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シナリオ詳細

再現性東京202X:余談・離れず付かずの鬼遊び

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●とある製薬会社の日誌。
『取引先の者と会食。若いが社員からの人望も』
「あぁ、済みません。もっと先のページですね」
 暗闇に低めの声が響いた。
 人工的な光が闇の中をうろついている。
 直線的なその光は、数多の探索方法を持ち得る我々からすれば少し非効率にも思えた。
「そんなにあっちこっち見回るくらいなら、私の照明用の能力、使ったら良いのに」
 不思議そうに女性の声が返って来る。
 懐中電灯の光など『不在証明』の中では単なる嗜好品に過ぎない。ポニーテールの女性の言葉にはそんな意味も含んでいたのだろう。
「こちらの方が手慣れているものでして。それより、ページを。出来れば薬品か……」
 低い声の主から照らされた光が、一冊の書物に当たった。
「『彼女』の事について、記された箇所は有りませんか?」
 その声を受けてもう一つ、男の手が渋々紙を捲る。
 闇夜というのにサングラスを掛けたその顔は「手が塞がってんならホントに何で懐中電灯なんか持ってんだよ」という長ったらしい文句を浮かべていた。
 第一、この書物だって今一つピンと来てはいない。
『業務日誌』
 とだけ手書きで記されたノート。
 聞けば手に入れたのは何処かの薬品会社。その社長の物らしい。
 内容は題名の通りで、銀行員が札束を数えるようにページを捲っただけでは、あからさまに不審な点は見当たらない。
 ただ、それにしては途中から社長自身の日記のようになっているな、と感じる部分も有った。
 ノートは最後のページまで埋まってはいない。
 どのページの頭にも日付が書かれておらず、日誌という記録を取りつつ雑な面が伺える、何とも奇妙な感じがした。
『新薬の開発に成功』
 サングラスの男が読み上げた一文に、三人の足が止まる。
「そこですね、続けて頂いて良いですか?」
 懐中電灯の光がノートを照らした。
 目的の文章から始まったページは、以下のように書かれている。
『新薬の開発に成功。この短期間で上げた成果にしては充分過ぎる。内服液としては効き過ぎるというのが難点と言えば難点か。だが、それだけに再び服用したいという声が試飲した社員から既に挙がっている。おかげで研究も捗る一方だ』
「内服液って何だ?」
「栄養ドリンクの事でしょうね。次のページを」
『早くも新たな商品に着手。金城君の手際には驚かされる。元々医薬の現場に居たのだったか、後で履歴書をもう一度読み返してみよう。一月後に入った大木場君と比べても業績に既に差が付き始めている。むしろ大木場君の方は大丈夫だろうか? 彼もこの栄養剤を飲めば覚醒するかもしれないな』
「大木場……」
「彼って書いてあるぞ。男なら……時期としちゃ、資料の入社した頃と合ってる」
 顎を擦りながら、黒い男は頭の中の線を繋ぎ合わせた。
 つまりだ。
 大木場、という名の男はこの大学の調査を依頼した人物、弥奈月鏡也が持ち去った証明書の元の人物とみてほぼ間違いない。
 金城君、と書かれている人物と交流が有ったのかは判らない。
 ただ、大木場は貰った製薬会社の行方不明者のリストの中に記されている。
『彼女の手腕が見事過ぎるのか、最近退職者が多い。突然連絡が無くなった者も居る。とはいえ人件費も馬鹿にならない。負担が減ったと思えば悪い話でもない』
 本人が未だに見つかっていないなら……既に、と考えて良いだろう。
『今度、金城君が新薬に関する話をしたいそうだ。12月14日の午前零時。こんな時間に』
 続けて書かれていたからか、サングラスの男は一旦声を途切れさせ、次のページに移った文章を読み上げた。
『私と話すような内容とは、何だろうか』


