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シナリオ詳細

<グレート・カタストロフ>変化の時と心の棘

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<グレート・カタストロフ>変化の時と心の棘
『つまり……だ。神託の無限にも思われた義務猶予(モラトリアム)の時は尽きた、という事であり、時間切れも間もなく……と言った所だろうな』
 息を吐くレオン。
 彼の言葉は今、この混沌世界を的確に捕らえた言葉。
 世界の混沌は加速度的に悪い方向へと進んでいる。
 その一つを如実に示すのは『Case-D』の接近。
 それは『次元崩壊』を世の中に巻き起こし、その結果『バグホール』を混沌世界に無差別に撒き散らしており、それに苦しむ人々の訴えが、各国やイレギュラーズ達へと舞い込んできている。
 そんな無差別なる混沌は、一向に留まる気配は無く……むしろ悪い方向へと更に進みつつある。
 ほんの少し前まで、鉄帝国に大騒動を巻き起こした全剣王の作り出した塔『コロッセウム=ドムス・アウレア』。
 闘技場あり、ダンジョンありと、統一感のないバラバラな内部構造の塔の中において、まるで姿を隠すかの如く『次元崩壊』の作り出した『バグホール』が出現しているという話。
 未だにかの塔の中には、不穏な影が蠢いているとも言うし……そのバグホールの影響かどうかは分からないものの、少なくとも……今迄に見た事の無い脅威を見かけた、という噂も聞こえている。
 事態は収まる気配も無いが……だからといってサボる訳にも行かない。
 イレギュラーズとして……そんな世界各国の大騒動を黙って見ている訳には行かないのだ。


「立て続けに、申し訳ありません……今度は、以前皆様にお手伝い頂いた、鉄帝国の『塔』にも、バグホールが現れ悪影響を与えている様なのです……」
 と、『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)は、歩くイレギュラーズを呼び止める。
 そして足を止めた君達に、僅かな安堵の表情を浮かべた後に口に為たのは、鉄帝国の首都の傍らに現れた『塔』の話し。
 『全剣王』と呼ばれた者が一瞬にして作り出した、豪華絢爛な塔の中に様々な構造をした階層があるという、理解不能な構造の塔。
 そして、そんな塔の中に居た不毀の軍勢達や獣共が暴れ廻り、それの制圧の為に鉄帝国の軍人やらラド・バウ闘士達が塔に攻め込んだのは記憶に新しい話。
 しかし……そんな塔の中に、今世界を混乱に陥れている『バグホール』が現れた、というのだ。
『正直な所、まだまだ敵の影も収まっていないような所に、バグホールが現れたというのも不思議な話です。ですが……このバグホールが、想定外の影響を及ぼしてしまっている様なのです……」
「つい先日聞いた話では……終焉獣と思しき者は以前から居たのですが、その身体が透き通っている不思議な者が見受けられているようなのです。それにこの蒼白い透明な獣達は、話を聞く限り、段々と姿を変えている……つまり、成長している、という様なのです」
「何故、成長しているのかは分かりませんが……これも『バグホール』の影響なのかも知れません。でも、これをそのまま放置していては……更なる事件が起きるかも分かりません。出来る限り早期に対処為なければならないでしょう……」
「そこで……皆様に力を貸して頂きたいのです。彼等が……塔から出てくる前に、どうにか倒して来て頂けないでしょうか……宜しくお願いします……」
 そうルリアは、集まったイレギュラーズ達へ、深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 つい先日まで皆様の活躍していた全剣王の塔に、バグホールの出現と進化する終焉獣……と、様々な事件が立て続けに起きてしまっている様ですね。

 ●成功条件
  全剣王の塔の中の『進化する終焉獣』を倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はCです。
  情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

 ●周りの状況
  皆様が幾度となく対峙した、『全剣王』の塔です。
  内部構成は様々ですが、今回皆様が向かう野は『罠ありの地下ダンジョン』の様相をしたフロアになります。
  当然薄暗く見通しが悪い……更に罠が仕掛けられており、加えてどこにあるかも分からない『バグホール』が常に悪影響を振りまいている、という状態になっています。
  特にバグホールは壁とかを貫通して範囲に悪影響を振りまいていますので、事前対処する事はかなり難しい状態となります。
  逆に言えば、バグホールの振りまく悪影響を耐えながら戦う……という必要が出てくるでしょう。
  
