PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Je te veux>甘美な誘い

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<Je te veux>甘美な誘い
 幻想王国、『ギルド・ローレット』。
 冠位色欲の進軍を許し、辛酸をなめさせられたもの……それに対抗し、迎撃出来たのはつい少し前の事。
 しかし五体満足、完全勝利という訳にはいかず……結果として『ギルド・ローレット』のギルドオーナーである『レオン』は、行方不明に。
「まったく……レオンは何時も何時も勝手なのです! ユーリかをほっぽって、何処をほっつき歩いているのでしょうね?」
 口調は刺々しいながらも、その端々には……彼を心配する思いが見て取れる。
 今迄彼の背中を追いかけ続けて、ギルド・ローレットを切り盛りしてきたユリーカ……その追いかけていた背中が突如として喪失してしまったのだ。
 とは言え悲観しても居られない状態……今、この混沌世界においては、多くの脅威が立て続けに発生している。
 正しく『世界の終わり』が近づきつつある現状……更に今、パンドラを巡る大事件が発生している訳で。
「レオンの帰りをただただ待っている訳には行かないのです! 今、ボクたちはボクたちがやれる事をするしかないのです! 『でっか君』から零れ落ちた『ちっさ君』が、世界各国に影響を及ぼしていますし、これに至急対応しなければならないのです!!」


 そうユリーカは熱弁を振るいつつ、今度は混沌世界の地図を引っ張り出して張り付け、そして指指す。
「皆さん、ここを覚えてますよね? 『イコル』と『キシェフ』を巡る騒動のあった、『独立都市アドラステイア』」
 子供達を蝕み、ファルマコンのみを信じる事に妄信し、そして……裏切り者には死を与えていた都市。
 当然その様な場所故に、人々の様々な思惑が集う地であり……それ故に、人々の『パンドラ』が多く渦巻いている状況。
 逆に言えば、その様な場所だからこそ……『ちっさ君』に目を付けられてしまったのだろう。
「この様な場所だから、かもしれませんが、多くのパンドラに目を光らせた『ちっさ君』が現れるのは間違いないと思われるのです。ただ街の人達は、正直な所協力的では無い様なので……被害を抑える為に……という事はちょっと難しそうなのですよ……」
 つまり……事前に逃がすとか、そういう様な事を押し進めるのは難しいという話。
 とは言えども、同じ混沌世界に棲まう者……というのは紛う事無き事実な訳で。
「少し難しい状況なのは間違いないのですけれど……でも、だからといって切り捨てる訳にも行かないのです。皆さんの力でどうにか街を助け手上げてほしいのです……宜しくお願いします、なのです!!」
 と、敢えてニコッと笑みを浮かべるユリーカなのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 『独立都市アドラステイア』……色々と仄暗い事件はありましたが、それ故にパンドラもうごめいている様です。

 ●成功条件
  アドラステイアに現れる『ちっさ君』を迎え撃つ事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はCです。
  情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 ●周りの状況
  皆様の記憶にも残っている、『独立都市アドラステイア』の下層になります。
  故に街はスラム街の様相を呈しており、加えて街の人々は依然として懐疑的に物事を捕らえる風潮がある様で……イレギュラーズの皆様二対しては非協力的です。
  とは言えどもこのままでは子供達も『ちっさ君』や、『終焉獣』達に喰われてしまう可能性は高いので、彼等を救う行動を取りながら、同時並行で迎撃対応をする必要があります。

 ●討伐目標
 ・パンドラを狙う『ちっさ君』
   ベヒーモスの姿形をした、一目的にはかわいい風体のマスコット的なキャラクターです。
   この『ちっさ君』はパンドラを喰らおうと、基本的には遠距離から行動を取ります。
   小さいからか、ぴょん、っと空を駆けて皆様の攻撃を回避しようと動き回る、スピードタイプな『ちっさ君』です。
   耐久力はちょっと低めではありますが、回避よりに寄った敵、という感じになります。
   尚、怒りが頂点に達すると周囲に敵味方関係無く『雷撃』を放ちます。
   ただ雷撃を放った後は、少しだけ行動が遅くなるという現象がある様です。
   尚、皆様の攻撃をつぶさに観察して、使えそうな攻撃は自分のものにして攻撃する……という学習能力もある様なので、要注意です。
 
