PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Je te veux>迎撃! 幻想からくり屋敷!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「私を……いや、正確には私のパンドラ収集器を守って貰いたい」
 依頼人の幻想貴族ヴォルシュネ卿はそのように述べると、集まったイレギュラーズたちの顔ぶれを見やった。
 ここまで見るとよくある幻想貴族からの依頼風景だが、その背景がややおかしい。
 具体的には大量のモニターとレバーで部屋が埋め尽くされているのだ。
 だというのに、そのままヴォルシュネ卿は話を続ける。
「君たちのような英雄と比べるのは恥ずかしいが、私も実はイレギュラーズとして召喚されたことがあってね。パンドラ収集器を持っているのだよ」
 そう言って手に翳したのは、彼が首から提げていたペンダントだった。
 どうやらこれがパンドラ収集器らしい。
 特別高級な品というわけではなさそうだが、どうやら彼なりに思い入れの強い品であるらしい。
「それで先日、終焉獣がこのパンドラ収集器を狙って襲撃をしかけてきていてね。
 その時は弱い戦力であったために我が家の『からくり』と兵力だけで撃退することができたが、次はそうはいかないだろう。君たちの力を貸してほしいのだ」

 幻想王国を襲った冠位色欲の凶行を何とか斥けるに至ったイレギュラーズだったが、その中にギルドオーナーの姿はなかった。代理として各国の情報収集や依頼遂行の可否を決定するユリーカが曰く、ラサ南部砂漠コンシレラにて大きな変化が起きたらしい。
 R.O.Oで観測された終焉の獣『ベヒーモス』。通称をでっか君と呼ばれたそれは微動だにせず蹲っているが、その背からはぼろぼろと崩れるように小型の終焉獣たちが現れ始めたのだ。それらは宙空よりどこかに転移陣を開き移動していく。
 その転移先は世界各国にあるパンドラ収集器の元であり、目的がその収集であると分かったのだ。
 ベヒーモスが何を糧にするか分からないが、この行動によりまるで酸素のようにパンドラを飲み込み、滅びのアークを吐き出しているかのようである。
 パンドラ収集器はイレギュラーズならば誰しもが持ち得るものだ。ローレットに属さぬイレギュラーズ達も思い思いの品がその収集器となって居る。
 集まったパンドラは空中庭園のざんげの持つ『空繰パンドラ』に蓄積されるが、どうやら何らかの影響のせいで滞っているらしい。
 ローレットはそんなパンドラ収集器を小型ベヒーモスに奪われぬように保護し、そのまま収集器をざんげのもとへ届、その役目を解いて返却することにした。
 これは、そんな依頼の一環なのである。

「む、侵入者か!」
 ビービーと室内に警報が鳴り響き、赤いランプが点灯する。
 ヴォルシュネ卿がモニターをふりかえると、玄関から堂々と盗賊らしき集団が入り込んでいるのが見えた。
「ふんっ!」
 対してヴォルシュネ卿はレバーの一つをおろし、からくりを発動。
 盗賊が駆け上ろうとした階段が突然ぱたんと斜面になり、ものっすごい勢いで盗賊が滑っていく。『あああー』という声をあげて滑った彼らに追い打ちをかけるかの如く、ロビーにぱかんと落とし穴が開いた。
 盗賊がそこへと落ちていく。
「このように、我が家には大量のからくりが仕掛けられている。君たちのサポートにもなるだろう。どうか、私に力を貸してはくれまいか」

GMコメント

●シチュエーション
 ヴォルシュネ卿のパンドラ収集器が狙われている!
 彼と協力し、館のからくりを利用しながら終焉獣たちを撃退しよう!

