PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ダークオーシャン

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●怨霊たちの歩く海
 海洋のとある島、レイクアイランドは死者が海を渡るという言い伝えがあった。
 否。
 もはや言い伝えなどでは無い。
 現に幽霊たちが海面を滑るように進み、レイクアイランドへと入っていくさまが目撃されていた。
 その後レイクアイランドでは無数の行方不明事件が発生し、調べを進めたところ行方不明者はみな自ら列を組んで海へと徒歩で入っていき、きわめて自主的な入水自殺を果たしたことが分かった。
 行方不明は集団自殺事件へと発展。
 その原因が『海を歩く幽霊』であることがわかったのが……昨日である。

●海上撃滅作戦
「『海を歩く幽霊』は自殺者の数だけ増加している。これを見てくれ」
 依頼者である海上警備隊が示したのは、空撮された写真であった。
 半透明な人間の群れ。
 数にして約20人といったところだろうか。
 一般的な服を着て、剣や銃といった武器を持っているようにも見える。
 不思議なのは全員の顔が粗いモザイクのようにぼやけて確認できないことだ。
「はじめは3人だけが目撃されていたが、事件後にこの数が確認された。増加数は自殺者の数と一致している。これがどいうことか……」
 言わずとも分かる。
 人間を引き連れ、自殺させ、仲間を増やす。
 そういうたぐいの『現象』なのだ。
「幽霊は恐くない。なぜなら魔法や剣で倒せるからだ。
 本当に恐ろしいのは、この現象がつい最近まで確認されなかったことと、既に17名の自殺者を生んでしまったということだ。
 我々はレイクアイランドの住民避難と防衛網の構築にあたる。
 諸君らには、島へ接近する幽霊たちの迎撃、および撃滅を依頼する。
 ここで逃がせば、いつどのタイミングで誰が死んでしまうかわからない。
 ……受けてくれるな?」

GMコメント

【成功条件】
 『海を歩く幽霊』全個体の撃滅。
 失敗条件はPCが撤退条件を満たしたときとする。
 撤退条件はプレイングでの多数決とする。
 決まらない場合や宣言がない場合は『PC総合戦力の7割消失時』とする。
 (全員一致しているなら誰か一人だけが書くことで成立する)

【エネミーデータ】
●『海を歩く幽霊』
・海面をすべるように移動する。
・上陸は可能であり同じ理由で船の甲板にも登るものと思われる。
・個体数は20。
・武器は銃や剣など一人につき一種類。攻撃射程は各自限定されており『遠』か『至』のどちらか。人数配分はほぼ半々。
・回避、反応、機動力に優れる
・攻撃には全て【恍惚】【痺れ】がついてる。

【シチュエーションデータ】
・チームには普通の船が一隻貸し出される。
・甲板が広い帆船。船上での戦闘を目的としており頑丈だが船室や砲その他はない。
・船の広さはテニスコートに収まる程度。攻撃時の射程に注意。
・時刻は夜間。船には複数の照明があり戦闘には不便しないものとする。
・当日は波が大きく船が激しく揺れることが予想される。

【船上ペナルティ】
 船の上で戦う場合、足場の激しい揺れや風によって『ファンブル+30』のペナルティを負います。
 このペナルティは以下の条件(★)を一項目満たすごとに3割ずつ低減します。
★『操船技術』をもったPCが船を操作もしくは維持している。
★アイテム『小型船』と入れ替えている。
★船の操作を有利にするギフト能力を持ったPCが乗船しており、それが有効に働いた。もしくは別の方法によって有効な対策が取られた。

※『水中行動』スキルを活性化しているなら船を使わずに戦闘が可能ですが、特に理由がなければ水面に身体をある程度出すようにしてください。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • ダークオーシャン完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月18日 01時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
アルファード=ベル=エトワール(p3p002160)
α・Belle=Etoile
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
河上・サフィニア(p3p006171)