 ・人々を喰らおうとする『終焉獣』
   ちっさ君に比べて『逃げ遅れた人を殺す』事に重点を置いた行動を行います。
   姿形は『熊』の態様で、動きは遅いものの強い力で殴る、裂くを行うパワーファイターになります。
   数は8匹と、そこまで多くはないものの、逃げ遅れた子供(孤児)を優先的に狙おうとしているので、出来る限り引き付ける様な行動が必要となります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <Je te veux>甘美な誘い完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年02月29日 22時05分
  • 参加人数7/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
クロエ・ブランシェット(p3p008486)
奉唱のウィスプ
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
月夜の魔法使い
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
囲 飛呂(p3p010030)
君の為に
アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)
茨の棘

リプレイ

●裏切りの表裏
 幻想王国はギルド・ローレットにもたらされた大事件。
 しかしながら、イレギュラーズ達の尽力によりて、ギルド・ローレット陥落は未然に防ぐ事に成功する。
 ただ五体満足で……という訳には行かない。
 オーナーであるレオンの影は消え、更に混沌世界各国にはちっさ君という、パンドラを回収しようと狙う者たちが次々と現れている、という苦しい状況に置かれていた。
「しかしアドラステイアか……懐かしいもんだねぇ」
 アドラステイアの最下層である、外周地区……貧しいスラム街の様相を呈するこの地区は、正しく人々の悪意を煮詰めたような……そんな場所。
 そして心貧しい人々は、イレギュラーズ達がこの街を救ってくれた、と言う事実から都合よく目をそらしており……未だにイレギュラーズ達への不信感を募らせていた。
 勿論その考えは、スラム街に住む子供達を育てる親代わりの人達からも言われている様な状況で……この地の人々は、未だに余所者を警戒し、信頼しようとはしていない訳でもある。
「んー……イレギュラーズに対して懐疑的、となると、避難誘導すらも難しそうだよねぇ……」
 遠くから、街の状況を観察しながら……『茨の棘』アレン・ローゼンバーグ(p3p010096)は肩を竦める。
 遠景故に、その声が聞こえるという事では無いが……人々は集合しつつ、訪れる人とは距離を取り、猜疑心と共に強く警戒している様にも見える。
「アドラステイア、か……しばらくぶりにここに来たが……色々複雑な経緯がある場所だからな。俺たちを信用できないのも、まぁやむをえまい」
「そうだよな。成り立ちから考えりゃ、協力的じゃないのも仕方ないよな」
 『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)に『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)も頷く。
 二人の言うが通り、アドラステイアは長い間、唯一神ファルマコンのみを信じる事を親、子全てに対し強制。
 勿論、それを巡る事件はイレギュラーズ達の手によって解決されたのだが……それが伝わっていない所もまだまだ街中に根強く残っている訳で。
「それにしても、いやだねぇ……子供が大人を信じれねぇとか。おっちゃん的には嘆きたくもなるってもんだぜ」
「うん。アドラステイアも行ってるけど、アタシたちイレギュラーズのことを信じてもらえないのも悲しいよね……」
「そうですね。下層の人々は僕たちに対して懐疑的、との事です。ですが……それでも死なせたくはありません。人を警戒したり、疑ったりするのは僕にだって経験がありますし、すぐに信じられない気持ちも十分に分かりますから」
 『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)、『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)二人の言葉に、『ひとさじの勇気』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)は悲しげに言葉を紡ぐ。
 それにアレンと『金魚草組』クロエ・ブランシェット(p3p008486)が。
「そっか。確かにイレギュラーズに対して懐疑的、となれば避難誘導するのも難しいのか。それは大変だ。でもまぁ皆、いよいよ危なくなったら逃げるでしょ。僕らをどう思うかはともかく、さ。生存本能とかあるだろうし」
「そうですね……お医者さんを志す者として、命を見捨てるような事は出来ません。快く思われていなかったとしても同じ事です」
 真っ直ぐ、街角の光景を見つめながら、紡ぐクロエ。
 それに看過される様にエーレン、飛呂、そして咲良は。
「ああ。当然の事ながら、オレ達を信用出来ないからといって、それで彼等の命を軽視していい理由にはならんからな」
「そうだな。彼等の心はどうであれ、やる事は変わらない。敵を倒す、そこの人たちを助ける、だ」
「うん。どんな形でも、そこに住む人の日常が壊される様な事はあっちゃダメだよ。言葉で信じてもらえないなら、背中で語る! 命を守るためにも、ちょっときつめの言葉が出ちゃうかも知れないけど、その時はみんなにもごめんね、だよ」
 三者三様の口ぶりに違いはあれど、その思いは同一。
 アドラステイアで苦しむ子供達を、一人でも多く……救出する事である。
「まぁ何はともあれ、住人に被害が出ないようにしつつ倒せばいいんだよね? まぁ……守るべき人は守る。僕は姉さんに胸を張って生きられるようになりたいから、ね」
「そうですね……心を解いてくれた人と同じように、僕はその助けになりたいのです」
「ええ。いつもの救護活動とは勝手が違うかもしれないけれど、青薔薇隊出動ですよ……! ね? アレンさん、ジョセさん」
「そうだね、クロエ。青薔薇隊出動だね、ジョシュアも頑張ろう」
「はい。僕の全力で、この街の人々を、救ってみせます」
 こちらも三者三様の言葉。
 ……そしてイレギュラーズ達は山を降り……猜疑渦巻くアドラステイア下層へと潜入するのである。

