シナリオ詳細
ハイパー草むしりタイム
オープニング
●草むしりをなめりゅな!(噛みました)
「諸君には今から、草むしりをしてもらいます」
両手を後ろに組んだ幻想貴族モリモト氏。彼は木目のパイプをくわえいかにも偉そうにしていたが、腰から下はプルップルだった。
おじいちゃんもかくやというぷるぷるぶりにはワケがある。
「私は草をむしりすぎて、足腰が限界だからです!」
まーたまたー、草むしりごときで足腰プルプルになるなんて貴族さまったら運動不足なんだからー。
なんて思う無かれ。
オサシミが飛びチキンが走りバニラアイスが飛来する混沌の世において、雑草ほどやっかいなモンはない。
「ホウ、俺たちザッソーズを引き抜こうってのかい」
ド広い庭に不良座りした雑草たちが、猫じゃらしを煙草みたいにくわえてこちらを振り向いた。
急にギアを上げて申し訳ないが。
全長60センチ程度の草で出来た二股大根状の生物が庭に沢山いると思って頂きたい。
「ここはもうオレらのシマなんだよォ!」
「どかしたければ力尽くでキナァ!」
「シャオラァ!」
「ヒャーッハーッ!」
煙草(ぺんぺん草)を吸ったり怪しい粉(花粉)をスーハーしたりモーニングスター(いがぐり)を振り回したりする不良草たち。
「うるせー! しねー!」
貴族がクサカラシコ除草剤を振りまいてもヒャッハーはとまらない。
「そんなもんはキカネー!」
「雑草なめんなー!」
ヒャッハーいいながら広い庭を駆け回る雑草たち。
それをひたすら追いかけ回し、ぶちころし、まとめてゴミ袋に入れて捨てる。
そう、これこそが混沌草むしり。
ハードワークなのである。
- ハイパー草むしりタイム完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年10月30日 21時45分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●ヒャッハー草の駆除薬がどっかの国にはあるらしい
草をむしゃむしゃやっていた馬、『馬車馬』ライトブリンガー(p3p001586)がゆっくりと頭を上げた。
「ぶひん(草が動いてヒャッハーとか騒ぎながら逃げる……草が動いてるんだ。まぁ、ぼくにとっては、いい運動になりそうだね。肉食獣の狩りみたいに、ぼくも、この動く草を狩ることにしておこうかな。本来は、ないことなんだけどね)」
その横で、『演劇ユニット』Tricky・Stars(p3p004734)がこめかみのあたりを指でトントンとやっている。
『こういう地味な お仕事で経験値積むのも大切なワケですよ。分かるかね、稔クン』
「全く意味が分からん! くそっ、何故天使であるこの俺が草むしりを……!」
『めっちゃキレてるじゃーん。カルシウム足りてないんじゃね?草食っとく??』
「食わない! 草一掴みに含まれるカルシウムはゼロなんだぞ。おいやめろふざけるな鎮まれ俺の右手!!」
リアル中二病みたいなことを言って雑草を口に入れるか入れまいかの取っ組み合いを右手と左手でやっているTricky Starsである。
あんなの食べたらお腹壊すっすよ、と心配そうに見ていた『他造宝石』ジル・チタニイット(p3p000943)が鞄を開いた。
なんか透明な袋に白い粉が入っていた。みっしりと。
「……ちょっと、バイニンになった気分っす。何のとはいわないっすけど!」
後ろで叫ぶTricky Stars。草をもさもさ喰うライトブリンガー。
こっけこっけいいながら歩いていた『慈愛のペール・ホワイト』トリーネ=セイントバード(p3p000957)が、ぴたりと止まって振り返った。
「叫ぶなら『こけー!』と叫ばないと!」
「えっ、急になに?」