リプレイ

●よるはまっくら
 波の音だけがした。
 波の音だけがしている。
 波の音の中に紛れて、闇が声を上げているように思えた。
「べべべ別に? 幽霊とか? こわくねーですし! 海の男がそんなもの恐れるわけがねーです」
 かすれた口笛をふいてリズミカルに船の舵をくるくるやってみる『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)。
「……ま、幽霊も殴って殺せるんですから、怖さは普通って感じですかね」
 殴れるのなら恐くない、というわけでは勿論ない。
 ヒグマも女王陛下も殴れるけど恐い。
 要するは相手がこちらをどれだけ殺せるかという問題に他ならないのだ。
 霊魂技術の普及したこの混沌の世において、幽霊の脅威度は野生動物と同列に語られる。
「しかし、この辺りは波がたけーですね」
 上手に船を操作しても揺れを無視できない。そのくらいには波が荒れていた。
「この航行の難易度が悲劇の幽霊を生んだのか、それとも幽霊がこの高波を生んでいるのか……」
 自殺スポットみたいな話だ。
 『水底の冷笑』十夜 縁(p3p000099)はそんな話を聞き流しつつ船の手すりにてをかけていた。
(海で溺れて死ぬってのはさぞ怖ぇんだろうなぁ。助けを呼ぼうとすれば酸素が奪われて、もがけばもがくほど体力と熱が奪われて……海種の俺には一生わからねぇ話だ。……だから、海で溺れて死ねるやつらが羨ましい――なんて不謹慎な冗談、口が裂けても言えねぇがね)

(人を引きずり込む現象、ですか。まぁ、そんなことも、ありますね。五光星のひと欠片。海に温かく優しいものだけが集まるわけでないことなど、とうの昔に知っている。けれど……)
 『α・Belle=Etoile』アルファード=ベル=エトワール(p3p002160)が何かに思いを巡らせている
 一方、河上・サフィニア(p3p006171)はどこか心慣れた波の揺れに身を任せていた。
 過去の経歴上、夜の波に恐れはしない。
 けれどどうだろう。海に暮らす者は同時に海を畏れもする。
 ゆえに、海に関する伝説は枚挙にいとまが無い。
「いやあ、こっちにもこういう怪異とか居るんだね? 僕の故郷にも居たよ、こんなの。確か七人ミサキだったっけ? あっちは数が増えないし陸地が主な活動だけど……。ただまあ、これ以上増やされても困るし、何より魂を捕らわれてる人達が可哀想だからね!」
「どこにもあるのですねー」
 目を閉じていた『特異運命座標』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)がふと暗い水面に目をやった。
「似たような怪談を、大婆様から聞いた事がございますわー。本当に存在するとは、思っておりませんでしたがー」

 怪談ならばよい。
 都市伝説ならば良い。
 幽霊でもよしとしよう。
 だが警戒すべきは、真に恐れるべきはそこではない。
「殺しただけ増える……単純にして凶悪極まる特性。早めに対処出来てよかった。死人の群れで海岸が埋まる前に……」
 ここで消す、と羽根の一本を抜いてぎゅっと握りしめる『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)。
 『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)が深く腕を組んで胸を反らした。
「発生し、接近し、影響を及ぼし、また発生する。尤も、此れは『現象』である、が……性質の悪さは自然のソレの比ではない。不快である!」
「そうよね、ただの幽霊騒ぎなら『倒すだけ』でいいけれど、これを『現象』ととらえるなら……」
 『ペリドット・グリーンの決意』藤野 蛍(p3p003861)が口元に手を当てて考えにふけっていた。
「この被害が無差別かつ無制限に拡大してしまう可能性だってあるのよね」
 海が真っ赤に染まる現象がある。
 それは先祖の祟りでも悪魔の呪いでもなく、プランクトンの異常発生であり生態系の歯車が微妙に狂った結果おこった偶発的現象だという。
 どこかの誰かが仕組んだこと、でもなく。不幸な偶然によって発生したのなら、それが歯止め無く広がることが、充分にありうる。
「ボク達の力で、この悲劇を食い止めなきゃね……!」
 蛍は、ブックバンドを解いて変異した国語の教科書を取り出した。