●高い壁の中
 そして……下層を進むイレギュラーズ。
『……』
 見慣れない者たちの姿……閉鎖的な街の人々からすれば、当然警戒するだろう。
 物陰に隠れ、こちらの様子をちら、ちらっ……と伺いながらも、姿を現わす事は無い。
「……流石に警戒して、出て来ない、か……」
 そしてそんな視線を感じながらも、敢えて振り返る事は無いエーレン。
 少なくとも、彼等からして見慣れない故に、信頼出来る人ではない、という認識なのだろう。
「まぁ……そうだな。そう簡単に信じてもらえるのなら、楽なもんだしな……取りあえず、こっちだ」
 と飛呂は仲間達を促しつつ、何となく感じ取れるパンドラの流れを読みながら道を進む……この街に住む人々の強い『思い』が残る場所へと。
「この辺り……の様ですね」
 立ち止まり、周りを見渡すジョシュア。
 雑多にいろんなものが集まっているスラム街……そんな中で、少し広い場所。
 公園の様な人々が集まる場所。
「それじゃ、パンドラを集めるとしようか」
 と言いつつ、咲良は髪を留めていた星のついたヘアピンを外す。
 そして……それを軽く握りしめると……ぼんやりと暖かくなる髪留め。
 次の瞬間……周囲を漂うパンドラの流れがふわりと変わる。
「……さぁ、ちっさ君。こっちだよ」
 敢えてパンドラの流れを変えることで、自分達を狙う様に仕向ける。
 勿論、その様な行動をするイレギュラーズに、更に不審な視線を向けてくる街の人々。
 ……だがイレギュラーズ達にあhある程度の距離を取って、決して話しかけたりしようとはしない。
「ちっ……仕方ねえな」
 小さく、ぽつり零すゴリョウ。
 可能ならば、先んじて人々を逃がしたかった所ではあるが……話を聞いてもくれない、警戒して近づいてもくれないとなると、それも流石に難しいだろう。
 そして……更に暫しパンドラの力を集めていく咲良。
 十数分が経過した、その瞬間。
『……ブゥゥォォォォ……』
 遠くの方から聞こえてくる、荒い鼻息。
 空を見上げると……異空間の様な『時空の裂け目』が生じ、そしてそこからワープしてくる可愛い姿の『ちっさ君』。
 そしてチッサクンの出現と共に、そこから零れ落ちる光の欠片。
 それが地面に落ちると、光は熊の形に形取られていく。
「現れましたね……みなさん、危険です! ここから離れて下さい」
 と、クロエが避難する様に言いながら、その場に結界を展開。
 雑多なスラム街の姿であろうと、ここに棲まう人々からすればここが終の棲家……だからこそ、出来る限り壊れない様にしてあげたい。
 ただ、それを彼等が理解出来たかどうかと言えば……理解してくれる事は無い。
 そして、次の瞬間……零れ落ちた熊の残滓は、グガアア、と叫び声を上げると共に、周りをぐるりと見渡す。
『……ひっ!』
 その唸り声に、くぐもった恐怖の声を上げる子供達……その恐怖の混じった声を鋭く感知した熊の終焉獣は、地面を蹴り、一気に距離を詰めようとしてくる。
「危ない、急ぐぞ!」
 飛呂は咄嗟に叫ぶと共に、エーレンが先んじて熊の向かう方法へと追いかける。
 そして熊の前へと回り込むと同時に、剣閃の一太刀を喰らわせて足止め。
『グガア!!』
 血走る目は、既に狂気に陥っているのだろうか。
 少なくとも正気ではないのは間違いない。
『あ……あ、ああ……』
 流石に子供達からすれば、突然のことに驚いてしまい、地面にへなへなと座り込んでしまい動けない。
 それも一人、二人だけでなく……数人の子供、大人が一気に。
『こっちに、逃げなさい!!』
 と、周りの大人達が子供達の手を引っ張り逃がそうとするが、恐怖に完全に力を失ってしまっている子供達は……動けないまま。
