ?」
 待ったお前レオンのぱんつを持ってるのかと言うツッコミが入る前に、魔力の塊をぶつけ、一撃で吹き飛ばす。
 1分もせずに、1階は血とぱんつと倒された男達がのびる地獄絵図と変わっていた。
「雑魚は粗方片付いたようだな……油断せずにいくぞ……今の騒ぎだ、気づかれていても不思議ではない」
 音速の正拳突きで、最後の見張りにトドメを刺し、冷静に深い息を吐いた義弘が皆に合図を出し、階段の元へと集合をかける。そして息を殺し、奇襲の疲労が取れるまで待機を試みようと――しかし、物音がしない2階からは、『警戒心』の感情がメラメラと勢いを増しながら滾っている。
 これ以上待つのはまずい、そう判断したミルキィが無言で何も変哲のない天井を指指す。樹里がその天井を見据えると。
「ぱんつぱんつ申し上げます以下略ここがあの盗賊団のハウスね!」
 思わず詠唱文も狂うほど時間を惜しんだ怒りの一撃をぶちかます。直後、轟音と閃光が迸り――
「うげはあっ!?」
 ボトボトと真っ黒こげになった男どもが2,3人、ボトボトと落下し、気絶する。それと同時に、騒がしくなる2階。
「今だ!」
 それを合図に、ローレットに喧嘩を売ったぱんつ泥棒が待つ2階へと突入する。最初に到達した桜の銃声が響き、バァン!と大きな音と共にぶち壊されるドア、その先に居るは、大斧を持った覆面のごろつき男の姿。その周囲には、すでに得物を構えていた盗賊もいたが、鎧を装着できたのはほんの数名のようであった。
「アレが変態の大将だね! パンツ盗賊のボス、覚悟するんだよ!」
 その盗賊どもに、桜は銃口を構える。突然の奇襲に驚き、ごろつき達が硬直する間に次々と大部屋内へと突入し、戦闘態勢を取るイレギュラーズ達。
「男……いや女!? 憲兵……いや、違う!」
 驚くごろつきに一歩、幻が踏み出し。
「ローレットの使者です……下の見張りは全て始末しました」
「ローレットだと! もうここが!」と驚く盗賊達に更に一言。「降伏すれば命までは奪いません、いかが致します?」と微笑みかける。

「ぐぬぬ……軟弱者が調子に乗るなよ!」
 その言葉に盗賊は一瞬戸惑うも、逆上。斧を構え、啖呵を切り、部下へ吠える。
「降伏するのは貴様らだ! 気絶させて貴様らのぱんつを更にはぎとってやるぜ!」
 ごろつきの武器は一斉にナイフで切りかかり、槍を突き刺し、銃で射撃する。だが、戦場をいくつも超えてきたイレギュラーズ達にとって、1対1では負けるはずもない。。
「ボンクラどもが……大人しく降伏しておけばよかったものを、のう」
 綺亜羅がため息をつき、剣を振りかぶり、迫ってきたごろつき目掛けて飛びかかる。
「この爆彩花(おもい)はぱんつ盗まれし乙女の怒りじゃ!」
 鎧で身を硬めた、リーダーの護衛らしき男がごろつきを庇うも、その怒りの刃は鎧を貫通、一刀両断。あっけなく崩れ落ちる。舌打ちをするごろつきに、綺亜羅は追撃。
「おかげで、わらわが天誅を下す事ができる事ができるのう!」
 再び、剣を掲げ、ごろつきを斬りつける。ごろつきはよろめき……樹里が開けた穴を飛び越え。

「さ、流石は救世主サマだな! 女子供ばかりと油断していたがこいつはまずいな!」
 高笑いを上げながら、大斧の端を持つと……ハンマー投げのように力任せに振り回す。イレギュラーズ達を巻き込むそれは轟音と共に床の穴を更に広げ、大量の埃が舞い上がる。
「こいつは俺も本気を出さないとなぁ! 奥義を見せてやろう!」
 ごろつきはそう高笑いをあげると、胸元から白い布のような物を3,4枚出し――


