シナリオ詳細
太陽にも負けぬキラめきを!
オープニング
※↑『我こそがキラキラ!』と思いし者の雄姿↑
●キラキラ
ラサ、熱砂の国。水気が少なく砂が殆どの面積を占めるその土地は、他国よりも太陽の煌めきが強い。
「キラキラ大会、ですか」
だからこそ、そんな大会も催される。
太陽みたいに輝いてるのは俺だぜ★と白い歯をキラリと輝かせた小麦色の肌の男性が描かれたポスターを眺めて、胡乱げにルーキス・ファウン(p3p008870)が目を細める。キラキラしたものを見ると、最近遭遇した変な人物が頭をよぎるのだろう。可哀想に。
「あ!」
報告書の中でしかその人物を知らない劉・雨泽(p3n000218)が憐れみの気持ちを密かに抱いていると、ルーキスが急に大きな声を上げた。
「キラキラの騎士!」
そう、キラキラの騎士に彼は先日出会ったのである。
え、キラキラの騎士? 雨泽はルーキスの視線を追いかけた。
「おや、君は」
キラキラの騎士こと『滅石花の騎士』ジェレミア。彼は存在するだけで滅びのアークを撒き散らし、人混みに行こうものなら人がバッタバッタと死んでしまう。つまりこの場にいてはいけない相手だ。
「何故ここに! この町に死を齎しに来たのか!」
「いえ、キラキラ大会に出場しようかと」
「やはりそうか、流石は全剣王の――……んん?」
何とも言えぬ顔になっている雨泽と何かが喉に詰まったような表情になたルーキスの眼前で、ジェレミアは意味ありげに手を閃かせてから額に指先を当ててポーズを取ってフッと笑った。
「煌めきと言えばこの私」
ルーキスが宇宙を見た猫みたいな顔をしているから、雨泽が「そっかー」と応じた。
どうやらこの騎士、本当にその大会に出るつもりのようだ。
それに、優勝しそうだ。
しかしイレギュラーズとしては彼の大会を阻止せねばならないし、ここでひと悶着起こせば一般人が死んでしまう。暴れさせず、人死が出る前に何とか撤退させねばならない。
ルーキスはどうにかせねばと、混乱しながらも思案した。
そして、宣言をした――
「貴様はキラキラスーパースターにはなれない!」
ビシィと指さして高らかに告げたルーキスへ、ジェレミアが「ほう……?」と興味深そうな視線を向ける。雨泽は『何か面白そうなことになってきたぞ』と見守っている。
「何故なら! キラキラスーパースターは俺達、イレギュラーズだからだ!」
「私の出番はない、ということですか?」
「そうだ! だからこの町からすぐに立ち去れ!」
次に剣を交えるのは戦場で、この平和な町ではない。
フッと笑ったジェレミアが無意味に髪をファサァする。
「なるほど、つまりは次に会う時はスーパースターの証を見せて頂ける、と」
「そうだ! 俺達こそがスーパースター! 貴様に見せつけ……え?」
「ルーキス、ここに書いてあるよ」
何それと振り返ってきたルーキスへポスターを雨泽が指さした。
『大会優勝者にはスーパースターの証を進呈します!』
確かにそんなことが書いてある! これはイレギュラーズの誰かが優勝しなくてはならない! 大変だ!
ルーキスの背中を汗が滝のように流れた。口にしてしまった手前、撤回することは難しい。それに……バッと慌ててジェレミアの方へと顔を向けたが、もうそこに彼の姿はなかった。相変わらず立ち去るのが早い男だ。
「うーん。要は優勝すればいいんでしょ?」
「何か手立てが?」
「参加者をイレギュラーズで埋めちゃえば、優勝はイレギュラーズじゃない?」
勿論人数が多ければ書類審査みたいな予選があるだろうけれど、イレギュラーズたちは濃……輝きに満ちている者たちが多い。予選通過は余裕だろう。
ね? といつも通りにっこり笑う雨泽へ、ルーキスは成る程と素直に思ったのだった。
とりあえず人を募ろうと、ふたりはローレットのラサ支部へと向かった。
雨泽は連絡を取って呼んでくると一度席を外し、それから数名を連れて戻ってきた。
「そんな訳で僕からの推薦! 僕が思うキラキラしてそうな人をつれてきたよ」
「キラキラ三銃士ですか」
まあ、似たようなものである。
「じゃーん、殿」
「麿じゃ」
「いきなり濃……いえ、強敵ですね」
何か丁髷が花になってるし、よく光ってるし。
雨泽が思うに一条 夢心地(p3p008344)はキラキラお殿様だ。
「お次は、オデット」
「ジェレミアってあの騎士よね。彼も放置しておいたらお母様の憂う原因になるわ」
「オデットさんの羽根って綺麗ですよね」
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は光の妖精だ。キラキラである。
「最後、ニル」
「ニルはキラキラですか?」
「ニルはコアもキラキラだし、心がキラキラな感じがする」
「なるほど……」
キラキラ大会の『キラキラ』は様々なキラキラなのだ。
深いな……みたいな表情をしたルーキスへニル(p3p009185)を紹介し終えた雨泽は他は……とローレット内を見渡した。
「他に誰か、我こそは! って人はいないかな?」
- 太陽にも負けぬキラめきを!完了
- キラキラ大会への参加者を募集しております。自薦他薦は問いません!
