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シナリオ詳細

幸せウサギを救出せよ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●攫われたハピネスラビット
 ハピネスラビットという魔物がいる。
 大人しい人畜無害な魔物で、見た目に愛らしいウサギなのだが、古くから伝わる言い伝えがある。
 それは、ハピネスラビットに懐かれると幸せを手に入れることができる、というものだ。
 元々希少なウサギだ。出会えること自体が幸運であって、懐かれようというのは夢のまた夢。誰もそれを叶えようなどとは思わないものだ。
 故に、幻想南部のトパス村村長もそんな迷信など信じることはなかったのだが、心優しいこの村長、たまたま村のはずれの森で、一匹の子ウサギを見つけてしまう。
 それは傍目に見ても普通のウサギで、どうにも親に捨てられたようだった。
 可哀相に思った村長は、そのウサギを連れ帰り育てることにした。
 ペットとして育てるには中々にデリケートな生物だったが、気配りのできる村長のおかげで、ウサギは見る見る成長していく。
 そして成体となったウサギを見て――村長は驚いた。
「こ、こりゃハピネスラビットじゃ!?」
 そう、拾ってきた子ウサギは見紛う事なきハピネスラビット。大きく垂れた二つの耳におでこから突き出る一本の小さな角。
 長い尻尾はゆらゆらと揺れ、それが普通のウサギではないことを表している。
 棚からぼた餅とでも言うべきか。
 そんなつもりはまったくなかった村長は目を丸くし、そして冷静になって思った。
 どんな姿であっても、お前は儂のペットじゃ――と。
 まあ少しばかりの幸運を期待していたのは間違いないのだが、どうせならと村の発展を祈願する村のマスコットにしようと考えたのであった。
 結果として、村長に幸福が訪れたかといえば、必ずしもそうではなかったのだが、村長は変わらず暮らせることを幸せに思い、ハピネスラビットと楽しい毎日を過ごしていた。

 そう、砂蠍の動きがなければ――だ。

 幻想南部に攻め入った砂蠍の本格的な行動によって、幻想に巣くう盗賊達も動きを活発にした。
 砂蠍を名乗って村の鎬を頂く。そんな烏滸がましい考えを持つ腐った盗賊達を生み出したのだ。
 そしてそんな騙りの盗賊団が、トパス村へとやってきてしまった。
「なぁに? これっぽちしかねぇのか!?」
 脅された村長が集めた村の稼ぎを見て盗賊が怒鳴り散らす。
 こんなもんじゃ足りねぇ、まだあるはずだと。
「いえ、本当に村にはもうお金はないのですじゃ……」
「あァ!? いいからもっと探して……アァ――!?」
 盗賊の一人がいちゃもんを付けようとして、突如ひっくり返るような大声をあげた。
「おい、サブスター? 何を叫んでるんだ?」
 仲間が尋ねると、サブスターと呼ばれた盗賊が震えながら村長の家を指さして言った。
「は……ハピネスラビットだ!? ハピネスラビットがおる!!
 う、嘘だろ! 人には絶対懐かないって話しだったのに!!」
「なんでぇ? そのハピネス何チャラってのは」
「伝説の魔獣だ! アイツの毛皮、手足、瞳、どれをとってもすげぇ金になるぞ!」
「な、や、やめてくれ! あの子は儂の家族なんじゃ!!」
 金銭感覚でウサギを見る盗賊に、愕然とした村長が泣きすがる。しかしそんな村長を殴り飛ばして盗賊は下卑た笑いを浮かべた。
「へへへ、ツイてるぜ。これがありゃしばらく金には困らねぇ! お前ら! あのウサギを捕まえな!!」
「待て待て、ラビットの扱いはデリケートなんだ。へへ……俺に任せときな!」
 サブスターと呼ばれた盗賊が、大事そうにハピネスラビットを抱え込む。こうして、名も無き盗賊団に攫われてしまうハピネスラビット。
 悲しみに暮れる村長に村人が言った。
「村長、集めた金で仕返しをしましょう! こんなとき頼れるのは――!」
 そして村人の意思、村長の思いを乗せた手紙と金が、ローレットへと持ち込まれた!