「休暇だと、思うじゃないですか」
 黒い外套の男は、そう文句を言いながら古戸を開けた。
 幻想王国での宝探しが終わって一段落、する間もなく呼ばれたのは、再現性東京のとある大学であった。
 主な理由はこの大学で起こっている吸血鬼騒動。
 そして、先の内容が書かれた書類の調査。この二点だ。
 吸血鬼の方は手掛かりが見えず、まずは手元の書類の方から捜索が開始された。
「誰かさんがもっと速く来てりゃ、休暇の時間も有ったんじゃねぇの」
「ハハ、耳が痛いですね。これでも急いだ方です」
 名は体を表すというのが適切だろうか。
 黒の外套は口元まで隠れている。その先を更に手で持ち上げて、その男、黒宮は先頭を進んだ。
 少し、埃っぽかったのもあるかもしれない。
「大学自体は新しいのに、何かここだけ一世代前みたいよね」
「開かずの間、だそうですよ。元は倉庫だったみたいですが、使われなくなってそのまま放置されてるらしいです」
 それだけ聞くと、有り触れた怪談話のようだ。
 鍵も年代を感じる。建て付けの悪くなった扉は、少し力を入れなければ思う様に開かない。
「さっきの続き、見せて」
 美船真智が、前に垂れたポニーテールの先端を背中に戻しながら催促する。
 特に断る理由も無く、サングラスを目元に掛け直して荒瀬功慈は日誌を手渡した。
「……怖い」
「今更かよ」
 茶々を入れる功慈に真智の視線が突き刺さる。
「いやそう書かれてるんだって」
 真智は改めて、発光させた自身の手元に視線を落とした。
『怖い。恐ろしい。一体何を考えているのだ、彼女は。突然神だの何だのと、とてもじゃないが正気を疑う。
 新薬は、飲食物に混ぜるタイプのものだった。何処かの喫茶店から着想を得たのだと。そんな事が、この地で許される筈がないだろう。
 そんな物で人々の意識を魅了したとして、それをどうするというのだ。
 ……いや、違う。
 本当に恐ろしいのは、そんな非日常をこの再現性東京で堂々と宣うあの女だ』
「つまり……製薬会社自体はシロだったという事ですか」
 通りで、会社を調べても今まで何も出て来なかった訳だ。
 この事件は誰か一人が起こしたものであり、それに巻き込まれた製薬会社は言うなれば、運が悪かったのだ。
「待って」
 真智が最後のページを開く。
 徐々に明らかになっていく金城美弥子の一件。
 枝分かれした顛末の一つが、そこには記されていた。
『怖い。あの女と話す事が怖い。あの女の目は私を人として見ていない。真っ黒い空洞みたいな眼と口が私に語り掛けてくるだけだ。
 怖い。声を聞くのが怖い。試薬品を飲もう。あれは落ち着く。違う。その話を着けにアイツと話さなければ。怖い。この薬が世に出なくて良かった。金城君は何処だろう。またこの薬を貰おう。製造は彼女しか知らない。大学で話をしようと言っていた。行かなければ。行かなければ。違う』
 震えた文字と荒々しい皺の入ったページ。
 最後の一文は、随分と弱い筆跡で書かれていた。

『もう、やめてくれ』

「成程、それで……」
 黒宮が眼前の扉を開ける。
 その先には、何かの方陣の上に横たわった、木乃伊のような遺体が置かれていた。
「結果、こうなった……と」
「……本人か?」
 警戒しながら、功慈は訊ねる。
 肌は干乾びている。なのに来ているスーツはまだ真新しい。
 その内側のポケットを漁って、黒宮は答えた。
「そのようです。製薬会社の名刺が入ってました……ちょっと待って下さい」
 木乃伊の下に何かが見える。固く、重い何か。
「像……だな」
 前に屈んだせいか、埃っぽい空気を吸い込んで、そう言った功慈は咳込んだ。
 黒宮は、それに覚えが有る。
 天義での儀式。仲間のイレギュラーズが贄にされたあの戦い。
 その時最後に発見された像と、酷似している……気がする。
 それに、陣も良く見ればあの時と同じ様に、円形の先にまだ何処かへ伸びている。
 穴の中へ伸びているが、潜って行ける幅ではない。一体何処へ……?
 あの時の仲間に声を掛けるべきだろうか。
 ……いや、決定的な繋がりは無い。今、無暗に彼らの余力を削ぐべきではない。
「ねぇ、ごめん。ちょっと……」
 真智の声。言葉終わりに、彼女の溜息が漏れ出た。
「外の空気吸って来る。何かここ、淀んでるっていうか……さっきから、身体も重いし」
 その重さに、真智は何となく既視感を覚えている。
 その場に居るだけで身体に負荷が掛かるような、奇妙な感覚。
 あの時より酷いか? これは何だか、身体にへばり付くような。そう、ハッキリとしない嫌な感じ。
 一旦この場を離れたい。そう直感して、真智は部屋に背を向ける。
「……とにかく、その像は持って帰ろう? 私、一度ローレットと連絡取るから」
 返事が返って来ない。
「……荒瀬?」
 振り返る。同時に、彼の全体が屈んだままな事に違和感を覚えた。
 そんな、馬鹿な。
「黒宮さん……?」
 何時の間に。
 身体から力が無くなったように、息を荒くした二人が膝を突いている。
 二人が襲われたのは明白だ。何故なら、発光を伴った眼に映っている。
 二人が流した血の跡が。
「何で……! じゃなくて、今手当てを」
「バカやろ……そのまま逃げろ……」
 言葉を中断されるも、真智は睨み上げる功慈に言い返す。
「強がってる場合!?」
「違げぇ! 早くそこから離れろ!」
 ありったけ、振り絞った力で功慈が叫んだ。
「もうお前の傍に居るんだよッ!!」
 真智が振り返ろうと身体を捻る。
 その瞬間、揺れたポニーテールの隣で、人間大の何かが淡く光った。