- GM名壱花
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2024年03月20日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談4日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
「オーケーオーケー! 毎年恒例キラキラ大会! 今年も元気にキラキラどもが集まってくれたぜ!」
書類選考を勝ち抜いた『9名』の参加者たちの前で、司会の男がテンション高く声を張っている。観客たちもみな太陽の煌めきを浴びたキラキラな笑顔で口笛を吹いたりと、またテンションが高い。
「……おかしいな」
何故僕がと呟く雨泽がチラと横を見る。右側では『キラキラの』ルーキス・ファウン(p3p008870)が爽やかにニコッと笑って親指を立てているし、左側では『おいしいを一緒に』ニル(p3p009185)がキラキラの無垢な瞳で見上げてきている。ニルが善意100%で用紙を出したようだ。
「いっぱいいっぱいがんばりましょうね! 雨泽様!」
「うん、まあ……」
「雨泽さん、お願いしたいことがあるんですけど……」
ヒソヒソとルーキスが話すのはパフォーマンスの話だ。「ええ……」と雨泽がどうにも乗り気じゃないような声を零しているが笑顔で押し切られている。うっ、雨泽は既にキラキラ度で負けている!
「何だって私がステージの上に立っているのかしらね」
「なんででしょうね」
『高貴な責務』ルチア・アフラニア・水月(p3p006865)の言葉に『優しき水竜を想う』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)はそう返すが……勿論、理由は知っている。オデット自身がルチアを呼び出し、観客席でオデットを眺めるつもりでいたルチアの出場用紙も提出したからだ。
(全てはお母様のため)
オデットが敬愛する竜は優しいから、滅びの蔓延は憂いの元。それに色んな体験をすると静かに話を聞いてくれる水竜への話のネタにもなってくれる。良いことである。
(話すのは……それほど得意じゃないけど……)
トークと銘打たれているが、制限時間内でのパフォーマンスでいいと聞いている。それなら……と、『玉響』レイン・レイン(p3p010586)は日傘の柄をキュッと握った。僕のキラキラを、皆に見てもらおう。
「こういう『みんなが未来に向かう力』や『いつもの日常』を取り上げてくれるイベントっていいよね」
特にラサは終焉が近くて、砂漠にはでっか君が居座っている。人々は不安に飲まれて恐慌状態に陥ったっておかしくないのに、皆で頑張ろうと支え合っている証だと、『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)は明るく笑った。その気持ちも笑顔も、勿論キラキラだ。
今日のこのイベントは咲良にもいい機会だ。めいっぱいはっちゃけるぞと拳を手の平にパシリと打ち付けると観客たちに「楽しみにしててね!」と手を振り、咲良を始めとした出場者(イレギュラーズ)たちはパフォーマンスがしやすいようにとステージの後方に並んだ。
キラキラというものには様々なすがたがある。
笑顔であったり心であったり、純粋な輝きであったり……そんなものだ。
「まずは一人目! 夜空に煌めく星々のような……ん? シャイニングお殿様? まあいいや、シャイニングお殿様夢心地!」
首を傾げながらも司会が紹介し、ずずいと『殿』一条 夢心地(p3p008344)が前へ出る。その姿、まさにシャイニングお殿様!