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 可愛いうさ吉(命名村長)を助けましょう。
 幸せを掴むために!

●依頼達成条件
 ハピネスラビットを無事確保する

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●名も無き盗賊団について
 総勢四十人からなる半端者の集まりです。
 数は多いですが、その戦闘力はイレギュラーズの敵ではありません。
 ただし、ハピネスラビットに妙に詳しいサブスターという男がいます。
 この男、ハピネスラビットを大事そうに抱え、一人盗賊団から抜けて金を独り占めしようと企んでいます。
 その為、戦闘中常に逃亡のリスクがあります。毎ターン逃亡を仕掛け一ターン後には逃亡を成功させるでしょう。
 他の盗賊達に抑えられないようにしながら、サブスターの動きを止める必要があります。
 他の盗賊達はマーク・ブロックはしませんが、四方を取り囲まれれば身動きができなくなってしまうでしょう。
 
 またサブスターを巻き込んでの範囲攻撃は、自ずとハピネスラビットへの攻撃となります。
 デリケートな魔獣です。優しくサブスターを取り押さえ、奪い返しましょう。


●戦闘地域
 幻想南部にある盗賊団の根城そばになります。
 時刻は十三時。
 盗賊団が根城に入る前に発見できます。根城前は遮蔽物のない場所となります。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 幸せウサギを救出せよ!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月22日 21時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
剣砕きの
恋歌 鼎(p3p000741)
尋常一様
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
寄り添う星
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
エナ・イル(p3p004585)
自称 可愛い小鳥
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長