  又、このフロアに居る敵は終焉獣だけの様ですが……身体が透明な終焉獣の方は、このバグホールの影響を受けません。
  一方透明じゃない終焉獣は影響を受ける様です。

 ●討伐目標
 ・通常の『終焉獣』
   狼の様に四足歩行をした獣たちです。
   数は多いのですが、知能は無いので、ただただ対峙した相手を殺す、事だけに動き回ります。
   その鋭い牙で噛みつかれれば、出血効果は避けられないしょうが……それ以外の特殊能力は無い様です。
 
 ・身体が透明な『終焉獣』
   普通の終焉獣に比べて蒼白く、透明な身体をした獣達です。
   ただ獣と言えども、成長を為ている様で……四足歩行、二足歩行、更には簡単な会話が出来る者、などとバリエーションが幾つかある様です。
   少なくとも簡単な会話をする者は知識もあるので、皆様を罠に掛けるような行動を行う可能性もあります。
   また単体の攻撃能力は、終焉獣より一回り程高いのと、バグホールの校歌を受けない為に意外に厄介な敵……と言えるでしょう。

 ・『バグホール』
    このフロアの幾つかの箇所には、バッドステータスを撒き散らす効果を発生させるバグホールが存在します。
    毒、麻痺、HP吸収の三つの効果がランダムに発生します。
    又壁の向こう、落とし穴の下……など、その姿が見えない所にある場合があるので、常にバッドステータスには注意した形で戦いに挑むようにしてください。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <グレート・カタストロフ>変化の時と心の棘完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月31日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
シラス(p3p004421)
超える者
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ

●変わり続ける
 義務猶予の時の切れた混沌世界。
 『Case-D』と、『次元崩壊』の二つがこの世界に巻き起こしたのは混乱……さしてそれを具現化したかの如く『バグホール』が周囲に悪影響を与えている。
 そしてその悪影響を与える『モノ』は、過去、イレギュラーズ達が熾烈な戦いを繰り広げた因縁の地ですらお構いなく、無差別に出没している様で。
「詳細不明な塔に、詳細不明のバグホール……謎に謎が重なって、謎が二倍じゃ済まない事になりそうな状況だなぁ……!」
 目を見開き、何処か嬉しそうに『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)は声を上げる。
 そんなイレギュラーズ達の目の前に、綺羅びやかに立つ塔……その名は『コロッセウム=ドムス・アウレア』。
「オレ、『全剣王』の塔に来るのは初めてなんだけどヨォ……どういう塔なんだァ?」
 と『惑わす怪猫』玄野 壱和(p3p010806)の言葉に対し『無尽虎爪』ソア(p3p007025)は。
「うーん……そうだね。全剣王の塔の探索もかなり進んだんだけど、ちょっと一言二言で言い表すのは難しいかな? ま、色んな場所の詰め合わせ状態みたいな場所、って言う感じで、どの階層に言っても、何だか冒険している気分になるよ!」
「ほー……という事は、ダンジョンみたいなのもあるって事かァ」
「そうですね。元々先に何が潜んでいるかも解らない塔ではありましたね」
 頷く『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)。
 全剣王の作り出したこの塔の中は、数多の空間が広がっており、ここもまた混沌な世界が広がっているのだが……そこに、『バグホール』とそれに影響されたモノが姿を表した、という訳である。
「確かに、全剣王の手先を片付けたら終焉獣が棲みついて敵が狂暴化するだなんてツイてないよね。でもまあ、廃屋に野生生物が巣を作って近所メイワクって考えると、あるあるネタかな!」
「そうだな。バグホールに関連しているかもしれない、放置出来ない終焉獣も出ると来たんだ。これは冒険者として、イレギュラーズとして発憤し甲斐がありそうだ!」
 『黒撃』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)の声に、更にどこか嬉しそうな声を上げるカイン。
「おうおう、張り切るねェ……しかしよォ。見通しが悪い上に、罠やバグホールが多数とか。そしてバグホールが現れてから短期間で様々な変化を遂げた終焉獣達が、総数不明で棲みついているんだロ?」
「ええ……端的には終焉獣で括られて派居ますが、見て判るレベルで変化・対応していく敵、というのは宜しくありませんね。成長されてしまうと、こちらもさすがに対処のしようがなくなってしまいますから」
「そうかァ。でも、その要点だけ抜き出して考える限り、中々ヤベぇ来がするんだガ……」
 瑠璃の言葉に肩を竦めてヤレヤレと言う仕草をする壱和。
 それに『竜剣』シラス(p3p004421)が。
「全くだぜ。それにダンジョンってことは、探索も必要だろ? 俺はそういうのは苦手なもんでな。その辺りは皆に任せるしかねぇ……ま、その代わりにいつもと違う癒し手として支えてやるよ」
 不敵な笑みを浮かべるシラスに壱和は。
「そうかイ。ま、確かに毒や呪いが渦巻いてるって話だし、オレも対策として、治療が得意な[ねこ]や、術式を用意してきたんダ。ま、その分オレも戦闘力は下がっている。バックアップはするから守ってくれヨ?」
 そんな二人の言葉に、瑠璃と『冬結』寒櫻院・史之(p3p002233)が。
「ありがとうございます……とにかく、終焉獣が下手な進化をする前に殺しきるしかない、という事でしょう」
「そうだね。終焉獣……たいそうな名前で呼ばれては居るけれど、僕達に盾突くのならぶちのめすのみだよ。ダンジョン内のバグホールには気をつけつつ進むとしようか」
 と言うと、イグナートと『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)も。
「そうだね。出来ればケモノだけじゃなくて、ぽっかりと開いた穴もどうにかしたいのだけれど、まだちょっと手が出せそうにないよねぇ……! 仕方ないから、終焉獣対峙にセイを出すとしようね!」
「ああ。ダンジョンだとかしゃらくせえ! ドンドン進んで終焉獣をバンバン倒して行く! それだけでいい! っしゃ、みんな行くぜ行くぜ!!」
 声高らかに宣言する牡丹が先陣を切り……そしてイレギュラーズ達は『コロッセウム=ドムス・アウレア』へと足を踏み入れていくのであった。