 大学地階で盛大な音が鳴る。
 辛うじて動けた三人が、訳も解らないままそこを突破した音だ。
「ありゃ何だってんだ!」
 兎に角その場から離れて、警戒しながら功慈は再び膝を突いた。
「恐らく、既に中に居たんでしょうね。私達が来る以前から」
「全然、そんな気配しなかったけど……!」
「攻撃を受けるまで気付かなかった……! あの野郎ども……!」
 功慈が傷口を押さえて立ち上がる。
「半透明だった!」
 真智も一瞬だが、その形を見た。
 何とも言い難いが、海老のような甲羅に蚤の身体と触手をくっ付けたような、不気味な甲殻類。
「普段は半透明……攻撃の瞬間だけ、身体が発光する……ですか」
 止血の為の治療を施す。だが、傷の治り具合が悪い。
 血が止まらない。恐らく、攻撃の触手に原因が有る。
「じっと見てたら何かいるような感じはするけど……」
「相手もそんな立ち止まってはくれないでしょうねぇ」
「あの像は持って来た?」
「いえ、置いたままです。余裕有りませんでしたし……あの場所も不気味です。派手に出て来たにも関わらず、傷一つ付いてない」
 理由は解らないが、恐らくあの地階に『保護結界』のようなものが掛けられている。
「数は判るか?」
 功慈の問いに、真智は暫し押し黙った。
「……六、かな。抜け出す時に見えたのは」
「大学外に出さねぇように戦うんなら、俺達だけじゃ厳しいな……」
「一応、追加人員は頼んでるけど」
「なら、俺達はそれまで引き付ければ良い、か」
 しかし、相手は半透明だ。引き付けれらているかを確認する術に困る。
 真智が何かに気付いたのは、その時だ。
「……追って来てる!」
 先の部屋の入り口が、変に歪みを見せている。
 ゆっくりと。風景に違和感を与えて。着実に。
 見えたのは、動きがやけに遅かったからだ。
 何かを感知しているのか。奴らの足元に有るのは。
「もしかして……私達の、血?」
 成程、と黒宮は納得したように頷いた。
「吸血鬼騒動も見えましたね。それに、引き付ける方法も」
「まさか……」
「はい、傷を全快させずに逃げ回ります。美船さん、大学の職員と連絡を取ってこの場を緊急封鎖して下さい。同時に、その方にローレットへ連絡を」
「鬼ごっこって訳ね」
「犯人、良い性格してますよ。このノート、恐らくわざと置かれたままにしてあったんです」
「何でだ」
「これを元に、調べた誰かをあの場所に誘い込む為です。目的はあの陣を使って召喚したと思われる夜妖の餌と、あの夜妖を『私達が』外に解き放つように仕向ける為……嫌がらせにしか思えません」
 だが、そう悲観ばかりする事もない。
 相手側の重要そうな隠し場所を発見したのだ。これは大きい。
「……ま、追加で八人来てくれるまでの辛抱だな」
「え? あぁ、うん、そう……ね」
 やけに歯切れが悪い真智の声。
「お前……」
 訝しんだ功慈が真智の顔を覗き込む。
 視線を逸らしながら、彼女は答えた。
「……頼んだの、六人」
「六ゥ!?」
「戦闘を想定しても、私とアンタと黒宮さん入れて九人も居れば充分かなって思ったの! 悪かったわね!」
 この広い大学で散らばるには、少し不安が残る数字。
「それは、また……」
 三人が固まって動く事は出来ない。もし誰かが集中的に攻撃を受ければ、出血したままのこちらが分が悪い。
「……大変な事になりそうですね」

GMコメント

●ご注意
『弥奈月鏡也』『金城美也子』という二人が関わった一連のシナリオと関係性は御座いますが、単発の夜妖退治のシナリオと考えて貰っても大丈夫です。
一章では調査の結果、開示された情報が記載されております。
長いですね、どんどん長くなってる気がします。

今回の戦闘に関する部分は、オープニング二章以降をご参考下さい。
こちらは派生した依頼となりますので、こちらも本編筋とはやや離れた位置に有ります。
その点、ご了承頂ければと思います。

●目標
・大学地階に残された『像』の回収
・夜妖、計六体の全滅

●敵情報
・浮遊する甲殻類×6
蚤の背中に海老の甲羅を付けたような奇怪な夜妖。
人間大のダンゴムシ、というのが一番近いかもしれない。
常に半透明で存在するが、物体を透過する訳ではなく、実体も常に在る。
つまり『滅茶苦茶見え辛い』。