「そうでなければ草など所詮、私達に啄まれる運命なのだわ!」
「なに?」
話の枕をすべてカットしたトリーネの言葉に、『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)が若干の戸惑いを見せていた。
「ヒャッハー草!」
「ああ……さすが幻想、不思議生物には事欠かないねェ。……ところであいつラ、どこから言葉喋ってんの?」
「さあ?」
同じくどこから人語を発してるのかわからんトリーネである。
すっごく厳密な話をすると、ヒャッハー草もビェビェーみたいな声を出してだけなのだが、崩れないバベルがバベッたことで人語と認識できているらしい。
ライトブリンガーもそうなので、もしかしたらトリーネもそうなのかもしれない。しらないけど。
「くっくっく。舐めているのはどちらの方か、思い知らせてくれるわッ。」
両手にガンウォンドを振りかざし、『Hi-ord Wavered』ルア=フォス=ニア(p3p004868)が高らかに笑った。
拳をごきごきとならす『不良聖女』ヨランダ・ゴールドバーグ(p3p004918)。
「ヒャッハー草ってのは更生とかしないモンかね? つっても人様に迷惑は既に掛けちまってる訳だし、話も聞かんようならいっちょ聖職者らしく説教でもしてやるとするかァ」
こくこくと頷く『特異運命座標』シエル(p3p006444)。
「しかし、雑草が走り回るとは混沌世界は不思議なところですね」
「いや、こっちでも普通は走ってないけどね」
「毟り取るのも大変な気がしますし……この雑草たちを一本残さず焼却しましょうか」
両手をこきこきキュルルと鳴らすと、シエルは足の裏と手のひらからエネルギーを噴射して凄まじい速度で30メートルほど上昇。そのままさらなる速度で下降ラインを描くと、周囲のノーマル雑草をまき散らす勢いですっ飛んでいった。
あまりの速度に、ニアとヨランダは暫く最初のしせいのまま停止していた。
「なんだありゃあ。足からジェット吹いたよ」
「さあ……マナブースターかのう?」
●約束された除草
「ヒャッハー!」
「誰も俺たちを止められねえぜ!」
「爆走だぜー!」
ヒーハーしながら貴族んちの庭を暴走するヒャッハー草の皆さん。
そこへたまたま通りかかったんだよという演技をしながら、リュックサックを担いだジルが現われ……ものすごく大胆に転倒した。
リュックサックから転げ落ち袋が破れる白い粉。
「あー! あんなところにー! ヤクをー! ヒャッハー草が大好物だといううどん粉をー! 落としてしまったっすー! どーしよー!」
「「ナーァニーィ!?」」
一斉に振り返るヒャッハー草たち。
「おれらがそんなモンに!」
「ひっかかるわけが!」
「ねーだろーがー!」
と言いながら全員一斉に白い粉の上に這いつくばってスーハースーハーしていた。
「アヘーェ! タマンネッヘェッヘェー!」
「フェフェフェフェフェフェー!」
注意。これはうどん粉です。
ページ右上に巨大な『!?』を浮かべる勢いでアヘ顔をさらすヒャッハー草たち。
よし来たとばかりに眼鏡を中指で押すTricky Stars。二丁ガンウォンドを水平に構えるニア。起き上がったジルが叫んだ。
「いまっす! ヒャッハー草がアヘ顔パウダーを吸ってるうちに!」
「その名前はやめろ!」
「せめて危険ドラッグを言えぃ!」
「その名前はもっとやめろ!」
無駄に翼を広げたTricky Starsが眼鏡のブリッジに中指をあてたままキリッと目をするどくした。
「どうした、俺の美顔を拝みに来たのか? 気になるなら俺のスキル設定イラストを見るんだな」
見るんだな!
そして私と同じ気持ちになれ!
そして今のがロベリアの花を使用したシーンだ!