●杯の下
「改めて思うけど……この塔って、奇妙な存在だよね。洞窟あり、遺跡ありって、何だかあべこべの詰め合わせ、ってみたいな感じがするよ」
 足を踏み入れたソアが、塔の中を見て、一言。
 彼女の言うが通り、塔の姿を為ているのに、地下の洞窟の様な光景が広がっていたり、王宮の様な光景が広がっていたり……と、頭の中で混乱しそうな位にちぐはぐな光景が広がっている。
 そしてこの塔の中で、つい先日まで激しい戦いが繰り広げられていた訳で。
「まぁ……確かにソアさんの言う通りだ。だけど、だからこそ俺達が召集された訳でもあるんだろうね。もしかしたら、まだまだ残党が残っているかもしれないしさ」
「確かにそうですね。取りあえず何が起こるかも分からないですし、注意して進まねばなりませんね」
 史之の言葉にこくりと頷きながら、瑠璃は肩にファミリアーの蝙蝠の頭を撫でる。
 そして、それは甲高い鳴き声で道の先を飛んでいき、程なく闇の中に姿が消える。
 ……程なくして、闇の中の蝙蝠の視界と、瑠璃の視界がリンク。
「問題なさそうです。それでは……向かうとしましょう」
 指を差した瑠璃、そしてその方向に向けて。
「っし。灯りは点けてやるから気をつけろよ、てめえら!!」
「んじゃ、俺も……やらせて貰うとするかね」
 と牡丹、シラスが己を光で包み込んで、灯りと視界を確保。
 蝙蝠との間の暗闇を埋めるように灯りを灯し、その間を史之が地表から少し浮かび先陣を切り、その次をソア、カインと続く。
 そんな仲間達が先陣を突き進んでいく一方、その道程の左右を注意深く観察しながら、進んで行くのはイグナートに壱和。
「それにしても、本当不思議な場所だよネ。先人達の調査報告を聞く限り、全く同じダンジョンに突っ込んだ、って言う人もいないみたいだし、何だか魔法的な力が掛かっているのかナ?」
「そうだったよなァ……見通しが悪い上に、罠で突然落とし穴に落ちてる、なんて事もあり得るって訳かァ……流石に単独行動するのは自殺行為だよナ。つー訳で……オレも死にたくねーし……って訳で、道の先は頼むぜェ」
 笑みを浮かべながらも、壱和の影からひょいっと出て来た黒猫のファミリアーを、とことこと自分達の先へ進ませる。
「何か気付いたら、鳴いて報せてくれよォ」
 と指示を与えると、黒猫はニャー、と鳴いて、そそくさと進む。
 先行する史之は空を飛んでいるし、ソアは素早く駆けており……普通に歩いているカインが一番危機に瀕している、と言えるかもしれない。
 だからカインよりも数歩前を黒猫が歩き、更に。
「……取りあえず、オレも役目を果たすとするかねェ」
 と言いつつ、耳を澄ませて罠の稼働音や、風の凪がれる音等を、集中して聞く事で、罠の発動を少しでも早く察知出来るようにする。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きに対し、洞窟の奥の方から。
『……グルゥゥ……』
 苛立ちを感じさせる鳴き声が、してくる。
 その声に気付いた壱和が立ち止まり、声を上げて仲間達を制止。
「ちょっとタンマ。……そうだな、左の方から声がするゼ」
「了解。シラスさん、もしかしたら後方から襲ってくる、なんて可能性もあるから宜しく頼むね」
「わかった」
 史之にサムズアップして頷くカイン……そして、分かれ道を左へ進む。
 更に暫く歩いて行くと、不意に。
『グガアア!!』
 闇の中から、突如駆けてくる獣。
 瑠璃の蝙蝠でその姿を察知出来ない……更に、よく目をこらさないと、その概形すら分かりづらい獣の影。
「身体が透けている……?」
「その様ですね……ああ、でもそれだけではない様です」
 透明な獣に続き、瑠璃の蝙蝠は別の……こちらは完全に姿の見える獣の影を発見。
 この影はまるで半透明の影を追いかけるように、そして……かなり数も多い。
 そんな、大量の影の応酬は、通路を半分ほど埋めるほどの数であり、そしてイレギュラーズ達の影を発見すると、即座に牙を剥いて攻撃を開始する。
「ちっ……分かりやすい奴らだぜ!」