●ロケーション
・ヴォルシュネからくり屋敷
 あなたは『任意のタイミングでひとつだけ』屋敷のからくりを発動してもらうことができます。
 どんなからくりがあるかはあなたの想像力次第。あなたの想像するからくりが大体あると思ってください。
 階段を滑り台にして終焉獣の隙を作ったり、壁をくるんと反転させて奇襲したり、突然天井から檻を落としたりできます。
 ただし直接大ダメージを与えるものや屋敷ごとどっかに飛んでくような極端なものはないものとします。

●エネミー
・終焉獣×多数
 ずんぐりした二足歩行タイプの獣です。
 基本的に素手で戦うようです。
 彼らは屋敷に複数ある進入口からそれぞれ突入してきているようです。
 からくりを駆使しながら倒しましょう。

・小型ベヒーモス『ジャックナイフ』
 強力な終焉獣です。二足歩行タイプですらっとしています。
 両手の指がナイフのようになっていて、それを用いた攻撃が得意です。
 また凄まじい怪力もあるため、彼にはからくりが通用しません。
 直接戦闘で決着を付けましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <Je te veux>迎撃! 幻想からくり屋敷!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年02月21日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
人間賛歌
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)
メカモスカ
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

リプレイ


「からくり屋敷……面白い、じつに興味深い。機械工学的な視点で。
 まぁ私も広い意味では絡繰人形なんですけどね」
 屋敷の内装を見回し、『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)は興味深げに頷いた。
「平時にきていたら趣味のいい家だな…と思いましたが、これだけの罠、防衛としてはありがたいですね」
 ぽつりと呟く『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)。
「なんですか、その顔は」
「思考がちょっと怖いなぁ。もちろん褒め言葉だよ」
 ぱちんとウィンクするモカ。
 マリエッタは小さく肩をすくめる動作をした。
「もうちょっと殺意の高い罠があってもいいとは思うんですが。
 まぁ、それはそれとして防衛を進めていきましょうか。ベヒーモスの相手も慣れてきたところですし」
 なんて話をしていると、『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が感激したように腕を広げる。
「いやあ良い屋敷だ。
 職人たるもの一国一城の主となったら絡繰りを施したいからな。
 自慢の絡繰りを活かして終焉獣を撃退しないとな!」
「そういうものか……?」
 『最強のダチ』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は腕組みをする。
「にしてもすっごい趣味の家だなおい。何をどうしたらこんな発想が……まあ、使えるもんは使って追い返すか。
 案外こういうの童心がうずいて楽しいもんだよな。発想グロくなりがちだがな」
 『正義の味方』皿倉 咲良(p3p009816)がうんうんと頷いた。
「絡繰屋敷ってまたまたすごいなー!
 なんかこういうモノづくりして遊ぶのって心踊ってたなぁ……! こういうの作れる人って本当に尊敬する!
 ひとまず色んな絡繰を使って終焉獣を撃退すればいいんだね!
 頭を使うのは得意じゃないけど、拳で語るのは得意だよ!」
「わぁ……すごい頭のおかしい家……。
 なんか、落ち着きまスねー……。
 この人もちゃんとイレギュラーズ(≒やべーやつ)だったんだなって感じまス。
 ほら、ご覧なさいよ某氏とかを。現代のイレギュラーズもこんな感じでスよ」
 対して『無職』佐藤 美咲(p3p009818)の反応は淡泊であった。イレギュラーズへの偏見(?)がうかがえる。
「そうかな、家の中に仕掛けがあるのって楽しくない?」
「セキュリティ対策がされてることに対しては称賛できるんでスけどねえ」
「ヒュウッ! からくりめっちゃかっこいいのじゃ! 我も一杯動くぞ!」
 どやっ! といいながら『メカモスカ』ビスコッティ=CON=MOS(p3p010556)がバイザーをがしゃこがしゃこと開閉させたりガトリングをうぃんうぃん回転させてみせる。
「何を対抗してるんスか!?」
「いっぱい動くと強いと聞いて」
「そういう話ではない気がするが……」
 『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)は腕組みをして、対抗するように筋肉をピクピクと動かして見せた。
「からくりが使えるのは便利でいいな。
 取り敢えず、敵は一つの部屋に集めるようだから、私はその集める部屋で待ち受けるとしよう。
 そこまでの誘導や分断は任せてもいいか?」
 振り返ると、頷く仲間達。
 楽しい楽しい絡繰大作戦が始まろうとしている。