「「ギャー!?」」
謎の悪意にやられたヒャッハー草たちが白目を剥いてけいれんした。
「うおー! いまじゃー!」
ニアがうりゃりゃりゃーといいながらガンウォンドを連射しまくると、ヒャッハー草の周りで次々と小爆発が怒っていく。
これはたまらんとヒャッハー草たちがちりぢりに逃げていく。
カッと振り向くニア。
『きこえるか……きこえるか……わしじゃよ……』
「わざわざ脳内に!?」
『ふぁみちきください』
「コケッ!?」
『いまじゃよ』
お星様に乗って飛ぶヒヨコちゃんと俯瞰視界を共有して『敵が動きすぎて酔いそう』とか思ってたトリーネはその勢いでぴよスターの急降下爆撃をしかけた。
「草は草らしくにわとりにやられると良いのだわー!」
「ぴよー!」
控えめに言って特攻みたいなことをしたひよこちゃんがどこへ行くのかは誰も知らない。そもそもどこから来てんのあの子ら。
ちょっと関係ないけど草むらに埋まるようにして潜伏していた別のひよこちゃんはヒャッハー草に蹴られてお星様になっていた。ザ・グレイテスト無念。
そうこうしてる間にライトブリンガーが傷ついたヒャッハー草をぱっから追いかけて喧嘩殺法のダイレクト捕食をかました。
喧嘩で相手を喰うやつがあるか、と思われる読者諸兄もおられようが、説明にも『実戦的な我流殺法を仕掛けます』と書いてあるのできっと矛盾しない。
「むっしゃむっしゃ――マズッ!」
偶然にも流ちょうなトーンで叫び、雑草をはき出すライトブリンガー。
口直しにおいしい草を生やしてもさもさ食べ始めた。
『こらー! なにをやっとる!』
「ぶひん(あっごめんつい草を)」
『乾燥させた牧草じゃないとお腹がもたれて動きがにぶくなるじゃろが!』
「ぶひん!?(そっち!?)」
念話でニアに怒られる。
今回言う機会がなさそうなので先にいっておくと、味方にだけ聞こえるテレパス通信で連携をとると近接格闘中の味方と(待機等を使って)こっそりタイミングを合わせて範囲攻撃を一方的に打ち込めるので実はすごく便利だ。戦争でもこういうのを敵に聞かれないために暗号っつーのがあるのだ。
さて一方その頃。
「目標確認しました。焼却を開始します」
時速36キロくらいで水平飛行するシエルがヒャッハー草に先回りをして急速ターン。
エネルギー噴射で滞空すると翳した両手から熱光線を発射した。
「びゃー!?」
足が速いことだけが取り柄みたいなヒャッハー草にとって、それ以上に足も動きも速いシエルは天敵中の天敵であった。
全力出すと時速90キロ出るらしい。東京大阪間が五時間である。
そんなわけで、シエルにまさかの先回り通せんぼをくらったヒャッハー草は盛大に転倒。
むくりと起き上がった所にヨランダが飛びかかった。
「オラオラどうした!? 威勢が良いのは口だけかい?」
拳閃・白光。拳を聖なる光っていうか自身の気で真っ白に輝かせ、巨大な光の拳を作ってヒャッハー草をぶん殴った。
結構なオーバーキルである。振り返ったヒャッハー草がジュッてなって消えた。
「兄弟ー!」
「兄弟のかたきー!」
ジャンプで襲いかかってくるヒャッハー草たち。
横から放たれたイーフォの虚無オーラが巨大な魚のような形状をとると、ヒャッハー草をばくんと喰って地中へ沈んでいった。
「力づくで行っていいんだロ? 言ったネ? なら音を上げるなヨ?」
イーフォが漆黒の光でウミヘビを形成しながら、ヒャッハー草へと近寄っていく。
ヒャッハー草は震えて逃げた。
●これもひとつの草刈り
ある映画監督いわく、絶望に駆られた者は三通りの行動に出るという。
第一。自暴自棄になり目先の欲望におぼれるもの。
第二。なりふり構わず逃げ出すもの。
第三。果敢に立ち向かおうとするもの。
イレギュラーズたちが(9割がたジルの知識で)仕掛けた罠にかかったのは、その第一パターンのヒャッハー草たちだった。
うどん粉をこねた団子を頬張ってラリッてるヒャッハー草たちを、ヨランダは例の光の拳で右から左へ薙ぎ払った。
ジュッと音を立てて消えるヒャッハー草たち。
「もし降伏するようなら舎弟にでもしてやろうと思ったんだけどねぇ」
こりゃ更正も難しいねえ、と煙草をくわえてつぶやくヨランダ。
ライトブリンガーは立ち向かってくるヒャッハー草をひづめで踏みつけると、上の方からばりばりむしゃむしゃやって喰っていった。ついでに燃やしたヒャッハー草も喰ってみた。
暫くほおばってもぐもぐした後……。
「……(びっくりするほどまずい。おなかいたい)」
プルプルしながら横たわった。