 と、彼等に向けて牡丹は踏みだし、拳を次々と振るう。
 確実に命中する一撃で、迫り来る獣を次々と殴り倒し、ターゲットを惹きつける。
 そして惹きつけられた敵へ更に史之が。
「かなり数が多いよな。兎に角敵の数を一刻も早く減らす様にしないとな」
 と言いつつ、地面から少しの距離を取った状態で敵に接近。
 己の精神力を集中させると共に、牡丹と手分けして自分にターゲットを仕向けられるように攻撃を行う。
 二人の攻撃で逐次敵の体力を削りつつ、自分にターゲットを集中させて敵の動きを制御しようとする。
 そして、史之と牡丹が敵を惹きつけて居る最中、ソアが。
「よーっし! それじゃあ仕掛けるよっ!!」
 力強い声を上げて、ソアは先程の半透明の獣に飛びかかる。
 そして流れる様に、鋭い爪で斬り付ける。
 とは言え半透明の身体、灯りの灯された環境でも透けており、本当にここが敵の居場所なのか……と判別しにくい状態。
 更に斬り付けても、空を切り裂いている様な感覚すら覚える。
 でも、ほんの僅かに揺らめくすがたは、確実にそこに『その影』がある訳で……イレギュラーズ達の一撃を確実に決めて行く。
 数刻の時の後……先ずは通常の終焉獣達をひとまずは討伐し、残るは半透明の獣のみ。
『……キシィィ……!』
 仲間達が居なくなったのに気付いた様で、かの獣は後退し、闇の中へ。
「逃がしません」
 と、瑠璃が咄嗟に汚泥を流し込み、その半透明の身体に泥をなすりつけ、姿を見やすくする。
「おおゥ。そうか、泥を塗りつければ分かりやすいって所かァ」
 壱和が感心する様に言葉を紡ぐが……半透明の獣はそれに構う事無く、更に闇の中へ逃亡。
 勿論闇の中には、瑠璃の蝙蝠が感覚を研ぎ澄ませており……泥の逃げ道を追尾。
「急ぎましょう……下手に逃がすと、彼等の得意な地形に誘い込まれてしまうかもしれません」
「そうだネ! 後に続くヨ!」
 とイグナートが声を上げて、牡丹、シラスの発光の光で先へと進む。
 ただ……追いかけるように先に進んで行くと、感じるのは言いようのない『嫌な気配』。
「これは……バグホールだろうな」
 野生の勘で感じる……嫌な気配は、今迄に幾度となく感じてきていた。
 あらゆる混沌をごちゃ混ぜにした、疼く気配が段々と自分達の進路の先にあるのを感じる。
 ……でも。
「ボク、こんなのへっちゃらだし! 負けてなんていられないよ!!」
 今迄の敬虔含め、バグホールの蝕む気配をはね除けながら、ソアは半透明の獣の下へ飛びつく。
『ギャウウウ!!』
 悲鳴を上げる獣が地面にもつれて落下……その瞬間、ソアの左右の壁から幾つもの矢が放たれる。
 流石に避けきれず、その攻撃を己が身に受けることになるソア。
「大丈夫か? 今すぐ回復してやるよ」
 と、シラスがすぐにソアの傷を回復。
「ありがとう!」
 と言いつつも、ソアは組み付いた泥だらけの終焉獣を決して離さない。
 ただ……その闇の中に、闇よりも暗き『蠢く球体』。
「どうやらバグホールは、ここに転がっていた様だネ!」
「ああ……あの終焉獣もバグホールの効果を受けない特殊個体、という訳の様だな」
「ふぅん……まぁ、何でもいい。オレが全部、ぶっ倒してやるからな!」
 イグナート、カイン、そして牡丹が次々と叫びながら、熾烈な攻撃をバグホールの傍らに居る終焉獣に向けて集中砲火。
 勿論バグホールの近くに居るという事は……イレギュラーズ達の体力を削ると共に、毒やマヒの嫌な効果も及ぶ。
 ……だが。
「オレは硬い、オレは無敵だ!」
 惑わされず、気を強く持ち、回復ヲ仲間に任せて毅然と攻撃し続ける。
 そして、その体力とバッドステータスは、シラスと、壱和の二人が分担して回復し、戦線を維持。
 戦いつつ、更に闇の中から姿を表す終焉獣に対しては、史之、カイン、瑠璃の三人が鋭い感覚を活かし、透明終焉獣への攻撃を邪魔させない様に動く。
 バグホールの影響を最小限に抑えつつ、現れる終焉獣を確実に一匹ずつ仕留め……時間は掛かったものの、この地下に潜む獣を総て、討ち倒していくのであった。