「こいつはどおだぁ!」
 一気にそれを広げてみせた。「おい、いきなり何しだしてるんだ?」とそれを見た義弘が困惑した次の瞬間……

「「あ~っ!」」

 2つの悲鳴がハモった。鶫と桜のものだ。
「それはご主人様のパンツ!? よりにもよって――!」「うわあ!? みーせーるーなー!?」
 パンツを見るやいなや、大慌てで飛び出す二人。
「これをどうするかぁ……かぶってみようかなー!?」
 更にごろつきは煽りを続ける。怒りで我を忘れすぎていたのか、先程樹里が開けた穴に気がつかず、一気に真っ逆さま。
「これが俺の必殺技『ぱんつ見せ』だ! ははは!」
 とっさの作戦が大成功し、大笑いをするごろつき。直後、カンカンになって1階から飛びあがってきた二人を部下に盾にしながら、必死に攻撃をしのいでいる。
「ふたりとも、カッとなっちゃダメだよ!」
 ミルキィが彼女達をなだめる様に傷の手当をすれば、二人は睨み付けながら、得物の射程距離に捉えるべく距離を取る。
「やってることはしょうもないが、全力でやらないと面倒な事になりそうだぜ」
 後衛を精神的に揺さぶらせ、狭い戦場で混乱を招く。男のふざけた行為の真意を義弘は見抜いていた。
「ええ、見た目に反して中々切れる男ですね、彼」
 幻が義弘の考えに同意を示し、彼に治療の神秘術を使う。形成は未だこちらが有利だが、彼の撹乱が続けばどうなるかわからないだろう。
「それに、ぱんつの需要を正確に捉える能力、ただで捨てるのは勿体ないですね……何とか降伏を誘えないでしょうか」
 幻がそう提案すれば、リノがナイフを艶やかに舐め取り、「そうねぇ、どれくらいで売れたのか聞いてみたいし」と楽しそうに乗る。
「早くあいつを倒して、問い詰めましょ?」その言葉と共に黒柄のナイフを振るい、怒涛の連続攻撃をしかけんと黒豹の如く飛びかかる。ごろつきはとっさに仲間の名を呼び、かばわせる……も、リノの刃はまたたく間に敵の鎧を切り裂き、続く義弘の攻撃に、よろめき追い詰められる。

「ぐ……このままでは負けてしまう、が!」
 ごろつきは斧を必死の力で持ち上げ、叩きつけ。イレギュラーズに勘付かれない程度の大きさの穴を開ける。一歩でもそこに踏み出せば床は崩れ、再び落ちるように。そして次の奥の手――もとい、パンツを見せびらかそうと、再び懐に手をいれようとした瞬間。
 桜の両銃から放たれた弾丸が2発、彼の腕を貫いた。
「うげえええ!」
 ごろつきは「お返しだよ!」とぷんすこ叫ぶ桜を睨みつけ、必死に斧へと手を伸ばそうとするも。
「ええ、お返しです」「おごっ!?」
 自らの身長よりも遥かに巨大な銃――『蓮角』の先端を突きつけられる。
「他の部下は倒しました、その斧をつかもうとしたら、わかりますよね?」

 決定的な勝利宣言が、盗賊に叩きつけられた――。
●ぱんつよ、永遠なれ
「あが、あががががが……」
「終わりましたね、ご主人様のパンツを奪った罪を償って貰います」
 こうなってはもうどうにもならない。ぱんつを盗んだ下っ端共は天誅が下され半殺し、彼らのリーダーであるごろつきも怒り心頭の鶫に『蓮角』をゼロ距離で押し当てられ、命乞いを必死にしている有様である。
「……覚悟、できましたか?」と鶫が引き金をひこうとした、その時。

「ゆ、許してくれえ! ぱんつの在り処を教えるから命だけは! 命だけはぁ!」……先程までのオーラはどことやら、リーダーは泣きながら鍵を投げつけた。
「俺が持ってるやつ以外は金もぱんつもこの鍵で行ける地下室にあるんだ! 行く方法も教える! だから! 命だけは!」


 盗賊のその言葉にイレギュラーズ達は顔を見合わせた。それから、数分後。


「しかしまあ、こんだけ大量のパンツが盗まれているとは、恐れ入るぜ……」
 所は変わり、ぱんつ泥棒たちが奪ったぱんつが大量に収められた地下室、その光景義弘が若干滅入った様に感想を述べたのも無理はない。
 折り畳まれ、大量に積まれたぱんつの山……。中にはイレギュラーズ達の中でも顔の広い者のぱんつが百数十と入った『名前付き』の宝箱すらあるまさに地獄絵図。
「やはり女物が多いな、わかっていたことだが」
 義弘は視線を動かし『男物』と書かれた大きな宝箱と金貨の入った大袋を見つけ拾い上げれば、仲間達に背中を向け、「俺は馬の用意をしておくかね」と階段を駆け上がっていく。女性達は自らのぱんつを見られたくないだろうと考えた末の彼なりの思いやりであった。