リプレイ

●サブスターの誤算
 トパス村から頂いた戦利品を勘定しながら歩く、騙りの盗賊団。
 特にハピネスラビットを大事そうにだっこする盗賊――サブスターは邪悪な微笑みを湛えていた。
「へへ、まったく砂蠍様々だぜ。
 ちょーっと名前だせば、力のねぇ奴等が勝手に屈服してくれる。
 幻想で何するかは知らねーが、まだまだ稼がせてくれそうだぜ」
 気分良くいう盗賊団のリーダー。ウサギを抱えるサブスターの方に見やり、
「おい、サブスター。
 本当に其奴は高く売れるんだろうな?」
 と、疑惑の眼差しを向ける。
 サブスターは、そんなことにはお構いなしに、
「いや本当ですから、マジで希少なウサギなんですよ」
 対して信頼して欲しくもないように流すように言った。
 その実、サブスターはもう盗賊団のことなど頭になかったのだ。
(へへ、こいつ一匹いりゃ十年……いや五十年は遊んで暮らせるぜ。
 こんな盗賊団なんていて討伐の危険に命を晒す必要もなくなる。
 あとは、いつ逃げ出すかだが……)
 ウサギと共に逃げ出す心算のサブスターは、根城に着く前に姿を眩ませたかった。
 キョロキョロと当たりを見回して、そして――動物に詳しいからか――気づく。
「なんか、鳥多くないっすかね?」
「鳥だぁ? そんなもん何処にでもいるだろうが」
「いや、あんな鳥はこの変には棲息してないはずだ……」
 サブスターの動物的直感が、警戒心を高めていく。
 その直感は間違いではなかっただろう。盗賊団のリーダーがサブスターのことをよく知り、理解していれば、この後に起こる出来事を回避できたかも知れない。
 そう、盗賊団を監視するように飛ぶ鳥は――トパス村より依頼を受けたイレギュラーズの放ったものであり、イレギュラーズは盗賊団を捕捉していた。
 地面を踏み鳴らし、盗賊団の正面に踏み出す。
「――イレギュラーズだ。お前らを殲滅しに来た」
 『星を追う者』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)が冷たく殺意を飛ばす。その言葉に盗賊団が浮き足だつ。
「イレギュラーズだとぉ?
 ははっ、噂の特異運命座標とかいいう奴等が、こんな辺鄙な所まで来る、ねぇ……」
 その言葉は、まるで信用していないようで、まさに自分達が砂蠍を騙るのと同じようなものだと、ウィリアムの言葉を鵜呑みにはしなかった。
「俺達は砂蠍傘下だぞぉ? 手を出してキング・スコルピオの怒りを買ったらどうなるかわかってるんだろうなぁ?」
 それは自分達が手に入れた戦利品を奪いに来たと勘違いした愚かな男の目だ。
 くすくすと笑う『(自称)可愛い小鳥』エナ・イル(p3p004585)が言葉を零す。
「砂蠍ですか。悪ですねぇ、悪!
 ……まぁ砂蠍でもそうじゃなくても盗賊の時点で逃がすつもりもありませんが」
(可愛いを弄んだ罪は万死に値しますよぅ!)
「――というわけでお覚悟を!!」
 ハピネスラビットを救出しに来たとはおくびも見せず、にっこりと笑ってみせる。
 その上空、純白の機殻盾に乗る『特異運命座標』藤堂 夕(p3p006645)が物理的上から目線で投降――ではなく挑発で呼びかける。
「お前たちは! 完全に! 包囲されている!
 無駄な抵抗はやめて! 大人しくお縄についてください!
 さもなくば! ――なんだっけ。えーっと、アレですアレ!」
「なんだってんだ!」
「地獄の鬼すら裸足で逃げ出し、天使は天界の門を閉ざす!」
「はあ?」
「とにかくヤバい事になりますよ!」
「本当にいいんですね!? 大丈夫ですね!?
 お前たちのご両親だって泣いてるぞ! 全米だって泣くぞ!」
 後半はもう意味が分からないが、盗賊達の注意を引けたのは間違いなさそうだ。
「ちっ、舐めやがって、たったそれだけの数で俺等に勝てると思ってるのか!」
「ふん、砂蠍の名前を騙るような盗賊が大きくでるなぁ……!
 やればわかるぞ……イレギュラーズを甘く見ないことだな……!」
 『世界喰らう竜<ワールドイーター>』ヨルムンガンド(p3p002370)が一歩前にでてそう言うと同時、サブスターが抱えるハピネスラビットがその垂れた耳を立てた。
 鼻をヒクヒクと揺らし、ヨルムンガンドをジッと見つめる。
 ヨルムンガンドもまた、サブスターの動向には注意していた。いつでも飛び出せるように身体に力を籠める。その懐には、村長より預かった、うさ吉お気に入りのタオルがある。
「さあ、覚悟を決めるんだな! お前達の悪行もここまでだっ!」
 武器を構える『湖賊』湖宝 卵丸(p3p006737)が盗賊へと戦意を高める。その意気に押された盗賊達が一斉に武器を構えた。
「へっ! しゃらくせぇ。全員身ぐるみ剥いでやるぜ!!」
 盗賊団のリーダーの合図で殺る気を見せる盗賊達。唯一サブスターだけが、この状況に混乱していた。
(やべぇ、どうすんだこの状況。
 ラビットを抱えたまま戦闘なんてできねぇし、かといって逃がす訳にもいかねぇ……!
 どうする!? 今か? 今このタイミングで逃げるしかねぇか??)
 今まさに戦闘が始まる。その反応勝負の矢先、ジリッと後退を見せようとするサブスター。
 ウサギを理由にアジトまで先に逃げ帰り、荷物をまとめて戦闘が終わる前に姿を眩ませる。そんな計画が一瞬のうちに脳内で組み上がり、まさにそれを実行しようと、反転しながら口を開こうとした――その矢先。
「どこへ行こうと言うんだ?」
  『尾花栗毛』ラダ・ジグリ(p3p000271)が言葉を投げかける。そして盗賊達の背面に回り込んだ残るイレギュラーズ達が姿を見せる。
(な、仲間がいたのか――ッ!)
 一瞬のうちに崩れ去るサブスターの計画。こうなると、戦闘の混乱に乗じて逃げる以外に道はなかった。
「ふふ、逃げられるとでも思ったかな?
 けれど残念だね。逃げ道は塞がせてもらうよ」
 『尋常一様』恋歌 鼎(p3p000741)がミステリアスな微笑みを湛えながらサブスターの行く手を塞ぐ。
「さあ、覚悟を決めて貰おうか。
 奪ったもの、全て取り返させてもらうよ」
 優しそうな風貌でありながら、明確な冷たい怒気を孕む『メルティビター』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)が睨めつける。
(くそー! なんでこんな事態に!
 ハピネスラビットは幸運のウサギだろー!?)
 早くも追い詰められたサブスターが、心の中で叫ぶ。
「こんなところで手放してたまるか――! ぜってぇ逃げてやるっ!」
 覚悟を決めたサブスターの逃走劇が始まった。