●観測、発現、作用、現象
「見えてきやがりましたよ」
 手のひらを額に翳すマリナ。ミニュイが穂柱に設置した投光器を向けると、黒い海上をゆらゆらと移動する幽霊の群れが発見できた。
「船の改造はどんな具合です。あの、ふぁ、ふぁん? しゅたびらいざーは?」
「ファンスタビライザーね。船に尾びれ的なものをつけるのはできたけど、ちょっと専門外だったから素人工事だよ。あんまり期待しないでね。今頃波にやられてへし折れてるかも」
「ないならないでしかたねーです。しない努力より悪あがき。座して待つより百倍いい――つかまってやがれです!」
 幽霊たちがこちらを発見。
 凄まじいスピードで接近をしかけてくる一方で、マリナはうまく波をとらえて回り込みをかけた。
 相手の突撃を回避し横から斜めにぶつかるルートだ。
 先制をとり、かつ銃を構えた幽霊たちの懐に飛び込んだ形になった。
「いいルートだね」
 ミニュイはディスペアー・ブルーの歌を翼に乗せて飛ばすと、幽霊たちに浴びせかけた。
 防御の姿勢をとりながら急速後退をかける射撃型幽霊。
 その一方で剣を抜いた近接型幽霊が船へと飛ぶように乗り込んできた。
 十夜がブロッキングバッシュで応戦を開始。マリナをかばえる位置をキープしているが、すぐそばに居てはかえって危険にさらすことになる。やや離れ、幽霊を迎え撃つ形になった。
 対する幽霊は十夜の後ろに回り込んでマークを開始。分断を図るつもりだろうか。
 完全に分断されると各個撃破の対象になる。特に敵の頭数がこちらより多い時はそういった形に陥りやすい。(逆に敵がこちらより少ない3人組とかだとよくこういう戦術で倒す)
 偶発的に生まれたかのような幽霊集団にそこまでの戦術レベルがあるかどうかは疑問だが。
 そうはさせまいと十夜の戦闘に加わろうとするサフィニア。
 拳を握って飛びかかるが、冗談のような高速機動で間に割り込んできた幽霊がサフィニアの拳を剣で受け、そのまま肩でタックルをしかけてきた。押し込むように船の縁まで詰め寄ってくる。
「こいつ……船上で戦い慣れてる!」
 手すりを超えて強引に落とされないように、サフィニアは膝蹴りをいれて押し込みを回避した。
 ひどく人間くさい割り込みと攻撃をする幽霊だが、船上ではよくみる戦術だ。抜けがあるとすれば、十夜やサフィニアが海に落ちても平気だと気づいていないことだが。
「あんまり、おいたをしてはダメですよ?」
 アルファードが船中央に下がって治癒符による回復に専念した。
 誰か泳げないメンバーが海に引きずり込まれた時は自分も飛び込めるように構えておく。
 柱にむりやり固定したメカ子ロリババアの口からロープを伸ばして腰に巻くダークネス。
 といってもちゃんとしたロープを持ってきているのはサフィニアだけである。
 ダークネスの間に合わせロープがうっかり千切れないように祈るしかない。
「貴様らが何を考え仲間を増やしているか、それは如何でも良い。我の成す事は唯一つ、此処から先は通さぬ。是が非でも通るつもりであれば、貴様らに二度目の死が降り掛かる事を覚悟せよ!」
 ダークネスは改造自在剣ダーク・ミーティア・カラミティを握り込むと、魔力をため込みながら突撃。
 サフィニアに協力する形で幽霊に急接近し、そのまま射撃型幽霊をラインにおさめる角度をとった。
「世界征服砲!」
 剣へと極限まで集中したオーラを極太ビームにして発射する。
 陣形を厳密に組んでいない現状、かつ行動範囲が船上に限られ、そのうえ反応や機動力に優れる幽霊に先手をとられやすい状態で直線状の攻撃をいい具合にねじ込むには2ヒットコンボが限界のようだ。
「近接型に回り込まれてるよ! このままじゃ的になる。カウンターヒール、いける!?」
 船中央に下がりアルファードと共に味方を指さす蛍。
 高い反応でマークをかけることでダークネスを含めた前衛チームの動きが船の縁に制限・固定されている。
 自由に動けているのは飛行して見張り台から攻撃しているミニュイくらいなものだ。
 こんなことなら船首に4人くらいみっちり集めて近接火力の集中をはかるべきだったろうか?
 そういえば陣形について特に話し合って居なかった気がする。反応に対抗するには陣形を整えるのが一番……といった所まで考えて、蛍は思考を一旦止めた。
 操舵手のマリナに近接型の幽霊がとりつき、射撃型幽霊の銃口がそこへと集中していったからである。
 長い射程の攻撃は火力を集中させやすい。移動の手間を攻撃集中に回せるため近接タイプで分断してから各個撃破するのにきわめて有利なのだ。
 蛍が述べたカウンターヒールとは、こういった火力の集中に対して『治癒力の集中』で軽減を図ることをさす。
 広いフィールドでは長射程回復をもつか陣形を厳密に組むかしかないが、船上(テニスコート程度の広さと仮定して、横幅10m奥行き20mちょい)においては、メガ・ヒールを選択している蛍は中央付近にさえいればどの味方にも治癒力を集中できる。
 一方で回復方法が治癒符に限定されるアルファードは必ず味方に接近せねばならず攻撃の対象にシフトされやすいが、そこは頑張ってなんとかしたい。
 合計治癒力が1200プラス150くらいあれば、一撃でたたき落とされない限りは余裕をもって対抗できる。
「……と言っても、相手が射撃火力を集中するなら毎度(ターン)カウンターヒールが必要だし、もって140秒(14ターン)ってところなんだけどね。その間にこの状況を覆して」
「できる限り、やってみますわー」
 先手を取りやすい敵を妨害する無数の方法のなかのひとつ。
 メリルナートは船中央で名乗り口上をしかけてマークをかけてくる近接型を引きつけ始めた。
 若干強引ではあったが、命中精度を50くらいまで引き上げて打ち込めばまあまあそれなりの効果は出るものである。
 『切れたらかけなおし』といったものでなくしっかりと『2ターンに1度』と決めたところに良さがあった。勿論毎ターンかけ続けるのがよいのだが、間を割るように攻撃を挟み込んでいった。
 幽霊たちが総じて機動力と反応に優れているため(こちらの攻撃射程範囲内にいる)近接型が船に乗り込むまでほぼ一手。かつ大体先手をとられるため、衝撃の青で吹き飛ばす攻撃は諦め近接攻撃に集中した。幽霊たちの回避性能のこともあるので、うまく飛んでくれる(=クリーンヒット以上がたたき出せる)確率も低いというのも、一応ある。
 そんなわけで、回避はともかく特殊抵抗能力がそんなにでもない近接型幽霊たちを3割ほど引きつけるかたちでメリルナートは敵の火力集中を妨害した。