●風向かう
 そして……。
「……フゥ」
 深い息を吐く壱和。
 透明だった終焉獣も、普通の終焉獣も……倒したと同時に、まるで煙の如く消え去ってしまう痕跡。
「なんだろナ。幻だったンだ、って言う感触だよナァ」
 天井を見上げながら壱和が独りごちると、イグナートも。
「うん。そうだネ! まぁ、でも嘘じゃないよね。傷を負った所も痛いし、ほら……あれもまだそのまま残ってるし」
 指指した先には……不気味に漂うバグホール。
 ふんわりと地面よりは浮かび、それが何かの音を発する事も無く……そのただ豹動きは不気味、の一言で言い表される事だろう。
 そんな、漂うバグホールに、そっと近づいていく瑠璃と史之。
 ……当然、その身に嫌な気配、感触はひしひしと感じ、バグホールとしての動作は継続しており、敵を倒したからと言って壊れるようなものでもない、という事。
「ちょっと、調べて見ましょうか」
 と瑠璃がバグホールに触れるか触れないかのギリギリの距離を保ちながら、それに対して感覚を研ぎ澄ます。
 何度も気が乱れそうになるが、決して惑わされずに数刻……バグホールは無尽蔵に外のモノを吸い込み、それと交換するかの様に……人を蝕む悪意を放出している様で。
 そして……更に史之も、瑠璃の横で、手分けして調査。
 二人、バグホールを様々な角度、更には力を使って調査し……それら一つ一つを書き留めて記録に残していく。
 そして……。
「取りあえず……これくらいかな? 余り長居してると、逆に吸い込まれちゃいそうだし」
 と史之が瑠璃に声を掛け、其処を離れる。
 そして。
「それにしても、全剣王のところにまでこうしてバグホールが発生しているとなると……ほんとうにこの世界は壊れかけているんだなぁって思うね。これからなにが起こるんだろうね?」
 と史之が言葉を吐くと、それにシラスとイグナートが。
「全くだ。まぁ、だからといって奴らが落ち着く事も無いだろうし、な」
「うん! その為にオレ達がいるんなら、オレ達も頑張らないとネ!」
 力強い二人の言葉……史之は。
「そうだね。このバグホールを消したい所だけど……今の所は対処出来ないみたいだ。だからこそ情報を集めて、やれることをやるとしようか」
 と、肩を竦めつつも、仲間達と共にその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

状態異常

なし

あとがき

ご参加頂き、ありがとうございました!
全剣王の城にまで現れたバグホール……終焉世界がどんどんと近づいているようにも感じられますね……。

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