●幸せウサギを救出せよ!
 格下の相手とは言え、四十名にも及ぶ盗賊の数だ。一瞬でも気を抜けば即座に取り囲まれて四方から凶刃を振るわれる。
 これが何も考えず範囲攻撃で薙ぎ払うことができれば、それはそれは痛快なことになったに違いないが、非常にデリケートな魔物であるハピネスラビットの存在がそれを良としなかった。
 問題は、そのハピネスラビットを抱えるサブスターである。
 この男、プライドなんて持ち合わせない自分本位な最低野郎であって、仲間達を盾にしながら必死に逃げ回る。
 これに対し、イレギュラーズは俯瞰情報や飛行を用いてサブスターの位置を捕捉、ブロックによる足止めをメインに対抗する。
 戦闘開始当初、イレギュラーズの絶対逃がさないという意思を、サブスターは感じ取るが、それがハピネスラビットに起因しているものとは考えなかった。これはイレギュラーズが”盗賊退治”をしに来たという体で動いていたことや、サブスターがハピネスラビットという特殊な話を普通の人間が知っているとは考えなかったからだ。
 だが、入り乱れての戦闘が続く中、イレギュラーズの動きの中にもハピネスラビットへ語りかけることや、ハピネスラビットへの配慮を見せることが多くなる。
(こ、こいつら――コイツを狙ってる!?)
 それは勘の鋭いサブスターに直ぐに知れることになる。
 盗賊団のリーダーが、驚異的な戦闘力を見せるイレギュラーズを前に必死の形相になっている最中、サブスターはイレギュラーズを自分と同じようにハピネスラビットを売りさばく心算だと決めつけ、奪われてなるものかと、更に意固地に逃げ回るようになるのだった。
 大乱戦の戦場は、すれ違う思惑の中、ハピネスラビット争奪戦へと姿を変えていった。
「諦めて降伏しなよ。
 ”その子”に免じて、殺しはしないよ。
 けど……動物を傷つける奴は、許さない。
 僕の知る拷問の限りを尽くして緩やかに殺してあげる」
 高い反応を見せ、サブスターへと張り付くルチアーノ。明確な殺意を叩きつけ戦意を奪おうとする。
「冗談じゃねぇ! コイツがいれば一生近く遊んで暮らせるんだ! みすみす手放すなんてできるかよ!」
「それで命を落とすことになるというのに――
 目の前の宝に目が眩んで現実が見えていないようだね」
 手にしたナイフで放つは無形の術。足下を狙う切れ目のない刺突と斬撃がサブスターを襲う。
 これが、見事逃げるサブスターの足を刺し貫いて、絶大な効果を齎す事にになる。サブスターの高い反応は失われ、機動力も奪った形だ。
 体勢を崩したサブスターに簡易飛行で接近したヨルムンガンドが追撃する。
 自らの竜の力を解放し、恐るべき咆哮とともに繰り出される寸止めの一撃。猛る衝撃波がサブスターの髪を吹き飛ばす勢いで揺らし、意識を飛ばさんと襲いかかった。
「ひぃ!? ば、化けもんかっ!?」
 だが、この一撃は意識を奪い取るまではいかず、またその衝撃はハピネスラビットを震え上がらせてしまう。すぐに動物疎通による会話で落ち着かせようと試みる。
「村長にお願いされて君を助けに来た!
 悪い奴から君を解放する為に……少し揺れるかもしれないがビックリして慌てないでくれ……!」
 村長から託されたうさ吉お気に入りのタオルを見せると、ハピネスラビットは立てていた耳を垂れさせ、信頼の眼差しを見せる。
「絶対にうさたんを巻き込まないようにしないと……。
 大事な家族を誘拐した罪、その身で贖え!」
 魔力を高め刻むは破壊のルーン。戦場に降り注ぐ不可避の雹。
 夕はサブスターの位置を俯瞰情報から得ていたし、細心の注意を払い、サブスター及びハピネスラビットを巻き込まないように破壊のルーンを刻んだ。これは間違いない。
 しかし、そこでサブスターが予想外のダッシュを見せる。不運にもこの駆け込みが降りしきる雹と合致し、轢いてしまう。本当にこういうことも起こりうる場合があるのだ。
「嘘!?」
 夕の悲鳴に反応し、即座にウィリアムが魔力を走らせる。
「心配するな。フォローできる!」
 ウィリアムは万全に備えていた。
 起動する治癒術式が傷付いたハピネスラビットを即座に回復させる。この治癒魔術がまた幸運なことに高い効果を発揮し、受けた傷を完全に癒やす事に成功した。
 明確にハピネスラビットへのフォローを意識していたのはウィリアムだけだったので、不運だったとはいえ、危ないところだったと言える。万全を期したウィリアムはお見事である。