血に反応し、細長い触手を伸ばしてその血を追って来る。
『周囲で血を流している人物』を優先的に狙い、居なければ傷を負っていない人物も攻撃の対象となる。
負傷している者が複数居るなら攻撃はランダム、またはより深く負傷している者が優先される。
攻撃は口元から伸ばす触手によって行われる。
この触手が身体に刺さると【出血】状態となる事が予想される。
そこから対象者の血を吸い出すのだ。

また、一定量の血を吸い出すと、溜まったその血を吹き付ける遠距離射撃のような攻撃を行うかもしれない。

この夜妖は半透明ではあるが、攻撃の瞬間、血を吸い出す時に身体が淡く発光する。

●状況
再現性東京、大学構内、夜。
イレギュラーズ達が徒歩で向かうなら正門と裏門の二カ所が有るが、どちらから入っても大差は無いと思われる。

学校の設備は全て一つの校舎に纏められている。
何の部屋が何処に有るのかを逐一書いていくと膨大な量になってしまう為、ここでは一般的な高等学校を思い浮かべて貰いたい。中学校でも良い。
教室、グラウンド、体育館など、学校に在りそうな設備は揃っている。
学校の形はコの字であり、体育館だけは校舎の外に設置されている。

貴方達が現場に到着した時、最初に見るのはグラウンドで逃げ回る美船真智が一人。
他の二人は校舎の何処かで逃げているとは思うが、姿は見えない。
三人は【出血】状態のままなので探す手段は幾つかあるだろう。

封鎖は掛かっているが、一般生徒や教員がまだ残っているかは確認出来ていない。
探しながら逃げ回るには三人の体力は心許ない。

●大学地階について
・三人が調査していた地階だが、西棟に存在する。
校舎は新しいが、一部分だけ建て替えられていない木造部分が在るのですぐに判るだろう。
中は荒らされていない。というより荒れなかった。
何か『保護結界』のようなものがいるかもしれない。

だが、中の部屋に存在するのは『干乾びた社長の木乃伊』『木乃伊の下に描かれた魔術の陣』『その陣の中央に置かれた謎の像』くらいだ。
一体誰がそんなものを掛けているというのか。
そしてこれも謎ではあるが、この地階に居る限り【足止】のBSのような負荷を感じてしまう。
これはこの地階に居る限り続き、居続ければ症状はより悪いものへと進んで行くかもしれない。
依頼目標を達成すれば解決するだろうが、戦闘場所には選びたくない。


●NPC
・荒瀬功慈(アラセ コウジ)
ローレット所属。23歳。【出血】状態。
銀のショートヘア。青い瞳を隠すように普段はサングラスを付けている。
武器は両手持ちの槍。
言動は荒っぽいが、年下の面倒見は良い方。下戸。
『格闘』『深呼吸』『生存執着』のスキルを持っている。

・美船真智(ミフネ マチ)
ローレット所属。22歳。【出血】状態。
茶色のポニーテール。武器は大金槌。
華奢な体躯だが、攻撃寄りの性能。
『組技』『発光』『アクロバット』のスキルを持っている。

・黒宮(クロミヤ)
ローレット所属。27歳。【出血】状態。
全身黒ずくめ、口元まで覆う外套を着用している。
何処と無く気怠げで得物も所持しておらず、掴み所が無いタイプ。
戦闘は苦手と言っている彼の攻撃は徒手空拳の近接。
『拳闘』『蹴撃』『イカサマ』のスキルを持っている。

※上記に加え、三人はそれぞれ自分で体力を回復するアクティブスキルを別に持っています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

----用語説明----

●夜妖<ヨル>
 都市伝説やモンスターの総称。
 科学文明の中に生きる再現性東京の住民達にとって存在してはいけないファンタジー生物。
 関わりたくないものです。
 完全な人型で無い旅人や種族は再現性東京『希望ヶ浜地区』では恐れられる程度に、この地区では『非日常』は許容されません。(ただし、非日常を認めないため変わったファッションだなと思われる程度に済みます)

  • 再現性東京202X:余談・離れず付かずの鬼遊び完了
  • GM名夜影 鈴
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年03月26日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

志屍 志(p3p000416)
密偵頭兼誓願伝達業
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために
安藤 優(p3p011313)
君よ強くあれ