「わー! お馬さーん! しっかりするっす! ペッして、ペッ!」
ジルがかけより、ライトブリンガーの口から管を入れて塩水を強引にポンプ注入し始めた。
「ヴェヴァア!?」
喉につかえたのか胃の中を荒らしたのか、かなりよろしくない状態になったヒャッハー草の残骸がはき出される。
これがSPDの使用シーンだって言ったら何人が信じるだろうか。軽い胃洗浄処置だね。
ぜーぜーいってるライトブリンガーの喉から横っ腹にかけてをなでなでしてやるジル。
「よーしよし、深呼吸っすよー。誰かこっち手伝ってっすー」
「コッコッコ――はいはーい」
トリーネがやってきて耳元で高らかに鳴き始めた。
奇跡の鶏トリーネの泣き声は最悪腕くらいもげても治すって先生がいってた。
あと引きで見ないとわからないが、トリーネはさっきから牛さんに咥えられていた。トサカんところを。
「もう心配いらないわ! うちのこけこけ号(牛さん)にヒャッハー草を食べさせたからね!」
「えっ?」
「ンッ?」
振り向くジル。
ぷるぷるし始めるこけこけ号。
「ヴェヴァア!?」
「ぎゃああああああああああ!!」
奇跡の鶏トリーネは暫くのあいだ雑草みたいなにおいになった。
そういえば、なりふり構わず逃げ出すヒャッハー草を紹介していなかった。
「死にたくねえ! 死にたくねえー!」
白目を剥いて涎(?)をたらしながら爆走するヒャッハー草。
機動力が6くらいあるヒャッハー草が全力疾走したらそりゃもう50メートルを3秒台で走る。
Tricky Starsやイーフォがどんなに頑張っても追いつけない速度だ。
『えーい逃がすな! はしれはしれー!』
ニアがやたら脳内に話しかけてくる。遠かったりしてもクリアに届くので、視界が通れば会話ができるって地味にやばい。
「そ、そう言われても……」
「無理なものは……」
「お先に失礼します」
地上すれすれを水平飛行するシエルが二人の間を倍以上の速度でぶち抜いていく。
シエルの速度なら50メートル走を流して5秒台。全力で2秒台である。
あっというまにヒャッハー草を追い抜いたシエルは自らの身体をぶつけてヒャッハー草を転倒させた。
彼女の反応速度ならほぼ確定で先制がとれるのでこうなってしまえばヒャッハー草に逃げる道はない。
「雑草という草はないケド、雑草と呼ばれるものには歓迎されるヤツはナイ」
「そういうわけだ、諦めろ」
イーフォとTricky Starsが追いつき、それぞれ松明に火をつけた。
ぜーぜー言いながら追いついてきたニアが、目を見開いて指をたてる。
人差し指のうえにボッと炎が灯った。
「こやつらをまとめて燃やそう。そして焼き芋をするのじゃ。ホクホクのウマウマじゃよ!? くらえー!」
「ギャー!」
結論からいうと、ヒャッハー草は消し炭と化した。
焼き芋は枯れた落ち葉でやろう。
●日本の庭で雑草を燃やすのが法規制されたので今はやれないらしいよ
後日談というか、直後の話。
雑草が綺麗に片づいてほっくほくの貴族が、庭に集めた枯葉で焼き芋を焼き始めた。
わーいほっくほくとか言いながら焼き芋を食べるイレギュラーズたち。
途中から焼き肉パーティになりトリーネとライトブリンガーとこけこけ号がぷるぷるしだしたのは脇においとくとして。
この日はあったかく終えることができたそうな。
めでたしめでたし。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
本日のMVPはジルさんです。理由は可愛かったからです。(本当は知識ボーナスを一番上手に使ったからです)
GMコメント
【オーダー】
混沌草むしり
【フィールド】
貴族のお庭。
テニスコート三つ分くらいのクッソ広い庭。
【えねみー?】
この土地で繁殖する雑草『ヒャッハー草』が大量にはえており、こいつらをむしりまくる必要があるのだ。
ヒャッハー草は足のはえた草モンスターでそれはもうあちこち走り回る。
機動力が地味に6くらいあるので普通に追いかけるとスタミナ切れでゼーゼーになっちゃうはず。
一応のボーナスとして『自然知識』『科学』『ケミストリー』『ファーマシー』あたりがあると仲間の各種判定にボーナスが出たり急に解説する係になったりします。解説内容はフルアドリブです。
【アドリブ度】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。
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