「ふふ、そっちへは行かせないよ――!」
 鼎が放つ青き衝撃が盗賊を吹き飛ばし、サブスターの逃げ道を塞ぐ。中々に高難易度の芸当だが見事に成功させた。
 不意を突かれ逃げ道を失ったサブスターに鼎が取り付き、組み伏せる。
「ぐっ……くそ――! 離せ!!」
「そうは、いかないよ――!」
 締め上げその腕の力を弱まらせる鼎。その状況にヨルムンガンドが飛びついてハピネスラビットを確保する。
「あ――ッ! 返せッ! 俺のハピネスラビット!!」
「お前のじゃない。
 これはあの村の村長の家族だ……!」
 大事に、庇うように抱きかかえ、その場を離れるヨルムンガンド。
「すぐ家族に会わせてあげるからな……! 私の傍を離れるなよ……!」
 安心させるようにうさ吉に話しかけ盗賊達から離れていく。
「リーダー! ウサギが奪われた! ハピネスラビットが連れて行かれちまったよぉ!
 取り返してくれぇ! アレがあれば一生遊べるぞぉ!」
 奪われたことでもはや逃げるという考えを捨てたのか。サブスターがなりふり構わず盗賊団のリーダーに縋り付く。
「ウサギなんて知るか! あいつら俺をコケにしやがって!
 この人数だぞ! 負けられるか!!」
 エナや卵丸との立ち回りで、プライドを傷つけられたのか、盗賊団のリーダーが怒り心頭のまま怒声をあげる。
「おやおやー? こんなか弱い美少女に翻弄されるなんて残念にも程がありますよぅ?」
 自分でか弱い美少女という、まさに残念なエナの挑発にさらに青筋を立てるリーダー。
「こちらの狙いは既に分かったろう。
 命を担保に一発逆転を狙う奴だけ向かってこい」
 固まる盗賊達に強烈な弾幕を見舞うラダ。
 ラダの遠距離からの射撃は多くの盗賊達を巻き込み、その数を減らすのに貢献していた。
 行商人であるラダにとってみれば盗賊や野党の類いは敵以外の何物でも無い。容赦など必要ないのだ。
「人を苦しめる行い、これ以上は見過ごしておけないんだからなっ!」
 盗賊団リーダーの隙をついて卵丸がその二本の刀で斬りかかる。
 イレギュラーズとしての戦闘経験は少ないが、湖賊として育った経験がある。鋭い斬りつけからの蹴撃は盗賊達にも十分通用するものだ。
「勝負はついた、この場で降伏するか、倒れてるやつを連れてさっさと立ち去れ、追撃はしないんだぞ」
 目論見としてはうさ吉を確保し、リーダーを倒してから降伏勧告としたかったが、存外にこのリーダーが粘る。
 不殺によって高めた信憑性に、しかしリーダー並びに盗賊達は首を縦に振らない。やはりリーダーを倒し、圧倒的な力を見せつける以外道はなさそうだった。
「ちくしょう! このまま引き下がれるか! あのウサギがいれば、全部上手くいくんだ!」
 欲に目が眩むというのは恐ろしいものだ。
 元より盗賊などに身を窶す者達だ。莫大な富を生み出すようなものには目が無いのだろう。それを求める事が自分の命を奪うリスクとなろうとしても、目の前にぶら下がった宝を求めずにはいられないのだ。
 サブスターを含め、残る二十五名あまりの盗賊達が、怒りと欲に塗れた瞳を血走らせながら、一斉に襲いかかる。
「今度こそ、うさたんには傷つけないからね!」
 先の不運を返上するように、夕が破壊のルーンを刻む。今度こそ、刻まれたルーンは盗賊達のみを打ち穿つ雹となって降り注いだ。
「守り切ろう。村の皆のためにもね」
 突撃する盗賊達を貫き吹き飛ばすラダの魔弾。合わせるようにウィリアムの詠唱が走る。
「告げる。奔れ、蒼き雷」
 蒼雷が迸り、盗賊達を焼き切っていく。
 それだけの範囲攻撃を食らいながら、しかし盗賊達も食らいつく。
「絶対守り切るからなぁ……!」
 うさ吉を庇うヨルムンガンドは多くの白刃に晒されることとなるが、決してうさ吉をその刃に晒す事はなかった。
 いくつかのパンドラが輝き、魔力も底を尽きかける頃、リーダーが倒れ、多くの仲間達の犠牲の果てにようやく諦めを悟った盗賊達が投降を始める。
 その中にサブスターの姿はない。
 逃げたのではない。
 欲に目が眩んだ男は、何の気も無い流れ弾に当たって、その命を落としていたのだった。
 戦い終わり、ヨルムンガンドの手の中で身動き一つ取らないハピネスラビットが、ただジッとその亡骸を見つめていた。