リプレイ


 再現性東京、某大学内。
 校舎隣のグラウンドでポニーテールの長髪が引っ切り無しに揺れる。
 常に動いている分、余計流れる血に焦燥感が増しているように思えた。
 そんな矢先だ、唐突に狼狽えるに近い女性の声が飛んで来たのは。
「先行の三人からの情報は!?」
 前のめり気味に現場へ足を踏み入れた『比翼連理・護』藤野 蛍(p3p003861)は、そのまま左右を見渡し探る。
「っていうかその人達は無事なの!?」
「守衛の人は避難済みのようですけど……」
 蛍が先に見つけたのは、門近くの守衛室から防犯用のカラーボールを手に扉を開けた『探索者』安藤 優(p3p011313)だ。
 イレギュラーズの援軍だ、とその言葉から美船真智は即座に判断出来た。
 何かを知らせなければ、と焦る真智の母音に、更に蛍の声が被る。
「絶体絶命な大ピンチだったりするの!? とにかく急がなきゃいけない感じなの!?」
 後から追い付いた『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は手元のaPhone10を操作しながら彼女へ答えた。
「教員の方以上の詳細はまだ……まずは三人と」
 ローレットからの連絡用以外の登録名に目を通す。大丈夫だ、分担班の連絡先は入っている。
「はい、合流致しましょう」
 『比翼連理・攻』桜咲 珠緒(p3p004426)がイズマの言葉を引き継ぎ、こちらも校内へ視線を配った。
 学校の、高等学校に近い作りのその校内に散らばる姿は三つ。
 それは救助対象となるイレギュラーズの数でもあるし、これからこちらが分かれる班の数でもある。
 その内、屋外でグラウンドを舞台に踊るように駆け回っているポニーテールを見つけ、珠緒は橙と赤の宿る両目を細めた。
 彼女は、真智は一つ息を吐いた。
 焦っている人が居る。なら、自分は落ち着いて。
 これが意図した焦りなら凄いな、などと思い至りながら真智は息を吸い込む。
「下手に近寄っちゃダメ!」
 動き掛けた六人に対し、ようやっと、背中越しに発された真智の忠告。
 しかしながらそれは彼女の救助を躊躇う理由にはならない。
「お久しぶりですね、美船さん!」
 優が真智の姿を捉えるなり、祝福の癒しを彼女へ飛ばす。
 出血を伴った傷口が塞がるのを感じ、それでも動けるか、動けないか惑っている真智へ『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)は感覚機能を働かせ。
 そこに、何かの揺らぎを視た。
 温度感知は正常、だからこそ視えた異常。
 狙撃の要領で、カラーボールを手にした飛呂がそこへと狙いを定め、投げつける。
「……やっぱりか」
 視線の先に、それは浮かび上がった。
 海老のような外殻に複数の触手。夜妖と一言で片付けるにも奇怪で奇妙な、昆虫と海洋背物の狭間のような不気味な存在がカラーボールに染まって闇夜にありありと照らし出されている。
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)は眼鏡のレンズ越しに、浮遊するその物体を赤眼に映した。
「あれは……」
 吸血鬼の類とは何度か戦ったことが有る。
 恐らく、だが。あれは伝承の吸血鬼とは程遠い。優も何処か心当たりが有る様子か。
 色付けられ、相手がハッキリ視認出来た事により、真智の瞳にも光が宿る。
「……ふぅッ!」
 回り込み、滑りながら飛呂の元へ真智が後退する。
「助かった……貴方達、見えてるの!?」
「ハッキリと見えてる訳じゃないが……」
 イズマは細剣を抜くと、その場で軽く払った。
 音波が宙に飛散する。反射する波は、そこに確かに二つの異物が存在する事を知覚させた。
「視覚以外にもやりようはある」
「二体、こっちに来てます!」
 優は飛呂と同じく温度の視覚捜索で、検知と警告を飛ばす。
 色付いた夜妖より薄い赤色温度のそこへ先のカラーボールを投げ飛ばすと、即座に夜景に濃ゆい魔性の姿が浮かび上がった。
 飛呂もその場に留まる意思を見せるように銃を抜き。
 再び金槌を構え、間合いを取る真智の鼻孔に香りが舞い込んで振り向けば、幻想的にも思える珠緒の姿を真後ろに捉える。
 冷静に、淡白とも言える表情で、真智へ回復を施しながら聞くべき事を単直に口にする。
「美船さん、状況は」
「……相手は見ての通り半透明。こっちは三人共無事、多分。血に釣られる特性が有るみたいで、今……」
 夜妖を睨め付けた真智が、そのまま校舎へと視線を移す。
「荒瀬と黒宮さんが、あの中に」
「成程……」
 瑠璃は校舎の外観左右に素早く視線を走らせた。
 瑠璃、珠緒、イズマ、飛呂、優は互いの連絡先が端末に入っている事を確認すると、イズマは使役する小鳥を自身と珠緒へ。
 飛呂の召喚した蛇も珠緒と蛍の元へと預けられ、三つに分かれた班の内、飛呂と優、そして真智は校舎へ急ぐ他班を背中に不透明な夜妖へと再び向き合った。
 じっと睨み据えて飛呂は呟く。
「吸血鬼騒動か……」
 恐らく、月の王宮のアレとは別物だろう。
 魔種。反転。烙印。
 嫌なものは嫌だ。あれは、そう頭に刻まれるには充分過ぎる戦いだった。
 蛇と蔦の彫刻は今一度月夜に照らされ、真智が金槌を構える横に優が写本の頁を開く。
「また共闘といきましょう!」
「ええ! 安藤さん、一気に叩き込むわよ!」
 深夜の学校、過激な鬼遊びが静かに始まる。
 捕まるのは、どっちだ。