 屋敷にいくつもある出入り口より、終焉獣が侵入していく。
 広い通路を我が物顔で歩く終焉獣を、立ち塞がるモカが迎え撃った。
「さて、始めようか」
 くいくいと手招きをしてみせるモカ。終焉獣は地を蹴って走り出し、モカへと鉤爪を出した手で斬りかか――。
「今だ」
 パチンと指を鳴らした途端。終焉獣の足元の床がガクンと落ちた。
 身体が半分沈む程度の落とし穴だが、戦闘中に発生するにはあまりに大きな隙。モカの強烈な蹴りが終焉獣の頭部へ炸裂し、そのまま連続キックが浴びせられ終焉獣は地面に沈んだ。
「――!?」
 罠の存在に気付いた終焉獣たちが警戒の色を見せるが、モカはそんな終焉獣たちを挑発するかのように通路の奥へと引っ込んでしまう。
 一度顔を見合わせた終焉獣たちは通路の奥へと突進……して、その様子に困惑した。
 まるでミラーハウスのように鏡だらけの空間になっていたのである。
 そっと手を伸ばし、壁か味方かの区別をつけながらおそるおそる進んでいく終焉獣。
 が、そんな彼らの姿はマジックミラー越しの錬からは丸見えであった。
「不安から固まったな。いい的だ!」
 ミラーを内側から破壊するような衝撃が走ったかと思うと、姿を見せた錬が『式符・陰陽鏡』を発動。集まっていた終焉獣たちはたちまちのうちに虚像の鏡像から溢れる暗黒の雫に飲まれてしまったのだった。

 一方こちらは別の通路から侵入した終焉獣たち。
 彼らは早速状況の異変に気付いていた。
 ドドドという音と共に地面が震動しはじめたのだ。
 音は徐々に近づいており、背後へと迫っている。
 終焉獣たちはその低い知能で大岩の転がる様を想像し、一斉に走り出した。
 通路を走り抜け、大岩から逃れようと急ぐ。
 だが気付いているだろうか。通路が巧みなデザインによって徐々に徐々に狭くなっていることに。
 気付けば通路は小さく、一人がやっと通れる程度の細さにまでなっていた。
 それでも急がねばならぬと慌てて走る終焉獣が、ひとつの部屋へとぽんと飛び出す。
 瞬間。
「単独で突出したな」
「挟み撃ちのチャンス、だね!」
 ヤツェクと咲良は部屋の両サイドから飛び出し、一斉攻撃を開始した。
「大岩が転がってきたかと思ったか? 音と震動で錯覚させたんだよ」
 ヤツェクの魔槍が終焉獣へと突き刺さり、直後に咲良のキックが終焉獣を蹴り倒す。
 後ろの使えた上細い通路を通らされた終焉獣は結局『1体2』を強制され続け、ヤツェクと咲良によってボコボコにされ続けることになったのだった。
「うーん、これ、結局つかわなかったね」
 部屋の奥に設置しておいたペンダントの偽物を手に取る咲良。
「目くらまし程度には使えると思ったんだけどなあ」
「まあ、ベヒーモスたちはパンドラを嗅ぎつけてやってきてるらしいからな。それこそ目くらまし程度の効果しか期待できないだろう。ないよりはいいと思うがね」
「かなあ」

 終焉獣たちは迷路の中に迷い込んでいた。
 総当たりで出口を探そうと手分けして歩き回り、いくつもの行き止まりに悩まされながら進んでいく。
 いわゆる右手の法則などつかえば突破できるかもしれなかったが、終焉獣にそれだけの知能はないらしかった。
 結果として……。
「――!」
 一匹の終焉獣が迷路を突破して部屋へとたどり着く。
 が、そこに待ち構えていたのはマリエッタと美咲の二人がかり。
 明らかに不利な一対二だ。
 だが終焉獣は吠えるような声をあげながら突進。鉤爪で攻撃を繰り出す。
 対して美咲は鋼の義手でそれを受け止め、至近距離で拳銃を連射する。
 相手の腹に銃弾をしこたま浴びせると、衝撃で後退した相手にマリエッタがすかさず襲いかかった。
「文字通りの各個撃破。いい罠になりましたね」
 『アルス・マグナ』『万華無月』『幻想纏い』の力をそれぞれ発動させて力を大幅に拡張させたマリエッタは、血の大鎌を作り出して終焉獣を一刀のもとに両断してしまった。
「さて、次が来るまで時間がありそうですね。ところで……美咲さんはトラップを仕掛けなかったのですか?」
「ああ、私はベヒーモスのほうに仕掛けたかったんっスよ。味方へのバフになるようなトラップをね」
「そんなアイデアがあるのですか? ちょっと楽しみですね」
「ええ、見てのお楽しみでスよ」
 二人は笑い合い、そしてひょこっと顔を出した不幸なる終焉獣へと同時に向き直った。