 そして次の瞬間には、更に別の終焉獣達が次々と迫り来る。
「くそっ……!!」
 舌打ちするゴリョウ……ともあれ、イレギュラーズ達は終焉獣を足止めするために、四方に散る。
 一方咲良はパンドラ収集を止める事無く、ちっさ君のターゲットを自分に惹きつけ続ける。
 どうにか子供との間に割り込んで、敵の攻撃を退けると共に。
「ここから先は通さねえぜ!! いいか、オレを倒さなきゃ絶対にこいつらには触らせねえっ!」
 怒号を木霊させながら、終焉獣を惹きつけるゴリョウ。
 更に、アレン、ジョシュア、クロエも各々の方向の子供、大人に逃げる様に誘導しつつ、しっかりと対峙する事で先へ通さぬ様に宣言。
 中々自分達の思い通りに行かなくて……そんなイレギュラーズ達の動きに、終焉獣は心底震わせるような叫びで威嚇する獣。
 ……でも、どうにかイレギュラーズ達の行動のお陰もあり、少しずつ、少しずつ……その場から逃げていく下層の者たち。
 それでも逃げようとしない人には、飛呂が。
「オレ達を信じてくれなくてもいい。俺を利用してやろうって考えでもいい! だから、どうか自分の身を守ってくれ!!」
 と敢えてそんな言葉を投げかける。
 そして暫くの間、住人達を避難させたところでゴリョウが。
「いいかっ。大人が子供を助けるのには理由なんざいらねぇんだッ! それが道理ってもんだろう!!」
 と威風堂々たる言葉を言い放ちながら、自分への怒りを付与しつつ、その攻撃を出来る限り自分に惹きつけていく。
 そして子供達が避難していく方向とは逆の方向に少し移動し、仲間達の攻撃が届く位置に移動。
「それでは始めるとしよう……鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。命もパンドラも、お前たちには奪わせたりしない!」
「ああ……ここで、確実に仕留めてやる。覚悟しろよ!」
 エーレン、飛呂もそんな宣言を行いつつ、各々の対峙する終焉獣を逃がさぬ様に攻撃していく。
 その一方で咲良は、仲間達の動きを補助する様に掛け声を掛けて、素早く行動を取らせる。
 そして……終焉獣を確実に数を減らして行く一方で、咲良はちっさ君に狙いを定める。
『ブフォォォ!!!』
 鼻息を荒くして、パタパタと翼をはためかせて苛立ちを身体で表現。
 更に左へ、右へと飛び回って終焉獣を振りまきながら、咲良の攻撃を回避する。
「ああもう、ちょこまかと動き回って厄介だね」
「そうですね……であれば、巻き込むような攻撃を仕向けるとしましょう」
 アレンに頷きながら、ジョシュアは終焉獣を軸に為つつも、ちっさ君を巻き込む形で範囲攻撃。
 ちっさ君に対するダメージは、そこまでで多くはないものの、その攻撃で少しずつ、少しずつ削る事で体力を削る。
 更に数刻、終焉獣の数もある程度少なくなり、メインターゲットはちっさ君へ。
『ブフゥゥゥオオオオ』
 鼻息を更に荒くして……その顔を赤くする。
 そして次の瞬間……自分を中心に、地面に雷撃を放つ。
 雷撃は地面を走り、一瞬身体が強ばる。
「っ……!!」
 だが、咄嗟にクロエがその痺れを治し、そのまま直ぐに戦闘を継続。
 とは言え敵の攻撃は止む事は無く、終焉獣を零れ落としながら、雷撃と……イレギュラーズの攻撃方法を学習して、それを放ち続けるちっさ君。
「兎に角、ちっさ君を倒さないと数は中々減らなさそうだ……ちっさ君を集中攻撃で倒そう!」
「分かりました」
「っしやぁ、それじゃあ行くぜぇ!」
 エーレンの言葉にジョシュア、ゴリョウが頷き、ちっさ君への火力を上昇。
 その怒濤の勢いは、ちっさ君を完膚なき迄に打ちのめして行くのであった。