 消灯した廊下に落とされた影は二つ。
 瑠璃は校内廊下を進みながら、表情に一つの歪みも見せず、まるで日常の動作であるかのように忍者刀で指先を切った。
 下げた指先から血が滴る。誘導の為の道標。
 そうして瑠璃が気付いたのは、救助対象も同じ状態ではないかという事。
 だのに、イズマの身体からもたらされる光には、自分の血跡しか足元に存在していない。
 痕跡を消した? にしては綺麗過ぎる。校舎を出るつもりが無い、が正しいか。
「瑠璃さん、あの角……」
 共に同行するイズマは静かに瑠璃へと告げる。
「はい、何か……居ますね」
 応えた瑠璃は鞘走りの音をそのまま廊下へ反響させる。
 人型、だ。屈んでいる。壁に背中を預け、顔を伏せて。
 もしこの場に敵性反応を伺える者が同行していたなら確実に感知出来たであろう。
 僅かな、殺気。
 初動が少しだけ遅れたのは、イズマと瑠璃はそこから救助の心内も同時に感じたからだ。
 本当に救助対象ならこの異様な殺気は何なのだ。
 二人、呼吸を合わせて素早く一歩を踏み出し、獲物を角の先へと向ける。同時に角からも、その人型は飛び出しイズマの眼前に自身の得物を突き付けた。
 固く握り締めた右拳を。
「……失礼」
 覚えの有る二人の姿に、その人物は向けられた刃先を見ながらも力を緩めて一歩退く。
「万が一を考えて警戒していました。イズマさん、志屍さん、大変申し訳無い」
 そのまま、そう言った黒い外套の男は身を反転させた。足元にはそれまで待機していた分の血溜まりが出来ている。
「後ろから来てるな」
 イズマが発した反響音が廊下の先から迫る夜妖を補足した。
「はい、敵の特徴は……」
 黒宮が言い掛けた瞬間、瑠璃は通路脇に置かれた消火器を掴み上げ、目の前へ向かって噴射。たちまち廊下には白と蛍光色に染まった二体の奇怪な姿が浮かび上がったところへイズマが単音の衝撃波でその注意をこちらへ引き付ける。
「……既に聞いてましたか」
 言い終わる頃には、とっくに彼女は駆け出していた。
 振るった忍者刀から放たれる混沌の泥が、二体の夜妖へと押し迫る。
 イズマが手持ちのカラーボールを投げ当てれば夜妖の姿はより鮮明に。向かい来る夜妖を迎撃するように、イズマの細剣から形成された極光が夜妖の身体を包み込む。
 夜妖の触手がイズマへ迫る。黒宮が後退した事で、もう一体は瑠璃の指先に反応してそちらへ。
 とはいえ狭い廊下だ。一番前面に居るイズマがその二体の触手を引き受けると、そこへ瑠璃の精神弾が撃ち込まれる。
 追撃を仕掛けようとした黒宮は即座に理解した。これは、下手に近付くと射線の邪魔になりそうだ。
 イズマの狙撃音がもう一体の化物の注意も引き付けると、畳み掛けるように瑠璃の弾丸がそこを狙い穿つ。
「良く無事だったな、黒宮さん」
 廊下の直線に光魔術の秘奥を走らせたイズマが様子を伺う後ろに声を掛けた。
「いえ、先程……」
 一体、光の中に消えていく夜妖を確認して、黒宮は前に出ながら答える。
「どなたか保護結界を発動させて下さったでしょう? その方のお陰です」
 彼が言うには、結界で余計な破壊が発生せず、結果的に夜妖に余計な移動を許さず直線上に誘い込めた事で回避し易かった、と。
 構えた瑠璃を見て、黒宮は強引に瑠璃の前へ夜妖を蹴り飛ばした。
 射線に出て来た夜妖を見逃さず、瑠璃の精神弾がその身体を撃ち砕く。
「もうお一人はどちらに?」
 刀身に付いた体液を振り落とすように刀を手の甲で回し、瑠璃は問うた。
「真逆……校舎西に向かった筈です」
 黒宮の言葉に、イズマは感覚を働かせその方角を向いた。
「西、か……」
 そちらにも二人、向かっている。
 声は聞こえない。功慈は上手く逃げ切れているだろうか。