 一方こちらはビスコッティ。
「おあー! はやく倒してはやく倒して!」
 『赤潮』……つまりは拳から放たれた高周波で正常な判断を奪う術によって終焉獣たちの意識を自分に集中させたビスコッティが、今まさに終焉獣に追い回されていた。
 鉤爪の攻撃をガトリングガンを盾にすることでギリギリ防ぎ、その間も背後から迫る終焉獣の鉤爪攻撃を食らって火花を散らした。
「盾役というわりに回避能力が低くないか。私ほどではないが……」
「再生と棘でざくざくやってくstyleなのじゃよ我は! けどそろそろキツイ! 罠発動じゃ! たのむー!」
 ビスコッティはダッシュで敵の包囲から逃れると、追いかけてくる終焉獣たちにサッと向き直って何かのサインを出した。
 途端、防護シャッターが降りて終焉獣を分断。
 残った終焉獣めがけ、ビスコッティはにやりと笑ってガトリングガンを突きつけた。
「ここでしまいじゃ!」
 猛毒や苦痛のBSが籠もった弾幕を浴びせるビスコッティ。
 が、決定打となるのは昴の攻撃力である。
「ふむ」
 ゴオオと風が唸るほどの速度で繰り出された拳が終焉獣の頭部へ炸裂。その形を大きく変形させてしまう。
 そうこうしているうちに防護シャッターが破られ終焉獣が中へと入り込んできた。
「よし、次の罠だ」
 昴が合図となるポーズを取った途端、床が突然粘着床へと変化した。
 終焉獣たちが思わず足を取られ、ものによっては手を突いて姿勢が固定されてしまう。
 そうなればもはや、彼らは倒されるだけのサンドバッグと化すのである。