●含む心に
 ……そして。
「……これで、良し……っと」
 息を吐きながら、拳を降ろすゴリョウ。
 終焉獣の影は消え去り、パンドラを求めしちっさ君の影も、まるで幻の如く消え失せている。
『……お、終わったの……?』
 そして建物の影からこちらの様子を確認する様にしているアドラステイアの人々。
「ああ、終わったぜ。どうだ、みんな怪我はねぇかい?」
 ニンマリ笑顔を向けるゴリョウだが……隠れている子供達は、ヒッ、と短い悲鳴を上げて隠れてしまう。
「ぶはははっ。まぁ、まだ慣れねーのは仕方ねえか。大丈夫だ、とってくったりしねーから。この顔だけどよ、料理はプロ並だぜ? ちょっと待ってな」
 対して気にせず、ゴリョウは革袋から調理用具と調味料、そして食材をひょいひょいっと取り出す。
 食材を子供でも耐えやすい様に小さめにカットし、更に米を柔らかめに炊いたらそれを鍋に入れて火に掛けながら出汁を吸わせる。
 ……米が出汁を吸って、ちょっとずつ大きくなっていけば、そこに卵を溶き入れて……簡単な雑炊を作る。
「ほれ。どうだ、食べて見ねぇかい? 金はいらねえからよ!! ぶはははっ!!」
 豪快に笑うゴリョウ……それでも、やはり暫くの間は、警戒しており、中々出てくる事は無い。
 ……でも……美味しそうな匂いが漂ってくれば、グゥゥ……とお腹の音が鳴る。
『……いい、の?』
 精一杯の勇気を絞り出して、告げる言葉。
 それにクロエも。
「ええ……大丈夫ですよ」
 と、安心させるように声を掛ける。
 そして……一人の少女が走ってくると、その他の子供達も……後に続く。
 一人一人にゴリョウが取り分け、受け取った子供達は少し嬉しそうな笑顔を浮かべる。
 ……その一方で、親代わりの大人達は……まだやはり信じられない様で、睨みを利かせるばかり。
 更にその人の中には……逃げたときに怪我をおったと思われる人もいて。
「……私は医術に心得があります。どうか、怪我の治療をさせて貰えませんか?」
 とクロエが声を掛ける。
 ……頷きはしないけれど、その場に座る怪我した大人……それを治療するクロエ。
 そんなイレギュラーズ達の動きは、アドラステイアの彼等の心境を……少しばかり改善の方向に向いたことだろう。
 そして……雑炊と手当を施したイレギュラーズ達。
 最後にゴリョウは子供達の肩をポンっ、と叩き。
「もし行く所がねぇなら、うちの領地で米作ってみねぇか? 料理作りでもいいぞ! 将来を担う子供を教え導きつつも、好きに未来を決められるようにしねぇとな! それが大人の在り方ってもんだろう!!」
 と、周りの大人達に向けて声を掛け、子供達を誘うのであった。

成否

成功

MVP

ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド

状態異常

なし

あとがき

ご参加いただきありがとうございました!
アドラステイアは未だに闇が深い場所の様ですが……皆様の尽力のお陰で少しずつ印象は変わってきているのかもしれませんね……。

PAGETOPPAGEBOTTOM