●そこにいる幸せ
「皆様、本当に、ありがとうございますじゃ」
 ぺこりと頭を下げたトパス村の村長。
 うさ吉を取り返す為に払った報酬は、そう安くは無い。
 しかし、村長、そしてトパス村の住人は皆明るい顔をしていた。
 村の大切な仲間――家族が戻ってきたのだと、喜びを隠しもせず表情にだしていた。
「根城には奪ったものは残されていなかった、か。
 トパス村の分は取り返せたけれど……そう幸運はあるものではなかったな」
 残念そうに言うラダ。
 そう残念がるものではないよ、と鼎がラダの肩を叩く。視線の先、うさ吉を囲む村人達が見える。
「ふふ、嬉しそうな姿を見ると和むね。
 希少性といえばああやって一緒に楽しく過ごしてるのも希少なのだし。
 ああ、でも希少な分これからはうさ吉の周囲には気をつけてね?」
 村長にそう注意喚起し、村長もこれにしっかりと頷いた。ハピネスラビットで在る事を言いふらすようなことはしないと約束する。
「家族の元へ帰れてよかったね」
 怖がらせないようにそっと撫でるルチアーノ。気持ちよさそうに撫でやすい体勢をとるうさ吉。大人しいものだと感心する。
「村長さんこれからもうさ吉さんをどうか大事にしてあげてくださいね?」
「もちろんですじゃ。大切な家族ですからの」
「ふふ、村長さん、好き?」
 うさ吉に動物疎通で尋ねる夕。その回答は――くすぐったくなるようなそんな感情だった。村長に伝えれば、目を細めて幸せに満ちた顔を浮かべた。
「なんだそんなに見つめて」
 ウィリアムに指摘されて、目を輝かせていた卵丸が赤くなる。
「べっ、別に卵丸、可愛い物とか好きなわけじゃないんだからなっ」
 笑い声が響き渡る。
 ただそこにいるだけで、周囲の者が幸せな気持ちになる。きっとこれがハピネスラビットの幸運なのだろう。
「これからも幸運を届けてあげてくれ……!」
 ヨルムンガンドの願いを聞き届けたかどうか、ただ一つ、うさ吉が鼻を鳴らすのだった。

成否

成功

MVP

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
寄り添う星

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。

プレイングはとても良く順調にいくかと思いましたが、クリティカルやらファンブルが飛び交う戦いとなりました。
そうした幸運不運も楽しさのスパイスになったかなと思います。

MVPはしっかりとうさ吉のフォローを考えていたウィリアムさんへ贈ります。

依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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