「今、会場にいる者たちの中にも『キラキラするのは一部の選ばれた人間だけ』
そう思っておる者も多いのではないかの」
夢心地は静かに観客たちへと語りかけ、それは否だとこうべを振る。
キラキラパワーとは誰の中にも眠っている力。だが、その開放方法を知らないだけ。
「麿を真似い!」
クワッと気迫ある表情をした夢心地が腰を落として両腕を広げた。客席の一部の者たちも真似してみる。
「キラキラパワーーーーーーーーーーーーーーーッ★☆★☆★」
言葉とともに腕を突き出すと、只者ではない煌めきを夢心地が発した。「おお……」と口にした司会がすかさずサングラスをかけている。
「もういっちょじゃ! 腹の底から叫べ」
「「キラキラパワーーーーーーーーーーーーーーーッ★☆★☆★」」
夢心地にけしかけられ、観客も叫ぶ。何この空間。
輝け無い人々も何だか心に輝きが満ちたようだと、その顔に自信めいたもの――確かなキラキラが宿る。
「なーーーっはっはっは!」
完璧じゃと夢心地は笑った。
「こんにちは……僕は、レイン……」
よろしくねと挨拶をするけれど、レインは話は得意ではない。けれど自身が特別に目を引く『もの』を所持している自覚があった。
「わあ、綺麗な髪」
「どういうお手入れをしているのかしら」
ギフトを使わなくても、レインの髪は綺麗だ。
(もっとキラキラするよ、見ていて)
聞こえてきた女性らしき観客の声に少しだけ口角を上げながら、レインは自身の姿を日傘で隠した。パフォーマンスが始まるのだと観客たちが息を潜める。
練達ではないから音楽の用意は出来なかったけれど、頭の中でリズムを取りながら、日傘をくるり。歌と動きに合わせてギフトのナナイロミラーボールで髪を光らせる。最初は優しく海の中のクラゲのイメージ。
繊細に歌いながらもダイナミックなステップやジャンプをする時は、珊瑚と界面のイメージ。ふわりと揺れながらも美しい色に観客たちの視線は釘付けだ。
「わあ……!」
最後は日傘をパッと広げ、同時に髪の色を元へと戻す。海の中の魚の群れが散ったように観客たちに見えていれば幸いだ。
「楽しい気持ちに……なれたかな……」
綺麗なお辞儀をすれば拍手と口笛、たくさんの笑顔。レインも嬉しくなる。
「あと、僕の陸での宝物……」
息を整えながらレインが見せるのは、ピカピカのどんぐり、ラムネのビー玉、銀の懐中電灯、栞にした葉っぱ――
「あ、サボテンだ! 何処にでもあるのに宝物なの?」
小さな子供の声が聞こえてきて、レインは小さく笑った。
「僕は海の出身だから……僕にとっては……全部、キラキラして見えるんだ……」
ラサの人々が海の中の珊瑚や貝を珍しく思うように、レインにとっては陸にあるもの全てがキラキラなのだ。
(すごく綺麗……私も、頑張らないと)
レインのパフォーマンスに瞳を輝かせた『華奢なる原石』フローラ・フローライト(p3p009875)は、ぐっと胸の前で両手を握った。
――私みたいなのが、こんなところに来ても場違いなんじゃないか。
以前のフローラなら、きっとそう思った。今だって、少し思ってる。
「私は憧れて羨むばかりでした。ずっと影の中、自分自身の輝きからは目を逸らしてきました」
外に出るのは怖かったし、変化というものも怖かった。けれどこれまで、沢山の輝きを見てきた。人々の優しや温かさ、命の輝きと心の輝きを。
「でも……でも、今はやっぱり違います!」
フローラの声に応じるように、体が輝く。
「どうか見てください、私の輝きを! そしてできたら皆さんも感じてください! 自分自身の、いろんな形の輝きを!」
幼い頃に見た、不屈の輝きのあの人みたいになりたかった。
今は、なれているでしょうか? なれていたら、いいと思う。
だから今、フローラは精一杯の、ありのままの自分の気持ちを曝け出す。頑張って、頑張って、いつかあの人に届くように!
「ふふ。磨かれたからこその輝きもまた、良いものですわね。華奢なる原石」
終焉から程近いラサの地を、終焉の監視者『クォ・ヴァディス』として終焉の勢力の警戒に当たるのは当然のこと。出場者か? なんて囁かれながらもキラキラ大会を観客席から堪能した『輝きの君』は、良い煌めきを見せてもらったと満足気に頷いていた。
(……あ)
観客席で、何かが煌めいた。
フローラはもしかしたら……なんて目を凝らしたけれど、いいぞーっと腕を振り上げた観客たちの姿に遮られてしまう。
(まさか……まさかね)
けれどこの『まさか』が『そう』であったらいいと、フローラは応援してくれる観客たちに笑顔を振りまいた。
「ルーキス・ファウン、歌います!」
I LOVE♡イレギュラーズTシャツを着たルーキスが、ドゥルドゥルドゥル~とアカペラで奏でだす。
「今からお聞かせするのは作詞作曲ルーキス。曲名は『I LOVE♡イレギュラーズ』」
微妙な顔をした雨泽も隣に居る。先刻の『お願い』の時間であった。
♪~
老若男女みんなの味方イレギュラーズ
凄いぞ強いぞイレギュラーズ(LOVE!)