●誘う海
 船のアンカーを下ろし、停泊状態での戦闘を行なう。
 射撃型の幽霊に接近することをある意味やめたのと同じだが、射撃による攻撃方法がないわけではない。
 操舵の手間をカットして個人戦力に回すメリットもある。
 マリナは魔力放出による戦闘に切り替えた。
 といっても船の広さがそれほどないので至近~近接レンジに無理矢理短縮しての使用になった。いっそ海に飛び込んで外から撃っちゃうという手もないわけじゃあないが、味方(特に命綱となっている蛍)から離れるデメリットが大きい。
「思ったよりやりずれーです……!」
 今回、状況に対する陣形、作戦、スキル選択のかみ合わせがちょこちょことズレてしまっていた。
「けどこんな所で負けてられないよね! 皆もうひと踏ん張り頑張ろう!」
 サフィニアは皆を元気づけながら幽霊を殴りつけた。
 直後、三方向から幽霊の剣が突き刺され、大量の銃撃が集中する。
 本来なら何回か死んでいそうな攻撃だが、半透明な幽霊の半透明な剣だからだろうか、それほど強い痛みは感じない。直撃はすれど死ぬほどではなかった。……とはいえ半分以上持って行かれているが。
「これで最後だよ! あとは……なんとかしよう!」
 蛍が膨大なパワーでヒールをかけてくる。
 駆け寄ってきたアルファードが治癒符で追加の回復をかけてくれた。
 これでもうちょっとは戦える。
「うまい具合に一箇所に集められればいいんだけど」
 汗をぬぐうサフィニア。
 箒で払うかのごとく豪鬼喝でささっと船の端っことかに集める様子を想像してみたが、回避に優れる幽霊たちにうまいことクリーンヒットを出すのは難しかった。(攻撃順を調整して敵の回避ダウンを狙ったり味方の補助を得たりとやりようは一応ある)
「逃げますか?」
「まだその時じゃ無い!」
 振り向くマリナに、蛍はキッと眉尻をあげて応えた。
 数学の教科書を開き、ページを派手にめくる。
 ハッとして振り向いた近接型幽霊にタックルをかけ、至近距離の魔法を叩き込んでやる。
 激しいダメージ量によって消し飛ぶ幽霊。
 サフィニアも強く頷き、真後ろに迫る幽霊を蹴りつけて破壊した。