 イズマ、瑠璃が侵入したと同時刻。
 珠緒は空気の層を踏みながら、学校上空から蛍と共に屋上へ降り立った。
 蛍の立つ校舎中心より、垂れ流し気味な蛍の結界が学校を包み込んでいる。
 眼下には別口から入る二人の姿。
 屋上は既に閉じられているようで、イズマから預かった小鳥が咥えた鍵束を受け取ると珠緒は手際良く該当する鍵を当てて回した。
 魔力によって飛ばした音の反響は、降りた先の階に人が居る事を示した。
 見渡せば漏れ出ている、蛍が出すより強い部屋の光。ただの消し忘れなら良いのだが。
 警戒気味に部屋へ耳を寄せ、珠緒は傍らの蛍と視線を合わせる。
 扉を開けると、即座に催眠の魔眼を中の相手へ向けた。
『こんな夜中まで何をしているんですか。早く帰らないと閉めてしまいますよ』
「……ヤベ、おい、帰るぞ」
 一般生徒が二人。
 珠緒と目が合う途端に、いそいそと二人は部屋を後にする。
 一応反響音を飛ばしてみるが、出て行った先に異形の物体は確認出来ない。
 それよりも気になるのは、反響音が同時に拾った背後の忙しない人型。
 蛍では無い。蛍の更に向こう、二階へ降りる自分達と入れ違いに三階へ消えていった塊。
「こういう時って……」
 行先を視線で追っていた珠緒に対して、蛍は冷静に言葉を発する。
「追いかけたら入れ違いになるのよね」
 瞬間。
 珠緒と蛍が見た窓の外。真上の階から、影が降って来た。
 額にはサングラス。降った影は二階の窓淵を両手で掴み、口で一本槍を咥えた男。
 が、保護結界を無為にするように窓を故意に蹴り破った。
「……お」
 そのまま廊下に入り込むと、二人を背にして窓へ向く。
「お久しぶりです、荒瀬さん。救助に参りました」
 珠緒の声に、功慈は口から両手へと槍を持ち変える。
「あぁ、悪りぃな。また面倒掛けた」
 顔は血だらけ。校舎を壊したのは兎も角、それだけ死ぬつもりも無いようだ。
 刃先を向けている様子を見るに、悠長に話し込んでいる暇も無いらしい。
「……上だ、来るぜ!」
 そこに、異形の夜妖は降下してきた。
 狙う対象はやはり功慈……いや。
 特異な血の武器を抜いた、珠緒に定まっている。
 それに気付いた蛍が間に割り込み、自身に桜の幻影を纏う、と同時にその幻影を具象化し、相手の周囲に散り舞わせた。
 舞った花弁の中に珠緒の姿が映り込む。
 放たれたのは終の剣閃。
 一瞬の刃は夜妖の身体へ走り、無造作に撫で斬りに線を走らせる。
 一転攻勢へ出た功慈の槍も夜妖の身体に突き刺さり、窓際に追い詰められた二体の夜妖は、珠緒へと向かう習性を蛍によって抑え込まされた。
 自身の肉体強度を高めた蛍が鼓舞の為にも夜妖の特徴を思考する。
「珠緒さん、この夜妖……姿を見せないだけあって」
 続くだろう言葉に、珠緒は得心する。
 攻撃を寄せ付けないように姿を見せないのは、その分強度に難が有るからか。
「見えない事が強みならば、他は突出しないものですよね」
 再び、珠緒は血刀に手を添え構えた。
 やや前傾姿勢で瞳を閉じる。その先には功慈が槍を振り回す音。
 蛍が内なる炎を拡散させ、最適な位置へと夜妖を誘導する足音。
 まだだ。
 踏み込んだ軽めの足音は蛍のもの。
 ――雪。
 一閃が窓に反射する。
 ――月。
 二閃目の筋が弧月を描き。
 ――花。
 蛍が放った三閃の終わり、珠緒の瞳が鋭く開いた。
 抜刀。高速で発動された二つの術式が夜妖の身体を両断する。
 保護結界が無ければ後ろの窓ごと斬り捨てられていたろうか。いや、珠緒に限ってそのような誤りは無いに等しいか。
 納刀、その懐で着信音が鳴る。
『そっちはどうだ』
 真後ろで夜妖が蠢く音がする。
 珠緒は一度端末を宙に放り、刀を構える。
 代わりにそれを受け取ったのは、六連閃目を終えた蛍。
「問題無いわ。そっちは?」
 問うたところで、傍らのイズマの小鳥が羽ばたき出した。
 瑠璃の指示だろうか。懸命に飛んで作った鳥文字は『2』と『OK』を描いている。
 同時に、端末の向こうから銃声が聞こえた。
『順調だな。二体とも優さんに釣られてる』
 それなら、と蛍が電話を切ろうとした時、納刀の音が響いた。
 瞬時の剣戟。流石だ、と珠緒に赴く蛍へ功慈は呟く。
「うおーい、こっちも労ってくれて良いからな……?」
「も、もちろん忘れてないわよ!?」
 校舎の外で、再び銃声が鳴った。