 終焉獣たちを倒し終えたその時。
 キキンという音と共に壁に複数の断裂が走った。
 否、壁が一瞬にして斬り割かれたのだ。
「――……」
 フシュウと息を吐きながら壁を抜け現れる巨体。どうやら小型ベヒーモス『ジャックナイフ』らしい。
「なるほど。これだけ強引に突破できるなら『からくり』も意味をなさないというわけか。納得だな」
 昴はファイティングポーズをとるとジャックナイフへ急接近をかけた。
 強烈なパンチ、からの更なるパンチ。
 ジャックナイフはそれだけの衝撃をうけてもびくともせず、腕のナイフを貫手のように放ち昴の腹へと突き立てる。
「ぐっ……!」
 がくりと膝をつきそうになるが、根性でそれをこらえる。
「ジャックナイフ。お前が力に自信があるように、私も力には自信があってな。
 どちらの力が上か勝負といこうか」
 全身の筋肉をみなぎらせ、『コードレッド・オーバーゾーン』を叩き込む昴。
 流石のジャックナイフもこれにはこたえたようで大きく後退。そこへビスコッティがブロックをかけた。
「からくり遊びなら我を使うが良い! そんじゃそこらのからくりとは頑丈さが違うからうわぁマリエッタこわ。我死ぬぞあんなん食らったら」
 そんなことを言いながらビスコッティは強烈な頭突きを叩き込んだ。ジャックナイフの巨体が僅かに揺らぐが、そんなことお構いなしにビスコッティを掴んで握り込む。ナイフのような指が食い込み、ビスコッティの身体をがりがりと削った。
「ぬ、ぬおお!?」
 そしておもいきり壁めがけて投げつける。
 その威力たるや、壁を破壊し隣の部屋まで突き抜けるほど。
「なっ、ビスコッティさん!?」
 隣の部屋にいたのは終焉獣たちを倒しきったマリエッタたちだった。
 途端ジャックナイフが壁を破壊して侵入。
「これは、こっちのからくりを使う時がきたっスね」
 美咲は仕掛けておいたポーションサーバーを発動。ビスコッティにびしゃーっと回復用ポーションをあびせかけて治癒を図る。
「おお、命の水。我メカなのにポーション効くの混沌クオリティ」
「言ってる場合ですか!」
 マリエッタは血のナイフを無数に作り出すとジャックナイフへと一斉に発射。
 対するジャックナイフは両手のナイフで払いのけるように高速でそれらを迎撃。ガガガというなんともいえぬ金属音が響きわたり、いくつもの火花が散った。
 が、それで攻撃を終えるマリエッタではない。
 血の大鎌を作り出すと突進をしかけ、強烈に斬り付ける。
 出血量(魔力量)を倍にすることで威力を大幅に底上げした『アイン・ソフ・オウル』だ。
 と同時に、美咲は短く構えた拳銃でジャックナイフの脇腹を打ちまくった。
 何発もの弾丸が撃ち込まれ、ジャックナイフが小さく呻く。
 そして美咲を払いのけようと腕を振るった。
「うおっと!」
 その場に倒れ込むようにして回避する美咲。背後の壁が破壊され、斬り割かれる。
「む?」
「うわ!?」
 壁の向こうにいたのはヤツェクと咲良だった。
「お取り込み中だったかな?」
「加勢するよ、皆!」
 咲良がピーっと笛を吹くと隣の部屋から急いでモカと錬が駆け込んでくる。
 美咲は咲良の連鎖行動に乗って素早くジャックナイフの後方に回り込むと、片手で握った拳銃を撃ちまくった。
 全段着弾。と同時に咲良が飛びかかり、ジャックナイフの後頭部を殴りつける。
 部屋の広さもあって充分に取り囲めるような陣形を組むことが出来たようだ。
「ジャックナイフ……なかなか強いね。攻撃力が特にヤバイ。逆に回避能力はさして高くないみたい。BSも有効だよ。ドンドン撃っていって!」
 咲良のエネミースキャンをうけて、ヤツェクは『無限即興曲』を放った。
 武器が歌い、光が舞う。高威力の魔槍が飛びジャックナイフに突き刺さったかと思うと、震動と共に歌の音を響かせる。纏った音の力がそのままジャックナイフの身体を貫いていくのだ。
 身体を抜けていく槍の痛みをこらえるようにしてジャックナイフがうなりをあげ、槍を掴みヤツェクへと投げ返す。
 槍はヤツェクに刺さることなく直前で止まり、ぱしりと彼の手に収まった。
 と、そんな一方でモカは背後の壁を蹴って跳躍。ジャックナイフの後頭部めがけて強烈案膝蹴りを叩き込んでいた。
 ごすっという音をたて軽くよろめくジャックナイフ。どうやらかなりのダメージが蓄積してしまっているようだ。
 モカは天井からぶら下がったロープを掴むとすかさず連続キックへとコンボを繋げる。
「ジャックナイフ、こいつで終わりにしてやる」
 錬は式符を発動させ盾と杖を連結。斧の形に整えると『桜花破天』の連続斬撃を浴びせた。
 グオオと叫び、彼を払いのけようとナイフの両腕を払うジャックナイフ。
 が、その攻撃は斧によって止められる。
「まだだ――式符・青龍槍!」
 豊穣の守護神樹の力を宿した木槍を瞬間鍛造すると、ジャックナイフの腹へと発射。
 突き刺さった杭のような衝撃におもわずジャックナイフは後退した。
「とどめだ、式符・相克斧!」
 斧に五行の循環をおこさせ力を拡大すると、錬は思い切りジャックナイフの顔面に叩き込んでやった。
「グオオオオオ!?」
 叫びをあげるジャックナイフ。その身体が真っ二つに斬りさかれ、その巨体は地面に沈んだのだった。


「皆、よくやってくれた!」
 ヴォルシュネ卿は両手を広げ、倒した小型ベヒーモスたちのもとへとやってきた。
 胸から下げたペンダントをとると、それを錬たちへと突き出す。
「ここに溜まっているパンドラが必要なのだろう? 持っていくといい」
「……いいのか?」
「ちゃんと、あとで返してくれたまえよ?」
 ヴォルシュネ卿はウィンクをすると微笑んだ。
「なに。君たちのような者がまだいるとわかって安心したのだ。この世界は滅びない。そう思えたからね」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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