幻想! (Hey!) 鉄帝! (Hey!) 天義! (Hey!) 練達! (Hey!)
海洋! (Hey!) 傭兵! (Hey!) 深緑! (Hey!) 豊穣! (Hey!)
覇竜も境界もひとっ飛びさ
凄いぞ強いぞイレギュラーズ(LOVE!)
Hey! と合いの手を入れているのは雨泽だ。キラキラな笑顔でお願いされたのだから仕方がない。
「キャー! イレギュラーズなのね! 素敵!」
「……何かイレギュラーズ多くない?」
「イレギュラーズの人たちってキラキラしてるからじゃない?」
観客たちはイレギュラーズの可能性を感じている!
最後に『星空ボンバー』を鳴らし、爆音と星の煌めきの中ルーキスはパフォーマンスを終えた。
「わぁー!」
観客たちとともに惜しみない拍手を送ったニルは変な所はないですかと雨泽に確認してから前へと出た。
コアが見えるような首元が開いた服。沢山の人の視線がコアに注がれてると思うと、少しソワソワしてしまう。けど大丈夫。『おねえちゃん』と『絆の揺石』が一緒だ。ニルはキラキラの笑顔で会場をわかした。
「次は――っと」
司会の男が案内をしようとしたところで、ぽーんっと何かが投げ込まれた。なんだなんだなんて響く声は楽しげで、キラキラ光るゲーミング林檎への警戒なんてひとつもない。
「オデットちゃんだー!」
いえーい、ひゅー! 司会も客席も、オデットの演出に盛り上がる。キラキラの翼に妖精だ、可愛い、なんて声も聞こえてきて、褒められたオデットの口角も上がる。
「出ておいで、オディール!」
「わう!」
小さな相棒は凍狼の子犬。一緒に踊るようなステップを踏んでアピールをしてから、ふぅっと粉雪を舞い上がらせて《陽光の恵み》を試射すればキラキラとステージ上が美しい。
「ママ見て! あの子すごく可愛い!」
「ほんとね!」
客席からはそんな声が聞こえてきた。オディールが褒められれば、オデットの笑顔の輝きも増す。
「ねっ、私が一番キラキラ、でしょ?」
キラキラと粉雪と光が舞う中くるりと回ったオデットはリボンに付いている水晶もアピール。ちょっとの恥ずかしさは今は忘れてポーズを決めれば、ワッと観客たちから口笛と拍手とが飛んできた。
「私は愛について語りましょうか」
親友もそれを期待しているようだしね。
ルチアからチラと向けられた視線を受けて、オデットが微笑んだ。
けれど、と考える。夫たる妖怪への愛は三分で足りるだろうか。叙情詩人の詩を歌ったほうが良いのでは?
(でも選ぶのなら……)
「私には愛している人がいるの」
その人はとても可愛らしい人なのだとルチアは語り始めた。
神に対する篤い信仰を擲って、夫たる妖怪への愛に殉じるに至ったその経緯。
今日は一人で出かけると言ったら拗ねてしまったこと。
いかないで欲しいと背中から抱きつかれてなかなか離れてくれなかったこと。
「……、……」
何だか話していて恥ずかしいような愛おしいような、そんな気持ちに鳴ってきた。
「そうね、きっと夫が私のキラキラなのね」
なんて愛おしそうに呟くものだから、その表情に客席からはほうとため息が聞こえてきた。
「最後はアタシだね!」
キラキラの笑顔を弾けさせた咲良は「アタシも恋する乙女なんだけど、ちょっと今失恋中でさ」と言葉を紡いだ。それでも大事な人を思い続けている。それは咲良のやりたいことで、大切な気持ちだから、やりたいようにやるのだ。
「今たくさん不安があるみんなも、どん底でもがきまくってるみんなも、その一生懸命生きてる姿がキラキラしてて綺麗なものだからね!」
ほら、アタシはこんなにも元気!
元気に煌めいて、ありったけのキラキラを!