 彼が去った後、何故か亀の甲羅の様にロープを巻かれ縛られたごろつきが後から入ってきた女性陣達に運ばれ、床に転がされた。
 縛り方に対しごろつきが「なんだよこの縛り方!?」とツッコむも、「ん、変? 此れが一番効果的って教わったんだけどな?」と縛った本人――桜は素で答えながら、うず高く積まれていた自らのぱんつを拾い上げる。「ふぅ、これで一安心だねー」とやり遂げたように汗を腕で拭うも、我に返ったように皆に「って、何も見なかったよネ?」と問いかけ。
「ご安心ください、誰も見ていませんよ」とその横を幻が通りすがる。「さあ、早く皆さんのぱんつを回収しましょう――」 直後、硬直。
 無理はない、その視線の先には存在しないと思っていた自分のぱんつが、自分の名前が書かれた宝箱の中にぎっしりと詰め込まれていたのだから。桜も、ガン見し唖然。スタスタと縛られていたごろつきの元へと駆け寄れば、強烈なビンタを浴びせた。
「最近、ぱんつ消失奇術ができるようになったと思って喜んでたのに……! 盗まれていたのですね!? 許しません……!」
「い、いたっ!? 手品だと思ってたのかよ!?」
 幻は事が終わってから初めて湧き上がってきた怒りを思い切り、何度も何度もツッコミを入れようとするぱんつ泥棒にぶつけていく。
「やぁん、これ私のじゃない……流石に宝箱入りなんてちょっと複雑な気分だわ」
 何故宝箱の中に入れているのか、流石のリノも自らのものをひらひらさせながら困り顔である。
 後で聞いてわかったことなのだが、どうやら幻想で名高い何人かのそれは高級品として高い相場が約束されており、そのため虫食いなどの被害に合わぬよう厳重に保管する必要があったそうだ――誰のものかわかるように名前をインクで塗った、宝箱の中に。
「木くずでちょっと汚れてるし……」「安心せい!」
 今は理由もわからず困るリノに綺亜羅が命より大切にしているかもしれない『家宝』を手に、満面の笑みで話しかける。
「帰りの馬車の中で盗賊とともに洗って干すのじゃ!」
「それ、ヨシヒロに見られるじゃない」
 そんな会話をする二人を横目に、ミルキィはごろつきに尋問を続ける。
「これで全部かな? 隠してるのがあるなら言わないと……」
「ぜ、全部だ! だからあの辛いのはやめてくれぇ!」
 こうして、女性イレギュラーズ達による尋問とぱんつ回収は、彼らが持ってきた馬車の類が積載ギリギリになるまで小一時間ほど続けられたのであった。

 そして、最後のぱんつが1枚拾い上げられ、全てが終わろうとした時……縛られたままのごろつきがぼそりと呟いた。
「お、終わった……屋敷だけは許してくれた。これで再出発が――」
 その言葉に、自らの黒の紐パンを手に最後に残っていたイレギュラーズ、樹里は静かに振り返り……


「忘れてました♪」
 口は災いの元。

 直後、樹里の魔法が大爆発。他のコソドロ達へ二度とイレギュラーズ達のぱんつを奪おうなどと思わせぬよう、因果応報、哀れ屋敷は見せしめとして消滅させられてしまった。

 もくもくと爆炎と煙を昇らせる跡地を背に、奪い返したぱんつや金貨、縛り上げられた涙目の盗賊達を載せた馬車に乗り込み、イレギュラーズ達は帰路へついたのであった。
 仲間たちへ、奪い返したぱんつを届ける為に。

成否

成功

MVP

夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師

状態異常

なし

あとがき

 こんばんはギャグ全振りの塩魔法使いです。依頼お疲れさまでした。プレイングに「ぱんつ」「パンツ」が出た回数50回。シナリオに出た回数は約56回。
 厳密には「依頼」ではないのですが、ぱんつ泥棒達から没収した金品(主にぱんつ)が今回の収入になりました。そしてぱんつ泥棒も何だかんだでローレットの手により更生されたようです。

 MVPは色んな意味で盗賊達に面白いアプローチをした貴女に。
 そして、すばらしい活躍をした皆様にはおまけとして『ある物』をプレゼントいたしました。
 本人が「好きにして」と言っているのでお構いなく好きにしてあげればいいと思います。まさか本当に出てくるとは思っていなかったでしょうが。

 それでは、またの機会に。
 塩魔法使いでした。

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