「固まってると危ねぇぞ、お前さん方。……おかげで当てやすくて助かるがね」
 射撃型の幽霊と自分をマークする幽霊。マークをなんとかすりぬけ、十夜は魔砲を放った。
 固まっているから、というより『固まっていないから』複数を攻撃できる特徴をもつのが魔砲である。散開した射撃型幽霊と各個の分断をはかる近接型幽霊を同時に攻撃するのに適していた。
「我が名はダークネスクイーン、我が闇によって貴様らの闇を撃ち砕かん!」
 こここそチャンス、と目を光らせたダークネスが先刻ダメージを受けた幽霊に重ねるように砲撃を用意。
「世界征服砲! パート3!」
 幽霊を派手に消し飛ばす極太ビーム。

 幽霊も減ってきた。が、味方も減ってきた。
 船の上から聖なる羽根を次々と射出していたミニュイが呼びかけた。
「マリナ、サフィニア。船を出して」
「でも撤退のタイミングじゃねーですよ?」
「そうじゃない。射撃組に寄せる必要がある」
「なるほど」
 アンカーを緊急切断。はしりはじめた船が射撃型の幽霊へ急接近。
 慌てて後退しようとした所へ、ミニュイが次々と聖なる羽根を打ち込んでいく。
 激しいダメージに耐えきれず消滅していく幽霊たち。
「ここまでくれば船がなくても――」
「やってやるです」
 手すりを飛び越えて海へ飛び込むマリナとサフィニア。
 海に一度深く潜り勢いよく水面から飛び出す。
 銃を水平にして防御しようとした幽霊を銃ごとへし折るサフィニアのイルカパンチ。と同時に水面を猛烈なスピードで泳ぐマリナのミサイルめいた魔力放出がまた別の幽霊を破壊、消滅させた。
「ここまでくれば、撃ち放題ですわー」
 メリルナートが船の船首飛び出し美しい歌をうたいはじめた。
 生まれた歌が破壊の衝撃となり、幽霊を打ち砕いていく。
 あれだけ船を取り囲み襲いかかってきた幽霊も、今や一人たりとも残っていなかった。
 波の音。
 揺れる船。
 そして鎮魂を歌うメリルナートだけが聞こえていた。

 それから。
 島に水面をゆく幽霊の列が目撃されることはなくなった。
 いつだか海へ投げ込まれたであろう花束が、波にさそわれて砂浜へとうちあげられている。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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