デッドリースカイを空中で応用してバク宙を決めれば、ワッと歓声が上がった。
観客たちの笑顔が眩しくて、咲良は目を細める。少しでも皆が楽しんでくれていればいいと思った。少しでも皆に、明日の希望を与えられればいいと思った。
大きく手を振って下がろうとして――「あ!」と咲良は思い出す。
この後は試食タイムだ。ちょっと綺麗にしておこうか、なんて皆を誘った。勿論、大会終了後のお片付けだって手伝うつもりだ。
甘いものが苦手でなければ、おいしいと笑顔になれる。
辛いものが苦手でなければ、おいしいと笑顔になれる。
どちらもにこにこと頬張るニルの頬は、健康的にもごもごと動いていた。ごくんと飲み込んだら、もう一口。おいしいです、のキラキラ笑顔も忘れない。
「雨泽様。とってもとっても『おいしい』ですね!」
「うう、辛い……」
ニルは笑顔を輝かせながらそう言うけれど、雨泽はどうやら辛すぎるものが苦手らしい。一口口にしてみたけれど、スプーンで突くだけで食べたくないようだ。
「辛いものはちょっと……いや、辛っ!?」
声に見遣れば、甘いものは美味しそうに食べていたオデットも一口で唇を押さえている。何故だかオディールにお願い事をしている彼女を、ニルは不思議そうに見た。
(辛いものは『おいしくない』?)
甘さも辛さもわからないニルは星型の人参をおいしそうに口へと運んだ。
どんな料理も、誰かが一生懸命に作ってくれる。それはきっとキラキラだ。
ニルはみんなキラキラだと思う。けれど『優勝』と言うものはひとりしかなれないそうなのだ。ちょっと残念だ。
大会運営のテントに居る人たちがニルの食べっぷりに嬉しそうにニコニコしている。ニルが美味しそに食べることでみんなが嬉しそうにしてくれるのが嬉しくて、少し残念だと思った気持ちはいつの間に赤い料理といっしょに飲み込まれた。
「ごちそうさまでした!」
綺麗に食べたお皿の前で手を合わせて微笑むニルへ、歓声が飛ぶ。参加者の幾人かは水を手に渋い顔をしているから、ニルの笑顔は余計にキラキラに映ったことだろう。
――――
――
「オーケー、出場者の皆、ナイスキラキラだったぜー! センキュー! 会場の皆も盛り上がってくれてセンキューなー!」
司会が出場者と観客たちへと大きく手を振って、ワッと歓声が上がった。
キラキラ大会の優勝者を決めるのは観客たちだ。
30分程の出場者たちの休憩時間の間に投票が行われる。
「それじゃお待ちかね、今回の優勝者は――!」
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
オーケー、皆! ナイスキラキラだったぜ!
イレギュラーズたちはジェレミアへの宣言通りキラキラになったので、全員に称号スキルが出ています。
GMコメント
ごきげんよう、壱花です。
終焉も近そうですし、ちょっと輝いておこうかなと思いまして……。
●シナリオについて
キラキラ大会に参加します。キラめいてやりましょう。
参加は自薦他薦、どちらでも構いません。本人は恥ずかしいけど『雨泽に声を掛けられて世界平和のために参加』でもOKですし、あなたの友人が申し込むこともあるでしょう。
●大会
会場はとある町の広場にあるステージ。
ステージ上でパフォーマンスをしてキラキラになります。
アピールタイムがふたつあります。どこにどれだけ力をいれるかはあなたの自由です。
『トーク』
最初にひとり3分間のアピールタイムがあります。
こんなところがキラキラ! と言葉にして伝えたり、パフォーマンスをしましょう。
道具の持ち込みは『成人男性ふたり分』くらいの大きさまでとします。他参加者が並んでいてもそれくらいなら邪魔にはならないでしょう。
『試食会』
ラサ料理が振る舞われます。何故かって協賛に野菜屋や果物屋や肉屋や料理屋の商人が絡んでいるからです。
料理は二種類出てきます。すごく辛いものとすごく甘いものです。
美味しく食べることもまたキラキラ!
●キラキラ
なんかほらこう、魂の煌めきとか! そういうアレ! アレですよ!
自分がキラキラだと思っているものです!
スキルの『発光』は夜間の室内を照らす電球くらいの光量なので、昼間に何故かついてた街路灯よりも明るくありません。ラサの太陽の下では目立たないかと。
●キラキラスーパースター
一等星は君だ!
優勝者のことです。
●劉・雨泽(p3n000218)
観客席から応援を頑張ろうと思っています。
うっかり誰かが申込用紙を書いてしまったら参加することになります。
(皆さんが相談することがあるとしたら、この点だけです。)
●EXプレイング
開放してあります。
文字数が欲しい等ありましたら、可能な範囲でお応えします。
関係者は観客席での応援となります。
●ご注意
公序良俗に反する事、他の人への迷惑&妨害行為、未成年の飲酒は厳禁です。
年齢不明の方は自己申告でお願いします。
それじゃあちょっと、キラめいてこようぜ……?
メイン行動
どちらのアピールタイムに力を入れますか?
【1】トーク
【2】試食会
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