 最適化された突撃戦術は夜妖に効率的な銃弾の嵐を浴びせた。
 撃ち終わり、すぐに飛呂は銃を構え直す。続け様の狙撃の弾丸が蛍光色と化した夜妖に突き刺さる。
 蛇越しに、飛呂は珠緒の投影画像を確認した。
 怪我、よりも血の量で対象を変えるようだ。
「それは魔を討つ魔の力!」
 優の手元から顕現したのは神々の魔剣。
「以下省略! 行っけぇぇぇ!」
 振り下ろされた闇を断つ剣。その真上から追撃するように真智が金槌を振り下ろす。
 三組に分かれたと同時に放った勇気の名乗り上げにより、夜妖達の注意は優へと向けられている。
 それを囲うのは至極容易な事であった。
 優、飛呂によって色付けられたお陰で目標を見失う事も無い。
 若干、優に集中した攻撃が気になるところではあるが。
「続けていきますよ!」
 優の魔剣が止まる事を知らない。
 そして真智が近付けば、夜妖もその瞬間は真智へと目を向ける。
 それを止めるのは飛呂の銃弾だ。
 鉛の掃射は後退する真智を援護するように夜妖の動きを制限する。
 かと思えばその銃弾は即座に死神の一射へと変貌し、確実に夜妖を撃ち抜き。
 優の魔剣は振り下ろされる度に夜妖を叩き伏せる。
 と、夜妖の動きがある方向へと変わった。
 校舎の方角。見れば、その先に血糊を垂らすイズマの姿。瑠璃と珠緒、蛍の姿も見える。
 仲間へと向かう夜妖に、飛呂が銃口を向ける。
 吸血鬼、だか何だか知らないが。
「ここの『日常』めちゃくちゃにするのなら……止めるさ」
 無防備な背中に、飛呂は死の弾丸を撃ち込んだ。
 真智が追う、よりも早く、優が詠唱を終えている。
「これで……終わりですね!」
 魔剣が夜妖の背後より迫り来る。
 片方は巨大な影となり、片方は静かに訪れる死となり。
 獲物を欲した二体の夜妖を、その場に崩れ落とさせた。
 これで夜妖は全部の筈だ。
 救助対象、三人共に体力の回復を終えたところで、向かうは目的の地階。
 何とも重苦しい空気だ。まるで、身体にも現れるかのように。
「……この方」
 と瑠璃は呟く。
「騙されていた、というより利用されていたに過ぎないようです。『彼女』への恐怖心と信仰心にも似た……いえ、矛盾してるとも言えますが」
 この木乃伊は何を想って死んだのか。
「恐怖心、ですね。その日誌の内容に虚偽は無いようです」
「一つ、質問が」
 と、声を出したのは黒宮。
「その下の陣は……」
「ええ、そうですね」
 と瑠璃は頷いた。イズマにも心当たりが有るだろうか。
「天義で見たものと同様かと。何処かに力を流す為の、ある種この陣自体も触媒と言ったところでしょうか」
 それは一体何処へ?
 イズマは小鳥に指示して線が続く穴の奥を探る。
 が、奥の暗闇は果てしないようで、小鳥はすぐにイズマの元へと戻って来た。
「この像は、回収という事でしたね」
 珠緒が陣の中の像を拾い上げる。途端、部屋の空気が軽くなったような気がした。
「この人はどうする?」
 真智が見るのは木乃伊だ。恐らく、製薬会社の社長の。
 飛呂は、木乃伊に対して屈んでから皆を見上げて言った。
「連れて行こう、弔わなきゃ」
「陣はどうします?」
 と問うた優に珠緒が顔を向ける。
「破壊しましょう。先日伺った話では、供物と召喚陣でしょうし」
 解析を行っていたイズマもこれに賛同、放っておいても良い事は無いと判断し、この場で陣は破壊された。
 その横で、功慈は腕を組んでいる。
「調査を進めたいところだが……そろそろ世界自体もヤバい頃合い、か」
 同じく、今回の事件について思案していた蛍は一つの案に思い至った。
 先日の珠緒の考え。この陣が使われる予定だったなら、そして他の場所に在った陣が繋がっていたなら。
 製薬会社以上の被害を齎す環が出来上がる予定だったとしたら。
「……一度、『あの人』の所に持って行ってみましょう。何か……」
 ここで、中断するとしても。
「……考えが、聞けるかも」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

大変お待たせ致しました!
依頼完了です、お疲れ様でした!

最終決戦が始まって……始まってしまいました!
陣の破壊と像の回収、依頼目標の達成により、このお話が何処へいくのか。語られるとすれば、恐らく『彼』の口から話す事になるでしょう。
ともあれ、最終決戦で御座います。
皆様、今一度お力をお貸しください。世界に。

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